説明

プリンタ、プリンタの制御方法及びプリンタにおいて実行されるプログラム

【課題】 印字媒体が排出されるまでの時間を短縮しつつ、高画質の画像の印字を可能にする。
【解決手段】 インクジェットプリンタは、50行分の印字データファイルの受信を開始してから、受信した印字データが10行分の印字データに達する毎に、10行分の印字データに関する印字及び10行分の距離だけ用紙の搬送を行う。このとき、今回の10行分の印字データの受信が完了する前に、前回の10行分の印字データに関する印字終了時刻からの経過時間が所定時間に達すると、印字途中の用紙を外部に排出すると共に、インクジェットヘッドから予備吐出動作が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッドを有するプリンタ、プリンタの制御方法及びプリンタにおいて実行されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドに形成されたノズルから吐出させたインクを用紙に付着させることでその上に所望の画像を形成するための装置である。インクジェットプリンタでは、ノズルからインクが吐出されない状態が長時間連続すると、インクメニスカスの表面が乾燥してインクの粘性が増大し、インク吐出不良が生じてしまう。これを防止するために、非印刷時に用紙以外の場所に向けてノズルからインクを強制的に吐出するいわゆるフラッシング動作を定期的に行うか、印字中にインク吐出しないノズル又は累積カウント値が基準値を超えたノズルだけ、フラッシング動作(回復処理)を行う(特許文献1参照)必要がある。
【0003】
【特許文献1】特開平11−192729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したインクジェットプリンタでは、通常、1つの印字データファイル全体を受信してから印字を開始している。このようにすると、ユーザによる印字指令が発せられてからその印字指令に係る最初の印字データファイルに関する画像の印字完了、つまりファーストプリントまでに要する時間が非常に長くなる。そこでこの問題を解決するため、1つの印字データファイルを部分的に受信した時点から印字を開始することが考えられる。これによれば、画像の印字完了までに要する時間を短くすることができる。
【0005】
しかしながら、この場合、プリンタへのデータ送信元機器の演算負荷が過大であったり又はプリンタが属するネットワークに障害が発生したりすることが原因となって、1つの印字データファイルの受信中に長時間のデータ受信不能期間が介在する可能性がある。したがって、1つの印字データファイルに関する画像の印字途中においてヘッドのフラッシングが必要となる。
【0006】
インクジェットプリンタにはシリアル式とライン式とがある。シリアル式の場合は、1つの印字データファイルに関する画像の印字途中であってもフラッシングが可能である。しかしながら、ライン式の場合は、1つの印字データファイルに関する画像の印字途中には常にヘッドと対向する位置に用紙が存在するために、ヘッドを用紙と対向しない位置にまで移動させなければフラッシングすることができない。ライン式プリンタにおいて、ヘッドを用紙と対向しない位置にまで移動させるのは、シリアル式よりもはるかに長時間を要するだけでなく、プリンタの大型化につながり、なおかつヘッド駆動機構が複雑となるため現実的ではない。
【0007】
つまり、ライン式インクジェットプリンタにおいてファーストプリントを速やかに完了させるために1つの印字データファイルを部分的に受信した時点から印字を開始した場合、1つの印字データファイルの受信中に長時間のデータ受信不能期間が介在すると、低画質の画像が印字されることになる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、印字媒体が排出されるまでの時間を短縮しつつ、高画質の画像の印字が可能なプリンタ、プリンタの制御方法及びにプリンタにおいて実行されるプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明のプリンタは、インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構と、1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が前記インクジェットヘッドによって印字される所定印字行数のn倍(n:自然数)に相当する量に達したか否かを判定するデータ量判定手段と、前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと前記データ量判定手段が判断すると、前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字及び前記搬送機構による前記所定印字行数に相当する距離の印字媒体の搬送が行われるように前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御手段とを備えている。さらに、時間を計測する計時カウンタと、前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字の終了時刻からの前記計時カウンタによって計測された経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定手段と、前記経過時間が前記所定時間に達したと前記経過時間判定手段が判定する前に受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと前記データ量判定手段が判定すると、前記経過時間判定手段による判定が行われないようにする又は判定結果を無効とする判定無効化手段と、前記経過時間が前記所定時間に達したと前記経過時間判定手段が判定すると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御手段と、前記経過時間が前記所定時間に達したと前記経過時間判定手段が判定すると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御手段とを備えている。
【0010】
本発明のプリンタは、別の観点では、インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構と、1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が所定量に達したか否かを判定するデータ量判定手段と、前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定量に達したと前記データ量判定手段が判断すると、前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字及び前記搬送機構による印字媒体の前記所定量の印字データの印字に相当する距離の搬送が行われるように前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御手段とを備えている。さらに、前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字が終了する度に計時を開始し少なくとも次の前記所定量の印字データの印字の開始に至るまでの経過時間を計時する計時手段と、前記計時手段によって計時された経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定手段と、前記経過時間が前記所定時間に達したと前記経過時間判定手段が判定すると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御手段と、前記経過時間が前記所定時間に達したと前記経過時間判定手段が判定すると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御手段とを備えている。
【0011】
これにより、1つの印字データファイル全体を受信してから印字を行うのではなく、受信した印字データが所定量、又は所定印字行数のn倍に相当する量に達する毎に順次印字を行うので、印字データファイルを受信し始めてから当該印字データファイルに関する画像が印字された印字媒体が排出されるまでに要する時間を短縮することが可能となる。また、所定時間内に所定量、又は所定印字行数のn倍に相当する量のデータを受信できないときには、粘度が向上したインクを用いての印字が引き続いて行われず、印字途中であっても印字媒体が排出される。そして、フラッシングが行われてから新たな印字媒体への印字が行われるので、印字データファイルに関する画像の印字が完了してから排出される印字媒体は、高画質の画像が印字されたものとなる。
【0012】
本発明において、前記経過時間が前記所定時間に達した時点での印字媒体の位置を検知する検知手段と、前記検知手段による検知結果に基づいて、前記経過時間が前記所定時間に達した時点において前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面の全域が印字媒体と対向しているか否かを判断する対向判断手段とをさらに備えている。そして、前記対向判断手段が、前記インク吐出面の全域が印字媒体と対向していると判断した場合に、前記フラッシング制御手段は、予備吐出されたインクが前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体上だけに着弾するように前記インクジェットヘッドを制御し、前記排出制御手段は、予備吐出されたインクが着弾した前記印字媒体を排出させるように前記搬送機構を制御することが好ましい。
【0013】
