プラズマ発生装置、ラジカル生成方法および洗浄浄化装置
【課題】気体中において安定してオゾンやラジカル等を生成し、その生成されたオゾンやラジカル等をこれらが消滅する前に微細な気泡として液体中へ拡散させるプラズマ発生装置と洗浄浄化装置等を提供する。
【解決手段】円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に線状電極21が配設され、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6a上に円筒状電極22が配設されている。円筒状電極22は、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6aに密着するように形成されている。また、円筒状電極22は、多孔質セラミックス部材6の微細孔を塞がないように網目状に形成されている。微細孔の開口端では、開口端縁から開口部内へ向って突出する部分が形成される。
【解決手段】円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に線状電極21が配設され、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6a上に円筒状電極22が配設されている。円筒状電極22は、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6aに密着するように形成されている。また、円筒状電極22は、多孔質セラミックス部材6の微細孔を塞がないように網目状に形成されている。微細孔の開口端では、開口端縁から開口部内へ向って突出する部分が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ発生装置、ラジカル生成方法および洗浄浄化装置に関し、特に、プラズマによりラジカル等を生成し、生成されたラジカル等を微細な気泡として液体中に放出するプラズマ発生装置と、そのラジカル生成方法と、これらを用いた洗浄浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水等の液体を浄化する浄化処理技術として、浸漬中空糸膜等によるフィルタリング処理、光触媒処理、オゾン・ラジカル等による化学処理などが多く提案されている。これらの技術は、それぞれの特徴を有して適した使い分けがなされている。とりわけ、オゾン・ラジカル等による化学処理では、処理すべき液体中にオゾン等を高濃度に導入させることができれば液体中に存在する有機物等を分解させることが可能とされる。
【0003】
そのような化学処理の一つとして、オゾン等を液体中にバブリングにより導入する手法がある。この手法では、図33に示すように、処理すべき液体が収容されるタンク150と、オゾンを発生させるオゾン発生器140が用いられる。オゾン発生器140はタンク150からある程度距離を隔てられた位置に配置される。オゾン発生器140において発生したオゾンは、配管110を経由して液体130中にバブリングによって導入されることになる。
【0004】
ところが、この手法では、タンク150に到達するまでに配管110内でオゾンの寿命が尽きてオゾンが消失してしまい、十分な量のオゾンをタンク150にまで送り込めないという問題があった。また、タンク150に到達したオゾン等も、オゾンを含んだ気泡131が比較的大きいためにその大部分が大気中へ放出されてしまい、液体130中へ高濃度のオゾン等を溶解させることができないという問題があった。
【0005】
このような問題を解消するために、最近では、液中放電を利用した手法が提案されている。この手法では、図34に示すように、処理すべき液体130中において対向するように配設された平板状電極101と針状電極102との間にパルス状の高電圧を印加することによって液体130中に放電を発生させる。この放電によって生じるストリーマにより、各種のラジカル、紫外線、衝撃波等が生成される。こうして生成された各種のラジカル等によって、液体130中に含まれる有機物や細菌等の汚染物が分解処理されることになる。
【0006】
このような液中放電を利用した手法を開示した文献として、たとえば特許文献1あるいは特許文献2がある。特許文献1に提案されている手法では、対向するように配設された線状電極と平板電極との間にパルスパワーを印加することによって、電極間に満たされた水道水中にストリーマ状放電を発生させ、そのストリーマ状放電の中においてラジカルの生成、物体の破砕等、微生物等の分解等が行なわれる。
【0007】
また、特許文献2に提案されている手法では、有機物を含有した被処理水に対し、高圧パルス放電処理装置内において高圧パルス放電処理を施し、被処理水の凝集性を高めることによって汚濁物が分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−104958号公報
【特許文献2】特開平10−323674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の液中放電を利用した手法では次のような問題点があった。処理の対象とされる液体には様々の汚染物や不純物等が含まれている。そのため、液体に含まれるこれらの成分によって液体の電気抵抗値が大きく変動する。液体の電気抵抗が変動すると、電極間に所定の電圧を印加しても放電の発生の仕方にばらつきが生じ、安定してプラズマを生成させることができなくなる。その結果、ラジカル等の発生量にばらつきが生じ処理水の洗浄あるいは浄化を十分に行なうことができないという問題があった。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、一つの目的は、気体中において安定してオゾンやラジカル等を生成し、その生成されたオゾンやラジカル等をこれらが消滅する前に微細な気泡として液体中へ拡散させるプラズマ発生装置を提供することであり、他の目的は、そのようなラジカル生成方法を提供することであり、さらに他の目的は、そのようなプラズマ発生装置を用いた洗浄浄化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプラズマ発生装置は、液体を収容する液体収容部と気体を収容する気体収容部と隔壁部と第1電極と第2電極とガス供給部とプラズマ電源部とを備えている。隔壁部は液体収容部と気体収容部とを隔て、気体収容部中の気体の流通を許容してその気体を液体収容部へ導くガス通路が形成されている。第1電極は気体収容部に配設されている。第2電極は第1電極と距離を隔てられ、少なくとも第1電極と対向する側の部分が液体収容部中の液体と接触しないように配設されている。ガス供給部は、気体収容部の気体をガス通路を介して液体収容部へ圧送させる態様で、気体収容部に少なくとも酸素を含むガスを供給する。プラズマ電源部は、第1電極と第2電極との間に所定の電圧を供給して第1電極と第2電極との間に放電を発生させることにより、気体収容部に導入されたガスをプラズマ化する。
【0012】
この構成によれば、まず、気体収容部に配設される第1電極に対し、少なくともその第1電極と対向する側の部分が液体収容部中の液体と接触しないように第2電極が配設されていることで、第1電極と第2電極との間に放電が生じる際に液体の電気抵抗の影響を受けることなく放電が発生し、ガスが確実にプラズマ化されて少なくとも酸素からオゾンや酸素ラジカル等を安定に生成させることができる。
【0013】
また、生成されたオゾンや酸素ラジカル等が、ガス供給部からガスを供給することで形成される、気体収容部からガス通路を経て液体収容部へ向うガスの流れに乗って、ガス通路の液体収容部に臨む開口端において気泡として成長し、そのオゾンや酸素ラジカル等を含んだ微細な気泡が液体中に拡散することで、オゾンや酸素ラジカル等が消滅する前に極めて短時間で効率的にそのオゾンや酸素ラジカル等を液体中に送り込むことができる。
【0014】
そして、そのようなオゾンや酸素ラジカル等を含んだ微細な気泡が液体中に拡散して、液体のオゾン濃度が高められるとともに液体中に含まれる有機物等に気泡が吸着することで、有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0015】
その第1電極および第2電極の配置の態様として、第1電極は隔壁部と距離を隔てて配設され、第2電極は第1電極と隔壁部との間に配設されていることが好ましい。
【0016】
この場合には、第1電極および第2電極の双方が液体に接触せず、第1電極と第2電極との間に安定して放電を発生させることができる。
【0017】
また、第1電極および第2電極の配置の他の態様として、第1電極は隔壁部と距離を隔てて配設され、第2電極は隔壁部における液体収容部に臨む表面に密着するように配設されていることが好ましい。
【0018】
この場合には、たとえ第2電極が液体に浸漬されても、第2電極が隔壁部における液体収容部に臨む表面に密着するように配設されていることで、第2電極において第1電極と対向する側の部分は液体と接触せず、第1電極と第2電極との間に安定して放電を発生させることができる。
【0019】
また、この場合には、放電経路を短くするために、第2電極は、ガス通路の開口端部においてガス通路に向かって張出したオーバーハング部を含むことがより好ましい。
【0020】
そして、第1電極および第2電極の配置のさらに他の態様として、第1電極は隔壁部における気体収容部に臨む表面に密着するように配設され、第2電極は隔壁部における液体収容部に臨む表面に密着するように配設されていることが好ましい。
【0021】
この場合にも、たとえ第2電極が液体に浸漬されても、第2電極が隔壁部における液体収容部に臨む表面に密着するように配設されていることで、第2電極において第1電極と対向する側の部分は液体と接触せず、第1電極と第2電極との間に安定して放電を発生させることができる。
【0022】
また、この場合にも、放電経路を短くするために、第1電極および第2電極のそれぞれは、ガス通路の開口端部においてガス通路に向かって張出したオーバーハング部を含むことがより好ましい。
【0023】
隔壁部の形状として、隔壁部は筒状体であり、筒状体の内側の領域が気体収容部とされ、筒状体の外側の領域が液体収容部とされることが好ましい。
【0024】
これにより、プラズマ発生装置のサイズをよりコンパクトにすることができる。
また、この場合には、効率的に放電を発生させるために、第1電極は、所定の方向にそれぞれ延在する線状電極および内側筒状電極のいずれかとされ、第2電極は、第1電極を囲むようにして所定の方向に延在する外側筒状電極とされることがより好ましい。
【0025】
そして、この場合には、気体を効率的に流通させるために内側筒状電極および外側筒状電極はメッシュ状であることがより好ましい。
【0026】
また、放電によるダメージや液体の接触による腐食を抑制するために、第1電極および第2電極の少なくとも一方は誘電体で被覆されていることが好ましい。
【0027】
第1電極および第2電極の配置のさらに他の態様として、隔壁部は筒状体であり、その筒状体の内側の領域が気体収容部とされ、筒状体の外側の領域が液体収容部とされて、第1電極と第2電極とは、筒状体の内側の領域において間隔を隔てて配設されていることが好ましい。
【0028】
この場合には、第1電極と第2電極とを気体収容部内に容易に配設することができる。
より具体的には、第1電極と第2電極とは互いに平行に配設され、第1電極と第2電極との間に、沿面放電させるための誘電体部を介在させていることが好ましい。
【0029】
また、第1電極および第2電極は、それぞれ線状電極とされ、第1電極および第2電極の少なくともいずれかは、誘電体によって被覆されていることが好ましい。
【0030】
さらに、この場合には、第2電極は複数設けられ、第1電極と複数の第2電極とは、互いに平行に配設されていてもよい。また、第2電極は直線状に延在する第1電極の周りにスパイラル状に配設されていてもよい。
【0031】
成長する気泡をせん断して液体中に放出するために、液体収容部では、隔壁部における液体収容部に臨む面に沿って液体が流されることが好ましい。
【0032】
また、隔壁部としては、筒状体の他に平板状体であってもよい。
その隔壁部はセラミックス部材を含むことが好ましい。
【0033】
この場合には、特に、セラミックス部材として微細孔を有するものを適用することで、その微細孔をガス通路とすることができる。なお、微細孔とは約100分の1μm〜数十μm程度の大きさの孔径を有する孔をいう。
【0034】
第1電極と第2電極との間に大気圧あるいはそれ以上の圧力のもとで放電を発生させるには、プラズマ電源部は、第1電極と第2電極との間にパルス電圧および高周波電圧のいずれかを印加する機能を含むことが好ましい。
【0035】
また、ガス供給部は、さらにアルゴンおよび水蒸気の少なくともいずれかを供給する機能を含むことが好ましい。
【0036】
この場合には、アルゴンを供給することによりプラズマが安定化し、水蒸気を供給することによってOHラジカルを生成することができる。
【0037】
また、より簡便にガスを供給するには、ガス供給部は大気中の空気を供給する機能を含んでいてもよい。
【0038】
さらに、酸素ラジカル等を効率的に生成するためには、ガス供給部と気体収容部との間に、ガス供給部から送られるガスをプラズマ化するプラズマ発生部を備えていることが好ましい。
【0039】
本発明に係るラジカル生成方法は以下の工程を備えている。液体を収容する液体収容部と気体を収容する気体収容部とを、気体の流通を許容するガス通路が形成された隔壁部によって隔て、気体収容部の気体をそのガス通路を介して液体収容部へ圧送させる態様で気体収容部に少なくとも酸素を含むガスを供給する。気体収容部および隔壁部の領域の少なくともいずれかの領域においてプラズマを生成することにより、ガスに含まれる酸素の酸素ラジカルを生成する。生成した酸素ラジカルを気体とともに液体収容部へ圧送することにより、ガス通路の液体収容部側の開口端において酸素ラジカルを含んだ気泡を成長させる。液体収容部の液体の流れにより、気泡を隔壁部からせん断して液体中に気泡を放出する。
【0040】
この方法によれば、まず、気体収容部および隔壁部の領域の少なくともいずれかの領域においてプラズマを生成することで、液体の電気抵抗の影響を受けることなく確実にプラズマが生成されて、酸素からオゾンや酸素ラジカル等を安定に生成させることができる。
【0041】
また、生成されたオゾンや酸素ラジカル等が、ガスを供給することで形成される、気体収容部からガス通路を経て液体収容部へ向うガスの流れに乗って、ガス通路の液体収容部に臨む開口端において気泡として成長し、そのオゾンや酸素ラジカル等を含んだ微細な気泡が液体中に拡散することで、オゾンや酸素ラジカル等が消滅する前に極めて短時間で効率的にそのオゾンや酸素ラジカル等を液体中に送り込むことができる。
【0042】
そして、そのようなオゾンや酸素ラジカル等を含んだ微細な気泡が液体中に拡散して、液体のオゾン濃度が高められるとともに液体中に含まれる有機物等に気泡が吸着することで、有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0043】
ガスを供給する工程では、さらにアルゴンおよび水蒸気の少なくともいずれかが供給される好ましい。
【0044】
この場合には、アルゴンを供給することによりプラズマが安定化し、水蒸気を供給することによってOHラジカルを生成することができる。
【0045】
また、ガスを供給する工程において、より簡便にガスを供給するには、大気中の空気を供給するようにしてもよい。
【0046】
大気圧あるいはそれ以上の圧力のもとで放電を発生させるには、プラズマは所定の1対の対向電極間にパルス電圧を印加するか、高周波電圧を印加することが好ましい。
【0047】
また、酸素ラジカル等を効率的に生成するために、ガスを供給する工程では、ガスはあらかじめプラズマ化されて供給されることが好ましい。
【0048】
本発明に係る洗浄浄化装置は、請求項1〜23のいずれかに記載のプラズマ発生装置を備えた洗浄化装置であって、ガス導入口と液体導入口と液体排出口とを備えている。ガス導入口は気体収容部に取付けられ、気体収容部にガスを供給する。液体導入口は液体収容部に取付けられ、液体収容部に液体を導入する。液体排出部は液体収容部に取付けられ、液体収容部の液体を排出する。そして、ガス導入口からガスを供給することにより、気体収容部の気体をガス通路を介して液体収容部へ圧送させて、酸素ラジカルを含んだ気泡を液体に放出する機能を備えている。
【0049】
この構成によれば、少なくともオゾンや酸素ラジカル等を含んだ微細な気泡が液体に拡散して、液体のオゾン濃度が高められるとともに液体中に含まれる有機物等に気泡が吸着することで、有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0050】
この洗浄浄化装置としては、液体収容部が、気泡に含まれる少なくともオゾンや酸素ラジカル等によって液体を浄化する液体浄化部とされる使用態様がある。
【0051】
また、液体収容部が、少なくともオゾンや酸素ラジカル等を含んだ気泡を放出することで液体を洗浄液として生成する洗浄液生成部とされる使用態様がある。
【0052】
所定の大きさに成長した気泡をせん断して液体中に開放するには、液体導入口および液体排出口は、液体収容部において隔壁部に沿って液体が流れる所定の位置関係に配置されることが好ましい。
【0053】
洗浄浄化装置をよりコンパクトにするには、筒状の隔壁部を周方向から取囲むように同心状に配設された筒状のケース部材を備え、筒状の隔壁部と筒状のケース部材との間の領域が液体収容部とされることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1に係るプラズマ発生装置の構成を示す一部断面を含む図である。
【図2】同実施の形態において、電極を装着した多孔質セラミックス部材の断面図である。
