説明

プラズマを用いた検出方法および検出器

【課題】従来の検出器と比べて、更なる検出感度の向上および選択性の増大を可能とするプラズマを用いた検出方法および検出器を提供すること。
【解決手段】被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスと、プラズマ発生用ガスと、プラズマ発生用ガス内に発生したプラズマとの混合体内における前記被測定物質の特性を検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマを用いた検出手法および検出器に係り、特にガスクロマトグラフのカラムより出力されるサンプルガス中の各成分を検知するのに好適なプラズマを用いた検出方法および検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、気体中に含まれる物質を検出および定量を行う装置として、ガスクロマトグラフが広く使用されている。ガスクロマトグラフにおいては、大きく分けてカラムを主構成部品とする分離部と、当該カラムによって分離されて出力されるサンプルガス中の各成分を検出し、電気信号に変換する検出器とによって形成されている。
【0003】
分離部による分離は、分析目的物質の性質や共存物質の存在により、必ずしも各成分に完全に分離されるわけではなく、また、分離のための分離部の動作条件、たとえば温度、温度の上昇・下降速度などの選定は、経験則に基づいた設定項目となり、一般的にかなり複雑である。
【0004】
現在、ガスクロマトグラフ用の検出器としては、熱伝導度の差を利用した熱伝導型検出器(TCD)と、水素炎を利用してイオン化する水素炎イオン化検出器(FID)が、その汎用性の高さから広範囲に使用されている。また、放射性同位元素などによりイオン化されて発生した電子を利用する電子捕獲型検出器(ECD)などが使用されている。
【0005】
また、物質の同定が可能な、すなわち選択的検出が可能な検出器として、サンプルガスを水素炎中で燃焼することによって発生させた特定の波長の光を検出する炎光光度検出器(FPD)が知られている。
【0006】
最近、検出器に搭載するイオン化源にヘリウムプラズマを用いることで、ハロゲン化合物の高感度検出を行うための検出器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、プラズマ発生用の電源として高周波電源を用いず、かつヘリウムプラズマをイオン源として用いることで、更なるハロゲン化合物の高感度検出を図るものが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−316030号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】第69回応用物理学会学術講演会2p−ZD−9 2008年9月2日 「大気圧クロマトプラズマを用いたガスクロマトグラフ用イオン化検出器」島津製作所、大阪大学大学院工学研究科
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の検出方法や検出器においては、後述するように、それぞれ不都合がある。
【0010】
一般的に、TCDはあらゆる成分の測定が可能であるが、感度的に劣っており、原理的に感度の向上は難しい。また、酸化力のあるガス、たとえば酸素などを含む分析試料を導入すると、装置が壊れてしまう。
【0011】
また、FIDは高感度ではあるが、無機ガス等の不燃性成分は原理的に検出することができない。また、イオン化エネルギーの大きい物質、例えば、ハロゲン化合物やリン、硫黄などを高感度に検出することはできない。
【0012】
また、これらの検出器は、物質の定量はできるが、検出器単体では如何なる物質であるかの同定ができず、いわゆる非選択的検出しかできない。そのため、クロマトグラフにおける物質の同定の精度を上げるためには、たとえば分離部の固定相の選定や温調、温度上昇、下降速度などの選定しかなく、経験則に基づく設定項目となり、一般的にとても複雑である。
【0013】
したがって、従来の汎用的なFIDおよびTCDにおいては、更なる検出感度の向上および選択性の強化が要求されている。
【0014】
また、ECDは強い放射線を発する元素を装置内に内蔵しなくてはいけないため、取り扱い及び管理が法律で厳しく規制され、汎用的ではない。
【0015】
また、FPDは、イオウ、リン、スズを含む化合物に対して非常に高感度であるが、これらの特定の元素を含まない化合物については、まったく検出することができない。
【0016】
さらに、FIDおよびFPDについては、いずれも可燃性かつ爆発性の高い水素ガスを使用するため、取扱いおよび設置に専門的知識を要し、設置にも制限を受けることが多い。
【0017】
また、FID、FPDなど従来の検出器においては、導入されたサンプルガスを燃焼により別の物質に変化させる構造となっているため、これらの検出器を含む複数を直列に連結して使用することはできない。
【0018】
また、前記特許文献1の検出器は、高価な高周波電源を使用するため、製造コストが上昇する。また、プラズマ発生部の上流側において被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスとプラズマ発生用ガスとを混合させる構造となっているため、被測定物質の濃度によってプラズマ発生用の電源の高周波整合条件が変化し、高周波整合回路の、手動もしくは自動の調整機構が必要となる。このため、装置が複雑化し、対故障信頼性が低下し、また価格も高価になる。当該検出器から副次的に放射される高周波も、他の装置を妨害、あるいは当該検出器そのものへも悪影響を及ぼすことがあるため、厳重な電磁遮蔽が必要となる。
【0019】
