説明

プリント基板の穴あけ加工用バックアップボード

【課題】小径の高速回転ドリルによるプリント基板の穴あけ加工時においても、ドリルビットへの溶融樹脂の巻き付きが少ないバックアップボードを提供する。
【解決手段】コア層と、該コア層の少なくとも片面に積層されたスキン層を有し、
前記スキン層が、(A)ポリスチレン系樹脂40重量部〜77重量部、(B)無機フィラー又はセルロース系充填剤20重量部〜60重量部、並びに(C)ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンのエステルから選ばれる少なくとも一種の滑剤3重量部〜8重量部を含有し、
前記コア層が、(A)ポリスチレン系樹脂40重量部〜79重量部、(B)無機フィラー又はセルロース系充填剤20重量部〜60重量部、並びに(C)ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンのエステルから選ばれる少なくとも一種の滑剤0.05重量部〜2重量部を含有する
ことを特徴とするプリント基板の穴あけ加工用バックアップボード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント基板の穴あけ加工時に使用されるバックアップボードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的なプリント回路基板は、樹脂板の片面或いは両面に銅箔が設けられた銅貼り積層板(以下、「プリント基板」という。)の所定の位置に所定の大きさの穴をあける工程、その穴の内面に銅メッキを行ってスルーホールを形成する工程、プリント基板の銅箔上にレジスト材料を所定のパターンで印刷する工程、露出した銅箔部分をエッチング除去して所定の配線パターンを形成する工程、レジスト材料を溶解除去する工程等の製造工程を経た後、一方の面に集積回路などの電子部品を実装し、他の面には接点材料や補助部品を実装して製造される。
【0003】
プリント基板に穴をあける工程は、代表的には、図1に示すように、プリント基板穴あけ用バックアップボード1(以下、「バックアップボード」という。)の上に複数のプリント基板3を重ね、その上からエントリーボード2をあてて重ねあわせたものに(エントリーボード2は場合によっては使用されない)、ドリル4で所定の径の穴5を所定の位置に順次あけることにより行われている。バックアップボード1としては、その優れたドリル加工性から、厚み1.5mm程度のベークライト(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)が、主に使用されている。また、エントリーボード2としては、厚さ0.15mm〜0.2mm程度の特殊表面処理アルミニウムシートが使用されている。
【0004】
近年、環境に対する配慮の観点から、リサイクルによる環境管理や環境汚染の原因の一つとなる産業廃棄物の削減が強く要請されている。そのため、環境に配慮した各種の製品又はそれを構成する材料の見直しが活発化している。バックアップボードは穴あけ用ドリルの位置制御、ドリルの折損防止などの理由で穴あけ時には必要不可欠であるが、穴あけ加工後は不要となる。しかし、前述のようにバックアップボードの材料は主に熱硬化性樹脂からなるベークライトであるため、リサイクルが出来ずに産業廃棄物として処理されているという課題がある。
【0005】
斯様な課題に対して、特許文献1,2には、リサイクル可能なバックアップボードとして熱可塑性樹脂組成物からなるバックアップボードが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−53698号公報
【特許文献2】特開2005−307087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最近のプリント基板の実装高密度化に伴うドリル径の極小径化、ドリル回転数の高速化に伴い、穴あけ加工時に発生する摩擦熱によるドリルビットへの樹脂の巻き付が発生しないバックアップボードが望まれている。
【0008】
本発明は斯様な観点に着目したものであって、小径の高速回転ドリルによるプリント基板の穴あけ加工時においても、ドリルビットへの溶融樹脂の巻き付きが少ないバックアップボードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意工夫した結果、特定の樹脂からなる積層体を用いることで、小径の高速回転ドリルによるプリント基板の穴あけ加工時においても、ドリルビットへの溶融樹脂の巻き付きがなく、更には表面平滑性に優れた結果プリント基板とバックアップボードの間隙でのバリの発生を抑制し、かつリサイクル可能なバックアップボードが得られることを見出し本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明のバックアップボードは、コア層と、該コア層の少なくとも片面に積層されたスキン層を有し、
