説明

プリント基板を加工した主軸の表示方法

【課題】 プリント基板を加工した主軸を容易に識別することが可能なプリント基板を加工した主軸の表示方法を提供すること。
【解決手段】 主軸を識別するための識別穴をプリント基板に加工するようにしたプリント基板を加工した主軸の表示方法において、主軸6i毎に加工する識別穴Hiの数を変える。このようにすると、プリント基板9に加工された識別穴Hiの数えることにより、加工した主軸を一目で識別することができる。また、識別穴の直径は目視により識別できる大きさであればよく、識別穴Hiの加工領域を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板を加工した主軸の表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板の製造工程は、切断、穴明け、めっき、エッチング、外形加工、部品実装の順に行なわれ、これらの工程は合理化のために自動化が進められている。
【0003】
穴明け工程で使用されるプリント基板の穴明機は、穴明け加工中のトラブル、例えば、使用中のドリルが折損した場合にはアラームを発生させて加工位置の確認を促すように構成されているが、熱変位などによる加工位置の変化については対策されていない。
【0004】
めっき工程あるいはエッチング工程が終了すると目視による外観チェックが行なわれ、このチェックで、例えば、プリント基板に形成された穴の一部が配線パターンのランド部から外れているようなものがあると、そのプリント基板は不良品として排除される。同時に、不良品の発生はそれらの前工程である穴明け工程にも連絡され、その原因の調査が行なわれる。
【0005】
不良のプリント基板がどの穴明機のどの主軸によって加工されたかを確定するためには、全ての穴明機についてその精度を測定する必要がある。このため、一度不良が発生すると長時間自動化ラインが停止し、稼動率を大幅に低下する。
【0006】
そこで、プリント基板に、加工をした穴明機を示す穴と主軸を示す穴とを加工し、不良品が発生した場合に、どの穴明機のどの主軸で加工されたものであるかを容易に確認できるようにしている(特許文献1)。
【0007】
特許文献1の技術をさらに具体的に説明する。
【0008】
図3は、従来の複数の主軸を備える穴明機の構成を示す正面図、図4は従来の穴明機により加工されたプリント基板の平面図である。
【0009】
テーブル1はベース2上を紙面と垂直なX方向に移動自在である。コラム3はベース2に固定されている。クロススライド4はコラム3上を紙面と平行なY方向に移動自在である。スライダ5a〜5dはクロススライド4上を紙面の上下方向であるZ方向に移動自在である。スライダ5a〜5dには主軸61〜64がY方向等間隔に配置されている。主軸61〜64はドリル7を回転自在に保持している。テーブル1には複数のドリル7を保持するドリルカセット8a〜8dが配置されている。
【0010】
なお、テーブル1には主軸61〜64と同数のプリント基板9が主軸61〜64の間隔に合わせて配置される。
【0011】
次に、従来の穴明機の動作を説明する。
【0012】
加工時、主軸61〜64には同径のドリル7を保持させる。そして、テーブル1とクロススライド4をそれぞれ移動させてドリル7の軸線を加工しようとする穴の中心に位置決めした後、スライダ5a〜5dを同時に下降させ、プリント基板9に穴を加工する。
【0013】
製品に必要な穴の加工が終了すると、主軸61〜64に同径のドリル7を保持させ、プリント基板9の予め定める位置に穴明機を表示する穴MHを加工する。次に、テーブル1とクロススライド4をそれぞれ移動させて主軸61を予め定める位置に位置決めし、スライダ5aを下降させてプリント基板9の予め定める位置に主軸61を表示する穴H1を加工する。次に、主軸62を予め定める位置に位置決めし、スライダ5bを下降させてプリント基板9の予め定める位置に主軸62を表示する穴H2を加工する。以下、同様にして、主軸63、64を表示する穴H3、H4を加工する。(以下、この識別方法を「穴位置識別型」という。)
図4は、主軸64によって加工されたプリント基板の平面図であり、基準穴10の一方には穴MHが、他方には識別穴H4が加工されている。また、主軸61〜63によって加工されたプリント基板は点線で示す識別穴H1〜H3のいずれかが加工されている。
【0014】
また、識別穴の別の表示方法として、ドリルカセット8a〜8dの予め定める位置に主軸識別用の互いに径の異なるドリル7を保持させておき、例えば図4における識別穴H1の位置に径が異なる穴をそれぞれ加工するようにすると、識別穴を加工するためのテーブル1またはクロススライド4およびスライダ5a〜5dの移動回数を1回にすることができるので、加工能率を向上させることができる。(以下、この識別方法を「穴径識別型」という。)
【特許文献1】特開平6−55498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
近年、プリント基板の実装密度が高くなり、これに伴って、識別用の穴を加工するための領域が小さくなっている。
【0016】
このため、穴H1〜H4間の距離が狭くなり、穴位置識別型を採用した場合、目視による主軸の識別が困難になっている。
