説明

プラズマディスプレイサインボード及びその製造方法

【課題】本発明は、プラズマディスプレイサインボードに関するもので、更に詳細には、製品の厚さ及び重さ、製造コストを低減させることができるプラズマディスプレイサインボード及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明によるプラズマディスプレイサインボードは、一面に放電空間が陰刻されて設けられた第1基板、第1基板の一面に結合される透明な第2基板、第1基板と第2基板の間に介在する第2放電電極、可視光線を発生するために放電空間の底に塗布される蛍光体、蛍光体を励起せるため放電空間に充填される不活性ガスを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイサインボードに関するもので、更に詳細には、製品の厚さ及び重さ、製造コストを低減させることができるプラズマディスプレイサインボード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイサインボードは、不活性ガスから放出される光を用いたディスプレイ装置である。プラズマディスプレイサインボードは、大面積の薄型に製造することができるため、大型広告看板に適している。
【0003】
図1は、従来のプラズマディスプレイサインボードの構造を示したものである。
【0004】
図1に図示された通り、従来のプラズマディスプレイサインボード10は、前面に放電電極11が取り付けられた前面ガラス12と、背面に放電電極13が取り付けられた背面ガラス14が合着されて製作される。前面ガラス12と背面ガラス14の間には、保護層15が介在し、放電による前面ガラス12の損傷を防止し、放電持続電圧を下げる役割をする。
【0005】
背面ガラス14の前面には、放電空間16が形成され、放電空間16の背部には、蛍光体17が塗布される。放電空間16には、キセノン(Xe)、ネオン(Ne)等の不活性ガスが注入される。放電空間16は、表示したい文字や図案に合わせて形成される。このようなプラズマディスプレイサインボードの製造時、放電空間16が密閉されるように背面ガラス14の前面のふちに合着用接着剤を塗布した後、前面ガラス12を背面ガラス14上に密着させて焼成処理をし、前面ガラス12と背面ガラス14を合着させる。
【0006】
このような構造のプラズマディスプレイサインボードの動作を簡単に説明すると、次の通りである。前後の放電電極11、13に電源を印加すると、放電空間16内の不活性ガスから紫外線が放出される。そして、放出された紫外線が蛍光体17を励起させると、蛍光体17から可視光線が放出され、可視光線によって表示パターンが外部に表示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来のプラズマディスプレイサインボードは、前面ガラス12の前面と背面ガラス14の背面に放電電極11、13が露出し、感電による事故の危険性が大きい。これを防止するためには、各放電電極11、13の外面に絶縁用ガラスを取り付ける必要があるが、絶縁用ガラスを取り付けると、製品の重量が重くなり、扱いが難しく、製造工程が複雑になり、製造コストが上昇するという問題点がある。
【0008】
本発明は、前記のような問題点を解決するためのものであり、感電の危険性を減少させながらも厚さが薄く、重量が軽く、製造工程が簡素化され、製造コストを下げることができるプラズマディスプレイサインボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボードは、一面に放電空間が陰刻されて設けられた第1基板、前記放電空間での放電を誘導するために、前記第1基板の前記一面と対向する他面に積層される第1放電電極、前記放電空間を密閉するために前記第1基板の一面に結合される透明な第2基板、前記第1放電電極と共に前記放電空間での放電を誘導するために前記第1基板と前記第2基板の間に介在する第2放電電極、可視光線を発生するために前記放電空間の底に塗布される蛍光体、前記蛍光体を励起させるため前記放電空間に充填される不活性ガスを含む。
【0010】
前記第2放電電極は、前記放電空間から外れるように、前記放電空間の周囲に配置することができる。
【0011】
前記第2放電電極は、前記放電空間が設けられた前記第1基板の一面に積層することができる。
【0012】
本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボードは、前記第1放電電極及び前記第2放電電極に電源を供給するために、前記第1放電電極及び前記第2放電電極にそれぞれ接続される第1電源供給電極及び第2電源供給電極を更に含むことができる。
【0013】
前記第2放電電極は、前記第1基板に積層され、前記第2基板は、前記第2放電電極を部分的に覆うように前記第1基板と結合され、前記第2電源供給電極は、前記第2放電電極の前記第2基板により覆われない部分に積層することができる。
【0014】
前記第2放電電極は、前記第2基板に積層され、前記第1基板は、前記第2放電電極を部分的に覆うように前記第2基板と結合され、前記第2電源供給電極は、前記第2放電電極の前記第1基板により覆われない部分に積層することができる。