また、本発明において、前記経過時間が前記所定時間に達した所定時間到達時点での印字媒体の位置を検知する検知手段と、前記検知手段による検知結果に基づいて、前記所定時間到達時点における前記インクジェットヘッドと印字媒体との位置関係が、前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面の全域が印字媒体と対向している第1の位置関係、前記インク吐出面が部分的にしか印字媒体と対向していないものの、印字媒体の排出過程において前記インク吐出面の全域が印字媒体と対向し得る第2の位置関係、及び、前記インク吐出面が部分的にしか印字媒体と対向しておらず且つ印字媒体の排出過程においても前記インク吐出面が部分的にしか印字媒体と対向することがない第3の位置関係、のいずれであるかを判断する対向判断手段とをさらに備えている。そして、(a)前記対向判断手段が前記第1の位置関係又は前記第2の位置関係と判断した場合に、前記フラッシング制御手段は、予備吐出されたインクが前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体上だけに着弾するように前記インクジェットヘッドを制御し、前記排出制御手段は、予備吐出されたインクが着弾した前記印字媒体を排出させるように前記搬送機構を制御し、(b)前記対向判断手段が前記第3の位置関係と判断した場合に、前記排出制御手段は、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように、前記搬送機構を制御し、前記フラッシング制御手段は、予備吐出されたインクが前記搬送機構上に着弾するように前記インクジェットヘッドを制御することが好ましい。これにより、不要となった印字媒体上に予備吐出されたインクを着弾させ、その印字媒体を排出させるので、予備吐出されたインクの廃棄が容易となる。また、搬送機構上にインクを予備吐出させる機会を減らすことができるので、搬送機構の汚れを抑制することができる。したがって、搬送機構などからインクを除去するためのクリーニング動作頻度を低下させることができる。
【0014】
また、このとき、前記搬送機構が、前記インク吐出面と平行な回転軸をそれぞれ有しており、2つの前記回転軸が互いに平行である一対の回転部材と、前記インク吐出面と平行に対向する搬送面が形成されるように前記一対の回転部材に巻き掛けられており、外周面の一部に予備吐出されたインクを受容するインク受容領域が設けられているエンドレスの搬送ベルトとを備えている。そして、前記対向判断手段が、前記インク吐出面が部分的にしか印字媒体と対向していないと判断した場合に、前記排出制御手段は、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御し、前記フラッシング制御手段は、予備吐出されたインクが前記搬送ベルトに設けられた前記インク受容領域内に着弾するように前記インクジェットヘッドを制御してもよい。また、前記対向判断手段が前記第3の位置関係と判断した場合に、前記フラッシング制御手段は、予備吐出されたインクが前記搬送ベルトに設けられた前記インク受容領域内に着弾するように前記インクジェットヘッドを制御してもよい。これにより、印字途中の印字媒体に予備吐出を行うことができない場合であっても、搬送ベルトのインク受容領域に対して予備吐出を行うことができる。
【0015】
また、本発明において、前記検知手段が、前記搬送機構による搬送方向に沿った前記インクジェットヘッドの前端付近に印字媒体が存在しているか否かを検出する第1のセンサと、前記搬送機構による搬送方向に沿った前記インクジェットヘッドの後端付近に印字媒体が存在しているか否かを検出する第2のセンサとを備えていることが好ましい。これにより、インク吐出面の全域が印字媒体と対向していることを確実に検知することができる。
【0016】
また、本発明において、前記印字データファイルについて受信した印字データを記憶する印字データ記憶手段と、前記印字データファイルに関する画像の印字が終了したか否かを判断する印字終了判断手段と、前記印字データファイルに関する画像の印字が終了したと前記印字終了判断手段が判断してから、前記印字データファイルについての印字データを前記印字データ記憶手段から削除する削除手段とをさらに備えていることが好ましい。また、このとき、前記印字制御手段は、前記排出制御手段によって前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出された後において、新たな印字媒体が前記インク吐出面と対向する位置を通過するように前記搬送機構を制御するとともに、前記印字データ記憶手段に記憶された前記印字データファイルの印字データに関する画像を前記新たな印字媒体に対して最初から印字してもよい。これにより、印字途中で印字媒体が排出された場合に、当該印字データファイルに係る印字データ全体を再度受信する必要がなくなる。そのため、印字処理を短時間で終了させることが可能となる。
【0017】
本発明のプリンタの制御方法は、インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構とを備えたプリンタの制御方法であって、1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が、前記インクジェットヘッドによって印字される所定印字行数のn倍(n:自然数)に相当する量に達したか否かを判定するデータ量判定ステップと、前記データ量判定ステップにおいて前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと判断されると、前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字、及び、前記搬送機構による前記所定印字行数に相当する距離の印字媒体の搬送が行われるように、前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御ステップとを備えている。さらに、前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字の終了時刻からの経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定ステップと、前記データ量判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達する前に受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと判定されると、前記経過時間判定ステップが行われないようにする又は前記経過時間判定ステップにおける判定結果を無効とする判定無効化ステップと、前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御ステップと、前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御ステップとを備えている。
【0018】
また、本発明のプリンタの制御方法は、別の観点では、インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構とを備えたプリンタの制御方法であって、1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が、所定量に達したか否かを判定するデータ量判定ステップと、前記データ量判定ステップにおいて前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定量に達したと判断されると、前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字、及び、前記搬送機構による前記所定量の印字データの印字に相当する距離の印字媒体の搬送が行われるように、前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御ステップとを備えている。さらに、前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字の終了時刻の度に計時を開始する計時開始ステップと、前記計時開始ステップによって開始された計時の経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定ステップと、前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御ステップと、前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御ステップとを備えている。
【0019】
また、本発明のプリンタにおいて実行されるプログラムは、インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構とを備えたプリンタにおいて実行されるプログラムであって、1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が、前記インクジェットヘッドによって印字される所定印字行数のn倍(n:自然数)に相当する量に達したか否かを判定するデータ量判定ステップと、前記データ量判定ステップにおいて前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと判断されると、前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字、及び、前記搬送機構による前記所定印字行数に相当する距離の印字媒体の搬送が行われるように、前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御ステップとを備えている。さらに、前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字の終了時刻からの経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定ステップと、前記データ量判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達する前に受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと判定されると、前記経過時間判定ステップが行われないようにする又は前記経過時間判定ステップにおける判定結果を無効とする判定無効化ステップと、前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御ステップと、前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御ステップとを備えている。
【0020】