【0017】
一方、穴径識別型を採用する場合、識別穴の加工領域として大きな領域を必要としないが、識別穴を同時に加工するため、ドリル径として径の近いものを採用する必要がある。このため、穴位置識別型の場合と同様に、目視による主軸の識別が困難になっている。また、ドリルカセット8a〜8dに配置するドリルの種類を同じにすることができない。
【0018】
本発明の目的は、プリント基板を加工した主軸を容易に識別することが可能なプリント基板を加工した主軸の表示方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明は、主軸を識別するための識別穴をプリント基板に加工するようにしたプリント基板を加工した主軸の表示方法において、前記主軸毎に加工する前記識別穴の数を変えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
穴数は容易に識別することができるので、識別作業能率が向上する。また、測定具を使用しない場合でも、識別作業の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を図3に示す穴明機に適用する場合について説明する。
【0022】
図1は、本発明による穴明け加工手順を示すフローチャートであり、図2は本発明により加工されたプリント基板の平面図である。
【0023】
なお、ここでは、図3における主軸61〜64を主軸6i(i=1〜4)とし、一桁目のiをそれぞれの主軸の識別番号とする。
【0024】
また、予め主軸番号iの最大値imax(ここでは4)と識別穴Hi(i=1〜4)を加工する穴位置とを定めておく。
【0025】
図示を省略する加工開始ボタンがオンされると、識別穴加工指令であるかどうかを確認し(手順S10)、識別穴加工指令である場合は手順S20の処理を行い、その他の場合は通常の穴明け加工を行った後(手順S90)、手順S100の処理を行う。
【0026】
手順S100では加工終了であるかをどうか確認し、加工が継続される場合は手順S10の処理を行い、その他の場合は処理を終了する。
【0027】
手順S20では、予め記憶されている識別番号の最大値imax(ここでは4)を取りだすと共に、識別番号iをi=1として(手順S30)、識別穴Hi(ここではH1)を加工する(手順S40)。識別穴Hiの加工が終了したら、主軸6i(ここでは主軸61)の上下方向の動作を無効にして(手順S50)、手順S60の処理を行う。
【0028】
手順S60では、識別穴数iと最大値imaxとを比較し、i<imaxの場合は識別番号iをi=i+1として手順S40の処理を行い(手順S70)、その他の場合は手順S80の処理を行う。
【0029】
手順80では、無効にされた全主軸の上下方向の動作を有効にして手順S100の処理を行う。
【0030】
この結果、加工が終了したプリント基板には主軸番号iに対応する数の識別穴Hiが加工され、例えば図2に示すプリント基板は主軸64によって加工されたもであることを容易に視認することができる。
【0031】
この実施形態では、穴明け加工の途中で識別穴を加工するようにしたので、例えば、識別穴加工領域に近い穴を加工した後、直ちに識別穴Hiを加工することができる。この結果、ドリルを識別穴加工位置に位置決めするための時間を短縮することができるので、加工の率が向上する。
【0032】
なお、識別穴Hiの径は視認できる大きさ(例えば、0.5mm)であれば良いため、識別穴加工領域を小さくすることができる。
【0033】
また、識別穴を加工する工程である手順S20〜S80は手順S100の処理が終了した後に行っても良い。
【0034】
また、穴明機が複数台ある場合は、例えば手順S100が終了した後、従来技術の場合と同様に、穴明機を示す識別穴MHを加工するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による穴明け加工手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明により加工されたプリント基板の平面図である。
【図3】従来の複数の主軸を備える穴明機の構成を示す正面図である。
【図4】従来の穴明機によって加工されたプリント基板の平面図である。
【符号の説明】
【0036】
6i 主軸(61〜64)
9 プリント基板
Hi 識別穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸を識別するための識別穴をプリント基板に加工するようにしたプリント基板を加工した主軸の表示方法において、
前記主軸毎に加工する前記識別穴の数を変えることを特徴とするプリント基板を加工した主軸の表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−253262(P2007−253262A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78701(P2006−78701)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000233332)日立ビアメカニクス株式会社 (237)
【Fターム(参考)】