説明

プラズマディスプレイパネルの画像評価方法

【課題】プラズマディスプレイパネルにおいて発生する放電セル単位の輝度むらについての適切な評価、検査を可能とする。
【解決手段】プラズマディスプレイパネルの画像を撮像し、撮像した画像に対して孤立点除去処理を行い、この孤立点除去処理を行った画像に対して、対象画素の画像データとその周辺画素の画像データとの差分に基づく量を前記対象画素の画像データとする周辺比較処理を行い、この周辺比較処理を行った画像に対して、対象画素の近傍領域内の画素における画像データのうち最大値を前記対象画素の画像データとする最大値フィルタ処理を行い、この最大値フィルタ処理を行った画像に対して、対象画素の近傍領域内の画素における画像データのうち最小値を前記対象画素の画像データとする最小値フィルタ処理を行い、この最小値フィルタ処理を行った画像に対して2値化処理を行い、この2値化処理を行った画像を用いて評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルに表示される画像を評価するための画像評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネルは、前面基板と背面基板とを、間に放電空間が形成されるように対向配置して周辺部を封着し、放電空間に希ガスを封入して構成されている。前面基板上には走査電極と維持電極とからなる表示電極が複数形成され、背面基板上には表示電極と直交する方向にアドレス電極が複数形成されており、表示電極とアドレス電極との立体交差部には単位発光領域である放電セルが形成される。このプラズマディスプレイパネルでは、表示電極とアドレス電極とに所定の電圧を印加して各放電セルで選択的に放電を発生させ、各放電セルに形成された蛍光体層が放電によって発光することにより、画像表示が行われる。
【0003】
このようなプラズマディスプレイパネルを製造するときにはパネルの性能を評価する必要があり、例えば特許文献1には、プラズマディスプレイパネルの性能を評価する方法について開示されている。
【特許文献1】特開平11−86731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラズマディスプレイパネルには、輝度のばらつきが無い均一な表示画像が望まれる。しかしながら実際の表示画像においては、プラズマディスプレイパネルを構成する各放電セルにおける放電開始電圧のばらつきが顕著になることなどの原因によって、放電セル毎の発光輝度の差が大きくなるために輝度むらが発生する可能性があり、もし人がこのときの表示画像を目視した場合、表示画像にザラツキ感を感じることになる。ここでいう輝度むらは、放電セル毎の輝度差によって生じる輝度むら(放電セル単位の輝度むら)であり、微小な範囲内で生じる輝度むらである。このような輝度むらについてもパネル検査工程において評価する必要がある。
【0005】
しかしながら実際の検査においては、放電セル単位の輝度むらを定量的に評価、検査する方法がなく、放電セル単位の輝度むらの検査は検査員の目視評価によって行わざるを得ない状況である。しかし、検査員の目視評価による検査は、人の感覚が検査に影響を与える官能検査であり、検査員によって評価値が異なるということがあり得る。また、検査員の体調などによっても評価値が異なる可能性があり、常に同じ基準で評価を行うことは困難である。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、プラズマディスプレイパネルにおいて発生する放電セル単位の輝度むらについての適切な評価、検査を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、撮像手段によりプラズマディスプレイパネルの画像を撮像し、撮像した画像に対して孤立点除去処理を行うステップと、この孤立点除去処理を行った画像に対して、対象画素の画像データとその周辺画素の画像データとの差分に基づく量を前記対象画素の画像データとする周辺比較処理を行うステップと、この周辺比較処理を行った画像に対して、対象画素の近傍領域内の画素における画像データのうち最大値を前記対象画素の画像データとする最大値フィルタ処理を行うステップと、この最大値フィルタ処理を行った画像に対して、対象画素の近傍領域内の画素における画像データのうち最小値を前記対象画素の画像データとする最小値フィルタ処理を行うステップと、この最小値フィルタ処理を行った画像に対して2値化