説明

プッシュスイッチ

【課題】各種電子機器の入力操作部に使用される2段動作のプッシュスイッチに関し、小型化したものを提供することを目的とする。
【解決手段】内底面に複数の固定接点2、3、4を備えた長方形のスイッチケース1の凹部1A内に、円形孔5Aを有して上方に膨らんだ環状部5Bとその外周縁から斜め下方に延設された4つの脚部5Cを有して、隣り合う脚部5C間が狭い脚部5Cどうしの先端外側間の幅が、環状部5Bの外径寸法と同じかそれより小さい寸法になされた第1可動接点5と、その環状部5B上に載置された環状部5Bと同じ外径寸法の円形ドーム状で上方に膨出した第2可動接点6とを収容し、凹部1A上面を覆った保護シート7上に前後移動可能に駆動体8を載置した構成のものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の入力操作部に使用され、押圧操作によって最初に1段目のスイッチが動作し、続いて2段目のスイッチが動作する2段動作のプッシュスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の小型化が進み、それら電子機器に内蔵される部品の高密度化も著しいものがある。
【0003】
ここで、デジタルカメラや携帯電話機等のシャッター操作用として用いられることの多い、従来の2段動作の節度感を有したプッシュスイッチについて説明する。
【0004】
このような従来の2段動作の節度感を有したプッシュスイッチとしては、下記の特許文献1で示すものが知られており、その構成としては、スイッチケースの凹部内に、中央に円形孔を有した環状部から斜め下方に延設された4つの脚部が等角位置に延設された側面視ドーム状の第1可動接点と、その環状部上に円形ドーム状の第2可動接点が載置されて収容され、その上方から可撓性を備えた保護シートで凹部を覆って構成されており、上方からの押し下げ力により第1可動接点が節度感を伴って弾性変形して1段目のスイッチが動作し、さらに押し下げると第2可動接点が節度感を伴って弾性変形して2段目のスイッチが動作するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−041603号公報
【特許文献2】特開2007−329022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の2段動作の節度感を有したプッシュスイッチは、特許文献1などに示すように、機器の半田付けされる配線基板に対して垂直な方向から操作する所謂縦押し操作のものである。
【0007】
一方、配線基板の端部に半田付けされ、配線基板面に平行な方向から操作可能な横押し操作のプッシュスイッチとしては、特許文献2に示すものが知られており、スイッチケースの前方に突出した操作部を押し込み操作してその移動方向をカバーの切曲げ部で構成された傾斜部の下面により、配線基板に平行な方向から垂直な方向に変換して可動接点を押圧する構成のものである。
【0008】
この移動方向を変換する特許文献2の内容を特許文献1に適用すると、横押しで2段動作の節度感を有したプッシュスイッチが得られるが、この構成によると、スイッチケースは正方形で、操作方向における寸法(奥行寸法)が大きくなるため、配線基板上の部品実装密度を向上できるように、更なる小型化を図る必要性があった。同様に、縦押し操作のものにおいても更なる小型化が必要であった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、2段動作の節度感を有した小型のプッシュスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0011】
本発明は、上面開口の凹部内底面に複数の固定接点を備え、上記固定接点それぞれと接続した端子を外方に延出した絶縁樹脂からなるスイッチケースと、中央孔を有した円形の環状部とその外周縁から斜め下方に向けて延設された複数の脚部を備えて押圧により弾性反転する上方凸形のドーム状に形成された弾性金属薄板からなる第1可動接点と、この第1可動接点の環状部上に載置されて上方凸形のドーム状に形成された弾性金属薄板からなる円形の第2可動接点と、上記第1、第2可動接点を上記スイッチケースの凹部内に収容してその凹部上面を覆うように取り付けられた絶縁フィルム製の保護シートと、を備えたプッシュスイッチであって、上記スイッチケースは前後方向が左右方向より短い長方形で、上記複数