説明

プリント回路基板に基準孔を形成するための自動工作機械及び基準孔を形成するための方法

【課題】費用効率の高いプリント板回路基板の基準孔形成を高い品質で、且つ、短いクロックサイクルで可能とする自動工作機械を提供する。
【解決手段】プリント回路基板3を受けるための工作物キャリア1と、プリント回路基板を処理するための少なくとも1つの穿孔ステーションと、個々のプリント回路基板3を工作物キャリア1上に順次に付着するとともに、プリント回路基板を工作物キャリアから除去するための機構とを有する自動工作機械に関する。また、基準孔をパネル3に形成するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板を受けるための工作物キャリアと、プリント回路基板を処理するための少なくとも1つの穿孔ステーションと、個々のプリント回路基板を工作物キャリア上に順次に付着するとともに、プリント回路基板を工作物キャリアから除去するための機構とを有する自動工作機械に関する。また、本発明は、基準孔をプリント回路基板に形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板(いわゆるパネル)の処理は、手動で行なわれ、あるいは、殆どの場合には、正確な処理を達成できるようにプリント回路基板の正確な位置及び/又は整列状態を高い精度でとらえなければならない工作機械によって自動で行なわれる。これに関しては、例えばCCDカメラを用いて工作機械によるその後の処理ステップでとらえられ及び/又は例えばプリント回路基板に孔を形成するための基準として使用される基準孔が実際の処理前にプリント回路基板に設けられることが知られている。
【0003】
このタイプの基準孔の品質は、基準孔の光学的捕捉においては特に高くなければならない。特に、プリント回路基板へのドリルの進入時にしばしば形成されるバリは、基準孔の正確な光学的捕捉を著しく困難にする可能性がある。このように、その後の処理ステップの精度は、基準孔の品質が悪いと低下する。例えばピンによる機械的な指標付けにおいて、バリは、受け取りの精度に悪影響を及ぼす可能性もある。
【0004】
工作物の処理において、工作物が穿孔される前に被覆層(エントリ)及び/又は支持層(バックアップ)が設けられる場合、この被覆層(エントリ)及び/又は支持層(バックアップ)は工作物の処理後に廃棄される。プリント回路基板(パネル)の処理においては、特に基準孔を形成する前にプリント回路基板を被覆層で覆うことは不都合である。それは、これによって、CCDカメラ又はX線装置を用いて工作物キャリアに対するプリント回路基板の位置及び/又は整列状態を捕捉することが更に困難になるからであり、あるいは、それが妨げられることさえあるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対して、本発明の課題は、費用効率の高い基準孔の形成を高い品質で且つ短いクロックサイクルで可能にする冒頭で述べたタイプの工作機械及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、冒頭で述べたタイプの自動工作機械であって、個々のプリント回路基板(パネル)を工作物キャリア上に順次、付着し且つプリント回路基板を工作物キャリアから除去するための機構が、プリント回路基板が先行するプリント回路基板に対して所定のオフセット(ずれ)で工作物キャリアに対して付着されるように形成され及び/又は備えられる、自動工作機械によって解決される。それに加えて、工作物キャリア上にそれぞれ配置されるプリント回路基板上に被覆層(エントリ)を付着するとともに、プリント回路基板から被覆層を取り外すための第2の機構が設けられる。制御装置は、工作物キャリア、穿孔ステーション、第1の機構及び第2の機構のドライブを作動させることができる。すなわち、本発明に係る工作機械は、順次に処理されるプリント回路基板(パネル)を工作物キャリアに対して、同じ位置ではなく互いにオフセットさせて付着するためのいわゆるパネルシフト機能と、パネル上に被覆層を設けることとを組み合わせる。被覆層の使用により、非常に高い品質で、特にプリント回路基板へのドリルの入口ポイントにバリを伴うことなく、基準孔を形成することができる。
【0007】
本発明によれば、多くのプリント回路基板を順次に処理するために被覆層を使用することができ、また、それぞれのプリント回路基板を処理した後に被覆層を交換又は廃棄する必要がない。これは、プリント回路基板が所定のオフセットラスタで工作物キャリアに対して付着されるからである。その結果、孔は、互いに対してオフセットされる工作物キャリア及び被覆層の位置にも穿孔される。パネルが被覆層を伴わない工作物キャリア上に配置されるため、被覆層が付着される前に、プリント回路基板の正確な位置及び整列状態をとらえることができる。これは、CCDカメラなどを使用してパネルの位置及び整列状態をとらえるときに必要とされる。プリント回路基板の位置をとらえるためにX線プロセスを使用すると、位置をとらえる前であってもプリント回路基板に対して被覆層が付着されるように被覆材料を選択することもできる。
