説明

プリンタ、及び、プリンタとサーバとを備えるシステム

【課題】サーバの処理負荷を低減させる。
【解決手段】多機能機10は、印刷条件とフィルタ処理とを選択することをユーザに許容する(S12,S14)。多機能機10は、画像処理情報100をサーバ40に送信する。サーバ40は、画像処理情報100に従って必要解像度110を特定し、必要解像度110を多機能機10に送信する。多機能機10は、選択画像データを必要解像度110に縮小して縮小画像データ120を生成し、縮小画像データ120を多機能機10に送信する。サーバ40は、縮小画像データ120に対してフィルタ処理を実行し、処理後画像データ130を生成し、処理後画像データ130を多機能機10に送信する。多機能機10は、処理後画像データ130を印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタが印刷するためのデータの画像処理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、サーバと外部装置とを含むシステムが開示されている。外部装置は、画像データをサーバに送信し、その画像データに対して特定の種類の画像処理を実行することをサーバに指示する。サーバは、処理後の画像データを外部装置に送信する。外部装置は、処理後の画像データを取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−283740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、多数の外部装置がサーバと通信可能である。サーバと通信する外部装置の数が多くなればなるほど、サーバの処理負荷が大きくなる。本明細書では、サーバの処理負荷を低減させることができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される一つの技術は、画像処理を実行するサーバと通信可能に接続されるプリンタである。このプリンタは、処理前画像データ取得手段と、第1選択許容手段と、第2選択許容手段と、画像データ生成手段と、種類情報送信手段と、画像データ送信手段と、処理後画像データ取得手段と、印刷手段とを備える。処理前画像データ取得手段は、第1画像データ(処理対象の画像データと言い換えることもできる)を取得する。なお、処理前画像データ取得手段は、例えば、外部装置から送信される画像データを受信することによって、第1画像データを取得してもよい。また、処理前画像データ取得手段は、例えば、プリンタが備える記憶部又は外部メモリに記憶されている複数の画像データの中から1つの画像データを選択することをユーザに許容し、ユーザによって選択された画像データを読み込むことによって、第1画像データを取得してもよい。
【0006】
第1選択許容手段は、複数の画像処理から特定の種類の画像処理を選択することをユーザに許容する。第2選択許容手段は、複数の印刷条件の中から特定の印刷条件を選択することをユーザに許容する。画像データ生成手段は、第1画像データの解像度より低い第1解像度であって、上記の特定の種類の画像処理と上記の特定の印刷条件とに従って決定される第1解像度を有する第2画像データを第1画像データから生成する。なお、上記の第1解像度は、例えば、「第1画像データの解像度より低い解像度であって、その解像度を有する画像データに対して上記の特定の種類の画像処理を実行すれば、上記の特定の印刷条件に適合する印刷結果が得られる印刷対象の画像データを生成することが可能である解像度」という用語に言い換えることができる。また、上記の用語は、さらに、「第1画像データの解像度より低い解像度であって、・・・上記の特定の印刷条件に適合する印刷結果が得られる印刷対象の画像データを生成することが可能である必要最小限の解像度」と言い換えることもできる。
【0007】
種類情報送信手段は、上記の特定の種類の画像処理に対応する種類情報をサーバに送信する。画像データ送信手段は、第2画像データをサーバに送信する。処理後画像データ取得手段は、種類情報に対応する上記の特定の種類の画像処理をサーバが実行することによって第2画像データから生成される第3画像データを取得する。印刷手段は、上記の特定の印刷条件に従って第3画像データを印刷する。
【0008】
上記の構成によると、プリンタは、第1画像データに対して実行されるべき特定の種類の画像処理と、第1画像データを印刷するための特定の印刷条件と、が選択された場合に、特定の種類の画像処理と特定の印刷条件とに従って決定される第1解像度まで第1画像データを縮小し、第2画像データを生成する。次いで、プリンタは、第2画像データをサーバに送信することによって、サーバに上記の特定の種類の画像処理を実行させる。その結果、プリンタは、サーバによって生成された第3画像データを取得して印刷を実行することができる。
【0009】
仮に、プリンタが第1画像データを縮小して第2画像データを生成しない手法(以下では特定の手法と呼ぶ)を採用する場合、プリンタは、第1画像データをサーバに送信することによって、サーバに上記の特定の種類の画像処理を実行させる。この場合、サーバは、第2画像データより解像度の大きい第1画像データを処理する必要があることから、サーバの処理負荷が大きい。これに対し、上記の構成のプリンタでは、第1画像データから縮小された第2画像データがサーバに送信されるために、サーバは、比較的に解像度の小さい第2画像データを処理すれば足りる。このために、上記の特定の手法と比べて、サーバの処理負荷を低減させることができる。
【0010】
上記のプリンタは、条件情報送信手段と第1情報取得手段とをさらに備えてもよい。条件情報送信手段は、上記の特定の印刷条件に対応する条件情報をサーバに送信してもよい。第1情報取得手段は、種類情報と条件情報とに従ってサーバが決定する第1解像度に対応する解像度情報を取得してもよい。また、画像データ生成手段は、解像度情報に対応する第1解像度を有する第2画像データを生成してもよい。
【0011】
この構成によると、サーバが第1解像度を決定することができる。プリンタは、サーバによって決定された第1解像度を取得することができる。なお、第1解像度を決定するデバイスは、サーバでなくてもよく、プリンタであってもよいし、サーバでもプリンタでもない他のデバイスであってもよい。
【0012】
