説明

プラント最適運転計画装置

【課題】プラントの運転条件の変更に追従した最適な運転計画を立案するとともに、プラントの温度特性を反映したプラント最適運転計画装置を提供する。
【解決手段】
プラントモデルを用いてプラントの運転計画を立案するプラント最適運転計画装置において、前記プラントの状況をリアルタイムに取得する取得部と、前記取得部により取得された前記プラントの状況を前記プラントモデルに適応させることにより、プラントの運転計画をリアルタイムに作成する計画作成部と、前記計画作成部により作成された運転計画を提示する計画提示部と、定義した入力パラメータから前記プラントの設備定格出力を計算するとともに、前記プラントの運転効率補正値を計算し、パラメータ設定シートに出力する設備能力運転効率補正部とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント最適運転計画装置に関し、詳しくは、プラントの温度特性を反映でき、プラント内設備のCOP(Coefficient Of Performance:運転効率)補正ができることを目的とした最適運転計画の導出に関する。
【背景技術】
【0002】
最適プラントモデル(プロジェクト)を用いてプラントにおける最適運転計画を作成する最適化モデル構築支援ツールが知られている。このツールにより、たとえば、プラントの一日の最適な運転パターンを導出することができる。
【0003】
本発明の出願人は、プラントモデルを用いてプラントの運転計画を立案するプラント最適運転計画装置として、特許文献1に記載されているように、プラントの状況をリアルタイムに取得する取得手段と、この取得手段により取得されたプラントの状況をプラントモデルに当てはめることにより、プラントの運転計画をリアルタイムに作成する計画作成手段と、この計画作成手段により作成された運転計画を提示する計画提示手段とを備えたものを提案している。
【0004】
この計画立案システムによれば、プラントの状況をリアルタイムに取得し、取得されたプラントの状況に基づいてプラントの運転計画をリアルタイムに作成するので、連続制御システムに対応した計画立案を実行できる。
【0005】
図6は、特許文献1に記載されている従来のプラント最適運転計画装置の一例を示す機能的ブロック図である。プラントモデルを構築するモデル構築部1と、パラメータに関する各種定義を実行するパラメータ定義部2と、ネットワーク定義情報ファイル3を生成するネットワーク定義情報出力部4と、プラントモデルを読み込むとともに半固定パラメータデータファイル5を生成するモデル/パラメータ出力部6と、変動パラメータ定義ファイル7を生成する変動パラメータ定義部8と、出力情報定義ファイル9を生成する出力情報定義部10と、最適運転計画を算出し算出結果を解情報ファイル11に出力する最適運転計画導出部12と、最適運転計画導出部12における算出結果を表示する結果表示部13と、運転評価を実行する運転評価部14と、解情報ファイル11から最適運転計画導出部12における算出結果を出力する出力部15と、プラント情報システム31からプラントデータを取得するプラントデータ取得部16と、ユーザの操作を受け付けるユーザインターフェイス17を備えている。
【0006】
プラントデータ測定手段32は、プラントを制御するプラント制御システムのデータ(タグデータ)を予め決められた収集周期で自動収集する。プラント情報システム31は、プラントデータ測定手段32で収集されたデータを、分締め、時締め、月締め、年締めなどの締め処理を行い、数年間にわたりロギングする機能を有する。
【0007】
これらの機能から生成した各種データを最適運転計画導出部12に取り込んで所望の計画を得ている。一般的に最適運転計画を導出するためには、図6のような機能によりプラントの数学モデルを立て、何らかの最適化手法を用いてプラント設備の1日単位(1時間または30分間隔で)の最適な運転パターンを導出する手法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−122231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の最適運転計画導出機能は、熱源設備などの最大出力や運転効率などの能力についてはスペックから決まっているものであり、カタログスペックか過去の運転データなどを基に予め設定していた。
【0010】
しかしながら、設備能力を固定し最適計算を行うと、設備が操業している運転範囲や冷却水温度などの運転条件が変わり、設備能力(運転効率)が変化した場合に、それを運転計画に反映できず、導出された結果が必ずしも最適な計画になるとは限らないという問題がある。
【0011】
また、従来の技術ではプラント運転条件の変更に追従した最適な運転計画の立案が考慮されていないために、ある期間において最適運転計画通りに運用されていても需要パターンが変更になった場合、運転計画が必要以上に設備を立ち上げたりして実態と合わなくなり、再調整を要することが多かった。この調整を要するタイミング、調整量などを決めるのは非常に困難であり、無調整での運用は難しかったという問題がある。