【0008】
本発明の第1の実施形態によれば、第2の機構は、工作物キャリアに対して被覆層を昇降させるための、特に幾つかの吸着体が設けられたグリッパ又はブラケットを有する。したがって、被覆層の昇降は、工作物キャリア及びドライブから独立することができ且つ例えば機械の後部空間又は内部空間に設けられる機構を用いて行なわれる。この機構は、各穿孔サイクルの前にそれぞれのプリント回路基板に対して被覆層を受け渡すことができ、また、その後、被覆層を再び受けることができる。パネルシフトでのプリント回路基板のオフセットの結果として、新たな位置に各孔が形成される。
【0009】
この発明の考えを更に発展させることにより、被覆層を昇降させるために工作物キャリアをグリッパの下側で移動させることができる。したがって、グリッパは、吸着体などによって被覆層を保持して、該被覆層を所定の態様で昇降させるだけで済む比較的簡単なユニットとして形成され得る。これにより、いずれにしても設けられる工作物キャリアのドライブが使用され、このドライブは、被覆層が付着され或いは取り外されるべきときに工作物キャリアがその上に配置されるプリント回路基板と共にグリッパの下側で移動することを可能にする。すなわち、工作物キャリア(工作台)がエントリシステムの下側で処理位置又はパネル交換位置からそれぞれ移動する。
【0010】
あるいは、グリッパ又はブラケットが専用のドライブを有し、被覆層を昇降させるためのグリッパ又はブラケットを工作物キャリアの上側で移動させることができるようにすることも可能である。これにより、被覆層は、付着されて取り外されるだけでなく、工作物キャリアの上側の正確な位置に配置される。これは、グリッパ又はブラケットの付加的なドライブの結果として費用の増加に繋がるが、穿孔サイクルにおけるサイクル時間の短縮化をもたらし得る。この場合、被覆層は、フレーム又は同様のブラケットにクランプされることが好ましい。
【0011】
本発明の第2の実施形態によれば、第2の機構が被覆層(エントリ)のためのキャリアとして形成され、穿孔ステーションのキャリアは、被覆層を穿孔ステーションと一緒に工作物キャリアに対して及び/又は工作物キャリア上に配置されるプリント回路基板に対して配置させることができるような専用のものである。この実施形態は、プリント回路基板の処理のために穿孔ステーションを工作物キャリア又はプリント回路基板に対して整列しなければならないという考えに基づいている。被覆層が穿孔ステーションのキャリアに専用のものである場合、被覆層は、穿孔ステーションと共にプリント回路基板又は工作物キャリアに対して正確な位置に自動的に配置される。
【0012】
これにより、被覆層が略直線状であり、直線状の被覆層の所定の巻回及び繰り出しのためのコイルが第2の機構に設けられると有利であることが分かった。この場合、被覆層を伴うコイルは、各穿孔プロセスにおいて被覆層が穿孔して貫通されるように穿孔ステーションに配置される。コイルにより、各穿孔プロセス後に直線状の被覆層が繰り出され、それにより、被覆層の新たな位置に各孔が形成される。プリント回路基板又は工作物に対して被覆層を押着するためにコイルを同時に使用することができる。ドリルの交換のため、コイルを穿孔ステーションに配置させて、そこでコイルを折り畳み或いは旋回させることができる。
【0013】
あるいは、被覆層を穿孔ステーションに対して移動され得るディスクとして形成することができる。このディスクは、例えば、被覆層が穿孔ステーションと共にプリント回路基板及び/又は工作物キャリアに対して移動できるように穿孔ステーションに隣接して配置されるキャリア上に設けることができる。この場合、各穿孔プロセスで被覆層が新たな位置で穿孔されるように、ディスク状の被覆層を穿孔ステーションに対して回転させて及び/又は移動させて繰り出すこともできる。
【0014】
被覆層は、約0.1mm〜約1mm、特に約0.2mm〜約0.5mmの厚さを有するディスク又は膜であることが好ましい。被覆層(エントリ)の材料は、アルミニウム又はプラスチック、例えばメラミンであってもよい。この場合、被覆層は、被覆層が複数の孔を含む場合であっても被覆層を工作物キャリア又はプリント回路基板から取り外すことができるように、これらに対して安全に受け渡し可能とすべく十分に硬質でなければならない。さもなければ、被覆層の材料は、ドリルの良好な貫通を可能にしてプリント回路基板でのバリの形成を防止することもできなければならない。
【0015】