【図3】同実施の形態において、図2に示す断面線III−IIIにおける断面図である。
【図4】同実施の形態において、プラズマ発生装置の動作を説明するための一状態を示す部分拡大断面図である。
【図5】同実施の形態において、図4に示す状態の後の状態を示す部分拡大断面図である。
【図6】同実施の形態において、図5に示す状態の後の状態を示す断面図である。
【図7】同実施の形態において、図6に示す断面線VII−VIIにおける断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るプラズマ発生装置における、電極を装着した多孔質セラミックス部材の断面図である。
【図9】同実施の形態において、図8に示す断面線IX−IXにおける断面図である。
【図10】同実施の形態において、プラズマ発生装置の動作を説明するための一状態を示す部分拡大断面図である。
【図11】同実施の形態において、図10に示す状態の後の状態を示す部分拡大断面図である。
【図12】同実施の形態において、図11に示す状態の後の状態を示す断面図である。
【図13】同実施の形態において、図12に示す断面線XIII−XIIIにおける断面図である。
【図14】同実施の形態において、放電の発生の仕方を説明するための部分拡大断面図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係るプラズマ発生装置における、電極を装着した多孔質セラミックス部材の断面図である。
【図16】同実施の形態において、図15に示す断面線XVI−XVIにおける断面図である。
【図17】同実施の形態において、プラズマ発生装置の動作を説明するための一状態を示す部分拡大断面図である。
【図18】同実施の形態において、図17に示す状態の後の状態を示す部分拡大断面図である。
【図19】同実施の形態において、図18に示す状態の後の状態を示す断面図である。
【図20】同実施の形態において、図19に示す断面線XX−XXにおける断面図である。
【図21】各実施の形態において、変形例に係るプラズマ発生装置を示す斜視図である。
【図22】本発明の実施の形態4に係る洗浄浄化装置の構成を示す一部断面を含む図である。
【図23】同実施の形態において、洗浄浄化装置の動作を説明するための一状態を示す一部断面を含む図である。
【図24】同実施の形態において、洗浄浄化装置における気泡の挙動の一例を示す部分拡大図である。
【図25】同実施の形態において、洗浄浄化装置における気泡の挙動の他の例を示す部分拡大図である。
【図26】同実施の形態において、被洗浄対象部における気泡の挙動の一例を示す部分拡大図である。
【図27】本発明の実施の形態5に係る洗浄浄化装置の構成を示す一部断面を含む図である。
【図28】同実施の形態において、図27に示す誘電電極および放電電極を示す部分拡大斜視図である。
【図29】同実施の形態において、洗浄浄化装置の動作を説明するための一状態を示す一部断面を含む図である。
【図30】同実施の形態において、色素の脱色分解評価結果を示すグラフである。
【図31】同実施の形態において、変形例に係る電極を示す部分拡大斜視図である。
【図32】同実施の形態において、他の変形例に係る電極を示す部分拡大斜視図である。
【図33】従来の洗浄浄化装置の断面図である。
【図34】従来のプラズマ発生装置の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
実施の形態1
本発明の実施の形態1に係るプラズマ発生装置とそのラジカル生成方法について説明する。図1に示すように、プラズマ発生装置1では、円筒状のケース部材3の内側に同心状に円筒状の多孔質セラミックス部材6が配設されている。ケース部材3の両端部には、ケース部材3と多孔質セラミックス部材6との隙間を塞ぐリング状の外側シール材8が装着されている。また、多孔質セラミックス部材6の両端部には、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域を塞ぐ内側シール材9が配設されている。多孔質セラミックス部材6の外径寸法は数cm程度で、長さは用途に応じて数cm〜数十cmとされる。
【0056】
ケース部材3の側面の一端側には、ケース部材3と多孔質セラミックス部材6との間の領域(液体収容部)15に液体を導入する液体導入口4が設けられている。一方、ケース部材3の側面の他端側には、導入された液体を送り出す液体排出口5が設けられている。また、多孔質セラミックス部材6の一端側には、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域(気体収容部)14に所定のガスを導入するガス導入口10が設けられている。ガス導入口10は配管11を介してガス供給部12と接続されている。ガス供給部12から、所定のガスとして少なくとも酸素(O2)を含むガスが供給される。また、酸素の他
に、アルゴンガス(Ar)と水蒸気(H2O)が含まれることが好ましい。
【0057】
多孔質セラミックス部材6には、細孔径が約0.01μm〜10μm程度の微細孔(図示せず)が形成されている。後述するように、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に導入されたガス等は、この微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ送り出されることになる。その多孔質セラミックス部材6には、プラズマを生成するための2つの電極が取り付けられている。
【0058】
次に、その電極の構造について詳しく説明する。図2および図3に示すように、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14には、線状電極21と円筒状電極22が配設されている。線状電極21は、円筒状の多孔質セラミックス部材6のほぼ中心に配置されている。線状電極21の表面は、誘電体(図示せず)によって被覆されている。
【0059】
一方、円筒状電極22は、たとえば200番以上のメッシュ状の金属細線からなり、線状電極21を周方向から取囲むように略同心状に配置されている。また、円筒状電極22は多孔質セラミックス部材6の内側表面6bとは、たとえば約0.1〜3mmの距離を隔てられている。線状電極21と円筒状電極22は、プラズマ電源部13(図1参照)に電気的に接続されて、所定のパルス電圧あるいは高周波(RF:Radio Frequency)電圧が
印加される。
【0060】
このプラズマ発生装置1では、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に線状電極21と円筒状電極22が配設されることで、線状電極21と円筒状電極22の双方は、ケース部材3と多孔質セラミックス部材6との間の領域15に導入される液体に接触することはない。
【0061】
次に、上述したプラズマ発生装置1の動作について説明する。図1に示すように、まず、ガス供給部12から空気をベースとして酸素とアルゴンを含有したガス(流量約0.05L/min〜1L/min(50cc/min〜1000cc/min))が、配管11およびガス導入10を経て多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に送り込まれる。このとき、ガスを送り込む圧力は、約0.0098MPa〜0.49MPa(0.1kgf/cm2〜5kgf/cm2)程度とされる。
【0062】
これにより、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14の圧力は、大気圧にこの圧力が加わって約0.11MPa〜0.59MPa(1.1kgf/cm2〜6kgf/cm2)程度となり、陽圧状態になる。こうして、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14が陽圧になることで、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。
【0063】
次に、プラズマ電源部13によって、線状電極21と円筒状電極22にパルス電圧あるいは高周波電圧が印加される。パルス電圧としては、急峻な立ち上がりを有し、たとえば数μ秒〜数十n秒のパルス幅を有する約100V〜1kV程度の電圧が好ましい。一方、高周波電圧としては、大気圧のもとにおいてグロー放電を可能にする周波数50Hz程度以上の電圧(RFパワー:約10W〜100W程度)が好ましい。
【0064】
線状電極21と円筒状電極22にパルス電圧等が印加されることで、線状電極21と円筒状電極22との間には、大気圧あるいはそれ以上の圧力のガス雰囲気のもとで放電が生じる。なお、大気圧のもとでプラズマを生成する技術については、たとえば文献A(岡崎幸子、「大気圧グロー放電プラズマとその応用」、レビュー講演:20th JSPF Annual Meeting)に報告されている。
【0065】
多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に導入されたガスは、この放電によってプラズマ化され、含有する酸素によってオゾンや酸素ラジカル等が生成される。また、含有するアルゴンガスによってプラズマ生成の安定化が図られる。さらに、大気に含まれる水分(水蒸気)によってOHラジカル(ヒドロキシラジカル)等が生成される。
【0066】
こうして生成されたオゾンや、酸素ラジカルあるいはOHラジカル等の各種のラジカルは、上述したガスの流れに伴って、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔を経て外側の領域15へ送り出されることになる。次に、この様子について詳しく説明する。
【0067】
その気泡31が成長する外側の領域15では、液体30が導入されることによって液体30の流れ(矢印60)が生じている。図5に示すように、その液体30が成長する気泡31にあたると、気泡31にはせん断力として作用して気泡31は開口端7aから液体30中へ解き放たれる。液体30中へ放たれる気泡31の大きさを微細孔7の大きさ(開口径)に対応した所望の大きさにするために、多孔質セラミックス部材6の外側表面に沿って流れる液体30の流速あるいは流量が所定の値に制御される。液体30の流速あるいは流量を制御することによって、気泡31の大きさは約0.1μm〜100μm程度の範囲で制御することが可能になる。これについては、後でより詳細に説明する。
【0068】
図6および図7に示すように、液体30中に解き放たれた気泡31は微細な気泡であることで、大気中に直ぐに放出されることなく液体30の隅々にまで拡散し、そして、拡散した微細な気泡31の一部は液体30中に容易に溶解する。このとき、気泡31に含まれているオゾンや酸素ラジカル等が液体30中に溶解することで、液体30のオゾン濃度は一気に上昇することになる。
【0069】
また、文献B(高橋正好、「マイクロバブルとナノバブルによる水環境の改善」、アクアネット、2004.6)によれば、通常、オゾンや各種のラジカルを含んだ微細な気泡31はマイナスに帯電していることが多いことが報告されている。そのため、気泡31の他の一部は、液体30中に含まれる有機物、油脂物、染料、たんぱく質、細菌等(図示せず)に容易に吸着する。液体30中の有機物等は、液体30に溶解したオゾンあるいは各種のラジカルや、有機物等に吸着した気泡31に含まれるオゾンあるいは各種のラジカル等によって分解される。
【0070】
たとえば、OHラジカル等は、約120kcal/mol程度の比較的大きなエネルギーを有している。このエネルギーは、窒素原子と窒素原子との二重結合(N=N)、炭素原子と炭素原子との二重結合(C=C)あるいは炭素原子と窒素原子との二重結合(C=N)等の結合エネルギー(〜100kcal/mol)を上回るものであり、窒素や炭素等の結合からなる有機物等は、このOHラジカル等によって容易にその結合が切断されて分解されることになる。なお、このような有機物等の分解に寄与するオゾンやOHラジカル等は、塩素等のような残留性がなく時間とともに消滅するため、環境に配慮した物質でもある。
【0071】
上述したプラズマ発生装置1によれば、まず、円筒状の多孔質セラミックス部材6の外側の領域15に液体30が導入され、その内側の領域14にプラズマを生成する線状電極21と円筒状電極22とが配設されていることで、線状電極21と円筒状電極22は液体30には全く接触せず、液体30の電気抵抗の影響を受けることがなくなる。これにより、線状電極21と円筒状電極22との間に放電が安定して発生し、内側の領域14に導入された酸素を含むガスが確実にプラズマ化されて、酸素からオゾンあるいは酸素ラジカル等を安定に生成させることができる。
【0072】
そして、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に酸素を含むガスを導入することで、その内側の領域14が陽圧なって内側の領域14から微細孔7を経て外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。生成されたオゾンあるいは酸素ラジカル等は、このガスの流れに乗って微細孔7の液体30に臨む開口端7aにおいて気泡31として成長する。所定の大きさに成長した気泡31は液体30の流れによってせん断されて液体30中に解き放たれ、オゾンあるいは酸素ラジカル等を含んだガスは微細な気泡31として液体30中に拡散する。これにより、オゾンや各種のラジカルを発生させた後、これらが消滅する前に極めて短時間で効率的にそのオゾンや各種のラジカルを液体30中に送り込むことができる。
【0073】
そして、そのようなオゾンや各種のラジカルを含んだ微細な気泡31が液体30中に拡散することによって、液体30のオゾン濃度が高められるとともに液体30中に含まれる有機物等に気泡31が吸着する。これにより、液体30中に溶解したオゾン等や吸着した気泡31に含まれる各種のラジカルによって有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0074】
さらに、プラズマを生成する電極を装着し、発生したオゾンや各種のラジカルを液体中に送り込む多孔質セラミックス部材6においては、その外径寸法は数cm程度で、長さは用途に応じて数cm〜数十cmとされる。これにより、プラズマ発生装置1のプラズマ電源部13やガス供給部12を除いた本体部分の大きさをコンパクトにすることができ、既存の装置に組み込みやすくすることができる。また、新たに装置に搭載する場合においても、その占有空間を最小限に抑えることができる。
【0075】
実施の形態2
実施の形態2では、電極の配置のバリエーションの一例について説明する。図8および図9に示すように、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に線状電極21が配設され、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6a上に円筒状電極22が配設されている。線状電極21は直径約0.1mm〜1mm程度とされ、円筒状の多孔質セラミックス部材6のほぼ中心に配置されている。また、線状電極21の表面は誘電体(図示せず)によって被覆されている。
【0076】
一方、円筒状電極22は、少なくとも線状電極21と対向する部分が液体に接触しないように、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6aに密着するように形成されている。また、円筒状電極22は、多孔質セラミックス部材6の微細孔を塞がないように網目状に形成されている。そして、円筒状電極22の表面は誘電体(図示せず)によって被覆されている。円筒状電極22と線状電極21との距離は約2mm〜8mm程度とされる。なお、これ以外の構成については前述したプラズマ発生装置と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0077】
上記のように、このプラズマ発生装置1では、円筒状電極22は、少なくとも線状電極21と対向する部分が液体に接触しないように、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6aに密着し、また、多孔質セラミックス部材6の微細孔を塞がないように網目状に形成されている。
【0078】
ここで、その円筒状電極22の形成方法の一例について説明する。円筒状電極22は、たとえば、タングステン(W)をスパッタ法によって多孔質セラミックス部材6の外側表面6aに堆積することにより形成される。多孔質セラミックス部材6の外側表面6aには、微細孔の開口端があり、その開口度は約40%〜60%程度とされる。したがって、スパッタ法によってタングステン等は主に微細孔が位置していない領域に自己整合的に堆積されて、円筒状電極22は網目状に形成されることになる。
【0079】
また、スパッタ法を用いることで、微細孔の開口端では、開口端縁から開口部内へ向って突出する部分が形成される。すなわち、タングステンは庇のようにオーバハング形状になる。なお、材料としては、タングステンの他に、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等も適用することができる。後述するように、このような庇が形成されることで、円筒状電極22と線状電極21との間で放電経路がより短くなって放電を生じやすくすることができる。また、スパッタ法の他に、たとえば200番以上のメッシュ状の金属細線を多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6aに密着する態様で配設させてもよい。
【0080】
