説明

プラスグレルのための製品

液体ガスによる陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装されたプラスグレルの錠剤、カプレット若しくはカプセル、または他の固体形態のプラスグレルを含んでなる製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスグレル(チエノピリジン血小板凝集阻害剤)のための製品に関する。
【背景技術】
【0002】
チクロピジンおよびクロピドグレル(Sanofi−Aventis S.A.社からPlavix(登録商標)またはIscover(登録商標)登録商標として市販)などのチエノピリジンが、血栓症の治療に用いられている。
【0003】
プラスグレルは次世代のチエノピリジンであり、血栓症および/若しくは関連した疾患の治療または予防のための臨床開発(経皮的冠動脈介入における補助的手段などとして)が現在行われている。
【0004】
米国特許6688468B2号には、薬剤の安定性と貯蔵寿命を向上させるために、酸素捕捉剤の使用が開示されている(特許文献1)。
【0005】
空気および/若しくは水分に対するプラスグレルの長期にわたる曝露により、安定性に影響しうる分解が生じ、貯蔵寿命が短いものとなる。これまで、ボトルなどの容器に、不活性雰囲気下で錠剤、カプレットまたはカプセルを包装していた。ボトルは、慣用のガスを使用して不活性化することができる。しかしながら、従来のボトルのガス不活性化操作を、標準的な高速ボトル包装ラインに適応させ、ボトルを所望の最小酸素濃度にすることは通常困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許6688468B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、容器を所望の最小酸素濃度にし、また、標準的な高速ボトル包装ラインにおいて操作可能な、プラスグレルおよび他の空気および/若しくは水分感受性医薬品の包装方法に対するニーズが存在する。容器のヘッドスペースを所望の最小酸素濃度にすることは、プラスグレルおよび他の空気および/若しくは水分感受性医薬品の安定性および貯蔵寿命の改良に貢献する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液体ガスによる陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装された、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレル、または空気および/若しくは水分感受性医薬品を含んでなる製品に関する。
【0009】
本発明は、液体ガスによる陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装された、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレル
【化1】

を含んでなる、プラスグレル製品の提供に関する。
【0010】
本発明は、以下ステップを有してなる、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルの安定性を改善する方法に関する:
a.空気および/若しくは水分不透過性のボトル中に、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを配置するステップと、
b.任意に乾燥剤を添加するステップと、
c.任意に酸素捕捉剤を添加するステップと、
d.液体窒素を添加するステップと、
e.液体窒素による陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性のボトルを密封するステップ。
【0011】
本発明は、以下のステップを有してなる、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルの貯蔵寿命を改善する方法に関する:
a.空気および/若しくは水分不透過性の容器中に、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを配置するステップと、
b.任意に乾燥剤を添加するステップと、
c.任意に酸素捕捉剤を添加するステップと、
d.液体窒素を添加するステップと、
e.液体窒素による陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性の容器を密閉するステップ。
【0012】
本発明は、以下のステップを有してなる、約5mg〜約10mgのプラスグレルを含有する錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルの製造方法の提供に関する:
a.空気および/若しくは水分不透過性のボトル中に、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを配置するステップと、
b.任意に乾燥剤を添加するステップと、
c.任意に酸素捕捉剤を添加するステップと、
d.液体窒素を添加するステップと、
e.液体窒素による陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性のボトルを密封するステップ。
【0013】
本発明は、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルあたり、各々約5mg〜約10mg塩基当量を含有する、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態のプラスグレルまたは他の固体形態のプラスグレルを、空気および/若しくは水分不透過性の容器中に、液体窒素による陽圧下で包装するステップを有してなる、プラスグレルの製造方法の提供に関し、当該方法は以下のステップを含んでなる:
a.空気および/若しくは水分不透過性の容器中に、前記錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを配置するステップと、
b.液体窒素を添加するステップと、
c.任意に乾燥剤を添加するステップと、
