説明

ブロー成形機

【課題】加熱搬送路の構造を簡略化するとともに加熱搬送路の搬送トラブルを解決したブロー成形機を提供する。
【解決手段】加熱ステーション4は、N個のプリフォームPを第1の方向に並べて支持した加熱用搬送部材21を、前記第1の方向と直交する第2の方向Aに沿って複数個ならべて搬送する加熱用往路20aと、加熱用往路の下方であって、加熱用往路と平行に設けられた加熱用復路20bと、転送部5側に位置する加熱用往路の一端にて、加熱用往路から加熱用復路に向けて前記加熱用搬送部材を下降させる下降機構28と、加熱用往路の他端にて、加熱用復路から加熱用往路に向けて加熱用搬送部材を上昇させる上昇機構29とを含む。加熱用復路29は、加熱用往路に配列される加熱用搬送部材の数よりも少ない数の加熱用搬送部材を、第2の方向Aとは逆方向へ搬送して、加熱用復路に沿って搬送される加熱用搬送部材を放冷もしくは強制的に冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱ステーションとブロー成形ステーションを有するブロー成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ブロー成形機として、PETボトルなどの薄肉の合成樹脂製容器を成形する二軸延伸ブロー成形機が知られている。
【0003】
本願出願人は、先に特許文献1に示されるような耐熱性を有する合成樹脂製容器を成形するためのブロー成形機を提案している。
【0004】
このブロー成形機は、プリフォームを供給する供給部と、供給部から供給されたプリフォームを加熱する加熱ステーションと、加熱ステーションで加熱されたプリフォームを転送する転送部と、転送部から転送されたプリフォームをブロー成形して容器を成形するブロー成形ステーションが機台上に配設されている。加熱ステーションは、並列に配置された直線状の加熱用搬送路を複数個有し、加熱用搬送路は、一端を供給部に、他端を転送部に結合されている。ブロー成形ステーションは、同時に受け渡されたプリフォームを間欠搬送する転送部に結合された略矩形状の第2搬送路を有し、さらに、第2搬送路は、プリフォームをブロー成形して一次成形品を成形する一次ブロー成形部と、一次成形品を熱処理型内面に接触させて熱処理する一次熱処理部と、一次熱処理を経た中間成形品を金型外で熱処理する二次熱処理部と、二次熱処理を経た中間成形品を最終成形品である容器の形状にブロー成形する最終ブロー成形部とを配設している。
【0005】
このブロー成形機のブロー用搬送路は、搬送経路角部に配置した4つのスプロケットにブロー用搬送チェーンが掛け渡されて短辺及び長辺を有する略矩形状とされており、短辺に受け渡されたプリフォームを長辺に搬送する途中、搬送経路角部の遠心力によってプリフォームがホルダーから脱落しない速度で搬送する必要があった。また、搬送をチェーンによって行っていたため、量産機の場合、第2搬送路が長くなると、チェーンの伸びを考慮して、チェーン張力の定期点検が欠かせなかった。
【0006】
そのため、本願出願人は、チェーン搬送を使わないに特許文献2示されるようなリニア搬送を採用した量産型のリニア搬送型ブロー成形機を提案している。
【0007】
このリニア搬送型ブロー成形機は、パレット・タイプのブロー用搬送部材を用いたリニア搬送を採用したことによって、上述のチェーン搬送の問題点、特に搬送速度を大きく改善することができた。しかしながら、この改良されたリニア搬送型ブロー成形機においては、加熱用搬送路のパレットの向きとブロー用搬送路のパレットの向きを同じにしたために、加熱搬送路の構造が複雑化し、さらに加熱搬送路ではパレットの熱膨張による問題が発生した。熱膨張による問題とは、平面上に往路と復路を有する矩形状の加熱搬送路に沿ってパレットを循環搬送したため、往路、復路のほぼ全域に渡って加熱装置(加熱ボックス)を配置することになり、連続成形時にパレットが徐々に昇温し熱膨張することで起こる搬送トラブルなどである。
【0008】
また、このリニア搬送型ブロー形成機は、ブロー用搬送路として、機台の側辺に沿った2列のブロー往路と、機台の中心線上にて型締め機構の上方に配置した2列のブロー復路とを配置している。
【特許文献1】特開平10−264240号公報
