説明

プラスチック用接着促進剤

【解決手段】プラスチック基材をコーティングするためのコーティング組成物が開示されており、該組成物は、少なくとも一つのヒドロキシル官能性フィルム形成性ポリマー、少なくとも一つのポリイソシアネート化合物、及び新規な接着促進剤添加物を含む。該接着促進剤添加物は、(A)少なくとも一つの変性されたポリオレフィン、及び(B)一価アルコール、エポキシ官能性シラン及びこれらの混合物より成る群から選ばれる少なくとも一つの成分を含む。本発明はまた、コーティングされたプラスチック基材及びそのような基材をコーティングする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着促進剤添加物、及び熱可塑性ポリオレフィン(TPO)を含む、種々のプラスチック成分と共に使用するために適するコーティング組成物に関する。該コーティング組成物は、(a)少なくとも一つの変性されたポリオレフィン及び(b)少なくとも一つの一価アルコール、少なくとも一つのエポキシ官能性シラン、又はこれらの混合物を有する接着促進剤添加物を含む。該コーティング組成物で塗装された基材がまた開示されている。本発明の組成物は特に、自動車産業におけるプラスチック構成部材のためのプライマーとして有用である。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、容器、家庭用器具、自動車部品及び付属物、並びに他の商業用品目を含む、広範な種類の用途に使用される。自動車産業に関して、プラスチック成分の使用は過去数十年に亘って劇的に増加した。より軽量で、より燃料効率的な自動車のための追求は、増加しつつある多数の室内及び室外用途、例えば、エアーバッグカバー、バンパー、計器盤、フェンダー、ドアパネル、パネルフード、パネルルーフ、及びパネルトランクリッドにおいてプラスチックを自動車製造に利用させた。通常、低コストであることに加えて、プラスチックはまた、低重量、耐腐食性、耐衝撃性、成形が比較的容易、かつリサイクル可能である。これらの使用から導かれるこれら及び他の利点の故に、ますます多くの自動車部品がプラスチックから製造されるであろうことは避けられない。
【0003】
自動車の構成材料を装飾し又は太陽光線、湿気、熱及び寒さにもかかわらず劣化から自動車の構成材料を保護するために、自動車の構成材料、特に外側ボディーのそれらを塗装又はさもなければコーティングすることがしばしば所望される。より長い耐久力のあるかつより永続性のある部品を達成するために、これらのコーティングが構成材料の表面にしっかりと接着されることが重要である。
【0004】
自動車の構成材料のためのプラスチックの増加する使用に伴う問題の一つは、種々の熱可塑性及び熱硬化性物質から作られたポリマー基材が、とりわけ老化又は環境にさらされた後にコーティングの強力な接着を困難にし得るところの、広範に変化する表面特性、例えば、表面張力、粗度、及び可撓性を有し得ることである。典型的には、自動車修理の間にプラスチック上にポリウレタンプライマーを使用するために、該プラスチックをコーティングするための適切な方法を決定するために、「燃焼」試験のような作業を実行することにより又は同定システムを確認することにより、プラスチック、例えば、タイブ、可撓性等がまず明らかにされなければならない。
【0005】
熱可塑性オレフィン(TPO)、ポリプロピレンのアロイ及びエラストマーは、自動車産業において通常使用されるプラスチックの一つのタイプである。このポリマーの構造は、殆どのコーティングが濡れない又は接着しないであろう表面をもたらす。それ故、該表面は、それが最も一般に利用できるコーティング技術によりコーティングされるために物理的又は化学的に変えられなければならないが、これらの表面パラメーターの夫々がそれ自体不都合を有する。プラズマ処理又はコロナ放電は、表面を酸化するためにイオン化されたガスを使用し、かつ困難及びコスト高であり得る。火炎処理はまた表面を酸化するが、製造ラインにおいて達成することが困難であるところの火炎の正確な間隔を要求する。エッチングは表面を調製するための他の方法である。しかし、エッチング化学物質は毒性であり得るか、又は環境関心事の問題であり得る。
【0006】
他の更なる通常の手段は、接着を得るために表面上に塩素化ポリオレフィン樹脂(CPO)を含む接着促進プライマーの薄膜又は「タイコート」を塗装することである。しかし、塩素化ポリオレフィンに由来するこれらの溶剤は制限された溶解性を有し得、かつ放出基準を超えることなしに使用することが困難であり得るところの芳香族溶剤、例えば、キシレン又はトルエンの使用を要求する。更に、多段階法は時間を消費し得、よりコスト高であり得、かつ省略されがちである。それ故、TPOを含むプラスチックへの接着性を与えるであろう添加物を開発して、従って、コーティングに先立って、「タイコート」及びプラスチックを同定する必要性の両方が不必要な段階であろうことによりこの方法を短くすることが所望される。そのような方法は、自動車産業及び自動車修理産業並びにコーティングされたプラスチックが通常使用されるところの他の産業において非常に有益であろう。