第1情報取得手段は、サーバの処理負荷が所定量を超える場合に、サーバがプリンタに送信する上記の解像度情報を取得してもよい。一方において、第1情報取得手段は、サーバの処理負荷が所定量を超えない場合に、サーバがプリンタに送信する所定情報を取得してもよい。画像データ生成手段は、第1情報取得手段が上記の解像度情報を取得した場合に、第2画像データを生成してもよい。画像データ送信手段は、画像データ生成手段が第2画像データを生成した場合に、第2画像データをサーバに送信してもよい。一方において、画像データ送信手段は、第1情報取得手段が上記の所定情報を取得した場合に、第1画像データをサーバに送信してもよい。処理後画像データ取得手段は、画像データ送信手段が第2画像データをサーバに送信した場合に、上記の特定の種類の画像処理をサーバが実行することによって第2画像データから生成される第3画像データを取得してもよい。一方において、処理後画像データ取得手段は、画像データ送信手段が第1画像データをサーバに送信した場合に、上記の特定の種類の画像処理をサーバが実行することによって第1画像データから生成される第3画像データを取得してもよい。この構成によると、サーバの処理負荷が小さい場合には、プリンタは、第1画像データを縮小する処理を実行する必要がない。プリンタの処理負荷を低減させることができる。この場合、プリンタが第1画像データを縮小する場合と比べてサーバの処理負荷が増大するが、プリンタから画像処理を依頼される際のサーバの処理負荷が小さいために、サーバの処理負荷が大きくなり過ぎることはない。
【0013】
上記のプリンタと上記のサーバとを備えるシステムも新規で有用である。この場合、サーバは、画像処理手段をさらに備えてもよい。画像処理手段は、第1画像データ又は第2画像データから第3画像データを生成してもよい。また、画像処理手段は、第1画像データから第3画像データを生成する際に、第1解像度を有する第2画像データを第1画像データから生成し、次いで、上記の特定の種類の画像処理を実行することによって第2画像データから第3画像データを生成してもよい。
【0014】
サーバの画像処理手段は、第2画像データから第3画像データを生成する際に、以下の処理を実行してもよい。即ち、画像処理手段は、上記の特定の種類の画像処理を実行することによって第2画像データから処理後の画像データを生成し、次いで、処理後の画像データの解像度より低い第2解像度であって、上記の特定の印刷条件に従って決定される第2解像度を有する第3画像データを処理後の画像データから生成してもよい。なお、上記の第2解像度は、例えば、「処理後の画像データの解像度より低い解像度であって、上記の特定の印刷条件に適合する印刷結果が得られる解像度」という用語に言い換えることができる。また、上記の用語は、さらに、「処理後の画像データの解像度より低い解像度であって、上記の特定の印刷条件に適合する印刷結果が得られる必要最小限の解像度」と言い換えることもできる。
【0015】
サーバが第2画像データに対して上記の特定の種類の画像処理を実行すれば、第3画像データより高い解像度を有する処理後の画像データが生成され得る。サーバが処理後の画像データをプリンタに送信し、プリンタが処理後の画像データから第3画像データを生成して印刷する手法(以下では特定の手法と呼ぶ)が考えられる。しかしながら、この特定の手法では、第3画像データより高い解像度を有する処理後の画像データがサーバからプリンタに送信されるために、プリンタとサーバとの間のネットワークの負荷が大きくなる。これに対し、本明細書によって開示される手法では、サーバは、第2画像データから処理後の画像データを生成した後に、処理後の画像データより低い解像度を有する第3画像データを生成し、第3画像データをプリンタに送信する。処理後の画像データより低い解像度を有する第3画像データがサーバからプリンタに送信されるために、上記の特定の手法と比べて、プリンタとサーバとの間のネットワークの負荷を小さくすることができる。
【0016】
プリンタは、上記の特定の種類の画像処理と上記の特定の印刷条件とから第1解像度を決定するための特定の情報をサーバから取得する第2情報取得手段と、上記の特定の情報を用いて上記の特定の種類の画像処理と上記の特定の印刷条件とから第1解像度を決定する解像度決定手段とをさらに備えていてもよい。この構成によると、プリンタが第1解像度を決定することができる。サーバが第1解像度を決定する必要がないために、サーバの処理負荷を低減させることができる。
【0017】
なお、上記のプリンタを実現するための制御方法、及び、コンピュータプログラムも、新規で有用である。
【0018】
また、上記のサーバを実現するためのコンピュータプログラムも新規で有用である。このコンピュータプログラムは、サーバに搭載されるコンピュータに以下の各処理(1)〜(7)を実行させる。
(1)プリンタにおいて複数種類の画像処理の中からユーザによって選択される特定の種類の画像処理に対応する種類情報を取得する種類情報取得処理。
(2)プリンタにおいて複数の印刷条件の中からユーザによって選択される特定の印刷条件に対応する条件情報を取得する条件情報取得処理。
(3)上記の種類情報と条件情報とに従って第1解像度を決定する解像度決定処理。
(4)上記の第1解像度に対応する解像度情報をプリンタに送信する情報送信処理。
(5)プリンタが第1画像データから生成する第2画像データであって、第1画像データの解像度より低い上記の第1解像度を有する第2画像データを取得する画像データ取得処理。
(6)上記の種類情報に対応する上記の特定の種類の画像処理を実行することによって第2画像データから第3画像データを生成する画像データ生成処理。
(7)第3画像データをプリンタに送信する画像データ送信処理。
このコンピュータプログラムを利用すると、上記のサーバを実現することができる。なお、サーバの単体も新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像処理システムの構成の一例を示す。
【図2】印刷条件リストの一例を示す。
【図3】フィルタ種類リストの一例を示す。
【図4】多機能機とサーバが実行する処理のシーケンス図を示す。
【図5】多機能機が実行する処理のフローチャートを示す。
【図6】サーバが実行する処理のフローチャートを示す。
【図7】図6の続きのフローチャートを示す。