の固定接点が、上記第1可動接点の中央孔内を介して上記第2可動接点の下面と間隔をあけて対峙した位置に設けられた中央固定接点と、上記第1可動接点の環状部下面と間隔をあけて対峙した位置に設けられた中間固定接点と、上記第1可動接点の脚部が載置された端部固定接点と、から構成され、上記第1可動接点の脚部が、上記環状部の中心に対して点対称な位置に4つ設けられ、2つ1組とする各組の上記脚部間の開口角度が90度より狭い角度になされ、それら各組の上記脚部先端外側間の幅の狭い側が上記スイッチケースの左右位置に対応されて上記第1可動接点が上記スイッチケース内に配されていることを特徴とするプッシュスイッチとしたものである。
【0012】
これにより、第1可動接点を収容するスイッチケースの奥行き方向の幅を小さくできて、実装面積の小さい、2段動作の節度感を有した小型のプッシュスイッチを提供することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、2段動作の節度感を有した小型のプッシュスイッチを提供することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態による横押しで2段動作の節度感を有するプッシュスイッチの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同スイッチケースの平面図
【図4】同スイッチケースの底面図
【図5】同1段目の動作状態を示す断面図
【図6】同2段目の動作状態を示す断面図
【図7】本発明の第2の実施の形態による横押しで2段動作の節度感を有するプッシュスイッチの分解斜視図
【図8】同スイッチケースの平面図
【図9】本発明による縦押しで2段動作の節度感を有するプッシュスイッチの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図9を用いて説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態による横押しで2段動作の節度感を有するプッシュスイッチの断面図、図2は同分解斜視図、図3は同スイッチケースの平面図、図4は同スイッチケースの底面図であり、同図において、1は前後方向が短い上面視で略長方形の形状に形成された絶縁樹脂製のスイッチケースであり、中央に略円形の凹部1Aを有した平面部1Bの左右方向の両側に上面視コ字状のガイド壁1Cが突設され、上記凹部1Aには、その内周壁にスイッチケース1の4つのコーナー部方向に窪んだ溝部1Dが一体に設けられている。そして、凹部1Aの内底面には、中央に位置された中央固定接点2と、その中央固定接点2から間隔をあけてスイッチケース1の前方側で左右方向における中央位置に位置された中間固定接点3と、後方側の2つの上記溝部1Dに対応した位置に端部固定接点4が配設されている。
【0017】
これら中央固定接点2、中間固定接点3そして端部固定接点4はそれぞれ電気的に独立しており、それら各固定接点2、3、4と繋がった中央固定接点端子2A、中間固定接点端子3Aそして端部固定接点端子4Aが、スイッチケース1の左右方向の外側壁下方から下面がスイッチケース1の底面と同じ面で外方に延出されている。
【0018】
また、中間固定接点3と繋がった中間固定接点端子3Aは、図4に示すように、スイッチケース1の凹部1A内底面に露出した中間固定接点3部分から両側が下方に曲げ加工されて、中間部付近からその下面がスイッチケース1の底面と同一面に露出状態とされ、そのままスイッチケース1の両側の外側壁外方へ延出されている。
【0019】
5は中央孔としてなる円形孔5Aを中央に有し、上方に膨らんだドーム状の環状部5Bと、その環状部5Bの外周縁から斜め下方に延設され、根元部分に上面視円弧状の面取りが設けられた同じ形状の4つの脚部5Cを備えた弾性金属薄板からなる第1可動接点で、4つの脚部5Cがそれぞれ対応する上記スイッチケース1の溝部1D内に位置した状態で凹部1Aに収容されており、環状部5B下面は間隔をあけて下方の中間固定接点3と対峙している。そして、第1可動接点5の後方側の2つの脚部5C下端は、端部固定接点4上にそれぞれ載っている。
【0020】
