説明

プラスチック成形品の生産方法及びブロー成形装置

【解決手段】
本発明は、プラスチック成形品の生産方法であって、概ねチューブ状のプレフォームを押出し、概ね断面C形状のプレフォームが得られるように、押出機ヘッド内で溶融した流れを分け、或いは押出機ヘッドから現れた若しくは既に表れている押出物を分離し、圧力差を与えることでブロー成形装置内で中空を有するプレフォームを再形成し、部分的に閉じた前記ブロー成形装置で前記プレフォームの膨張と部分的な予備成形が最初に行われ、更なる工程で、少なくとも1つの挿入物が完全には閉じていない前記ブロー成形装置部品の間で、前記プレフォームの開いた側を介して部分的に予備形成された成形品の内側に導入され、更なる工程で、前記ブロー成形装置が完全に閉じられて、少なくとも部分的に囲む摘み取り継ぎ目を形成しながら成形品が完全に形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特に押出ブロー成形で大型のプラスチックタンクを生産する際に、完成されるべきタンク内に挿入物を導入することがしばしば望ましい。例えば、熱可塑性材料で形成された自動車燃料タンクは、しばしば機能的な内部部品若しくは挿入物を具備し、それらはタンクに配設された1つ若しくはそれ以上の検査用開口部を介して手動で導入され、若しくはタンクの形成の間に押出ブロー成形により包み込まれる。この目的のために、タンクに導入すべき挿入物をマンドレル若しくはキャリア上に配置し、ブロー成形装置によって押し出された熱可塑性材料のプレフォームチューブがキャリア上に亘って押し出されて部品がその上に配設されるように、該ブロー成形装置の開いた型の間に挿入物を配設させることが知られている。この場合において、チューブは機能部品キャリアと機能部品の上を摺動する。次に、ブロー成形装置の成形金型は、キャリアとその上に配された機能部品の周囲で閉じられる。機能部品キャリアは、後ほどのタンクの壁に溶融される。更なる作業では、チューブ状のプレフォームがブロー成形装置内で膨張される。このような方法は、例えば、ドイツ、欧州特許翻訳 602 18 237 T2より知られる。ボトル内の船の原理での挿入物の公知のカプセル化は、中でも、タンクに導入すべき挿入物がそこに配されている検査用開口部よりも大きいときにも使用される。
【0002】
特に熱可塑性材料で構成される燃料タンクの場合、それらに使用されるプラスチック、一般的にHDPE、が炭化水素に対して拡散耐性がないことが問題となる。この理由のために、熱可塑性材料で構成される今の燃料タンクは炭化水素のためのバリヤ層を共押出した物から生産される。このように、バリヤ層が続いて設けられるタンク壁に形成された開口部によって損傷したり、邪魔になったとしても、燃料タンク系の漏れ防止は最大限に確保することができるが、揮発する炭化水素が潜在的に漏れ出すことのできる場所はタンク壁の円状の切り欠き部及び/又は検査用開口部の領域に設けられてしまう。
【0003】
従って、最近の全ての努力は、タンク壁に必要な開口部の数を最小限に維持するために、全ての挿入物をできるだけその製造の間に既に燃料タンクとされた中に導入することに向けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブロー成形による挿入物の所謂カプセル化も、タンク壁の必要な大きさについて、この問題を提起するが、いくつかの場合において、いくつかの挿入物の取り付け、例えば、弁などは、突き破りや貫通の意味でタンク壁を損傷させてしまい、結果として必要な開口部の数を大きくは減らすことができない。
【0005】
それ故、欧州特許1 110 697 B1は、閉じた断面を有する押出機ヘッドから出現する押出物がシート状の2つのプレフォームを得るように2つのまったく反対の側に分けられ、該2つのプレフォームは案内方向の助力で案内され、形をなす前に、後にタンクとなるものの内部に組み込む意図で付属品が2つの間に導入される間に、互いの距離を維持するようにされる。
【0006】
この方法は、挿入物を取り扱うに際して特に空間があるときは比較的に有利であるが、シート状の未だ暖かい熱可塑性押出物を案内するための複雑な機構が必要である。さらに、この方法の使用はブロー成形装置に関して押出機ヘッドが空間的に固定された構造のものに限られる。
