説明

プラズマディスプレイ装置

【課題】汎用のプラズマディスプレイ装置用画像信号処理回路を複数用いて、フルハイビジョン規格を超える超高解像度の画像を表示させる。
【解決手段】超高解像度画像信号SIGをフルハイビジョン規格を超えない複数の部分画像信号SGa〜SGdに分割して出力する画像信号分割回路51と、部分画像信号SGa〜SGdの部分平均輝度レベルPLa〜PLdを算出するとともに部分画像信号SGa〜SGdを書込みパルスの有無を示す部分画像データDTa〜DTdに変換する部分信号処理回路52a〜52dと、複数の部分平均輝度レベルPLa〜PLdにもとづき超高解像度画像信号SIGの平均輝度レベルAPLを算出する平均輝度レベル算出回路53と、タイミング信号を発生するタイミング発生回路45とを備え、タイミング発生回路45は、平均輝度レベルAPLにもとづき維持期間に印加する所定の維持パルスの数を設定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルハイビジョン規格を超える解像度をもつ画像信号を表示するプラズマディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。
【0003】
前面板には走査電極と維持電極とからなる表示電極対が前面ガラス基板上に互いに平行に複数対形成され、背面板にはデータ電極が背面ガラス基板上に平行に複数形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には放電ガスが封入されている。ここで表示電極対とデータ電極との対向する部分に放電セルが形成される。
【0004】
パネルを駆動する方法としては、サブフィールド法、すなわち、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割した上で、発光させるサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行う方法が一般に用いられている。各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み動作に必要な壁電荷を各電極上に形成する。書込み期間では、表示を行うべき放電セルに選択的に書込みパルスを印加して書込み放電を発生させ壁電荷を形成する。そして維持期間では、サブフィールド毎に定められた輝度重みに比例する維持パルスを表示電極対に交互に印加し、書込み放電を起こした放電セルで維持放電を発生させ発光させることにより画像表示を行う。
【0005】
サブフィールド法を用いて画像表示輝度を向上させる技術の一つとして、表示電極対に印加する維持パルスのパルス数を制御する技術が検討されている。例えば特許文献1には、画像信号の平均輝度レベルにもとづき、各サブフィールドの維持パルス数をそれぞれ2倍、3倍と増加させて画像表示輝度を向上させる方法が記載されている。
【0006】
一方、近年はパネルの大画面化および高解像度化が進み、例えば100吋を超える大画面の画像をフルハイビジョン規格以上の高解像度で表示することができるパネルが開発されている。このようなパネルを用いた大画面・高解像度のプラズマディスプレイ装置は、テレビジョン放送や再生動画の表示以外にも、例えば広告や告知等の表示媒体として用いられるようになっている。
【0007】
1つの画像信号を複数のプラズマディスプレイ装置に表示する方法としては、1つの入力画像信号をディジタル化し、拡大分割部で拡大分割して表示し、マルチ画面プラズマディスプレイ装置を構成する方法が、例えば特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開平8−286636号公報
【特許文献2】特開平10−124003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
大画面・高解像度のパネルとして、現在はおよそ8000×4000画素のものが開発されている。また、固体撮像素子の画素数増加やコンピュータグラフィックスの信号処理技術の進歩によって、画素数が大幅に増加した超高解像度画像信号が現実のものとなってきている。
【0009】
しかしながら現状の高解像度信号としては1920×1080画素の、いわゆるフルハイビジョン規格の画像信号が標準的であり、汎用のプラズマディスプレイ装置用画像信号処理回路としてもフルハイビジョン規格対応のものが最大である。そのためフルハイビジョン規格を超える画素をもつ超高解像度のパネルにフルハイビジョン規格を超える超高解像度の画像を表示させるためには専用の画像信号処理回路を新たに設計し作成する必要があった。そのためプラズマディスプレイ装置の完成までに時間がかかり、また高価な回路を用いた高価なプラズマディスプレイ装置となっていた。
【0010】