次に、上述したプラズマ発生装置の動作について説明する。図8に示すように、まず、前述したように、空気をベースとして酸素とアルゴンを含有したガス(流量約0.05L/min〜1L/min(50cc/min〜1000cc/min))が、ガス導入口10を経て多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に送り込まれて、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14が陽圧状態(約0.11MPa〜0.59MPa(約1.1kgf/cm2〜6kgf/cm2))とされ、その内側の領域14から微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。
【0081】
次に、線状電極21と円筒状電極22にパルス電圧(パルス幅:数μ秒〜数十n秒程度、電圧:約100V〜1kV程度)あるいは高周波電圧(周波数:50Hz程度、RFパワー:約10W〜100W程度)が印加されて、線状電極21と円筒状電極22との間に位置する内側の領域14、あるいは、多孔質セラミックス部材6の微細孔中において放電が生じる。多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に導入されたガスは、この放電によってプラズマ化されて、オゾンや酸素ラジカルあるいはOHラジカル等の各種のラジカルが生成される。
【0082】
図10に示すように、生成されたオゾンや各種のラジカルは、上述したガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔7を流れ(矢印61)、微細孔7の外側の開口端7aではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡31が徐々に成長する(矢印62)。図11に示すように、成長する気泡31は液体30の流れ(矢印60)によってせん断され、微細な気泡31として開口端7aから液体30中へ解き放たれる。
【0083】
図12および図13に示すように、液体30中に解き放たれた微細な気泡31は液体30の隅々にまで拡散し、その一部は液体30中に容易に溶解する。また、一部の気泡は液体30中に含まれる有機物等に容易に吸着する。こうして、液体30中の有機物や細菌等は、液体30に溶解したオゾンあるいは各種のラジカルや、有機物等に吸着した気泡31に含まれるオゾンあるいは各種のラジカルによって効率的に分解されることになる。
【0084】
上述したプラズマ発生装置1によれば、まず、線状電極21は円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に配設され、一方、円筒状電極22は多孔質セラミックス部材6の外側表面6aに密着するように配設されている。これにより、多孔質セラミックス部材6とともに円筒状電極22が液体30中に浸漬されても、円筒状電極22のうち、少なくとも線状電極21と対向する部分は液体に接触しないので、円筒状電極22と線状電極21との間に放電を発生させる際に液体の電気抵抗の影響を受けることがなくなる。
【0085】
また、図14に示すように、円筒状電極22にオーバーハング部22a(微細孔7に向って左側)が形成されることで、そのようなオーバハング部がない場合(微細孔7に向って右側)の放電経路42と比べて、放電経路がより短くなって円筒状電極22と線状電極21との間に放電経路41を容易に形成することができる。これらにより、線状電極21と円筒状電極22との間に放電が安定して発生し、内側の領域14に導入されたガスが確実にプラズマ化されて、少なくとも酸素からオゾンあるいは酸素ラジカルを安定に生成させることができる。
【0086】
生成されたオゾンや各種のラジカルは、ガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔7を流れ、微細孔7の外側の開口端7aではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡31が徐々に成長する。所定の大きさに成長した気泡31は液体30の流れによってせん断されて液体30中に解き放たれ、オゾンや各種のラジカルを含んだガスは微細な気泡31として液体30中に拡散する。
【0087】
これにより、オゾンや各種のラジカルを発生させた後、これらが消滅する前に短時間で効率的にそのオゾンや各種のラジカルを液体30中に送り込むことができる。そして、そのような微細な気泡31が液体30中に拡散することによって、液体30のオゾン濃度が高められるとともに液体30中に含まれる有機物等に気泡31が吸着し、液体30に含まれる有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0088】
さらに、前述したように、プラズマ発生装置1のプラズマ電源部13やガス供給部12を除いた本体部分の大きさをコンパクトにすることができ、既存の装置に組み込みやすくすることができる。また、新たに装置に搭載する場合においても、その占有空間を最小限に抑えることができる。
【0089】
実施の形態3
実施の形態3では、電極の配置のバリエーションの他の例について説明する。図15および図16に示すように、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に内側円筒状電極23が配設され、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6a上に外側円筒状電極24が配設されている。内側円筒状電極23は、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側表面6b上に配設されていている。なお、この内側円筒状電極23は、内側表面6bから距離約0.1mm〜3mm程度隔てられた位置に配設されていてもよい。
【0090】
一方、外側円筒状電極24は、少なくとも内側円筒状電極23と対向する部分が液体に接触しないように、液体に臨む外側表面6aに密着するように形成されている。また、外側円筒状電極24は、多孔質セラミックス部材6の微細孔を塞がないように網目状に形成されている。そして、外側円筒状電極24の表面は誘電体(図示せず)によって被覆されている。なお、これ以外の構成については前述したプラズマ発生装置と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0091】
上記のように、このプラズマ発生装置では、外側円筒状電極24は、少なくとも内側円筒状電極23と対向する部分が液体に接触しないように、液体に臨む外側表面6aに密着し、また、多孔質セラミックス部材6の微細孔を塞がないように網目状に形成されている。この外側円筒状電極24は、前述したように、たとえばタングステン(W)等の電極材料をスパッタ法を用いて堆積させることによって形成される。また、スパッタ法によって形成されていることで、外側円筒状電極24にはオーバーハング部が形成されている。なお、200番以上のメッシュ状の金属細線を液体に臨む外側表面6aに密着する態様で配設させてもよい。
【0092】
次に、上述したプラズマ発生装置の動作について説明する。図15に示すように、まず、前述したように、空気をベースとして酸素とアルゴンを含有したガス(流量約0.05L/min〜1L/min(50cc/min〜1000cc/min))が、ガス導入口10を経て多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に送り込まれて、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14が陽圧状態(約0.11MPa〜0.59MPa(約1.1kgf/cm2〜6kgf/cm2))とされ、その内側の領域14から微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。
【0093】
次に、内側円筒状電極23と外側円筒状電極24にパルス電圧(パルス幅:数μ秒〜数十n秒程度、電圧:約100V〜1kV程度)あるいは高周波電圧(周波数:50Hz程度、RFパワー:約10W〜100W程度)が印加されて、内側円筒状電極23と外側円筒状電極24との間に位置する多孔質セラミックス部材6の微細孔7中(あるいは、内側円筒状電極23と内壁面6bとの間に位置する内側の領域14(図示せず))において放電が生じる。多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に導入されたガスは、この放電によってプラズマ化されて、オゾンや酸素ラジカルあるいはOHラジカル等の各種のラジカルが生成される。
【0094】
図17に示すように、生成されたオゾンや各種のラジカルは、上述したガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔7を流れ、微細孔7の外側の開口端7aではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡31が徐々に成長する。図18に示すように、成長する気泡31は液体30の流れによってせん断され、開口端7aから液体30中へ解き放たれる。
【0095】
図19および図20に示すように、液体30中に解き放たれた微細な気泡31は液体30の隅々にまで拡散し、その一部は液体30中に容易に溶解する。また、一部の気泡は液体中に含まれる有機物等に容易に吸着する。こうして、液体30中の有機物や細菌等は、液体30に溶解したオゾンあるいは各種のラジカルや、有機物等に吸着した気泡31に含まれるオゾンあるいは各種のラジカルによって分解されることになる。
【0096】
上述したプラズマ発生装置1によれば、まず、内側円筒状電極23は円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の表面6b上、あるいは、その内側の表面6bからわずかな距離を隔てて配設され、一方、外側円筒状電極24は多孔質セラミックス部材6の外側表面6aに密着するように配設されている。そのため、多孔質セラミックス部材6とともに外側円筒状電極24が液体中に浸漬されても、外側円筒状電極24のうち、少なくとも内側円筒状電極23と対向する部分は液体に接触しないので、外側円筒状電極24と内側円筒状電極23との間に放電を発生させる際に液体の電気抵抗の影響を受けることがなくなる。
【0097】
また、少なくとも外側円筒状電極24にオーバーハング部が形成されることで、前述したように、外側円筒状電極24と内側円筒状電極23との間に放電経路を容易に形成することができる。これらにより、内側円筒状電極23と外側円筒状電極24との間に放電が安定して発生し、内側の領域14に導入されたガスが確実にプラズマ化されて、少なくとも酸素からオゾンあるいは酸素ラジカルを安定に生成させることができる。
【0098】
生成されたオゾンや各種のラジカルは、ガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の微細孔7を流れ、微細孔7の外側の開口端7aではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡31が徐々に成長する。所定の大きさに成長した気泡31は液体30の流れによってせん断されて液体30中に解き放たれ、オゾンや各種のラジカルを含んだガスは微細な気泡31として液体30中に拡散する。
【0099】
これにより、オゾンや各種のラジカル等を発生させた後、これらが消滅する前に短時間で効率的にそのオゾンや各種のラジカルを液体30中に送り込むことができる。そして、そのような微細な気泡31が液体30中に拡散することによって、液体30のオゾン濃度が高められるとともに液体30中に含まれる有機物等に気泡31が吸着し、液体30に含まれる有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0100】
さらに、前述したように、プラズマ発生装置1のプラズマ電源部13やガス供給部12を除いた本体部分の大きさをコンパクトにすることができ、既存の装置に組み込みやすくすることができる。また、新たに装置に搭載する場合においても、その占有空間を最小限に抑えることができる。
【0101】
変形例
上述した各実施の形態では、微細な気泡を発生させる多孔質セラミックス部材として、円筒状の多孔質セラミックス部材を例に挙げて説明した。多孔質セラミックス部材としては円筒状のものに限られず、たとえば図21に示すように、平板状の多孔質セラミックス部材6を適用してもよい。この場合には、ほぼ直方体のケース部材3に配設された平板状の多孔質セラミックス部材6の下方に位置する領域に、少なくとも酸素を含んだガスが導入される。
【0102】
また、この領域には、放電を発生させてガスをプラズマ化する網状の平板状電極25,26が間隔を隔てて対向するように配設されている。一方、多孔質セラミックス部材6の上方に位置する領域には処理される液体30が導入される。液体30は液体導入口4から導入されて液体排出口5から排出される。
【0103】
このようなプラズマ発生装置1によっても、平板状電極25,26は液体30が導入されても液体30に全く接触しないので、平板状電極25,26との間に放電を発生させる際に液体30の電気抵抗の影響を受けることがなくなる。これにより、平板状電極25と平板状電極26との間に放電が安定して発生し、ガス導入口10から導入されたガスが確実にプラズマ化されて、少なくとも酸素からオゾンあるいは酸素ラジカルを安定に生成させることができる。
【0104】
生成されたオゾンや各種のラジカルは、ガスの流れとともに平板状の多孔質セラミックス部材6の微細孔(図示せず)を流れ、微細孔の外側の開口端ではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡が徐々に成長する。所定の大きさに成長した気泡は液体の流れによってせん断されて液体30中に解き放たれ、オゾンや各種のラジカルを含んだガスは微細な気泡31として液体30中に拡散する。
【0105】
これにより、オゾンや各種のラジカルを発生させた後、これらが消滅する前に短時間で効率的にそのオゾンや各種のラジカルを液体30中に送り込むことができる。そして、そのような微細な気泡31が液体30中に拡散することによって、液体30のオゾン濃度が高められるとともに液体30中に含まれる有機物等に気泡31が吸着し、液体30に含まれる有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0106】
実施の形態4
実施の形態4では、プラズマ発生装置1を用いた洗浄浄化装置の一例について説明する。図22に示すように、プラズマ発生装置1を備えた洗浄浄化装置2では、円筒状の多孔質セラミックス部材6を収容する円筒状のケース部材3の液体導入口4には、被洗浄処理対象部50の液体を送り込む配管51が接続され、液体排出口5には処理の完了した液体を被洗浄処理対象部50へ戻す配管52が接続されている。なお、これ以外の構成については実施の形態1において説明したプラズマ発生装置1と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0107】
次に、上述した洗浄浄化装置2の動作について説明する。図23に示すように、まず、空気をベースとして酸素とアルゴンを含有した所定流量のガスが、ガス導入口10を経て多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に送り込まれ、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14が陽圧状態とされて、その内側の領域14から微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。
【0108】
次に、線状電極21と円筒状電極22にパルス電圧等を印加することによって、線状電極21と円筒状電極22との間において放電が生じる。多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に導入されたガスは、この放電によってプラズマ化されて、オゾンや酸素ラジカルあるいはOHラジカル等の各種のラジカルが生成される(図4参照)。
【0109】
生成されたオゾンや各種のラジカルは、上述したガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔を流れ、微細孔の外側の開口端ではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡が徐々に成長する。図23に示すように、成長する気泡は液体30の流れによってせん断され、微細な気泡31として開口端から液体30中へ解き放たれる。
【0110】
液体30中に解き放たれた微細な気泡31は液体30の隅々にまで拡散する。図24に示すように、拡散した微細な気泡31の一部は、気泡31に含まれていたオゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等とともに容易に液体30中に溶解して、オゾン濃度が上昇する。また、一部の気泡31は、オゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等を含んだ状態で、液体30中に含まれる有機物36等に容易に吸着する。さらに、気泡31の一部には、微細な有機物36が吸着する。
【0111】
こうして、液体30中の有機物36等は、液体30に溶解したオゾン34あるいは各種のラジカル32,33や、有機物36等に吸着した気泡31に含まれるオゾン34あるいは各種のラジカル32,33等によって効率的に分解される。有機物等が分解されて浄化された液体30は、液体排出口5から配管52を経て被洗浄処理対象部50へ戻され、再び使用されることになる。
【0112】
また、この洗浄浄化装置2は、上記のようにケース部材3内で液体を洗浄浄化する使用態様(使用態様A)の他に、微細な気泡を拡散させた液体を洗浄液として所定の装置に供給する使用態様(使用態様B)も可能である。この場合には、まず、図25に示すように、ケース部材内に導入された液体30中に、オゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等を含んだ微細な気泡31が拡散されるとともに、微細な気泡31に含まれていたオゾン34や各種のラジカル32,33,35が溶解される。また、このとき、気泡31の一部には、微細な有機物36が吸着する。