処理を行うステップと、この2値化処理を行った画像を用いてプラズマディスプレイパネルの画像を評価するステップとを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの画像評価方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プラズマディスプレイパネルに発生し得る、放電セル単位の輝度むらについての評価を定量的に行うことができ、その輝度むらについての適切な評価、検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の請求項1に記載の発明は、一対の基板間に複数の放電セルを有し、各放電セルにおいて放電を発生させることにより画像表示を行うプラズマディスプレイパネルの画像評価方法において、撮像手段によりプラズマディスプレイパネルの画像を撮像し、撮像した画像に対して孤立点除去処理を行うステップと、この孤立点除去処理を行った画像に対して、対象画素の画像データとその周辺画素の画像データとの差分に基づく量を前記対象画素の画像データとする周辺比較処理を行うステップと、この周辺比較処理を行った画像に対して、対象画素の近傍領域内の画素における画像データのうち最大値を前記対象画素の画像データとする最大値フィルタ処理を行うステップと、この最大値フィルタ処理を行った画像に対して、対象画素の近傍領域内の画素における画像データのうち最小値を前記対象画素の画像データとする最小値フィルタ処理を行うステップと、この最小値フィルタ処理を行った画像に対して2値化処理を行うステップと、この2値化処理を行った画像を用いてプラズマディスプレイパネルの画像を評価するステップとを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの画像評価方法である。
【0010】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、最大値フィルタ処理および最小値フィルタ処理をそれぞれ複数回行うことを特徴とする。
【0011】
また請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、周辺比較処理における対象画素と周辺画素との間に存在する画素は10画素以下であることを特徴とする。
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
まず、プラズマディスプレイパネルの構造について要部を示す斜視図である図1を用いて説明する。図1に示すように、前面パネル1は、ガラス製の前面基板2上に、走査電極3および維持電極4からなる表示電極対を複数形成し、その表示電極対を覆うように誘電体ガラスからなる誘電体層5を形成し、誘電体層5上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層6を形成して構成されている。
【0014】
一方、前面パネル1に対向配置された背面パネル7は、ガラス製の背面基板8上に、アドレス電極9を複数形成し、そのアドレス電極9を覆うように誘電体層10を形成し、その誘電体層10上にアドレス電極9と平行な複数の隔壁11を形成し、さらに隣接する隔壁11の間にそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に発光する蛍光体層12を形成して構成されている。アドレス電極9は隣接する隔壁11の間に位置している。
【0015】
走査電極3および維持電極4とアドレス電極9とが直交するように、一対の基板である前面基板2と背面基板8とが対向配置され、これら基板の周辺部を封着部材(図示せず)を用いて封着している。前面基板2と背面基板8との間に形成された放電空間にネオンおよびキセノンからなる放電ガスを封入しており、走査電極3および維持電極4とアドレス電極9との立体交差部に放電セルが形成される。すなわち、一対の基板間に複数の放電セルを有している。この放電セルは画像を表示するときの単位発光領域であり、R、G、Bの各色に発光する蛍光体層12が形成された隣接する3つの放電セルによって1つの画素を形成する。
【0016】
このプラズマディスプレイパネルでは、各放電セルにおいて放電を発生させることにより画像表示を行う。すなわち、走査電極3に順次走査パルスを印加するとともに画像データに基づいてアドレス電極9にアドレスパルスを印加することで表示する放電セルを選択した後、走査電極3と維持電極4とに交互に維持パルスを印加することによって、選択した放電セルにおいて維持放電を起こす。これにより、維持放電が起こった放電セルでは、紫外線が発生し、その紫外線で励起された蛍光体層12から各色の可視光が放出されて、画像表示が行われる。
