説明

プリンタの印字幅検出方法およびこれを用いたプリンタ

【課題】プリンタの印字可能幅を自動的に検出するプリンタにおいて、新たな部品を設けることなく短時間にて印字可能幅を検出し、かつプリンタ端部に印字ヘッド等が衝突する衝突音の発生を防止する。
【解決手段】印字ヘッドを初期位置から基準となる一方の端部まで移動させ当該移動距離が幅狭タイプの印字可能幅よりも大きい場合は幅広タイプと判定するステップと(S08)、前記移動距離が幅狭タイプの印字可能幅よりも小さい場合は、印字ヘッドを他方の端部側方向に、幅狭タイプの印字可能幅に所定の距離を加算した幅検出用距離分、幅狭タイプの印字可能幅を移動する手前で微速度となるように移動させた後、前記印字ヘッドを前記基準となる一方の端部まで移動させて、当該移動距離が前記幅検出用距離であったときは幅広タイプと判定し、前記移動距離が前記幅検出用距離よりも短いときは幅狭タイプと判定するステップ(S14、S21)を設けた

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタの印字可能幅を自動的に検出するプリンタの印字幅検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリアルプリンタにおいては、機種によっては、その機構上の制約等から、印字ヘッドが移動して印字できる左右の印字可能幅が異なるものがある。このような場合、印字可能幅が異なるプリンタ毎に、別の制御用プログラムを組み込んだ制御回路を作成していたが、製造時や保守時の管理が複雑となる問題点があった。
【0003】
そこで、同一基板上に、印字可能幅が大きな幅広タイプのプリンタを制御するプログラムを組み込んだ制御回路と、幅広タイプの印字可能幅よりも印字可能幅が狭い幅狭タイプのプリンタを制御するプログラムを組み込んだ制御回路とを搭載しておき、プリンタのタイプに応じて使用する回路を切り換えできるようにし、基板の共用化を図っているものもある。
【0004】
この場合は、プリンタが印字可能幅の広い幅広タイプのプリンタか、または印字可能幅の狭い幅狭タイプのプリンタかを認識し、それぞれのタイプに応じた制御回路を選択する必要がある。そこで、この印字幅の違いを認識させる方法として、(1)基板上に予め設けられているディップスイッチやショートプラグで設定して認識させる方法や、(2)印字ヘッドの移動距離である可動範囲によって認識する方法があった。
【0005】
そして、(2)の印字ヘッドの可動範囲よって認識する方法としては、(2a)電源が投入されると印字ヘッドを右側へ右端を検出するまで移動させ、その後左側へ左端を検出するまで移動させるようにし、この右端から左端まで移動した距離の長さによって幅広タイプか幅狭タイプかを認識する方法があった。
【0006】
さらに、前記方法の処理時間を短縮する方法として、(2b)電源投入時に印字ヘッドを、初期位置から左端まで移動させてその移動距離を計測するとともに、これを幅狭タイプの印字幅の距離と比較し、移動距離が幅狭タイプの印字幅の距離よりも大きい場合は幅広タイプと判断し、移動距離が幅狭タイプの印字幅の距離よりも小さい場合は右端側に移動させ、この移動途中で幅狭タイプの右端が検出されたときは幅狭タイプと判断して検出を終了し、幅狭タイプの印字幅よりも大きく移動されたときは幅広タイプと判断する方法があった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−254225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のプリンタでは、(1)の方法では、基板上にディップスイッチや、ショートプラグを設けるので、コストが上がってしまうという問題があり、(2a)の方法では、電源投入時、印字ヘッドを右端まで移動させ、その後左側へ左端を検出するまで移動させるので、幅検出が完了して印字可能な状態となるまでに時間がかかるという問題があり、これを改良した(2b)の方法では、幅狭タイプで右端にヘッドを移動する際、プリンタ端部に衝突し衝突音が発生するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題を解決するため次の方法を採用する。