【0015】
前記目的を達成するための本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボードの製造方法は、a)第1基板を準備する段階、b)前記第1基板の一面に第1放電電極を蒸着する段階、c)前記第1基板の前記一面と対向する他面に第2放電電極を蒸着する段階、d)前記第1基板の前記第2放電電極が蒸着された部分の中で一部分を除去して放電空間を設ける段階、e)前記放電空間の底に蛍光体を塗布する段階、f)透明な第2基板を準備する段階、g)前記透明な第2基板を前記放電空間を密閉するように前記第1基板の前記放電空間が設けられた面に取り付ける段階、h)前記放電空間の空気を排出して前記放電空間を真空にする段階、i)真空になった前記放電空間に不活性ガスを注入する段階を含む。
【0016】
前記のd)の段階は、サンドブラスティング方法を用いることができる。
【0017】
本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボードの製造方法は、前記g)の段階以降に、前記第1放電電極及び前記第2放電電極にそれぞれ電源供給のための電源供給電極を取り付ける段階を更に含むことができる。
【0018】
前記目的を達成するための本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの製造方法は、a)第1基板を準備する段階、b)前記第1基板の一面に第1放電電極を蒸着する段階、c)前記第1基板の一面と対向する前記第1基板の他面を部分的に除去して陰刻された放電空間を設ける段階、d)前記放電空間の底に蛍光体を塗布する段階、e)透明な第2基板を準備する段階、f)前記第2基板の一面に第2放電電極を蒸着する段階、g)前記第1基板の前記放電空間が設けられた面と前記第2基板の前記第2放電電極が蒸着された面が接するように前記第1基板と前記第2基板を合着する段階、h)前記放電空間の空気を排出して前記放電空間を真空にする段階、i)真空になった前記放電空間に不活性ガスを注入する段階を含む。
【0019】
本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの製造方法は、前記g)の段階以前に、前記第1基板と前記第2基板中いずれかに排気穴を穿孔する段階を更に含み、前記h)の段階は、前記排気穴を介して前記放電空間の空気を排出して、前記i)の段階は、前記排気穴を介して前記放電空間に前記不活性ガスを注入することができる。
【0020】
前記d)の段階は、d−1)マスキングテープで前記放電空間を部分的に覆う段階、d−2)前記蛍光体を前記マスキングテープで覆われていない前記放電空間の一部分に塗布する段階を含むことができる。
【0021】
本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの製造方法は、前記g)の段階以前に、第1基板の前記放電空間が設けられた面と前記第2基板の前記第2放電電極が蒸着された面のいずれかに、前記第1基板及び前記第2基板を接着するための接着シールを塗布する段階を更に含むことができる。
【0022】
前記g)の段階は、前記第1基板及び前記第2基板を互いに密着させた状態で焼成処理をし、前記接着シールを前記第1基板及び前記第2基板に固着させる段階を含むことができる。
【0023】
前記c)の段階は、c−1)表示したい図案が穴の形態で用意されたシートを準備する段階、c−2)前記シートを前記第1基板の前記第1放電電極が蒸着されていない他面に取り付ける段階、c−3)前記第1基板をサンドブラスティング処理して前記第1基板の他面を前記図案の形態で部分除去する段階を含むことができる。
【0024】
本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの製造方法は、前記i)の段階以降に、前記第1放電電極及び前記第2放電電極にそれぞれ電源を供給するための電源供給電極を取り付ける段階を更に含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
前記の通り、本発明は、製品の前面に現れる絶縁性材質の基板の背面に放電電極を配置することにより、感電の危険性を減らしながらも重さが軽い反面、製造工程が簡素化され、製造コストを下げることができる効果がある。
【0026】
また、本発明は、背面ガラスの両面で放電空間に該当する部分にのみ放電電極を形成することにより、放電電極の面積を減らして消費電力を減少させることができる効果がある。
【0027】
また、本発明は、消費電力が減少するほど電源の効率が増加し、外側に表示される表示パターンの輝度を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来のプラズマディスプレイサインボードの構造を示した断面図
【図2】本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボードを示す断面図
【図3a】本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボードを製造する一部過程を示す図