【0012】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、その目的は、プラントの運転条件の変更に追従した最適な運転計画を立案するとともに、プラントの温度特性を反映したプラント最適運転計画装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
プラントモデルを用いてプラントの運転計画を立案するプラント最適運転計画装置において、
前記プラントの状況をリアルタイムに取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記プラントの状況を前記プラントモデルに適応させることにより、プラントの運転計画をリアルタイムに作成する計画作成部と、
前記計画作成部により作成された運転計画を提示する計画提示部と、
定義した入力パラメータから前記プラントの設備定格出力を計算するとともに、前記プラントの運転効率補正値を計算し、パラメータ設定シートに出力する設備能力運転効率補正部と
を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のプラント最適運転計画装置において、
前記設備能力運転効率補正部は、
設備定格出力を計算する場合に前記プラントの流量定格値と往還温度差を取得することを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のプラント最適運転計画装置において、
前記設備能力運転効率補正部は、
前記プラントの運転効率補正値を計算する場合に前記プラントの送水温度、冷却水温度、あるいは給気温度を取得することを特徴とする。
【0016】
このように構成することにより、プラント運転条件から変化する値を定義し、取得することが可能になる。これにより、プラント運転条件に応じて設備定格出力の変更および設備のCOP補正ができるため、プラント運転条件の変更に追従した最適な運転計画の立案を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に基づくプラント最適運転計画装置を機能的に示すブロック図である。
【図2】図1のプラント最適運転計画装置の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】設定パラメータシートの表示例を示す図である。
【図4】COP補正イメージを示す図であり、(a)は送水温度固定の場合、(b)は冷却水温度固定の場合を例示する図である。
【図5】給気温度によるコージェネレーションの運転効率補正イメージの一例を示す図である。
【図6】従来のプラント最適運転計画装置の一例を示す機能的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に基づくプラント最適運転計画装置を機能的に示すブロック図であり、図6と共通する部分には同一の符号を付けている。
【0019】
図1と図6の相違点は、図6の構成に、パラメータ定義部2で定義した入力パラメータからプラントの設備定格出力を計算するとともに、プラントの運転効率補正値を計算し、パラメータ設定シートに出力する設備能力運転効率補正部22を付加している点にある。
【0020】
図2は本発明のプラント最適運転計画装置の動作手順を示すフローチャートである。
【0021】
図2の動作手順は、ユーザに対し、モデルプログラムの作成や最適運転計画立案などのためのツールを提供する。このツールは、プラントモデルおよび最適化のためのプログラムを構築するための一連の作業を汎用ソフトのインターフェイス上で行うことができる統合開発環境ツールとして機能する。また、本ツールには、プラントモデルの開発のみでなく、連続制御システムでの適用の際には必須となる入出力定義のエンジニアリングを簡便に行う仕組みが設けられている。
【0022】
図2のステップS1では、ユーザインターフェイス17を介するユーザの操作を受け付け、モデル構築部1においてプラントのモデル構築を行う。ここでは、モデル構築のためのインターフェイスとしてグラフィックスソフトウエア(たとえばMicrosoft-Visio)の使用を前提としている。グラフィックスソフトウエアは、たとえば部品ステンシル、パレットおよびマクロプログラムを用いたインターフェイスを構成する。モデルライブラリ18内のモデルと制約条件ライブラリ19内の制約条件は部品ステンシル上に表示され、活用される。この部品ステンシルには、
(1)機器オブジェクト(発電機、ボイラ、熱源機器など)
(2)コネクタオブジェクト(電気、蒸気、水など)
(3)ノードオブジェクト(コネクタの集積、分岐用の装置)
(4)ソースオブジェクト(エネルギーの供給元)
(5)デマンドオブジェクト(エネルギー需要先)
(6)条件定義オブジェクト(制約条件の生成/登録/選択)
(7)パレット(ページ)間コネクタオブジェクト(複数ページ間の橋渡し機能)
などが用意されている。
【0023】