すなわち、印字可能幅が異なる複数のタイプのプリンタを兼用するためのプリンタの印字幅検出方法において、印字ヘッドを初期位置から基準となる一方の端部まで移動させ当該移動距離が幅狭タイプの印字可能幅よりも大きい場合は幅広タイプと判定するステップと、前記移動距離が幅狭タイプの印字可能幅よりも小さい場合は、印字ヘッドを他方の端部側方向に、幅狭タイプの印字可能幅に所定の距離を加算した幅検出用距離分、幅狭タイプの印字可能幅を移動する手前で微速度となるように移動させた後、前記印字ヘッドを前記基準となる一方の端部まで移動させて、当該移動距離が前記幅検出用距離であったときは幅広タイプと判定し、前記移動距離が前記幅検出用距離よりも短いときは幅狭タイプと判定するステップを設けた。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプリンタによれば、印字ヘッドを初期位置から基準となる一方の端部まで移動させ当該移動距離が幅狭タイプの印字可能幅よりも大きい場合は幅広タイプと判定するステップと、前記移動距離が幅狭タイプの印字可能幅よりも小さい場合は、印字ヘッドを他方の端部側方向に、幅狭タイプの印字可能幅に所定の距離を加算した幅検出用距離分、幅狭タイプの印字可能幅を移動する手前で微速度となるように移動させた後、前記印字ヘッドを前記基準となる一方の端部まで移動させて、当該移動距離が前記幅検出用距離であったときは幅広タイプと判定し、前記移動距離が前記幅検出用距離よりも短いときは幅狭タイプと判定するステップを設ける方法を採用したので、プリンタのコストを低くし、幅検出のための時間を長くすることなく、かつプリンタ端部に印字ヘッド等が衝突するときの衝突音を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0011】
(プリンタの構成)
図1は実施例1のプリンタの構成図であり、図2、図3は実施例1のプリンタキャリッジ部の構成を示した図である。
【0012】
実施例1のプリンタは、同図に示したように、マイクロプロセッサ1、制御回路2、プリントヘッドドライブ回路3、印字ヘッド4、スペースモータドライブ回路5、スペースモータ6、当該スペースモータ6が原点位置にあるかどうかを検出する原点位置センサ7、制御回路2に接続され後述の装置情報を格納する不揮発性メモリ8等で構成されている。
【0013】
そして、マイクロプロセッサ1には、図示しない上位装置より受信回路を経由し制御信号が入力される。また、この制御信号に応じて、マイクロプロセッサ1は制御回路2およびプリントヘッドドライブ回路3、スペースモータドライブ回路5をそれぞれ経由して、印字ヘッド4、スペースモータ6等を制御する。
【0014】
そして、図2および図3の左側のスペースモータ6の回転によってスペースモータ6の軸上に設けられたプーリ11aが回転しベルト4bを介して右側のプーリ11bが回転し、ベルト4b上に設けられたキャリッジ4aおよび印字ヘッド4が、図中斜線部の左端、右端間をこの回転方向に応じて左右方向に動く。
【0015】
なお、このときのスペースモータ6の相切替回数を制御回路2によりカウントし、1相の回転角度とプーリ11のギア比から機構的に決定される1カウントあたりの移動距離と前記カウント値からキャリッジ4aおよび移動ヘッド4の移動距離が計算されマイクロプロセッサ1に送られる。
【0016】
また、制御回路2は、図2および図3に示すような印字可能幅が広い幅広タイプのプリンタと、印字可能幅が狭い幅狭タイプのプリンタのいずれも制御できるようになっている。
【0017】
例えば、幅広タイプのプリンタではキャリッジ移動範囲Lwが約400mm程度であり、幅狭タイプのプリンタではキャリッジ移動範囲Lsが約230mm程度となっており、これらの情報は、それぞれのタイプに応じて不揮発性メモリ8に格納される。
【0018】
(制御系の構成)
次に、実施例1の制御系の構成を図4の機能ブロック図により説明する。まず、受信部20では、図示しない上位装置から所定の転送単位(例えば1バイト単位)で、データの受信を行う。受信したデータは受信データ解析部21へ出力する。
【0019】
受信データ解析部21は、受信部20で受信した上位装置からの受信データを解析し、印字データや制御コマンドの処理を行い、ブロック単位または行単位で印刷データをメカ制御部22へ出力する。
【0020】
メカ制御部22は、受信データ解析部21で解析したブロック単位または行単位の印刷データを解析し、印刷機構を構成するスペースモータ6、印字ヘッド4の各動作単位の制御命令に変換する。制御命令は、スペースモータ制御部23、印字制御部24へ出力する。