【図3b】本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボードを製造する一部過程を示す図
【図3c】本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボードを製造する一部過程を示す図
【図4】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードを示す断面図
【図5a】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板に第1放電電極と放電空間を用意する過程を示す図
【図5b】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板に第1放電電極と放電空間を用意する過程を示す図
【図5c】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板に第1放電電極と放電空間を用意する過程を示す図
【図5d】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板に第1放電電極と放電空間を用意する過程を示す図
【図5e】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板に第1放電電極と放電空間を用意する過程を示す図
【図5f】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板に第1放電電極と放電空間を用意する過程を示す図
【図5g】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板に第1放電電極と放電空間を用意する過程を示す図
【図6a】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板に合着するための第2基板を準備する過程を示す図
【図6b】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板に合着するための第2基板を準備する過程を示す図
【図7a】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板及び第2基板を合着する過程を示す図
【図7b】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板及び第2基板を合着する過程を示す図
【図7c】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板及び第2基板を合着する過程を示す図
【図7d】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板及び第2基板を合着する過程を示す図
【図7e】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板及び第2基板を合着する過程を示す図
【図7f】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板及び第2基板を合着する過程を示す図
【図7g】本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードの第1基板及び第2基板を合着する過程を示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施例によるプラズマディスプレイサインボードについて詳しく説明する。
【0030】
本発明を説明するにあたり、図面に図示された構成要素の大きさや形状等は、説明の明瞭性と便宜上誇張されたり簡略化されて表示されることがある。また、本発明の構成及び作用を考慮して、特別に定義された用語は、ユーザー、オペレータの意図または習慣によって異なる場合がある。これらの用語は、本明細書全体に及ぶ内容をもとに、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されるべきである。
【0031】
図2は本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボードを示す断面図である。
【0032】
図2に図示された通り、本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボード100は、第1基板110、第2基板120、第1放電電極130及び第2放電電極140を含む。第1放電電極130は、第1基板110の一面(図面で下部面)に積層され、第2放電電極140は、第1基板110の他面(図面で上部面)に積層される。そして、第2基板120は、第2放電電極140を覆うように第1基板110の一面に結合される。第1放電電極130と第2放電電極140の各外面には、外部電源を供給するための第1電源供給電極150及び第2電源供給電極160が連結される。
【0033】