【特許文献2】特開2001−88203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、加熱搬送路の構造を簡略化するとともに加熱搬送路の搬送トラブルを解決したブロー成形機を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、ブロー搬送路の構造を簡略化したブロー成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明の一態様は、プリフォームを加熱する加熱ステーションと、加熱された前記プリフォームをN(N≧2)個ずつブロー成形ステーションに転送する転送部と、前記転送部から受け取ったN個のプリフォームを同時にブロー成形してN個の合成樹脂製容器を成形するブロー成形ステーションとを有するブロー成形機において、前記加熱ステーションは、N個のプリフォームを第1の方向に並べて支持した加熱用搬送部材を、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って複数個ならべて搬送する加熱用往路と、前記加熱用往路の下方であって、前記加熱用往路と平行に設けられた加熱用復路と、前記転送部側に位置する前記加熱用往路の一端にて、前記加熱用往路から前記加熱用復路に向けて前記加熱用搬送部材を下降させる下降機構と、前記加熱用往路の他端にて、前記加熱用復路から前記加熱用往路に向けて前記加熱用搬送部材を上昇させる上昇機構と、を有し、前記加熱用復路は、前記加熱用往路に配列される前記加熱用搬送部材の数よりも少ない数の加熱用搬送部材を、前記第2の方向とは逆方向へ搬送して、前記加熱用復路に沿って搬送される加熱用搬送部材を放冷もしくは強制的に冷却することをとしている。
【0012】
本発明の他の態様は、機台上に、プリフォームを加熱する加熱ステーションと、加熱された前記プリフォームをN(N≧2)個ずつブロー成形ステーションにそれぞれ転送する2つの転送部と、前記2つの転送部から受け取った各N個のプリフォームを同時にブロー成形して各N個の合成樹脂製容器を成形する2つのブロー成形ステーションとを有するブロー成形機において、前記2つのブロー成形ステーションは、前記転送部より受け取ったN個のプリフォームを支持して搬送する複数のブロー用搬送部材と、前記機台上の2つの側辺に沿って設けられ、前記複数のブロー用搬送部材を戻し搬送する2列のブロー用復路と、前記機台上の前記2列のブロー用復路の間にて、前記2列のブロー用往路と同一水平面内にて前記2列のブロー用往路と平行に設けられた2列のブロー用往路と、
を含み、前記2つの転送部の各々は、第1の方向に並んだN個のプリフォームを把持する把持機構と、把持機構を旋回することでN個のプリフォームを第2の方向に並べ替える方向転換機構とを含み、前記把持機構は、前記N個のプリフォームを把持するN組の把持部材と、前記N組の把持部材を昇降させる昇降シリンダとを有し、前記2つの転送部の各々の方向転換機構は、旋回中心位置が前記2列のブロー用往路の間に配置され、前記各々の方向転換機構によって並べ替えられた各N個のプリフォームの配列位置が、前記2列のブロー用往路上の各位置に一致することを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1〜図6は、本発明の一実施に係るブロー成形機を用いた耐熱性合成樹脂容器の成形機(以下、成形機とする)1を示す図である。
【0015】
図1は、成形機1の全体構成を示す平面図、図2はその側面図である。なお、図1においては、加熱ステーション4の搬送状態を説明するため、図の上半分は加熱装置及び冷却装置を省略している。また、図2においては、ブロー搬送路を省略している。
【0016】
この成形機1は、機台2上に、供給部3と、加熱ステーション4と、転送部5と、ブロー成形ステーション6と、取出部10とが、搬送方向Aに沿ってそれぞれ2列で略直線状に配設されている。基本的に2組の各部・各ステーションの構成は同じなので、以下の説明は、主に図1の下側の1組について説明する。
【0017】
供給部3は、成形機1外からプリフォームPを加熱ステーション4に供給するもので、供給レール16と、図3に示す整列機構17と、反転受渡機構18とを備える。
【0018】