本発明はこれらの課題に鑑みなされたものであり、汎用のプラズマディスプレイ装置用画像信号処理回路を複数用いて、フルハイビジョン規格を超える超高解像度のパネルにフルハイビジョン規格を超える超高解像度の画像を表示させることができるプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために本発明の画像表示装置は、走査電極と維持電極とデータ電極とを有する放電セルをフルハイビジョン規格を超える画素の数だけ備えたパネルと、走査電極、維持電極、データ電極のそれぞれに印加する駆動電圧波形を発生する電極駆動回路とを備え、データ電極に選択的に書込みパルスを印加して放電セルで書込み放電を発生させる書込み期間と、走査電極および維持電極に所定の数の維持パルスを印加して書込み放電を発生させた放電セルで維持放電を発生させる維持期間とを有するサブフィールドを複数用いて、フルハイビジョン規格を超える解像度をもつ画像を表示するプラズマディスプレイ装置であって、フルハイビジョン規格を超える解像度をもつ超高解像度画像信号をフルハイビジョン規格を超えない複数の部分画像信号に分割して出力する画像信号分割回路と、複数の部分画像信号のそれぞれに対して、部分画像信号の平均輝度レベルを算出して部分平均輝度レベルとして出力するとともに部分画像信号をデータ電極に印加する書込みパルスの有無を示す部分画像データに変換する部分信号処理回路と、複数の部分平均輝度レベルにもとづき超高解像度画像信号の平均輝度レベルを算出する平均輝度レベル算出回路と、電極駆動回路を制御するタイミング信号を発生するタイミング発生回路とを備え、タイミング発生回路は、平均輝度レベル算出回路から出力される平均輝度レベルにもとづき維持期間に印加する維持パルスの所定の数を設定することを特徴とする。この構成により、汎用のプラズマディスプレイ装置用画像信号処理回路を複数用いて、フルハイビジョン規格を超える超高解像度のパネルにフルハイビジョン規格を超える超高解像度の画像を表示させることができるプラズマディスプレイ装置を提供することができる。
【0012】
また本発明のプラズマディスプレイ装置の平均輝度レベル算出回路は、複数の部分平均輝度レベルの平均値として超高解像度画像信号の平均輝度レベルを算出する構成であることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、汎用のプラズマディスプレイ装置用画像信号処理回路を複数用いて、フルハイビジョン規格を超える超高解像度のパネルにフルハイビジョン規格を超える超高解像度の画像を表示させることができるプラズマディスプレイ装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態における画像表示装置について、図面を用いて説明する。
【0015】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に用いるパネル10の分解斜視図である。ガラス製の前面基板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。背面基板31上にはデータ電極32が複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色、緑色および青色の各色に発光する蛍光体層35が設けられている。
【0016】
これらの前面基板21と背面基板31とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして放電空間には、例えばネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
【0017】
ここで、赤色の蛍光体層が設けられた放電セルと緑色の蛍光体層が設けられた放電セルと青色の蛍光体層が設けられた放電セルとで1つの画素を構成する。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態に用いるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長いn本(nは偶数)の走査電極SC1〜SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜SUn(図1の維持電極23)が配列されている。またパネル10の上半分には列方向に長いm本のデータ電極D1a〜Dma(図1のデータ電極32)が配列され、パネル10の下半分には列方向に長いm本のデータ電極D1b〜Dmb(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極DjaまたはDjb(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。
【0019】
本実施の形態においては、パネル10の画素数は3840×2160画素であるとして説明する。従ってm=3840×3=11520、n=2160である。しかし本発明はこれらの値に限定するものではない。
【0020】
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作について説明する。パネル10は、サブフィールド法、すなわち1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割し、サブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御することによって階調表示を行う。それぞれのサブフィールドは初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み動作に必要な壁電荷を各電極上に形成する。書込み期間では、表示を行うべき放電セルに選択的に書込みパルスを印加して書込み放電を発生させ壁電荷を形成する。そして維持期間では、輝度重みに比例係数を乗じた数の維持パルスを表示電極対24に交互に印加して、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生させて発光させることにより画像表示を行う。このときの比例係数を、以下「輝度倍率」と呼ぶ。なお、サブフィールド構成の詳細については後述することとし、ここではサブフィールドにおける駆動電圧波形とその動作について説明する。
【0021】