d.任意に酸素捕捉剤を添加するステップと、
e.液体窒素による陽圧下でボトルを密封するステップ。
【0014】
本発明は以下のステップを含んでなるプラスグレルの製造方法に関する:
a.空気および/若しくは水分不透過性の容器中に、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを配置するステップと、
b.液体窒素を添加するステップと、
c.液体窒素による陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性の容器を密閉するステップ。
【0015】
本発明は、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルあたり各々約5mg〜約60mg塩基当量を含有し、液体窒素による陽圧下の空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装された、錠剤形態、カプレット形態若しくはカプセル形態のプラスグレルを含んでなるプラスグレル製品に関する。
【0016】
本発明は、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルあたり各々約5mg〜約10mg塩基当量を含有し、液体窒素による陽圧下の空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装された、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態のプラスグレルまたは他の固体形態のプラスグレルを含んでなる、プラスグレル製品に関し、前記容器がボトルであり、および/若しくは、前記ボトル中のヘッドスペースの酸素含量が5%未満、好ましくは4%未満である。
【0017】
本発明は、液体窒素による陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装された、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを含んでなる製薬キットに関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の用語「プラスグレル」は、塩酸塩、塩基またはそれらの混合物としての、式Iの化合物を意味する。
【0019】
本明細書で用いられる用語「塩基当量」とは、塩酸塩として包装された場合に、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルあたりの塩基形態のモル当量を示す、プラスグレルの量のことである。当業者であれば変換をすることが可能であり、またサンプル当量を実施例に示す。
【0020】
本明細書で用いられる「他の固体形態」という用語には、急速に崩壊する、急速に溶解する、迅速に放出される、または他の承認された若しくは承認可能な、固体状のプラスグレルの形態(例えば半固体の形態(例えば凍結乾燥製剤など))が包含される。前記固体状の製剤を調製する方法は、当業者に公知である。
【0021】
「ノズルからキャップまでの距離」とは、可動加工ラインに沿った、液体窒素の供給ノズルの底部からボトル開口部の上部までの距離を指す。この距離が過度に長い場合、液体窒素は容器内に入り酸素を置換する前に蒸発しうるか、または効率的に酸素を置換することができなくなる。当業者であれば、ノズルからキャップまでの距離を調整し、容器内に液体窒素を添加し、酸素を置換するプロセスの効率を改善できる。
【0022】
「ノズルから閉栓までの距離」とは、液体窒素の供給ノズルから、キャップが容器に設けられて更に誘導密封(induction sealing)される位置までの距離を指す。この距離が過度に長い場合、最初に置換された酸素が、ボトル中に逆戻りし始める事態が生じうる。距離が過度に短い場合、容器(特にプラスチックボトル)に対する加圧が強過ぎ、膨れた外観となりうる。当業者であれば、ノズルから閉栓までの距離、および/若しくは液体窒素の供給速度を適宜調整し、充填および閉栓の際の効率を改善させ、ボトルに対する過度の加圧を回避することができる。
【0023】
本明細書で用いられる「空気および/若しくは水分不透過性の容器」という用語は、空気および/若しくは水分の透過に抵抗する容器のことを意味する。空気および/若しくは水分不透過性の容器の例としては、ボトル、好ましくは、酸素の透過に抵抗する層(例えばEVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体))との組み合わせで、HDPE(高密度ポリエチレン)またはポリプロピレンを含有する多層ボトルが挙げられる。他の適切な多層ボトルは、酸素透過に抵抗する層(例えばナイロン)と共に、例えば「COC」 または「COP」ポリマー(環状オレフィン共重合体(COC)、環状オレフィンポリマー(COP))を使用して調製できる。これらの多層ボトルは、2層以上の層からなってもよく、また、密着性およびボトル自体の構造的完全性を向上させるために更なる添加材を有してもよい。空気および/若しくは水分に対する高い抵抗性を有するボトルは、しばしばバリアボトルと称され、広告され、また市販されている。
【0024】
空気および/若しくは水分透過性に抵抗するガラスおよびアルミニウム容器もまた、「空気および/若しくは水分不透過性の容器」の意味する範囲内に包含される。その主要な要件は、当該容器、好ましくはボトルが、ホイルによる誘導密封または他の適切な手段で適切に密封でき、それにより、得られる包装物が空気および/若しくは水分の浸透を防止する能力を有することである。当業者であれば、空気および/若しくは水分の浸透を完全に排除するのは、達成が困難かつ/若しくは非現実的であることを認識している。「空気および/若しくは水分不透過性の容器」という用語は、当業者の知識に基づく相対的な意味であり、ある材料は他の材料より空気および/若しくは水分を透過させず、また絶対的な不透過性を達成するのが困難であるという意味で用いられる。最も好適な容器はボトルである。最も好適なボトルはバリアボトルである。好適なバリアボトルはガラスまたは多層ボトルである。任意に更なる層を有する、HDPE/EVOH/HDPEからなる多層ボトルは、水分および酸素透過性の程度が低く、またこれらのボトルはガラス程に壊れやすくはなく、またアルミニウムとは異なり誘導密封が容易であるため、最も好ましい。