【0007】
別個の接着促進剤層又はタイコートの使用なしに、TPOのようなポリマー物質に直接に許容できる接着を示すところのいくつかのコーティング組成物が開発された。例えば、ポリオレフィンジオールが、別個の接着促進剤層又はタイコートの使用なしにポリマー基材に対する接着を改善するためにコーティング組成物に使用された。例えば、米国特許第6001469号明細書は、末端ヒドロキシル基を有する飽和されたポリヒドロキシル化ポリジエンポリマーを含むコーティング組成物を開示する。該明細書は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0008】
米国特許第4863988号明細書は、硬化性フィルム形成性樹脂及び塩素化されかつクラフト変性されたポリプロピレンを含む硬化性塗料組成物に関する。該明細書はまた、引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0009】
しかし、広範な種類のプラスチックの表面に直接に良好な接着を有するところの、その中に接着促進剤添加物を組み込まれているところのコーティング組成物のための必要性が未だ残っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、特に、プラスチック基材に関してコーティング組成物の接着性を向上させるところの接着促進剤添加物を提供することである。
【0011】
本発明の関連する目的は、基材にタイコートをまず施与する必要なしに、プラスチック基材の表面に直接接着するであろうところのコーティング組成物を提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、コーティングを施与するに先立って、特定のプラスチック基材を同定する必要なしに、種々のプラスチック基材にフィルムコーティングを形成するであろうところのコーティング組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
変性されたポリオレフィンが、一価アルコール又はエポキシ官能性シランと一緒にされるとき、コーティング組成物中に組み込まれ得、それにより、該組成物が、慣用の前処理法の使用なしに、多種類のプラスチック基材上に直接にコーティングされることを許すところの新規な接着促進剤添加物が形成されることが発見された。更なる利点がまた、該添加物がまた、コーティング組成物を柔軟にする必要性を減らすことにおいて発見された。
【0014】
更に詳しくは、本発明は、(A)少なくとも一つの変性されたオレフィン、及び(B)一価アルコール、エポキシ官能性シラン、及びこれらの混合物より成る群から選ばれる少なくとも一つの成分を含む接着促進剤添加物に関する。
【0015】
本発明はまた、接着促進剤添加物を含むコーティング組成物に関する。一つのそのようなコーティング組成物は、少なくとも一つのヒドロキシル官能性フィルム形成性ポリマー及び少なくとも一つのポリイソシアネート化合物並びに接着促進剤添加物を含む。
【0016】
本発明はまた、プラスチック基材上に接着促進剤添加物を含むコーティング組成物を施与すること及び該コーティング組成物を硬化することによりプラスチック基材をコーティングする方法、及びそのようなコーティング組成物によりコーティングされたプラスチック物品に関する。
【0017】
自動車産業において特に有利であるけれども、本発明はまた、コーティングされたプラスチック基材を利用するところの、上記において提案されたような他の産業に適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、接着促進剤添加物及び該接着促進剤添加物を含むコーティング組成物に関する。好ましい態様において、該コーティング組成物は更に、少なくとも一つのヒドロキシル官能性フィルム形成性ポリマー及び少なくとも一つのポリイソシアネート化合物を含む。該接着促進剤添加物は、(A)少なくとも一つの変性されたポリオレフィン、並びに(B)一価アルコール、エポキシ官能性シラン、及びこれらの混合物より成る群から選ばれる少なくとも一つの成分を含む。好ましくは、コーティング組成物に組み込まれる接着促進剤添加物の量は、コーティング組成物の合計体積に基づいて、20〜40体積%、より好ましくは25〜35体積%の範囲である。
【0019】
ヒドロキシル官能性フィルム形成性ポリマーは好ましくは、ポリマーの固体含有量に基づいて、50〜300mgKOH/g、かつより好ましくは70〜200mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。数平均分子量は好ましくは6000を超えず、かつより好ましくは4500を超えない。多分散性は好ましくは約1.1〜約5であり、かつより好ましくは約1.1〜約3である。ポリマーの酸価は好ましくは、ポリマーの固体含有量に基づいて、50mgKOH/g以下である。適切なヒドロキシル官能性フィルム形成性ポリマーの例は、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート又はポリアミドを含む。一つの好ましい態様において、該ポリマーはポリアクリレートポリオールである。