【0017】
次に、このようなプラズマディスプレイパネルについてパネル検査を行うときの、放電セル単位の輝度むらを評価する方法について説明する。図2は、本発明の一実施の形態における、放電セル単位の輝度むらを定量的に評価するシステムの全体構成図である。
【0018】
図2に示すように、検査対象のプラズマディスプレイパネル13はパネル保持部14に装着され、駆動回路15によって駆動される。電源16は駆動回路15に電力を供給し、信号発生装置17は駆動回路15に信号を供給するものであり、電源16および信号発生装置17は制御装置18によって制御される。また、撮像手段であるCCDカメラなどのカメラ19はプラズマディスプレイパネル13に表示された画像を撮像して、カメラ19の画素ごとにR、G、Bそれぞれの強度データを有するデジタルの画像データとして出力する。ここで、カメラ19は、プラズマディスプレイパネル13の1つの画素に対して、カメラ19の画素が少なくとも1つ以上の画素で測定できる解像度を有するものが望ましい。また、画像記憶手段としての画像メモリ20は、カメラ19で撮像されたプラズマディスプレイパネル13の画像を画像データとして一時記憶する。そして、画像処理部21は例えばCPUを主体にして構成されており、画像メモリ20に記憶された画像データを用いて各種の処理を行って評価結果を出力する。
【0019】
図3は本実施の形態における画像評価のフローチャートであり、ステップ1からステップ8までの各ステップを順次行い、評価結果が出力される。この評価方法を用いて、プラズマディスプレイパネル13を製造する際のパネル検査工程においてパネルの良否を判定することができる。以下、各ステップについて説明する。
【0020】
まずステップ1では、パネル保持部14に設置されたプラズマディスプレイパネル13に、信号発生装置17からの信号に対応する画像を表示させる。そして、カメラ19を用いてプラズマディスプレイパネル13に表示された画像を撮像し、カメラ19の各画素における赤色、緑色、青色それぞれの強度データであるデジタルの画像データR(赤色のデータ)、G(緑色のデータ)、B(青色のデータ)を画像メモリ20に格納する。ここで、プラズマディスプレイパネル13に表示する画像は、例えば、すべての放電セルを点灯させて白色表示にする。
【0021】
次に、ステップ2において、画像メモリ20に記憶されている画像データに対して、輝度変換処理を施す。輝度変換処理は、撮像画像における各画素の画像データR、G、Bを用いて、例えば以下のような数式1を用いて変換することにより、各画素の輝度を表す画像データYを求める。もしも、画像メモリ20に格納された画像データが各画素の輝度を表すデータの場合にはステップ2を省略すればよい。
【0022】
【数1】

【0023】
次のステップ3において、ステップ2で求めた画像データYを有する画像に対し、孤立点除去処理を行う。孤立点除去処理は図4または図5に示す2通りの方法のうち、いずれかを用いることが望ましい。図4、図5において、入力画像は孤立点除去処理を行う前の画像であり、図中の数値は一部分の画素についての画像データYの値、すなわち入力画像の画像データf(x、y)の値を表している。ここで、x、yは画素の位置を特定するもので、横方向をx、縦方向をyとしている。また出力画像は、入力画像に対して孤立点除去処理を行った後の画像であり、図中の数値は対象画素についての画像データの値、すなわち出力画像の画像データF(x、y)の値を表している。ここで対象画素とは、孤立点除去処理を行う対象となる画素であり、ステップ4以降においても各処理を行う対象となる画素を対象画素という。
【0024】
孤立点除去処理の1つ目の方法は、図4に示すように、入力画像の対象画素における画像データを、近傍領域内の画素における画像データの中間値で置き換える中間値フィルタ処理である。図4の例では、近傍領域内の画素として、対象画素および対象画素を囲む8つの画素を採用している。すなわち、x方向フィルタサイズおよびy方向フィルタサイズをいずれも3としているが、この値は適宜変更することができる。そして、対象画素における中間値フィルタ処理後の画像データF(x、y)の値は、入力画像での対象画素およびその周囲8つの画素における画像データf(x、y)を大きさの順に並べたとき中央にくる値(19)となっている。