また、本発明のプリンタにおいて実行されるプログラムは、別の観点では、インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構とを備えたプリンタにおいて実行されるプログラムであって、1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が、所定量に達したか否かを判定するデータ量判定ステップと、前記データ量判定ステップにおいて前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定量に達したと判断されると、前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字、及び、前記搬送機構による前記所定量の印字データの印字に相当する距離の印字媒体の搬送が行われるように、前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御ステップとを備えている。さらに、前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字の終了時刻の度に計時を開始する計時開始ステップと、前記計時開始ステップによって開始された計時の経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定ステップと、前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御ステップと、前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御ステップとを備えている。
【0021】
これにより、1つの印字データファイル全体を受信してから印字を行うのではなく、受信した印字データが所定量、又は所定印字行数のn倍に相当する量に達する毎に順次印字を行うので、印字データファイルを受信し始めてから当該印字データファイルに関する画像が印字された印字媒体が排出されるまでに要する時間を短縮することが可能となる。また、所定時間内に所定量、又は所定印字行数のn倍に相当する量のデータを受信できないときには、粘度が向上したインクを用いての印字が引き続いて行われず、印字途中であっても印字媒体が排出される。そして、フラッシングが行われてから新たな印字媒体への印字が行われるので、印字データファイルに関する画像の印字が完了してから排出される印字媒体は、高画質の画像が印字されたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタの全体的な構成を示す側面図である。図1に示すインクジェットプリンタ101は、4つのインクジェットヘッド1を有するカラーインクジェットプリンタである。このインクジェットプリンタ101には、図中左方に給紙部111が、図中右方に排紙部112がそれぞれ構成されている。また、インクジェットプリンタ101は、インクジェットプリンタ101を制御するため制御部60(図5参照)を備えている。
【0024】
インクジェットプリンタ101内部には、給紙部111から排紙部112に向かって枚葉タイプの用紙(印字媒体)が搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙部111のすぐ下流側には、用紙を狭持搬送する一対の送りローラ105a,105bが配置されている。一対の送りローラ105a,105bによって用紙は図中左方から右方へ送られる。用紙搬送経路の中間部には、ベルト搬送機構103が設けられている。このベルト搬送機構103は、2つのベルトローラ(回転部材)106,107と、両ローラ106,107間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト108とを有する。搬送ベルト108の外周面すなわち搬送面にはシリコーン処理が施され粘着性を有しており、一対の送りローラ105a,105bによって搬送されてくる用紙を、搬送ベルト108の搬送面の粘着力により保持させながら、一方のベルトローラ106を搬送モータ142(図5参照)で図中時計回り(矢印104の方向)に回転駆動させることによって下流側(右方)に向けて搬送するようになっている。
【0025】
用紙のベルトローラ106,107に対する挿入及び排出位置であって、4つのインクジェットヘッド1を挟む位置には、用紙搬送経路内の用紙位置を検知する用紙位置センサ(検知手段)109,110がそれぞれ配置されている。用紙位置センサ109は、用紙搬送経路の上流側に配置されており、用紙位置センサ110は、用紙搬送経路の下流側に配置されている。4つのインクジェットヘッド1のインク吐出面1aの全域が用紙と対向している、つまり用紙の前端が用紙位置センサ110を通過しており且つ用紙の後端が用紙位置センサ109を通過していない(第1の位置関係)と、2つの用紙位置センサ109,110が共に用紙を検知する。そして、用紙の前端が用紙位置センサ109に到達しているが用紙位置センサ110に到達していない(第2の位置関係)と、用紙位置センサ109だけが用紙を検知する。用紙の後端が用紙位置センサ109を通過しているが用紙位置センサ110を通過していない(第3の位置関係)と、用紙位置センサ110だけが用紙を検知する。こうして、用紙とインク吐出面1aとの第1〜第3の位置関係を2つの用紙位置センサ109,110によって確実に検知することができる。
【0026】
4つのインクジェットヘッド1は、ベルト搬送機構103と対向する位置に固定されており、各インクジェットヘッド1の下端にヘッド本体70(圧力室を含むインク流路が形成された流路ユニットと、圧力室内のインクに圧力を与えるアクチュエータユニットとが貼り合わされたものである)を有している。ヘッド本体70は、それぞれが矩形断面を有しており、その長手方向が用紙搬送方向に垂直な方向(図1の紙面垂直方向)となるように互いに近接配置されている。つまり、このプリンタ101は、ライン式プリンタである。4つのヘッド本体70の各インク吐出面(底面)1aは用紙搬送経路に対向しており、これらインク吐出面1aには微小径を有する多数のノズルが設けられている。4つのヘッド本体70からは、それぞれマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックのインクが吐出される。
【0027】
ヘッド本体70は、インク吐出面1aと搬送ベルト108の搬送面との間に少量の隙間が形成されるように配置されており、この隙間部分に用紙搬送経路が形成されている。この構成で、搬送ベルト108上を搬送される用紙が4つのヘッド本体70のすぐ下方側を順に通過する際、この用紙の上面すなわち印刷面に向けてノズルから各色のインクが吐出されることで、用紙上に所望のカラー画像を形成できるようになっている。
【0028】
本実施の形態において搬送ベルト108は、2枚のシート状部材を貼り合わせた2層構造を有している。これらシート状部材のうち内側シート状部材は液体吸収性の有る織布又は不織布などからなり、外側シート状部材はゴム材料からなる。そして、内側シート状部材の一部分が外側シート状部材によって被覆されていないことにより、搬送ベルト108の外周面には外側シート状部材の厚さと同じ深さを有する凹部(インク受容領域)102が1つだけ設けられている。この凹部102は、インクジェットヘッド1からインクを予備吐出させたときに、そのインクを受容するための領域であり、インクジェットヘッド1のインク吐出面1aの平面領域より大きくなるように形成されている。したがって、インクを予備吐出させるときは、凹部102をインクジェットヘッド1のインク吐出面1a全体と対向させてから、インクを予備吐出させると、インクが凹部102の底面に確実に着弾すると共に、凹部102以外の搬送ベルト108の表面にインクが付着しにくくなる。なお、本実施の形態のインクジェットプリンタ101は、凹部102以外の部分上に用紙が載置されるように用紙搬送タイミングが制御部60によって調整されている。
【0029】
次に、インクジェットヘッド1について説明する。図2は、インクジェットヘッド1の外観斜視図である。図3は、図2のIII−III線における断面図である。インクジェットヘッド1は、用紙に対してインクを吐出するための主走査方向に延在した矩形平面形状を有するヘッド本体70と、ヘッド本体70の上方に配置され且つヘッド本体70に供給されるインクの流路である2つのインク溜まり3が形成されたベースブロック71とを備えている。
【0030】
ヘッド本体70は、インク流路が形成された流路ユニット4と、流路ユニット4の上面に接着された複数のアクチュエータユニット21とを含んでいる。流路ユニット4は、複数の薄板を積層して互いに接着させた構成である。また、アクチュエータユニット21の上面には、給電部材であるフレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)50が接着され、左右に引き出されている。ベースブロック71は、例えばステンレスなどの金属材料からなる。ベースブロック71内のインク溜まり3は、ベースブロック71の長手方向に沿って形成された略直方体の中空領域である。
【0031】
ベースブロック71の下面73は、開口3bの近傍において周囲よりも下方に飛び出している。そして、ベースブロック71は、下面73の開口3b近傍部分73aにおいてのみ流路ユニット4と接触している。そのため、ベースブロック71の下面73の開口3b近傍部分73a以外の領域は、ヘッド本体70から離隔しており、この離隔部分にアクチュエータユニット21が配されている。
【0032】
ベースブロック71は、ホルダ72の把持部72aの下面に形成された凹部内に接着固定されている。ホルダ72は、把持部72aと、把持部72aの上面からこれと直交する方向に所定間隔をなして延出された平板状の一対の突出部72bとを含んでいる。アクチュエータユニット21に接着されたFPC50は、スポンジなどの弾性部材83を介してホルダ72の突出部72b表面に沿うようにそれぞれ配置されている。そして、ホルダ72の突出部72b表面に配置されたFPC50上にドライバIC80が設置されている。FPC50は、ドライバIC80から出力された駆動信号をヘッド本体70のアクチュエータユニット21に伝達するように、両者とハンダ付けによって電気的に接合されている。
【0033】