プリント回路基板に穿孔されるべき孔の品質は、被覆層が穿孔ステーションと対向する側に設けられるだけでなく、工作物キャリアとプリント回路基板との間に支持層(バックアップ)が設けられることにより更に向上させることができる。この支持層は、例えば吸着体によって工作物キャリア上に取り外し可能に固定され、それにより、処理されるべきプリント回路基板が順次に互いにオフセットしてディスク状の支持層上に付着されることが好ましい。これにより、被覆層(エントリ)においてだけでなく、支持層(バックアップ)においても、全ての穴が新たな位置で穿孔され、それにより、ドリル出口の領域での穿孔穴の擦切を防止できる。
【0016】
パネルのこのオフセットを可能にするために、少なくとも支持層の表面は、処理されるべきプリント回路基板のそれぞれの表面よりも大きい。支持層が処理されるべきプリント回路基板よりもかなり大きいと、支持層及び場合により被覆層も交換しなければならなくなる前に、パネルシフト機能を用いて多数のプリント回路基板を処理することができる。
【0017】
プリント回路基板に基準孔を形成する前に、プリント回路基板自体の位置及び整列状態を正確にとらえる必要がある。この目的のため、本発明に係る工作機械の制御装置は、専用の捕捉ユニット、例えばCCDカメラ又はX線装置を有しており、それにより、工作物キャリア又は支持層に対するプリント回路基板の位置及び/又は整列状態を正確に決定することができる。
【0018】
本発明が基本とする問題は、以下のステップ、すなわち、
a)処理されるべきプリント回路基板を工作物キャリア上に取り外し可能に固定される支持層上の所定位置に付着するステップと、
b)プリント回路基板の少なくとも1つの領域に被覆層を付着する及び/又は押着するステップと、
c)プリント回路基板に少なくとも1つの孔を形成することによりプリント回路基板を処理するステップと、
d)プリント回路基板から被覆層を取り外すステップと、
e)処理されたプリント回路基板を除去するステップと、
f)支持層及び被覆層を交換することなくステップa)〜e)を繰り返すステップと、
を有する、プリント回路基板に基準孔を形成するための方法であって、
ステップc)の前に、プリント回路基板の位置及び/又は整列状態がとらえられ、ステップd)の前に、幾つかのプリント回路基板のシーケンス処理において支持層及び被覆層に形成される孔が所定のラスター分だけ互いに対してオフセットされるように、支持層、処理されるべきプリント回路基板、及び、被覆層が互いに対して整列される、方法によって更に解決される。このプロセスは、特に前述したタイプの自動工作機械によって実行することができる。
【0019】
プリント回路基板の位置及び/又は整列状態が、光学的プロセスによって、例えばCCDカメラを用いて経路を辿ることによってとらえられる場合、これは、被覆層をプリント回路基板に対して付着する及び/又は押着する前に行なわれなければならない。一方、プリント回路基板の位置及び/又は整列状態がX線によってとらえられる場合には、これを被覆層の付着後に行なうこともできる。しかしながら、プリント回路基板の厚さ、及び、被覆層の材料に応じて、プリント回路基板がX線によって測定されるときには、被覆層が付着される前にプリント回路基板の位置及び/又は整列状態がとらえられることも有益となり得る。
【0020】
支持層及び被覆層に穿孔される孔の所定のオフセットは、本発明によれば、順次に処理されるべき幾つかの(特に同じ方法で構成される)プリント回路基板に関して孔がプリント回路基板上の少なくともほぼ同じ位置に形成されることによって形成され、その場合、順次に処理されるべきプリント回路基板はそれぞれ互いにオフセットして支持層又は工作物キャリアに対して付着される(パネルシフト機能)。
【0021】
実際には、一連の略同一に構成されたプリント回路基板が本発明に係る工作機械によって或いは本発明に係る方法によって処理された後に支持層及び/又は被覆層が交換されると特に有益であることが分かった。非常に多数のプリント回路基板が処理される場合には、これも好ましくは予め選択可能な数の孔の後に行なわれるべきであり、それにより、依然として、支持層(バックアップ)及び被覆層(エントリ)の新たな位置に各孔が形成されることが確保される。この目的のため、被覆層は、穿孔ステーションに対する新たなドリル穴の位置決め前に或いは孔の位置決めのための同様の配置前に、穿孔方向の面に対して垂直な面内で移動されて規定される。
【0022】