【0021】
パワーオン制御部25は、プリンタ幅検出動作の要求をスペースモータ制御部23に渡す。
【0022】
スペースモータ制御部23では、プリンタ幅検出部26にてプリンタ幅検出動作を制御し、移動量の判定などを行う。なお、この制御は、プリンタ幅検出が行われておらず後述するプリンタ幅情報記憶部27の不揮発性メモリ8にプリンタ幅情報が設定されていない場合にのみ行うようにする。
【0023】
移動制御部29は、プリンタ幅検出部26から指示を受け、左移動、右移動、移動停止を行う。移動量カウント部28は、移動制御部29での移動量をカウントし、そのカウント量をプリンタ幅検出部26へ渡す。
【0024】
原点位置センサ検出部30は、原点位置センサ7により印字ヘッド等の位置を監視し、センサオン/オフ情報をプリンタ幅検出部26へ送信する。プリンタ幅検出部26から指示を受け、プリンタ幅情報記憶部27は、判定されたプリンタが幅広タイプか幅狭タイプかの情報を不揮発性メモリ8へ格納する。
【0025】
(動作)
以上の構成により、実施例1のプリンタは以下のように動作する。この動作を図5のフローチャートおよび図6ないし図14の動作説明図を用いて以下詳細に説明する。
【0026】
なお、図6は電源投入時等の初期状態を示し、図7は図6の状態からキャリッジ4aを移動したときの状態を示す図となっている。同様に図8は別の初期状態を示し、図9が次の状態を示す図となっている。図10はさらに別の初期状態を示し、図11が次の状態を示している。また、図12は幅広タイプにおいて原点位置までキャリッジ4aを図中左側に移動した後、矢印C2のように右側に移動するときの動作説明図であり、図13および図14は幅狭タイプにおいて同様に右側に移動するときの動作説明図となっている。
【0027】
まず、プリンタの電源を投入すると、パワーオン制御部25は、パワーオン初期化制御として以下の制御を開始する。すなわち、不揮発性メモリ8からなるプリンタ幅情報記憶部27のプリンタ幅情報が書込み済みかどうかを判定し(ステップS01)、書込み済みであれば、以下のステップS02からの処理は行わず本処理を終了する。
【0028】
書込みデータとしては、例えば、2bitを使用し、デフォルトである幅検出をしていない未検出状態を"00"、幅狭タイプ情報を"01"、幅広タイプ情報を"10"とする。従って、「幅情報書込み済み」というのは、"01"または"10"となる。
【0029】
ステップS01にて書込み済みでないと判定された場合は、原点位置センサ検出部30により原点位置センサ7の検出を行い(ステップS02)、センサオン状態であれば、原点位置センサ7がオフする位置まで右移動を行う(ステップS03)。このように、最初からオン状態であった場合は、図6に示したように、最初からキャリッジ4aが左端にあったことになり、図7矢印A1のように原点位置センサ7によりキャリッジ4aが検出されない位置まで右移動させる。
【0030】
そして、移動制御部29は、移動量カウント部28にて移動量を検出しながら左移動を開始し(ステップS04およびS05)、原点位置センサ7がオンとなったことを検出すると(ステップS06)、移動を停止する(ステップS07)。
【0031】
一方、図8や図10に示したように、最初は原点位置にキャリッジ4aがないときは、ステップS02にて原点位置センサ7がオフとなるので、ステップS03をスキップし、移動量をカウントしながら左移動を開始し、原点位置センサ7がオンとなったことを検出すると、移動を停止する(ステップS04〜S07)。
【0032】
以上のように、図6のように原点位置にキャリッジ4aがあったときは、図7矢印A1ように右移動した後、同図矢印A2のように移動することになり、図8の状態であった場合の移動量は図9の矢印B1となりLs以上となり、図10の状態であった場合の移動量は図11の矢印C1となりLsより小さくなる。
【0033】
次に、図9のようにステップS05による左移動のカウント量が幅Lsより大きく幅広タイプの範囲かどうかを判定し(ステップS08)、幅Lsより大きい場合は幅広タイプあるので、プリンタ幅情報記憶部27に幅広タイプ情報"10"を書込み(ステップS22)、本処理を終了する。
【0034】