【0007】
本発明は、前述の方法の代替を提供する目的を基礎としており、特に知られた不利益を持つものではない。本発明に従う方法は、ブロー成形装置が押出機の下で空間的に配設される必要はないと言う意味で、該押出機から前記ブロー成形装置を分離する意図を持つ。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的はプラスチック成形品の生産方法により最初に得られるものであり、次の方法の工程を有している。
【0009】
概ねチューブ状のプレフォ−ムを押出し、
【0010】
概ね断面C形状のプレフォームが得られるように、押出機ヘッド内で溶融した流れを分け、或いは押出機ヘッドから現れた若しくは既に表れている押出物を分離し、
【0011】
圧力差を与えることでブロー成形装置内で中空を有するプレフォームを再形成し、
部分的に閉じた前記ブロー成形装置で前記プレフォームの膨張と部分的な予備成形が最初に行われ、
【0012】
更なる工程で、少なくとも1つの挿入物が完全には閉じていない前記ブロー成形装置の間で、前記プレフォームの開いた側を介して部分的に予備形成された成形品の内側に導入され、
【0013】
更なる工程で、前記ブロー成形装置が完全に閉じられて、少なくとも部分的に囲む摘み取り継ぎ目を形成しながら成形品が完全に形成される。
【0014】
本発明の目的において、ブロー成形装置は、それぞれキャビティを伴う少なくとも2つのブロー成形金型を有する装置として理解されるものであり、前記キャビティは、完全に閉じた状態で形成すべき成形品の型枠を形成する。ブロー成形金型は、それぞれプラテン上に配設され、単部品若しくは多部品の構成とされる。知られた方法においては、アンダーカット等を離型するために摺動する。本発明の範囲において、ブロー成形装置は2つ以上の金型部分を有していても良く、それらは互いに他方との関係で移動できるものとされるが、以下においては簡単のため、ブロー成形金型の用語を用いる。
【0015】
本発明による方法では、特にプレフォームの仮想的に完全(部分的な)形成は、ブロー成形装置が完全にしまらなくとも、最初の工程で既に生じるという利点がある。チューブが一つの側で開いている(スリットがある)という事実は、1つ若しくはそれ以上の挿入物が、生産され、例えば未だ暖かい熱可塑性のタンク壁に融着することで、そこに取り付けられるタンクの内部へ、完全に閉められていないブロー成形金型の間にマニピュレーターの手段により導入することができるということを意味する。
【0016】
本発明による方法では、最初の熱、すなわち加熱なしでの押出物の初期及びそれに続く形成を行うが、導入すべき挿入物や、挿入物がタンク壁に融着され融着された接続を改善するような領域のタンク壁を部分的に加熱するような可能性を除外するものではない。
【0017】
前記ブロー成形装置の摺動部又は型スペーサーにおいて、プレチャンバーを形成する間、プレフォームは当初これらの型スペーサーの間に挟持される。次いでプレフォームは前記ブロー成形装置のキャビティに対して配置され、当該方法のこの段階での形状は成形品の最終形状には未だ対応しない。
【0018】
本発明に従った方法の便宜的な改善の場合には、前記ブロー成形装置の閉じる動作は2段階で行われ、前記閉じる動作の第1の段階では少なくとも1つの開口部を形成しながら、型スペーサーとしての前記ブロー成形装置のキャビティを形成する少なくとも1つの収納および伸張できる摺動部、好ましくは二つのこのような摺動部は、それらの間に前記プレフォームを挟持するものとされる。
【0019】
便宜的には、ブロー成形金型へのプレフォームの膨張と挿入物の導入は、閉める動作の第1と第2の段階の間に行われる。
【0020】
以下では1つの挿入物について参照されるが、本発明は幾つかの成形品内に導入すべき挿入物についても勿論可能であることを意味するものと理解されるべきである。
【0021】
生産すべき成形品内での他の操作も、プレフォームチューブの横開口部やブロー成形金型の間の開口部を介して行うことができる。
【0022】
本発明の方法は、燃料タンクの生産に関するものではあるが、本発明は、当該本発明の方法によっていかなる中空のプラスチック体を生産することができることを意味するものと理解すべきである。