【図8】サーバが実行する処理のフローチャートを示す(第2実施例)。
【図9】図8の続きのフローチャートを示す。
【図10】IDテーブルの一例を示す。
【図11】多機能機とサーバが実行する処理のシーケンス図を示す(第3実施例)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここでは、以下の実施例に記載の技術の一部を列挙しておく。
(形態1)サーバは、複数の印刷条件のそれぞれについて、当該印刷条件と解像度とが対応づけられている印刷条件情報を記憶する印刷条件情報記憶手段をさらに備えていてもよい。
【0021】
(形態2)サーバは、複数種類の画像処理のそれぞれについて、当該種類の画像処理と必要倍率とが対応づけられている倍率情報を記憶する倍率情報記憶手段をさらに備えていてもよい。
【0022】
(形態3)サーバ又はプリンタは、上記の特定の印刷条件に対応する解像度を印刷条件情報記憶手段から特定し、上記の特定の種類の画像処理に対応する必要倍率を倍率情報記憶手段から特定し、特定された解像度に特定された必要倍率を乗算することによって、上記の第1解像度を算出する。
【実施例1】
【0023】
(システムの構成)
図面を参照して第1実施例を説明する。図1は、本実施例の画像処理システム2の概略図を示す。画像処理システム2は、インターネット4と複数の多機能機6,10とサーバ40等を備える。インターネット4には、複数の多機能機6,10とサーバ40とが接続されている。なお、上記の「接続」は、有線による接続であってもよいし、無線による接続であってもよい。一般的に、多機能機10は、プリンタ、スキャナ、電話、ファクシミリ等の機能を備えている。
【0024】
(多機能機10の構成)
多機能機10の構成について詳しく説明する。なお、多機能機6は、多機能機10と同様の構成を有する。多機能機10は、制御部12と表示部14と操作部16とUSBインターフェイス18とネットワークインターフェイス20と印刷部22と記憶部24等を備える。制御部12は、記憶部24に記憶されているプログラム28に従って処理を実行する。表示部14は、様々な情報を表示する。操作部16は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部16を操作することによって、様々な指示を多機能機10に入力することができる。USBインターフェイス18には、USBメモリ(図示省略)等が接続される。ネットワークインターフェイス20は、インターネット4に接続されている。印刷部22は、画像データを印刷する。
【0025】
記憶部24は、ワーク領域25を有する。ワーク領域25は、制御部12が処理を実行する過程で生成されるデータを記憶する。ワーク領域25は、例えば、選択画像データ26等を記憶する。選択画像データ26は、フィルタ処理(画像処理)の対象である画像データである。選択画像データ26は、ユーザによってUSBメモリに記憶されている複数の画像データから選択される。記憶部24は、制御部12によって実行されるべきプログラム28を記憶する。記憶部24は、さらに、上記の各情報26,28以外の情報を記憶するための記憶領域30を有する。
【0026】
(サーバ40の構成)
続いて、サーバ40の構成について説明する。サーバ40は、制御部42とネットワークインターフェイス44と記憶部46等を備える。制御部42は、記憶部46に記憶されているプログラム60に従って処理を実行する。ネットワークインターフェイス44は、インターネット4に接続されている。
【0027】
記憶部46は、ワーク領域48を有する。ワーク領域48は、制御部42が処理を実行する過程で生成されるデータを記憶する。記憶部46は、機能リスト50を記憶する。機能リスト50は、サーバ40が実行可能である複数種類のフィルタ処理のそれぞれの名称とフィルタIDとを含んでいる。なお、本実施例のサーバ40は、モノクロ、魚眼、赤目補正、肌色補正、トリミング、ぼかし等のフィルタ処理を実行可能である。機能リスト50は、複数種類のフィルタ処理のそれぞれについて、当該フィルタ処理の名称(モノクロ等)と、当該フィルタ処理のフィルタID(フィルタID1等)と、を含んでいる。
【0028】
記憶部46は、リスト情報52を記憶する。リスト情報52は、印刷条件リスト54とフィルタ種類リスト56とを含む。図2は、印刷条件リスト54の一例を示す。印刷条件リスト54は、印刷品質70と用紙種類72と用紙サイズ74と解像度76とが対応づけられた情報である。印刷品質70は、高品質と普通品質とに分類される。なお、印刷品質70は、印刷速度を表す「速い」、「遅い」といった文言に変更することもできる。用紙種類72は、光沢紙と普通紙とに分類される。用紙サイズ74は、4種類のサイズに分類される。図示する他にも、公知のA判、B判、L判、E判、はがき、リーガル等を採用することもできる。解像度76は、用紙種類72と用紙サイズ74とに対応する用紙に対して、印刷品質70に対応する品質で印刷するための必要最小限の解像度である。例えば、A4サイズの普通紙に高品質で印刷するための必要最小限の解像度は、「X8×Y8」である。なお、解像度76は、印刷品質70が高品質になる程、高くなるように設定されている。解像度76は、用紙種類72が上質になる程、高くなるように設定されている。解像度76は、用紙サイズ74が大きくなる程、高くなるように設定されている。
【0029】
図3は、フィルタ種類リスト56の一例を示す。フィルタ種類リスト56は、フィルタID78とパラメータ80と必要倍率82とが対応づけられた情報である。フィルタID78は、複数種類のフィルタ処理のフィルタIDである。パラメータ80は、フィルタ処理の程度である。必要倍率82は、パラメータ80を用いてフィルタID78に対応するフィルタ処理を実行するための必要最小限の解像度を決定するための倍率である。例えば、図2の印刷条件リスト54において解像度「X8×Y8」が特定される場合であって、パラメータ3を用いてフィルタID1に対応するフィルタ処理を実行すべき場合には、「X8」に必要倍率「1.3」が乗算され、「Y8」に必要倍率「1.3」が乗算される。これにより、フィルタ処理を実行するための必要最小限の解像度「(X8×1.3)×(Y8×1.3)」を得ることができる。なお、図3のフィルタID2及びフィルタID3に示されるように、パラメータが対応づけられていないフィルタIDも存在する。