供給部3の整列機構17(詳細は図示しない)によって搬送方向Aと直行する方向に1列に整列されたプリフォームPは、図3に示す様に、反転受渡機構18によって複数本、本実施の形態では6本同時に反転して倒立状態で加熱ステーション4に受け渡される。
【0019】
加熱ステーション4は、図1及び図2に示す様に、供給部3から倒立状態で受け渡されたプリフォームPを加熱するもので、プリフォームPを支持し搬送する加熱用搬送部材21と、加熱用搬送部材21を間欠的に循環搬送する加熱用搬送路20と、プリフォームPを加熱するための赤外線ヒータ38(図3参照)を備えた加熱ボックス37と、プリフォームP表面にエアを吹き付けて冷却する冷却ボックス40とを備える。
【0020】
図3及び図4は、加熱用搬送路20を示すため、加熱ボックス37及び冷却ボックス40等を省略している。加熱用搬送部材21は、その両端をガイドレールに案内されて加熱用搬送路20を移送されるもので、本実施の形態では、上面に6本のプリフォームPの口部を支持するホルダー24と、下面に各ホルダー24を回転させるためのスプロケット25を有する。スプロケット25は、図示しない自転用モータの駆動力をベルトによって伝達され、加熱部にあるプリフォームPをホルダー24とともに自転させる。プリフォームPを自転させることで、赤外線ヒータ38からの光を周方向に均等に当てることができる。
【0021】
加熱用搬送路20は、加熱用搬送部材21を搬送方向Aに沿って複数(本実施の形態では18本)隣接配置する加熱用往路20aと、その加熱用往路20aの下に加熱用搬送部材21を供給部3側(搬送方向Aの逆方向)へ戻す加熱用復路20bとを備える。
【0022】
加熱用往路20aは、加熱用搬送部材21を搬送しながら、プリフォームPを適正な温度に加熱するための搬送路であって、搬送方向Aに沿って延びる1組の加熱用往路ガイドレール22と、供給部3側の加熱用往路20aの端部に配置された加熱用搬送部材21を加熱用搬送部材1個分だけ搬送方向Aに押すエアシリンダからなる加熱用往路駆動手段26とを備えている。
【0023】
加熱用復路20bは、転送部5にプリフォームPを受け渡して空になった加熱用搬送部材21を供給部3側に戻す搬送路であって、搬送方向Aに沿って延びる1組の加熱用復路ガイドレール23(図5参照)と、加熱用搬送部材21を搬送方向Aの逆方向へ間欠的に搬送する加熱用復路駆動手段27とを備えている。加熱用復路駆動手段27は、2本の位置決めロッド31と、加熱用復路駆動ロッド33と、これらのロッドを90度回転させる加熱用復路回転シリンダ34とを備えている。加熱用復路駆動ロッド33及び位置決めロッド31は、一定間隔で5箇所に1組ずつ加熱用搬送部材21の両側面に係合する加熱用係合片35が固定され、加熱用搬送部材21を5箇所で保持することができる。
【0024】
加熱用往路20aの転送部5側の受け渡し位置においては、加熱用往路20aから加熱用復路20bへ加熱用搬送部材21を下降させる加熱用下降機構28がある。
【0025】
加熱用復路20bの供給部3側においては、加熱用復路20bから加熱用往路20aへ加熱用搬送部材21を上昇させる加熱用上昇機構29がある。
【0026】
転送部5は、図5及び図6に示す様に、加熱用往路20aの転送部5側の端部(受け渡し位置)に搬送された加熱された6本のプリフォームPを把持する把持機構50と、把持機構50に把持されたプリフォームPをブロー成形ステーション6のブロー用搬送部材の上方へプリフォームPの並び方向を90度変換しながら転送する方向転換機構53とから構成されている。
【0027】
転送部5は、図1に示すように、2組のブロー用搬送路60の間に位置している。方向転換機構53は、図5及び図6に示すように、機台2上に立設された図示せぬフレームと、フレームの上端に2組の加熱部に向って広がる2本のアーム54と、2本のアーム54の回転軸55を回転させる2個のサーボモータ(図示せぬフレームに内装されている)とを備えている。
【0028】