【0020】
ポリイソシアネート化合物は、2個以上、好ましくは2〜4個のイソシアナト基を有するポリイソシアネートである。有用なポリイソシアネート化合物の例は、トルエンジイソシアネート、メチレンビス(4‐シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート及びそのイソシアヌレート又はアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネート及びそのイソシアヌレート、ビューレット、ウレタジオン、及びアロファネート、及びメタ‐テトラメチルキシレンジイソシアネート及びトリメチロールプロパンとそのアダクトを含む。
【0021】
本発明のコーティング組成物は更に、少なくとも一つの変性されたポリオレフィンを含むところの接着促進剤添加物を含む。好ましくは、該添加物中の変性されたポリオレフィンの量は、該添加材の重量に基づいて10〜30重量%である。一つの特に好ましいポリオレフィンは、またCPOとして知られている塩素化ポリオレフィンである。本発明において使用するために適している塩素化ポリオレフィンは好ましくは、最終的な塩素化ポリオレフィンの合計固体重量に基づいて、15〜60重量%、かつより好ましくは18〜23重量%の塩素含有量を有する。塩素化ポリオレフィンは好ましくは5000〜200000、より好ましくは10000〜40000の重量平均分子量を有する。塩素化ポリオレフィンは粉末又はペレット化された形状において、又は溶液において固体であり得る。通常、接着促進剤であるべき、当業者に公知の任意の塩素化ポリオレフィン、例えば、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリブチレン、塩素化ポリエチレン、及びこれらの混合物が使用され得る。一つの適切な塩素化ポリオレフィンは、米国、テネシー州、キングスポートのEastman Chemical Companyから市販されているCPO-343-1である。他の適切な塩素化ポリオレフィンは、米国特許第4997882号明細書、米国特許第5319032号明細書、及び米国特許第5397602号明細書に開示されている。これら明細書は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0022】
他の適切な変性されたポリオレフィンは、例えば、AP 440-1、 米国、テネシー州、キングスポートのEastmen Chemical Companyから市販されている非塩素化ポリエチレンを含む。より一般的には、塩素化されていないなら、変性ポリエチレンは、プライマー組成物中に含めるために十分な溶解性、低フィルム形成温度、及び酸官能基化の高い水準、即ち、少なくとも40mgKOH/gの酸価を有しなければならない。好ましくは、変性ポリオレフィンは熱硬化されることができる。
【0023】
接着促進剤はまた、一価アルコール、エポキシ官能性シラン、及びこれらの混合物よりなる群から選ばれる少なくとも一つの成分を含む。術語「一価アルコール」は、直鎖、環状、芳香族、又は分子の一つの末端に位置された単一のヒドロキシル基を有する分岐鎖炭化水素を示すために明細書全体で使用されている。好ましくは、存在する一価アルコール又はエポキシ官能性シランの量は、添加物の5〜30重量%である。本発明において有用な一価アルコールは、8〜18個の炭素原子、及び好ましくは12〜18個の炭素原子を含む。有用な一価アルコールの例は、セチルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、及びオクタデカノール、より好ましくはドデシルアルコールを含む。多数の更なる一価アルコールが本発明において使用され得る。
【0024】
適切なエポキシ官能性シランの例は、限定されるものではないが、(3‐グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3‐グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3‐グリシドキシプロピル)トリプロポキシシラン、(3‐グリシドキシプロピル)ジメトキメチルシラン、(3‐グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシランを含む。他のエポキシ官能性シランは文献に公知であり、かつ当業者の認識されている手順により得られ得る。
【0025】