前記スキン層が、(A)ポリスチレン系樹脂40重量部〜77重量部、(B)無機フィラー又はセルロース系充填剤20重量部〜60重量部、並びに(C)ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンのエステルから選ばれる少なくとも一種の滑剤3重量部〜8重量部を含有し、
前記コア層が、(A)ポリスチレン系樹脂40重量部〜79重量部、(B)無機フィラー又はセルロース系充填剤20重量部〜60重量部、並びに(C)ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンのエステルから選ばれる少なくとも一種の滑剤0.05重量部〜2重量部を含有する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のバックアップボードによれば、プリント基板のドリル穴あけ加工時に、ドリルビットへの樹脂の巻き付きが抑制されるため、ドリルの折損、ドリル穴位置制御の悪化、ドリル穴側面の荒れなどが生じない。
【0012】
また、表面平滑性に優れ、ドリルによる穴あけ時の、バックアップボードとプリント基板の穴周辺の間隙でのバリ発生が抑制される。
【0013】
さらには、使用後のバックアップボードのリサイクルが可能であり、経済的、かつ環境面においても有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
<(A)ポリスチレン系樹脂>
本発明においては、汎用樹脂の中でもポリスチレン系樹脂を用いる。これにより、プリント基板穴開け加工時において、他の汎用樹脂、例えばポリオレフィン系樹脂に比較してドリルビットへの樹脂の付着が極めて少なくなる。
【0016】
ポリスチレン系樹脂としては、例えばスチレン単独重合体(GPPS)、スチレン−ブタジエン共重合体(HIPS)、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(例えばMS樹脂)等をが挙げられる。
【0017】
スキン層におけるポリスチレン系樹脂の含有量は40重量部〜77重量部、好ましくは50重量部〜75重量部である。また、コア層におけるポリスチレン系樹脂の含有量は40重量部〜79重量部、好ましくは50重量部〜75重量部である。ポリスチレン系樹脂の含有量が40部未満の場合バックアップボードとしての強度が得られない。また、スキン層におけるポリスチレン系樹脂の含有量が77重量部を超える場合、コア層におけるポリスチレン系樹脂の含有量が79重量部を超える場合は、穴あけ加工時にドリルビットへの樹脂の巻き付きが発生する。
【0018】
<(B)無機フィラー又はセルロース系充填剤>
無機フィラーとしては、例えばタルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、珪酸カルシウム、マイカ等が挙げられるが、バックアップボードの表面平滑性、ボードの強度、ドリルビットへの樹脂の巻きつき防止、コストの面から珪酸カルシウム、炭酸カルシウムが好ましく、特に珪酸カルシウムが最適である。
【0019】
また、セルロース系充填剤としては、特に限定されるものではなく、例えば木粉、紙粉、パルプ粉、ケナフ粉、籾殻、古紙、竹粉、不織布粉砕物、木綿やレーヨンの糸屑等が挙げられ、これらを単独又は2種類以上組み合わせて用いることもできる。中でも成形性の面で木粉が好ましく、その粒子の大きさが60メッシュパスであると、表面平滑性の面で更に好ましい。
【0020】
無機フィラー又はセルロース系充填剤の含有量は、スキン層、コア層のいずれにおいても20重量部〜60重量部、好ましくは20重量部〜40重量部である。無機フィラー又はセルロース系充填剤の含有量が20重量部未満では、ドリルビットへの巻きつき防止効果がなく、60重量部を超えると表面平滑性に劣り、加工時にバリが発生するだけでなく、バックアップボードとして割れやすいなどの強度上の問題がある。
【0021】
<(C)滑剤>
本発明で用いる滑剤は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンのエステルから選ばれる少なくとも一種である。完全に究明されたわけではないが、これらは、ドリル穴あけ時にドリル表面と樹脂間の摩擦による樹脂の発熱を下げ、またドリル表面の滑性を上げることによる樹脂の巻きつき防止に効果を発揮していると考えられる。
【0022】
これらのうちでも、ポリスチレン系樹脂との相溶性に起因すると考えられるシート表面の平滑性、ポリスチレン系樹脂と混合する際の取り扱い容易性、樹脂のドリルへの巻きつき防止、コストの面から、ポリエチレングリコールが最適である。さらにポリエチレングリコールの分子量は1,000〜25,000が好ましく、6,000〜20,000がより好ましい。分子量が1,000以上であれば、シート表面のベタツキがなく、250,00以下であれば、ポリスチレン系樹脂との相溶性に優れドリルビットへの巻きつきが発生せず、またシート表面の平滑性に優れ穴あけ加工時にバリが発生しない。
【0023】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
【0024】