ここで、第2基板120は、ガラスのように透明で電気絶縁性を有する素材からなる。第1基板110は、第2基板120と同じ素材でもよく、電気絶縁性を有する他の素材から形成されてもよい。第2基板120は、その大きさが第1基板110よりも小さく、第2基板120は、第1基板110に積層された第2放電電極140を部分的に覆う。第2電源供給電極160は、第2放電電極140の第2基板120によって覆われていない部分に積層される。これは、製造時の第2電源供給電極160の取り付け作業を円滑にするためのもので、第2放電電極140が外部に露出していることで、第2電源供給電極160を容易に第2放電電極140に取り付けることができるのである。このために、第1基板110と第2基板120の大きさを同じ大きさにし、第2基板120が一方に偏よるように第1基板110に結合する方法を利用することもできる。
【0034】
第1基板110の他面には、第1基板110の一部が削除され、陰刻された放電空間170が設けられ、放電空間170の底には、蛍光体180が塗布される。放電空間170は、表示したい文字や記号等の表示パターンに合わせて形成される。放電空間170には、キセノン(Xe)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)またはこれらの混合ガス等、放電のための不活性ガスが注入される。
【0035】
図面には、第1放電電極130が第1基板110の一面全体に付着したように図示されているが、第1放電電極130は、放電空間170に対応する部分及びその周辺のみに取り付けられたものである。また、第2放電電極140も、第1基板110の他面で放電空間170を除いたすべての部分に付着したように図示されているが、第2放電電極140は、放電空間170の周辺にのみ取り付けられる。
【0036】
このような本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボード100は、第1放電電極130及び第2放電電極140に電力が印加されると、放電空間170内の不活性ガスから紫外線が放出される。そして、放出された紫外線が放電空間170内の蛍光体180を励起させると、蛍光体180から可視光が放出され、放出される可視光線によって放電空間170の形状に対応する表示パターンが第2基板120の一面を介して外部に表示される。
【0037】
このような本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボード100は、表示パターンが外部に表示される第2基板120の外面に放電電極が設けられておらず、第2基板120自体が絶縁板として使用される。したがって、別途絶縁板を設ける必要が無く、従来に比べて製品の厚さを薄くすることができ、重量が軽くなり、製造工程が単純になる。また、外部に露出される必要がない第1基板110及び第2放電電極140を壁や床等に適切に配置すれば、第1放電電極130側にも別途絶縁板を設置する必要がない。
【0038】
また、本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボード100は、放電電極130、140が放電空間170の周辺部のみに配置されることにより、放電電極130、140の面積が小さくなり、消費電力を低減させることができる効果がある。
【0039】
図3aないし図3cは、本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボードを製造する過程を示す。
【0040】
まず、図3aに図示されている通り、第1基板210を準備した後、第1基板210のいずれかの面にマスクパターン215を取り付ける。ここで、マスクパターン215には金属からなる金属製マスクを利用することができる。マスクパターン215は、開口部217を有しており、この開口部217は、表示したい表示パターンに対応する形で、表示パターンよりも大きい面積から形成される。もちろん、開口部217が必ずしも表示パターンに対応する形として形成される必要はない。開口部217は、電源供給のための延長電極部(240b;図3c参照)に対応する部分を有する。
【0041】
これらのマスクパターン215は、第1基板210の他面にも取り付けられる。説明の便宜のため、図3aで第1基板210の他面に取り付けられたマスクパターンは省略した。
【0042】
第1基板210の両面にマスクパターン215を取り付けた後、放電電極に利用される酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、以下ITOとする)を蒸着する。ここで、ITOは酸化インジウム、酸化スズまたは酸化亜鉛等、透明電極として使用することができる他の物質に置き換えることができる。
【0043】
第1基板210にITOを蒸着した後、マスクパターン215を除去すると、図3bに図示された通り、第1基板210にマスクパターン215の開口部217の形で透明電極225が形成される。形成された透明電極225は、マスクパターン215の開口部217の形で表示パターンよりも大きな面積の第1部分225aと、電源供給のための第2部分225bを含む。
【0044】