前記非特許文献1の検出器は、高価なヘリウムガスを大量に消費する。また、ヘリウム以外のガスをプラズマ発生用ガスとして用いることができないため、後述するようなプラズマ発生用ガスを変更することにより、選択性を高める検出手法を採ることができない。
【0020】
さらに、前記特許文献1および前記非特許文献1のいずれの検出器においても、高周波プラズマ発生部は、分離機構からのキャリアガスおよびサンプルガスの混合気体により、プラズマ発生用ガスの流量が常に変化し、安定しないような構造となっているため、プラズマが安定的に発生せず、分析装置として不可欠な安定性、再現性、濃度-信号強度の直線性に乏しく、また、極端に高濃度の分析対象ガスが流入した場合、プラズマが消滅してしまう。また、プラズマの体積が大きいため、プラズマ中の検出目的物質の濃度が低くなり、結果的に、検出感度が低下してしまう。また、検出器の筐体は、ガラス製もしくはセラミック製のため、壊れやすく、製造工程も困難でかつ高価である。加えて、プラズマ発生部が電磁気的にシールドされていないため、外部からの電気的ノイズが検出器まで達しやすく、外部からのノイズに弱いなどの欠点を持つ。
【0021】
以上のような点に鑑み、本発明は、従来の検出器と比べて、更なる検出感度の向上および選択性の増大を可能とするプラズマを用いた検出方法および検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的を達成するために本発明のプラズマを用いた検出方法の1態様は、被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスと、プラズマ発生用ガスと、プラズマ発生用ガス内に発生したプラズマとの混合体内における前記被測定物質の特性を検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴とする。
【0023】
また、本発明のプラズマを用いた検出方法の他の態様は、前記被測定物質の特性が、被測定物質のイオン化されたイオンの状態およびプラズマ発生時の発光の状態の少なくとも一方であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明のプラズマを用いた検出方法の他の態様は、プラズマ発生用ガス内にプラズマを発生させ、当該プラズマおよびプラズマ発生用ガス内に被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスを導入して混合体とし、当該混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与して当該イオンを検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴とする。
【0025】
また、本発明のプラズマを用いた検出方法の他の態様は、プラズマ発生用ガスと、被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスとの混合体内にプラズマを発生させて前記被測定物質を発光させ、当該発光を検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴とする。
【0026】
また、本発明のプラズマを用いた検出方法の他の態様は、プラズマ発生用ガス内にプラズマを発生させ、当該プラズマおよびプラズマ発生用ガス内に被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスを導入して混合体とし、当該混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与して当該イオン含む混合体を取出してさらに高密度のプラズマを発生させ、当該高密度のプラズマ発生に伴うイオン、電子、発光の少なくとも1種を検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴とする。
【0027】
また、本発明のプラズマを用いた検出方法の他の態様は、前記プラズマ発生用ガスがヘリウムガスであることを特徴とする。
【0028】
また、本発明のプラズマを用いた検出器の態様は、内部に導入されたプラズマ発生用ガス内にプラズマを発生させるプラズマ発生室と、当該プラズマ発生室より導入される前記プラズマおよびプラズマ発生用ガス内に被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスを導入して混合体とし、混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、さらに当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与するイオン化室と、当該イオンを検出することにより前記被測定物質を検出するイオン検出器とを有することを特徴とする。
【0029】
また、本発明のプラズマを用いた検出器の他の態様は、内部に導入されたプラズマ発生用ガスと、被測定物質のサンプルガスおよびキャリアガスとの混合体内にプラズマを発生させるプラズマ発生室と、前記プラズマの発生に伴って発光する前記被測定物質の発光を検出する発光検出器とを有することを特徴とする。
【0030】
また、本発明の検出器の他の態様は、前記プラズマ発生室内の前記混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、さらに当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与する電界付与手段と、当該イオンを検出することにより前記被測定物質を検出するイオン検出器とを有することを特徴とする。
【0031】