ドライバIC80の外側表面には略直方体形状のヒートシンク82が密着配置されているため、ドライバIC80で発生した熱を効率的に散逸させることができる。ドライバIC80及びヒートシンク82の上方であって、FPC50の外側には、基板81が配置されている。ヒートシンク82の上面と基板81との間、および、ヒートシンク82の下面とFPC50との間は、それぞれシール部材84で接着されており、インクジェットヘッド1の本体にゴミやインクが侵入することを防いでいる。
【0034】
図4は、図2に示したヘッド本体70の平面図である。図4において、ベースブロック71内に形成されたインク溜まり3が仮想的に破線で描かれている。2つのインク溜まり3は、ヘッド本体70の長手方向に沿って、互いに所定間隔をなして平行に延在している。2つのインク溜まり3はそれぞれ一端に開口3aを有し、この開口3aを介してインクタンク(図示せず)に連通することによって、常にインクで満たされている。また、開口3bは、ヘッド本体70の長手方向に沿って各インク溜まり3に多数設けられていて、上述したように各インク溜まり3と流路ユニット4とを結んでいる。多数の開口3bは、対となる2つずつがヘッド本体70の長手方向に沿って近接配置されている。一方のインク溜まり3に連通した開口3bの対と、他方のインク溜まり3に連通した開口3bの対とは、千鳥状に配置されている。
【0035】
開口3bが配置されていない領域には、開口3bの対とは逆パターンで、台形の平面形状を有する複数のアクチュエータユニット21が千鳥状に配置されている。各アクチュエータユニット21の平行対向辺(上辺及び下辺)は、ヘッド本体70の長手方向と平行である。また、隣接するアクチュエータユニット21の斜辺の一部同士がヘッド本体70の幅方向にオーバーラップしている。
【0036】
アクチュエータユニット21の接着領域と対応した流路ユニット4の下面(インク吐出面1a)には、主走査方向に延在するノズル列を複数有するように多数のノズルが全域に亘ってマトリクス状に配列されている。また、アクチュエータユニット21の接着領域と対応した流路ユニット4の上面には、各々がノズルに連通する複数の圧力室(図示しない)が全域に亘ってマトリクス状に配列されている。また、流路ユニット4の内部には、各インク溜まり3に設けられた開口3bにそれぞれ連通する複数のマニホールド(図示しない)が形成されている。そして、複数の圧力室は、複数のマニホールドの何れかに連通している。
【0037】
このような流路ユニット4において、インク溜まり3に充填されたインクは開口3bを通じてマニホールドに流入し、マニホールドから各圧力室にインクが流通する。そして、後述する制御部60(図5参照)からの吐出信号に応じてインクジェットヘッド駆動回路95(図5参照)がインクジェットヘッド1を駆動すると、アクチュエータユニット21を介して圧力室内のインクに吐出エネルギーが付与される。こうして、吐出エネルギーが付与されたインクが、ノズルから吐出させられる。
【0038】
続いて、インクジェットプリンタの制御系について、図5を参照して説明する。図5は、本発明による一実施形態のインクジェットプリンタの制御構成を示す概略ブロック図である。インクジェットプリンタ101に含まれる制御部60は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及び制御プログラムに使用されるデータが記憶されているROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時記憶するためのRAM(Random Access Memory)とで構成されており、図5に示すように、データ量判定部(データ量判定手段)61、対向判断部(対向判断手段)62、リセット信号発生部(判定無効化手段)63、ヘッド制御部(印字制御手段の一部)64、搬送制御部(印字制御手段の一部、排出制御手段)65、印字終了判断部(印字終了判断手段)66及びデータ削除部(削除手段)67を備えている。インクジェットプリンタ101内には、用紙への所定印字行数(本実施形態においては10行)の印字が終了する度に時間計測を開始するカウンタ(計時カウンタ、又は計時手段)85と、インクジェットプリンタ101が受信した印字データを記憶する画像メモリ(印字データ記憶手段)86と、インクジェットヘッド駆動回路95及び搬送モータ駆動回路96を制御して各インクジェットヘッド1から所望位置にインクを吐出させるフラッシング制御回路(フラッシング制御手段)87と、カウンタ85によって計測された経過時間(以後、単に「経過時間」と称することがある)が入力され、これが所定時間に達したか否かを判定するセレクタ(経過時間判定手段)88,89とが含まれている。
【0039】
セレクタ88,89には、それぞれ画像メモリ86及びフラッシング制御回路87が接続されている。セレクタ88,89は、経過時間が所定時間に達していない場合には画像メモリ86から供給された印字データを出力するように設定され、経過時間が所定時間に達している場合にはフラッシング制御回路87から供給されたフラッシングデータを出力するように設定される。フラッシング制御回路87は、セレクタ88を介してインクジェットヘッド駆動回路95を制御してインクジェットヘッド1から用紙上にインクを予備吐出させるときにおいて、用紙の前端が用紙位置センサ109に到達しているが用紙位置センサ110に到達していない場合には、用紙が2つの用紙位置センサ109,110により検知される位置に搬送されるように、セレクタ89を介して搬送モータ駆動回路96を制御する。さらに、フラッシング制御回路87は、セレクタ88を介してインクジェットヘッド1から搬送ベルト108上にインクを予備吐出させるときにおいて、搬送ベルト108の凹部102が各インクジェットヘッド1のインク吐出面1aと順次対向する位置に配置されるように、セレクタ89を介して搬送モータ駆動回路96を制御する。
【0040】
データ量判定部61は、PC(パーソナルコンピュータ)90から送信された、例えば、50行分の印字データ量を有する印字データファイルを制御部60が通信処理部91を介して受信しているときに、その印字データが予め設定された10行分の印字データ量に達したか否かを判断する。
【0041】
対向判断部62は、カウンタ85によって計測された経過時間が所定時間に達した時点において、用紙位置センサ109,110の検知結果に基づいて、用紙搬送経路内の用紙が上述した第1〜第3の位置関係のいずれにあるのかを判断する。
【0042】
リセット信号発生部63は、インクジェットヘッド1による10行分の印字が終了する毎に、カウンタ85にリセット信号を送信し、カウンタ85による経過時間を0に戻す。なお、リセット信号発生部63は、セレクタ88,89による判定結果を無効にするような指令をだすものであってもよい。
【0043】
ヘッド制御部64は、通信処理部91で受信した印字データが10行分の印字データ量に達したとデータ量判定部61が判断すると、用紙に対して10行分の印字データに関する印字が行われるように、セレクタ88を介してインクジェットヘッド駆動回路95を制御する。
【0044】
搬送制御部65は、給紙部111の用紙を用紙搬送経路内に給紙するように、且つ、ヘッド制御部64において10行分の印字データに関する印字が行われた後に10行分の距離だけ用紙の搬送が行われるように、セレクタ89を介して搬送モータ駆動回路96を制御する。加えて、カウンタ85によって計測された経過時間が所定時間に達したとセレクタ88,89が判定すると、搬送制御部65は、画像が途中まで印字された用紙が排紙部112に排出されるように、搬送モータ駆動回路96を制御する。
【0045】
印字終了判断部66は、50行分の印字データファイルに関して用紙に対する印字が終了したか否かを判断する。データ削除部67は、印字終了判断部66が50行分の印字データに関して用紙に対する印字が終了したと判断してから、画像メモリ86に記憶された50行分の印字データファイルを削除する。
【0046】
なお、本実施の形態においては、用紙搬送経路内の用紙位置を確認する手段として用紙位置センサ109,110が適用されているが、例えば、ベルトローラ106又は搬送モータ142の回転数をカウントするエンコーダ(回転数カウンタ)が用紙位置センサ109,110の代わりに設けられていてもよい。このエンコーダは、ベルトローラ106又は搬送モータ142の回転軸近傍に設けられて、その回転数をカウントし、カウント数をセレクタ88,89に出力する。また、セレクタ88,89は、カウント数に基づいて搬送ベルト108上の用紙が、第1〜第3の位置関係のいずれに当たるのかを判定するように構成する。これにより、2つの用紙位置センサ109,110が不要となるため、構造が簡略化された低コストのインクジェットプリンタを実現することができる。
【0047】
続いて、制御プログラムによって制御されたインクジェットプリンタ101の動作フローについて、図6を参照しつつ以下に説明する。図6は、本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタ101の動作フローを示すフローチャートである。ここでは、インクジェットプリンタ101で、例えば、用紙1頁分に対応する50行分の印字データファイルに関する画像を印字する場合について説明する。なお、用紙に対する印字は、50行分の印字データに限らず、何行分の印字データに関しても印字可能である。本実施の形態においては、インクジェットヘッド1が10行のノズル列を有して、10行の印字データを一斉に印字できるものとし、印字データファイルに関する画像は、単色の画像で4つのインクジェットヘッド1のうちの1つだけを使って印字する場合の例として説明する。
【0048】
インクジェットプリンタ101で用紙に画像を印字するには、まず、ステップ1(S1)において、PC90からの印字データファイルの受信を開始する。インクジェットプリンタ101は、印字データ(最終的には、50行分の印字データファイル)を通信処理部91で順次受信し、受信した印字データを画像メモリ86に書き込む。ステップ2において、通信処理部91で受信した印字データ量が予め設定された10行分の印字データ量に達したか否かを判定する(データ量判定ステップ)。このとき、受信した印字データ量が10行分の印字データ量に達するまでステップ2の処理を繰り返す。なお、カウンタ85は印字データファイルの初回の10行分の画像の印字が終了してから時間を計測する。
【0049】