図3は、本発明の実施の形態におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形を示す図である。なお、図3にはパネル10の上半分のデータ電極D1a〜Dmaおよび走査電極SC1〜SCn/2のそれぞれに印加する駆動電圧波形のみを示しているが、パネル10の下半分のデータ電極D1b〜Dmbのそれぞれに印加する駆動電圧波形もデータ電極D1a〜Dmaのそれぞれに印加する駆動電圧波形と同様であり、走査電極SCn/2+1〜SCnのそれぞれに印加する駆動電圧波形も走査電極SC1〜SCn/2のそれぞれに印加する駆動電圧波形と同様である。また1フィールド期間は複数のサブフィールド、例えば10のサブフィールドで構成されているが、図3には2つのサブフィールドの駆動電圧波形のみを示している。
【0022】
第1サブフィールドの初期化期間の前半部では、データ電極D1a〜Dma、D1b〜Dmbに書込みパルス電圧Vwを印加し、維持電極SU1〜SUnに電圧0(V)を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下の電圧Vi1から、放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を印加する。この傾斜波形電圧が上昇する間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1a〜Dma、D1b〜Dmbとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1a〜Dma、D1b〜Dmb上および維持電極SU1〜SUn上には正の壁電圧が蓄積される。ここで、電極上の壁電圧とは電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
【0023】
初期化期間の後半部では、データ電極D1a〜Dma、D1b〜Dmbに電圧0(V)を印加し、維持電極SU1〜SUnに正の電圧Ve1を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。この間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1a〜Dma、D1b〜Dmbとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上の負の壁電圧および維持電極SU1〜SUn上の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1a〜Dma、D1b〜Dmb上の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。
【0024】
なお、1フィールドを構成するサブフィールドのうち、いくつかのサブフィールドでは初期化期間の前半部を省略してもよく、その場合には、直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルに対して選択的に初期化動作が行われる。図3には、第1サブフィールドの初期化期間では前半部および後半部を有する初期期間、第2サブフィールドおよびそれ以降の初期化期間では後半部のみを有する初期化期間の駆動電圧波形を示した。
【0025】
続く書込み期間では、本実施の形態においてはパネル10の上半分の放電セルとパネル10の下半分の放電セルとで同時に書込み動作を行う。以下ではパネル10の上半分の放電セルの書込み動作について説明する。
【0026】
書込み期間の初めに、維持電極SU1〜SUnに電圧Ve2を印加し、走査電極SC1〜SCn/2のそれぞれには電圧Vcをそれぞれ印加する。
【0027】
次に、1番目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vadを印加する。そして、データ電極D1a〜Dmaのうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dka(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vwを印加する。すると書込みパルス電圧Vwを印加した放電セルのデータ電極Dka上と走査電極SC1上との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(Vw−Vad)にデータ電極Dka上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧の差とが加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、データ電極Dkaと走査電極SC1との間および維持電極SU1と走査電極SC1との間に書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dka上にも負の壁電圧が蓄積される。このようにして、1行目に発光させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルス電圧Vwを印加しなかったデータ電極D1a〜Dmaと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。
【0028】
以下、走査電極SC2〜SCn/2についても同様に書込み動作を行う。
【0029】
パネル10の下半分の放電セルの書込み動作についても同様に、走査電極SCn/2+1〜SCnに走査パルスを順次印加するとともに、発光させるべき放電セルのデータ電極Dkb(k=1〜m)に書込みパルス電圧Vwを印加して書込み放電を発生させる。
【0030】