以下、図面を参照することにより、実施形態を用いて、本発明を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】基準孔の穿孔中のプリント回路基板(パネル)の断面図を概略的に示している。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る工作機械の構成要素の平面図を概略的に示している。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る工作機械の構成要素の平面図を概略的に示している。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る工作機械の専用被覆層を伴う穿孔ステーションを概略的に示している。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る工作機械の専用被覆層を伴う穿孔ステーションを概略的に示している。
【図6】図2に係る工作機械の側面図を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は工作機械の工作物キャリア1を示しており、該工作物キャリア1上には、支持層(バックアップ)2が図示しない吸着体等によって取り外し可能に固定される。プリント回路基板(パネル)3が所定の位置で支持層2に付着される。図では、プリント回路基板3が1つの層として示されているが、プリント回路基板が幾つかの層から構成されることもできる。プリント回路基板3の上側には、アルミニウム又はプラスチックの薄膜から構成されることができる被覆層(エントリ)4が付着される。図1に示されない穿孔ステーションのドリル5の上側で、基準孔がプリント回路基板3に形成される。この場合、ドリル5は、最初に被覆層4を貫通し、その後、プリント回路基板3を貫通して、最終的に支持層2を貫通する。それにより、被覆層4及び支持層2は、穿孔プロセス中にプリント回路基板3におけるドリル5の入口領域又は出口領域でバリ又は擦切部が形成されることを防止する。
【0025】
従来の工作台と比べて、図1に示される工作物キャリア1は、支持層2及びプリント回路基板3のための凹部が形成される点が異なる。結果として、1.2mm以上のパネル厚の場合であっても、必要に応じて、別個の(真空)クランプシステムによって被覆層材料を取り付けることができる。1.2mm以下のパネル厚の場合には、工作物キャリア1の縁領域で被覆層を支持層と共に保持することができる。
【0026】
図2には、工作機械の第1の実施形態が示されている。この場合、矢印で示されるように、工作物キャリア1を図の面内で移動させることができる。支持層2は、工作物キャリア1上に固定されて、それと一緒に移動される。図示しない機構により、各穿孔サイクルにおいて、プリント回路基板3が支持層2に付着される。破線で示されるように、幾つかのプリント回路基板3、3’のシーケンス処理において、各プリント回路基板は、支持層2及び工作物キャリア1上の先行するプリント回路基板に対してオフセットして配置される。工作機械の後部空間には、これも更に詳しく示されない機構が設けられており、該機構によって、被覆層4を矢印で示されるように昇降させることができる。
【0027】
プリント回路基板3を支持層2上に配置した後、工作物キャリア1が支持層2及びプリント回路基板3と共に被覆層4の下側で移動し、それにより、被覆層4を工作物キャリア1へと下げることができる。概略的に示される吸着体6の結果として、被覆層4を工作物キャリア1上に取り外し可能に付着することができる。その後、工作物キャリア1は、−プリント回路基板3及び被覆シート4の支持層2と一緒に、更に詳しく示されない穿孔ステーションによって基準孔の形成を可能にする位置へと移動して戻る。その後、工作物キャリア1は、被覆層4を受け渡して上昇させるためのユニットの下側で再び移動し、それにより、被覆層を取り外すことができる。この場合、プリント回路基板3、3’のオフセットにより支持層2及び被覆層4の異なる位置で孔が常に形成されるように、被覆層はそれぞれ工作物キャリア1の同じ位置に配置される。
【0028】
図2に示される機械の製造プロセスは、基準孔を形成するための以下のステップを行なう。
1.エントリ(被覆層4)がグリッパに取り付く。
2.パネル(プリント回路基板3)が、工作台(工作物キャリア1)上に配置されて、真空クランプシステムによってバックアップ(支持層2)と共に保持される。
3.パネルがX線によって較正される。
4.工作台がエントリシステムの下方で後へ移動する。
5.グリッパがエントリを受け渡す(?5秒)
6.エントリが真空クランプシステムによって保持される。
7.パネルが穿孔される。
8.工作台がエントリシステムの下側で移動する。
9.クランプシステムが一時的に開放される。エントリがグリッパによって上昇される(?5秒)
10.工作台がパネル交換位置へと移動して、完成したパネルが除去され、次のパネルが“シフト”分だけオフセットして配置される。
バックアップ及びエントリのセットアップサイクルはソフトウェアによってサポートされる。
【0029】