【0030】
図1に示されるように、記憶部46は、制御部42によって実行されるべきプログラム60を記憶する。プログラム60は、複数種類のフィルタ処理を実行するためのプログラムを含んでいる。記憶部46は、さらに、上記の各情報50〜60以外の情報を記憶するための記憶領域62を有する。なお、図1では、記憶部46がIDテーブル58をさらに記憶している。IDテーブル58は、後述する第2実施例で利用される。
【0031】
(多機能機10とサーバ40が実行する処理)
続いて、多機能機10とサーバ40が実行する処理について説明する。図4は、多機能機10とサーバ40が実行する処理のシーケンス図を示す。なお、図4は、多機能機10とサーバ40が実行する処理の一部を示している。多機能機10とサーバ40が実際に実行する処理は、図5以降のフローチャートに示している。
【0032】
多機能機10は、操作部16において所定の操作が実行された場合(S2)に、プレビュー画面表示処理を実行する(S4)。本実施例のプレビュー画面表示処理では、USBメモリに記憶されている複数の画像データが表示部14に表示される。ユーザは、複数の画像データの中から処理対象の画像データを選択する画像選択操作を実行することができる(S6)。画像選択操作が実行されると、多機能機10は、選択された画像データを選択画像データ26(図1参照)としてワーク領域25に記憶させる。
【0033】
次いで、多機能機10は、コマンド90をサーバ40に送信する機能リスト問合せ処理を実行する(S8)。この結果、サーバ40は、機能リスト50(図1参照)を多機能機10に送信する機能リスト送信処理を実行する(S9)。多機能機10は、印刷条件とフィルタ処理をユーザに選択させる選択画面を表示する選択画面表示処理を実行する(S10)。多機能機10は、まず、印刷条件をユーザに選択させる選択画面を表示する。多機能機10は、「高品質」と「普通品質」の2つの文字列を表示する。ユーザは、操作部16を操作することによって、「高品質」と「普通品質」の中から1つの品質を選択することができる(S12)。次いで、多機能機10は、「光沢紙」と「普通紙」の2つの文字列を表示する。ユーザは、操作部16を操作することによって、「光沢紙」と「普通紙」の中から1つの用紙種類を選択することができる(S12)。さらに、多機能機10は、4つの用紙サイズ(図2の用紙サイズ74参照)に対応する4つの文字列を表示する。ユーザは、操作部16を操作することによって、4つの用紙サイズの中から1つの用紙サイズを選択することができる(S12)。
【0034】
続いて、多機能機10は、フィルタ処理をユーザに選択させる選択画面を表示する。多機能機10は、サーバ40から得られた機能リスト50に含まれる複数のフィルタ名称を表示する。ユーザは、操作部16を操作することによって、複数のフィルタ名称の中から1つのフィルタ名称を選択することができる(S14)。多機能機10は、ユーザによって選択されたフィルタ名称に対応するフィルタ処理の程度を示す複数のパラメータ(例えば1〜5)が存在する場合には、複数のパラメータも表示する。なお、パラメータに関する情報も、上記の機能リスト50に含まれている。ユーザは、操作部16を操作することによって、複数のパラメータの中から1つのパラメータを選択することができる(S14)。
【0035】
続いて、多機能機10は、画像処理情報100をサーバ40に送信する画像処理情報送信処理を実行する。画像処理情報100は、上記のS12で選択された印刷品質102と用紙種類104と用紙サイズ106とを含む。画像処理情報100は、さらに、上記のS14で選択されたフィルタ名称に対応するフィルタID108を含む。上記のS14でパラメータが選択された場合には、画像処理情報100は、上記のS14で選択されたパラメータ109も含む。
【0036】
サーバ40は、画像処理情報100を受信すると、必要解像度を特定する必要解像度特定処理を実行する(S18)。図2と図3を用いて、必要解像度特定処理について詳述する。サーバ40は、図2の印刷条件リスト54から、画像処理情報100に含まれる印刷品質102と用紙種類104と用紙サイズ106とに対応する解像度(以下では所定の解像度)を特定する。次いで、サーバ40は、図3のフィルタ種類リスト56から、画像処理情報100に含まれるフィルタID108に対応する必要倍率(以下では所定の必要倍率と呼ぶ)を特定する。なお、画像処理情報100にパラメータ109が含まれる場合には、サーバ40は、フィルタID108とパラメータ109とに対応する上記の所定の必要倍率を特定する。
【0037】
次いで、サーバ40は、上記の所定の解像度のうちの水平方向の解像度の値及び鉛直方向の解像度の値のそれぞれに、上記の所定の必要倍率を乗算することによって、必要解像度を算出する。例えば、上記の所定の解像度が800×600であり、上記の必要倍率が2である場合、サーバ40は、必要解像度として1600×1200を算出する。
【0038】
サーバ40は、S18で特定された必要解像度110を多機能機10に送信する必要解像度送信処理を実行する(S20)。上述したように、必要解像度110は、画像処理情報100に従ってフィルタ処理を実行して得られる画像データを印刷するのに必要最小限の解像度である。従って、通常、必要解像度110は、多機能機10において選択された選択画像データ26(図1参照)の解像度より低い。多機能機10は、選択画像データ26(図1参照)を必要解像度110まで縮小する画像縮小処理を実行する(S22)。これより、縮小画像データ120が生成される。次いで、多機能機10は、縮小画像データ120をサーバ40に送信する縮小画像データ送信処理を実行する(S24)。なお、S24の縮小画像データ送信処理では、多機能機10は、縮小画像データ120のみならず、画像処理情報100(S16で送信される画像処理情報100と同じ内容である)もサーバ40に送信する。
【0039】
サーバ40は、縮小画像データ120とともに受信される画像処理情報100に含まれるフィルタID108とパラメータ109とを特定する。次いで、サーバ40は、縮小画像データ120に対して、パラメータ109を用いてフィルタID108に対応するフィルタ処理を実行する(S26)。これにより、処理後画像データ130が生成される。サーバ40は、処理後画像データ130を多機能機10に送信する処理後画像データ送信処理を実行する(S28)。多機能機10は、処理後画像データ130を印刷する印刷処理を実行する(S30)。