【0025】
本明細書で用いられる「液体ガスによる陽圧」という用語は、液体窒素、液体アルゴン、液体ヘリウムおよび液体二酸化炭素などの液体ガスの使用を意味する。これらの液体ガスは、容器に添加されたときに膨張し、更に容器中の空気を置換することによって、容器中の酸素濃度を低下させる。本発明の実施のための最も好適な液体ガスは、液体窒素である。
【0026】
本明細書で用いられる「液体窒素による陽圧」という用語は、ボトル中の錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを囲んでいる空間の体積が、ガス状の液体窒素(液体窒素の蒸発によって生じた気体窒素)で実質的にほとんど全て、または実際的に可能な限り完全に満たされ、液体窒素の膨張による置換効果(陽圧)が維持されているうちに密封されている状態のことを意味する。すなわち、「液体窒素による陽圧下」という用語は、ボトルの包装(密封および閉栓を含むがこれに限らない)が、添加された液体窒素の膨張に由来する気体窒素雰囲気下で、完全にまたは部分的に実施されることを意味する。包装プロセスの間の液体窒素の使用により、本発明の実施に必要な液体窒素による陽圧が提供される。バリアボトルは好ましくは順番に、
(1)プラスグレルを充填され、
(2)任意に乾燥剤を充填され、
(3)適切な量の液体窒素を供給され、
(4)ガス状の液体窒素の雰囲気下(ブランケット)で密封および/若しくは閉栓(され、それにより、ボトルのヘッドスペース中に、液体窒素に由来する気体窒素が顕著に優勢に存在する。バリアボトルは更に好ましくは順番に、
(1)プラスグレルを充填され、
(2)任意に乾燥剤を充填され、
(3)任意に酸素捕捉剤を充填され、
(4)適切な量の液体窒素を供給され、
(4)ガス状の液体窒素の雰囲気下(ブランケット)で密封および/若しくは閉栓され、それにより、ボトルのヘッドスペース中に、液体窒素に由来する気体窒素が顕著に優勢に存在する。液体窒素は、充填および密封/閉栓工程の間および後において、膨張(約700倍)により空気および/若しくは水分を完全に置換するのに必要である。
【0027】
より好ましくは、バリアボトルを液体窒素によりガス除去し、固体投与形態のプラスグレルを、液体窒素による陽圧(液体窒素に由来する気体窒素のブランケット)下で添加し、続いて任意に乾燥剤を添加し、任意に酸素捕捉剤を添加し、続いて液体窒素に由来する気体窒素の陽圧下で密封し、閉栓する。また、液体窒素による酸素の置換が維持されるように、包装(充填、密封および閉栓を含む)が、合理的な制限時間内に完了するのが好ましい。合理的な包装時間は、液体窒素の供給後数秒〜数分、より好ましくは数秒〜15秒未満であり、当該時間は通常、ボトル内容物および添加された液体窒素の揮発に影響を与える当該内容物の能力、および/若しくは液体窒素の供給量に依存する。包装(密封を含む)の後に、ボトルは、加温(温度平衡)による液体窒素の膨張により、わずかに膨張(特定のボトルの硬度に依存する)場合がある。液体窒素の膨張によって生じるような膨張したボトルは、本発明の範囲内である。窒素圧を制御することにより、次の包装、パレット梱包または貯蔵作業に影響を及ぼす程には、ガスを充填したボトルが膨張せずまたは加圧されないようにする必要があると考えられる。液体窒素による陽圧の利用により気圧勾配の確立が助長され、ボトルへの空気および/若しくは水分の混入が防止および最小化され、それが本発明における明確な利点となる。
【0028】
従来、錠剤、カプレットまたはカプセルを、不活性雰囲気下でボトル中に包装していた。非液体ガスを使用してボトルを不活性化することもできるが、このプロセスでは、標準的な高速ボトル包装ラインに適用し、所望の最小限の酸素濃度を得ることが通常困難である。例えば表1は、液体窒素供給装置に加えて窒素トンネル(nitrogen tunnel)を装着した従来の充填ラインで行われた、幾つかの包装のトアイアル結果を示す(ボトルを有する充填ベルトを覆うためのステンレス鋼エンクロージャを有し、気体窒素の輸送用の抜き穴を有する)。
【表1】

【0029】
この窒素トンネルの操作を、液体窒素の供給と連動させて行うことにより、液体窒素を単独で使用する場合よりも、(次の閉栓および誘導密封の後の)ボトル中の酸素含有量が高くなる。これらの結果は、10%未満の酸素濃度を密封ボトル中で実現することの困難性を示す、ガス状の(環境の)窒素トンネルを単独で用いた、初期のトライアル結果と整合している。
【0030】
これらの検討に基づき、出願人は以下のように結論づけた。すなわち、周囲に存在する(通常の)ガス状窒素または他の周囲に存在する不活性ガスを用いて酸素をボトルのヘッドスペースから排除すると、生産速度が遅くなり、それによりボトルのヘッドスペースからの酸素の置換が不十分なものとなるため、更なるインデックス機構を用いて、不活性ガスをボトルの下部に導入してボトル中に含まれる酸素を置換する必要がある。更に、閉栓および誘導密封工程の間に必要でありおよび/若しくは発生する熱により、より低温の液体窒素と比較し、ボトルから周囲に存在する不活性ガス(例えば周囲の窒素ガス)がより顕著に排除される。すなわち、本発明は、周囲に存在する不活性ガスと比較し、より低温で、より大きく膨張する液体ガス(特に液体窒素)の効果を利用するものである。出願人は、液体窒素の使用が、空気および/若しくは水分を排除するためのより有効な方法であり、それによりプラスグレルの安定性および貯蔵寿命が改善されうることを見出した。液体窒素はボトルへ添加し更に環境条件に加温したときその体積が約700倍に膨張するため、液体窒素の使用は、通常のボトルヘッドスペースに含まれる空気を排除するための好適かつ有利な手段である。液体窒素の膨張は、包装形態中の酸素濃度を低下させる際の、非常に効果的な手段となりうる。
【0031】
本発明の一実施形態は、プラスグレルの錠剤、カプレットまたはカプセルが、液体窒素による陽圧下または陽圧雰囲気下で、バリアボトル中に包装されることを特徴とする、プラスグレルを含んでなる医薬製剤に関する。本発明の特に好適な実施態様は、多層ボトル(例えばHDPE、EVOH、COC、COPまたはナイロンからなる1つ以上の層で作製されたボトル)中に、プラスグレルの錠剤、カプレットまたはカプセルを窒素陽圧下で包装することである。