次に、ステップ2で受信した印字データ量が10行分の印字データ量に達したと判定すると、ステップ3(S3)に進む。そして、ステップ3において、用紙前端又は用紙の印字位置がインクジェットヘッド1のインク吐出面1aと対向する位置(用紙搬送経路内)に給紙されているか否かを判定する。このとき、用紙が搬送経路内に給紙されていればステップ4(S4)に進み、用紙が搬送経路内に給紙されていなければステップ8(S8)に進む。
【0050】
ステップ3で用紙が用紙搬送経路内に給紙されていると、ステップ4において、カウンタ85で計測した経過時間が所定時間に達したかどうかをセレクタ88,89が判定する(経過時間判定ステップ)。このとき、経過時間が所定時間内であればセレクタ88,89が画像メモリ86から供給された印字データを出力するように設定されてからステップ5(S5)に進み、経過時間が所定時間に達していれば、セレクタ88,89がフラッシング制御回路87から供給されたフラッシングデータを出力するように設定されてからステップ11(S11)に進む。なお、直前のステップ2で判定した10行分の印字データが、印字データファイルの初回の10行分のデータである場合、すなわち、初回の10行の印字がまだなされていない場合、カウンタ85の計時は行われていないが、このときはステップ5に進む。
【0051】
ステップ4で経過時間が所定時間内であれば、ステップ5において、10行分の印字データ量に関する印字及び10行分の距離だけ用紙の搬送が行われるように、ヘッド制御部64及び搬送制御部65がセレクタ88,89を介してインクジェットヘッド駆動回路95及び搬送モータ駆動回路96を制御して、用紙の所望位置にインクを吐出する(印字制御ステップ)。印字が終了すると、リセット信号発生部63がカウンタ85に対してリセット信号を送信し、カウンタ85による経過時間を0に戻す(判定無効化ステップ)とともに、カウンタ85が新たに時間を計測し始める(計時開始ステップ)。なお、リセット信号発生部63は、カウンタ85が初回の10行分の画像の印字が終了してから時間を計測するため、ステップ5における印字が印字データファイルの最初の10行分の画像の印字である場合には、リセット信号がカウンタ85に送信されることはない。
【0052】
次に、ステップ6(S6)において、印字終了判断部66で50行分(用紙1頁分)の印字データファイルに関する画像の印字が終了したか否かを判断し、50行分の印字が終了していればステップ(S7)に進み、50行分の印字が終了していなければ、ステップ2まで戻って再度、上述したステップ2〜ステップ6までの作業が繰り返し行われる。ステップ6において、50行分の印字が終了したと判断され、ステップ7に進むと、50行分の印字データ量に関する画像が印字された用紙が排紙部112に排出される。このとき、制御部60のデータ削除部67が、画像メモリ86内に記憶された50行分の印字データファイルを削除する。
【0053】
ステップ3において、用紙が用紙搬送経路内に給紙されていなければ、ステップ8に進む。ステップ8において、まず、フラッシング制御回路87から供給されたフラッシングデータを出力するようにセレクタ88,89が切り替えられる。そして、図5に示すフラッシング制御回路87が制御部60からの制御信号によって動作し、セレクタ88を介してインクジェットヘッド駆動回路95を駆動制御するとともに、セレクタ89を介して搬送モータ駆動回路96を駆動制御する。このとき、フラッシング制御回路87は、搬送ベルト108の凹部102が各インクジェットヘッド1のインク吐出面1a全体と順次対向するように搬送モータ駆動回路96を制御して搬送モータ142を回転駆動させると共に、各インクジェットヘッド1のインク吐出面1a全体が凹部102と対向したときに、凹部102の底面にインクが着弾するようにインクジェットヘッド駆動回路95を制御してインクジェットヘッド1からインクを予備吐出させる。こうして、給紙前のフラッシング動作を行ってからステップ9(S9)に進む。ステップ9においては、用紙搬送経路内に用紙が給紙されるように、搬送制御部65が搬送モータ駆動回路96を制御して搬送モータ142を回転駆動する。そして、画像メモリ86からの供給された印字データを出力するようにセレクタ88,89が切り替えられた後に、ステップ10(S10)に進む。ステップ10では、画像メモリ86に記憶された全ての印字データの印字とかかる印字に必要な距離の用紙の搬送とが行われるようにヘッド制御部64及び搬送制御部65がセレクタ88,89を介してインクジェット駆動回路95及び搬送モータ駆動回路96を制御して用紙の所望位置にインクを吐出する。印字が終了すると、ステップ5と同様にカウンタ85の経過時間を0に戻して新たに時間の計測を開始する。その後、上述したステップ6に進む。
【0054】
ステップ4からステップ11に進んだ場合について、以下に説明する。図7は、図1に示すインクジェットヘッド1と用紙搬送経路内の用紙との位置関係を示しており、(a)は用紙の前端が用紙位置センサ109に到達しているが用紙位置センサ110に到達していない第2の位置関係を示す図であり、(b)はインク吐出面1a全域と用紙が対向している第1の位置関係を示す図であり、(c)は用紙後端が用紙位置センサ109を通過しているが用紙位置センサ110を通過していない第3の位置関係を示す図である。ステップ10においては、対向判断部62が、用紙位置センサ109、110の検知結果に基づいて、用紙とインクジェットヘッド1のインク吐出面1aとの位置関係が図7(a)〜(c)に示す第1〜第3の位置関係のいずれであるかを判断する。その結果、用紙とインクジェットヘッド1のインク吐出面1aとの位置関係が図7(a)に示すような第2の位置関係であると判断された場合には、ステップ12(S12)に進む。ステップ12においては、フラッシング制御回路87が、用紙搬送経路内の用紙を2つの用紙位置センサ109,110が共に用紙を検知する位置に搬送するようにセレクタ89を介して搬送モータ駆動回路96を制御し搬送モータ142を回転駆動する。そして、ステップ13へと進む。
【0055】
また、ステップ11において、用紙とインクジェットヘッド1との位置関係が、図7(b)に示すような第1の位置関係であると判断された場合には、ステップ13に進む。ステップ13においては、フラッシング制御回路87から供給されたフラッシングデータを出力するようにセレクタ88,89が切り替えられる。そして、図5に示すフラッシング制御回路87が制御部60からの制御信号によって動作し、セレクタ88を介してインクジェットヘッド駆動回路95を駆動制御する。このとき、フラッシング制御回路87は、インクジェットヘッド1のインク吐出面1a全域と対向した用紙に、インクが着弾するようにインクジェットヘッド駆動回路95を制御してインクジェットヘッド1からインクを予備吐出させる。次に、ステップ14(S14)において、インクが予備吐出された用紙が排紙部112に排出されるように、搬送制御部65がセレクタ89を介して搬送モータ駆動回路96を制御して搬送モータ142を回転駆動させる(排出制御ステップ)。そして、上述したステップ9に進み、用紙搬送経路内に新たな用紙を給紙してから、上述したステップ10に進み、画像メモリ86に記憶されている全ての印字データの印字とそれに伴う用紙の搬送とを行い、カウンタ85の経過時間を0に戻して、新たに時間の計測を開始する。このように、カウンタ85による経過時間が所定時間に達したときに、用紙とインクジェットヘッド1のインク吐出面1aとの位置関係が第1及び第2の位置関係の場合において、不要となった用紙上にフラッシングによるインクを着弾させるので、搬送ベルト108上にフラッシングする必要ななく、搬送ベルト108の汚れを防ぐことができる。したがって、搬送ベルト108の凹部102からインクを除去するためのクリーニング動作頻度を低下させることができる。
【0056】
また、ステップ11において、用紙とインクジェットヘッド1のインク吐出面1aとの位置関係が、図7(c)に示すような第3の位置関係であると判断された場合には、ステップ15(S15)に進む。ステップ15においては、用紙が排紙部112に排出されるように、搬送制御部65がセレクタ89を介して搬送モータ駆動回路96を制御して搬送モータ142を回転駆動させる(排出制御ステップ)。そして、上述したステップ8に進み、各ヘッドのフラッシング動作を行って搬送ベルト108上にインクを着弾させてから、上述したステップ9以降の動作を行う。
【0057】
続いて、本実施形態におけるインクジェットプリンタ101において、用紙1枚当たり50行分の画像を印字する場合に、用紙が1度排出され、再度用紙に当該50行分の画像を印字するときの具体的な動作例について以下に説明する。図8は、図1に示すインクジェットプリンタ101で用紙に対して印字を行った時のタイムチャートである。図8においては、データ受信、印字動作、搬送動作、フラッシング及び経過時間の各項目を時間の経過と共に示している。
【0058】
図8に示すように、まず、PC90から50行分の印字データファイルのうち、最初に印字される10行分の印字データD1を通信処理部91で受信する。印字データD1の受信を開始したときに、制御部60からフラッシング制御回路87に制御信号が送信され、フラッシング制御回路87がインクジェットヘッド駆動回路95及び搬送モータ駆動回路96を駆動制御する。このとき、フラッシング制御回路87が、搬送モータ駆動回路96を制御して搬送モータ142を回転駆動させることによって、搬送ベルト108の凹部102が各インクジェットヘッド1のインク吐出面1a全域と順次対向するような搬送ベルト送り動作FM1が行われる。同時に、フラッシング制御回路87がインクジェットヘッド駆動回路96を制御することによって、各インクジェットヘッド1のインク吐出面1a全体が凹部102と対向したときに、凹部102の底面にインクが着弾するようにインクジェットヘッド1からインクを予備吐出するフラッシングF1が行われる。そして、インクジェットヘッド1のフラッシングが完了すると同時に、搬送制御部65が搬送モータ駆動回路96を制御することによって、用紙を用紙搬送経路内に給紙する搬送動作M1が行われる。
【0059】
次に、制御部60のデータ量判定部61で印字データD1の受信が完了したと判定されると、ヘッド制御部64が、インクジェットヘッド駆動回路95を制御してインクジェットヘッド1から用紙に対してインクを吐出させ、印字データD1に関する印字動作P1を行った後、搬送制御部65が搬送モータ駆動回路96を制御して搬送モータ142を回転駆動させ、10行分の距離だけ用紙を搬送する動作M2を行う。なお、動作M2は、次回の印字動作P2における印字位置に用紙を搬送している。また、このときも引き続き通信処理部91は、PC90からの印字データファイルを受信しており、本実施の形態おいては、11行目から20行目となる次の10行分の印字データD2を受信している。また、図8に示すように、カウンタ85が、印字動作P1が終了した時点から時間計測を開始している。