【0023】
該方法の変形例として、プレフォームは吹き出し空気の手段により膨張させることができ、少なくとも1つの吹き出しピンが型スペーサーによって形成された開口部の中に導入される。
【0024】
1つの開口部の代わりに、いくつかの開口部を配設することができ、それぞれ吹き出しピンを受けるようにすることができる。
【0025】
便宜的には、挿入物の導入は型スペーサーによって形成される開口部を介して行われる。
【0026】
本発明の方法の好適な変形例として、プレフォームは押出機から取り出され、把持具により前記ブロー成形装置の開いた金型内の間に運ばれる。
【0027】
この場合、プレフォームは開いた前記ブロー成形金型の間に導入される以前若しくはその間に、周方向に膨張され及び/又は部分的に伸張される。この目的のための把持具は、例えば、本件出願人の法的前身のDE 102 05 524に説明され、開示の目的も含んでその全内容がここに引用される。互いからそれぞれ離れた端部でプレフォームを固定し、周方向に膨張若しくは伸張させることは便宜的に描かれるものである。
【0028】
プレフォームの膨張は、ブロー成形装置の型スペーサー及び/又は摘み取り端部でプレフォームチューブの重なりを形成するのに必要なときにだけ行われる。
【0029】
もし挿入物が、好ましくは多軸のマニピュレーターにより部分的に形成されたプレフォームに導入されるならば、特に便宜的である。
【0030】
本発明の方法の便宜的な変形例においては、部分的に形成されたプレフォームに1つのあるいは複数の挿入物が導入された後、型スペーサーによって形成された開口部にもう一度吹き出しピンが導入され、該プレフォームがもう一度吹き出し空気に当てられて、特にブロー成形金型の摘み取り端部と型スペーサーの間の領域に、生じている折込部を除去する。
【0031】
その後、ブロー成形装置は一緒に閉じられて、プラスチック成型品のブロー成形を完了できる。
【0032】
本発明が基礎となる目的は、またプラスチック成形品を生産するための、特に上述の方法を実施するためのブロー成形装置によっても達成され、当該ブロー成形装置は互いの関係で開閉動作を行い、型孔を形成する少なくとも2つのブロー成形金型を有し、少なくとも1つのブロー成形金型、好ましくは両方は、型スペーサーとしての各キャビティを構成する少なくとも1つの摺動部を以て提供され、該型スペーサーは少なくとも1つの凹部を有し、吹き出しピンを受け且つ/或いはマニピュレーターを導くための開口部を形成する。
【0033】
本発明の成形装置の便宜的な改善においては、少なくとも1つの吹き出しピンを有し、該吹き出しピンは周囲を囲うシール用の襟部を有し、該襟部はプレフォームの膨張の間に支台に移動した型スペーサーと気密な接触をするように持ち込まれる。
【0034】
便宜的には、型スペーサーは、例えば油圧で、前記ブロー成形金型の分割面に収納され且つ突出されるように形成される。
【0035】
過度のバリを回避するため、型スペーサーがキャビティの外郭に沿ったものであることが望ましい。この場合、型スペーサーはそれぞれ単独の摺動区分からなる必要はなく、むしろブロー成形金型の分割面で互いに隣合うように配設される複数の摺動区分からなるように構成できる。
【0036】
型スペーサーにより構成される枠内のプレフォームの材料が可塑を保てるように、少なくとも1つの形成される型スペーサーは、その温度が制御できるように、特に加熱できるようにされることが好ましい。
【0037】
本発明の成形装置の更なる便宜的な改善においては、少なくとも1つの型スペーサーが前記プレフォームを固定するための負圧に供用される吸入開口部を具備するようにしても良い。前記プレフォームは、型スペーサーに与えられる真空により型スペーサーに対してこの領域で保持される。便宜的には、吸入開口部や真空孔はキャビティに面する型スペーサーの内側で該型スペーサーの全周囲に亘って互いに距離を以て配される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明は図面内に代表される例示的な実施形態を基礎に説明され、図面は次のとおりである。