また、本発明のプラズマを用いた検出器の他の態様は、内部に導入されたプラズマ発生用ガス内にプラズマを発生させるプラズマ発生室と、当該プラズマ発生室より導入される前記プラズマおよびプラズマ発生用ガス内に被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスを導入して混合体とし、混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、さらに当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与するイオン化室と、当該イオン化室から取出されたイオン含む混合体に高密度のプラズマを発生させる二段目プラズマ発生室と、当該高密度のプラズマ発生に伴うイオン、電子、発光の少なくとも1種を検出することにより前記被測定物質を検出する検出手段とを有することを特徴とする。
【0032】
また、本発明のプラズマを用いた検出器の他の態様は、前記プラズマ発生用ガスがヘリウムガスであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、高感度分析が可能となるため、微量分析の場合においても、従来において必要とされる、試料の前処理段階における濃縮操作を省略することができるとともに、分析精度を向上させることができる。また、選択性の増大を実現することができるため、従来、ガスクロマトグラフの分離部だけでは解決できない分離不十分のピークに対しても、選択的定性定量の精度を向上させることができるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る検出器の全体構成を示すブロック図
【図2】本発明の第2実施形態に係る検出器の全体構成を示すブロック図
【図3】本発明の第3実施形態に係る検出器の全体構成を示すブロック図
【図4】本発明の第4実施形態に係る検出器の全体構成を示すブロック図
【図5】第1実施形態の検出器の一実施例である第1実施例を示す縦断面拡大図
【図6】図5のクロマトグラフ用検出器によって得られたクロマトグラム
【図7】第1実施形態の検出器の第2実施例を示す縦断面拡大図
【図8】(a)(b)ともに中継管の他の例であり、それぞれ側面図および横断面図を示している。
【図9】第1実施形態のガスクロマトグラフ用検出器の第3実施例を示す縦断面拡大図
【図10】第2実施形態のガスクロマトグラフ用検出器の一実施例を示す第4実施例であって、(a)(b)(c)は、それぞれ、側面断面図、プラズマ発生室の要部拡大図、および電極の先端部分の要部拡大図を示している
【図11】図10のクロマトグラフ用検出器によって得られたクロマトグラム
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明のプラズマを用いた検出方法を実施する検出器について、図面に示す第1実施形態から第4実施形態により説明する。
【0036】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る検出器の全体構成を示すブロック図である。
【0037】
本発明のプラズマを用いた検出方法は、ガスクロマトグラフのカラムより出力された被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスと、プラズマ発生用ガスと、プラズマ発生用ガス内に発生したプラズマとの混合体内における前記被測定物質の特性を検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴とするものであり、第1実施形態においては、前記被測定物質の特性を被測定物質のイオン化されたイオンの状態としたものである。
【0038】
具体的には、第1実施形態においては、プラズマ発生用ガス内にプラズマを発生させ、当該プラズマおよびプラズマ発生用ガス内にガスクロマトグラフのカラムより出力された被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスを導入して混合体とし、当該混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与して当該イオンを検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴としている。
【0039】
第1実施形態の検出器1は、プラズマによって被測定物質を含むサンプルガスをイオン化し、そのイオン電流を計測するものであり、内部に導入されたプラズマ発生用ガス内にプラズマを発生させるプラズマ発生室2、プラズマ発生室2より導入されるプラズマおよびプラズマ発生用ガス内にガスクロマトグラフ3のカラムより出力された被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスを導入して混合体とし、混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、さらに当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与するイオン化室4、イオン化室4において発生したイオンを検出することにより被測定物質を検出するイオン検出器を構成するイオン検出用電極5などを備えている。プラズマ発生室2内には、プラズマ発生用の電極として一対の電極、もしくは少なくとも一方が絶縁物に覆われた電極、もしくは単一の電極、もしくは共振器(共に図示せず)が設置されており、ヘリウムまたはアルゴンなどのプラズマ発生用ガスが導入されるようになっている。そして、プラズマ発生室2外に設けたプラズマ発生用の電源6から電極に直流もしくは交流または断続的なパルス電圧が印加されることにより、プラズマ発生室2内においてプラズマが発生するようになっている。この電極に付与される交流は、発生させるプラズマの設定内容に応じて上限を30kHz程度としたり、ギガヘルツ程度とするとよい。また、イオン化室4には前記混合体にバイアス電圧となる電界を付与してイオン化された被測定物質をイオン検出用電極5に流入させるバイアス用の直流電源7が設けられている。