一方、図11のように移動量が矢印C1で、幅Ls以下の場合は、幅狭タイプであるか幅広タイプであるかの判断ができないので、原点位置にあるキャリッジ4aを図12に示したように幅狭タイプのキャリッジ移動範囲Lsにα分、例えば2mm程度を加えた距離分の右移動を開始し(ステップS09)、等速移行ポイントXs(例えば右移動開始位置より約50mm程度)の位置以降は等速で移動し、減速開始ポイントXe(例えば右移動開始位置より約210mm程度の位置)に達したときに減速を開始する(ステップS10〜S12)。そして、前記右移動距離分、キャリッジ4aが移動したときに移動を停止する(ステップS13〜S15)。
【0035】
なお、幅狭タイプのプリンタの場合では、図13に示したようにキャリッジ4aが右端に当接し、それ以上右側に移動しない。この当接の際、移動速度は低速となっているので、衝突音は発生しないが、当接する衝撃をさらに少なくするために、図14に示したような速度制御を行い、右端の手前で減速させ、微速度でさらに移動させ幅狭タイプのキャリッジ移動範囲Ls+α分移動させるようにしてもよい。
【0036】
次に、左移動量のカウンタ値をクリアした後(ステップS16)、移動量をカウントしながら左移動を開始し、原点位置センサ7がオンとなったときに移動を停止する(ステップS17〜S20)。
【0037】
そして、左移動のカウント量が幅広タイプ範囲、すなわち図12のように、Lsを超える左移動量、すなわちLs+1mm程度を超えるかどうかを判定し(ステップS21)、Ls+1mm程度を超える場合は、幅広タイプであるのでプリンタ幅情報記憶部27に幅広タイプ情報"10"を書込み(ステップS22)、本処理を終了する。
【0038】
一方、左移動のカウント量が幅狭タイプ範囲、すなわちほぼLs、例えばLs−1mm程度〜Ls+1mm程度の範囲の左移動量であるかどうかを判定し(ステップS23)、Ls−1mm程度〜Ls+1mm程度の範囲の場合は、幅狭タイプであるのでプリンタ幅情報記憶部27に幅狭タイプ情報"01"を書込んで(ステップS25)、本処理を終了する。
【0039】
左移動のカウント量が幅広タイプの範囲でもなく幅狭タイプ範囲でもないときは、何らかの移動障害があり、左移動量がLs−1mm程度よりも少なくなった場合であるので、プリンタ幅検出アラーム表示を行って(ステップS24)、本処理を終了する。
【0040】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように、実施例1のプリンタによれば、印字ヘッドを初期位置から基準となる一方の端部まで移動させ当該移動距離が幅狭タイプの印字可能幅よりも大きい場合は幅広タイプと判定するステップと、前記移動距離が幅狭タイプの印字可能幅よりも小さい場合は、他方の端部側方向に、幅狭タイプの印字可能幅に所定の距離を加算した幅検出用距離分印字ヘッドを移動させた後、前記印字ヘッドを前記基準となる一方の端部まで移動させて、当該移動距離が前記幅検出用距離であったときは幅広タイプと判定し、前記移動距離が前記幅検出用距離よりも短いときは幅狭タイプと判定するステップを設ける方法を採用したので、プリンタのコストを低くし、幅検出のための時間を長くすることなく、かつプリンタ端部に印字ヘッド等が衝突するときの衝突音を少なくすることができる。
【実施例2】
【0041】
(制御系の構成)
実施例2のプリンタでは、図15に示すように、プリンタ幅検出要否判定部31を新たに設け、上位装置からのコマンドで、幅情報書込み指定がありかつ幅広情報を書込む指定があった場合、プリンタ幅検出制御を行い、本当に幅広タイプのプリンタであるかどうかを確認するようにしている。
【0042】
なお、幅情報書込みコマンドおよび書込む幅広/幅狭情報は、他の初期設定と同様のフォーマットとしてもよいし、印刷テストデータの先頭に設けて送信するようにしてもよい。
【0043】
実施例2における制御の流れを、図15の機能ブロック図により以下説明する。まず、受信部20で、図示しない上位装置からの幅広/幅狭情報を設定するコマンドを受信すると、受信データ解析部21で、同コマンドの解析を行い、メカ制御部22、スペースモータ制御部23を経由し、プリンタ幅検出部26にコマンドの種類とそのパラメータを送信する。
【0044】
そして、プリンタ幅検出要否判断部31にてこのパラメータを参照し、プリンタ幅の検出制御の要・不要を判断し、プリンタ幅の検出制御が必要と判断された場合は、プリンタ幅検出部26にてプリンタ幅の検出制御を行う。その他の部分は実施例1の構成と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0045】
(動作)