把持機構50は、アーム54の先端に設けられ、各プリフォームPのネック部を両側から把持する6組の把持部材51と、6組の把持部材51をプリフォームPのネック部に対し開閉する図示しない開閉機構と、プリフォームPを把持した把持部材51及び開閉機構を昇降させる昇降シリンダ52とを備えている。開閉機構は、エアシリンダと、エアシリンダに接続されたロッドと、ロッドにラック・アンド・ピニオンを介して従動する従動ロッドからなり、ロッドには各把持部材51の一方を、従動ロッドには各把持部材51の他方を接続し、エアシリンダを駆動させることで、各把持部材51を各プリフォームPのネック部に対し開閉させることができる。
【0029】
ブロー成形ステーション6は、図1及び図2に示すように、加熱ステーション4から転送されたプリフォームPをブロー成形することで合成樹脂製容器を成形するためのもので、各6本のプリフォームPなどの成形品を倒立状態で支持するパレット状のブロー用搬送部材61と、ブロー用搬送部材61を間欠的に循環搬送するブロー用搬送路60と、ブロー用搬送路60に沿って一次ブロー成形部7、一次熱処理部14、二次熱処理部15、最終ブロー成形部9、取出部10とを備えている。
【0030】
ブロー用搬送部材61は、図6に示すように、6個のプリフォームPを各部における各処理時の固定ピッチで保持するようになっている。
【0031】
ブロー用搬送路60は、ブロー用搬送部材61をリニア搬送するブロー用往路62及びブロー用復路65を有するほぼ矩形状のものとされている。図1に示すように、成形機1の両外側に2列のブロー用復路65を配置し、内側に2列のブロー用往路62を配置している。
【0032】
ブロー用往路62及びブロー用復路65は、ブロー用搬送部材61を次の停止位置まで移動させるブロー用往路駆動機構64及びブロー用復路駆動機構66と、ブロー用搬送路60に沿ってブロー用搬送部材61を案内するブロー用往路ガイドレール63及びブロー用復路ガイドレール90(図6参照)とを有している。
【0033】
ブロー用往路駆動機構64は、所定間隔で複数枚の係合板72(図6参照)を一方に突出させたブロー用駆動ロッド73と、このブロー用駆動ロッド73を回転駆動させる回転アクチュエータ74と、このブロー用駆動ロッド73及び回転アクチュエータ74をブロー用往路62に沿って移動させる図示せぬボールねじと、このボールねじのねじ軸を回転駆動させる電動サーボモータ75と、ブロー用駆動ロッド73及び回転アクチュエータ74の移動を案内する図示せぬブロー用駆動ガイドレールとを有している。
【0034】
そして、回転アクチュエータ74によりブロー用駆動ロッド73を回転させて係合板72をブロー用搬送部材61の長手方向両端部に当接させ、電動サーボモータ75によりボールねじのねじ軸を回転させることで、ブロー用駆動ロッド73及び回転アクチュエータ74が図示せぬブロー用駆動ガイドレールに案内されながらブロー用往路62に沿って移動し、係合板72を介してブロー用搬送部材61を所定距離移動させるようにしている。
【0035】
また、移動後、回転アクチュエータ74によりブロー用駆動ロッド73を回転させて係合板72とブロー用搬送部材61との係合を解除し、電動サーボモータ75によりボールねじのねじ軸を逆方向に回転させてブロー用駆動ロッド73を所定距離戻すことにより、次サイクルのブロー用搬送部材61の移動を準備できる。このブロー用往路駆動機構64の動作を繰り返すことにより、ブロー用搬送部材61を所定距離づつ間欠的に搬送方向Aに移動し得るようになっている。
【0036】
ブロー用往路駆動機構64とブロー用復路駆動機構66は、基本的に同じ構成であるので、説明を省略するが、ブロー用復路駆動機構66の場合は、搬送方向Aとは反対の方向へブロー用搬送部材61を移動させるため、ブロー用往路駆動機構64とは、電動サーボモータ75の回転が逆になる。
【0037】
また、このブロー用搬送路60のブロー用往路62とブロー用復路65の端部には、ブロー用復路65からブロー用往路62へブロー用搬送部材61を受け渡す往路受渡機構68と、ブロー用往路62からブロー用復路65へブロー用搬送部材61を受け渡す復路受渡機構69とが設けられている。
【0038】