任意的に、本発明のコーティング組成物はまた、色及び/又は隠蔽を提供するために一つ以上の染料又は顔料を含み得る。無機顔料、例えば、二酸化チタン、タルク、マイカ、酸化鉄、酸化鉛、酸化クロム、クロム酸鉛及びカーボンブラック/導電性カーボンブラック、及び有機顔料、例えば、フタロシアニンブルー及びフタシアニングリーン、並びに種々の他の色顔料を含むところの、当業者に公知の任意の慣用の顔料が有用であり得る。好ましくは、該コーティング組成物中の顔料の合計量は、合計固体に基づいて、15〜60重量%であろう。顔料の特定量は変化し得るが、通常、顔料の量は、必要な隠蔽が所望のフィルム厚さ及び適用固体において達成されるようなものである。
【0026】
本発明の一つの態様において、コーティング組成物は更に、所望のフィルムに更なる弾性を付与するため及びフィルムの割れを防止することを助けるために可塑剤を含む。可塑剤は、ポリエステル、10℃未満のガラス転移温度を有する軟質アクリル樹脂、又は好ましくは、単官能性アルカンであり得る。適切な単官能性アルカンの例は、官能性XのC8〜C18のアルキル鎖を有するものを含む。ここで、XはOH、NH、NH2又はSHで有り得る。OH官能性を持つこれらのC12〜C18化合物、例えば、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール及びオクタデカノールが特に好ましい。一の態様において、可塑剤は、接着促進剤添加物において利用される一価アルコールと同一であり得る。
【0027】
本発明のコーティング組成物は、他のコーティング組成物により提供される任意の溶剤に加えて、溶剤成分を更に含む。適切な溶剤の限定するものではない例は、脂肪族溶剤、芳香族及び/又はアルキル化された芳香族溶剤、例えば、トルエン、キシレン、及び炭化水素溶剤、アルコール、例えば、イソプロパノール、エステル、ケトン、グリコールエーテル、及びグリコールエーテルエステルを含む。
【0028】
所望なら、本発明のコーティング組成物は、例えば、界面活性剤、流れ制御剤、チキソトロピー剤、フィラー、ガス発生防止剤、有機共溶剤、追加のフィルム形成性ポリマー、ポリマー状ミクロ粒子、触媒及び他の慣用の添加物のような、表面コーティングを調製するために当業者に周知の他の物質を含み得る。
【0029】
本発明のコーティング組成物は、当業者に周知の技術を使用して作られ得る。コーティング組成物の固体含有量は重量パーセントにより好ましくは19〜73%で変化する。
【0030】
本発明のコーティング組成物は、限定されるものではないが、熱可塑性ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン及びポリアミド、例えば、ナイロン、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー)、SMC(シートモールディングコンパウンド)、及びRIM(反応射出成形)ウレタン、及びこれらの組み合わせを含むところの、プラスチック基材のコーティングのために特に適している。熱可塑性ポリオレフィン基材が好ましい。
【0031】
本発明のコーティング組成物は、はけ塗り、浸漬、フローコーティング、スプレー塗り等を含む慣用の任意の手段により基材に施与され得るが、スプレー塗りにより最もしばしば施与される。手動又は自動のスプレー塗り及び静電スプレー塗りのための慣用の公知の技術及び装置が使用され得る。慣用の施与手段が使用されるけれども、本発明のコーティング組成物の利点の一つは、それが、別個の接着促進剤、タイコート層又はコロナ前処理の必要性なしにプラスチック基材の表面上に直接に沈積され得ることである。
【0032】
コーティング組成物がプライマー組成物として使用されるとき、次いで、慣用のベースコート‐クリアコート複合物又は慣用のモノコートトップコートのようなトップコートが、プライマーコーティングに施与され得る。より更に、プライマー又は接着促進剤層として使用されるとき、コーティング組成物は、トップコート層の施与前にエアーフラッシュされ得、又はあるいは、トップコート施与に先立って、硬化されたフィルムに予め焼き付けられ得る。
【0033】
コーティング組成物の一つの好ましい態様が本明細書に開示されているけれども、本発明の新規な接着促進剤単化剤は、任意の慣用のプライマー組成物において、好ましくはイソシアネートを含むプライマー組成物において添加物として利用され得る。プライマー組成物における接着促進剤添加物の使用は、プラスタック基材ばかりではなく金属基材、例えば、鋼基材に対する良好な接着を有するプライマーを提供することが分かった。
【0034】
本発明は更に、下記の限定するものではない実施例により説明され得る。ここで、全ての部及びパーセンテージは、別に示され又は理解されたものを除いて重量による。
【0035】
実施例
下記実施例のために、本発明に従う接着促進剤添加物が調製された。第1接着促進剤添加物(「APA-1」)は、30重量部のドデシルアルコール、20重量部のCP 343-1、Eastman Chemicals Companyから市販されている塩素化ポリオレフィン接着促進剤(キシレン中の25重量%CPO)、及び50重量部のキシレンを順に適切な容器に加え、そして15分間低攪拌下に混合することにより製造された。第2接着促進剤添加物(「APA-2」)は、20重量部のCP-440-1、Eastman Chemicals Companyから市販されている非塩素化ポリオレフィン接着促進剤(キシレン中の25重量%)、75重量部のキシレン、及び5重量部の(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシランを順に適切な容器に加え、そして15分間低攪拌下に混合することにより製造された。