【0040】
(多機能機10が実行する処理)
続いて、多機能機10の制御部12が実行する処理の内容について説明する。図5は、制御部12が実行する処理のフローチャートを示す。ただし、図5では、図4のS4、S8、及び、S10に関する処理を図示省略している。
【0041】
制御部12は、図4のS12とS14で選択された印刷条件とフィルタ処理とに対応する画像処理情報100(図4参照)と、特定のコマンドと、をサーバ40に送信する(S100)。S100は、図4のS16に相当する。次いで、制御部12は、サーバ40から上記の特定のコマンドに対する応答を受信することを監視する(S102及びS106)。サーバ40からの応答が縮小不要を示すレスポンスである場合には、制御部12は、S102でYESと判断する。この場合、制御部12は、選択画像データ26(図1参照)と、画像処理情報100(図4参照)と、縮小無を示す情報と、をサーバ40に送信する(S104)。S104を終えると、S112に進む。
【0042】
一方において、サーバ40からの応答が必要解像度110(図4参照)を含むレスポンスである場合には、制御部12は、S106でYESと判断する。この場合、制御部12は、選択画像データ26を必要解像度110に縮小することによって、縮小画像データ120(図4参照)を生成する(S108)。S108は、図4のS22に相当する。次いで、制御部12は、縮小画像データ120と、画像処理情報100と、縮小有を示す情報と、をサーバ40に送信する(S110)。S110は、図4のS24に相当する。S110を終えると、S112に進む。
【0043】
S112では、制御部12は、サーバ40から処理後画像データ130(図4参照)を受信するまで待機する。処理後画像データ130を受信した場合には、制御部12は、印刷部22(図1参照)に処理後画像データ130を印刷させる(S114)。S114は、図4のS30に相当する。
【0044】
(サーバ40が実行する処理)
続いて、サーバ40の制御部42が実行する処理の内容について説明する。図6及び図7は、制御部42が実行する処理のフローチャートを示す。ただし、図6及び図7では、図4のS9に関する処理を図示省略している。
【0045】
制御部42は、多機能機10から上記の特定のコマンドと画像処理情報100(図4参照)とを受信することを監視する(S120)。ここでYESの場合、制御部42は、サーバ40の現在の負荷値が予め決められている閾値以上であるかどうかを判断する(S122)。なお、制御部42は、演算処理装置としてCPUを有する。上記の負荷値は、CPUの使用率(例えばベンチマーク速度)である。S122でNOの場合、制御部42は、上記の特定のコマンドに対する応答として、縮小不要を示すレスポンスを多機能機10に送信する(S124)。この場合、多機能機10では、図5のS102においてYESと判断される。一方において、S122でYESの場合、S126に進む。
【0046】
S126では、制御部42は、印刷条件リスト54(図2参照)から、画像処理情報100に含まれる印刷品質102と用紙種類104と用紙サイズ106とに対応する解像度を特定する(S126)。次いで、制御部42は、フィルタ種類リスト56(図3参照)から、画像処理情報100に含まれるフィルタID108とパラメータ109とに対応する必要倍率を特定する(S128)。制御部42は、S126で得られた解像度にS128で得られた必要倍率を乗算することによって、必要解像度110(図4参照)を特定する(S130)。S126〜S130は、図4のS18に相当する。続いて、制御部42は、上記の特定のコマンドに対するレスポンスとして、必要解像度110を多機能機10に送信する(S132)。この場合、多機能機10では、図5のS106においてYESと判断される。S132は、図4のS20に相当する。
【0047】
図7に示されるように、制御部42は、多機能機10から画像データと画像処理情報100と縮小の有無を示す情報とを受信することを監視する(S134)。S134でYESの場合、制御部42は、縮小の有無を示す情報が、縮小有を示す情報であるのか否かを判断する(S136)。ここでNOの場合、制御部42は、S138〜S143を実行してS144に進む。一方において、ここでYESの場合、制御部42は、S138〜S143をスキップしてS144に進む。
【0048】
S136でNOの場合(縮小無を示す情報が受信された場合)、S134では、選択画像データ26(図1参照)が受信されることになる(図5のS104参照)。制御部42は、S138〜S142の処理を実行することによって、選択画像データ26を縮小するための必要解像度を特定する処理を実行する。S138〜S142の処理は、図6のS126〜S130の処理と同様である。次いで、制御部42は、選択画像データ26を、S142で得られた必要解像度に縮小する(S143)。ここで得られる画像データのことを、以下では「所定の画像データ」と呼ぶ。
【0049】
一方において、S136でYESの場合(縮小有を示す情報が受信された場合)、S134では、縮小画像データ120(図4参照)が受信されることになる(図5のS110参照)。S136でYESの場合に実行されるS144では、制御部42は、縮小画像データ120に対してフィルタ処理を実行する。一方において、S143を経て実行されるS144では、制御部42は、上記の所定の画像データに対してフィルタ処理を実行する。ただし、縮小画像データ120と上記の所定の画像データは、それらの画像データを生成する縮小処理を実行する主体が変わるだけであり、同じ解像度を有する同じ画像データである。
【0050】
S144では、制御部42は、画像処理情報100に含まれるパラメータ109を用いて、画像処理情報100に含まれるフィルタID108に対応するフィルタ処理を、縮小画像データ120又は上記の所定の画像データに対して実行する。S144は、図4のS26に相当する。ここで生成される画像データのことを、以下では「中間画像データ125」と呼ぶ。
【0051】