4つの脚部5Cは、環状部5Bの中心に対して点対称で非等角な位置に設けられ、その2つずつが1組となる各組の上記脚部5C間の開口角度は90度より狭い角度のものになっている。そして、その各組の脚部5Cどうしでの先端外側間の幅は、上記環状部5Bの外径寸法と同じかそれより小さい寸法のものになっている。その脚部5C間の狭い側を、各々、上記スイッチケース1の左右位置に対応させて、上記第1可動接点5を上記スイッチケース1内に配したものとすることによって、当該実施の形態によるものでは、環状部5Bの外径と同じ円形の可動接点を使用するスイッチと同じ奥行き寸法としてなる小型のプッシュスイッチに実現している。
【0021】
この第1可動接点5は、ドーム状の環状部5Bに押し下げ力が加わると、脚部5Cが撓みながらその力が所定の力を超えた際に、節度感を伴って環状部5Bが下方に膨らんだ状態に弾性反転し、また、この押し下げ力を解除していくと、脚部5Cの撓みが元に戻りながら、所定の力より小さくなると、節度感を伴って、環状部5Bが元の上方に膨らんだドーム状に弾性復帰するものである。
【0022】
6は上方に膨出した円形ドーム状の弾性金属薄板からなる第2可動接点であり、その外周下端が上記第1可動接点5の環状部5B上に載置されている。この第2可動接点6の外径は第1可動接点5の環状部5Bと同じ寸法に形成されており、スイッチケース1の略円形の凹部1Aの内径はそれより僅かに大きい寸法に形成されているため、この凹部1A内周壁により第1可動接点5および第2可動接点6が位置決めされて、その位置が安定するようになされている。
【0023】
この第2可動接点6は、ドーム状頂点部に押し下げ力が加わり、その力が所定の力を超えると節度感を伴って下方に膨らんだ状態に弾性反転し、また、この押し下げ力を解除していき、所定の力より小さくなると、節度感を伴って元の上方に膨らんだドーム状に弾性復帰するものである。
【0024】
そして、上記第1可動接点5と第2可動接点6との間において、弾性反転する際の力および弾性復帰する際の力は、第1可動接点5の方が小さい力で反転および復帰するように設定されている。
【0025】
7は下面に図示しない粘着剤を有し可撓性を備えた絶縁フィルムからなる保護シートで、スイッチケース1の凹部1A内に第1可動接点5、第2可動接点6を収容状態にして、凹部1Aを塞ぐように平面部1B上に粘着固定されている。
【0026】
8は上記保護シート7上で前後移動可能に載置された絶縁樹脂からなる駆動体であり、スイッチケース1の前方に突出した操作部8Aと、その操作部8Aの後方に突出した棒状部8Bと、間隔をあけてその棒状部8Bを囲む枠状のガイド部8Cを備えている。この駆動体8の棒状部8Bは可撓性を有しており、先端は球形状の押圧部8Dとされ、その押圧部8Dはスイッチケース1の凹部1Aのやや前方よりの中央部に位置している。
【0027】
9は金属板からなる略長方形のカバーで、その中央部に45度下方に切り曲げ形成された傾斜部9Aを備えており、コーナー部の近傍それぞれに端部から下方に曲げ形成された固定用の係止部9Bが4ヶ所設けられている。このカバー9は、駆動体8のガイド部8C上方を覆って、係止部9Bがスイッチケース1のガイド壁1Cの前後方向外面に設けられた係止用突起1Eにそれぞれ係止されて固定されている。
【0028】
この状態で駆動体8は、その棒状部8B先端の押圧部8Dがカバー9の傾斜部9Aの前方の傾斜面に当接し、ガイド部8Cの前方面がガイド壁1Cの前方端部の内側壁に当接している。そして、ガイド部8Cの左右方向はスイッチケース1のコ字状のガイド壁1Cによって規制され、上下方向はカバー9下面と保護シート7で規制されて前後移動が滑らかに可能なものになされている。
【0029】
以上の構成において、次にその動作を説明する。
【0030】
まず、駆動体8の操作部8Aに前方から押し力を加えると、スイッチケース1のガイド壁1Cに規制されながら駆動体8は後方へ移動し、それにつれて棒状部8Bは、カバー9の傾斜部9Aに当接した先端の押圧部8Dが傾斜面に沿って案内されて撓みながら斜め下方へ下がっていき、後方への押し力が下方への押し下げ力に変換される。
【0031】
そして、この押圧部8Dの移動により保護シート7を介して第2可動接点6のドーム状頂点部に押し下げ力が加わり、この第2可動接点6が載置された第1可動接点5の環状部5Bにも押し下げ力が加わって、上記押し下げ力が所定の力を超えると、図5に示すように、第1可動接点5の脚部5Cが撓んで環状部5Bが節度感を伴って下方に膨らんだドーム状に弾性反転する。
【0032】
この弾性反転により、環状部5B下面が対峙した中間固定接点3に接触して、端部固定接点端子4Aと中間固定接点端子3Aとの間が電気的に導通状態となり、1段目のスイッチがオンとなる。