また、ポリオキシエチレンのエステルとしては、例えばポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレン牛脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0025】
スキン層における滑剤の含有量は3重量部〜8重量部、好ましくは5重量部〜8重量部である。3重量部未満ではドリルビットへの樹脂の巻きつき防止効果が充分でなく、8重量部を超えるとバックアップボードの表面にべとつきが出てきて作業性に支障をきたすだけでなく、表面の平滑性が損なわれ、穴あけ加工時のバリ発生の原因となる。
【0026】
また、コア層における滑剤の含有量は0.05重量部〜2重量部、好ましくは0.5重量部〜2重量部である。0.05重量部未満では、バックアップボードとして柔軟性に欠けるためか、穴あけ加工時にプリント基板との間に隙間が生じバリが発生する、またドリルビットへの樹脂の巻きつきが発生する、などの問題を生じる。また、2重量部を超えると、バックアップボードとしての強度剛性が低下し、またシート押出し成形時に均一な肉厚を得ることが難しくなり、やはりドリル穴あけ加工時のバリ発生の原因となる。
【0027】
<その他の成分>
スキン層、コア層ともに、上記(A)〜(C)成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、他の公知の各種樹脂材料、例えば熱可塑性樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、PMMA樹脂、種々のエンジニアリング樹脂等、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂等、或いはステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸類、着色剤としての染顔料などを適宜含有してもよい。
【0028】
<バックアップボード>
本発明のバックアップボードは、コア層と、コア層の少なくとも片面に積層されたスキン層を有する。スキン層は、主にドリルへの樹脂の巻きつき防止の機能を発揮する。一方、コア層は、バックアップボードとしての表面平滑性と適度な剛性を有することによりプリント基板との隙間の発生を最小にし、バリの発生を防止する機能を発揮し、かつバックアップボードとしての強度を維持する役割を担っている。
【0029】
スキン層はコア層の片面に設けても両面に設けてもよいが、スキン層を両面に設けたバックアップボードは、効率的に表裏合計2度にわたり使用することができ、コスト的に有利である。また、コア層とスキン層の間に他の層を設けてもよい。
【0030】
バックアップボードの全厚み、各層の厚みは、バックアップボードとしての強度剛性、取り扱い性、ドリルビットへの樹脂の巻きつき防止、バリ発生の抑止及びコストの面から、下記範囲が好ましい。
【0031】
即ち、スキン層の厚みは0.2mm〜1mmが好ましく、0.2mm〜0.8mmがより好ましい。スキン層の厚みが0.2mm未満では、穴開け加工時にドリルビットに樹脂が巻きつくなどの不具合が生じる可能性がある。また、スキン層の厚みが1mmを超えると、表面平滑性と表面の剛性が低下しプリント基板との間に隙間が生じ、穴あけ加工時にバリが発生する可能性がある。
【0032】
コア層厚みは0.5mm〜3mmが好ましく、0.5mm〜2.2mmがより好ましい。コア層の厚みが0.5mm未満ではバックアップボードとしての強度剛性不足から、穴開け加工時にプリント基板との間に隙間が生じ、バリが発生する可能性がある。また、コア層の厚みが3mmを超えると、コスト、取り扱い性、リサイクル時の粉砕性が低下する可能性がある。
【0033】
バックアップボードの全厚みは0.7mm〜4mmが好ましく、0.9mm〜3.8mmがより好ましい。バックアップボードの全厚みが0.7mm未満では、強度剛性が充分満足されない可能性があり、4mmを超えるとコスト面、取り扱い性の面で問題となる可能性がある。
【0034】
本発明のバックアップボードの製造方法は、工業的に使用されている公知の方法であればよく、例えばプレス成形、押出し成形、射出成形など適用可能であるが、生産性及び表面平滑性、シートの厚み精度等の点からTダイ多層シート押出し成形法が最適である。
【0035】
本発明のバックアップボードは、図1に示されるように、プリント基板3、例えば銅張積層板、多層板などの下面に配置され、ドリル穴開け加工時に使用される。場合によってはプリント基板3の上面には、例えば特許第3169026号公報、特許第2855824号公報等に開示されているエントリーボード2が使用される。前述のように、両面にスキン層を有する場合は両面使用されうる。
【0036】