【0060】
次に、制御部60のデータ量判定部61で印字データD2の受信が完了したと判定されると、この時点でのカウンタ85によって計測された経過時間が所定時間と比較される。本例では、経過時間T1が所定時間よりも短いので、ヘッド制御部64が、インクジェットヘッド駆動回路95を制御してインクジェットヘッド1から用紙に対してインクを吐出させ、印字データD2に関する印字動作P2を行った後、搬送制御部65が搬送モータ駆動回路96を制御して搬送モータ142を回転駆動させ、10行分の距離だけ用紙を搬送する動作M2を行う。また、このときも引き続き通信処理部91は、PC90からの印字データファイルを受信しており、本実施の形態においては、21行目から30行目となる次の10行分の印字データD3を受信している。そして、リセット信号発生部63からのリセット信号によってカウンタ85の経過時間が0に戻される。そして、印字動作P2が終了した時点からカウンタ85が、時間計測を開始する。
【0061】
図8に示すように、何かの理由によって印字データD3の通信処理部91での受信完了に時間がかかると、制御部60のデータ量判定部61が印字データD3の受信が完了したと判定する前に、セレクタ88,89がカウンタ85による経過時間T2が所定時間に達したと判定する。すると、対向判断部62が用紙位置センサ109,110の検知結果に基づいて、用紙とインクジェットヘッド1のインク吐出面1aとの位置関係が第1〜第3の位置関係のいずれであるかを判断する。本実施の形態においては、1行目から20行目までの画像の印字しか行われていないため、対向判断部62は用紙とインクジェットヘッド1のインク吐出面1aとの位置関係が第2の位置関係であると判断する可能性が高い。そこで、ここでは、用紙とインクジェットヘッド1のインク吐出面1aとの位置関係が第2の位置関係であると仮定して説明を進める。
【0062】
次に、フラッシング制御回路87が、搬送モータ駆動回路96を制御し搬送モータ142を回転駆動して、用紙搬送経路内の用紙を2つの用紙位置センサ109,110が共に用紙を検知するような位置に搬送する搬送動作FM2を行う。なお、搬送動作FM2が行われているときにおいても、通信処理部91は、PC90からの印字データファイルを受信しており、本実施の形態においては、21行目から30行目となる10行分の印字データD3を引き続いて受信している。
【0063】
搬送動作FM2を行った後、フラッシング制御回路87がインクジェット駆動回路96を制御して、対向した用紙にインクが着弾するように各インクジェットヘッド1からインクを吐出するフラッシングF2を行う。そして、搬送制御部65が、搬送モータ駆動回路96を制御して搬送モータ142を回転駆動させ、インクが吐出された用紙を排紙部112に排紙する搬送動作M3を行う。次に、搬送制御部65が、搬送モータ駆動回路96を制御して新たな用紙を用紙搬送経路内に給紙する上述の搬送動作M1を行う。なお、このときも引き続き通信処理部91は、PC90からの印字データファイルを受信しており、本実施の形態においては、31行目から40行目となる10行分の印字データD4、そしてこれに引き続いて41行目から50行目となる10行分の印字データD5を受信している。また、通信処理部91で受信した印字データD1〜D5は、画像メモリ86が順次記憶する。
【0064】
図8に示すように、用紙を搬送経路内に給紙した時点で、通信処理部91は印字データD1〜D4の受信を完了しており、さらに画像メモリ86に印字データD1〜D4が記憶されているので、印字データD1〜D4に関してそれぞれ対応した印字動作P1〜P4が順次用紙に対して行われると共に、各印字動作P1〜P3が終了する度に10行分の距離だけ用紙を搬送する動作M2が行われる。これらの各印字動作P1〜P4は、既に受信が完了した印字データD1〜D4について行うものであるため、印字動作が途中で長時間途切れるおそれはない。したがって、印字動作P1〜P4が行われている間は、カウンタ85の計測は行わない。
【0065】
また、図8に示すように、各印字動作P1〜P4のうち、印字動作P2が行われている途中で、通信処理部91での印字データD5の受信が完了するので、印字動作P4の後の搬送動作M2が終了すると直ぐに印字動作P5が行われる。この印字動作P5も既に受信が完了した印字データD5について行うものであるため、印字動作P4が終了した直後からカウンタ85の計測が行われることはない。そして、印字動作P5が終了した時点で、50行分の印字データに関する画像の印字が終了したと印字終了判断部66が判断する。すると、搬送制御部65が、搬送モータ駆動回路96を制御し搬送モータ142を回転駆動させ、50行分の印字データに関して印字が行われた用紙を排紙部112に排紙する搬送動作M4が行われる。こうして、インクジェットプリンタ101における用紙に対する所望画像の印字及び排出が完了する。また、印字動作P5が終了した時点からの経過時間T3の計測がカウンタ85により開始される。
【0066】
図8の例では、10行分の印字データD1〜D5が互いに同じデータ量を有していることを前提としている。しかしながら、印字データD1〜D5がそれぞれ10行分の印字データであるならば、それらデータ量は互いに異なっていてもよい。また、各印字データD1〜D5の受信完了を判定するには、予め各印字データD1〜D5のデータエンド部分に埋め込まれたエンドフラグを検出する。変形例として、印字データD1〜D5のビット数が既知である場合には、実際に受信したビット数を既知のビット数と比較することによって受信完了を判定してもよい。
【0067】
以上のようなインクジェットプリンタ101によると、1つの印字データファイル全体(本実施の形態においては50行分の印字データに相当)を受信してから印字を行うのではなく、受信した印字データが10行分に相当する印字データ量に達する毎に順次印字を行うので、50行分の印字データに関する画像が印字された用紙が排出されるまでに要する時間が短くなる。
【0068】
また、図8に示すような場合、印字中にインクジェットヘッド1のフラッシング動作が一度行われたとしても、10行分の各印字データD1〜D5の受信が完了する前に2回目の印字動作P1が行われているので、各印字データD1〜D5を受信してから印字動作を開始するよりも、50行分の印字データに関する画像が印字された用紙が排出されるまでに要する時間が短くなる。また、所定時間内に所定量のデータを受信できないとき(図8に示すように、所定時間内に印字データD3を受信できないとき)には、粘度が向上したインクを用いての印字が引き続いて行われず、印字途中であっても用紙が排出される。このとき、用紙位置センサ109,110の検知結果に基づいて、対向判断部62で用紙搬送経路内の用紙とインクジェットヘッド1との位置関係が第1〜第3の位置関係のうち、どの位置関係かを判断し、第1及び第2の位置関係であれば、用紙上にインクが着弾するようにインクジェットヘッド1のフラッシング動作を行った後に用紙を排出し、第3の位置関係であれば、印字途中の用紙をそのまま排出したのち、搬送ベルト108上にインクジェットヘッド1のフラッシング動作を行う。そして、新たな用紙を給紙してから再度印字が行われるので、50行分の印字データに関する画像の印字が完了してから排出される用紙は、高画質の画像が印字されたものとなる。
【0069】
また、印字データファイルの印字が全て完了するまでは、画像メモリ86内に受信した印字データが記憶されていることで、印字途中で用紙が排出された場合に、一旦受信した印字データD1〜D4を再度受信する必要がなくなる。そのため、印字処理を短時間で終了させることが可能となる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述したインクジェットプリンタ101のインクジェットヘッド1は、ベルト搬送機構103と対向する位置に固定されているが、インクジェットヘッドのフラッシング時などにおいて、一時的に退避するような可動式のインクジェットヘッドであってもよく、少なくとも用紙への印字の際にインクジェットヘッドが印字位置に位置決めされておればよい。また、用紙位置センサ109,110やエンコーダ92などの用紙搬送経路内の用紙の位置を検知する検知手段を設けていなくてもよいし、対向判断部62も設けられていなくてもよい。これにおいては、セレクタ88,89でカウンタ85による経過時間が所定時間に達したと判断すると、用紙搬送経路内の用紙がどの位置にあろうとも用紙を排出すればよい。そして、ステップ8及びステップ9を行い、再度、新たな用紙に最初から印字を開始すればよい。これにより、高画質の画像が用紙に印字されることになる。
【0071】
また、上述したインクジェットプリンタ101において、用紙の搬送手段としては、ベルト搬送機構103を適用しているが、例えは、複数のローラが用紙搬送方向に沿って並設されたローラ搬送機構を適用してもよい。また、搬送ベルト108には、インク受容領域としての凹部102が形成されているが、凹部102が形成されていない搬送ベルトに単にスポンジなどのインク吸収部材を配置したインク受容領域を形成してもよい。また、インクジェットヘッドのフラッシング時に予備吐出されたインクを受けるインク受け部材がインクジェットプリンタ内に配置されている場合には、搬送ベルトにインク受容領域を形成していなくてもよい。また、PC90から送信された画像データを画像メモリ86に記憶させておかなくてもよい。また、画像メモリ86を設けなくてもよい。
【0072】
また、上述した実施の形態では、所定印字行数が10行となっているが、所定印字行数は任意のn(n:自然数)行であってもよい。この所定印字行数は、用紙1頁に対して何行印字するかによって適宜選択して決めればよい。印字データはデータ送信元のPCからラスタ化されて送られることが多いが、テキストデータ及び/又はベクトルデータとして送られてもよい。
【0073】