【図1】プレフォームが出現する押出機ヘッドの一部の斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】本発明に従うブロー成形プラスチック成形品の装置の斜視図であって、本発明の方法の工程順も説明する。
【図4a】図3のブロー成形装置とブロー成形金型の間に配されたプレフォームの断面図である。
【図4b】図4aに示された矢印の方向の平面図である。
【図5a】プレフォームが膨張する以前のブロー成形金型が閉じているブロー成形装置の部分断面図である。
【図5b】図5aのB−B線に沿った断面図である。
【図5c】図5aのC−C線に沿った断面図である。
【図5d】吹き出しピンが挿入されて、図5cに対応する図である。
【図5e】部分的形成された成形品の中に挿入物を導入したところ示す、図5dに対応した図である。
【図6a】収納された型スペーサーと共に開いたブロー成形装置を示す図である。
【図6b】図6aで示す状態のブロー成形装置の長手方向の部分断面図である。
【図7a】閉じた状態のブロー成形装置の断面図である。
【図7b】成形品除去中におけるブロー成形装置と成形品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1において、初めに、本発明によるほぼチューブ状のプレフォームを押出する工程について説明する。最初に、熱可塑性材料からなるチューブ状のプレフォームは、参照番号1が付与された押出機ヘッドから、正確には押出機ヘッド1の環状ダイから知られた方法で熱い溶融した状態で放出される。押出は、連続的若しくは不連続的に行われる。示される例示的な実施形態によれば、プレフォームチューブ2は分離装置3によって長さの一側部によって分離され、全長に亘って図2に示される断面形状、すなわち、縦スリット4が与えられる。考えるに、例えば、分離装置3はホットナイフ、可動ブレード、レーザーなどからなる。
【0040】
示される例示的な実施形態において、プレフォームチューブ2の分離は、押出機ヘッドの外で、押出機ヘッド1或いは図示しない環状ダイからのプレフォームチューブ2の出現の後若しくはその間に行われる。代替的には、プレフォームチューブ2の分離は、押出機ヘッド1内で、そこに配設される流れ分離器によってもおこなわれ得る。
【0041】
最後に、更なる代替例としては、プレフォームチューブ2は最初にその全長が放出され、把持具や分離装置によって分離されても良い。
【0042】
示される例示的な実施形態においては、把持具5によって押出機ヘッド1からプレフォームチューブ2を取り出すことが行われ、図3に模式的に示されるように、それがブロー成形装置6に持ち込まれる。
【0043】
把持具5は図では大きく簡素化されて示されている。環状の区分の把持要素を必ずしも備えている必要はなく、むしろ円弧状若しくは多角形状に配設された把持具区分を有し、プレフォームチューブ2を取り上げる吸引カップ部を設けていても良い。最初に述べたように、このような把持具は、例えばDE 102 05 524に記載されている。プレフォームチューブ2の解放には、更なるプレフォームチューブ2用の分離装置によって支持されていても良い。代替的に、押出機ヘッドのダイギャップを収縮させて、狭い場所にプレフォームチューブ2を設けても良く、それによって把持具5を用いて前記チューブをちぎるようにしても良い。
【0044】
把持具5を用いたプレフォームチューブ2の操作の間に、プレフォームチューブ2はブロー成形装置6のキャビティの対応する重ね合わせを得るために周囲方向若しくは径方向に膨張される。重力方向の下端部では、プレフォームチューブはさらにつかまれて、スリット4に隣接した領域でそれぞれ拡張部材22によって挟持される。拡張部材22は、例えば、空気圧で作動するトングのように形成でき、それらは前記プレフォームチューブ2を拡げるような意味で互いに移動できるように形成できる。
【0045】
示される例示的な実施形態においては、単一のキャビティ装置、すなわち、単一の型孔を形成するブロー成形金型8a、8bを互いに補ってなるキャビティ7が示される。本発明のブロー成形装置6は、多数のキャビティ装置によっても同様に形成できる。
【0046】
把持具5は、ブロー成形装置6の開いたブロー成形金型8a、8bの間にプレフォームを持ち込み、同時に、縦スリット4が分割面10若しくはブロー成形装置の分割面と同じ線となるように、より正確には、図3に示される例示的な実施形態の場合の見る者が臨む側部の方向に、プレフォームチューブ2の縦スリット4の位置決めが行われる。