【0032】
他の好ましい例として、プラスグレルの錠剤、カプレットまたはカプセルは、乾燥剤を含み、液体窒素による陽圧下で密封/閉栓されたバリアボトル中に包装される。
【0033】
更に別の好ましい実施形態では、プラスグレルの錠剤、カプレットまたはカプセルは、乾燥剤および酸素捕捉剤を含むバリアボトル中に包装され、当該ボトルは、液体窒素による陽圧下で密封/閉栓されている。
【0034】
経口投与用のプラスグレルの固体製剤は、当業者に公知の様々な薬理学的に許容できる賦形剤を使用して調製できる。好ましくは、1つ以上の賦形剤として、以下のカテゴリの各々から選択する:
a.希釈剤(限定されないが、マンニトール、ラクトース一水和物、事前にゼラチン化した澱粉若しくは微結晶セルロースなど)、
b.崩壊剤(限定されないが、クロスカルメロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロースまたは澱粉グリコール酸ナトリウムなど)、
c.結合剤(限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなど)。錠剤用途の場合、潤滑剤(限定されないがステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびベヘン酸グリセリルなど)の使用も推奨できる。
【0035】
通常、錠剤を調製する場合、薬理学的に許容できる外観とするため、得られる錠剤をフィルムコーティングし、嚥下がより容易な錠剤を調製するのが望ましい。商業的な供給業者(例えばColorcon社、米国)は、例えば水と混合でき、側排気型のコーティングパン内で錠剤上にスプレー可能な、ポリマー、可塑剤および色素を含有する様々なフィルムコーティングのシステムを提供している。特に好適なシステムは、Opadry II(登録商標)(Colorcon Inc社)として市販されている。Colorcon社の膜コーティングシステム(更にラクトース一水和物を含有する)は、特にデボス加工された錠剤へのフィルムコーティングにおいて有用である。
【0036】
プラスグレルは、上記の1つ以上の賦形剤と混合することができ、更にカプセル中に充填してもよく、または錠剤またはカプレット中に圧縮してもよい。当業者であれば、本願明細書において開示される賦形剤を用いることにより、過度の実験を行うことなく、錠剤、カプレットまたはカプセルの所望の物理的または(不活性成分の)組成的特性を有するプラスグレルを製造できる。流動特性を改善させるため、これらの混合物をローラーコンパクタまたはそれに相当する装置中を通過させ、より流動性の高い材料を調製するのが好ましい。
【0037】
プラスグレルの安定性特性(加水分解および酸化に対する感受性)の関係上、特定の賦形剤(特にポビドンおよびクロスポビドン(通常微量の過酸化物を含む))、および湿式粒状化プロセスなどの製造プロセスは推奨できない。バリアボトルへの包装を、液体窒素による陽圧下、任意に有効量の乾燥剤を含有させて実施することは、上記の問題の好適かつ魅力的な解決法である。
【0038】
任意の乾燥剤および任意の酸素捕捉剤を用いたバリアボトルの包装は、患者およびヘルスケアの提供者にとり取扱が簡便であり、またこれらの包装は多くの材料を用いて調製することができる。最も一般的には、ボトルを多層体から調製し、所望の取扱い性および透過性の特徴を有するボトル最終製品を生産する。従来のHDPEボトルは、優れた水分抵抗性を備えているが、酸素の透過性が大きかった。EVOH中間層の追加により、最終的なバリアボトルが、酸素透過に対して優れた抵抗性を示すようになった。HDPE/EVOH/HDPE(任意に他の添加物または層を有する)からなる適切なバリアボトルは、Sunoco Products社(Hartsville,SC,米国)、Alcan Packaging Americas社(Coopersburg,PA,米国)および竹本容器株式会社(東京、日本)などのボトル供給業者から購入できる。
【0039】
固体投与形態を、好ましくは2層以上の高いバリア材料(HDPE/EVOH/HDPE)を含んでなるボトルに充填した後、適切な乾燥剤をボトルに添加し、更に液体窒素を添加してもよい。更にキャップを、好ましくは水分および酸素に対する透過性が低い誘導密封用のホイルを用いてボトルに取り付ける。当業者であれば、最小限の実験によって、液体窒素による陽圧雰囲気を維持しつつ誘導密封を行うのに必要な適切な力設定の決定をはじめとする、上記の手順または手順群を実施することができる。
【0040】
様々な乾燥剤(シリカゲル、活性炭、クレイ、分子篩など)が、医薬製品の用途に利用できるが、パッケージ中のヘッドスペースの相対湿度(RH)を制御する能力は、これらの材料の選択により大きく変化しうる。分子篩などの乾燥剤は、十分な量で使用した場合に、ボトル内容物のRHを10%以下に維持できるため、特に有用であることが明らかとなり、ゆえに、プラスグレルの包装の際の使用における好適な乾燥剤であると考えられる。当業者であれば、最小限の実験によって、ボトル中の錠剤の数および具体的な貯蔵寿命に必要となる、乾燥剤の十分量を決定することができる。
【0041】
酸素による製品劣化の程度を減少させるための更なる手段として、酸素捕捉剤が有用である。サシェ、カートリッジまたはキャニスターの形態で包装された酸素捕捉剤が、本発明の実施において使用できる。酸素捕捉剤の例としては、限定されないが、Ageless(商標)(三菱ガス社、日本)およびPharmakeep(商標)(三菱ガス社、日本)などが挙げられる。プラスグレルは水分感受性であるため、酸素捕捉剤は低相対湿度で活性を示すのが好適である。上記の酸素捕捉剤の中では、Pharmakeep(商標)が好適である。なぜなら、それは広い相対的湿度の範囲(プラスグレルの包装に好適な低い湿度を含む)で良好な活性を示すからである。当業者であれば、所望の貯蔵期間、並びに使用するボトルのサイズおよび錠剤若しくはカプセルの数に応じて、酸素濃度を指定された限度以下に効果的に維持するのに必要となる、酸素捕捉剤の適当量を決定することができる。例えば、米国特許第6688468B2号は、ボトルサイズ、および所望の貯蔵期間に応じて、必要となる酸素捕捉剤量を概算する方法を教示している。