往路受渡機構68は、図6に示すように、ブロー用復路65の加熱ステーション4側の端部である終端停止位置71に待機しているブロー用搬送部材61を位置決めして載せる載置部材78と、載置部材78を復路とブロー用往路62の端部で往復駆動させる水平移動機構79を有している。載置部材78には、ブロー用搬送部材61に設けられた2つの孔に係合して位置決めする進退自在な位置決めピン80と、ブロー用搬送部材61のブロー用復路65側の一部をガイドするガイドレール81を有している。水平移動機構79は、サーボモータ82とボールねじ機構83からなり、サーボモータ82を駆動してねじ軸を回転させることで、載置部材78を往復駆動することができる。水平移動中は、位置決めピン80が上昇してブロー用搬送部材61と係合するため、確実に移動させることができる。このブロー用復路65の終端停止位置71においては、ブロー用復路65に沿ってブロー用復路ガイドレール90、91、92がある。特に、そのブロー用復路65側にあるブロー用復路ガイドレール92は、ブロー用搬送部材61をブロー用往路62に移動させる際に、エアシリンダ(図示せず)によって昇降可能にされており、載置部材78によってブロー用搬送部材61をブロー用往路62側の受取停止位置70へ搬送する際に下降することができる。また、ブロー用往路62にも同様にブロー用復路65側のブロー用往路ガイドレール63が昇降可能とされている。
【0039】
復路受渡機構69は、往路受渡機構68とほぼ同様の機構であるので、説明を省略する。
【0040】
復路受渡機構69のあるブロー用復路65の端部には、取出部10があり、最終成形品である合成樹脂製容器を倒立状態から正立状態に反転して成形機外へ取出す。
【0041】
ブロー用往路62には、一次ブロー成形部7、一次熱処理部14、二次熱処理部15及び最終ブロー成形部9が、直線状に配設されている。
【0042】
各成形部及び各熱処理部は、図1において、ブロー用往路62の状態を表すため各型締め機構の上方に設けられた上底昇降機構を省略して示されている。一次ブロー成形部7、一次熱処理部14及び最終ブロー成形部9は、割型からなる一次ブロー成形型、熱処理型及び最終ブロー型を有し、この各型を各型締め機構11、12、13で型締めして成形し熱処理するようになっている。
【0043】
一次ブロー成形部7は、加熱ステーション4で加熱され延伸適温にあるプリフォームPを一次ブロー型内で二軸延伸ブロー成形し最終成形品よりも大きい一次ブロー成形品を得る。一次熱処理部14は、一次ブロー成形品を内部から高圧で加圧しつつ一次ブロー成形型とほぼ同じキャビティの熱処理型の内面に接触させて熱処理するようにしている。そして、一次熱処理終了後、一次ブロー成形品内部の高圧エアを排気して、一次ブロー成形品が収縮して歪みが除去され、一次熱処理型を型開することで最終成形品よりも若干小さな中間成形品が得られる。二次熱処理部15は、二次熱処理ボックスを有しており、この二次熱処理ボックス内では中間成形品はほとんど収縮することなく加熱する。最終ブロー成形部9は、所望の耐熱温度以上に加熱された最終ブロー成形型内で二次熱処理された中間成形品を最終成形品にブロー成形するようになっている。得られた最終成形品は、一次熱処理工程後の熱収縮によって、歪が大幅に除去され、一次、二次熱処理及び最終ブロー成形時の熱処理によって、結晶化度が大幅に上昇し、好ましい耐熱性を有した合成樹脂製容器となる。
【0044】
次に、本成形機1の動作について、各図を参照しながら説明する。
【0045】
まず、図1及び図2に示すように、成形機1外から供給部3に正立状態のプリフォームPが供給される。このときのプリフォームPの温度は、通常室温程度であるが、あらかじめ予備加熱をしてもよい。
【0046】
次に、図3に示すように、供給部3で整列された6本のプリフォームPを、反転受渡機構18によって倒立状態とし、さらに加熱用往路20aの端部であって、加熱用上昇機構29の上昇ガイドレール30に支持されて停止している加熱用搬送部材21のホルダー24に受け渡す。上昇ガイドレール30に支持されている加熱用搬送部材21及び加熱用往路20aに並んでいる加熱用搬送部材21を、加熱用往路駆動手段26で搬送方向Aに加熱用搬送部材21を1個分の幅だけ移動させる。加熱用往路20aの端部の加熱用下降機構28の下降ガイドレールには、加熱ステーション4で加熱されたプリフォームPが支持された状態で加熱用搬送部材21が搬送され停止する。
【0047】