図3に示される工作機械は、それ自体、図2に示される実施形態と差異がある。この場合、被覆層4を受け渡して調整するための機構(更に詳しく示されない)には、それ自体のドライブが設けられ、それにより、例えば、概略的に示されるフレーム7にクランプされる被覆層4を、矢印で表わされるように、工作物キャリア1上にわたって移動させてそこで昇降させることができる。したがって、被覆層を付着或いは取り外すための機構の下側で工作物キャリア1をそれぞれ移動させる必要がない。
【0030】
図4に係る実施形態において、被覆層4は、概略的に示される穿孔ステーション8に専用のものである。この目的のため、2つのコイル9、10が設けられ、この実施形態の被覆層4の直線状材料が該コイルに巻回され或いは該コイルから繰り出される。この場合、コイル9、10を一緒にパネル3又は工作物キャリア1に対して穿孔ステーション8と整列することができる。孔を形成する間、穿孔ステーション8のドリル5は、プリント回路基板3と当接する被覆層4を貫通する。各穿孔プロセス後、被覆層4がコイル9、10によって更に繰り出し移動され、それにより、各孔が被覆層4の新たな位置に形成される。
【0031】
図5に係る実施形態では、直線状被覆層4を伴うコイル9、10の代わりに、ディスク状被覆層4及びキャリア11が設けられる。これらも穿孔ステーション8に専用のものである。この場合、ディスク状被覆層4をキャリア11によって回転させることができ、また、おそらく、ディスク形状被覆層4が穿孔ステーション8に対して移動可能に配置され、これにより、各孔が被覆層4の新たな位置に挿入されることが達成される。図4を参照して前述したと同様、キャリア11は穿孔ステーション8に専用のものであり、そのため、これらは一緒に工作物キャリア1及びパネル3に対して整列される。
【0032】
図6における例図は、プリント回路基板3のためのローダ・アンローダ12と、機械の後部空間又は内部空間に配置される被覆層材料4のためのグリッパシステム13とを有する本発明に係る工作機械を示している。
【符号の説明】
【0033】
1…工作物キャリア、2…支持層(バックアップ)、3、3’…プリント回路基板(パネル)、4…被覆層(エントリ)、5…ドリル、6…吸着体、7…フレーム、8…穿孔ステーション、9、10…コイル、11…キャリア、12…ローダ・アンローダ、13…グリッパシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板(3、3’)を受けるための工作物キャリア(1)であって、前記工作物キャリアを少なくとも水平面内で移動させるための専用のドライブを有する工作物キャリア(1)と、
プリント回路基板(3、3’)を処理するための少なくとも1つの穿孔ステーション(8)であって、前記工作物キャリア(1)と該少なくとも1つの穿孔ステーション(8)とが互いに対して移動可能に駆動される、少なくとも1つの穿孔ステーション(8)と、
個々のプリント回路基板(3、3’)を前記工作物キャリア(1)上に順次、付着するとともに、前記プリント回路基板(3、3’)を前記工作物キャリアから除去するための第1の機構(12)であって、前記プリント回路基板(3、3’)がそれぞれの先行するプリント回路基板(3)に対して所定のオフセットで前記工作物キャリア(1)に対して付着されるように設計され且つ/又は設けられる第1の機構(12)と、
前記工作物キャリア(1)上に配置された前記プリント回路基板(3、3’)上にそれぞれ被覆層(4)を繰り返し付着するとともに、前記プリント回路基板から前記被覆層(4)を除去するための第2の機構(13)と、
前記工作物キャリア(1)、前記穿孔ステーション(8)、前記第1の機構及び前記第2の機構のドライブを作動するための制御装置と、
を有する自動工作機械。
【請求項2】
前記第2の機構には、前記工作物キャリア(1)に対して被覆層(4)を昇降させるための幾つかの吸着体を備えるグリッパ又はブラケット(7)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の自動工作機械。
【請求項3】
被覆層(4)を昇降させるためのグリッパの下側で前記工作物キャリア(1)を移動させることができることを特徴とする請求項2に記載の自動工作機械。
【請求項4】
前記グリッパ又はブラケット(7)が専用のドライブを有し、被覆層(4)を昇降させるために前記グリッパ又はブラケット(7)を工作物キャリア(1)上にわたって移動させることができることを特徴とする請求項2又は3に記載の自動工作機械。
【請求項5】