【0036】
2個の制御系が、比較目的のために実施例1及び2において使用された。制御系Aは、Primer PO、米国、ジョージア州、ノークロスのAkzo Nobel Coatings Inc.から市販されているCPOタイコート組成物である。制御系Bは、Plastoflex、Akzo Nobel Coatings Inc.からまた市販されているプライマー組成物である。
【0037】
下記実施例において使用されるプラスチックパネル基材は、Hifax CA186AC、米国、メリーランド州、エルクトンのBasell Polyolefinsから市販されている熱可塑性オレフィン(TPO)、Xenoy 1102、米国、マサチューセッツ州、ピッツフィールドのGeneral Electric Plasticsから市販されているポリカーボネート(PC)/ポリブチレンテレフタレート(PBT)ブレンド、及びオハイオ州、ダブリンのAshland Chemical Companyから市販されているPhase Alpha Sheet Molding Compound(SMC)である。
【0038】
実施例1
コーティング組成物は、Akzo Nobel Coatings Inc.から市販されているColorbuild Primerの100体積部、Akzo Nobel Coatings Inc.からまた市販されているColorbuild Sealer Hardenerの50体積部、及びAPA-1の30体積部を順に加えることにより調製された。これらの成分は、均一かつ#4DINカップにおいて15〜18秒の粘度を有するまで一緒に混合された。このコーティング組成物は次いで、プラスチックパネル基材の夫々にHPLVスプレーガンにより別々にスプレー施与された。施与されたコーティングは、15分間フラッシュを許された。次いで、Autobase Plus、Akzo Nobel Coatings Inc.から市販されているベースコートが、プラスチックに使用するために要求される技法に従って活性化され、そして次いで、黒色及び白色隠蔽スティッカーを使用する範囲により与えられる隠蔽まで下塗りされたパネルの夫々にスプレー施与された。施与されたベースコートは、フィンガータッチまで乾燥するまで15分間フラッシュを許された。最後に、Autoclear III、Akzo Nobel Coatings Inc.から市販されているクリアコートが、プラスチック上のコーティングするためのテクニカルデータシートに従って活性化され、次いで、ベースコートの夫々にスプレー施与された。これらの試料はここで試料Aと言う。
【0039】
対照Aがスプレーするために予め供給され、そしてプラスチックパネル基材に施与され、そして15分間フラッシュされた。対照Bが、対照Bに提供されたテクニカルデータシートに指示されたように基材に施与され、そして15分間フラッシュを許された。フラッシュ後、Autobase Plusベースコート及びAutoclear IIIクリアコートが、対照A及び対照Bパネルの全てに上記のように施与された。
【0040】
軟質TPOのための環境温度におけるGeneral Motors Method 9503Pに準拠するマンドレルベンド試験(0.5インチマンドレル)及びGeneral Motors Method 9071Pに準拠するクロスハッチ接着試験が該基材において実行された。下記の表1に見られ得るように、試料Aのパネルは、対照A及び対照Bのパネルと等しく良好に機能した。
【0041】
【表1】

【0042】
実施例2
コーティング組成物が、67重量部のColorbuild Primerに、33重量部の、20℃未満のTgを持つポリエステルポリオールを加えることにより調製され、そして変性されたColorbuild Primerを形成するためにスパチュラーで混合された。50体積部のColorbuild Sealer Hardener及び30体積部のAPA-2が、100体積部の変性されたColorbuild Primerに加えられた。これらの成分は、均一かつ#4DINカップにおいて15〜18秒の粘度を有するまで一緒に混合された。このコーティング組成物は次いで、プラスチックパネル基材の夫々にHPLVスプレーガンにより別々にスプレー施与された。施与されたコーティングは、15分間フラッシュを許された。次いで、Autobase Plusが、プラスチックに使用するために要求される技法に従って活性化され、そして次いで、黒色及び白色隠蔽スティッカーを使用する範囲により与えられる隠蔽まで下塗りされたパネルの夫々にスプレー施与された。施与されたベースコートは、フィンガータッチまで乾燥するまで15分間フラッシュを許された。最後に、Autoclear IIIが、プラスチック上にコーティングするためのテクニカルデータシートに従って活性化され、次いで、ベースコートの夫々にスプレー施与された。これらの試料はここで試料Bと言う。