透明電極225を形成した後、図3cに図示され通り、透明電極225の第1部分225aを表示したい表示パターンに合わせて部分的に除去する。この時、サンドブラスティング(Sand Blasting)、研磨(Grinding)、レーザー加工等、様々な加工方法を利用できる。
【0045】
このような方法を通して、透明電極225と第1基板210の前面の一部が除去され、表示パターンに対応する放電空間270が形成され、放電空間270の周囲に第2放電電極240が設けられる。ここで、第2放電電極240は、放電空間270の周囲部分240aと、電源供給のためにこの部分から延長された延長電極部240bを意味する。
【0046】
第2放電電極240を形成するにおいて、サンドブラスティング方法を使用する場合は、表示パターンに対応する図案が穴の状態で用意されたサンドシートのような保護用シートを第1基板210の一面に取り付けた後、サンドブラスティングを実行する。
【0047】
前述と同様、第1基板210の他面にもマスクパターン215の開口部217の形で透明電極が蒸着される。このように第1基板210の他面に蒸着される透明電極は、そのまま第1放電電極を形成することになる。
【0048】
第1基板210に第1放電電極及び第2放電電極を蒸着した後、放電空間270の底面に蛍光体を塗布する。次に、第1基板210の一面に第2放電電極240を覆うように第2基板を合着した後、焼成処理をし、第1基板210と第2基板を固着させる。
【0049】
その後、排気チップを取り付けて放電空間270を真空状態にした後、真空状態の放電空間270に不活性ガスを注入する。最後に、第1放電電極及び第2放電電極240に電力供給のための電源供給電極を取り付ける。これらの電源供給電極には電極テープや電極ペーストを利用することができる。
【0050】
一方、図4は本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードを概略的に示した断面図である。
【0051】
図4に図示された通り、本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボード300は、第1基板310、第2基板320、第1放電電極330及び第2放電電極340を含む。第1放電電極330は、第1基板310の一面(図面で下部面)に積層され、第2放電電極340は、第2基板320の一面(図面で下部面)に積層される。第2基板320は、第1基板310の他面(図面で上部面)に結合され、第2放電電極340は、第1基板310と第2基板320の間に配置される。第1放電電極330と第2放電電極340には、外部電源を供給するための第1電源供給電極360及び第2電源供給電極350が取り付けられる。
【0052】
第2基板320は、ガラスのように透明で、電気絶縁性のある素材からなる。第1基板310は、第2基板320と同じ素材でもよく、電気絶縁性がある他の素材から形成されてもよい。第1基板310は、その大きさが第2基板320よりも小さく、第2基板320に積層された第2放電電極340は、第1基板310によって部分的に覆われる。第2電源供給電極360は、第2放電電極340の第1基板310によって覆われていない部分に積層される。
【0053】
第1基板310の他面には、第1基板310の一部が除去され陰刻された放電空間370が設けられ、放電空間370の底には、蛍光体380が塗布される。放電空間370は、表示したい文字や図案に合わせて形成される。放電空間370には、キセノン(Xe)、ネオン(Ne)等の放電のための不活性ガスが注入される。放電空間370は、第2放電電極340が蒸着された第2基板320が第1基板310に合着することで密閉される。第1基板310と第2基板320は、接着シール390によって互いに接着する。
【0054】
図面には、第1放電電極330が第1基板310の一面で、放電空間370を除くすべての部分に取り付けられたように図示されているが、第1放電電極330は、放電空間370の周辺にのみ取り付けることができる。同様に、第2放電電極340も、放電空間370の周辺にのみ取り付けることができる。
【0055】
このような本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボード300の動作は、前述した本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボード100と同じである。つまり、第1放電電極330及び第2放電電極340に電源が印加されれば、放電空間370内の不活性ガスから紫外線が放出され、放出された紫外線が放電空間370内の蛍光体380を励起させると、蛍光体380から可視光線が放出される。このように放出される可視光線によって、放電空間370の形状に対応する表示パターンが第2基板320の他面を介して外部に表示される。
【0056】
このような本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボード300は、表示パターンが外部に表示される第2基板320の外面に放電電極が設けられておらず、第2基板320自体が絶縁板として使用される。したがって、別途絶縁板を用意する必要がなく、従来に比べて製品の厚さが薄くなり、重量が軽くなり、製造工程が単純になる。
【0057】