また、上述した実施の形態では、所定印字行数である10行分の印字データD1〜D5を受信する毎に順次印字を行っていたが、受信した印字データが所定のデータ量になる毎に順次印字を行うものであってもよい。この場合、印字動作の間に行われる用紙の搬送は一定距離の搬送ではなくなるが、受信した印字データに含まれるアドレス情報(印字される文字の用紙上における位置を示すデータ)等を基に用紙の搬送距離を随時求めればよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタの全体的な構成を示す側面図である。
【図2】インクジェットヘッドの外観斜視図である。
【図3】図2のIII−III線における断面図である。
【図4】図2に示したヘッド本体の平面図である。
【図5】本発明による一実施形態のインクジェットプリンタの制御構成を示す概略ブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタの動作フローを示すフローチャートである。
【図7】図1に示すインクジェットヘッドと用紙搬送経路内の用紙との位置関係を示しており、(a)は用紙の前端が用紙搬送経路の上流側に位置する用紙位置センサに到達しているが用紙搬送経路の下流側に位置する用紙位置センサに到達していない第2の位置関係を示す図であり、(b)はインク吐出面全域と用紙が対向している第1の位置関係を示す図であり、(c)は用紙後端が用紙搬送経路の上流側に位置する用紙位置センサを通過しているが用紙搬送経路の下流側に位置する用紙位置センサを通過していない第3の位置関係を示す図である。
【図8】図1に示すインクジェットプリンタで用紙に対して印字を行った時のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 インクジェットヘッド
1a インク吐出面
61 データ量判定部(データ量判定手段)
62 対向判断部(対向判断手段)
63 リセット信号発生部(判定無効化手段)
64 ヘッド制御部(印字制御手段の一部)
65 搬送制御部(印字制御手段の一部、排出制御手段)
66 印字終了判断部(印字終了判断手段)
67 データ削除部(削除手段)
85 カウンタ(時計カウンタ)
86 画像メモリ(印字データ記憶手段)
87 フラッシング制御回路(フラッシング制御手段)
88,89 セレクタ(経過時間判定手段)
102 凹部(インク受容領域)
103 搬送ベルト
106,107 ベルトローラ(回転部材)
108 搬送ベルト
109 用紙位置センサ(第1のセンサ)
110 用紙位置センサ(第2のセンサ)
D1〜D5 印字データ
T1〜T3 経過時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、
前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構と、
1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が前記インクジェットヘッドによって印字される所定印字行数のn倍(n:自然数)に相当する量に達したか否かを判定するデータ量判定手段と、
前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと前記データ量判定手段が判断すると、前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字及び前記搬送機構による前記所定印字行数に相当する距離の印字媒体の搬送が行われるように前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御手段と、
時間を計測する計時カウンタと、
前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字の終了時刻からの前記計時カウンタによって計測された経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定手段と、
前記経過時間が前記所定時間に達したと前記経過時間判定手段が判定する前に受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと前記データ量判定手段が判定すると、前記経過時間判定手段による判定が行われないようにする又は判定結果を無効とする判定無効化手段と、
前記経過時間が前記所定時間に達したと前記経過時間判定手段が判定すると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御手段と、
前記経過時間が前記所定時間に達したと前記経過時間判定手段が判定すると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御手段とを備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、
前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構と、
1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が所定量に達したか否かを判定するデータ量判定手段と、
前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定量に達したと前記データ量判定手段が判断すると、前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字及び前記搬送機構による印字媒体の前記所定量の印字データの印字に相当する距離の搬送が行われるように前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御手段と、
前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字が終了する度に計時を開始し少なくとも次の前記所定量の印字データの印字の開始に至るまでの経過時間を計時する計時手段と、
前記計時手段によって計時された経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定手段と、
前記経過時間が前記所定時間に達したと前記経過時間判定手段が判定すると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御手段と、
前記経過時間が前記所定時間に達したと前記経過時間判定手段が判定すると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御手段とを備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
前記経過時間が前記所定時間に達した時点での印字媒体の位置を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記経過時間が前記所定時間に達した時点において前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面の全域が印字媒体と対向しているか否かを判断する対向判断手段とをさらに備えており、
前記対向判断手段が、前記インク吐出面の全域が印字媒体と対向していると判断した場合に、前記フラッシング制御手段は、予備吐出されたインクが前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体上だけに着弾するように前記インクジェットヘッドを制御し、前記排出制御手段は、予備吐出されたインクが着弾した前記印字媒体を排出させるように前記搬送機構を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記搬送機構が、
前記インク吐出面と平行な回転軸をそれぞれ有しており、2つの前記回転軸が互いに平行である一対の回転部材と、
前記インク吐出面と平行に対向する搬送面が形成されるように前記一対の回転部材に巻き掛けられており、外周面の一部に予備吐出されたインクを受容するインク受容領域が設けられているエンドレスの搬送ベルトとを備えており、
前記対向判断手段が、前記インク吐出面が部分的にしか印字媒体と対向していないと判断した場合に、前記排出制御手段は、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御し、前記フラッシング制御手段は、予備吐出されたインクが前記搬送ベルトに設けられた前記インク受容領域内に着弾するように前記インクジェットヘッドを制御することを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記経過時間が前記所定時間に達した所定時間到達時点での印字媒体の位置を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記所定時間到達時点における前記インクジェットヘッドと印字媒体との位置関係が、前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面の全域が印字媒体と対向している第1の位置関係、前記インク吐出面が部分的にしか印字媒体と対向していないものの、印字媒体の排出過程において前記インク吐出面の全域が印字媒体と対向し得る第2の位置関係、及び、前記インク吐出面が部分的にしか印字媒体と対向しておらず且つ印字媒体の排出過程においても前記インク吐出面が部分的にしか印字媒体と対向することがない第3の位置関係、のいずれであるかを判断する対向判断手段とをさらに備えており、
(a)前記対向判断手段が前記第1の位置関係又は前記第2の位置関係と判断した場合に、前記フラッシング制御手段は、予備吐出されたインクが前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体上だけに着弾するように前記インクジェットヘッドを制御し、前記排出制御手段は、予備吐出されたインクが着弾した前記印字媒体を排出させるように前記搬送機構を制御し、
(b)前記対向判断手段が前記第3の位置関係と判断した場合に、前記排出制御手段は、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように、前記搬送機構を制御し、前記フラッシング制御手段は、予備吐出されたインクが前記搬送機構上に着弾するように前記インクジェットヘッドを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記搬送機構が、