この加熱された6本のプリフォームPのネック部の両横には、図4及び図5に示すように、あらかじめ転送部5の把持部材51が開いた状態でプリフォームPの受け渡し位置に把持機構50が配置されており、把持部材51をネック部に対して閉じることでプリフォームPを保持し、昇降シリンダ52によって把持部材51を上昇させて加熱用搬送部材21のホルダー24からプリフォームPを抜き取る。さらに方向転換機構53のサーボモーターの回転駆動によって、図6に示すように、回転軸55を中心にアーム54を旋回させ、ブロー用搬送路60の往路受渡機構68の上方でプリフォームPの並び方向を90度方向転換させる。ブロー用往路62の端部にあるブロー用搬送部材61上で把持部材51を停止させ、昇降シリンダ52によって把持部材51を下降させてブロー用搬送部材61のホルダー67にプリフォームPを差し込み、把持部材51を開いてプリフォームPの受け渡しが完了する。把持機構50は、把持部材51を開いたままでアーム54を逆方向に旋回させて、加熱用往路20aの端部で次のプリフォームPのために待機する。
【0048】
また、プリフォームPを転送部5に受け渡した後、図4、図5に示すように、加熱用搬送部材21は、加熱用下降機構28で加熱用復路20bの端部へ搬送され、加熱用復路駆動ロッド33に固定された加熱用係合片35が両端に係合し、加熱用復路駆動ロッド33によって搬送方向Aの逆方向に搬送される。所定距離搬送された加熱用搬送部材21は、加熱用復路駆動ロッド33が90度回転することで加熱用係合片35の係合が解除されると同時に位置決めロッド31も90度回転し、加熱用搬送部材21の両端に位置決めロッド31に固定された位置決め係合片32が係合し、加熱用搬送部材21を停止させる。
【0049】
加熱用復路20bでは加熱用搬送部材21の冷却が行われる。加熱用搬送部材21の冷却は、搬送される間に自然放冷でもよいし、加熱用復路20bの下方に冷却ファン(例えば軸流ファン)を配置し、強制的に冷却してもよい。強制的に冷却することによって、加熱用復路20bで加熱用搬送部材21を冷却しなければならない時間が短縮され、よって加熱用復路20bに配置する加熱用搬送部材21の数を減らすことができるため、装置の省コストになる。
【0050】
ブロー用往路62のブロー用搬送部材61に受け渡された6本のプリフォームPは、図1、図2に示すように、ブロー用往路駆動機構64によって間欠的に搬送されて、一次ブロー成形部7で一次ブロー成形品を成形し、一次熱処理部14で一次ブロー成形品を熱処理型内で熱処理し、型開きと同時に収縮させて得られた中間成形品を二次熱処理部15の赤外線ヒータでさらに熱処理し、最終ブロー成形部9でブロー成形されて6本の最終成形品となる。最終成形品は、耐熱性を有する合成樹脂製容器であり、取出部10から成形機外へ取出される。
【0051】
このように、転送部5において、同時にブロー成形されるプリフォームPの並び方向を大きく90度方向転換させることにより、加熱ステーション4の構造を簡略化させ、さらにブロー用搬送路60の高速移動も可能となる。
【0052】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
【0053】
例えば、前記実施の形態では、加熱ステーション4とブロー成形ステーション6を有する場合について説明したが、これに射出成形ステーションを組み合わせることもでき、あるいは、ブロー成形ステーション6のみとすることも可能である。
【0054】
また、前記実施の形態では、一次熱処理部14と二次熱処理部15を設けたが、ひとつの熱処理部にまとめてもよいし、一次ブロー成形部7の一次ブロー金型を加熱して熱処理を兼用させ、一次熱処理部14及び二次熱処理部15を省略してもよい。
【0055】
さらに、前記実施の形態では、方向転換機構53は、90度プリフォームの並び方向を変更しているが、これに限らず、成形機に合わせて任意の角度とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態に係るブロー成形機を用いた耐熱性合成樹脂容器の成形機の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1の成形機の側面図である。
【図3】加熱ステーションの側面図である。
【図4】加熱ステーションの平面図である。
【図5】転送部側から見た加熱ステーションの正面図である。