【0047】
ブロー成形装置6のブロー成形金型8a、8bのそれぞれは、摺動部9a、b、c、dと共に配設され、好ましくはこれらは油圧でブロー成形装置6の分割面から突出し、且つ収納されることができるように形成される。これらの摺動部9a、b、c、dは、ブロー成形金型8a、8bが閉じる動作をしている間、型スペーサーとして機能し、以後対応しながら言及される。
【0048】
特に図3から見られるように、型スペーサー9a、b、c、dはそれぞれブロー成形金型8a、8bのキャビティ7を形成し、図に示されている構造は、図示を簡素化させる目的でキャビティ7の外郭に適するものとはなっていない。実際、型スペーサー(摺動部)はいくつかの区分部材9a、b、c、dからなり、バリの発生を最小限に抑えるために、これらはキャビティ7の外郭にそれぞれ適合するものとされる。型スペーサーは単一部品の形態のものであっても良い。
【0049】
一度、プレフォームチューブが図3に示す位置に持ち込まれ、対応して位置決めされると、分割面10から突出してなる型スペーサー9a、b、c、dと共にブロー成形装置6のブロー成形金型8a、8bは、型スペーサー9a、b、c、dが図5a及び図5bに示す位置をとるように、互いの方向に移動する。これらは、バリ11を形成しつつも、その間で周方向からプレフォームチューブ2を挟持する。この位置において、ブロー成形金型8a、8bは完全には閉じておらず、型スペーサー9a、b、c、dにより互いに距離をもって維持される。
【0050】
ブロー成形金型8a、8bの端部面の1つで、すなわち、ブロー成形装置6の分割面10に関して横方向に突出するこれらの側部で、それそれ互いに補うように配された凹部12が型スペーサー9a、b、c、dに配設され、図5aに示されるように、型スペーサー9a、b、c、dが一緒に移動するとき、凹部12はそれぞれ開口部13を形成し、そこに閉じたブロー成形金型8a、8bの分割面10が伸張する。これらの開口部は、それぞれ(仮想的な)分割面10について対称的に構成される。プレフォームチューブ2の縦スリット4は、同様にブロー成形装置の分割面10に理想的には延長する。
【0051】
型スペーサー9a、b、c、dが一緒に移動した後に、例えば、ブロー成形金型8a、8bの閉じる動作に起因して(力を受けて)、開口部13の外側にのみバリ11を形成しながら、プレフォームチューブ2は一緒に摘ままれる。開口部13の領域では、プレフォームチューブ2の縦スリット4は開いたままとされる。
【0052】
図5c及び図5dに示す更なる方法の工程において、ブロー成形金型8bに取り付けられた吹き出しピン14は、それぞれ開口部13に挿入される。各吹き出しピン14は、開口部に対応するように概ね円形の断面を有する。本発明は、開口部13の形状や、開口部13や対応する吹き出しピン14の数については本発明については限定的なものではないと理解すべきである。
【0053】
示される例示的な実施形態においては、吹き出しピン14は回動可能にブロー成形金型8bに取り付けられるが、本発明は、吹き出しピン14が別個の装置に設けられていても良いと理解すべきである。
【0054】
特に図5c及び図5dによって明らかになるように、吹き出しピン14はそれぞれシーリングカラー15と共に配設され、該シーリングカラー15は開口部13の領域で、吹き出しピン14を型スペーサー9aを隔離する。
【0055】
図5c及び図5dに示す更なる方法の工程においては、プレフォームチューブはキャビティ7に対して配置され、その間に吹き出し空気を導入して前記キャビティに対して形成される。プレフォームチューブ2の半完成成形品16への伸長と部分的な形成の後、吹き出しピン14は開口部13から回動して出される。前記ピンはそれぞれ開口部13から完全に出され、挿入物18を伴うマニュピレーター17は図5eに示すように半完成成形品16に挿入される。
【0056】
一旦、挿入物18が半完成成形品16の壁に結合すると、吹き出しピン14によってもう一度開口部13は閉じられる。その後、型スペーサー9a、b、c、dに隣接した領域においてプレフォームチューブのいかなる折り目も防止し、或いはそこで生ずるいかなる折り目も除くように、プレフォームは再度吹き出し圧下に置かれる。