また、ユーザは、部品ステンシルから任意のオブジェクトを選択し、パレット上に配置する。次に、オブジェクト間の配管(配線)などをコネクタオブジェクトにより結合させる。制約条件を使う場合は、条件定義オブジェクトをパレット上に配置し、適用するオブジェクト間を専用オブジェクト(たとえば条件コネクタ)などで結線する。これらの機能を利用して、プラントのモデル構築を行う。
【0024】
次に、ステップS2では、ユーザインターフェイス17を介するユーザの操作を受け付け、パラメータ定義部2において、パラメータ定義を実行する。
【0025】
図3は、パラメータ設定シートの表示例を示す図である。パラメータ定義部2のためのインターフェイスとして汎用表計算ソフトウエア、たとえばMicrosoft-Excel(登録商標)を使用する。パラメータ定義部2は、パラメータ入力シートとマクロプログラムを用いたインターフェイスを構成する。モデル構築部1において、機器、ソース、デマンドの各オブジェクトがユーザの指示により図示していないがパレットへ配置されたタイミングで、配置されたオブジェクトのパラメータ入力シートが自動的に作成される。また、モデル構築部1から消去されたオブジェクトの入力シートは、自動的に削除される。図3では、モデル構築部1において、ユーザが機器として冷凍機35をパレットへ配置した場合の設定パラメータシートの表示例である。
【0026】
また、オブジェクトのパラメータ入力シートには、各オブジェクトに必要となるパラメータ入力欄36だけではなく、最適運転計画導出部12から得られる出力結果を表示するための表示欄も設けられている。このパラメータ入力シートに必要なパラメータの値を入力することで、設備パラメータの定義を行う。
【0027】
また、熱源機器(たとえば冷凍機35、温水器など)の特徴的な入力パラメータとして
(1)設備の送水温度(最高/最低/設定値)
(2)設備の往還温度差
(3)設備の冷却水温度(最高/最低/設定値)
(4)設備の送水流量(最大/最小)
などが挙げられる。
【0028】
図2に戻り、ステップS3では、プログラム、定義ファイル作成を行う。ここでは、モデル構築部1およびパラメータ定義部2に対するインターフェイスを構成するマクロプログラムを用いて、ネットワーク定義情報出力部4、モデル/パラメータ出力部6、変動パラメータ定義部8、出力情報定義部10を実現し、ネットワーク定義情報ファイル3、半固定パラメータデータファイル5、変動パラメータ定義ファイル7、出力情報定義ファイル9を生成するとともに、これらのファイルを読み込んで動作するモデルプログラムを生成する。この一連の処理はモデル構築部1およびパラメータ定義部2に対するインターフェイスに用意されたメニューを操作することにより行われる。
【0029】
ここで、ネットワーク定義情報ファイル3は、パレット上に記述された機器間の接続情報を記述したファイルである。半固定パラメータデータファイル5は、機器の特性値以外に、エネルギーデータ(単価、契約電力量)などの値が定義されたファイルである。変動パラメータ定義ファイル7は、プラント情報システム31のタグから情報を取得するパラメータ(変動パラメータと呼ぶ)の変数名称とタグ名を紐付けしたファイルである。また、出力情報定義ファイル9は、出力部15の出力先タグ(出力先機器)を規定するワイヤリング情報ファイルである。
【0030】
以下、本実施形態のプラント最適運転計画装置では、2つの異なる動作手順を選択できる。1つの手順は、上記ツール内で最適計算を行い、その結果を本ツールのインターフェイス上に表示する場合に相当する。他の手順は、本ツールで生成したプログラム、定義ファイルを連続制御システムに適用して、時々刻々と変化する状態も取り込んで、スケジューラなどにより繰り返し計画/制御する、連続制御を実行する場合に相当する。
【0031】
次に、ステップS4では、連続制御か連続制御でないかを判断する。連続制御でない場合はステップS5へ進み、連続制御の場合はステップS8へ進む。
【0032】
次に、ステップS5では、ステップS4で連続制御でないと判断されると、モデル構築部1あるいはパラメータ定義部2に対するユーザの操作を受けて、設備能力・運転効率の補正を行う。従来は、設備定格出力(最大/最小)を直接入力して設備の出力範囲を熱量で定義していたが、設備能力運転効率補正部22により、ステップS2のパラメータ定義で定義した入力パラメータから設備定格出力を計算し、パラメータ設定シートに出力する。また、同様に設備能力運転効率補正部22により、入力パラメータからCOPの補正値を計算し、パラメータ設定シートに出力する。これにより、熱源機器の送水温度、往還温度差および冷却水温度が変更になった場合は、それに対応して設備定格出力およびCOPが変化する。
【0033】
まず、パラメータ設定シートから設備の流量定格値の最大値および最小値と往還温度差を取得し、設備定格出力を計算する。この設備定格出力の最大値および最小値の計算は、次式のようになる。
設備最小出力値=最小送水流量×往還温度差×単位変換係数
設備最大出力値=最大送水流量×往還温度差×単位変換係数
【0034】