【図6】転送部の平面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 成形機
2 機台
3 供給部
4 加熱ステーション
5 転送部
6 ブロー成形ステーション
7 一次ブロー成形部
9 最終ブロー成形部
10 取出部
14 一次熱処理部
15 二次熱処理部
20a 加熱用往路
20b 加熱用復路
21 加熱用搬送部材
50 把持機構
51 把持部材
53 方向転換機構
54 アーム
55 回転軸
60 ブロー用搬送路
61 ブロー用搬送部材
62 ブロー用往路
65 ブロー用復路
70 受取停止位置
71 終端停止位置
79 水平移動機構
P プリフォーム
A 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォームを加熱する加熱ステーションと、加熱された前記プリフォームをN(N≧2)個ずつブロー成形ステーションに転送する転送部と、前記転送部から受け取ったN個のプリフォームを同時にブロー成形してN個の合成樹脂製容器を成形するブロー成形ステーションとを有するブロー成形機において、
前記加熱ステーションは、
N個のプリフォームを第1の方向に並べて支持した加熱用搬送部材を、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って複数個ならべて搬送する加熱用往路と、
前記加熱用往路の下方であって、前記加熱用往路と平行に設けられた加熱用復路と、
前記転送部側に位置する前記加熱用往路の一端にて、前記加熱用往路から前記加熱用復路に向けて前記加熱用搬送部材を下降させる下降機構と、
前記加熱用往路の他端にて、前記加熱用復路から前記加熱用往路に向けて前記加熱用搬送部材を上昇させる上昇機構と、
を有し、
前記加熱用復路は、前記加熱用往路に配列される前記加熱用搬送部材の数よりも少ない数の加熱用搬送部材を、前記第2の方向とは逆方向へ搬送して、前記加熱用復路に沿って搬送される加熱用搬送部材を放冷もしくは強制的に冷却することを特徴とするブロー成形機。
【請求項2】
機台上に、プリフォームを加熱する加熱ステーションと、加熱された前記プリフォームをN(N≧2)個ずつブロー成形ステーションにそれぞれ転送する2つの転送部と、前記2つの転送部から受け取った各N個のプリフォームを同時にブロー成形して各N個の合成樹脂製容器を成形する2つのブロー成形ステーションとを有するブロー成形機において、
前記2つのブロー成形ステーションは、
前記転送部より受け取ったN個のプリフォームを支持して搬送する複数のブロー用搬送部材と、
前記機台上の2つの側辺に沿って設けられ、前記複数のブロー用搬送部材を戻し搬送する2列のブロー用復路と、
前記機台上の前記2列のブロー用復路の間にて、前記2列のブロー用往路と同一水平面内にて前記2列のブロー用往路と平行に設けられた2列のブロー用往路と、
を含み、
前記2つの転送部の各々は、第1の方向に並んだN個のプリフォームを把持する把持機構と、把持機構を旋回することでN個のプリフォームを第2の方向に並べ替える方向転換機構とを含み、
前記把持機構は、前記N個のプリフォームを把持するN組の把持部材と、前記N組の把持部材を昇降させる昇降シリンダとを有し、
前記2つの転送部の各々の方向転換機構は、旋回中心位置が前記2列のブロー用往路の間に配置され、前記各々の方向転換機構によって並べ替えられた各N個のプリフォームの配列位置が、前記2列のブロー用往路上の各位置に一致することを特徴とするブロー成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−230249(P2008−230249A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104580(P2008−104580)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【分割の表示】特願2002−243269(P2002−243269)の分割
【原出願日】平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願人】(000227032)日精エー・エス・ビー機械株式会社 (35)
【Fターム(参考)】