一方、本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボード300は、第2放電電極340が放電空間370に露出されていて、放電空間370においてプラズマが発生した場合、第2放電電極340に電子が衝突する現象が発生し得る。しかし、このような現象は、第1放電電極330及び第2放電電極340に印加される電流の周波数を適切に調節することで抑制することができる。
【0058】
図5aないし図7fは、本発明の他の実施例によるプラズマディスプレイサインボードを製造する過程を示す。
【0059】
図5aないし図5gは、第1基板410に第1放電電極430と放電空間470を用意する工程として、まず、図5aに図示された通り、第1基板410の一面に第1放電電極430を蒸着する。第1放電電極430は、ITO、酸化インジウム、酸化スズまたは酸化亜鉛等の透明電極に利用される物質から形成されるもので、第1基板410の一面全体または以降の工程から形成される放電空間470の周辺にのみに設けることができる。
【0060】
第1放電電極430の蒸着工程は、前述した本発明の一実施例によるプラズマディスプレイサインボードを製造する工程と同じであるため、詳細な説明は省略する。図示されなかったが、第1放電電極430の蒸着後、第1基板410の角を面取りする工程、第1基板410を洗浄した後に乾燥する工程を行うこともできる。
【0061】
次に、図5bに図示された通り、第1基板410に排気穴411を形成する。この時、排気穴411は、以降の工程で形成される放電空間470と重ならないように、第1基板410の端側に形成する方が良い。排気穴411の加工は、ドリル415等、様々な穿孔装置を利用することができる。
【0062】
次に、図5cに図示された通り、第1放電電極430が設けられていない第1基板410の他面に、表示したい表示パターンに対応する図柄436が用意されたシート435を取り付ける。もちろん、シート435を取り付ける前に、シート435を図案436に合わせてカットする作業が先行する。ここで、シート435には、サンドシートを利用することができる。
【0063】
次に、図5dに図示された通り、サンドブラスティング工程を実行する。この時、第1基板410の他面には、図柄436に対応する形状に削られて放電空間470が形成される。本発明において、第1基板410に放電空間470を形成する方法は、サンドブラスティング以外に研磨、レーザー加工等、様々な加工方法を利用できる。図示されなかったが、サンドブラスティング工程後には、研磨工程、洗浄工程、乾燥工程等を行うこともできる。
【0064】
第1基板410に放電空間470を設けた後、図5e及び5fに図示された通り、放電空間470に蛍光体480を塗布する。この時、マスキ??ングテープ438を利用して様々な種類の蛍光体480を放電空間470に部分的に塗布することができる。つまり、図5eに図示された通り、まず、マスキングテープ438に一部の放電空間470を覆い、蛍光体480を、マスキングテープ438に覆われていない放電空間470に塗布する。その後、図5fに図示された通り、マスキングテープ438に放電空間470の残りの部分を覆った後、放電空間470の他の一部に他の種類の蛍光体480を塗布する。これらの工程を介して、様々な色相の表示パターンを表すことができる。
【0065】
蛍光体480の塗布後、図5gに図示された通り、第1基板410からシート435を除去する。
【0066】
図6a及び6bは、前述した工程を終えた第1基板410に合着するための第2基板420を準備する工程である。
【0067】
まず、図6aに図示された通り、第2基板420の一面に第2放電電極440を蒸着する。第2放電電極440を蒸着する工程は、前述した第1放電電極430を蒸着する工程と同じである。図示されなかったが、第2放電電極440の蒸着後、第2基板420の角を面取りする工程、第2基板420を洗浄した後、乾燥する工程を行うこともできる。
【0068】
第2放電電極440を蒸着した後、図6bに図示された通り、第2放電電極440が蒸着した第2基板420の一面に接着シール490を塗布する。図面に図示されなかったが、接着シール490を塗布した後、第2基板420を焼成処理をし、接着シール490を第2基板420に固着させる工程を行うこともできる。
【0069】
このように第1基板410及び第2基板420が用意できれば、これらを合着する。図7aないし7gは、第1基板410及び第2基板420を合着する工程を示す。
【0070】
まず、図7a及び7bに図示された通り、第1基板410の放電空間470が設けられた面と第2基板420の第2放電電極440が設けられた面が向かい合うように第1基板410及び第2基板420を重ねた後、これらをクランプ444で固定する。また、図7bに図示された通り、第1基板410に設けられた排気穴411に排気チップ446を結合する。次に、これらの第1基板410及び第2基板420のユニットを焼成処理する。この時、接着シール490によって第1基板410及び第2基板420が強固に付着する。
【0071】