【0040】
次に、第1実施形態の作用を説明する。
【0041】
プラズマ発生室2内にはヘリウムまたはアルゴンからなるプラズマ発生用ガスが導入される。このプラズマ発生室2内においては、プラズマ発生用の電源6から付与(印加)される電界によってプラズマが発生する。発生したプラズマはプラズマ発生用ガスによって押し流されてプラズマ発生用ガスと共にイオン化室4内に到達し、ここで、ガスクロマトグラフ3のカラム(図示せず)から導入されてきたキャリアガスおよび被測定物質を含むサンプルガスと混合されて混合体とされる。混合体内の被測定物質はプラズマ中の励起種によってその一部がイオン化される。イオン化された被測定物質は、直流電源7によってイオン化室4に印加されたバイアス電圧によってイオン検出用電極5へ流入させられ、イオン検出用電極5によりイオンもしくは電子の流入が電気信号として検出される。
【0042】
第1実施形態のクロマトグラフ用検出器1によれば、ガスクロマトグラフ3から導入される被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスをプラズマ発生室2内もしくはその上流側ではなく、下流側においてプラズマ発生用ガスおよびプラズマと混合してイオン化するので、プラズマ発生室2内はヘリウムまたはアルゴンなどのプラズマ発生用ガス100%で満たされて、他のガスが混ざったり、流量が変化したりすることによって生じるプラズマの不安定や消滅を防止することができる。このため、イオン化能力も安定し、信号の安定性につながり、分析感度の向上が実現できる。なお、第1実施形態において、イオン化室4に分光器または原子の特定の発光波長を通じる光学フィルターおよび光検出器(共に図示せず)を連結し、プラズマの発生に伴って発光する被測定物質の発光を測定するようにしてもよい。
【0043】
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係るプラズマを用いた検出器の全体構成を示すブロック図である。
【0044】
第2実施形態においては、前記被測定物質の特性を被測定物質のプラズマ発生時の発光の状態としたものである。第1実施形態と同一部分には同一符号を付して、詳細説明を省略する。
【0045】
具体的には、第2実施形態においては、プラズマ発生用ガスと、ガスクロマトグラフのカラムより出力された被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスとの混合体内にプラズマを発生させて前記被測定物質を発光させ、当該発光を検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴としている。
【0046】
第2実施形態の検出器11は、プラズマによってサンプルガスをプラズマ化し、そのプラズマからの発光を分光するものであり、プラズマ発生室12、プラズマ発生用の電源6、プラズマの発生に伴って発光する被測定物質の発光を検出する発光検出器としての分光器13などを備えている。ガスクロマトグラフ3のカラムから導入されるキャリアガスと被測定物質のサンプルガスとの混合気体は、あらかじめプラズマ発生用ガスと混合された後、プラズマ発生室12へ到達する。プラズマ発生室12内には、プラズマ発生用の電極として一対の電極、もしくは少なくとも一方が絶縁物に覆われた電極、もしくは単一の電極、もしくは共振器が設置されている。そして、プラズマ発生室12外に設けたプラズマ発生用の電源6から電極に直流もしくは交流または断続的なパルス電圧が印加されることにより、プラズマ発生室12内においてプラズマが発生するようになっている。この電極に付与される交流は、発生させるプラズマの設定内容に応じて上限を30kHz程度としたり、ギガヘルツ程度とするとよい。そして、プラズマからの発光は、そのまま、もしくは光ファイバーを通して、あるいは集光レンズで集光されるなどして分光器13に導かれる。分光器13は、光を波長ごとの強度情報へと変換し、原子発光分析を行う。なお、分光器13の代わりに、特定の原子からの発光波長を通じる光学フィルターと光検出器を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
次に、第2実施形態の作用を説明する。
【0048】
プラズマ発生用ガスと、ガスクロマトグラフ3のカラムより出力された被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスの混合気体は、あらかじめ混合された後に、プラズマ発生室12へ到達して混合体とされる。このプラズマ発生室12内においては、プラズマ発生用の電源6から付与(印加)される電界によってプラズマが発生する。このプラズマによって被測定物質が発光し、当該発光を分光器13によって検出することにより被測定物質が検出される。
【0049】
<第3実施形態>
図3は、本発明の第3実施形態に係るプラズマを用いた検出器の全体構成を示すブロック図である。
【0050】
第3実施形態においては、前記被測定物質の特性を被測定物質のプラズマ発生時の発光の状態および被測定物質のイオン化されたイオンの状態としたものである。第1実施形態および第2実施形態と同一部分には同一符号を付して、詳細説明を省略する。
【0051】
具体的には、第3実施形態においては、第2実施形態に対してさらに混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与して当該イオンを検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴としている。
【0052】
第3実施形態の検出器21は、プラズマによってサンプルガスをイオン化し、そのイオン電流を計測すると同時に、プラズマによってサンプルガスをプラズマ化し、そのプラズマからの発光を分光するものであり、イオン化室を兼ねたプラズマ発生室12、プラズマ発生用の電源6、イオン検出用電極5、バイアス用の直流電源7、分光器13などを備えている。
【0053】
次に、第3実施形態の作用を説明する。
【0054】
ガスクロマトグラフ3のカラムから導入されるキャリアガスと被測定物質を含むサンプルガスの混合気体は、あらかじめ、ヘリウムまたはアルゴンなどのプラズマ発生用ガスと混合された後、プラズマ発生室12へ到達する。このプラズマ発生室12内において第1実施形態と同様にして被測定物質のイオン化されたイオンの状態が検出され、同時に被測定物質のプラズマ発生時の発光の状態が検出される。
【0055】
前述したような第1実施形態から第3実施形態のクロマトグラフ用検出器1、11、21においては、被測定物質は非破壊的に(FIDなどに比べて化学変化を受けにくい状態で)検出されるので、本実施形態のクロマトグラフ用検出器1、11、21の後段部に、さらに、別の検出器を直列で使用することができる。
【0056】
<第4実施形態>
図4は、本発明の第4実施形態に係るプラズマを用いた検出器の全体構成を示すブロック図である。
【0057】
第4実施形態においては、前記被測定物質の特性を被測定物質の高密度プラズマ発生時の発光の状態としたものである。第1実施形態および第2実施形態と同一部分には同一符号を付して、詳細説明を省略する。
【0058】
具体的には、第4実施形態においては、第1実施形態のイオン化室より取出される被測定物質のイオンを含む混合体をさらに高密度のプラズマを発生させ、当該高密度のプラズマ発生に伴うイオン、電子、発光の少なくとも1種を検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴としている。
【0059】
第4実施形態のプラズマを用いた検出器31は、第1実施形態のイオン化室4の下流にさらにイオン化室4から取出されたイオン含む混合体にプラズマ発生用の電源33によって電界を付与して高密度のプラズマを発生させる新たな二段目プラズマ発生室32を設け、当該高密度のプラズマ発生に伴うイオン、電子、発光の少なくとも1種を検出する検出手段を設けている。第4実施形態においては、第3実施形態と同様にして高密度プラズマ発生に伴うイオン、電子および発光を検出するようにしている。即ち、第3実施形態と同様に高密度プラズマからの発光を、そのまま、もしくは光ファイバーを通して、あるいは集光レンズで集光されるなどして分光器13に導き、当該分光器13において、光を波長ごとの強度情報へと変換し、原子発光分析を行う。なお、分光器13の代わりに、特定の原子からの発光波長を通じる光学フィルターと光検出器を組み合わせて用いてもよい。さらに、イオン化室を兼ねた二段目プラズマ発生室32にイオン検出用電極5、バイアス用の直流電源(図示せず)を設けている。
【0060】
次に、第4実施形態の作用を説明する。
【0061】
第1実施形態と同様にしてイオン化室4内に生成された被測定物質およびプラズマ発生用ガスと、それらが一部イオン化した混合物が二段目プラズマ発生室32に入る。二段目プラズマ発生室32内においては、プラズマ発生用の電源33によって電極や共振器などを通してエネルギーが投入されてさらに高密度のプラズマが生成される。この二段目プラズマ発生室32においては、イオン化室4において予めイオン化したガスが高級されてくるために、イオン化されていないガスにエネルギーを投入する場合に比較して、圧倒的に高密度のプラズマを発生させることが容易に実現でき、発生するイオンや光も強いものとなる。このようにして得られたイオンや光を、バイアス電極やイオンレンズなどのイオン検出器を備えたイオン検出機構(本実施形態においては、イオン検出用電極5)によって計測することができる。同時に、分光器13によって、または元素の特定の発光波長を通じる高額フィルターおよび光検出器(共に図示せず)によって、プラズマの発生に伴って発光する被測定物質の発光を測定する。このようにして二段目プラズマ発生室32内に発生する高密度プラズマに基づいて、被測定物質のイオン化されたイオンの状態が検出され、同時に被測定物質のプラズマ発生時の発光の状態が検出される。
【0062】
前述したような第1実施形態から第4実施形態のクロマトグラフ用検出器1、11、21においては、被測定物質は非破壊的に(FIDなどに比べて化学変化を受けにくい状態で)検出されるので、本実施形態のクロマトグラフ用検出器1、11、21の後段部に、さらに、別の検出器を直列で使用することができる。
【実施例】
【0063】
<第1実施例>
図5は、第1実施形態のガスクロマトグラフ用検出器1の一実施例である第1実施例を示す縦断面拡大図である。
【0064】
第1実施例においては、下方から順に、プラズマ発生室2、イオン化室4、イオン検出用電極5が鉛直方向に連結配置されている。プラズマ発生室2としてガラスセルを用いている。このガラスセルの中心部には、プラズマ発生用電極8として直径0.1mmの細長軸状の一対の白金電極が鉛直方向に配置されており、下方からプラズマ用ガスとしてのヘリウムガスが導入されるようになっている。すなわち、本第1実施例においては、プラズマ発生用ガスの導入方向と電極8の設置方向は平行関係となっている。プラズマ発生用の電源6には直流電源の−300Vを用い、一対の白金電極8に印加させることで、グロー放電によりプラズマが発生するようになっている。また、イオン化室4には、水平方向からキャリアガスおよびサンプルガスの混合気体が導入されるようになっている。