【0042】
プラスグレルおよび任意の乾燥剤および/若しくは酸素捕捉剤を含むバリアボトルへの液体窒素による陽圧雰囲気(環境)の導入は、様々な手段により実施できる。一例を挙げると、液体窒素送給装置を、ボトル充填ラインに配置することにより、閉栓ステーションのすぐ上流において、固体投与形態(任意の乾燥剤および/若しくは酸素捕捉剤を含む)が充填されているバリアボトルに液体窒素を導入することができる。液体窒素送給装置により供給される液体窒素の量を制御することにより、酸素を含む雰囲気をボトルから排除することができる。この操作により、ヘッドスペースを(液体窒素からの)窒素陽圧で満たすことができ、それにより製剤化されたプラスグレル、任意の乾燥剤および/若しくは酸素捕捉剤が充填されたボトル中の酸素含量を効果的に減少させることができる。液体窒素送給装置の例としては、VBS Inc(米国)から市販されているUltraDoser(商標)1020注入システムが挙げられる。他の液体窒素送給装置を、他の製造業者から入手してもよい。
【0043】
液体窒素をバリアボトルに導入するための好適な手段は、閉栓ステーションのすぐ上流にバリアボトルに制御量の液体窒素を注入することである。ガスが加熱され、膨張すると、それにより酸素が効果的に置換され、減少する。当業者であれば、固体投与形態の充填、任意の乾燥剤の充填、任意の酸素捕捉剤の充填、ボトルの閉栓および密封などの全てのプロセスを液体窒素雰囲気下で実施して、液体窒素による陽圧を生じさせるように装置/システムを設定することができる。
【0044】
当業者であれば、製造プロセスにおける特定のステップの実施順序を、液体窒素による陽圧雰囲気下でのボトルの密封/閉栓ステップを除き、適宜入れ換えることができることを知っている。例えば、全プロセスを、液体窒素による陽圧雰囲気下で実施してもよい。プラスグレル、任意の乾燥剤および任意の酸素捕捉剤を添加するステップは、液体窒素でパージ(添加)し、液体窒素による陽圧下でボトルを密封する前であれば、いかなる順序で実施してもよい。
【0045】
酸素捕捉剤の使用により、非バリアボトル(すなわち酸素透過性容器(例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびポリカーボネート容器))の使用が可能であり、それも本発明の実施形態ではあるが、好ましい実施形態は、本願明細書に記載されるように、酸素および含水量を有効に減少させるための乾燥剤および/若しくは酸素捕捉剤を用いたバリアボトルの使用である。
【0046】
プラスグレルのバルク薬剤、錠剤、カプセルまたはカプレットの安定性は、時間(貯蔵期間)、包装および貯蔵条件(例えば温度および相対湿度)などの要因の影響を受ける場合がある。適切な包装および貯蔵条件により、貯蔵寿命を長期化することができ(最小化された酸素含量(<5%)および含水量により)、その期間中、錠剤、カプレットまたはカプセルの力価は、推奨および/若しくは承認された仕様の許容範囲内となり、それにより、患者に投与される錠剤、カプレットまたはカプセルの化学的および薬力学的完全性が確保される。特に、式Iの化合物を含有する錠剤は、保存の際に加水分解および酸化的経路により分解されることが現在公知である。これらの分解経路が交差することも考えられ、1つの経路内の特定のステップにおける中間体または生成物が相互変換するか、または、環境若しくは他の経路からの生成物(または中間体)、空気または水分の濃度によって動力学的に加速されるか妨げられる場合がある。上記の分解機構は十分理解されていないが、考えられる分解経路を以下の反応式1に示す。
【化2】

【0047】
ジケトンおよびHYTPとしてそれぞれ分類される酸化分解生成物以外にも、発明者らは、OXTP1およびOXTP2として分類される加水分解生成物を測定した。モニターした他の生成物には、反応式1で「遅く溶出される不純物(LEI)」と称される、一連の不明確な、または、および/若しくは未知の遅く溶出される分解生成物が含まれる。発明者らは、本願明細書に記載の包装方法を使用して、温度および湿度条件の制御下で、時間経過とともにこれらの分解生成物の量をモニターすることにより、改良された包装方法を見出した。
【0048】
理想的な包装方法では、長期間にわたり、あらゆる分解生成物の形成が最小化される。しかしながら、分解経路同士の相互作用、および分解生成物と分解経路との間の相互変換の存在のため、次善の可能性としては、時間経過による力価の変化を最小限にする包装方法を見出すことである。換言すれば、好適な目的は、時間経過とともに、分解生成物を全くなくすとまではいかないが、その含有率を大きく減少させる包装方法を見出すことであり、それにより、これまで満たされなかったニーズを満たすことである。発明者らは、全体的な不純物プロファイルの減少という目的を達成し、それにより安定性の改善およびより貯蔵寿命の長期化を実現させた。本発明の更なる利点は、不明確若しくは未知であり、同定されておらず、また具体的な許容範囲が設定されたことのなかったLEIの形成を減少させたことである。
【0049】
発明者らは、プラスグレルを含有する製剤の安定性に及ぼす、包装材料および包装方法の効果を比較した。比較材料および方法を以下に示す。
(1)25個の錠剤と、0.6gのシリカゲルおよび0.4gの炭素を含有する混合乾燥剤パケットとを含む、液体窒素不活性化の50mLのHDPEボトル;
(2)キャニスターとして供給され、液体窒素で不活性化された、30個の錠剤および2gの分子篩乾燥剤を含む、液体窒素不活性化の75mLのバリアボトル。一般的な包装に関する説明、および記載された各々のパッケージ形態の結果に関して、以下に記載する。
【0050】
上記の通り、2つの別々の形態のボトル中に、10mgのプラスグレルを含有する錠剤を配置する。上記の状態のボトルを次に、25℃で60%の相対湿度、30℃で65%の相対湿度、および40℃で75%の相対湿度の環境条件に制御されたチャンバー内に6ヵ月の期間にわたり入れる。上記のサンプルを化学分析に供し、力価、全ての関連物質(TRS)、OXTP1、OXTP2、ジケトン、HYTPおよびLEIの変化を評価する。2つのボトル形態から得られるデータを、以下の表2に示す。