【0025】
孤立点除去処理の2つ目の方法は、図5に示すように、入力画像の対象画素における画像データを、近傍領域内の画素における画像データの平均値で置き換える平滑化フィルタ処理である。図5においても図4の場合と同様に、近傍領域内の画素として、対象画素および対象画素を囲む8つの画素を採用しているが、適宜変更することができる。そして、対象画素における平滑化フィルタ処理後の画像データF(x、y)の値は、入力画像での対象画素およびその周囲8つの画素における画像データf(x、y)の平均値(24)となっている。
【0026】
これらの中間値フィルタ処理、平滑化フィルタ処理はいずれも孤立点を除去し、画像に入ったノイズを除去、抑制することを目的とした孤立点除去処理である。
【0027】
次のステップ4では、ステップ3において孤立点除去処理を行った画像に対して周辺比較処理を行う。周辺比較処理としては、入力画像の対象画素の画像データを2方向に存在する画素の画像データと比較する1次微分処理、または4方向に存在する画素の画像データと比較する2次微分処理を用いることができる。以下、周辺比較処理について図6、図7を用いて説明するが、各図においてx、yで特定される画素での入力画像の画像データをf(x、y)とし、出力画像の画像データをF(x、y)とする。
【0028】
1次微分処理は、図6に示すように、或る対象画素の画像データをf(x、y)、対象画素の右隣に位置する画素の画像データをf(x+1、y)、対象画素の下隣に位置する画素の画像データをf(x、y+1)とすると、例えば以下に示す数式2により求められるG(x、y)の絶対値を画像データF(x、y)とするものである。すなわち、周辺画素として、対象画素の右隣および下隣に位置する2つの画素を選択しており、対象画素の画像データと周辺画素の画像データとの差分の和の大きさを、対象画素における出力画像の画像データとしている。
【0029】
【数2】

【0030】
そして、図6に示した入力画像のデータ例について数式2を用いて計算すると、
G(x、y)=2×11−30−5=−13
となるので、対象画素における出力画像の画像データF(x、y)は13となる。
【0031】
また、2次微分処理は、図7に示すように、或る対象画素の画像データをf(x、y)、対象画素の左隣に位置する画素の画像データをf(x−1、y)、対象画素の右隣に位置する画素の画像データをf(x+1、y)、対象画素の上隣に位置する画素の画像データをf(x、y−1)、対象画素の下隣に位置する画素の画像データをf(x、y+1)とすると、例えば以下に示す数式3により求められるG(x、y)の絶対値を画像データF(x、y)とするものである。すなわち、周辺画素として、対象画素の左隣、右隣、上隣および下隣に位置する4つの画素を選択しており、対象画素の画像データと周辺画素の画像データとの差分の和の大きさを、対象画素における出力画像の画像データとしている。
【0032】
【数3】

【0033】
そして、図7に示した入力画像のデータ例について数式3を用いて計算すると、
G(x、y)=4×11−51−30−55−5=−97
となるので、対象画素における出力画像の画像データF(x、y)は97となる。
【0034】
以上のように周辺比較処理では、対象画素の画像データと周辺画素の画像データとの差分に基づく量を対象画素の画像データとしている。このような周辺比較処理を行うと、対象画素の輝度がその周辺の画素の輝度に比べて大きく異なる場合には、その対象画素における出力画像の画像データが大きな値となる。すなわち、周辺比較処理を行ったときの出力画像においては、周辺の画素との輝度差が大きい画素では大きな画像データを有しており、周辺画素との輝度差が小さな画素では小さな画像データを有している。このため、大きな画像データを有している画素とその周辺近傍では放電セル単位の輝度むらが発生していると判断できる。
【0035】
なお、前述の説明では、周辺比較処理を行うときの一例として、対象画素と周辺画素とは隣接するものとしたが、例えば、対象画素の3画素右に位置する画素や、5画素上に位置する画素を周辺画素として、対象画素の画像データと周辺画素の画像データを用いて周辺比較処理を行うようにしてもよい。ただし、検出対象が放電セル単位の輝度むらであるので、対象画素と周辺画素との間に存在する画素は10画素以下であることが望ましい。
【0036】