【0065】
図6は、図5のクロマトグラフ用検出器によって得られたクロマトグラムである。この測定では、キャリアガスとしてヘリウムガスを用い、被測定物質としてH、O、N、CH、COが各5ppmずつ含まれているサンプルガスについて測定した。CHについての検出感度は、49.9pgとなった。なお、CHのピークの立ち上がりから立ち下がるまでの時間は60sであることから、単位時間あたりの検出感度は、約0.9pg/sとなる。したがって、メタンについて最小検出量は、従来の検出器では約8pg/sであるのに対し、本第1実施例のガスクロマトグラフ用検出器1によれば、約0.9pg/sと1桁も小さい重量のサンプルガスについて、検出することが可能である。
【0066】
<第2実施例>
図7は、第1実施形態のガスクロマトグラフ用検出器1の第2実施例を示す縦断面拡大図である。
【0067】
第2実施例においては、水平方向において順に、プラズマ発生室2、イオン化室4、中継管9、イオン検出用電極5が連結配置されている。プラズマ発生室2として金属セルを用いている。この金属の内部には直径0.5mmの一対の白金電極8が鉛直方向に設置されており、水平方向からプラズマ発生用ガスとしてのヘリウムガスが導入されるようになっている。すなわち、本第2実施例においては、プラズマ発生用ガスの導入方向と白金電極8の配置方向は垂直関係となっている。プラズマ発生用の電源6には直流電源の−200Vを用い、一対の白金電極8に印加させることで、放電によりヘリウムプラズマが発生するようになっている。プラズマ発生室2に連結されたイオン化室4には、後述する中継管9を介して、プラズマ発生室2において発生したヘリウムプラズマおよびプラズマ発生用ガスとしてのヘリウムガスが水平方向に導入されるようになっている。イオン化室4内には、下方からキャリアガスおよびサンプルガスの混合気体が導入され、中継管9を介して導入されてきたヘリウムプラズマと混合し、サンプルガスがイオン化されるようになっている。また、イオン化室4には直流電源の−50Vがバイアス電圧として印加されており、このバイアス電圧によってイオン化されたサンプルガスは、イオン検出用電極5へと流入し、当該イオン検出用電極5によってイオン電流が検出され、電気信号に変換される。
【0068】
次に、中継管9の形状について説明する。中継管9は、略円筒形状の金属、もしくはガラス、もしくはセラミックス等からなり、プラズマ発生室2におけるヘリウムガスおよびプラズマ発生用ガスの流出口と、イオン化室4におけるヘリウムガスおよびプラズマの流入口との間に水平に嵌合されている。本第2実施例においては、図6に示すように、中継管9の内径は、ヘリウムガスの導入方向における下流側が上流側に比べて小さくなるように形成されている。詳しくは、プラズマ発生室2の流出口からヘリウムガスの導入方向に向かって15mmの部分は内径が4mm、さらに下流側、すなわちイオン化室4の流出口からヘリウムガスの導入方向と反対方向に20mmの部分は、内径1mmとされ、内径部分において段差が付けられている。
【0069】
なお、プラズマ発生室2におけるヘリウムガスおよびプラズマ発生用ガスの流出口と、イオン化室4におけるヘリウムガスおよびプラズマの流入口との間に、上記の中継管9を、ヘリウムガスの導入方向における逆方向に嵌入して用いてもよい。また、中継管9として、その内径がヘリウムガスの導入方向における上流側が下流側に比べて小さくなるように形成された形状のものを用いてもよい。
【0070】
図8(a)、(b)は、中継管9の他の例を示す側面図および断面図である。図8(a)に示す中継管9aは、金属製の円柱に、断面視において十字状に計5個の孔を円柱の長手方向と平行に貫通させた形状となっている。中継管9aの外径は6mm、全長は35mmであり、各孔は断面視において直径1mmとなっている。図8(b)に示す中継管9bは、外周部分に螺旋溝を形成した金属製の乱流棒であり、外径は5mm、全長は35mmとされている。また、図示しないが、内径部分をテーパ状に形成した中継管を用いてもよい。
【0071】
<第3実施例>
図9は、第1実施形態のガスクロマトグラフ用検出器1の第3実施例を示す縦断面拡大図である。
【0072】
第3実施例においては、前述した第2実施例と同様の各構成部分を、金属ブロック10内に成型し、外部の電磁波の進入を防ぐことができ、かつ堅牢な構造としたものである。また、金属部分を一体形成することで、温度調整を容易にすることができる。図9に示すように、金属ブロック10内には、順に、プラズマ発生室2、イオン化室4、イオン検出用電極5が水平方向に連結配置されている。さらに、プラズマ発生用の電極8の距離を調整するためのポート10a(通常時は盲栓によって閉塞されている。)、分析が終了したガスを排出する、もしくは別の検出器(本実施例においては、イオン化室4内において発光する可能性の有る元素の発光を検出するための分光器13を設けている。)へと導くガス出口10bなどが設けられている。
【0073】
図7から図9に示すような各実施例においては、放電部、イオン検出部のうち、一つ以上を金属の筐体で作られているため、金属の筐体を用いると外部の電磁波が遮断できるため、ノイズの低減が可能である。図10においても同様である。
【0074】
第1実施形態および第1実施例から第3実施例による本発明の検出方法および検出器により下記のことが実現できる。
【0075】
まず、イオン化源の能力を高めたヘリウムプラズマを用い、イオン化しにくく、従来検出することが困難であったハロゲン元素、および微少質量の物質に対しての高感度分析を可能にする。具体的には、水素炎などに比べてイオン化能力の高いヘリウムプラズマを使うので、感度が上がる。水素のイオン化エネルギーは13.6 eVであるのに対し、ヘリウムのイオン化エネルギーは全元素中で最大の24.6 eVである。このように、ヘリウムはイオン化エネルギーが全元素中最も高く、また、寿命の長い準安定状態を持つため、原理的に全ての元素を高い効率で被測定物質をイオン化することができる。多量のイオンと電子が生成されるため、それを電気的に検出すると、強い信号を得る事ができるため、高い分析感度を実現できる。