【0057】
この時点で、挿入物の数、位置、およびタイプは、本発明にとってそれほど重要ではないと言うべきできある。本件では、例えば、成形品は燃料タンクであり、その中にサージチャンバーが挿入物としてそれぞれ導入される。
【0058】
図3に示す例示的な実施形態においては、3軸のロボットアームのように形成されるマニピュレーター17と、同様な3軸の把持具5とは、それぞれブロー成形装置6の両側にそれぞれ配設される。これらはブロー成形装置6の一方の側に配設されていても良い。
【0059】
一旦、挿入物18が半完成成形品16の内部に導入されると、吹き出しピン14は多分に開口部13内に挿入され、プレフォームチューブ2は後成形される。型スペーサー9a、b、c、dは収納され(図6a参照)、ブロー成形金型8a、8bは閉じる動作を行う。その中で、ブロー成形金型8a、8bの間の空隙19の幅に亘って伸張されている半完成成形品16の壁材料は一緒につままれて、更なるバリ20を形成する。説明を簡素化する理由で、空隙19は実際よりも大きく図示している。完成した成形品は図7a、7bに示す形状を与えられる。ブロー成形金型8a、8bは開き、図7bの矢印で示す方向に分けられ、完成成形品21は除去装置により取りだされる。バリ20も除去されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
1 押出機ヘッド
2 プレフォームチューブ
3 分離装置
4 縦スリット
5 把持具
6 ブロー成形装置
7 キャビティ
8a、b ブロー成形金型
9a、b、c、d 型スペーサー
10 分割面
11 バリ
12 凹部
13 開口部
14 吹き出しピン
15 シーリングカラー
16 半完成成形品
17 マニピュレーター
18 挿入物
19 空隙
20 バリ
21 完成成形品
22 拡張部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック成形品の生産方法であって、
概ねチューブ状のプレフォームを押出し、
概ね断面C形状のプレフォームが得られるように、押出機ヘッド内で溶融した流れを分け、或いは押出機ヘッドから現れた若しくは既に表れている押出物を分離し、
圧力差を与えることでブロー成形装置内で中空を有するプレフォームを再形成し、
部分的に閉じた前記ブロー成形装置で前記プレフォームの膨張と部分的な予備成形が最初に行われ、
更なる工程で、少なくとも1つの挿入物が完全には閉じていない前記ブロー成形装置部品の間で、前記プレフォームの開いた側を介して部分的に予備形成された成形品の内側に導入され、
更なる工程で、前記ブロー成形装置が完全に閉じられて、少なくとも部分的に囲む摘み取り継ぎ目を形成しながら成形品が完全に形成されることを特徴とするプラスチック成形品の生産方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記プレフォームの分割される継ぎ目は、
前記ブロー成形装置の仮想的な分割面内に概ね延長されるように、前記ブロー成形装置の分割面と整合されることを特徴とするプラスチック成形品の生産方法。
【請求項3】
請求項1若しくは請求項2記載の方法であって、前記ブロー成形装置の閉じる動作は2段階で行われ、前記閉じる動作の第1の段階では少なくとも1つの開口部を形成しながら、型スペーサーとしての前記ブロー成形装置のキャビティを形成する少なくとも1つの摺動部、好ましくは幾つかのこのような摺動部はそれらの間に前記プレフォームを挟持することを特徴とするプラスチック成形品の生産方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうちの1項に記載の方法であって、前記プレフォームの前記ブロー成形金型への膨張は最初に閉じる動作の前記第1の段階と第2の段階の間に行われ、前記挿入物の導入は更なる工程で行われることを特徴とするプラスチック成形品の生産方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のうちの1項に記載の方法であって、前記プレフォームは吹き出し空気の手段によって拡張され、少なくとも1つの吹き出しピンが型スペーサーによって形成