ここで、ステップ4の周辺比較処理を施されて得られた画像に対して、或る閾値を設定し、画像データがその閾値以上となっている画素を抽出するという2値化処理を行い、その結果を画像に表したときの一例を図10に示す。図10において黒い点で表された領域は、画像データが閾値以上となっている画素が存在する領域、すなわち周辺画素との輝度差が大きい画素が存在する領域である。この段階では図10からわかるように、抽出した領域が点在しており、このため放電セル単位の輝度むらを精度よく評価することが困難である。そこで、本実施の形態では、抽出した領域が群化されるようにステップ5の最大値フィルタ処理およびステップ6の最小値フィルタ処理を行い、放電セル単位の輝度むらを精度よく評価できるようにする。
【0037】
ステップ4の次のステップ5において、ステップ4で周辺比較処理を行った画像に対して、最大値フィルタ処理を1回または複数回行う。最大値フィルタ処理は、入力画像の対象画素における画像データを、近傍領域内の画素における画像データの最大値で置き換える処理である。図8に示す最大値フィルタ処理では、近傍領域内の画素として、対象画素および対象画素を囲む8つの画素を採用している。すなわち、x方向フィルタサイズおよびy方向フィルタサイズをいずれも3としている。対象画素での出力画像の画像データF(x、y)は、入力画像における近傍領域内の画素での画像データf(x、y)の最大値(55)となっている。
【0038】
この最大値フィルタ処理によれば、近傍領域内に大きな画像データを有する画素が存在すれば、対象画素の画像データが小さい場合でも近傍領域内の最大の画像データに変換されるので、入力画像において大きな画像データを有する画素の周辺領域でも出力画像では大きな画像データを有するようになる。このため、入力画像において大きな画像データを有する点在していた画素が群化されてきて、出力画像ではある程度まとまった所定の領域を形成するようになる。
【0039】
次のステップ6において、ステップ5で最大値フィルタ処理を行った画像に対して、最小値フィルタ処理を1回または複数回行う。最小値フィルタ処理は、入力画像の対象画素における画像データを、近傍領域内の画素における画像データの最小値で置き換える処理である。図9に示す最小値フィルタ処理では、近傍領域内の画素として、対象画素および対象画素を囲む8つの画素を採用している。すなわち、x方向フィルタサイズおよびy方向フィルタサイズをいずれも3としている。対象画素での出力画像の画像データF(x、y)は、入力画像における近傍領域内の画素での画像データf(x、y)の最小値(3)となっている。
【0040】
ステップ5の最大値フィルタ処理によって、大きな画像データを有する画素が点在していたものが群化されてきて所定の領域を形成するようになるが、その所定の領域の外周部分は、前記点在していた画素群を包囲する線よりも広がっている。そこで、最小値フィルタ処理を行うことにより前記所定の領域を狭めて適正な領域になるようにする。
【0041】
最大値フィルタ処理および最小値フィルタ処理を行う回数が多くなりすぎると適正な画像評価ができなくなるので、それらの処理を行う回数は、適正な画像評価が行えるように適宜設定することになる。例えば最大値フィルタ処理および最小値フィルタ処理をそれぞれ2〜3回程度行うことにより、放電セル単位の輝度むらの評価を行うことができた。
【0042】
なお、上記の最大値フィルタ処理および最小値フィルタ処理では、x方向フィルタサイズおよびy方向フィルタサイズをいずれも3としているが、この値は適宜変更することができる。
【0043】
次のステップ7において、ステップ6で最小値フィルタ処理を行った画像に対して、或る閾値を設定し、画像データがその閾値以上となっている画素を抽出するという2値化処理を行う。ステップ1〜ステップ7の一連の処理を施された後の出力画像の一例を図11に示す。図11において、検出部Aおよび検出部Bは、前記閾値以上の画像データを有する画素が存在する領域である。
【0044】
次に、ステップ8において、ステップ7によって抽出された検出部A、Bを用いて、プラズマディスプレイパネル13の放電セル単位の輝度むらについて判定する判定処理を行う。この判定処理において使用する判定指標に関しては、検出部面積、検出部総差分和、検出部平均差分和などを用いる。ここで、検出部が複数個(図11の場合は2個)検出された場合には、検出部面積、検出部総差分和、検出部平均差分和はそれぞれの検出部について定義される。以下では検出部Aについて説明するが、検出部Bについても同様に定義される。