【表2】

【0051】
表2は、分子篩乾燥剤を有する液体窒素不活性化バリアボトル(A)に保存した錠剤の力価(ボトルサイズ/カウント 1)が、通常の大気条件の下で包装したHDPEボトルに保存した錠剤(ボトルサイズ/カウント 2)と比較し、全体的に高いことを示す。これは、6ヵ月の時点における大部分の貯蔵条件(25℃で60%RH、30℃で65%RH、および40℃で75%RH)において当てはまる。
【0052】
また、液体窒素によって不活性化され、分子篩乾燥剤を含むバリアボトルに包装した錠剤では、従来のパッケージ構成(シリカゲルおよび炭素を有する標準的なHDPEボトル)と比較し、関連物質の形成が減少する。これは、6ヵ月の時点における大部分の貯蔵条件(25℃で60%のRH、30℃で65%のRH、および40℃で75%のRH)において当てはまる。
【0053】
分析法がより精密になればなるほど、包装方法がこれらのLEIに与えるインパクトはより浮き彫りになる。全体的には、強力な乾燥剤を含み、液体窒素によって不活性化されたバリアボトルを用いた、改良された包装方法により、正の影響がおよび、これらのLEIの形成が減少しているように見える。
【0054】
3つの異なるバリアボトルおよび標準的なHDPEボトルを使用して、不活性化する気体状の窒素で空のボトルを充填し、密封した。表示された間隔で、これらの空のボトル中の酸素含量を測定し、各ボトルのタイプに関して、貯蔵期間および条件がヘッドスペースの酸素濃度に与えるインパクトを測定した。代表的な結果を、以下の表3に示す。
【表3】

【0055】
上記のデータは、HDPEボトルは、時間経過の中で低酸素環境を維持する能力を有さず、ゆえに、不活性雰囲気でのこのタイプのボトル使用が望ましくないことを示す。上記の試験により、異なる3つのバリアボトルの各々が、環境チャンバー内で以後の貯蔵の期間中にも、低酸素環境(5%未満)を維持できることが証明される。
【0056】
様々な安定化条件において、包装のヘッドスペースの低酸素環境を貯蔵期間中に維持するバリアボトルの能力を証明するため、代表的なパッケージを、25℃で60%のRH、30℃で65%のRH、および40℃で75%のRHなどの様々な条件下で安定化チャンバーから取り出した後、様々な時点でサンプリングした。結果を、以下の表4に示す。
【表4】

【0057】
上記のデータは、液体窒素を使用して不活性化した適切なバリアボトルが、代表的なICH環境および加速貯蔵条件において、長期間貯蔵した後に、低い酸素環境を維持することができることを示す。ボトルヘッドスペースの酸素濃度がほぼ初期値に維持されていると考えられ、これは液体窒素による陽圧下で包装されたこれらの完全なバリアボトルでは、酸素透過が最小限に抑えられることを証明するものである。
【0058】
本発明を使用した好適な方法には、バリアボトル中に活性成分としてプラスグレルの錠剤、カプレットまたはカプセルを含み、液体窒素による陽圧下で製造された、医薬用包装物の調製が含まれる。上記バリアボトルには、様々な数の錠剤、および包装内のヘッドスペースのRHを低下させるための任意の乾燥剤を簡便に充填することができ、製品が開封され、投与されるまでの間、パッケージの完全性が維持された状態で、患者へ投与できる。典型的には、上記錠剤、カプレットまたはカプセルは、1〜20mgのプラスグレル塩基当量を含有してもよい。好ましくは、上記錠剤、カプレットまたはカプセルは、5〜15mgのプラスグレル塩基当量を含有してもよい。より好ましくは、上記錠剤、カプレットまたはカプセルは、5mg、7.5mgまたは10mgのプラスグレル塩基当量を含有してもよい。
【0059】
以下の手順/実施例において、本発明の実施において有用な、錠剤、カプレットまたはカプセルの製造について説明するが、いかなる形であれ、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。このように製造された錠剤、カプレットまたはカプセルは更に、任意に乾燥剤および/若しくは酸素捕捉剤を含むバリアボトル中に、液体窒素による陽圧下で包装されることは理解されている。式Iの化合物の調製方法は当業者に公知であり、米国特許第6693115B2号に記載されている。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は、更に本発明を例示することを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。
【0061】
実施例1:
塩酸プラスグレル(10.98mg、10mg塩基当量)、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、次にローラーで圧縮し、顆粒を調製した。得られた顆粒に、更にクロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、材料を混合し、圧縮し、約175mg〜約250mgの重量となるよう錠剤を形成した。Opadry II(登録商標)ベージュフィルムコーティング混合物を水に添加し、次に側部排気コーティングパン中でこれらの錠剤上に噴霧した。
【0062】
次に錠剤を分子篩乾燥剤と共にバリアボトル中に包装し、次に液体窒素などの液化ガスで不活性化し、当業者に公知の手順を使用してキャップし、密封した。以下の表に、液体窒素を有する不活性化ボトルに成功裏に使用された幾つかの代表的なパラメータを示す。
【表5】

【0063】
表5に記載されるパラメータを使用し、合計9つの包装を調製し、下記の表6において示すように、様々な形態(各カウント3ロット)において以下の酸素濃度を実現した。
【表6】

錠剤、カプレット、またはカプセルを次に、貯蔵および/若しくは輸送用の箱に入れた。
【0064】
実施例2:
塩酸プラスグレル(5.49mg、5mg塩基当量)、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、次にローラーで圧縮して、顆粒を調製した。得られる顆粒に、更にクロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、材料を混合し、圧縮し、約125mg〜約250mgの重量となるように錠剤を形成した。Opadry IIベージュフィルムコーティング混合物を水に添加し、次に側部排気コーティングパン中でこれらの錠剤上に噴霧した。