【0033】
この1段目の動作において、駆動体8の押圧部8Dはカバー9の傾斜部9Aに沿って斜め下方に移動するため、保護シート7を介して第2可動接点6のドーム状部分を前方側から頂点部中心に向けて移動しながら押し下げる力が加わる。したがって第2可動接点6には前方側から中心に向けて押下力が働き、第1可動接点5の環状部5Bにも前方側が押下されるように力が加わりやすい。
【0034】
ここで、本実施の形態のスイッチケース1の中間固定接点3は、凹部1Aの前方側に配設しているため、第1可動接点5の環状部5Bが弾性反転してその下面が中間固定接点3に接触する際に、強く接触するようになり、中間固定接点3との接触性を安定したものにできる。
【0035】
そして、更に続けて操作部8Aへの押し力を加えていき、押圧部8Dからの押し下げ力が第2可動接点6の弾性反転力を超えると、図6に示すように、第2可動接点6が節度感を伴って下方に膨らんだドーム状に弾性反転し、ドーム状頂点部下面が対峙した中央固定接点2に接触して、2段目のスイッチがオンとなる。
【0036】
この2段目のスイッチがオンの状態では、第1可動接点5は後方の2ヶ所の脚部5Cが接触した端部固定接点4と環状部5B下面が接触した中間固定接点3間を電気的に架橋し、第2可動接点6は第1可動接点5の環状部5Bと中央固定接点2間を電気的に架橋しており、端部固定接点4、中間固定接点3および中央固定接点2の全てが電気的に接続された状態となる。すなわち、各接点2、3、4に繋がった端部固定接点端子4A、中間固定接点端子3Aおよび中央固定接点端子2A相互の間で導通した状態となる。
【0037】
そして、2段目のスイッチが動作した後に、駆動体8の枠状のガイド部8Cの後方面が、スイッチケース1のガイド壁1Cの後方端部の内側面に当接する。つまり、ガイド壁1Cの後方端部が、押し止めとして機能して、駆動体8の後方への移動が停止する。
【0038】
次に、駆動体8の操作部8Aに加えていた押し力を解除していき、第2可動接点6に加わっていた押圧部8Dによる押し下げ力が第2可動接点6の自己復帰力より小さくなると、第2可動接点6が節度感を伴って元の上方に膨らんだドーム状に復帰しそのドーム状頂点部下面が中央固定接点2から離れて2段目のスイッチがオフとなる。この第2可動接点6の自己復帰力の作用によって、保護シート7を介して駆動体8の押圧部8Dに上方への付勢力が加わると共に、撓んでいる棒状部8B自身の復帰力も加わって押圧部8Dがカバー9の傾斜面に沿いつつ斜め上方に移動して、駆動体8は前方へ押し戻される。
【0039】
そして、さらに操作部8Aへの押し力が小さくなると、第1可動接点5の環状部5Bが節度感を伴って元の上方に膨らんだドーム状に自己復帰し脚部5Cも元の傾斜状態に戻る。そして、環状部5B下面が中間固定接点3から離れることにより1段目のスイッチもオフとなる。この第1可動接点5の自己復帰動作によって、第2可動接点6も上方位置に押し戻されて、上述同様に第2可動接点6のドーム状頂点部上面から保護シート7を介して駆動体8の押圧部8Dに上方への付勢力が加わると共に、撓んでいる棒状部8B自身の復帰力も加わって、押圧部8Dがカバー9の傾斜面に沿いつつ斜め上方に移動して、駆動体8をさらに前方へ押し戻し、ガイド部8C前方面がスイッチケース1のガイド壁1Cの前方端部の内側面に当接した図1に示す元の状態に戻る。
【0040】
このように本実施の形態によれば、第1可動接点5の脚部5C先端外側間の幅が環状部5Bの外径寸法以下であり、第2可動接点6の外径も上記環状部5Bの外径寸法と同じ寸法にしているため、第1可動接点5および第2可動接点6を含めて操作方向である前後方向、つまり奥行きを小さくできて、実装面積が小さく、横押しで2段動作の節度感を有した小型のプッシュスイッチを提供することができる。
【0041】
また、スイッチケース1の凹部1A内の中間固定接点3を、前方側の左右方向における中央位置に位置させ、そこから下方へ曲げ形成してスイッチケース1の絶縁樹脂内を通過させ、その後左右方向それぞれに下面がスイッチケース1の底面と同一面に露出した平面状態で外側壁から延出した中間固定接点端子3Aとしているため、実装時の半田付け面積が広くできて、半田付け強度が強くなり、操作部8Aに過大な押圧荷重が加わってもプッシュスイッチが配線基板から剥離し難いものにできる。また、荷重を最も受ける操作部8Aに近い側の端子で半田付け面積を大きくできるので、半田付け強度を強くする効率的な端子配置にできる。