次に、パラメータ設定シートから送水温度の最高値、最低値、設定値と冷却水温度の最高値、最低値、設定値と、送水温度の最低値と最高値の場合のCOPと冷却水温度の最低値と最高値の場合のCOPを取得し、COPの補正値を計算する。
【0035】
図4はCOP補正イメージを示す図であり、(a)は送水温度固定の場合、(b)は冷却水温度固定の場合を例示する図である。
【0036】
図4(a)において、冷却水温度の最低値と最高値の場合のCOPから、運転負荷率の各点における冷却水温度1℃あたりのCOPの変化量が求まる。
【0037】
また、冷却水温度補正済みの運転効率COP_TRは、運転負荷率の各点における冷却水温度最低値のCOPを基準値COP_baseとし、冷却水温度設定値と最低値との偏差から各運転負荷率の冷却水温度補正値δTR_i(i=1,2,3,4,5)を次式(式1)から求め、基準値COP_baseに加算して求める。
冷却水温度補正値δTR_i=(冷却水温度最高時COP−冷却水温度最低時COP)
/((冷却水温度最高値−冷却水温度最低値)×(冷却水温度設定値−冷却水温度最低値))
・・・式1
【0038】
図4(b)において、送水温度の最低値と最高値の場合のCOPから、運転負荷率の各点における送水温度1℃あたりのCOPの変化量が求まる。
【0039】
また、送水温度の補正値δTO_i(i=1,2,3,4,5)は、図4(a)と同様に次式(式2)から求める。
送水温度補正値δTO=(送水温度最高時COP−送水温度最低時COP)
/((送水温度最高値−送水温度最低値)×(送水温度設定値−送水温度最低値))
・・・式2
【0040】
そして、冷却水温度補正済みの運転効率COP_TRに加算し、2つの補正が合わさった合成COP補正値COP_ORを次式(式3)から求める。
COP補正値COP_OR=COP基準値COP_base+冷却水温度補正値δTR+送水温度補正値δTO
・・式3
【0041】
次に、ステップS6では、最適運転計画導出部12において最適化計算手動実行を行う。ここでは、ステップS3において作成したモデルプログラムおよび定義ファイル一式を最適運転計画導出部12に引き渡して最適解を得る。
【0042】
計算結果は、解情報ファイル11として最適運転計画導出部12から出力される。
【0043】
最適解導出のアルゴリズムとして、整数計画法、逐次二次計画法、混合整数計画法など目的に応じたエンジンを用意することができる。この計算に用いられる最適化の目的として、
(1)運転コスト最小
(2)一次エネルギー消費量最小
(3)CO2排出量最小
などがあり、ユーザがこれらを選択、あるいは組み合わせることにより、目的を決定できる。計算結果は解情報ファイル11として最適運転計画導出部12から出力される。
【0044】
図2に戻り、ステップS7では、結果出力を行う。結果表示部13は、該当する解情報ファイル11を読み込み、パラメータ定義のためのパラメータ設定シート(ステップS2)の表示欄に計算結果を表示する。
【0045】
また、運転評価部14は該当する解情報ファイル11を読み込み、機器毎の起動/停止結果、エネルギー消費量の総計などをまとめるとともに、プラント情報システム31から指定日の実データを取り込んで比較し、運転コスト/エネルギー消費量/CO2排出量などについて評価を実行する。そして、結果表示部13は、その評価結果をパラメータ設定シートの表示欄に表示する。
【0046】
次に、連続制御を行う場合の動作手順について述べる。本発明によるプラント最適運転計画装置の特徴点は、以下に述べる連続制御の実行に示される。
【0047】
ステップS8では、ステップS4において連続制御の実行手順が選択されると、通信ワイヤリング定義設定を行う。プラントデータ取得部16は、変動パラメータ定義部8によって生成された変動パラメータ定義ファイル7を取得する。さらに、取得した変動パラメータ定義ファイル7に基づいて、プラント情報システム31のデータベースから、必要となるタグデータを取得し、モデルプログラム内の変数名とのワイヤリングを規定する変動パラメータデータファイル20を作成する。
【0048】
次に、ステップS9では、設備能力運転効率の補正を行う。パラメータ設定シートより生成された半固定パラメータデータファイル5と変動パラメータデータファイル20から得られるステップS2でのパラメータ定義で定義した入力パラメータから、設備能力運転効率補正部22により、設備定格出力およびCOPの補正値を計算し、半固定パラメータデータファイル5に出力することとする。これにより、熱源機器の送水温度、往還温度差および冷却水温度が変更になった場合には、それに対応して設備定格出力およびCOPが変化する。これらの決定方法は、ステップS5での設備能力運転効率の補正に示した方法と同様の方法による。
【0049】
次に、ステップS10では、最適化計算自動実行を行う。最適運転計画導出部12において最適化計算を行う。モデルプログラムおよび定義ファイル一式を最適運転計画導出部12に引き渡して最適解を得る。また、最適運転計画導出部12は、変動パラメータデータファイル20を読み込み、プラント情報システム31に格納された最新の情報をリアルタイムで取得し、最適解を算出する。計算結果は解情報ファイル11として最適運転計画導出部12から出力される。