次いで、制御部42は、印刷条件リスト54(図2参照)を再び参照することによって、S134で受信された画像処理情報100に含まれる印刷品質102と用紙種類104と用紙サイズ106とに対応する解像度を特定する。制御部42は、ここで特定された解像度と中間画像データ125の解像度とが一致するのか否かを判断する。上述したように、上記のS130又はS142で決定される必要解像度は、印刷条件リスト54から特定される解像度に対して1より大きい必要倍率が乗算される可能性がある。この場合、印刷条件リスト54から特定される解像度と中間画像データ125の解像度とが一致しない。即ち、印刷条件リスト54から特定される解像度よりも、中間画像データ125の解像度が高くなる。制御部42は、印刷条件リスト54から特定される解像度より中間画像データ125の解像度が高い場合に、印刷条件リスト54から特定される解像度まで中間画像データ125を縮小する処理を実行する(S146)。これにより、処理後画像データ130(図4参照)が生成される。一方において、印刷条件リスト54から特定される解像度と中間画像データ125の解像度とが一致する場合には、S146の縮小処理は実行されない。この場合、中間画像データ125が処理後画像データ130になる。制御部42は、処理後画像データ130を多機能機10に送信する(S148)。S148は、図4のS28に相当する。
【0052】
本実施例の画像処理システム2について詳しく説明した。上述したように、多機能機10は、サーバ40の処理負荷が高い場合に、サーバ40から取得した必要解像度110の情報に従って、処理対象の選択画像データ26を縮小する。多機能機10は、縮小画像データ120(図4参照)をサーバ40に送信する。仮に、多機能機10がサーバ40の処理負荷が高いにも関わらず処理対象の選択画像データ26を縮小せずにサーバ40に送信した場合、サーバ40の処理負荷が非常に大きくなってしまう。これに対し、本実施例の手法を採用すると、サーバ40の処理負荷が高い場合に、サーバ40は、比較的に解像度の小さい縮小画像データ120を処理すれば足りる。このために、サーバ40の処理負荷が非常に大きくなってしまうことを防止することができる。処理対象の選択画像データ26を縮小せずにサーバ40に送信する手法のみを利用しているシステムと比べると、本実施例のシステム2は、サーバ40の処理負荷を低減させることができる。一方において、サーバ40の処理負荷が低い場合に、多機能機10は、選択画像データ26を縮小しない。多機能機10の処理負荷を低減させることができる。この場合、サーバ40が選択画像データ26を縮小することになる。サーバ40は、多機能機10よりも能力の高いCPUを有している。このために、多機能機10が縮小処理を実行するよりも、選択画像データ26を高速で縮小することができる。この結果、処理後画像データ130を高速で生成することができ、処理後画像データ130を多機能機10のユーザに迅速に提供することができる。
【0053】
さらに、本実施例では、多機能機10が、処理対象の選択画像データ26よりもデータサイズの小さい縮小画像データ120をサーバ40に送信するために、多機能機10とサーバ40との間の通信負荷を低減させることができる。
【0054】
なお、上記の実施例では、多機能機10が選択画像データ26を縮小した場合に、縮小画像データ120と画像処理情報100とを送信する。これらは一例であり、多機能機10が縮小画像データ120をサーバ40に送信するタイミングと、多機能機10が画像処理情報100をサーバ40に送信するタイミングとは、同じでもよいし異なってもよい。
【0055】
上記の実施例の各構成要素と本発明の各構成要素との間の対応関係を記載しておく。上記の選択画像データ26が第1画像データの一例であり、縮小画像データ120が第2画像データの一例であり、処理後画像データ130が第3画像データの一例である。また、操作部16が第1選択許容手段と第2選択許容手段の一例である。必要解像度110が第1解像度(解像度情報)の一例であり、図7のS146において印刷条件リスト54から特定される解像度76が第2解像度の一例である。また、フィルタID108が種類情報の一例であり、印刷品質102と用紙種類104と用紙サイズ106とが条件情報の一例である。また、図7のS144において生成される中間画像データ125が処理後の画像データの一例である。
【実施例2】
【0056】
続いて、第2実施例について説明する。第2実施例の多機能機10が実行する処理は、第1実施例とほぼ同様である。第2実施例のサーバ40の制御部42が実行する処理の内容を説明する。図8及び図9は、制御部42が実行する処理のフローチャートを示す。ただし、図8及び図9では、図4のS9に関する処理を図示省略している。
【0057】
(サーバ40が実行する処理)
制御部42は、多機能機10から上記の特定のコマンドと画像処理情報100(図4参照)とを受信することを監視する(S150)。ここでYESの場合、制御部42は、IDテーブル58(図1参照)を更新する処理を実行する(S152)。
【0058】
図10は、IDテーブル58の一例を示す。IDテーブル58は、複数の組合せ情報148,150を記憶することが可能である。各組合せ情報148,150は、ID140と、必要解像度142と、画像処理情報144と、縮小の有無を示す情報146と、が対応づけられた情報である。ID140は、各組合せ情報148,150を特定する番号である。必要解像度142は、後述する図8のS164で算出される解像度である。画像処理情報144は、S150で受信される画像処理情報100(図4参照)である。縮小の有無に関する情報146は、多機能機10が選択画像データ26(図1参照)を縮小するのか否かに関する情報である。
【0059】
図8のS152では、制御部42は、新たなIDを生成する。次いで、制御部42は、新たなIDをIDテーブル58に書き込むことによって、新たな組合せ情報を生成する。制御部42は、新たな組合せ情報の画像処理情報144の欄に、S150で受信された画像処理情報100を書き込む。
【0060】
次いで、制御部42は、サーバ40の現在の負荷値が上記の閾値以上であるか否かを判断する(S154)。S154でNOの場合、制御部42は、上記の新たな組合せ情報の縮小の有無に関する情報146(図10参照)の欄に、縮小無を示す情報を書き込む(S156)。次いで、制御部42は、上記の特定のコマンドに対する応答として、縮小不要を示すレスポンスと、S152で生成されたIDと、を多機能機10に送信する(S158)。この場合、S160〜S168をスキップして、図9のS170に進む。