続く維持期間では、まず走査電極SC1〜SCnに正の維持パルス電圧Vmを印加するとともに維持電極SU1〜SUnに電圧0(V)を印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCi上と維持電極SUi上との電圧差が維持パルス電圧Vmに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dka、Dkb上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。
【0031】
続いて、走査電極SC1〜SCnには電圧0(V)を、維持電極SU1〜SUnには維持パルス電圧Vmをそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との電圧差が放電開始電圧を超えるので再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。以降同様に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとに交互に輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを印加し、表示電極対の電極間に電位差を与えることにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して行われる。
【0032】
なお、詳細は後述するが、輝度倍率は画像信号の平均輝度レベルにもとづいて制御されている。そして画像信号の平均輝度レベルが高い場合には輝度倍率を小さくして消費電力を抑え、平均輝度レベルが低い場合には輝度倍率を増加させて輝度の高い画像を表示している。
【0033】
そして、維持期間の最後には電圧Vrに向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を走査電極SC1〜SCnに印加して、データ電極Dka、Dkb上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCi上および維持電極SUi上の壁電圧を消去している。こうして維持期間における維持動作が終了する。
【0034】
次にサブフィールド構成について説明する。本実施の形態においては、1フィールドを10のサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第10SF)で構成し、それぞれの輝度重みは(1、2、3、6、12、22、37、45、57、71)であるとして説明する。しかし本発明は上記のサブフィールド数、輝度重みに限定されるものではない。
【0035】
図4は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置のサブフィールド構成を示す図であり、各サブフィールドの維持パルス数と入力画像信号の平均輝度レベルとの関係を示している。このように輝度倍率は入力画像信号の平均輝度レベルにより制御されており、平均輝度レベルが10%以下の入力画像信号に対しては、輝度倍率は「3.5」倍である。そして平均輝度レベルが増加するに従い輝度倍率は小さくなるように設定され、平均輝度レベルが90%以上の入力画像信号に対しては輝度倍率は「1」倍に設定されている。このように、平均輝度レベルにもとづき輝度倍率を設定することにより、明るい入力画像に対しては維持パルス数を制限してプラズマディスプレイ装置の消費電力を抑制している。また、平均輝度レベルの低い暗い入力画像に対しては輝度倍率を大きく設定することにより維持パルス数を増やして表示輝度を向上させている。このように本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、平均輝度レベルにもとづき維持パルスの所定の数を設定している。
【0036】
図5は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置40の回路ブロック図であり、図6は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置40の画像信号処理回路41の詳細な構成を示す回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置40は、パネル10と、画像信号処理回路41と、電極駆動回路と、タイミング発生回路45と、各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)とを備えている。電極駆動回路は、データ電極駆動回路42a、42b、42c、42dと、走査電極駆動回路43と、維持電極駆動回路44とを含む。
【0037】
画像信号処理回路41は、フルハイビジョン規格を超える超高解像度画像信号、本実施の形態においては、フルハイビジョン規格の4倍の解像度をもつ3840×2160画素の超高解像度画像信号SIGを入力し、フルハイビジョン規格を超えない4つの部分画像信号SGa、SGb、SGc、SGdに分割する。そして分割された部分画像信号SGa、SGb、SGc、SGdのそれぞれを、サブフィールド毎の発光・非発光に対応して書込みパルスの有無を示す部分画像データDTa、DTb、DTc、DTdに変換する。また入力した超高解像度画像信号SIGの平均輝度レベルAPLを算出しタイミング発生回路45に出力する。
【0038】