【0042】
なお、第1可動接点5における4つの脚部5Cの配設角度は、上述した条件内であればよいが、4つのものの場合には、配置状態での自立性などを考慮すれば、上記条件内で広い角度である方が好ましい。そして、その脚部の数は4つ以外のものとしてあってもよい。
【0043】
(実施の形態2)
図7は本発明の第2の実施の形態による横押しで2段動作の節度感を有するプッシュスイッチの分解斜視図、図8は同スイッチケースの平面図である。
【0044】
なお、本実施の形態によるプッシュスイッチは、実施の形態1によるものに対してスイッチケースの固定接点の配設位置が異なっているのみであり、その他の構成は同じであるため、実施の形態1のものと同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0045】
図7、図8において、11は前後方向が短手方向となる長方形形状に形成された絶縁樹脂製のスイッチケースであり、上面中央に略円形の凹部11Aを有した平面部11Bの左右方向の端部の両側に上面視コ字状のガイド壁11Cが突設され、上記凹部11Aには、その内周壁にスイッチケース11の4つのコーナー部方向に窪んだ4つの溝部11Dが一体に設けられている。
【0046】
上記凹部11Aの内底面には、中央に中央固定接点12が設けられ、その中央固定接点12から間隔をあけてスイッチケース11後方側の左右方向における中央位置に中間固定接点13が設けられ、そして前方側に位置した2つの上記溝部11D内の位置に端部固定接点14が配設されている。そして、中央固定接点12、中間固定接点13および端部固定接点14とそれぞれ繋がってスイッチケース11の左右方向外側壁から中央固定接点端子12A、中間固定接点端子13Aおよび端部固定接点端子14Aが延設されている。
【0047】
つまり、本実施の形態によるものは、実施の形態1のスイッチケースに対して、中間固定接点、端部固定接点およびそれらと繋がる中間固定接点端子、端部固定接点端子の配置位置が中央固定接点に対して点対称に前後方向で逆に構成されていることを特徴としている。
【0048】
その他の構成部材は同じである。簡単に説明すると、スイッチケース11の凹部11A内に、円形孔5Aを有した環状部5Bとスイッチケース11の4つの溝部11D位置に対応した4つの脚部5Cを備え、前方側に位置した2つの脚部5Cが端部固定接点14上に載置されて第1可動接点5が納められ、その第1可動接点5の環状部5Bの上に、その環状部5Bの外径寸法と同じ大きさの第2可動接点6が載置されて、凹部11Aを塞いで保護シート7が平面部11B上に粘着固定されている。
【0049】
そして、操作部8Aをスイッチケース11の前方に突出させ、後方に突出した棒状部8Bと、間隔をあけてその棒状部8Bを枠状に囲むガイド部8Cが保護シート7上に載置されて配された駆動体8の上方から、切り曲げて形成された傾斜部9Aを中央に備えたカバー9が、コーナー部の端部に設けられた係止部9Bでスイッチケース11のガイド壁11Cの前後方向外面に設けられた係止用突起11Eに係止固定されている。
【0050】
以上のように本実施の形態のプッシュスイッチは構成されている。そして、その動作は実施の形態1によるものの動作と同様であるので説明は省略する。
【0051】
ここに、本実施の形態によれば、第1可動接点5の脚部5C先端が操作部8Aに近い側で端部固定接点14上に常接しているものとしているので、その端部固定接点14と繋がる端部固定接点端子14Aを図示しない電子機器の配線基板のアース側回路と接続しておくことにより、操作者の人体等の外方から駆動体8の操作部8Aに静電気が流れ込んだ際、各可動接点5、6はアース電位状態であると共に、操作部8Aとアース側回路とが近い位置関係にできることから、上記静電気による電子機器の誤動作や故障発生の低減効果を期待できるものとして実現できる。
【0052】