第2のユニットが被覆層(4)のためのキャリア(9、10、11)として形成され、前記キャリア(9、10、11)が前記穿孔ステーション(8)に専用のものであり、もって、被覆層(4)を前記穿孔ステーション(8)と一緒に、前記工作物キャリア(1)に対して及び/又は工作物キャリア上に配置させるプリント回路基板(3、3’)に対して、配置させることができるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の自動工作機械。
【請求項6】
被覆層(エントリ)(4)が略直線状であり、前記第2の機構には、直線状の被覆層(4)の所定の巻回及び繰り出しのためのコイル(9、10)が設けられることを特徴とする請求項5に記載の自動工作機械。
【請求項7】
被覆層(エントリ)(4)が、前記穿孔ステーション(8)に対して移動できるディスクとして形成されることを特徴とする請求項5に記載の自動工作機械。
【請求項8】
被覆層(エントリ)(4)が、約0.1mm〜約1mm、特に0.2mm〜約0.5mmの厚さを有する特にアルミニウム又はプラスチックから形成されるディスク又は膜であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の自動工作機械。
【請求項9】
前記工作物キャリア(1)上には、ディスクの形態を成す支持層(2)が、プリント回路基板(3、3’)を支持層(2)上に配置させることができるように、特に吸着体によって取り外し可能に固定して設けられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の自動工作機械。
【請求項10】
前記制御装置が、前記工作物キャリア(1)上に対するプリント回路基板(パネル)(3、3’)の位置及び/又は整列状態を決定するための専用の捕捉機構を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の自動工作機械。
【請求項11】
a)処理されるべきプリント回路基板(3、3’)を工作物キャリア(1)上に取り外し可能に固定される支持層(2)上の所定位置に付着するステップと、
b)前記プリント回路基板(3、3’)の少なくとも1つの領域に被覆層(4)を付着する且つ/又は押着するステップと、
c)前記プリント回路基板に少なくとも1つの孔を形成することにより前記プリント回路基板(3、3’)を処理するステップと、
d)前記プリント回路基板(3、3’)から被覆層(4)を取り外すステップと、
e)処理された前記プリント回路基板(3、3’)を除去するステップと、
f)前記支持層(2)及び前記被覆層(4)を交換することなく前記ステップa)〜e)を繰り返すステップと、
を用いて、特に請求項1〜10のいずれか一項に記載の自動工作機械を使用することにより前記プリント回路基板(3)に基準孔を形成する方法であって、
前記ステップc)の前に、前記プリント回路基板(3、3’)の位置及び/又は整列状態がとらえられ、前記ステップd)の前に、幾つかの前記プリント回路基板(3、3’)のシーケンス処理において前記支持層(2)及び前記被覆層(4)に形成される孔が所定のラスター分だけ互いに対してオフセットされるように、前記支持層(2)、処理されるべき前記プリント回路基板(3、3’)、及び、前記被覆層(4)が互い整列される、方法。
【請求項12】
前記ステップb)の前の前記プリント回路基板(3、3’)の位置及び/又は整列状態は、光学プロセスによって、特にCCDカメラによってとらえられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップb)の前又は後の前記プリント回路基板(3、3’)の位置及び/又は整列状態がX線によってとらえられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記支持層(2)及び前記被覆層(4)に形成される孔における所定のオフセットは、順次に処理されるべき前記プリント回路基板(3、3’)のそれぞれのオフセット付着によって、及び、前記プリント回路基板(3、3’)上の少なくともほぼ同じ位置に孔を形成することによって形成されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記支持層及び/又は前記被覆層(4)は、好ましくは予め選択される数の孔を形成した後に交換され、この数が10以上であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−158764(P2010−158764A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−289456(P2009−289456)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(509351579)シュモール マシネン ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】