以上の構成により、実施例2のプリンタは以下のように動作する。本動作を、図16の動作フローチャートと、図17のプリンタ幅情報が設定された状態の説明図と図18のプリンタ幅検出制御の要否の判定を説明する図を用いて以下詳細に説明する。なお、ステップS01〜S24については実施例1の動作とほぼ同様であるので、簡略化のためにその説明を省略する。
【0046】
受信部20で、幅広/幅狭情報を設定するコマンドを受信すると、受信データ解析部21、メカ制御部22、スペースモータ制御部23を経由し、プリンタ幅検出部26に同コマンドのパラメータ情報が送信され、以下の処理が開始する。
【0047】
最初に、前記コマンドが幅広/幅狭情報を設定するコマンドであるかどうかをプリンタ幅検出制御要否判定部31にて判断し(ステップS51)、当該コマンドである場合は、ステップS52へ進む。
【0048】
そして、前記コマンドにより設定されたパラメータが幅広情報なのか幅狭情報なのかをプリンタ幅検出制御要否判定部31で判断し(ステップS52)、幅広情報であった場合は、ステップS02からの処理によりプリンタ幅の検出制御を行う。幅狭情報であった場合はプリンタ幅情報記憶部27に幅狭タイプ情報を書込んで(ステップS25)、本処理を終了する。
【0049】
一方、ステップS51にて、前記コマンドが幅広/幅狭情報を設定するコマンドでない場合は、実施例1と同様に、ステップS01からの制御を行い、プリンタ幅の検出制御を行う。これにより、誤ってコマンド送信が行われなかった場合でも、適切なプリンタ幅情報を検出してプリンタ幅情報記憶部27に記憶することができる。
【0050】
図17は、幅狭タイプのプリンタと幅広タイプのプリンタにおいて、それぞれ幅狭、幅広タイプであると設定された状態が正常か否かを示しており、図18は、幅狭タイプのプリンタと幅広タイプのプリンタにおいて、それぞれ幅狭、幅広が設定されたときにプリンタ幅検出制御の要否を判定するためのテーブルを示している。同図を用いて実施例2のプリンタにおけるケース(1)〜(4)のプリンタ幅検出制御の動作をさらに詳細に説明する。
【0051】
まず、ケース(1)は、幅狭タイプのプリンタに幅狭タイプの設定をしたケースであり、正常に設定されたケースである。このケースでは、ステップS52にて幅狭タイプが指定されたと判定され、ステップS25でプリンタ幅情報記憶部27に幅狭タイプ情報が書込まれ、プリンタ幅検出制御は行わない。そして、以降の電源投入時においても、ステップS01にてプリンタ幅情報記憶部27へ書込み済みの判定となり、プリンタ幅検出制御は行われず、一度もプリンタ幅検出制御を行わずに済む。
【0052】
ケース(2)は、幅狭タイプのプリンタに幅広タイプの設定をしたケースであり、オペレータが設定間違いしたケースである。このケースでは、ステップS52にて幅広タイプが指定されたと判定され、ステップS02からの制御によりプリンタ幅の検出制御を行う。これにより、ステップS21およびS23にて幅狭タイプのプリンタだと判断され、ステップS25にてプリンタ幅情報記憶部27に幅狭タイプ情報が書込まれる。従って、オペレータが設定間違いをしても、正しい幅狭タイプのプリンタとしてプリンタ幅情報記憶部27に記憶することが出来る。
【0053】
ケース(3)は、幅広タイプのプリンタに幅狭設定をしたケースであり、オペレータが設定間違いをしたもう一つのケースである。このケースでは、ステップS52にて幅狭タイプが指定されたと判定され、ステップS24にてプリンタ幅情報記憶部27へ幅狭タイプ情報を書込まれ、幅狭タイプのプリンタとして設定される。この場合、以降に行われる印刷テストにおいて、幅狭タイプの印刷結果となるので、この結果をオペレータが参照することにより幅設定に間違いがあったことがわかり、設定を修正することができる。
【0054】
ケース(4)は、幅広タイプのプリンタに幅広タイプの設定をしたケースであり、正常に設定されたケースである。このケースでは、ステップS52にて幅広タイプが指定されたと判定され、ステップS02からの制御によりプリンタ幅の検出制御を行う。これにより、ステップS21にて、やはり幅広タイプのプリンタだったと判定され、ステップS22にてプリンタ幅情報記憶部27へ幅広タイプ情報が書込まれる。
【0055】