【0050】
そして、ステップS11では、結果出力を行う。出力部15は、出力情報定義部10により出力される出力情報定義ファイル9および最適運転計画導出部12より出力された解情報ファイル11を読み込んで、プラント情報システム31の所定の出力先へ出力結果を書き込む。プラント情報システム31の所定の出力先へ出力結果を書き込むことにより、プラント情報システム31における最適化計算の結果が更新される。
【0051】
また、出力部15は、デバック用に整形した出力結果をデバックファイル21に残す。
【0052】
そして、結果表示部13は、該当する解情報ファイル11を読み込み、計算結果を表示する。また、運転評価部14は該当する解情報ファイル11とともに、プラント情報システム31からリアルタイムに実データを取り込む。さらに、運転評価部14は、機器毎の起動/停止結果、エネルギー消費量の総計などをまとめるとともに、プラント情報システム31から取り込んだ実データと最適化計算の結果とを比較し、運転コスト/エネルギー消費量/CO2排出量などについて評価を実行する。そして、結果表示部13は、その評価結果を表示する。なお、ステップS11では、ステップS7とは異なり、結果表示部13は、Windows(登録商標)、Webなどのアプリケーション画面に評価結果を表示する。
【0053】
ステップS11の処理を終了後、ステップS8へ戻り、ステップS8〜ステップS11の処理を繰り返す。これにより、時々刻々と変化するプラントの状態を反映しつつ、リアルタイムに最適化計算が実行され、常に新たな計画に即してプラントが稼動され、連続制御が行なわれることになる。
【0054】
図5は、給気温度によるコージェネレーションの運転効率補正イメージの一例を示す図である。送水温度や冷却水温度を用いて熱源機器のCOPを補正する方法は、図4(a)、(b)と同様に、コージェネレーションの運転効率を給気温度を用いて補正する場合にも応用できる。プラントの運転条件を柔軟に変えてシミュレーションが行えるので、プラントの運転支援ツールとしてだけでなく、プラントの設計や改造を行うためのシミュレーションツールとしての展開が考えられる。
【0055】
以上のように、本実施形態のプラント最適運転計画装置によれば、プラントの運転条件(送水温度、往還温度差、冷却水温度、給気温度など)により変化する値を定義し、取得することにより、プラントの運転条件に応じて設備定格出力を変更でき、COPを補正できる。
【0056】
よって、プラント運転条件の変更に追従した最適な運転計画を立案できる。季節別対応が容易になるとともに、季節毎の省エネルギー運転余地の検討、あるいは運転条件の変更によって得られる省エネルギーメリットなどを容易に精度よく算出できる。
【0057】
さらに、リアルタイムにプラントの状態を取得し、設備定格出力やCOPを補正し、リアルタイムに最適化計算を実行できるので、変化するプラントの状態を反映しつつ、常に新たな計画に即してプラントが運転できる。
【0058】
以上説明したように、本発明によれば、設備能力運転効率補正部22を備えることにより、プラント運転条件により変化する値を定義するとともに取得し、プラント運転条件に応じて設備定格出力の変更およびCOP補正ができるため、プラント運転条件の変更に追従した最適な運転計画の立案を実現できる。
【符号の説明】
【0059】
22 設備能力運転効率補正部
35 冷凍機
36 パラメータ入力欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントモデルを用いてプラントの運転計画を立案するプラント最適運転計画装置において、
前記プラントの状況をリアルタイムに取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記プラントの状況を前記プラントモデルに適応させることにより、プラントの運転計画をリアルタイムに作成する計画作成部と、
前記計画作成部により作成された運転計画を提示する計画提示部と、
定義した入力パラメータから前記プラントの設備定格出力を計算するとともに、前記プラントの運転効率補正値を計算し、パラメータ設定シートに出力する設備能力運転効率補正部と
を備えることを特徴とするプラント最適運転計画装置。
【請求項2】
前記設備能力運転効率補正部は、
設備定格出力を計算する場合に前記プラントの流量定格値と往還温度差を取得することを特徴とする請求項1記載のプラント最適運転計画装置。
【請求項3】
前記設備能力運転効率補正部は、
前記プラントの運転効率補正値を計算する場合に前記プラントの送水温度、冷却水温度、あるいは給気温度を取得することを特徴とする請求項1または2記載のプラント最適運転計画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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