【0113】
次に、この液体30が洗浄液として被洗浄処理対象部50へ供給される。図26に示すように、被洗浄処理対象部50では、有機物36等が、液体30に溶解したオゾン34あるいは各種のラジカル32,33,35や、有機物36等に吸着した気泡31に含まれるオゾン34あるいは各種のラジカル32,33,35等によって効率的に分解されることになる。
【0114】
この洗浄浄化装置を使用態様Aとして使用する場合、たとえば浴槽に溜めた湯、雨水、汚水、下水等の各種の液体の浄化に、この洗浄浄化装置を適用することが可能である。また、使用態様Bとして使用する場合、たとえば洗濯機や食器洗い機等の各種家電製品、口内洗浄機等の健康家電製品、トイレ等の衛生機器等に使用する水に洗浄液として使用することができる。また、家電製品等の他に、たとえば食品の洗浄や工業製品の製造工程における洗浄等の産業界へ幅広く適用することができる。
【0115】
実施の形態5
実施の形態5では、プラズマ発生装置1を用いた洗浄浄化装置の他の例について説明する。図27に示すように、プラズマ発生装置1を備えた洗浄浄化装置2では、多孔質セラミックス部材6に設けられたガス導入口10とガス供給部12との間に、ガス供給部12から送られるガスをあらかじめプラズマ化するプラズマ発生部16が配設されている。また、多孔質セラミックス部材6の内側には、誘導電極61と放電電極62が配設されている。図28に示すように、誘導電極61はセラミック部材63によって被覆されている。放電電極62は、セラミック部材63の表面に配設され、そして、セラミックコート部材64によって被覆されている。なお、これ以外の構成については実施の形態1において説明したプラズマ発生装置1と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0116】
次に、上述した洗浄浄化装置2の動作について説明する。まず、ガス供給部12から、空気をベースとして酸素とアルゴンを含有した所定流量のガスが送られる。次に、ガスは、プラズマ発生部16において生成されたプラズマによって事前に活性化される。つまり、ガスの一部がプラズマ化される。次に、事前に活性化されたガスは、ガス導入口10を経て多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に送り込まれ、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14が陽圧状態とされて、その内側の領域14から微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。
【0117】
次に、誘導電極61と放電電極62に所定の高周波電圧を印加することによって、放電電極62からセラミックコート部材64の表面に沿って沿面放電が発生する。プラズマ発生部16において活性化されなかったガスは、この放電によってプラズマ化される。また、事前に活性化されたガスも、この放電によってさらに励起されて、オゾンや酸素ラジカルあるいはOHラジカル等の各種のラジカルがより効率よく生成されることになる。
【0118】
生成されたオゾンや各種のラジカルは、上述したガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔を流れ、微細孔の外側の開口端ではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡が徐々に成長する。図29に示すように、成長する気泡は液体30の流れによってせん断され、微細な気泡31として開口端から液体30中へ解き放たれることになる。
【0119】
液体30中に解き放たれた微細な気泡31は液体30の隅々にまで拡散する。拡散した微細な気泡31の一部は、気泡31に含まれていたオゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等とともに容易に液体30中に溶解して、オゾン濃度が上昇する。また、一部の気泡31は、オゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等を含んだ状態で、液体30中に含まれる有機物36等に容易に吸着する。さらに、オゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等を含んだ気泡31の一部には、液体30中に含まれる微細な有機物36等が吸着する(図24参照)。
【0120】
こうして、液体30中の有機物36等は、液体30に溶解したオゾン34あるいは各種のラジカル32,33や、有機物36等に吸着した気泡31に含まれるオゾン34あるいは各種のラジカル32,33等によって効率的に分解される。有機物等が分解されて浄化された液体30は、液体排出口5から配管52を経て被洗浄処理対象部50へ戻され、再び使用されることになる。
【0121】
また、この洗浄浄化装置2についても、前述した洗浄浄化装置2と同様に、ケース部材6内で液体を洗浄浄化する使用態様(使用態様A)の他に、微細な気泡を拡散させた液体を洗浄液として所定の装置に供給することで、使用態様Bとして使用することも可能である(図25および図26参照)。
【0122】
次に、上述した洗浄浄化装置2による洗浄評価として、色素の脱色分解評価について説明する。まず、試料として、イオン交換水にインディコカルミン(10ppm)を加えた被処理液体(500ml)を用意した。洗浄浄化装置2には、ガスとして空気とオゾンを送り込んだ。誘導電極61と放電電極62に約数KV〜10KV程度、周波数約数KHz〜数十KHz程度の高周波電圧を印加し、オゾンや各種のラジカルを発生させた。発生したオゾンや各種のラジカルを空気とともに、多孔質セラミックス部材6から気泡として被処理液体へ送り込んだ。
【0123】
その気泡として、まず、参照用のオゾンを含まないバブル径約30μmの気泡(条件1)、オゾンを含んだバブル径mmオーダの気泡(条件2)、バブル径約30μmの気泡(条件3)、バブル径約10μmの気泡(条件4)をそれぞれ送り込んだ。それぞれの気泡を被処理液体に送り始めてからの経過時間(処理時間)と被処理液体の吸光度の変化を測定した。
【0124】
その結果を図30に示す。図30は、色素の脱色分解結果を示すグラフであり、横軸は処理時間(分)を表し、縦軸は吸光度を表す。吸光度が低いほど透過率は大きく、これは、有機物である色素の分解が進んだことを示す。まず、参照用の条件1の気泡では、処理時間に対して吸光度はほとんど変化していないことがわかる。これは、条件1の気泡にはオゾンが含まれていないために、色素の分解が進んでいないことを示す。
【0125】
一方、オゾンを含んだ条件2,3,4のそれぞれの気泡では、処理時間の経過とともに吸光度が減少しており、色素が分解されていることが確認された。処理時間2分の時点で、条件2の気泡ではバブル径が比較的大きいために、吸光度は当初の値の約半分程度にまでしか減少せず、色素の分解が遅いことがわかる。条件3の気泡では、条件2の気泡の場合よりも、吸光度はさらに低くなり、色素の分解が進んでいることがわかる。そして、条件4の気泡では、吸光度は当初の値から約1/100程度にまで減少しており、色素の分解がさらに進んでいることがわかる。このように、オゾンを含んだ気泡のバブル径が小さくなるにしたがって、吸光度がより速く減少しており、色素が効率よく分解されることが実証された。
【0126】
なお、上述した洗浄浄化装置2における誘導電極61と放電電極62を備えた電極構造は、他の実施の形態の洗浄浄化装置にも適用することができる。また、このような電極構造の他に、たとえば、図31に示すように、線状電極65をセラミック部材66によって被覆し、そのセラミック部材66の外周面にスパイラル状電極67を配設させた電極構造としてもよい。また、図32に示すように、セラミック部材66によって被覆された線状電極65の周囲に、所定の距離を隔てて、他の線状電極68a,68b,68cを配設した電極構造としてもよい。このような電極構造とすることで、プラズマを生成するための電極を多孔質セラミック部材6の内側に領域に容易に取り付けることができる。
【0127】
また、各実施の形態において説明したプラズマ発生装置1あるいは洗浄浄化装置2では、微細な気泡を発生させるために多孔質セラミックス部材6を例に挙げて説明した(図1、図22参照)。多孔質セラミックス部材には、細孔径が約0.01μm〜10μm程度の微細孔が形成されている。微細孔の開口端で成長した気泡は液体の流れによってせん断されて液体中へ開放される。微細な気泡の気泡径は、微細孔の細孔径と液体の流速との相関によることが、文献C(久木崎雅人、鳥越清、「ナノバブルの生成に及ぼすSPG膜の濡れ性の影響」、宮崎県工業技術センター、宮崎食品開発センター研究報告、2004、No.49)に報告されている。
【0128】
この文献によれば、微細な気泡の気泡径は、微細孔の細孔径よりも約1桁高い値になるとされる。そうすると、細孔径が約0.01μm〜10μm程度の微細孔に対して、微細な気泡の気泡径は約0.1μm〜100μm程度と見積もられることになる。
【0129】
また、このような気泡径の気泡を生成する部材としては、微細孔を有する多孔質セラミックス部材に限られず、たとえば気体と液体を隔壁するガラス板などのような適当な部材を用い、この部材に写真製版とエッチングを施すことによって細孔径が約0.01μm〜10μm程度の微細孔を形成したものも適用することが可能である。
【0130】
また、各実施の形態に係るプラズマ発生装置(洗浄浄化装置2)1では、ガス供給部12から供給されるガスとして、空気をベースとして酸素とアルゴンガスを含有したガスを例に挙げて説明したが、より簡便にガスを供給する観点からは、単に大気中の空気を供給するようにしてもよい。
【0131】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0132】
この発明に係るプラズマ発生装置、ラジカル生成方法および洗浄浄化装置は、オゾンや各種のラジカルを微細な気泡として液体に拡散させることにより液体中の有機物や最菌等を分解させる装置として、あるいは装置に有効に利用される。
【符号の説明】
【0133】
1 プラズマ発生装置、2 洗浄浄化装置、3 ケース部材、4 液体導入口、5 液体排出口、6 多孔質セラミックス部材、6a 内側表面、6b 外側表面、7 微細孔、7a 開口端、8 外側シール部材、9 内側シール部材、10 ガス導入口、11 配管、12 ガス供給部、13 プラズマ電源部、14 内側領域、15 外側領域、21 線状電極、22 円筒状電極、22a オーバーハング部、23 内側円筒状電極、24 外側円筒状電極、25,26 平面状電極、30 液体、31 気泡、32,33 酸素ラジカル、34 オゾン、35 OHラジカル、36 有機物、41,42 放電、50 被洗浄対象部、51,52 配管、61 誘電電極、62 放電電極、63 セラミック部材、64 セラミックコート部材、65 線状電極、66 セラミック部材、67 スパイラル状電極、68a,68b,68c 線状電極。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ発生装置、ラジカル生成方法および洗浄浄化装置に関し、特に、プラズマによりラジカル等を生成し、生成されたラジカル等を微細な気泡として液体中に放出するプラズマ発生装置と、そのラジカル生成方法と、これらを用いた洗浄浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水等の液体を浄化する浄化処理技術として、浸漬中空糸膜等によるフィルタリング処理、光触媒処理、オゾン・ラジカル等による化学処理などが多く提案されている。これらの技術は、それぞれの特徴を有して適した使い分けがなされている。とりわけ、オゾン・ラジカル等による化学処理では、処理すべき液体中にオゾン等を高濃度に導入させることができれば液体中に存在する有機物等を分解させることが可能とされる。
【0003】
そのような化学処理の一つとして、オゾン等を液体中にバブリングにより導入する手法がある。この手法では、図33に示すように、処理すべき液体が収容されるタンク150と、オゾンを発生させるオゾン発生器140が用いられる。オゾン発生器140はタンク150からある程度距離を隔てられた位置に配置される。オゾン発生器140において発生したオゾンは、配管110を経由して液体130中にバブリングによって導入されることになる。
【0004】
ところが、この手法では、タンク150に到達するまでに配管110内でオゾンの寿命が尽きてオゾンが消失してしまい、十分な量のオゾンをタンク150にまで送り込めないという問題があった。また、タンク150に到達したオゾン等も、オゾンを含んだ気泡131が比較的大きいためにその大部分が大気中へ放出されてしまい、液体130中へ高濃度のオゾン等を溶解させることができないという問題があった。
【0005】
このような問題を解消するために、最近では、液中放電を利用した手法が提案されている。この手法では、図34に示すように、処理すべき液体130中において対向するように配設された平板状電極101と針状電極102との間にパルス状の高電圧を印加することによって液体130中に放電を発生させる。この放電によって生じるストリーマにより、各種のラジカル、紫外線、衝撃波等が生成される。こうして生成された各種のラジカル等によって、液体130中に含まれる有機物や細菌等の汚染物が分解処理されることになる。
【0006】
このような液中放電を利用した手法を開示した文献として、たとえば特許文献1あるいは特許文献2がある。特許文献1に提案されている手法では、対向するように配設された線状電極と平板電極との間にパルスパワーを印加することによって、電極間に満たされた水道水中にストリーマ状放電を発生させ、そのストリーマ状放電の中においてラジカルの生成、物体の破砕等、微生物等の分解等が行なわれる。
【0007】
また、特許文献2に提案されている手法では、有機物を含有した被処理水に対し、高圧パルス放電処理装置内において高圧パルス放電処理を施し、被処理水の凝集性を高めることによって汚濁物が分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−104958号公報
【特許文献2】特開平10−323674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の液中放電を利用した手法では次のような問題点があった。処理の対象とされる液体には様々の汚染物や不純物等が含まれている。そのため、液体に含まれるこれらの成分によって液体の電気抵抗値が大きく変動する。液体の電気抵抗が変動すると、電極間に所定の電圧を印加しても放電の発生の仕方にばらつきが生じ、安定してプラズマを生成させることができなくなる。その結果、ラジカル等の発生量にばらつきが生じ処理水の洗浄あるいは浄化を十分に行なうことができないという問題があった。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、一つの目的は、気体中において安定してオゾンやラジカル等を生成し、その生成されたオゾンやラジカル等をこれらが消滅する前に微細な気泡として液体中へ拡散させるプラズマ発生装置を提供することであり、他の目的は、そのようなラジカル生成方法を提供することであり、さらに他の目的は、そのようなプラズマ発生装置を用いた洗浄浄化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプラズマ発生装置は、液体を収容する液体収容部と気体を収容する気体収容部と隔壁部と第1電極と第2電極とガス供給部とプラズマ電源部とを備えている。隔壁部は液体収容部と気体収容部とを隔て、気体収容部中の気体の流通を許容してその気体を液体収容部へ導くガス通路が形成されている。第1電極は気体収容部に配設されている。第2電極は第1電極と距離を隔てられ、少なくとも第1電極と対向する側の部分が液体収容部中の液体と接触しないように配設されている。ガス供給部は、気体収容部の気体をガス通路を介して液体収容部へ圧送させる態様で、気体収容部に少なくとも酸素を含むガスを供給する。プラズマ電源部は、第1電極と第2電極との間に所定の電圧を供給して第1電極と第2電極との間に放電を発生させることにより、気体収容部に導入されたガスをプラズマ化する。
【0012】
この構成によれば、まず、気体収容部に配設される第1電極に対し、少なくともその第1電極と対向する側の部分が液体収容部中の液体と接触しないように第2電極が配設されていることで、第1電極と第2電極との間に放電が生じる際に液体の電気抵抗の影響を受けることなく放電が発生し、ガスが確実にプラズマ化されて少なくとも酸素からオゾンや酸素ラジカル等を安定に生成させることができる。
【0013】
また、生成されたオゾンや酸素ラジカル等が、ガス供給部からガスを供給することで形成される、気体収容部からガス通路を経て液体収容部へ向うガスの流れに乗って、ガス通路の液体収容部に臨む開口端において気泡として成長し、そのオゾンや酸素ラジカル等を含んだ微細な気泡が液体中に拡散することで、オゾンや酸素ラジカル等が消滅する前に極めて短時間で効率的にそのオゾンや酸素ラジカル等を液体中に送り込むことができる。
【0014】
そして、そのようなオゾンや酸素ラジカル等を含んだ微細な気泡が液体中に拡散して、液体のオゾン濃度が高められるとともに液体中に含まれる有機物等に気泡が吸着することで、有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0015】
その第1電極および第2電極の配置の態様として、第1電極は隔壁部と距離を隔てて配設され、第2電極は第1電極と隔壁部との間に配設されていることが好ましい。