【0076】
また、無機系物質、有機系物質、ハロゲンの含有の有無にかかわらず、あらゆる物質の高感度検出が可能なシステムを提供することができる。
【0077】
また、プラズマと被測定物質との接触方法を工夫することで、プラズマの安定性とイオン化能力の強化を図り、高感度分析を可能にする。
【0078】
また、イオン化源にヘリウムガスだけではなく、アルゴンガス等を用いることで、検出器側で選択性を持たせることを可能にする。具体的には、プラズマの種類・組成を変更することによる検出特性の変化を有効に計測に活用することができる。
【0079】
また、検出器の筐体を金属で製作することで、壊れにくく、製造も容易でコストが安く、外部ノイズの影響を受けない機構を提供する。
【0080】
また、検出の過程で被測定物質が破壊されることを低減する。これにより、いくつかの検出機構を直列に使用し、より多くの分析情報を取得し、高い精度や確度で、かつ多物質同時分析を可能とする。特に、これは採集できる被分析試料が少量の際に有効である。
【0081】
また、検出器に危険な水素を用いる必要がない。また、分離部に使用されているヘリウムガスを、検出部でも使用することで、安全かつ追加のガスボンベや配管などを用いない、検出器を提供する。
【0082】
また、プラズマ発生用の電源として直流、交流電源を用いているので安価で無調整、対故障信頼性が高い。
【0083】
また、上記第2実施例においては、プラズマ発生室2におけるヘリウムガスおよびプラズマ発生用ガスの流出口と、イオン化室4におけるヘリウムガスおよびプラズマの流入口との間に、図7や図8(a)(b)に示したような形状を有する中継管9を嵌合させたことにより、被測定物質のイオン化効率を向上させることができ、これにより、検出感度を向上させることができる。
【0084】
<第4実施例>
図10は、第2実施形態のガスクロマトグラフ用検出器11の一実施例である第4実施例を示す縦断面拡大図である。図10(a)(b)(c)は、それぞれ、側面断面図、プラズマ発生室の要部拡大図および電極の先端部分の要部拡大図を示している。図2に示す第2実施形態と同一部分には同一符号を付してある。
【0085】
第4実施例においては、ガラス管によって大部分が形成されているプラズマ発生室12内においてバリヤ放電法によるプラズマ発生方式を採用している。具体的には、プラズマ発生用電極14の一方をガラス管の外周部に巻いたアルミテープの電極14aとしており、他方の電極14bをガラス管の中心軸部に配置した細長い金属製電極14bとしている。したがって、結果的にプラズマ発生用電極14の片側の電極14aの前に絶縁体を配置したとなっている。プラズマはガラス管の軸方向に対して長く発生するが、これをガラス管の軸方向から光ファイバー15を介して測光することで光学距離が長く取れるため、高感度分析に適した形態となっている。パイレックス(登録商標)板16は、光ファイバー15が汚れるのを防ぐためのものである。また、レンズ17はプラズマの光を集光して光ファイバー15に導き、分光器(図示せず)へ到達する光の量を増大させている。
【0086】
電極14bに用いる金属としては、融点が高いなどの理由で白金やモリブデンが好ましいが、放電の開始しやすさや安定性を重視する場合は、放射性物質を微量含む、トリウムタングステン合金、ランタンタングステン合金、セレンタングステン合金などを用いてもよい。あるいは、アメリシウムやトリウムを微量塗布、あるいはスパッタなどで付着させてもよい。白金電極などにトリウムタングステン合金などを埋め込んでもよい。
【0087】
電極14bの形状は、図10(c)のような形状を取ると、イオン化効率が高く、直径0.5mmの円柱電極を用いたときの約3倍の感度が得られる。円筒電極中心部を削り、薄型のくぼみをつけると、プラズマが安定しノイズが減少する、または感度が上昇する。また材質として白金ロジウム(成分割合は、5:5プラス・マイナス1)を用いると寿命が長くなる。なお、図10(c)に示した電極14bは、第2実施形態の検出器の電極としてのみでなく、前述した第1実施形態の第1実施例から第3実施例、第3実施形態、および第4実施形態の検出器についても用いることで、イオン化効率を向上させ、検出器の検出感度を向上させることができる。
【0088】
図11は、図10の検出器11によって得られたクロマトグラムである。従来のTCDを用いた場合と比べて、約100倍の高感度検出が実現できていることが分かった。また、従来のFPDは、光学的には、S、P、Sn化合物等限られたものにのみ選択性を持つのに対し、本実施形態のクロマトグラフ用検出器では、発光スペクトルとして250〜1000nmの範囲の波長を任意に選択することが可能である。
【0089】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0090】
例えば、プラズマの安定生成のために、放射性物質を用いて、放射性物質から放出される電子を利用してイオン化効率の向上を図ってもよい。また、紫外線、レーザー光、X線、電子ビームを照射したり、電極を加熱したり、外部磁場を印加したり、断続的に高電圧を印加するなどの手法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1、11、21、31 検出器
2、12 プラズマ発生室
3 ガスクロマトグラフ
4 イオン化室
5 イオン検出用電極
6 プラズマ発生用の電源
7 バイアス用の直流電源
8、14 プラズマ発生用電極