なお、上述の実施の形態1および2は、操作方向が横方向の所謂横押し操作の2段動作の節度感を有したプッシュスイッチで説明したが、図9の本発明による縦押しで2段動作の節度感を有するプッシュスイッチの分解斜視図に示すように、本発明による構成思想を、操作方向が縦方向の縦押し操作の2段動作の節度感を有したプッシュスイッチのものに適用することができる。すなわち、図9に示すように、スイッチケース21を、上述したスイッチケース1、11と同様の思想で、前後方向が左右方向より短い上面視長方形のものに構成し、そのスイッチケース21に第1および第2可動接点5および6を収容して保護シート27を貼り付け、その保護シート27上方から操作用孔部29Aを有したカバー29をスイッチケース21に取り付けた形態のプッシュスイッチとし、保護シート27上方からの押圧操作によって動作するものとすれば、投影面積の小さい細型で縦押し操作のものに実現できる。また、図示はしないが、上記保護シート27をなくして、第2可動接点6を直接押圧操作する駆動体を第2可動接点6上に載置し、駆動体の操作部を上方に突出させるカバーを組み合せて構成したプッシュスイッチなどとしても良い。
【0053】
これにより、上面視細型で前後方向が左右方向よりも小さい、縦押しで2段動作の節度感を有した小型のプッシュスイッチを提供することができる。
【0054】
なお、上述の実施の形態1および2において、スイッチケース1、11の凹部1A、11A内底面に配設する端部固定接点4、14は、2ヶ所の溝部1D、11D位置に設けたもので説明したが、どちらか1ヶ所の溝部1D、11Dのみに設けたものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によるプッシュスイッチは、2段動作の節度感を有した小型のプッシュスイッチを提供することができるという有利な効果を有し、各種電子機器の入力操作部を構成する際等に有用である。
【符号の説明】
【0056】
1、11、21 スイッチケース
1A、11A 凹部
1B、11B 平面部
1C、11C ガイド壁
1D、11D 溝部
1E、11E 係止用突起
2、12 中央固定接点
2A、12A 中央固定接点端子
3、13 中間固定接点
3A、13A 中間固定接点端子
4、14 端部固定接点
4A、14A 端部固定接点端子
5 第1可動接点
5A 円形孔
5B 環状部
5C 脚部
6 第2可動接点
7、27 保護シート
8 駆動体
8A 操作部
8B 棒状部
8C ガイド部
8D 押圧部
9、29 カバー
9A 傾斜部
9B 係止部
29A 操作用孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口の凹部内底面に複数の固定接点を備え、上記固定接点それぞれと接続した端子を外方に延出した絶縁樹脂からなるスイッチケースと、中央孔を有した円形の環状部とその外周縁から斜め下方に向けて延設された複数の脚部を備えて押圧により弾性反転する上方凸形のドーム状に形成された弾性金属薄板からなる第1可動接点と、この第1可動接点の環状部上に載置されて上方凸形のドーム状に形成された弾性金属薄板からなる円形の第2可動接点と、上記第1、第2可動接点を上記スイッチケースの凹部内に収容してその凹部上面を覆うように取り付けられた絶縁フィルム製の保護シートと、を備えたプッシュスイッチであって、上記スイッチケースは前後方向が左右方向より短い長方形で、上記複数の固定接点が、上記第1可動接点の中央孔内を介して上記第2可動接点の下面と間隔をあけて対峙した位置に設けられた中央固定接点と、上記第1可動接点の環状部下面と間隔をあけて対峙した位置に設けられた中間固定接点と、上記第1可動接点の脚部が載置された端部固定接点と、から構成され、上記第1可動接点の脚部が、上記環状部の中心に対して点対称な位置に4つ設けられ、2つ1組とする各組の上記脚部間の開口角度が90度より狭い角度になされ、それら各組の上記脚部先端外側間の幅の狭い側が上記スイッチケースの左右位置に対応されて上記第1可動接点が上記スイッチケース内に配されていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】
第1可動接点の脚部の開口角度が90度より狭い角度になされていて、上記脚部どうしの上記脚部先端外側間の幅が環状部の外形寸法以下である請求項1記載のプッシュスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−230926(P2012−230926A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−189481(P2012−189481)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【分割の表示】特願2008−155028(P2008−155028)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】