ドリル穴開け加工後のバックアップボードは必要に応じて洗浄され、粉砕することで成形用材料として再利用することが可能である。本発明のバックアップボードより得られた再生材は、射出成形材料として雑貨などの用途にも使用可能であるが、本発明のバックアップボードの材料、特にコア層の材料として、好適に再利用可能である。コア層に用いる場合、本発明のバックアップボードより得られた再生材は、本発明の効果を損なわない限り適宜混入可能であるが、コア層のうち10重量%〜85重量%程度であることが好ましい。これらの再生方法を採用することにより、使用済みの穴の開いたバックアップボードは産業廃棄物の発生とならず、環境面、コスト面において有利になる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0038】
<実施例1>
スキン層成形用押出し機に下記組成物1を供給し、コア層成形用押出し機に下記組成物2を供給し、Tダイから、厚み0.3mmのスキン層(表裏層)、厚み1mmのコア層からなるバックアップボードを押し出し成形した。
【0039】
組成物1(スキン層):(A)GPPS(PSジャパン製「G8259」)60重量部、(B)珪酸カルシウム35重量部、(C)ポリエチレングリコール(分子量20,000)5重量部をタンブラーブレンドした組成物
組成物2(コア層):(A)GPPS(PSジャパン製「G8259」)60重量部、(B)珪酸カルシウム39.5重量部、(C)ポリエチレングリコール(分子量20,000)0.5重量部をタンブラーブレンドした組成物
図1に示すように、プリント基板(銅張り積層板)3を3枚を重ねた上に、アルミシートからなるエントリーボード2(三菱瓦斯化学製「LEシート」)を配置し、プリント基板3の下にバックアップボード1を配置した。ドリルビット径0.15mm、回転数150,000rpm、送り速度25μm/rev.1000穴(穴間隔;1mm)の条件で、エントリーボード2側からドリル穴あけ加工を行った。
【0040】
穴あけ加工後のドリル表面を観察し、ドリルへの樹脂の巻きつきの度合いを、下記基準で評価した。
◎:巻きつきがない
○:巻きつきが僅かに見られる
△:巻きつきがかなり見られる
×:巻きつきが激しい
【0041】
また、バックアップボードに接する側のプリント基板の穴周辺のバリ発生度合いを、下記基準で評価した。
○:バリ発生が見られない
△:バリ発生が僅かなに見られる
×:バリ発生が見られる
【0042】
<実施例2>
スキン層及びコア層の(A)成分として、AS樹脂(旭化成ケミカルズ製「STYLAC−AS767」)を用い、スキン層の厚みを0.8mm、コア層の厚みを2mmとした以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0043】
<実施例3>
スキン層及びコア層の(A)成分として、HIPS(PSジャパン製「475D」)を用い、スキン層の厚みを0.2mm、コア層の厚みを0.5mmとした以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0044】
<実施例4>
スキン層及びコア層の(B)成分の量及び(C)成分の量を、表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0045】
<実施例5>
スキン層及びコア層の(A)成分の量及び(B)成分の量を、表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0046】
<実施例6>
スキン層及びコア層の(C)成分として、ポリオキシエチレンラウリルエーテルを使用した以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0047】
<実施例7>
スキン層及びコア層の(C)成分として、ポリオキシエチレンモノラウレートを使用した以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0048】
<実施例8>
スキン層及びコア層の(C)成分として、ポリエチレングリコール(分子量1,000)を使用した以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0049】
<実施例9>
スキン層及びコア層の(B)成分として、炭酸カルシウムを用いた以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0050】
<実施例10>
エントリーボードを配置せずに、実施例1のバックアップボードを評価した。結果を表2に示す。
【0051】
<実施例11>
コア層の材料として、実施例1の評価後のバックアップボードを粉砕して得られた再生樹脂90重量部とGPPS10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。コア層の組成は、(A)GPPS64重量部、(B)珪酸カルシウム34.2重量部、(C)ポリエチレングリコール1.8重量部であった。
【0052】
結果を表2に示す。リサイクルしてもバックアップボードとして充分性能を維持していた。
【0053】
<実施例12>
スキン層及びコア層の(C)成分として、ポリエチレングリコール(分子量6,000)を用いた以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0054】
<実施例13>