データ電極駆動回路42aは部分画像データDTaを各データ電極D1a〜D(ma/2)に対応する書込みパルスに変換し各データ電極D1a〜D(ma/2)に印加する。データ電極駆動回路42bは部分画像データDTbを各データ電極D1b〜D(mb/2)に対応する書込みパルスに変換し各データ電極D1b〜D(mb/2)に印加する。さらにデータ電極駆動回路42cは部分画像データDTcを各データ電極D(ma/2+1)〜Dmaに対応する書込みパルスに変換し各データ電極D(ma/2+1)〜Dmaに印加する。そして、データ電極駆動回路42dは部分画像データDTdを各データ電極D(mb/2+1)〜Dmbに対応する書込みパルスに変換し各データ電極D(mb/2+1)〜Dmbに印加する。
【0039】
タイミング発生回路45は、水平同期信号、垂直同期信号および超高解像度画像信号SIGの平均輝度レベルAPLにもとづき各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、電極駆動回路を含むそれぞれの回路ブロックへ供給する。特に、画像信号処理回路41から出力される超高解像度画像信号SIGの平均輝度レベルAPLにもとづき、図4に示した輝度倍率を設定し、各サブフィールドの輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを発生するタイミング信号を発生する。
【0040】
走査電極駆動回路43は、タイミング信号にもとづいて各走査電極SC1〜SCnのそれぞれに印加する駆動電圧波形を発生し、維持電極駆動回路44は、タイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜SUnに印加する駆動電圧波形を発生する。
【0041】
画像信号処理回路41は、画像信号分割回路51と、4つの部分信号処理回路52a、52b、52c、52dと、平均輝度レベル算出回路53とを有する。
【0042】
画像信号分割回路51は、3840×2160画素の解像度をもつ超高解像度画像信号SIGを入力する。そして表示画像を左上、左下、右上、右下の4つの部分画像に4分割し、それぞれの部分画像に対応する部分画像信号SGa、SGb、SGc、SGdを出力する。ここで、左上の部分画像に対応する部分画像信号SGa、左下の部分画像に対応する部分画像信号SGb、右上の部分画像に対応する部分画像信号SGc、右下の部分画像に対応する部分画像信号SGdのそれぞれは、1920×1080画素の解像度をもつフルハイビジョン規格の画像信号である。
【0043】
部分信号処理回路52aは、入力されたフルハイビジョン規格の部分画像信号SGaをデータ電極D1a〜D(ma/2)に印加する書込みパルスの有無を示す部分画像データDTaに変換する。また部分画像信号SGaの平均輝度レベルである部分平均輝度レベルPLaを算出する。同様に部分信号処理回路52bは、部分画像信号SGbを部分画像データDTbに変換するとともに部分画像信号SGbの部分平均輝度レベルPLbを算出する。そして、部分信号処理回路52cは、部分画像信号SGcを部分画像データDTcに変換するとともに部分平均輝度レベルPLcを算出し、部分信号処理回路52dは、部分画像信号SGdを部分画像データDTdに変換するとともに部分平均輝度レベルPLdを算出する。
【0044】
これら部分信号処理回路52a、52b、52c、52dのそれぞれはプラズマディスプレイ装置用画像信号処理回路であり、フルハイビジョン規格の画像信号に対してサブフィールド毎の発光・非発光を示す部分画像データに変換する汎用の画像信号処理回路である。そしてこれら部分信号処理回路52a、52b、52c、52dのそれぞれは、例えば1つのLSI、または1つのモジュールに集積されている。
【0045】
平均輝度レベル算出回路53は、部分平均輝度レベルPLa、PLb、PLc、PLdにもとづき、超高解像度画像信号SIGに対する平均輝度レベルAPLを算出する。部分平均輝度レベルPLa、PLb、PLc、PLdのそれぞれは超高解像度画像信号SIGを4分割した部分画像信号SGa、SGb、SGc、SGdの平均輝度レベルであるので、超高解像度画像信号SIGに対する平均輝度レベルAPLは、それぞれの部分平均輝度レベルPLa、PLb、PLc、PLdの1/4の総和、すなわち、
APL=(PLa+PLb+PLc+PLd)/4
として求めることができる。そのため本実施の形態においては、平均輝度レベル算出回路53は、4つの部分平均輝度レベルPLa、PLb、PLc、PLdの平均値を計算することにより超高解像度画像信号SIGの平均輝度レベルAPLを算出する。
【0046】
そして上述したように、タイミング発生回路45は、平均輝度レベル算出回路53が算出した超高解像度画像信号SIGの平均輝度レベルAPLを入力し、図4に示したように各サブフィールドの維持期間における維持パルス数を決定し、各電極駆動回路にタイミング信号を発生する。このようにして超高解像度画像信号SIGの平均輝度レベルAPLにもとづき輝度倍率を制御することにより、明るい入力画像に対しては維持パルス数を制限してプラズマディスプレイ装置40の消費電力を抑制している。また、平均輝度レベルAPLの低い暗い入力画像に対しては維持パルス数を増やして表示輝度を向上させている。
【0047】
なお、プラズマディスプレイ装置40が超高解像度画像信号SIGの平均輝度レベルAPLにもとづき各サブフィールドの輝度重みを制御する、またはサブフィールド数を制御する等、輝度倍率以外のサブフィールド構成についても制御を行う場合には、図6に破線で示したように、部分信号処理回路52a、52b、52c、52dのそれぞれに超高解像度画像信号SIGの平均輝度レベルAPLを入力して、部分信号処理回路52a、52b、52c、52dのそれぞれで必要な画像信号処理を行えばよい。
【0048】