【0043】
対照Aがスプレーするために予め供給され、そしてプラスチックパネル基材に施与され、そして15分間フラッシュされた。対照Bが、対照Bに提供されたテクニカルデータシートに指示されたように基材に施与され、そして15分間フラッシュを許された。フラッシュ後、Autobase Plusベースコート及びAutoclear IIIクリアコートが、対照A及び対照Bパネルの全てに上記のように施与された。
【0044】
全てのパネルは、環境温度で7日間老化を許された。軟質TPOのための環境温度におけるGeneral Motors Method 9503Pに準拠するマンドレルベンド試験(0.5インチマンドレル)及びGeneral Motors Method 9071Pに準拠するクロスハッチ接着試験が該基材において実行された。表2に見られ得るように、試料Bのパネルは、対照A及び対照Bのパネルと等しく機能した。
【0045】
【表2】

【0046】
実施例3
General Motors Method 4465Pに従う耐湿性試験及びGeneral Motors Method 9508に従うチップ抵抗試験が、上記の試料A及び試料Bに関して調製されたTPOパネルにおいて実行された。全てのパネルは、環境温度において7日間老化を許された。環境温度及び20°Fの両方におけるGeneral Motors Method 9503Pに準拠するマンドレルベンド試験がまた該パネルにおいて実行された。結果は下記表3に示されている。表3に見られ得るように、APA-1及びAPA-2を含むコーティングは良好な保持率及びチップ抵抗を有していた。
【0047】
【表3】

【0048】
実施例4
General Motors Method 4465Pに従う耐湿性試験及びGeneral Motors Method 9508に従うチップ抵抗試験が、上記の試料A及び試料Bに関して調製されたSMC及びPC/PBTにおいて実行された。全てのパネルは、環境温度において7日間老化を許された。結果は下記の表4に示されている。湿度を与えた後の全ての塗料除去がベースコートとプライマーとの間に生じたことに注意しなさい。基材の無損傷は観察されなかった。
【0049】
【表4】

【0050】
実施例5
この実施例において、本発明のコーティング組成物が、現在入手可能なプラスチックプライマーと比較された。この実施例において使用されたプラスチックパネル基材は、Hifax CA186AC、米国、メリーランド州、エルクトンのBasell Polyolefinsから市販されている熱可塑性オレフィン(TPO)、及びCyclolacAR4051、米国、マサチューセッツ州、ピッツフィールドのGeneral Electric Plasticsから市販されているアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)である。
【0051】
コーティング組成物は、上記実施例1のためのようにAPA-1を使用して調製された。この組成物は、ここで試料Cと言われる。試料Cは、PPG Industriesから市販されている二つのプライマー、SUA 4903及びDPX801、及びUPO7226、Sherwin-Willams Companyから市販されているプライマーに対して比較された。
【0052】
試料Cは、プラスチックパネル基材にHPLVスプレーガンにより別々にスプレー施与された。施与されたコーティングは、15分間フラッシュを許された。次いで、Autobase Plusが、黒色及び白色隠蔽スティッカーを使用する範囲により与えられる隠蔽までプラスチックに使用するために要求される技法に従って活性化された。施与されたベースコートは、フィンガータッチまで乾燥するまで15分間フラッシュを許された。最後に、Autoclear IIIが、プラスチック上のコーティングのためのテクニカルデータシートに従って活性化され、次いで、ベースコートの夫々にスプレー施与された。
【0053】
比較プライマーが、製品に提供されたテクニカルデータシートに指示されたように基材に施与された。Autobase Plusベースコート及びAutoclear IIIクリアコートが次いで、比較プライマーでコーティングされた基材の全てに上記のように施与された。
【0054】
環境温度におけるGeneral Motors Method 9503Pに準拠するマンドレルベンド試験、General Motors Method 4465Pに従う相対湿度、(グラベロメーターを使用する)General Motors Method 9508Pに従うチップ抵抗試験、及びGeneral Motors Method 9071Pに準拠する初期接着試験が、コーティングされた基材の夫々において実行された。結果は下記の表5に示されている。