【0061】
一方において、S154でYESの場合、制御部42は、S160〜S164を実行する。S160〜S164は、第1実施例で説明した図6のS126〜S130と同様である。即ち、制御部42は、必要解像度110(図4参照)を特定する。次いで、制御部42は、新たな組合せ情報の必要解像度142(図10参照)の欄に、S164で特定された必要解像度110(図4参照)を書き込む(S166)。さらに、制御部42は、新たな組合せ情報の縮小の有無に関する情報146(図10参照)の欄に、縮小有を示す情報を書き込む(S166)。続いて、制御部42は、必要解像度110と、S152で生成されたIDと、を多機能機10に送信する。
【0062】
本実施例の多機能機10は、図8のS158で送信される情報(縮小不要を示すレスポンスとID(以下では受信IDと呼ぶ))を受信すると、選択画像データ26と受信IDとをサーバ40に送信する。第1実施例の図5のS104の場合と異なり、多機能機10は、画像処理情報100と縮小無を示す情報とを送信しない。一方において、多機能機10は、図8のS168で送信される情報(必要解像度110とID(以下では受信IDと呼ぶ))を受信すると、図5のS108の処理を実行した後に、縮小画像データ120(図4参照)と受信IDとをサーバ40に送信する。第1実施例の図5のS110の場合と異なり、多機能機10は、画像処理情報100と縮小有を示す情報とを送信しない。
【0063】
図9に示すように、S170では、制御部42は、多機能機10から画像データとIDとを受信することを監視する。ここで受信される画像データは、図8のS154でYESの場合には必要解像度110に縮小された縮小画像データ120(図4参照)であり、図8のS154でNOの場合には縮小されていない選択画像データ26(図1参照)である。S170でYESの場合、制御部42は、受信されたIDを有する組合せ情報(例えば148)の縮小の有無に関する情報146(図10参照)が、縮小有を示すのか否かを判断する(S172)。S172でYESの場合、S174〜S179をスキップしてS180に進む。一方で、S172がNOの場合、S174に進む。
【0064】
S174〜S179は、第1実施例で説明した図7のS138〜S143と同様である。即ち、制御部42は、S174〜S179の処理を実行することによって、選択画像データ26を縮小するための必要解像度を特定し、その必要解像度に選択画像データ26を縮小する。ただし、本実施例のS174及びS176では、S170で受信されたIDを有する組合せ情報(例えば148)の画像処理情報144(図10参照)から、印刷条件とフィルタID(パラメータ)とを特定する。また、S180〜S184は、第1実施例で説明した図7のS144〜S148と同様である。即ち、制御部42は、必要であれば中間画像データ125を縮小し、さらに、処理後画像データ130(図4参照)を多機能機10に送信する。
【0065】
第2実施例の画像処理システム2について詳しく説明した。上述したように、サーバ40は、図8のS150でYESと判断される毎に、IDテーブル58に新たな組合せ情報を生成する。これにより、画像処理情報144、縮小の有無を示す情報146を保存することができる。第1実施例と比べると、多機能機10からサーバ40に画像処理情報100(図4参照)を送信する回数を減らすことができる。即ち、第1実施例では、図4のS16とS24の2回に亘って画像処理情報100を送信する必要があるところ、本実施例では、多機能機10からサーバ40に画像処理情報100を1回だけ送信すれば足りる。ただし、第2実施例では、サーバ40は、IDテーブル58を記憶する必要がある。第1実施例では、サーバ40は、IDテーブル58を記憶する必要がなく、記憶すべきデータ量が多くなるのを抑制することができる。
【実施例3】
【0066】
第3実施例について説明する。図11は、多機能機10とサーバ40が実行する処理のシーケンス図を示す。図11のS2〜S9は、第1実施例で説明した図4のS2〜S9と同様である。S9を実行すると、サーバ40は、必要解像度参照情報115を多機能機10に送信する必要解像度参照情報送信処理を実行する(S32)。必要解像度参照情報115は、印刷条件リスト54(図2参照)とフィルタ種類リスト56(図3参照)とを含む。なお、S9とS32の実行は、同時であってもよいし、順序が逆であってもよい。また、サーバ40の処理負荷が閾値以上の場合に、サーバ40は、必要解像度参照情報115を多機能機10に送信してもよい。即ち、サーバ40の処理負荷が閾値以下の場合に、サーバ40は、必要解像度参照情報115を多機能機10に送信しなくてもよい。この場合、第1実施例又は第2実施例の手法を利用して、S9以降の処理が実行されてもよい。
【0067】
図11のS10〜S14は、図4のS10〜S14と同様である。次いで、多機能機10は、必要解像度を特定する必要解像度特定処理を実行する(S34)。多機能機10が実行するS34は、第1実施例の図4のS18でサーバ40が実行する処理に相当する。即ち、多機能機10は、印刷条件リスト54とフィルタ種類リスト56とを用いて、必要解像度を特定する。S34に続いて実行されるS22〜S30は、図4のS22〜S30と同様である。
【0068】
本実施例の画像処理システム2について詳しく説明した。上述したように、多機能機10は、サーバ40に代わって必要解像度を特定する。サーバ40が必要解像度を算出する必要がないために、サーバ40の処理負荷を低減させることができる。なお、本実施例の必要解像度参照情報115が、本発明の特定の情報の一例である。
【0069】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0070】
例えば、上記の実施例では、印刷条件リスト54とフィルタ種類リスト56とを用いて必要解像度を算出しているが、所定のプログラム(計算式)に従って必要解像度を算出してもよい。
【0071】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0072】