このように本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置40は、フルハイビジョン規格の4倍の解像度をもつ超高解像度画像信号SIGを4つの部分画像信号SGa、SGb、SGc、SGdに分割し、それぞれの部分画像信号SGa、SGb、SGc、SGdを、安価な汎用のプラズマディスプレイ装置用画像信号処理回路を用いて信号処理を行うので、新たに超高解像度画像信号SIG用の画像信号処理回路を設計し作成する必要がなく、安価にかつ短時間で超高解像度の画像を表示させることができるプラズマディスプレイ装置40を提供することができる。
【0049】
また、平均輝度レベル算出回路53を追加して、部分画像信号SGa、SGb、SGc、SGdのそれぞれから出力される4つの部分平均輝度レベルPLa、PLb、PLc、PLdの平均値を計算するだけで、容易に超高解像度画像信号SIGの平均輝度レベルAPLを算出することができる。
【0050】
さらに、部分信号処理回路52a、52b、52c、52dのそれぞれに平均輝度レベルAPLを入力して、部分信号処理回路52a、52b、52c、52dのそれぞれで画像信号処理を行う場合であっても、共通の超高解像度画像信号SIGの平均輝度レベルAPLにもとづき共通の画像信号処理を行うことができる。
【0051】
なお、本実施の形態においては超高解像度画像信号SIGを4つの部分画像信号SGa、SGb、SGc、SGdに分割して、それぞれに対して画像信号処理を行うとして説明したが、分割の数は上記に限定するものではなく、必要に応じて任意の数に分割することができる。
【0052】
また、本実施の形態において用いた具体的な各数値は、単に一例を挙げたに過ぎず、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等にあわせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、汎用のプラズマディスプレイ装置用画像信号処理回路を複数用いて、フルハイビジョン規格を超える超高解像度のパネルにフルハイビジョン規格を超える超高解像度の画像を表示させることができるので、超高解像度のプラズマディスプレイ装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態に用いるパネルの分解斜視図
【図2】同パネルの電極配列図
【図3】同パネルの各電極に印加する駆動電圧波形を示す図
【図4】本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置のサブフィールド構成を示す図
【図5】同プラズマディスプレイ装置の回路ブロック図
【図6】同プラズマディスプレイ装置の画像信号処理回路の詳細な構成を示す回路ブロック図
【符号の説明】
【0055】
10 パネル
21 前面基板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
25 誘電体層
26 保護層
31 背面基板
32 データ電極
33 誘電体層
34 隔壁
35 蛍光体層
40 プラズマディスプレイ装置
41 画像信号処理回路
42a〜42d データ電極駆動回路
43 走査電極駆動回路
44 維持電極駆動回路
45 タイミング発生回路
51 画像信号分割回路
52a〜52d 部分信号処理回路
53 平均輝度レベル算出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査電極と維持電極とデータ電極とを有する放電セルをフルハイビジョン規格を超える画素の数だけ備えたプラズマディスプレイパネルと、前記走査電極、前記維持電極、前記データ電極のそれぞれに印加する駆動電圧波形を発生する電極駆動回路とを備え、前記データ電極に選択的に書込みパルスを印加して前記放電セルで書込み放電を発生させる書込み期間と、前記走査電極および前記維持電極に所定の数の維持パルスを印加して書込み放電を発生させた放電セルで維持放電を発生させる維持期間とを有するサブフィールドを複数用いて、フルハイビジョン規格を超える解像度をもつ画像を表示するプラズマディスプレイ装置であって、
フルハイビジョン規格を超える解像度をもつ超高解像度画像信号をフルハイビジョン規格を超えない複数の部分画像信号に分割して出力する画像信号分割回路と、
複数の前記部分画像信号のそれぞれに対して、前記部分画像信号の平均輝度レベルを算出して部分平均輝度レベルとして出力するとともに前記部分画像信号を前記データ電極に印加する書込みパルスの有無を示す部分画像データに変換する部分信号処理回路と、
複数の前記部分平均輝度レベルにもとづき前記超高解像度画像信号の平均輝度レベルを算出する平均輝度レベル算出回路と、
前記電極駆動回路を制御するタイミング信号を発生するタイミング発生回路と
を備え、
前記タイミング発生回路は、前記平均輝度レベル算出回路から出力される平均輝度レベルにもとづき前記維持期間に印加する維持パルスの前記所定の数を設定することを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項2】
前記平均輝度レベル算出回路は、複数の前記部分平均輝度レベルの平均値として前記超高解像度画像信号の平均輝度レベルを算出することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−39153(P2010−39153A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201524(P2008−201524)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】