【0016】
この場合には、第1電極および第2電極の双方が液体に接触せず、第1電極と第2電極との間に安定して放電を発生させることができる。
【0017】
また、第1電極および第2電極の配置の他の態様として、第1電極は隔壁部と距離を隔てて配設され、第2電極は隔壁部における液体収容部に臨む表面に密着するように配設されていることが好ましい。
【0018】
この場合には、たとえ第2電極が液体に浸漬されても、第2電極が隔壁部における液体収容部に臨む表面に密着するように配設されていることで、第2電極において第1電極と対向する側の部分は液体と接触せず、第1電極と第2電極との間に安定して放電を発生させることができる。
【0019】
また、この場合には、放電経路を短くするために、第2電極は、ガス通路の開口端部においてガス通路に向かって張出したオーバーハング部を含むことがより好ましい。
【0020】
そして、第1電極および第2電極の配置のさらに他の態様として、第1電極は隔壁部における気体収容部に臨む表面に密着するように配設され、第2電極は隔壁部における液体収容部に臨む表面に密着するように配設されていることが好ましい。
【0021】
この場合にも、たとえ第2電極が液体に浸漬されても、第2電極が隔壁部における液体収容部に臨む表面に密着するように配設されていることで、第2電極において第1電極と対向する側の部分は液体と接触せず、第1電極と第2電極との間に安定して放電を発生させることができる。
【0022】
また、この場合にも、放電経路を短くするために、第1電極および第2電極のそれぞれは、ガス通路の開口端部においてガス通路に向かって張出したオーバーハング部を含むことがより好ましい。
【0023】
隔壁部の形状として、隔壁部は筒状体であり、筒状体の内側の領域が気体収容部とされ、筒状体の外側の領域が液体収容部とされることが好ましい。
【0024】
これにより、プラズマ発生装置のサイズをよりコンパクトにすることができる。
また、この場合には、効率的に放電を発生させるために、第1電極は、所定の方向にそれぞれ延在する線状電極および内側筒状電極のいずれかとされ、第2電極は、第1電極を囲むようにして所定の方向に延在する外側筒状電極とされることがより好ましい。
【0025】
そして、この場合には、気体を効率的に流通させるために内側筒状電極および外側筒状電極はメッシュ状であることがより好ましい。
【0026】
また、放電によるダメージや液体の接触による腐食を抑制するために、第1電極および第2電極の少なくとも一方は誘電体で被覆されていることが好ましい。
【0027】
第1電極および第2電極の配置のさらに他の態様として、隔壁部は筒状体であり、その筒状体の内側の領域が気体収容部とされ、筒状体の外側の領域が液体収容部とされて、第1電極と第2電極とは、筒状体の内側の領域において間隔を隔てて配設されていることが好ましい。
【0028】
この場合には、第1電極と第2電極とを気体収容部内に容易に配設することができる。
より具体的には、第1電極と第2電極とは互いに平行に配設され、第1電極と第2電極との間に、沿面放電させるための誘電体部を介在させていることが好ましい。
【0029】
また、第1電極および第2電極は、それぞれ線状電極とされ、第1電極および第2電極の少なくともいずれかは、誘電体によって被覆されていることが好ましい。
【0030】
さらに、この場合には、第2電極は複数設けられ、第1電極と複数の第2電極とは、互いに平行に配設されていてもよい。また、第2電極は直線状に延在する第1電極の周りにスパイラル状に配設されていてもよい。
【0031】
成長する気泡をせん断して液体中に放出するために、液体収容部では、隔壁部における液体収容部に臨む面に沿って液体が流されることが好ましい。
【0032】
また、隔壁部としては、筒状体の他に平板状体であってもよい。
その隔壁部はセラミックス部材を含むことが好ましい。
【0033】
この場合には、特に、セラミックス部材として微細孔を有するものを適用することで、その微細孔をガス通路とすることができる。なお、微細孔とは約100分の1μm〜数十μm程度の大きさの孔径を有する孔をいう。
【0034】
第1電極と第2電極との間に大気圧あるいはそれ以上の圧力のもとで放電を発生させるには、プラズマ電源部は、第1電極と第2電極との間にパルス電圧および高周波電圧のいずれかを印加する機能を含むことが好ましい。
【0035】
また、ガス供給部は、さらにアルゴンおよび水蒸気の少なくともいずれかを供給する機能を含むことが好ましい。
【0036】
この場合には、アルゴンを供給することによりプラズマが安定化し、水蒸気を供給することによってOHラジカルを生成することができる。
【0037】
また、より簡便にガスを供給するには、ガス供給部は大気中の空気を供給する機能を含んでいてもよい。
【0038】
さらに、酸素ラジカル等を効率的に生成するためには、ガス供給部と気体収容部との間に、ガス供給部から送られるガスをプラズマ化するプラズマ発生部を備えていることが好ましい。
【0039】
本発明に係るラジカル生成方法は以下の工程を備えている。液体を収容する液体収容部と気体を収容する気体収容部とを、気体の流通を許容するガス通路が形成された隔壁部によって隔て、気体収容部の気体をそのガス通路を介して液体収容部へ圧送させる態様で気体収容部に少なくとも酸素を含むガスを供給する。気体収容部および隔壁部の領域の少なくともいずれかの領域においてプラズマを生成することにより、ガスに含まれる酸素の酸素ラジカルを生成する。生成した酸素ラジカルを気体とともに液体収容部へ圧送することにより、ガス通路の液体収容部側の開口端において酸素ラジカルを含んだ気泡を成長させる。液体収容部の液体の流れにより、気泡を隔壁部からせん断して液体中に気泡を放出する。
【0040】
この方法によれば、まず、気体収容部および隔壁部の領域の少なくともいずれかの領域においてプラズマを生成することで、液体の電気抵抗の影響を受けることなく確実にプラズマが生成されて、酸素からオゾンや酸素ラジカル等を安定に生成させることができる。
【0041】
また、生成されたオゾンや酸素ラジカル等が、ガスを供給することで形成される、気体収容部からガス通路を経て液体収容部へ向うガスの流れに乗って、ガス通路の液体収容部に臨む開口端において気泡として成長し、そのオゾンや酸素ラジカル等を含んだ微細な気泡が液体中に拡散することで、オゾンや酸素ラジカル等が消滅する前に極めて短時間で効率的にそのオゾンや酸素ラジカル等を液体中に送り込むことができる。
【0042】
そして、そのようなオゾンや酸素ラジカル等を含んだ微細な気泡が液体中に拡散して、液体のオゾン濃度が高められるとともに液体中に含まれる有機物等に気泡が吸着することで、有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0043】
ガスを供給する工程では、さらにアルゴンおよび水蒸気の少なくともいずれかが供給される好ましい。
【0044】
この場合には、アルゴンを供給することによりプラズマが安定化し、水蒸気を供給することによってOHラジカルを生成することができる。
【0045】
また、ガスを供給する工程において、より簡便にガスを供給するには、大気中の空気を供給するようにしてもよい。
【0046】
大気圧あるいはそれ以上の圧力のもとで放電を発生させるには、プラズマは所定の1対の対向電極間にパルス電圧を印加するか、高周波電圧を印加することが好ましい。
【0047】
また、酸素ラジカル等を効率的に生成するために、ガスを供給する工程では、ガスはあらかじめプラズマ化されて供給されることが好ましい。
【0048】
本発明に係る洗浄浄化装置は、請求項1〜23のいずれかに記載のプラズマ発生装置を備えた洗浄化装置であって、ガス導入口と液体導入口と液体排出口とを備えている。ガス導入口は気体収容部に取付けられ、気体収容部にガスを供給する。液体導入口は液体収容部に取付けられ、液体収容部に液体を導入する。液体排出部は液体収容部に取付けられ、液体収容部の液体を排出する。そして、ガス導入口からガスを供給することにより、気体収容部の気体をガス通路を介して液体収容部へ圧送させて、酸素ラジカルを含んだ気泡を液体に放出する機能を備えている。
【0049】
この構成によれば、少なくともオゾンや酸素ラジカル等を含んだ微細な気泡が液体に拡散して、液体のオゾン濃度が高められるとともに液体中に含まれる有機物等に気泡が吸着することで、有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0050】
この洗浄浄化装置としては、液体収容部が、気泡に含まれる少なくともオゾンや酸素ラジカル等によって液体を浄化する液体浄化部とされる使用態様がある。
【0051】
また、液体収容部が、少なくともオゾンや酸素ラジカル等を含んだ気泡を放出することで液体を洗浄液として生成する洗浄液生成部とされる使用態様がある。
【0052】
所定の大きさに成長した気泡をせん断して液体中に開放するには、液体導入口および液体排出口は、液体収容部において隔壁部に沿って液体が流れる所定の位置関係に配置されることが好ましい。
【0053】
洗浄浄化装置をよりコンパクトにするには、筒状の隔壁部を周方向から取囲むように同心状に配設された筒状のケース部材を備え、筒状の隔壁部と筒状のケース部材との間の領域が液体収容部とされることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1に係るプラズマ発生装置の構成を示す一部断面を含む図である。
【図2】同実施の形態において、電極を装着した多孔質セラミックス部材の断面図である。
【図3】同実施の形態において、図2に示す断面線III−IIIにおける断面図である。
【図4】同実施の形態において、プラズマ発生装置の動作を説明するための一状態を示す部分拡大断面図である。
【図5】同実施の形態において、図4に示す状態の後の状態を示す部分拡大断面図である。
【図6】同実施の形態において、図5に示す状態の後の状態を示す断面図である。
【図7】同実施の形態において、図6に示す断面線VII−VIIにおける断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るプラズマ発生装置における、電極を装着した多孔質セラミックス部材の断面図である。
【図9】同実施の形態において、図8に示す断面線IX−IXにおける断面図である。
【図10】同実施の形態において、プラズマ発生装置の動作を説明するための一状態を示す部分拡大断面図である。
【図11】同実施の形態において、図10に示す状態の後の状態を示す部分拡大断面図である。
【図12】同実施の形態において、図11に示す状態の後の状態を示す断面図である。
【図13】同実施の形態において、図12に示す断面線XIII−XIIIにおける断面図である。
【図14】同実施の形態において、放電の発生の仕方を説明するための部分拡大断面図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係るプラズマ発生装置における、電極を装着した多孔質セラミックス部材の断面図である。
【図16】同実施の形態において、図15に示す断面線XVI−XVIにおける断面図である。
【図17】同実施の形態において、プラズマ発生装置の動作を説明するための一状態を示す部分拡大断面図である。
【図18】同実施の形態において、図17に示す状態の後の状態を示す部分拡大断面図である。
【図19】同実施の形態において、図18に示す状態の後の状態を示す断面図である。
【図20】同実施の形態において、図19に示す断面線XX−XXにおける断面図である。
【図21】各実施の形態において、変形例に係るプラズマ発生装置を示す斜視図である。
【図22】本発明の実施の形態4に係る洗浄浄化装置の構成を示す一部断面を含む図である。
【図23】同実施の形態において、洗浄浄化装置の動作を説明するための一状態を示す一部断面を含む図である。
【図24】同実施の形態において、洗浄浄化装置における気泡の挙動の一例を示す部分拡大図である。
【図25】同実施の形態において、洗浄浄化装置における気泡の挙動の他の例を示す部分拡大図である。
【図26】同実施の形態において、被洗浄対象部における気泡の挙動の一例を示す部分拡大図である。
【図27】本発明の実施の形態5に係る洗浄浄化装置の構成を示す一部断面を含む図である。
【図28】同実施の形態において、図27に示す誘電電極および放電電極を示す部分拡大斜視図である。
【図29】同実施の形態において、洗浄浄化装置の動作を説明するための一状態を示す一部断面を含む図である。
【図30】同実施の形態において、色素の脱色分解評価結果を示すグラフである。
【図31】同実施の形態において、変形例に係る電極を示す部分拡大斜視図である。
【図32】同実施の形態において、他の変形例に係る電極を示す部分拡大斜視図である。
【図33】従来の洗浄浄化装置の断面図である。
【図34】従来のプラズマ発生装置の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
実施の形態1
本発明の実施の形態1に係るプラズマ発生装置とそのラジカル生成方法について説明する。図1に示すように、プラズマ発生装置1では、円筒状のケース部材3の内側に同心状に円筒状の多孔質セラミックス部材6が配設されている。ケース部材3の両端部には、ケース部材3と多孔質セラミックス部材6との隙間を塞ぐリング状の外側シール材8が装着されている。また、多孔質セラミックス部材6の両端部には、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域を塞ぐ内側シール材9が配設されている。多孔質セラミックス部材6の外径寸法は数cm程度で、長さは用途に応じて数cm〜数十cmとされる。
【0056】
ケース部材3の側面の一端側には、ケース部材3と多孔質セラミックス部材6との間の領域(液体収容部)15に液体を導入する液体導入口4が設けられている。一方、ケース部材3の側面の他端側には、導入された液体を送り出す液体排出口5が設けられている。また、多孔質セラミックス部材6の一端側には、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域(気体収容部)14に所定のガスを導入するガス導入口10が設けられている。ガス導入口10は配管11を介してガス供給部12と接続されている。ガス供給部12から、所定のガスとして少なくとも酸素(O2)を含むガスが供給される。また、酸素の他
に、アルゴンガス(Ar)と水蒸気(H2O)が含まれることが好ましい。
【0057】
多孔質セラミックス部材6には、細孔径が約0.01μm〜10μm程度の微細孔(図示せず)が形成されている。後述するように、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に導入されたガス等は、この微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ送り出されることになる。その多孔質セラミックス部材6には、プラズマを生成するための2つの電極が取り付けられている。
【0058】
次に、その電極の構造について詳しく説明する。図2および図3に示すように、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14には、線状電極21と円筒状電極22が配設されている。線状電極21は、円筒状の多孔質セラミックス部材6のほぼ中心に配置されている。線状電極21の表面は、誘電体(図示せず)によって被覆されている。
【0059】
一方、円筒状電極22は、たとえば200番以上のメッシュ状の金属細線からなり、線状電極21を周方向から取囲むように略同心状に配置されている。また、円筒状電極22は多孔質セラミックス部材6の内側表面6bとは、たとえば約0.1〜3mmの距離を隔てられている。線状電極21と円筒状電極22は、プラズマ電源部13(図1参照)に電気的に接続されて、所定のパルス電圧あるいは高周波(RF:Radio Frequency)電圧が
印加される。
【0060】
このプラズマ発生装置1では、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に線状電極21と円筒状電極22が配設されることで、線状電極21と円筒状電極22の双方は、ケース部材3と多孔質セラミックス部材6との間の領域15に導入される液体に接触することはない。
【0061】
次に、上述したプラズマ発生装置1の動作について説明する。図1に示すように、まず、ガス供給部12から空気をベースとして酸素とアルゴンを含有したガス(流量約0.05L/min〜1L/min(50cc/min〜1000cc/min))が、配管11およびガス導入10を経て多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に送り込まれる。このとき、ガスを送り込む圧力は、約0.0098MPa〜0.49MPa(0.1kgf/cm2〜5kgf/cm2)程度とされる。
【0062】
これにより、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14の圧力は、大気圧にこの圧力が加わって約0.11MPa〜0.59MPa(1.1kgf/cm2〜6kgf/cm2)程度となり、陽圧状態になる。こうして、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14が陽圧になることで、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。
【0063】
次に、プラズマ電源部13によって、線状電極21と円筒状電極22にパルス電圧あるいは高周波電圧が印加される。パルス電圧としては、急峻な立ち上がりを有し、たとえば数μ秒〜数十n秒のパルス幅を有する約100V〜1kV程度の電圧が好ましい。一方、高周波電圧としては、大気圧のもとにおいてグロー放電を可能にする周波数50Hz程度以上の電圧(RFパワー:約10W〜100W程度)が好ましい。