された開口部内に導入されることを特徴とするプラスチック成形品の生産方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうちの1項に記載の方法であって、挿入物の導入は型スペーサーによって形成された開口部を介して行われることを特徴とするプラスチック成形品の生産方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうちの1項に記載の方法であって、前記プレフォームは押出機ヘッドから導出され、把持具により前記ブロー成形装置の開いた金型内の間に運ばれることを特徴とするプラスチック成形品の生産方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のうちの1項に記載の方法であって、前記プレフォームは開いた前記ブロー成形金型の間に導入される以前若しくはその間に周方向に膨張され、及び/又は部分的に伸張されることを特徴とするプラスチック成形品の生産方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のうちの1項に記載の方法であって、前記挿入物は、好ましくは多軸のマニピュレーターによって部分的に形成されたプレフォーム内に導入されることを特徴とするプラスチック成形品の生産方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8のうちの1項に記載の方法であって、前記挿入物の導入の後、型スペーサーによって形成された開口部内に吹き出しピンが再度導入され、前記プレフォームが再度吹き出し空気に当てられることを特徴とするプラスチック成形品の生産方法。
【請求項11】
プラスチック成形品(21)を、特に先行する請求項の1つによる方法で、生産するためのブロー成形装置(6)であって、
互いの関係で開閉動作を行い、型孔を形成する少なくとも2つのブロー成形金型8a、8bを有し、
少なくとも1つのブロー成形金型、好ましくは両方は、型スペーサーとしての各キャビティを構成する少なくとも1つの摺動部(9a、b、c、d)を以て提供され、該型スペーサーは少なくとも1つの凹部を有して吹き出しピン(14)を受け、且つ/或いはマニピュレーター(17)を導くための開口部(13)を形成することを特徴とするブロー成形装置。
【請求項12】
請求項10若しくは請求項11記載のブロー成形装置であって、前記型スペーサー(9a、b、c、d)は、前記ブロー成形金型の分割面(10)に収納され且つ突出されるように形成されていることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項13】
請求項10乃至請求項12のうちの1項に記載のブロー成形装置であって、前記型スペーサー(9a、b、c、d)は、キャビティ(7)の外郭に適合することを特徴とするブロー成形装置。
【請求項14】
請求項10乃至請求項13のうちの1項に記載のブロー成形装置であって、少なくとも1つの前記型スペーサー(9a、b、c、d)は、その温度を制御でき、特に加熱できるように形成されていることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項15】
請求項10乃至請求項14のうちの1項に記載のブロー成形装置であって、少なくとも1つの前記型スペーサー(9a、b、c、d)は、前記プレフォームを固定するための負圧に供用される吸入開口部を具備することを特徴とするブロー成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2012−530625(P2012−530625A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516564(P2012−516564)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003752
【国際公開番号】WO2010/149336
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(511310443)コーテックス マシネンバウ ジーエムビーエイチ (3)
【Fターム(参考)】