次に、図7cに図示された通り、排気チップ446を介して第1基板410及び第2基板420の間の放電空間470から空気を排出し、放電空間470を真空にする。放電空間470を真空にした後、図7dに図示された通り、排気チップ446を介して不活性ガスを注入する。このような空気排出及び不活性ガス注入は、接着シール490の中側の領域に設けられる第1基板410及び第2基板420の間の微細な隙間を介して成すことができる。
【0072】
次に、図7eに図示された通り、トーチ448を利用して、排気チップ446を切断し、排気穴411を塞ぐことで放電空間470を外部と完全に遮断する。
【0073】
次に、図7fに図示された通り、第1放電電極430及び第2放電電極440にそれぞれ第1電源供給電極450及び第2電源供給電極460を取り付ける。それぞれの電源供給電極450、460は、電極テープを貼り付けたり、電極ペーストを塗布することで備えることができる。第1放電電極430及び第2放電電極440は、いずれも外部に露出しているため、第1電源供給電極450及び第2電源供給電極460の取り付け作業を円滑に行うことができる。
【0074】
最後に、図7gに図示された通り、それぞれの電源供給電極450、460に電線465を連結し、製品を完成させる。もちろん、第1基板410及び第2基板420の各外部面に透明なシールドを取り付けることもできる。
【0075】
一方、前述のようなプラズマディスプレイサインボードの製造過程において、放電空間470から空気を排出し、放電空間470に不活性ガスを注入するための排気穴411は、第1基板410ではない第2基板420に形成することもできる。また、第1基板410及び第2基板420を接着するための接着シール490は、第1基板410に塗布することもできる。
【0076】
前記で説明し、図面に図示された本発明の実施例は、本発明の技術的思想を限定するものと解釈されてはならない。本発明の保護範囲は、特許請求範囲に記載された事項によってのみ制限され、本発明の技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想を様々な形で改良変更をすることが可能である。したがって、これらの改良及び変更は、当該技術分野における通常の知識を有する者に自明なものである限り、本発明の保護範囲に属するようになるのである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によるプラズマディスプレイサインボードは、重量が軽く、感電の危険が少なく安全で、低コストで生産が可能であり、看板、交通情報表示板、案内板等の広告や情報提供のための様々なディスプレイ分野に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に放電空間が陰刻されて設けられた第1基板;
前記放電空間での放電を誘導するために、前記第1基板の前記一面と対向する他面に積層される第1放電電極;
前記放電空間を密閉するために前記第1基板の一面に結合される透明な第2基板;
前記第1放電電極と共に前記放電空間での放電を誘導するために前記第1基板と前記第2基板の間に介在する第2放電電極;
可視光線を発生するために前記放電空間の底に塗布される蛍光体、及び
前記蛍光体を励起せるため前記放電空間に充填される不活性ガス、を含むことを特徴とするプラズマディスプレイサインボード。
【請求項2】
前記第2放電電極は、前記放電空間から外れるように前記放電空間の周囲に配置されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイサインボード。
【請求項3】
前記第2放電電極は、前記放電空間が設けられた前記第1基板の一面に積層されることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイサインボード。
【請求項4】
前記第1放電電極及び前記第2放電電極に電源を供給するために、前記第1放電電極及び前記第2放電電極にそれぞれ接続される第1電源供給電極及び第2電源供給電極を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイサインボード。
【請求項5】
前記第2放電電極は、前記第1基板に積層され、前記第2基板は、前記第2放電電極を部分的に覆うように前記第1基板と結合され、前記第2電源供給電極は、前記第2放電電極の前記第2基板により覆われない部分に積層されることを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイサインボード。
【請求項6】
前記第2放電電極は、前記第2基板に積層され、前記第1基板は、前記第2放電電極を部分的に覆うように前記第2基板と結合され、前記第2電源供給電極は、前記第2放電電極の前記第1基板により覆われない部分に積層されることを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイサインボード。
【請求項7】
a)第1基板を準備する段階;
b)前記第1基板の一面に第1放電電極を蒸着する段階;
c)前記第1基板の前記一面と対向する他面に第2放電電極を蒸着する段階;
d)前記第1基板の前記第2放電電極が蒸着された部分の中で一部を除去して放電空間を設ける段階;