【0064】
線状電極21と円筒状電極22にパルス電圧等が印加されることで、線状電極21と円筒状電極22との間には、大気圧あるいはそれ以上の圧力のガス雰囲気のもとで放電が生じる。なお、大気圧のもとでプラズマを生成する技術については、たとえば文献A(岡崎幸子、「大気圧グロー放電プラズマとその応用」、レビュー講演:20th JSPF Annual Meeting)に報告されている。
【0065】
多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に導入されたガスは、この放電によってプラズマ化され、含有する酸素によってオゾンや酸素ラジカル等が生成される。また、含有するアルゴンガスによってプラズマ生成の安定化が図られる。さらに、大気に含まれる水分(水蒸気)によってOHラジカル(ヒドロキシラジカル)等が生成される。
【0066】
こうして生成されたオゾンや、酸素ラジカルあるいはOHラジカル等の各種のラジカルは、上述したガスの流れに伴って、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔を経て外側の領域15へ送り出されることになる。次に、この様子について詳しく説明する。
【0067】
その気泡31が成長する外側の領域15では、液体30が導入されることによって液体30の流れ(矢印60)が生じている。図5に示すように、その液体30が成長する気泡31にあたると、気泡31にはせん断力として作用して気泡31は開口端7aから液体30中へ解き放たれる。液体30中へ放たれる気泡31の大きさを微細孔7の大きさ(開口径)に対応した所望の大きさにするために、多孔質セラミックス部材6の外側表面に沿って流れる液体30の流速あるいは流量が所定の値に制御される。液体30の流速あるいは流量を制御することによって、気泡31の大きさは約0.1μm〜100μm程度の範囲で制御することが可能になる。これについては、後でより詳細に説明する。
【0068】
図6および図7に示すように、液体30中に解き放たれた気泡31は微細な気泡であることで、大気中に直ぐに放出されることなく液体30の隅々にまで拡散し、そして、拡散した微細な気泡31の一部は液体30中に容易に溶解する。このとき、気泡31に含まれているオゾンや酸素ラジカル等が液体30中に溶解することで、液体30のオゾン濃度は一気に上昇することになる。
【0069】
また、文献B(高橋正好、「マイクロバブルとナノバブルによる水環境の改善」、アクアネット、2004.6)によれば、通常、オゾンや各種のラジカルを含んだ微細な気泡31はマイナスに帯電していることが多いことが報告されている。そのため、気泡31の他の一部は、液体30中に含まれる有機物、油脂物、染料、たんぱく質、細菌等(図示せず)に容易に吸着する。液体30中の有機物等は、液体30に溶解したオゾンあるいは各種のラジカルや、有機物等に吸着した気泡31に含まれるオゾンあるいは各種のラジカル等によって分解される。
【0070】
たとえば、OHラジカル等は、約120kcal/mol程度の比較的大きなエネルギーを有している。このエネルギーは、窒素原子と窒素原子との二重結合(N=N)、炭素原子と炭素原子との二重結合(C=C)あるいは炭素原子と窒素原子との二重結合(C=N)等の結合エネルギー(〜100kcal/mol)を上回るものであり、窒素や炭素等の結合からなる有機物等は、このOHラジカル等によって容易にその結合が切断されて分解されることになる。なお、このような有機物等の分解に寄与するオゾンやOHラジカル等は、塩素等のような残留性がなく時間とともに消滅するため、環境に配慮した物質でもある。
【0071】
上述したプラズマ発生装置1によれば、まず、円筒状の多孔質セラミックス部材6の外側の領域15に液体30が導入され、その内側の領域14にプラズマを生成する線状電極21と円筒状電極22とが配設されていることで、線状電極21と円筒状電極22は液体30には全く接触せず、液体30の電気抵抗の影響を受けることがなくなる。これにより、線状電極21と円筒状電極22との間に放電が安定して発生し、内側の領域14に導入された酸素を含むガスが確実にプラズマ化されて、酸素からオゾンあるいは酸素ラジカル等を安定に生成させることができる。
【0072】
そして、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に酸素を含むガスを導入することで、その内側の領域14が陽圧なって内側の領域14から微細孔7を経て外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。生成されたオゾンあるいは酸素ラジカル等は、このガスの流れに乗って微細孔7の液体30に臨む開口端7aにおいて気泡31として成長する。所定の大きさに成長した気泡31は液体30の流れによってせん断されて液体30中に解き放たれ、オゾンあるいは酸素ラジカル等を含んだガスは微細な気泡31として液体30中に拡散する。これにより、オゾンや各種のラジカルを発生させた後、これらが消滅する前に極めて短時間で効率的にそのオゾンや各種のラジカルを液体30中に送り込むことができる。
【0073】
そして、そのようなオゾンや各種のラジカルを含んだ微細な気泡31が液体30中に拡散することによって、液体30のオゾン濃度が高められるとともに液体30中に含まれる有機物等に気泡31が吸着する。これにより、液体30中に溶解したオゾン等や吸着した気泡31に含まれる各種のラジカルによって有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0074】
さらに、プラズマを生成する電極を装着し、発生したオゾンや各種のラジカルを液体中に送り込む多孔質セラミックス部材6においては、その外径寸法は数cm程度で、長さは用途に応じて数cm〜数十cmとされる。これにより、プラズマ発生装置1のプラズマ電源部13やガス供給部12を除いた本体部分の大きさをコンパクトにすることができ、既存の装置に組み込みやすくすることができる。また、新たに装置に搭載する場合においても、その占有空間を最小限に抑えることができる。
【0075】
実施の形態2
実施の形態2では、電極の配置のバリエーションの一例について説明する。図8および図9に示すように、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に線状電極21が配設され、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6a上に円筒状電極22が配設されている。線状電極21は直径約0.1mm〜1mm程度とされ、円筒状の多孔質セラミックス部材6のほぼ中心に配置されている。また、線状電極21の表面は誘電体(図示せず)によって被覆されている。
【0076】
一方、円筒状電極22は、少なくとも線状電極21と対向する部分が液体に接触しないように、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6aに密着するように形成されている。また、円筒状電極22は、多孔質セラミックス部材6の微細孔を塞がないように網目状に形成されている。そして、円筒状電極22の表面は誘電体(図示せず)によって被覆されている。円筒状電極22と線状電極21との距離は約2mm〜8mm程度とされる。なお、これ以外の構成については前述したプラズマ発生装置と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0077】
上記のように、このプラズマ発生装置1では、円筒状電極22は、少なくとも線状電極21と対向する部分が液体に接触しないように、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6aに密着し、また、多孔質セラミックス部材6の微細孔を塞がないように網目状に形成されている。
【0078】
ここで、その円筒状電極22の形成方法の一例について説明する。円筒状電極22は、たとえば、タングステン(W)をスパッタ法によって多孔質セラミックス部材6の外側表面6aに堆積することにより形成される。多孔質セラミックス部材6の外側表面6aには、微細孔の開口端があり、その開口度は約40%〜60%程度とされる。したがって、スパッタ法によってタングステン等は主に微細孔が位置していない領域に自己整合的に堆積されて、円筒状電極22は網目状に形成されることになる。
【0079】
また、スパッタ法を用いることで、微細孔の開口端では、開口端縁から開口部内へ向って突出する部分が形成される。すなわち、タングステンは庇のようにオーバハング形状になる。なお、材料としては、タングステンの他に、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等も適用することができる。後述するように、このような庇が形成されることで、円筒状電極22と線状電極21との間で放電経路がより短くなって放電を生じやすくすることができる。また、スパッタ法の他に、たとえば200番以上のメッシュ状の金属細線を多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6aに密着する態様で配設させてもよい。
【0080】
次に、上述したプラズマ発生装置の動作について説明する。図8に示すように、まず、前述したように、空気をベースとして酸素とアルゴンを含有したガス(流量約0.05L/min〜1L/min(50cc/min〜1000cc/min))が、ガス導入口10を経て多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に送り込まれて、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14が陽圧状態(約0.11MPa〜0.59MPa(約1.1kgf/cm2〜6kgf/cm2))とされ、その内側の領域14から微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。
【0081】
次に、線状電極21と円筒状電極22にパルス電圧(パルス幅:数μ秒〜数十n秒程度、電圧:約100V〜1kV程度)あるいは高周波電圧(周波数:50Hz程度、RFパワー:約10W〜100W程度)が印加されて、線状電極21と円筒状電極22との間に位置する内側の領域14、あるいは、多孔質セラミックス部材6の微細孔中において放電が生じる。多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に導入されたガスは、この放電によってプラズマ化されて、オゾンや酸素ラジカルあるいはOHラジカル等の各種のラジカルが生成される。
【0082】
図10に示すように、生成されたオゾンや各種のラジカルは、上述したガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔7を流れ(矢印61)、微細孔7の外側の開口端7aではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡31が徐々に成長する(矢印62)。図11に示すように、成長する気泡31は液体30の流れ(矢印60)によってせん断され、微細な気泡31として開口端7aから液体30中へ解き放たれる。
【0083】
図12および図13に示すように、液体30中に解き放たれた微細な気泡31は液体30の隅々にまで拡散し、その一部は液体30中に容易に溶解する。また、一部の気泡は液体30中に含まれる有機物等に容易に吸着する。こうして、液体30中の有機物や細菌等は、液体30に溶解したオゾンあるいは各種のラジカルや、有機物等に吸着した気泡31に含まれるオゾンあるいは各種のラジカルによって効率的に分解されることになる。
【0084】
上述したプラズマ発生装置1によれば、まず、線状電極21は円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に配設され、一方、円筒状電極22は多孔質セラミックス部材6の外側表面6aに密着するように配設されている。これにより、多孔質セラミックス部材6とともに円筒状電極22が液体30中に浸漬されても、円筒状電極22のうち、少なくとも線状電極21と対向する部分は液体に接触しないので、円筒状電極22と線状電極21との間に放電を発生させる際に液体の電気抵抗の影響を受けることがなくなる。
【0085】
また、図14に示すように、円筒状電極22にオーバーハング部22a(微細孔7に向って左側)が形成されることで、そのようなオーバハング部がない場合(微細孔7に向って右側)の放電経路42と比べて、放電経路がより短くなって円筒状電極22と線状電極21との間に放電経路41を容易に形成することができる。これらにより、線状電極21と円筒状電極22との間に放電が安定して発生し、内側の領域14に導入されたガスが確実にプラズマ化されて、少なくとも酸素からオゾンあるいは酸素ラジカルを安定に生成させることができる。
【0086】
生成されたオゾンや各種のラジカルは、ガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔7を流れ、微細孔7の外側の開口端7aではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡31が徐々に成長する。所定の大きさに成長した気泡31は液体30の流れによってせん断されて液体30中に解き放たれ、オゾンや各種のラジカルを含んだガスは微細な気泡31として液体30中に拡散する。
【0087】
これにより、オゾンや各種のラジカルを発生させた後、これらが消滅する前に短時間で効率的にそのオゾンや各種のラジカルを液体30中に送り込むことができる。そして、そのような微細な気泡31が液体30中に拡散することによって、液体30のオゾン濃度が高められるとともに液体30中に含まれる有機物等に気泡31が吸着し、液体30に含まれる有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0088】
さらに、前述したように、プラズマ発生装置1のプラズマ電源部13やガス供給部12を除いた本体部分の大きさをコンパクトにすることができ、既存の装置に組み込みやすくすることができる。また、新たに装置に搭載する場合においても、その占有空間を最小限に抑えることができる。
【0089】
実施の形態3
実施の形態3では、電極の配置のバリエーションの他の例について説明する。図15および図16に示すように、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に内側円筒状電極23が配設され、多孔質セラミックス部材6の液体に臨む外側表面6a上に外側円筒状電極24が配設されている。内側円筒状電極23は、円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側表面6b上に配設されていている。なお、この内側円筒状電極23は、内側表面6bから距離約0.1mm〜3mm程度隔てられた位置に配設されていてもよい。
【0090】
一方、外側円筒状電極24は、少なくとも内側円筒状電極23と対向する部分が液体に接触しないように、液体に臨む外側表面6aに密着するように形成されている。また、外側円筒状電極24は、多孔質セラミックス部材6の微細孔を塞がないように網目状に形成されている。そして、外側円筒状電極24の表面は誘電体(図示せず)によって被覆されている。なお、これ以外の構成については前述したプラズマ発生装置と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0091】
上記のように、このプラズマ発生装置では、外側円筒状電極24は、少なくとも内側円筒状電極23と対向する部分が液体に接触しないように、液体に臨む外側表面6aに密着し、また、多孔質セラミックス部材6の微細孔を塞がないように網目状に形成されている。この外側円筒状電極24は、前述したように、たとえばタングステン(W)等の電極材料をスパッタ法を用いて堆積させることによって形成される。また、スパッタ法によって形成されていることで、外側円筒状電極24にはオーバーハング部が形成されている。なお、200番以上のメッシュ状の金属細線を液体に臨む外側表面6aに密着する態様で配設させてもよい。
【0092】
次に、上述したプラズマ発生装置の動作について説明する。図15に示すように、まず、前述したように、空気をベースとして酸素とアルゴンを含有したガス(流量約0.05L/min〜1L/min(50cc/min〜1000cc/min))が、ガス導入口10を経て多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に送り込まれて、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14が陽圧状態(約0.11MPa〜0.59MPa(約1.1kgf/cm2〜6kgf/cm2))とされ、その内側の領域14から微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。
【0093】
次に、内側円筒状電極23と外側円筒状電極24にパルス電圧(パルス幅:数μ秒〜数十n秒程度、電圧:約100V〜1kV程度)あるいは高周波電圧(周波数:50Hz程度、RFパワー:約10W〜100W程度)が印加されて、内側円筒状電極23と外側円筒状電極24との間に位置する多孔質セラミックス部材6の微細孔7中(あるいは、内側円筒状電極23と内壁面6bとの間に位置する内側の領域14(図示せず))において放電が生じる。多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に導入されたガスは、この放電によってプラズマ化されて、オゾンや酸素ラジカルあるいはOHラジカル等の各種のラジカルが生成される。
【0094】