ところで、以上説明した図18の構成の逆で、幅狭タイプの設定の場合のみ、プリンタ幅の検出制御を行う構成にすることも可能であるが、そのような構成とすると、幅狭タイプのプリンタに幅広タイプの設定をしたケースにおいて検出制御をしないことになり、間違った設定のまま印刷テストを行うと、印字可能な範囲を越えて印字しようとし、プリンタの端部にキャリッジ4aが衝突し衝突音が発生する恐れがあるので、図18の構成とするのがよい。
【0056】
(実施例2の効果)
以上詳細に述べたように、実施例2のプリンタによれば、受信するコマンドに基づきプリンタ幅の検出制御を行うか否かを判定するプリンタ幅検出要否判定部を設け、幅情報を設定するコマンドを受信し、かつ当該設定が幅広タイプであった場合、プリンタ幅の検出制御を行うようにしたので、必要最小限の幅検出制御によりオペレータの設定を正しく補正できるとともに、キャリッジがプリンタ端部に衝突して騒音を発生することもない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上述べたように、本発明は、プリンタの印字可能幅を自動的に検出するプリンタに広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施例1のプリンタの構成図である。
【図2】実施例1のプリンタの構成図である。
【図3】実施例1のプリンタの構成図である。
【図4】実施例1のプリンタの機能ブロック図である。
【図5】実施例1のプリンタの動作フローチャート図である。
【図6】実施例1のプリンタの動作説明図である。
【図7】実施例1のプリンタの動作説明図である。
【図8】実施例1のプリンタの動作説明図である。
【図9】実施例1のプリンタの動作説明図である。
【図10】実施例1のプリンタの動作説明図である。
【図11】実施例1のプリンタの動作説明図である。
【図12】実施例1のプリンタの動作説明図である。
【図13】実施例1のプリンタの動作説明図である。
【図14】実施例1のプリンタの動作説明図である。
【図15】実施例2のプリンタの機能ブロック図である。
【図16】実施例2のプリンタの動作フローチャート図である。
【図17】実施例2のプリンタのプリンタ幅情報が設定された状態を説明するための図である。
【図18】実施例2のプリンタのプリンタ幅検出制御の要否の判定を説明する図である。
【符号の説明】
【0059】
1 マイクロプロセッサ
2 制御回路
3 プリントヘッドドライブ回路
4 印字ヘッド
4a キャリッジ
5 スペースモータドライブ回路
6 モータ
7 原点位置センサ
8 不揮発性メモリ
20 受信部
21 受信データ解析部
22 メカ制御部
23 スペースモータ制御部
24 印字制御部
26 プリンタ幅検出部
27 プリンタ幅情報記憶部
28 移動量カウント部
29 移動制御部
30 原点位置センサ検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字可能幅が異なる複数のタイプのプリンタを兼用するためのプリンタの印字幅検出方法であって、
印字ヘッドを初期位置から基準となる一方の端部まで移動させ当該移動距離が幅狭タイプの印字可能幅よりも大きい場合は幅広タイプと判定するステップと、
前記移動距離が幅狭タイプの印字可能幅よりも小さい場合は、印字ヘッドを他方の端部側方向に、幅狭タイプの印字可能幅に所定の距離を加算した幅検出用距離分、幅狭タイプの印字可能幅を移動する手前で微速度となるように移動させた後、前記印字ヘッドを前記基準となる一方の端部まで移動させて、当該移動距離が前記幅検出用距離であったときは幅広タイプと判定し、前記移動距離が前記幅検出用距離よりも短いときは幅狭タイプと判定するステップを設けたことを特徴とするプリンタの印字幅検出方法。
【請求項2】
幅狭タイプか幅広タイプかを設定するコマンドを受信し、当該設定が幅広タイプであった場合は、請求項1記載のプリンタの印字幅検出方法を実行するようにしたことを特徴とするプリンタの印字幅検出方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2いずれか記載のプリンタの印字幅検出方法を用いたプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−262451(P2009−262451A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116225(P2008−116225)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】