【0055】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも一つの変性されたポリオレフィン、及び
(B)一価アルコール、エポキシ官能性シラン、及びこれらの混合物より成る群から選ばれる少なくとも一つの成分
を含む接着促進剤添加物。
【請求項2】
添加物中の変性されたポリオレフィンの量が、該添加物の合計重量に基づいて10〜30重量%、好ましくは20〜30重量%であるところの請求項1記載の添加物。
【請求項3】
変性されたポリオレフィンが塩素化ポリオレフィンであるところの請求項1又は2記載の添加物。
【請求項4】
変性されたポリオレフィンが非塩素化ポリオレフィンであるところの請求項1又は2記載の添加物。
【請求項5】
一価アルコールを含むところの請求項1〜4のいずれか一つに記載の添加物。
【請求項6】
一価アルコールが、セチルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、及びオクタデカノール、ドデシルアルコール、並びにこれらの混合物より成る群から選ばれるところの請求項5記載の添加物。
【請求項7】
エポキシ官能性シランを含むところの請求項1〜6のいずれか一つに記載の添加物。
【請求項8】
接着促進剤添加物中の一価アルコール又はエポキシ官能性シランの量が、該添加物の合計重量に基づいて5〜30重量%であるところの請求項1〜7のいずれか一つに記載の添加物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の接着促進剤添加物を含むところのコーティング組成物。
【請求項10】
少なくとも一つのポリイソシアネート化合物を更に含むところの請求項9記載のコーティング組成物。
【請求項11】
少なくとも一つのヒドロキシル官能性フィルム形成性ポリマーを更に含むところの請求項10記載のコーティング組成物。
【請求項12】
可塑剤を更に含むところの請求項9〜11のいずれか一つに記載のコーティング組成物。
【請求項13】
可塑剤が、単官能性アルカン、ポリエステル、及び10℃未満のガラス転移温度を有するアクリル樹脂より成る群から選ばれるところの請求項12記載のコーティング組成物。
【請求項14】
可塑剤が、C12〜C18のアルキル鎖及びヒドロキシル官能性を有する単官能性アルカンであるところの請求項13記載のコーティング組成物。
【請求項15】
顔料を更に含むところの請求項9〜14のいずれか一つに記載のコーティング組成物。
【請求項16】
プライマー組成物であるところの請求項9〜15のいずれか一つに記載のコーティング組成物。
【請求項17】
(i)プラスチック基材に、請求項9〜16のいずれか一つに記載のコーティング組成物を施与すること、及び
(ii)該コーティング組成物を硬化して第1のコーティング層を形成すること
を含むところのプラスチック基材をコーティングする方法。
【請求項18】
プラスチック基材が、コーティングの接着を改善する前処理をされていないところの請求項17記載の方法。
【請求項19】
(iii)第1のコーティング層の上にベースコート組成物を施与して第2のコーティング層を形成すること、
(iv)第2のコーティング層を硬化すること、
(v)第2のコーティング層の上にクリアコート組成物を施与して第3のコーティング層を形成すること、及び
(vi)第3のコーティング層を硬化すること
の段階を更に含むところの請求項17又は18記載の方法。
【請求項20】
プラスチック基材が自動車の構成部材であるところの請求項17〜19のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
基材のプラスチックが、熱可塑性ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン及び他のポリアミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン、SMC(シートモールディングコンパウンド)、RIM‐ウレタン、及びこれらの混合物より成る群から選ばれるところの請求項17〜20のいずれか一つに記載の方法。
【請求項22】
請求項17〜21のいずれか一つに記載の方法に従ってコーティングされたプラスチック基材。

【公表番号】特表2008−501813(P2008−501813A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513967(P2007−513967)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052569
【国際公開番号】WO2005/121259
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(500286643)アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ (67)
【Fターム(参考)】