図17に示すように、生成されたオゾンや各種のラジカルは、上述したガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔7を流れ、微細孔7の外側の開口端7aではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡31が徐々に成長する。図18に示すように、成長する気泡31は液体30の流れによってせん断され、開口端7aから液体30中へ解き放たれる。
【0095】
図19および図20に示すように、液体30中に解き放たれた微細な気泡31は液体30の隅々にまで拡散し、その一部は液体30中に容易に溶解する。また、一部の気泡は液体中に含まれる有機物等に容易に吸着する。こうして、液体30中の有機物や細菌等は、液体30に溶解したオゾンあるいは各種のラジカルや、有機物等に吸着した気泡31に含まれるオゾンあるいは各種のラジカルによって分解されることになる。
【0096】
上述したプラズマ発生装置1によれば、まず、内側円筒状電極23は円筒状の多孔質セラミックス部材6の内側の表面6b上、あるいは、その内側の表面6bからわずかな距離を隔てて配設され、一方、外側円筒状電極24は多孔質セラミックス部材6の外側表面6aに密着するように配設されている。そのため、多孔質セラミックス部材6とともに外側円筒状電極24が液体中に浸漬されても、外側円筒状電極24のうち、少なくとも内側円筒状電極23と対向する部分は液体に接触しないので、外側円筒状電極24と内側円筒状電極23との間に放電を発生させる際に液体の電気抵抗の影響を受けることがなくなる。
【0097】
また、少なくとも外側円筒状電極24にオーバーハング部が形成されることで、前述したように、外側円筒状電極24と内側円筒状電極23との間に放電経路を容易に形成することができる。これらにより、内側円筒状電極23と外側円筒状電極24との間に放電が安定して発生し、内側の領域14に導入されたガスが確実にプラズマ化されて、少なくとも酸素からオゾンあるいは酸素ラジカルを安定に生成させることができる。
【0098】
生成されたオゾンや各種のラジカルは、ガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の微細孔7を流れ、微細孔7の外側の開口端7aではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡31が徐々に成長する。所定の大きさに成長した気泡31は液体30の流れによってせん断されて液体30中に解き放たれ、オゾンや各種のラジカルを含んだガスは微細な気泡31として液体30中に拡散する。
【0099】
これにより、オゾンや各種のラジカル等を発生させた後、これらが消滅する前に短時間で効率的にそのオゾンや各種のラジカルを液体30中に送り込むことができる。そして、そのような微細な気泡31が液体30中に拡散することによって、液体30のオゾン濃度が高められるとともに液体30中に含まれる有機物等に気泡31が吸着し、液体30に含まれる有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0100】
さらに、前述したように、プラズマ発生装置1のプラズマ電源部13やガス供給部12を除いた本体部分の大きさをコンパクトにすることができ、既存の装置に組み込みやすくすることができる。また、新たに装置に搭載する場合においても、その占有空間を最小限に抑えることができる。
【0101】
変形例
上述した各実施の形態では、微細な気泡を発生させる多孔質セラミックス部材として、円筒状の多孔質セラミックス部材を例に挙げて説明した。多孔質セラミックス部材としては円筒状のものに限られず、たとえば図21に示すように、平板状の多孔質セラミックス部材6を適用してもよい。この場合には、ほぼ直方体のケース部材3に配設された平板状の多孔質セラミックス部材6の下方に位置する領域に、少なくとも酸素を含んだガスが導入される。
【0102】
また、この領域には、放電を発生させてガスをプラズマ化する網状の平板状電極25,26が間隔を隔てて対向するように配設されている。一方、多孔質セラミックス部材6の上方に位置する領域には処理される液体30が導入される。液体30は液体導入口4から導入されて液体排出口5から排出される。
【0103】
このようなプラズマ発生装置1によっても、平板状電極25,26は液体30が導入されても液体30に全く接触しないので、平板状電極25,26との間に放電を発生させる際に液体30の電気抵抗の影響を受けることがなくなる。これにより、平板状電極25と平板状電極26との間に放電が安定して発生し、ガス導入口10から導入されたガスが確実にプラズマ化されて、少なくとも酸素からオゾンあるいは酸素ラジカルを安定に生成させることができる。
【0104】
生成されたオゾンや各種のラジカルは、ガスの流れとともに平板状の多孔質セラミックス部材6の微細孔(図示せず)を流れ、微細孔の外側の開口端ではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡が徐々に成長する。所定の大きさに成長した気泡は液体の流れによってせん断されて液体30中に解き放たれ、オゾンや各種のラジカルを含んだガスは微細な気泡31として液体30中に拡散する。
【0105】
これにより、オゾンや各種のラジカルを発生させた後、これらが消滅する前に短時間で効率的にそのオゾンや各種のラジカルを液体30中に送り込むことができる。そして、そのような微細な気泡31が液体30中に拡散することによって、液体30のオゾン濃度が高められるとともに液体30中に含まれる有機物等に気泡31が吸着し、液体30に含まれる有機物や細菌等を効率的に分解することができる。
【0106】
実施の形態4
実施の形態4では、プラズマ発生装置1を用いた洗浄浄化装置の一例について説明する。図22に示すように、プラズマ発生装置1を備えた洗浄浄化装置2では、円筒状の多孔質セラミックス部材6を収容する円筒状のケース部材3の液体導入口4には、被洗浄処理対象部50の液体を送り込む配管51が接続され、液体排出口5には処理の完了した液体を被洗浄処理対象部50へ戻す配管52が接続されている。なお、これ以外の構成については実施の形態1において説明したプラズマ発生装置1と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0107】
次に、上述した洗浄浄化装置2の動作について説明する。図23に示すように、まず、空気をベースとして酸素とアルゴンを含有した所定流量のガスが、ガス導入口10を経て多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に送り込まれ、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14が陽圧状態とされて、その内側の領域14から微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。
【0108】
次に、線状電極21と円筒状電極22にパルス電圧等を印加することによって、線状電極21と円筒状電極22との間において放電が生じる。多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に導入されたガスは、この放電によってプラズマ化されて、オゾンや酸素ラジカルあるいはOHラジカル等の各種のラジカルが生成される(図4参照)。
【0109】
生成されたオゾンや各種のラジカルは、上述したガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔を流れ、微細孔の外側の開口端ではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡が徐々に成長する。図23に示すように、成長する気泡は液体30の流れによってせん断され、微細な気泡31として開口端から液体30中へ解き放たれる。
【0110】
液体30中に解き放たれた微細な気泡31は液体30の隅々にまで拡散する。図24に示すように、拡散した微細な気泡31の一部は、気泡31に含まれていたオゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等とともに容易に液体30中に溶解して、オゾン濃度が上昇する。また、一部の気泡31は、オゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等を含んだ状態で、液体30中に含まれる有機物36等に容易に吸着する。さらに、気泡31の一部には、微細な有機物36が吸着する。
【0111】
こうして、液体30中の有機物36等は、液体30に溶解したオゾン34あるいは各種のラジカル32,33や、有機物36等に吸着した気泡31に含まれるオゾン34あるいは各種のラジカル32,33等によって効率的に分解される。有機物等が分解されて浄化された液体30は、液体排出口5から配管52を経て被洗浄処理対象部50へ戻され、再び使用されることになる。
【0112】
また、この洗浄浄化装置2は、上記のようにケース部材3内で液体を洗浄浄化する使用態様(使用態様A)の他に、微細な気泡を拡散させた液体を洗浄液として所定の装置に供給する使用態様(使用態様B)も可能である。この場合には、まず、図25に示すように、ケース部材内に導入された液体30中に、オゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等を含んだ微細な気泡31が拡散されるとともに、微細な気泡31に含まれていたオゾン34や各種のラジカル32,33,35が溶解される。また、このとき、気泡31の一部には、微細な有機物36が吸着する。
【0113】
次に、この液体30が洗浄液として被洗浄処理対象部50へ供給される。図26に示すように、被洗浄処理対象部50では、有機物36等が、液体30に溶解したオゾン34あるいは各種のラジカル32,33,35や、有機物36等に吸着した気泡31に含まれるオゾン34あるいは各種のラジカル32,33,35等によって効率的に分解されることになる。
【0114】
この洗浄浄化装置を使用態様Aとして使用する場合、たとえば浴槽に溜めた湯、雨水、汚水、下水等の各種の液体の浄化に、この洗浄浄化装置を適用することが可能である。また、使用態様Bとして使用する場合、たとえば洗濯機や食器洗い機等の各種家電製品、口内洗浄機等の健康家電製品、トイレ等の衛生機器等に使用する水に洗浄液として使用することができる。また、家電製品等の他に、たとえば食品の洗浄や工業製品の製造工程における洗浄等の産業界へ幅広く適用することができる。
【0115】
実施の形態5
実施の形態5では、プラズマ発生装置1を用いた洗浄浄化装置の他の例について説明する。図27に示すように、プラズマ発生装置1を備えた洗浄浄化装置2では、多孔質セラミックス部材6に設けられたガス導入口10とガス供給部12との間に、ガス供給部12から送られるガスをあらかじめプラズマ化するプラズマ発生部16が配設されている。また、多孔質セラミックス部材6の内側には、誘導電極61と放電電極62が配設されている。図28に示すように、誘導電極61はセラミック部材63によって被覆されている。放電電極62は、セラミック部材63の表面に配設され、そして、セラミックコート部材64によって被覆されている。なお、これ以外の構成については実施の形態1において説明したプラズマ発生装置1と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0116】
次に、上述した洗浄浄化装置2の動作について説明する。まず、ガス供給部12から、空気をベースとして酸素とアルゴンを含有した所定流量のガスが送られる。次に、ガスは、プラズマ発生部16において生成されたプラズマによって事前に活性化される。つまり、ガスの一部がプラズマ化される。次に、事前に活性化されたガスは、ガス導入口10を経て多孔質セラミックス部材6の内側の領域14に送り込まれ、多孔質セラミックス部材6の内側の領域14が陽圧状態とされて、その内側の領域14から微細孔を経て多孔質セラミックス部材6の外側の領域15へ向うガスの流れが形成される。
【0117】
次に、誘導電極61と放電電極62に所定の高周波電圧を印加することによって、放電電極62からセラミックコート部材64の表面に沿って沿面放電が発生する。プラズマ発生部16において活性化されなかったガスは、この放電によってプラズマ化される。また、事前に活性化されたガスも、この放電によってさらに励起されて、オゾンや酸素ラジカルあるいはOHラジカル等の各種のラジカルがより効率よく生成されることになる。
【0118】
生成されたオゾンや各種のラジカルは、上述したガスの流れとともに多孔質セラミックス部材6の内側の領域14から微細孔を流れ、微細孔の外側の開口端ではオゾンや各種のラジカルを含んだ気泡が徐々に成長する。図29に示すように、成長する気泡は液体30の流れによってせん断され、微細な気泡31として開口端から液体30中へ解き放たれることになる。
【0119】
液体30中に解き放たれた微細な気泡31は液体30の隅々にまで拡散する。拡散した微細な気泡31の一部は、気泡31に含まれていたオゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等とともに容易に液体30中に溶解して、オゾン濃度が上昇する。また、一部の気泡31は、オゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等を含んだ状態で、液体30中に含まれる有機物36等に容易に吸着する。さらに、オゾン34、酸素ラジカル32,33およびOHラジカル35等を含んだ気泡31の一部には、液体30中に含まれる微細な有機物36等が吸着する(図24参照)。
【0120】
こうして、液体30中の有機物36等は、液体30に溶解したオゾン34あるいは各種のラジカル32,33や、有機物36等に吸着した気泡31に含まれるオゾン34あるいは各種のラジカル32,33等によって効率的に分解される。有機物等が分解されて浄化された液体30は、液体排出口5から配管52を経て被洗浄処理対象部50へ戻され、再び使用されることになる。
【0121】
また、この洗浄浄化装置2についても、前述した洗浄浄化装置2と同様に、ケース部材6内で液体を洗浄浄化する使用態様(使用態様A)の他に、微細な気泡を拡散させた液体を洗浄液として所定の装置に供給することで、使用態様Bとして使用することも可能である(図25および図26参照)。
【0122】
次に、上述した洗浄浄化装置2による洗浄評価として、色素の脱色分解評価について説明する。まず、試料として、イオン交換水にインディコカルミン(10ppm)を加えた被処理液体(500ml)を用意した。洗浄浄化装置2には、ガスとして空気とオゾンを送り込んだ。誘導電極61と放電電極62に約数KV〜10KV程度、周波数約数KHz〜数十KHz程度の高周波電圧を印加し、オゾンや各種のラジカルを発生させた。発生したオゾンや各種のラジカルを空気とともに、多孔質セラミックス部材6から気泡として被処理液体へ送り込んだ。
【0123】
その気泡として、まず、参照用のオゾンを含まないバブル径約30μmの気泡(条件1)、オゾンを含んだバブル径mmオーダの気泡(条件2)、バブル径約30μmの気泡(条件3)、バブル径約10μmの気泡(条件4)をそれぞれ送り込んだ。それぞれの気泡を被処理液体に送り始めてからの経過時間(処理時間)と被処理液体の吸光度の変化を測定した。
【0124】
その結果を図30に示す。図30は、色素の脱色分解結果を示すグラフであり、横軸は処理時間(分)を表し、縦軸は吸光度を表す。吸光度が低いほど透過率は大きく、これは、有機物である色素の分解が進んだことを示す。まず、参照用の条件1の気泡では、処理時間に対して吸光度はほとんど変化していないことがわかる。これは、条件1の気泡にはオゾンが含まれていないために、色素の分解が進んでいないことを示す。
【0125】
一方、オゾンを含んだ条件2,3,4のそれぞれの気泡では、処理時間の経過とともに吸光度が減少しており、色素が分解されていることが確認された。処理時間2分の時点で、条件2の気泡ではバブル径が比較的大きいために、吸光度は当初の値の約半分程度にまでしか減少せず、色素の分解が遅いことがわかる。条件3の気泡では、条件2の気泡の場合よりも、吸光度はさらに低くなり、色素の分解が進んでいることがわかる。そして、条件4の気泡では、吸光度は当初の値から約1/100程度にまで減少しており、色素の分解がさらに進んでいることがわかる。このように、オゾンを含んだ気泡のバブル径が小さくなるにしたがって、吸光度がより速く減少しており、色素が効率よく分解されることが実証された。
【0126】
なお、上述した洗浄浄化装置2における誘導電極61と放電電極62を備えた電極構造は、他の実施の形態の洗浄浄化装置にも適用することができる。また、このような電極構造の他に、たとえば、図31に示すように、線状電極65をセラミック部材66によって被覆し、そのセラミック部材66の外周面にスパイラル状電極67を配設させた電極構造としてもよい。また、図32に示すように、セラミック部材66によって被覆された線状電極65の周囲に、所定の距離を隔てて、他の線状電極68a,68b,68cを配設した電極構造としてもよい。このような電極構造とすることで、プラズマを生成するための電極を多孔質セラミック部材6の内側に領域に容易に取り付けることができる。
【0127】
また、各実施の形態において説明したプラズマ発生装置1あるいは洗浄浄化装置2では、微細な気泡を発生させるために多孔質セラミックス部材6を例に挙げて説明した(図1、図22参照)。多孔質セラミックス部材には、細孔径が約0.01μm〜10μm程度の微細孔が形成されている。微細孔の開口端で成長した気泡は液体の流れによってせん断されて液体中へ開放される。微細な気泡の気泡径は、微細孔の細孔径と液体の流速との相関によることが、文献C(久木崎雅人、鳥越清、「ナノバブルの生成に及ぼすSPG膜の濡れ性の影響」、宮崎県工業技術センター、宮崎食品開発センター研究報告、2004、No.49)に報告されている。