前記インク吐出面と平行な回転軸をそれぞれ有しており、2つの前記回転軸が互いに平行である一対の回転部材と、
前記インク吐出面と平行に対向する搬送面が形成されるように前記一対の回転部材に巻き掛けられており、外周面の一部に予備吐出されたインクを受容するインク受容領域が設けられているエンドレスの搬送ベルトとを備えており、
前記対向判断手段が前記第3の位置関係と判断した場合に、前記フラッシング制御手段は、予備吐出されたインクが前記搬送ベルトに設けられた前記インク受容領域内に着弾するように前記インクジェットヘッドを制御することを特徴とする請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記検知手段が、
前記搬送機構による搬送方向に沿った前記インクジェットヘッドの前端付近に印字媒体が存在しているか否かを検出する第1のセンサと、
前記搬送機構による搬送方向に沿った前記インクジェットヘッドの後端付近に印字媒体が存在しているか否かを検出する第2のセンサとを備えていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記印字データファイルについて受信した印字データを記憶する印字データ記憶手段と、
前記印字データファイルに関する画像の印字が終了したか否かを判断する印字終了判断手段と、
前記印字データファイルに関する画像の印字が終了したと前記印字終了判断手段が判断してから、前記印字データファイルについての印字データを前記印字データ記憶手段から削除する削除手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記印字制御手段は、前記排出制御手段によって前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出された後において、新たな印字媒体が前記インク吐出面と対向する位置を通過するように前記搬送機構を制御するとともに、前記印字データ記憶手段に記憶された前記印字データファイルの印字データに関する画像を前記新たな印字媒体に対して最初から印字することを特徴とする請求項8に記載のプリンタ。
【請求項10】
インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構とを備えたプリンタの制御方法であって、
1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が、前記インクジェットヘッドによって印字される所定印字行数のn倍(n:自然数)に相当する量に達したか否かを判定するデータ量判定ステップと、
前記データ量判定ステップにおいて前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと判断されると、前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字、及び、前記搬送機構による前記所定印字行数に相当する距離の印字媒体の搬送が行われるように、前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御ステップと、
前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字の終了時刻からの経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定ステップと、
前記データ量判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達する前に受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと判定されると、前記経過時間判定ステップが行われないようにする又は前記経過時間判定ステップにおける判定結果を無効とする判定無効化ステップと、
前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御ステップと、
前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御ステップとを備えていることを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項11】
インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構とを備えたプリンタの制御方法であって、
1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が、所定量に達したか否かを判定するデータ量判定ステップと、
前記データ量判定ステップにおいて前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定量に達したと判断されると、前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字、及び、前記搬送機構による前記所定量の印字データの印字に相当する距離の印字媒体の搬送が行われるように、前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御ステップと、
前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字の終了時刻の度に計時を開始する計時開始ステップと、
前記計時開始ステップによって開始された計時の経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定ステップと、
前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御ステップと、
前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御ステップとを備えていることを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項12】
インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構とを備えたプリンタにおいて実行されるプログラムであって、
1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が、前記インクジェットヘッドによって印字される所定印字行数のn倍(n:自然数)に相当する量に達したか否かを判定するデータ量判定ステップと、
前記データ量判定ステップにおいて前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと判断されると、前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字、及び、前記搬送機構による前記所定印字行数に相当する距離の印字媒体の搬送が行われるように、前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御ステップと、
前記インクジェットヘッドによる前記所定印字行数の印字の終了時刻からの経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定ステップと、
前記データ量判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達する前に受信した印字データ量が前記所定印字行数のn倍に相当する量に達したと判定されると、前記経過時間判定ステップが行われないようにする又は前記経過時間判定ステップにおける判定結果を無効とする判定無効化ステップと、
前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御ステップと、
前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御ステップとを備えていることを特徴とするプリンタにおいて実行されるプログラム。
【請求項13】
インクを吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有し、少なくとも印字中においては印字位置に位置決めされるインクジェットヘッドと、前記印字位置に位置決めされた前記インクジェットヘッドの前記インク吐出面と対向する位置を印字媒体が通過するように枚葉タイプの印字媒体を順次搬送する搬送機構とを備えたプリンタにおいて実行されるプログラムであって、
1つの印字データファイルについて受信した印字データ量が、所定量に達したか否かを判定するデータ量判定ステップと、
前記データ量判定ステップにおいて前記印字データファイルについて受信した印字データ量が前記所定量に達したと判断されると、前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字、及び、前記搬送機構による前記所定量の印字データの印字に相当する距離の印字媒体の搬送が行われるように、前記インクジェットヘッド及び前記搬送機構を制御する印字制御ステップと、
前記インクジェットヘッドによる前記所定量の印字データの印字の終了時刻の度に計時を開始する計時開始ステップと、
前記計時開始ステップによって開始された計時の経過時間が所定時間に達したか否かを判定する経過時間判定ステップと、
前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記印字データファイルに関する画像が途中まで印字された印字媒体が排出されるように前記搬送機構を制御する排出制御ステップと、
前記経過時間判定ステップにおいて前記経過時間が前記所定時間に達したと判定されると、前記インクジェットヘッドによるインクの予備吐出動作が行われるように前記インクジェットヘッドを制御するフラッシング制御ステップとを備えていることを特徴とするプリンタにおいて実行されるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−7641(P2006−7641A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189510(P2004−189510)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】