【0045】
検出部面積は検出部Aに含まれる総画素数である。また検出部総差分和は、ステップ6終了時の出力画像において、検出部Aの全画素について画像データの総和をとったものである。検出部平均差分和は、ステップ6終了時の出力画像において、検出部Aの全画素の画像データについての平均値であり、
検出部平均差分和=検出部総差分和/検出部面積
で計算されるものである。これらの判定指標のいずれか、あるいは複数の判定指標を組み合わせて用いることで、プラズマディスプレイパネルの放電セル単位の輝度むらを定量的に精度よく検査することが可能となる。例えば、判定指標である検出部面積、検出部総差分和および検出部平均差分和のそれぞれについて所定の判定基準値を決めておき、検出部面積、検出部総差分和および検出部平均差分和のいずれか1つでも判定基準値より大きくなる場合には、放電セル単位の輝度むらが大きく、パネルとしては不良であると判定するなど、上記判定指標を用いることで放電セル単位の輝度むらに関してパネルの良否を判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように本発明によれば、プラズマディスプレイパネルに発生し得る、放電セル単位の輝度むらについての評価を定量的に行うことができ、プラズマディスプレイパネルの検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの一部を示す斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における放電セル単位の輝度むらを評価するシステムの全体構成図
【図3】本発明の一実施の形態における画像評価の流れを説明するフローチャート
【図4】中間値フィルタ処理の説明図
【図5】平滑化フィルタ処理の説明図
【図6】1次微分処理の説明図
【図7】2次微分処理の説明図
【図8】最大値フィルタ処理の説明図
【図9】最小値フィルタ処理の説明図
【図10】周辺比較処理後の画像を2値化処理したときの画像を示す図
【図11】最小値フィルタ処理後の画像を2値化処理したときの画像を示す図
【符号の説明】
【0048】
2 前面基板
8 背面基板
13 プラズマディスプレイパネル
19 カメラ
20 画像メモリ
21 画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に複数の放電セルを有し、各放電セルにおいて放電を発生させることにより画像表示を行うプラズマディスプレイパネルの画像評価方法において、撮像手段によりプラズマディスプレイパネルの画像を撮像し、撮像した画像に対して孤立点除去処理を行うステップと、この孤立点除去処理を行った画像に対して、対象画素の画像データとその周辺画素の画像データとの差分に基づく量を前記対象画素の画像データとする周辺比較処理を行うステップと、この周辺比較処理を行った画像に対して、対象画素の近傍領域内の画素における画像データのうち最大値を前記対象画素の画像データとする最大値フィルタ処理を行うステップと、この最大値フィルタ処理を行った画像に対して、対象画素の近傍領域内の画素における画像データのうち最小値を前記対象画素の画像データとする最小値フィルタ処理を行うステップと、この最小値フィルタ処理を行った画像に対して2値化処理を行うステップと、この2値化処理を行った画像を用いてプラズマディスプレイパネルの画像を評価するステップとを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの画像評価方法。
【請求項2】
最大値フィルタ処理および最小値フィルタ処理をそれぞれ複数回行うことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの画像評価方法。
【請求項3】
周辺比較処理における対象画素と周辺画素との間に存在する画素は10画素以下であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの画像評価方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−5429(P2006−5429A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176840(P2004−176840)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】