e)前記放電空間の底に蛍光体を塗布する段階;
f)透明な第2基板を準備する段階;
g)前記透明な第2基板を前記放電空間を密閉するように前記第1基板の前記放電空間が設けられた面に取り付ける段階;
h)前記放電空間の空気を排出して前記放電空間を真空にする段階、及び
i)真空になった前記放電空間に不活性ガスを注入する段階;を含むことを特徴とするプラズマディスプレイサインボードの製造方法。
【請求項8】
前記d)の段階は、サンドブラスティング方法を利用することを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイサインボードの製造方法。
【請求項9】
前記g)の段階以降に、前記第1放電電極及び前記第2放電電極にそれぞれ電源供給のための電源供給電極を取り付ける段階を更に含むことを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイサインボードの製造方法。
【請求項10】
a)第1基板を準備する段階;
b)前記第1基板の一面に第1放電電極を蒸着する段階;
c)前記第1基板の一面と対向する前記第1基板の他面を部分的に除去して陰刻された放電空間を設ける段階;
d)前記放電空間の底に蛍光体を塗布する段階;
e)透明な第2基板を準備する段階;
f)前記第2基板の一面に第2放電電極を蒸着する段階;
g)前記第1基板の前記放電空間が設けられた面と前記第2基板の前記第2放電電極が蒸着された面が接するように前記第1基板と前記第2基板を合着する段階;
h)前記放電空間の空気を排出して前記放電空間を真空にする段階;及び
i)真空になった前記放電空間に不活性ガスを注入する段階;を含むことを特徴とするプラズマディスプレイサインボードの製造方法。
【請求項11】
前記g)の段階以前に、前記第1基板と前記第2基板中いずれかに排気穴を穿孔する段階を更に含み、
前記h)の段階は、前記排気穴を介して前記放電空間の空気を排出して、前記i)の段階は、前記の排気穴を介して前記放電空間に前記不活性ガスを注入することを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイサインボードの製造方法。
【請求項12】
前記d)の段階は、
d−1)マスキングテープで前記放電空間を部分的に覆う段階、
d−2)前記蛍光体を、前記マスキングテープで覆われていない前記放電空間の一部に塗布する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイサインボードの製造方法。
【請求項13】
前記g)の段階以前に、第1基板の前記放電空間が設けられた面と前記第2基板の前記第2放電電極が蒸着された面のいずれかに、前記第1基板及び前記第2基板を接着するための接着シールを塗布する段階を更に含むことを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイサインボードの製造方法。
【請求項14】
前記g)の段階は、前記第1基板及び前記第2基板を互いに密着させた状態で焼成処理をし、前記接着シールを前記第1基板及び前記第2基板に固着させる段階を含んでいることを特徴とする請求項13に記載のプラズマディスプレイサインボードの製造方法。
【請求項15】
前記c)の段階は、
c−1)表示したい図案が穴の形態で用意されたシートを準備する段階、
c−2)前記シートを前記第1基板の前記第1放電電極が蒸着されていないに他面に取り付ける段階、
c−3)前記第1基板をサンドブラスティング処理して前記第1基板の他面を前記図柄の形態で部分除去する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイサインボードの製造方法。
【請求項16】
前記i)の段階以降に、前記第1放電電極及び前記第2放電電極にそれぞれ電源供給のための電源供給電極を取り付ける段階を更に含むことを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイサインボードの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図5g】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図7f】
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【図7g】
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【公表番号】特表2013−506956(P2013−506956A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532012(P2012−532012)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006657
【国際公開番号】WO2011/040767
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(512082222)ルミピア カンパニーリミティッド (1)
【Fターム(参考)】