2:画像処理システム、4:インターネット、6,10:多機能機、12:制御部、14:表示部、16:操作部、22:印刷部、24:記憶部、25:ワーク領域、26:選択画像データ、28:プログラム、40:サーバ、52:リスト情報、54:印刷条件リスト、56:フィルタ種類リスト、58:IDテーブル、102:印刷品質、104:用紙種類、106:用紙サイズ、108:フィルタID、109:パラメータ、100:画像処理情報、110:必要解像度、120:縮小画像データ、130:処理後画像データ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理を実行するサーバと通信可能に接続されるプリンタであって、
第1画像データを取得する処理前画像データ取得手段と、
複数種類の画像処理の中から特定の種類の画像処理を選択することをユーザに許容する第1選択許容手段と、
複数の印刷条件の中から特定の印刷条件を選択することを前記ユーザに許容する第2選択許容手段と、
前記第1画像データの解像度より低い第1解像度であって、前記特定の種類の画像処理と前記特定の印刷条件とに従って決定される前記第1解像度を有する第2画像データを前記第1画像データから生成する画像データ生成手段と、
前記特定の種類の画像処理に対応する種類情報を前記サーバに送信する種類情報送信手段と、
前記第2画像データを前記サーバに送信する画像データ送信手段と、
前記種類情報に対応する前記特定の種類の画像処理を前記サーバが実行することによって前記第2画像データから生成される第3画像データを取得する処理後画像データ取得手段と、
前記特定の印刷条件に従って前記第3画像データを印刷する印刷手段と、
を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記特定の印刷条件に対応する条件情報を前記サーバに送信する条件情報送信手段と、
前記種類情報と前記条件情報とに従って前記サーバが決定する前記第1解像度に対応する解像度情報を取得する第1情報取得手段と、
をさらに備え、
前記画像データ生成手段は、前記解像度情報に対応する前記第1解像度を有する前記第2画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第1情報取得手段は、前記サーバの処理負荷が所定量を超える場合に、前記サーバが前記プリンタに送信する前記解像度情報を取得し、前記サーバの処理負荷が前記所定量を超えない場合に、前記サーバが前記プリンタに送信する所定情報を取得し、
前記画像データ生成手段は、前記第1情報取得手段が前記解像度情報を取得した場合に、前記第2画像データを生成し、
前記画像データ送信手段は、前記画像データ生成手段が前記第2画像データを生成した場合に、前記第2画像データを前記サーバに送信し、前記第1情報取得手段が前記所定情報を取得した場合に、前記第1画像データを前記サーバに送信し、
前記処理後画像データ取得手段は、前記画像データ送信手段が前記第2画像データを前記サーバに送信した場合に、前記特定の種類の画像処理を前記サーバが実行することによって前記第2画像データから生成される前記第3画像データを取得し、前記画像データ送信手段が前記第1画像データを前記サーバに送信した場合に、前記特定の種類の画像処理を前記サーバが実行することによって前記第1画像データから生成される前記第3画像データを取得する
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタと、前記サーバと、を備えるシステムであって、
前記サーバは、前記第1画像データ又は前記第2画像データから前記第3画像データを生成する画像処理手段を備え、
前記画像処理手段は、前記第1画像データから前記第3画像データを生成する際に、前記第1解像度を有する前記第2画像データを前記第1画像データから生成し、次いで、前記特定の種類の画像処理を実行することによって前記第2画像データから前記第3画像データを生成する
ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のプリンタと、前記サーバと、を備えるシステムであって、
前記サーバは、前記第2画像データから前記第3画像データを生成する画像処理手段を備え、
前記画像処理手段は、前記特定の種類の画像処理を実行することによって前記第2画像データから処理後の画像データを生成し、次いで、前記処理後の画像データの解像度より低い第2解像度であって、前記特定の印刷条件に従って決定される前記第2解像度を有する前記第3画像データを前記処理後の画像データから生成する
ことを特徴とするシステム。
【請求項6】
前記特定の種類の画像処理と前記特定の印刷条件とから前記第1解像度を決定するための特定の情報を前記サーバから取得する第2情報取得手段と、
前記特定の情報を用いて、前記特定の種類の画像処理と前記特定の印刷条件とから前記第1解像度を決定する解像度決定手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項7】
プリンタに通信可能に接続されるサーバのためのコンピュータプログラムであって、
前記プリンタにおいて複数種類の画像処理の中からユーザによって選択される特定の種類の画像処理に対応する種類情報を取得する種類情報取得処理と、
前記プリンタにおいて複数の印刷条件の中から前記ユーザによって選択される特定の印刷条件に対応する条件情報を取得する条件情報取得処理と、
前記種類情報と前記条件情報とに従って第1解像度を決定する解像度決定処理と、
前記第1解像度に対応する解像度情報を前記プリンタに送信する情報送信処理と、
前記プリンタが第1画像データから生成する第2画像データであって、前記第1画像データの解像度より低い前記第1解像度を有する前記第2画像データを取得する画像データ取得処理と、
前記種類情報に対応する前記特定の種類の画像処理を実行することによって前記第2画像データから第3画像データを生成する画像データ生成処理と、
前記第3画像データを前記プリンタに送信する画像データ送信処理と、
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−287991(P2010−287991A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139020(P2009−139020)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】