9 中継管
10 金属ブロック
13 分光器
15 光ファイバー
32 二段目プラズマ発光室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスと、プラズマ発生用ガスと、プラズマ発生用ガス内に発生したプラズマとの混合体内における前記被測定物質の特性を検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴とするプラズマを用いた検出方法。
【請求項2】
前記被測定物質の特性は、被測定物質のイオン化されたイオンの状態およびプラズマ発生時の発光の状態の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマを用いた検出方法。
【請求項3】
プラズマ発生用ガス内にプラズマを発生させ、当該プラズマおよびプラズマ発生用ガス内に被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスを導入して混合体とし、当該混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与して当該イオンを検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴とする請求項1に記載のプラズマを用いた検出方法。
【請求項4】
プラズマ発生用ガスと、被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスとの混合体内にプラズマを発生させて前記被測定物質を発光させ、当該発光を検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴とする請求項1に記載のプラズマを用いた検出方法。
【請求項5】
プラズマ発生用ガス内にプラズマを発生させ、当該プラズマおよびプラズマ発生用ガス内に被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスを導入して混合体とし、当該混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与して当該イオン含む混合体を取出してさらに高密度のプラズマを発生させ、当該高密度のプラズマ発生に伴うイオン、電子、発光の少なくとも1種を検出することにより前記被測定物質を検出することを特徴とする請求項1に記載のプラズマを用いた検出方法。
【請求項6】
前記プラズマ発生用ガスはヘリウムガスであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプラズマを用いた検出方法。
【請求項7】
内部に導入されたプラズマ発生用ガス内にプラズマを発生させるプラズマ発生室と、当該プラズマ発生室より導入される前記プラズマおよびプラズマ発生用ガス内に被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスを導入して混合体とし、混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、さらに当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与するイオン化室と、当該イオンを検出することにより前記被測定物質を検出するイオン検出器とを有することを特徴とするプラズマを用いた検出器。
【請求項8】
内部に導入されたプラズマ発生用ガスと、被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスとの混合体内にプラズマを発生させるプラズマ発生室と、前記プラズマの発生に伴って発光する前記被測定物質の発光を検出する発光検出器とを有することを特徴とするプラズマを用いた検出器。
【請求項9】
前記プラズマ発生室内の前記混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、さらに当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与する電界付与手段と、当該イオンを検出することにより前記被測定物質を検出するイオン検出器とを有することを特徴とする請求項8に記載のプラズマを用いた検出器。
【請求項10】
内部に導入されたプラズマ発生用ガス内にプラズマを発生させるプラズマ発生室と、当該プラズマ発生室より導入される前記プラズマおよびプラズマ発生用ガス内に被測定物質を含むサンプルガスおよびキャリアガスを導入して混合体とし、混合体内のプラズマによって被測定物質をイオン化させ、さらに当該混合体に電界を付与することにより前記被測定物質のイオンにバイアス電界を付与するイオン化室と、当該イオン化室から取出されたイオン含む混合体に高密度のプラズマを発生させる二段目プラズマ発生室と、当該高密度のプラズマ発生に伴うイオン、電子、発光の少なくとも1種を検出することにより前記被測定物質を検出する検出手段とを有することを特徴とするプラズマを用いた検出器。
【請求項11】
前記プラズマ発生用ガスはヘリウムガスであることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のプラズマを用いた検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−53078(P2011−53078A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202124(P2009−202124)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(508116975)株式会社ジェイ・サイエンス・ラボ (7)
【Fターム(参考)】