スキン層及びコア層の(B)成分として、木粉(AMERICAN WOOD FIBERS社製「Wood Flour 10010」)を用いた以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0055】
<実施例14>
スキン層の(B)成分として、タルクを用い、スキン層の(A)成分の量及び(B)成分の量を、表2のように変更した以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0056】
<実施例15>
スキン層の(C)成分として、ポリエチレングリコール(分子量500)を用いた以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表2に示す。 バックアップボード表面にポリエチレングリコールのブリードアウトと推定されるベタツキが見られ作業性に多少劣るものであった。
【0057】
<実施例16>
スキン層の(C)成分として、ポリエチレングリコール(分子量35,000)を用いた以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0058】
<比較例1>
スキン層及びコア層のポリスチレン系樹脂の代わりにポリプロピレン樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表3に示す。
【0059】
<比較例2>
コア層の組成をスキン層と同一(すなわち単層構成)にした以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表3に示す。
【0060】
<比較例3>
スキン層の(A)成分の量及び(B)成分の量を表3のようにし、コア層のポリスチレン系樹脂の代わりにポリプロピレン樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表3に示す。
【0061】
<比較例4>
スキン層の(A)成分の量及び(B)成分の量を、表3のようにした以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表3に示す。
【0062】
<比較例5>
コア層の組成を表3のようにした以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表3に示す。
【0063】
<比較例6、7>
スキン層の組成を表3のようにした以外は、実施例1と同様にしてバックアップボードを製造し、評価した。結果を表3に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のバックアップボードの使用方法を説明する断面模式図である。
【符号の説明】
【0068】
1 バックアップボード
2 エントリーボード
3 プリント基板
4 ドリル
5 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア層と、該コア層の少なくとも片面に積層されたスキン層を有し、
前記スキン層が、(A)ポリスチレン系樹脂40重量部〜77重量部、(B)無機フィラー又はセルロース系充填剤20重量部〜60重量部、並びに(C)ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンのエステルから選ばれる少なくとも一種の滑剤3重量部〜8重量部を含有し、
前記コア層が、(A)ポリスチレン系樹脂40重量部〜79重量部、(B)無機フィラー又はセルロース系充填剤20重量部〜60重量部、並びに(C)ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンのエステルから選ばれる少なくとも一種の滑剤0.05重量部〜2重量部を含有する
ことを特徴とするプリント基板の穴あけ加工用バックアップボード。
【請求項2】
前記スキン層の厚みが0.2mm〜1mm、前記コア層の厚みが0.5mm〜3mmであることを特徴とする請求項1記載のプリント基板の穴あけ加工用バックアップボード。
【請求項3】
前記滑剤が、分子量1,000〜25,000のポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項1又は2記載のプリント基板の穴あけ加工用バックアップボード。

【図1】
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【公開番号】特開2008−307651(P2008−307651A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158929(P2007−158929)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000100595)アァルピィ東プラ株式会社 (27)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【出願人】(500199479)PSジャパン株式会社 (45)
【Fターム(参考)】