【0128】
この文献によれば、微細な気泡の気泡径は、微細孔の細孔径よりも約1桁高い値になるとされる。そうすると、細孔径が約0.01μm〜10μm程度の微細孔に対して、微細な気泡の気泡径は約0.1μm〜100μm程度と見積もられることになる。
【0129】
また、このような気泡径の気泡を生成する部材としては、微細孔を有する多孔質セラミックス部材に限られず、たとえば気体と液体を隔壁するガラス板などのような適当な部材を用い、この部材に写真製版とエッチングを施すことによって細孔径が約0.01μm〜10μm程度の微細孔を形成したものも適用することが可能である。
【0130】
また、各実施の形態に係るプラズマ発生装置(洗浄浄化装置2)1では、ガス供給部12から供給されるガスとして、空気をベースとして酸素とアルゴンガスを含有したガスを例に挙げて説明したが、より簡便にガスを供給する観点からは、単に大気中の空気を供給するようにしてもよい。
【0131】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0132】
この発明に係るプラズマ発生装置、ラジカル生成方法および洗浄浄化装置は、オゾンや各種のラジカルを微細な気泡として液体に拡散させることにより液体中の有機物や最菌等を分解させる装置として、あるいは装置に有効に利用される。
【符号の説明】
【0133】
1 プラズマ発生装置、2 洗浄浄化装置、3 ケース部材、4 液体導入口、5 液体排出口、6 多孔質セラミックス部材、6a 内側表面、6b 外側表面、7 微細孔、7a 開口端、8 外側シール部材、9 内側シール部材、10 ガス導入口、11 配管、12 ガス供給部、13 プラズマ電源部、14 内側領域、15 外側領域、21 線状電極、22 円筒状電極、22a オーバーハング部、23 内側円筒状電極、24 外側円筒状電極、25,26 平面状電極、30 液体、31 気泡、32,33 酸素ラジカル、34 オゾン、35 OHラジカル、36 有機物、41,42 放電、50 被洗浄対象部、51,52 配管、61 誘電電極、62 放電電極、63 セラミック部材、64 セラミックコート部材、65 線状電極、66 セラミック部材、67 スパイラル状電極、68a,68b,68c 線状電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体収容部と、
気体を収容する気体収容部と、
前記液体収容部と前記気体収容部とを隔て、前記気体収容部中の前記気体の流通を許容して前記気体を前記液体収容部へ導くガス通路が形成された隔壁部と、
前記気体収容部に配設された第1電極と、
前記第1電極と距離を隔てられ、少なくとも前記第1電極と対向する側の部分が前記液体収容部中の前記液体と接触しないように配設された第2電極と、
前記気体収容部の前記気体を前記ガス通路を介して前記液体収容部へ圧送させる態様で、前記気体収容部に少なくとも酸素を含むガスを供給するガス供給部と、
前記第1電極と前記第2電極との間に所定の電圧を供給して前記第1電極と前記第2電極との間に放電を発生させることにより、前記気体収容部に導入された前記ガスをプラズマ化するプラズマ電源部と
を備え、
前記第1電極は、前記隔壁部と距離を隔てられている態様および前記隔壁部における前記気体収容部に臨む表面に密着する態様のいずれかの態様で配設され、
前記第2電極は、前記隔壁部における前記液体収容部に臨む表面に密着するように配設され、
少なくとも、前記第2電極は、前記ガス通路の開口端部において、前記ガス通路に向かって張出したオーバーハング部を含む、プラズマ発生装置。
【請求項2】
前記第1電極は、前記隔壁部における前記気体収容部に臨む表面に密着する態様で配設され、
前記第1電極は、前記ガス通路の開口端部において、前記ガス通路に向かって張出したオーバーハング部を含む、請求項1記載のプラズマ発生装置。
【請求項3】
前記隔壁部は筒状体であり、
前記筒状体の内側の領域が前記気体収容部とされ、
前記筒状体の外側の領域が前記液体収容部とされた、請求項1または2に記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
前記第1電極は、所定の方向にそれぞれ延在する線状電極および内側筒状電極のいずれかとされ、
前記第2電極は、前記第1電極を囲むようにして前記所定の方向に延在する外側筒状電極とされた、請求項3記載のプラズマ発生装置。
【請求項5】
前記内側筒状電極および前記外側筒状電極はメッシュ状である、請求項4記載のプラズマ発生装置。
【請求項6】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は誘電体で被覆された、請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項7】
前記液体収容部では、前記隔壁部における前記液体収容部に臨む面に沿って液体が流される、請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項8】
前記隔壁部は平板状体である、請求項1記載のプラズマ発生装置。
【請求項9】
前記隔壁部はセラミックス部材を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項10】
前記ガス通路は、前記セラミックス部材に存在する孔とされた、請求項9記載のプラズマ発生装置。
【請求項11】
前記プラズマ電源部は、前記第1電極と前記第2電極との間にパルス電圧および高周波電圧のいずれかを印加する機能を含む、請求項1〜10のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項12】
前記ガス供給部は、さらにアルゴンおよび水蒸気の少なくともいずれかを供給する機能を含む、請求項1〜11のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項13】
前記ガス供給部は、大気中の空気を供給する機能を含む、請求項1〜11のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項14】
前記ガス供給部と前記気体収容部との間に、前記ガス供給部から送られるガスをプラズマ化するプラズマ発生部を備えた、請求項1〜13のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載のプラズマ発生装置におけるラジカル生成方法であって、
液体を収容する液体収容部と気体を収容する気体収容部とを、前記気体の流通を許容するガス通路が形成された隔壁部によって隔て、前記気体収容部の前記気体を前記ガス通路を介して前記液体収容部へ圧送させる態様で前記気体収容部に少なくとも酸素を含むガスを供給する工程と、
前記気体収容部および前記隔壁部の領域の少なくともいずれかの領域においてプラズマを生成することにより、前記ガスに含まれる前記酸素の酸素ラジカルを生成する工程と、
生成した前記酸素ラジカルを前記気体とともに前記液体収容部へ圧送することにより、前記ガス通路の前記液体収容部側の開口端において前記酸素ラジカルを含んだ気泡を成長させる工程と、
前記液体収容部の前記液体の流れにより、前記気泡を前記隔壁部からせん断して前記液体中に前記気泡を放出する工程と
を備えた、ラジカル生成方法。
【請求項16】
前記ガスを供給する工程では、さらにアルゴンおよび水蒸気の少なくともいずれかが供給される、請求項15記載のラジカル生成方法。
【請求項17】
前記ガスを供給する工程では、大気中の空気が供給される、請求項15記載のラジカル生成方法。
【請求項18】
前記酸素ラジカルを生成する工程では、前記プラズマは所定の1対の対向電極間にパルス電圧を印加することによって生成される、請求項15〜17のいずれかに記載のラジカル生成方法。
【請求項19】
前記酸素ラジカルを生成する工程では、前記プラズマは所定の1対の対向電極間に高周波電圧を印加することによって生成される、請求項15〜17のいずれかに記載のラジカル生成方法。
【請求項20】
前記ガスを供給する工程では、前記ガスはあらかじめプラズマ化されて供給される、請求項15〜19のいずれかに記載のラジカル生成方法。
【請求項21】
請求項1〜14のいずれかに記載のプラズマ発生装置を備えた洗浄化装置であって、
前記気体収容部に取付けられ、前記気体収容部に前記ガスを供給するガス導入口と、
前記液体収容部に取付けられ、前記液体収容部に前記液体を導入する液体導入口および 前記液体収容部の前記液体を排出する液体排出口と、
前記ガス導入口から前記ガスを供給することにより、前記気体収容部の前記気体を前記ガス通路を介して前記液体収容部へ圧送させて、前記酸素ラジカルを含んだ前記気泡を前記液体に放出する機能と
を備えた、洗浄浄化装置。
【請求項22】
前記液体収容部は、前記気泡に含まれる少なくとも前記酸素ラジカルにより導入された前記液体を浄化する液体浄化部とされた、請求項21記載の洗浄浄化装置。
【請求項23】
前記液体収容部は、少なくとも前記酸素ラジカルを含んだ前記気泡を放出することで前記液体を洗浄液として生成する洗浄液生成部とされた、請求項21記載の洗浄浄化装置。
【請求項24】
前記液体導入口および前記液体排出口は、前記液体収容部において前記隔壁部に沿って前記液体が流れる所定の位置関係に配置された、請求項21〜23のいずれかに記載の洗浄浄化装置。
【請求項25】
筒状の前記隔壁部を周方向から取囲むように同心状に配設された筒状のケース部材を備え、
筒状の前記隔壁部と筒状の前記ケース部材との間の領域が前記液体収容部とされた、請求項21〜24のいずれかに記載の洗浄浄化装置。
【請求項1】
液体を収容する液体収容部と、
気体を収容する気体収容部と、
前記液体収容部と前記気体収容部とを隔て、前記気体収容部中の前記気体の流通を許容して前記気体を前記液体収容部へ導くガス通路が形成された隔壁部と、
前記気体収容部に配設された第1電極と、
前記第1電極と距離を隔てられ、少なくとも前記第1電極と対向する側の部分が前記液体収容部中の前記液体と接触しないように配設された第2電極と、
前記気体収容部の前記気体を前記ガス通路を介して前記液体収容部へ圧送させる態様で、前記気体収容部に少なくとも酸素を含むガスを供給するガス供給部と、
前記第1電極と前記第2電極との間に所定の電圧を供給して前記第1電極と前記第2電極との間に放電を発生させることにより、前記気体収容部に導入された前記ガスをプラズマ化するプラズマ電源部と
を備え、
前記第1電極は、前記隔壁部と距離を隔てられている態様および前記隔壁部における前記気体収容部に臨む表面に密着する態様のいずれかの態様で配設され、
前記第2電極は、前記隔壁部における前記液体収容部に臨む表面に密着するように配設され、
少なくとも、前記第2電極は、前記ガス通路の開口端部において、前記ガス通路に向かって張出したオーバーハング部を含む、プラズマ発生装置。
【請求項2】
前記第1電極は、前記隔壁部における前記気体収容部に臨む表面に密着する態様で配設され、
前記第1電極は、前記ガス通路の開口端部において、前記ガス通路に向かって張出したオーバーハング部を含む、請求項1記載のプラズマ発生装置。
【請求項3】
前記隔壁部は筒状体であり、
前記筒状体の内側の領域が前記気体収容部とされ、
前記筒状体の外側の領域が前記液体収容部とされた、請求項1または2に記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
前記第1電極は、所定の方向にそれぞれ延在する線状電極および内側筒状電極のいずれかとされ、
前記第2電極は、前記第1電極を囲むようにして前記所定の方向に延在する外側筒状電極とされた、請求項3記載のプラズマ発生装置。
【請求項5】
前記内側筒状電極および前記外側筒状電極はメッシュ状である、請求項4記載のプラズマ発生装置。
【請求項6】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は誘電体で被覆された、請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項7】
前記液体収容部では、前記隔壁部における前記液体収容部に臨む面に沿って液体が流される、請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項8】
前記隔壁部は平板状体である、請求項1記載のプラズマ発生装置。
【請求項9】
前記隔壁部はセラミックス部材を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項10】
前記ガス通路は、前記セラミックス部材に存在する孔とされた、請求項9記載のプラズマ発生装置。
【請求項11】
前記プラズマ電源部は、前記第1電極と前記第2電極との間にパルス電圧および高周波電圧のいずれかを印加する機能を含む、請求項1〜10のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項12】
前記ガス供給部は、さらにアルゴンおよび水蒸気の少なくともいずれかを供給する機能を含む、請求項1〜11のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項13】
前記ガス供給部は、大気中の空気を供給する機能を含む、請求項1〜11のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項14】
前記ガス供給部と前記気体収容部との間に、前記ガス供給部から送られるガスをプラズマ化するプラズマ発生部を備えた、請求項1〜13のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載のプラズマ発生装置におけるラジカル生成方法であって、
液体を収容する液体収容部と気体を収容する気体収容部とを、前記気体の流通を許容するガス通路が形成された隔壁部によって隔て、前記気体収容部の前記気体を前記ガス通路を介して前記液体収容部へ圧送させる態様で前記気体収容部に少なくとも酸素を含むガスを供給する工程と、
前記気体収容部および前記隔壁部の領域の少なくともいずれかの領域においてプラズマを生成することにより、前記ガスに含まれる前記酸素の酸素ラジカルを生成する工程と、
生成した前記酸素ラジカルを前記気体とともに前記液体収容部へ圧送することにより、前記ガス通路の前記液体収容部側の開口端において前記酸素ラジカルを含んだ気泡を成長させる工程と、
前記液体収容部の前記液体の流れにより、前記気泡を前記隔壁部からせん断して前記液体中に前記気泡を放出する工程と
を備えた、ラジカル生成方法。
【請求項16】
前記ガスを供給する工程では、さらにアルゴンおよび水蒸気の少なくともいずれかが供給される、請求項15記載のラジカル生成方法。
【請求項17】
前記ガスを供給する工程では、大気中の空気が供給される、請求項15記載のラジカル生成方法。
【請求項18】
前記酸素ラジカルを生成する工程では、前記プラズマは所定の1対の対向電極間にパルス電圧を印加することによって生成される、請求項15〜17のいずれかに記載のラジカル生成方法。
【請求項19】
前記酸素ラジカルを生成する工程では、前記プラズマは所定の1対の対向電極間に高周波電圧を印加することによって生成される、請求項15〜17のいずれかに記載のラジカル生成方法。
【請求項20】
前記ガスを供給する工程では、前記ガスはあらかじめプラズマ化されて供給される、請求項15〜19のいずれかに記載のラジカル生成方法。
【請求項21】
請求項1〜14のいずれかに記載のプラズマ発生装置を備えた洗浄化装置であって、
前記気体収容部に取付けられ、前記気体収容部に前記ガスを供給するガス導入口と、
前記液体収容部に取付けられ、前記液体収容部に前記液体を導入する液体導入口および 前記液体収容部の前記液体を排出する液体排出口と、
前記ガス導入口から前記ガスを供給することにより、前記気体収容部の前記気体を前記ガス通路を介して前記液体収容部へ圧送させて、前記酸素ラジカルを含んだ前記気泡を前記液体に放出する機能と
を備えた、洗浄浄化装置。
【請求項22】
前記液体収容部は、前記気泡に含まれる少なくとも前記酸素ラジカルにより導入された前記液体を浄化する液体浄化部とされた、請求項21記載の洗浄浄化装置。
【請求項23】
前記液体収容部は、少なくとも前記酸素ラジカルを含んだ前記気泡を放出することで前記液体を洗浄液として生成する洗浄液生成部とされた、請求項21記載の洗浄浄化装置。
【請求項24】
前記液体導入口および前記液体排出口は、前記液体収容部において前記隔壁部に沿って前記液体が流れる所定の位置関係に配置された、請求項21〜23のいずれかに記載の洗浄浄化装置。
【請求項25】
筒状の前記隔壁部を周方向から取囲むように同心状に配設された筒状のケース部材を備え、
筒状の前記隔壁部と筒状の前記ケース部材との間の領域が前記液体収容部とされた、請求項21〜24のいずれかに記載の洗浄浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2012−227149(P2012−227149A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141237(P2012−141237)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2007−330473(P2007−330473)の分割
【原出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2007−330473(P2007−330473)の分割
【原出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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