【0065】
次に錠剤を分子篩乾燥剤と共にバリアボトル中に包装し、次に液体窒素などの液化ガスで不活性化し、当業者に公知の手順を使用してキャップし、密封した。以下の表に、液体窒素を有する不活性化ボトルに成功裏に使用された幾つかの代表的なパラメータを示す。
【表7】

【0066】
表7に記載されるパラメータを使用し、合計9つの包装を調製し、様々な形態(各カウント3ロット)において以下の酸素濃度を実現した。
【表8】

錠剤、カプレット、またはカプセルを次に、貯蔵および/若しくは輸送用の箱に入れた。
【0067】
実施例3:
塩酸プラスグレル(8.24mg、7.5mg塩基当量)、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、次にローラーで圧縮して、顆粒を調製した。得られる顆粒に、更にクロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、材料を混合し、圧縮し、約125mg〜約250mgの重量となるように錠剤を形成した。Opadry IIベージュフィルムコーティング混合物を水に添加し、次に側部排気コーティングパン中でこれらの錠剤上に噴霧した。
【0068】
次に錠剤を分子篩乾燥剤と共にバリアボトル中に包装し、次に液体窒素などの液化ガスで不活性化し、当業者に公知の手順を使用してキャップし、密封した。液体窒素によるこれらのバリアボトルの不活性化に使用できる設定の例を、表4および5に示す。錠剤、カプレット、またはカプセルを次に、貯蔵および/若しくは輸送用の箱に入れた。
【0069】
実施例4:
塩酸プラスグレル(16.47mg、15mg塩基当量)、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、次にローラーで圧縮して、顆粒を調製した。得られる顆粒に、更にクロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、材料を混合し、圧縮し、約125mg〜約250mgの重量となるように錠剤を形成した。Opadry IIベージュフィルムコーティング混合物を水に添加し、次に側部排気コーティングパン中でこれらの錠剤上に噴霧した。
【0070】
次に錠剤を分子篩乾燥剤と共にバリアボトル中に包装し、次に液体窒素などの液化ガスで不活性化し、当業者に公知の手順を使用してキャップし、密封した。液体窒素によるこれらのバリアボトルの不活性化に使用できる設定の例を、表4および5に示す。錠剤、カプレット、またはカプセルを次に、貯蔵および/若しくは輸送用の箱に入れた。
【0071】
実施例5:
塩酸プラスグレル(32.94mg、30mg塩基当量)、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、次にローラーで圧縮して、顆粒を調製した。得られる顆粒に、更にクロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、材料を混合し、圧縮し、約125mg〜約250mgの重量となるように錠剤を形成した。Opadry IIベージュフィルムコーティング混合物を水に添加し、次に側部排気コーティングパン中でこれらの錠剤上に噴霧した。
【0072】
次に錠剤を分子篩乾燥剤と共にバリアボトル中に包装し、次に液体窒素などの液化ガスで不活性化し、当業者に公知の手順を使用してキャップし、密封した。液体窒素によるこれらのバリアボトルの不活性化に使用できる設定の例を、表4および5に示す。錠剤、カプレット、またはカプセルを次に、貯蔵および/若しくは輸送用の箱に入れた。
【0073】
実施例6:
塩酸プラスグレル(65.88mg、60mg塩基当量)、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、次にローラーで圧縮して、顆粒を調製した。得られる顆粒に、更にクロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、材料を混合し、圧縮し、約250mg〜約500mgの重量となるように錠剤を形成した。Opadry IIベージュフィルムコーティング混合物を水に添加し、次に側部排気コーティングパン中でこれらの錠剤上に噴霧した。
【0074】
次に錠剤を分子篩乾燥剤と共にバリアボトル中に包装し、次に液体窒素などの液化ガスで不活性化し、当業者に公知の手順を使用してキャップし、密封した。液体窒素によるこれらのバリアボトルの不活性化に使用できる設定の例を、表4および5に示す。錠剤、カプレット、またはカプセルを次に、貯蔵および/若しくは輸送用の箱に入れた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ガスによる陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装された、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレル、または空気および/若しくは水分感受性医薬品を含んでなる製品。
【請求項2】
液体ガスによる陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装された、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを含んでなる、請求項1記載の製品。
【請求項3】
前記液体ガスが液体窒素である、請求項2記載の製品。
【請求項4】
液体窒素による陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装された、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルあたり、約5mg〜約10mg塩基当量のプラスグレルを更に含んでなる、請求項2記載の製品。
【請求項5】
錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを含有する、空気および/若しくは水分不透過性の容器のヘッドスペースの酸素含量が、5%未満である、請求項2から4のいずれか1項記載の製品。
【請求項6】
錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを含有する、空気および/若しくは水分不透過性の容器のヘッドスペースの酸素含量が、4%未満である、請求項2から4のいずれか1項記載の製品。
【請求項7】
液体窒素による陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装された、5mg、7.5mgまたは10mg塩基当量のプラスグレルを含む錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態または他の固体形態を含んでなる、請求項2から4のいずれか1項記載の製品。
【請求項8】
前記空気および/若しくは水分不透過性の容器が、ボトルである、請求項2から7のいずれか1項記載の製品。
【請求項9】
前記ボトルが、HDPE/EVOH/HDPEを含んでなる多層ボトルである、請求項8記載の製品。
【請求項10】
空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装された乾燥剤を更に含んでなる、請求項2から9のいずれか1項記載の製品。
【請求項11】
前記乾燥剤が分子篩である、請求項10記載の製品。
【請求項12】
空気および/若しくは水分不透過性の容器中に包装された酸素捕捉剤を更に含んでなる、請求項2から9のいずれか1項記載の製品。
【請求項13】
約5mg〜約10mgのプラスグレルを含有する、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルの調製方法であって、
a.空気および/若しくは水分不透過性のボトル中に、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態または他の固体形態のプラスグレルを配置するステップと、
b.任意に乾燥剤を添加するステップと、
c.任意に酸素捕捉剤を添加するステップと、
d.液体窒素を添加するステップと、
e.液体窒素による陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性のボトルを密封するステップを含んでなる方法。
【請求項14】
前記容器がボトルである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記方法により調製されたプラスグレルを含む、空気および/若しくは水分不透過性のボトルのヘッドスペースの酸素含量が、5%未満である、請求項13から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記方法により調製されたプラスグレルを含む、空気および/若しくは水分不透過性のボトルのヘッドスペースの酸素含量が、4%未満である、請求項13から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルの安定性を改善する方法であって、
a.空気および/若しくは水分不透過性のボトル中に、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを配置するステップと、
b.任意に乾燥剤を添加するステップと、
c.任意に酸素捕捉剤を添加するステップと、
d.液体窒素を添加するステップと、
e.液体窒素による陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性のボトルを密封するステップを含んでなる方法。
【請求項18】
前記容器がボトルである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
プラスグレルを含む、空気および/若しくは水分不透過性のボトルのヘッドスペースの酸素含量が、5%未満である、請求項17記載の方法。
【請求項20】
プラスグレルを含む、空気および/若しくは水分不透過性のボトルのヘッドスペースの酸素含量が、4%未満である、請求項17記載の方法。
【請求項21】
錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルの貯蔵寿命を改善する方法であって、
a.空気および/若しくは水分不透過性の容器中に、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを配置するステップと、
b.任意に乾燥剤を添加するステップと、
c.任意に酸素捕捉剤を添加するステップと、
d.液体窒素を添加するステップと、
e.液体窒素による陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性の容器を密閉するステップを含んでなる方法。
【請求項22】
前記容器がボトルである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
プラスグレルを含む、空気および/若しくは水分不透過性のボトルのヘッドスペースの酸素含量が、5%未満である、請求項21記載の方法。
【請求項24】
プラスグレルを含む、空気および/若しくは水分不透過性のボトルのヘッドスペースの酸素含量が、4%未満である、請求項21記載の方法。
【請求項25】
液体窒素による陽圧下で、空気および/若しくは水分不透過性のボトル中に包装された、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態若しくは他の固体形態のプラスグレルを含んでなる、製薬キット。

【公表番号】特表2010−512182(P2010−512182A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540419(P2009−540419)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/086358
【国際公開番号】WO2008/073759
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】