説明

プリント基板供給装置およびプリント基板供給方法

【課題】プリント基板に反りがある場合であっても、搬送路上に安定して1枚ずつ供給できるプリント基板供給装置およびプリント基板供給方法を提供する。
【解決手段】最も下に位置するプリント基板10の下方に進入、後退可能であって、進入時に複数のプリント基板4を下方において支持する支持部材2と、複数のプリント基板4を両側方から挟持、開放可能であって、少なくとも支持部材2に支持された最も下に位置するプリント基板を挟持する一対の挟持部材3と、挟持部材3により挟持された複数のプリント基板4の内、少なくとも最も下に位置するプリント基板を側方から叩く打撃部材とを有し、挟持部材3の下端が、最も下に位置するプリント基板を、プリント基板4の上面から厚みの50%未満の部分を挟持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板を1枚ずつ搬送路上に供給するプリント基板供給装置およびプリント基板供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送路上に配置され、プリント基板の幅に略等しい距離を隔てて垂直に対向して配置された一対の幅決め部材と、この幅決め部材の下部に位置し、横方向より貫通して互いに異方向、かつ、同時に進入、後退し、この幅決め部材の間に積み重ねて収められたプリント基板の最下位置のものを係合離脱して、搬送路上に供給される一対の係止手段と、この係止手段の真上で一枚のプリント基板所要の厚さに略等しい距離を隔てて位置し、横方向より同時に進入・後退し、幅決め部材の間に積み重ねて収められたプリント基板の最下位置より2番目のものを開放自在に保持させる一対の保持手段とを備えたプリント基板供給装置が提供されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−031628号公報
【特許文献2】実開昭53−127166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来のプリント基板供給装置100は、図5に示すように、最下位置(下から1枚目)のプリント基板103を係止手段105が係止し、下から2枚目のプリント基板102を保持部材104が保持した後、係止手段105を後退させることにより重力を利用して搬送路上に一枚ずつ供給できる点において優れている。
【0005】
しかし、プリント基板には反りがあるのが通常であり、かかる反りの量および反りの方向はプリント基板のロット毎にバラツキがある。このため、常に図5に示したような設計値通りにプリント基板を供給できるわけではない。
【0006】
例えば、図6に示したように、下に凸になるようにプリント基板103等が大きく反っていた場合は、プリント基板103を保持部材104が保持し、プリント基板103が搬送路上に落下しないという問題がある。
【0007】
また、図7に示したように、上に凸になるようにプリント基板103等が反っていた場合は、下から3枚目のプリント基板101を保持部材104が保持することがあり得る。この場合は、係止手段105を後退させると、搬送路上に2枚のプリント基板102および103が落下するため、次工程に存するチップマウンターのヘッドがプリント基板102に衝突し、かかる衝突によりヘッド等が故障するという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、プリント基板に反りがある場合であっても、搬送路上に安定して1枚ずつ供給できるプリント基板供給装置およびプリント基板供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(第1発明)
第1発明に係るプリント基板供給装置は、搬送路上に配置され、積載された複数のプリント基板を、下方から1枚づつ分離供給するプリント基板供給装置に関するものである。そして、最も下に位置するプリント基板の下方に進入、後退可能であって、進入時に複数のプリント基板を下方において支持する支持部材と、この支持部材に支持された最も下に位置するプリント基板を含む複数のプリント基板を両側方から挟持、開放可能な一対の挟持部材と、この挟持部材に挟持された最も下に位置するプリント基板を側方から叩く打撃部材とを有し、挟持部材は、最も下に位置するプリント基板を、最も下に位置するプリント基板の上面からプリント基板の厚みの50%未満までの部分を少なくとも挟持するものである。
【0010】
(第2発明)
第2発明に係るプリント基板供給方法は、搬送路上に配置され、積載された複数のプリント基板を、下方から1枚づつ分離供給するプリント基板供給方法に関するものである。そして、最も下に位置するプリント基板の下方に支持部材を進入させて、この支持部材により複数のプリント基板を下方において支持し、この支持部材に支持された最も下に位置するプリント基板を少なくとも最も下に位置するプリント基板の上面からプリント基板の厚みの50%未満までの部分を側方から挟持部材により挟持しつつ、複数のプリント基板も挟持すると共に、支持部材を後退させた後、最も下に位置するプリント基板を打撃部材により側方から叩くことにより搬送路上にプリント基板を供給するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、プリント基板に反りがある場合であっても、搬送路上に1枚ずつ安定してプリント基板を供給可能なプリント基板供給装置およびプリント基板供給方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明に係るプリント基板供給装置の斜視図、図2は本発明に係るプリント基板供給装置(プリント基板挟持前)の上面図、図3は本発明に係るプリント基板供給装置(プリント基板挟持後)の上面図、図4は最も下に位置するプリント基板と挟持部材の位置関係を説明するための模式図である。
【0014】
(プリント基板供給装置)
図1乃至図4に示すように、本発明に係るプリント基板供給装置1は、図示しないコンベア等の搬送路上に配置され、積載された複数のプリント基板4を、下方から1枚づつ分離供給するものである。
【0015】
このプリント基板供給装置1は、積載された複数のプリント基板4の内、最も下に位置するプリント基板10の下方に進入、後退可能であって、進入時に複数のプリント基板4を下方において支持する4個の支持部材2と、複数のプリント基板4を両側方から挟持、開放可能であって、支持部材2に支持された複数のプリント基板4の一部または全部を挟持する一対の挟持部材3と、この挟持部材3により挟持された複数のプリント基板4の内、少なくとも最も下に位置するプリント基板10を側方から叩く打撃部材5とを有する。
【0016】
前記した支持部材2は、回転軸8を中心に回動自在に取り付けられており、モータ7の正逆回転に伴なうラック9の往復動作に応じてプリント基板10の下方に進入、後退する。本実施例においては、支持部材2が合計4個あり、それぞれの支持部材4が略同時にプリント基板10の下方に進入、後退する。
【0017】
尚、図1において図示を省略しているが、モータ7の先端にはピニオンギアαが取り付けられており、このピニオンギアαとラック9が機械的に接続されている。そして、回転軸8の一端にも別のピニオンギアβが取り付けられており、このピニオンギアβがラック9と機械的に接続されている。このため、モータ7の動力がピニオンギアαからラック9に伝達されてラック9の往復動作が可能である。また、ラック9の往復動作はピニオンギアβにより回転軸8に伝達され、支持部材2が回動動作できる。ここで、回動とは、正逆方向に円運動することをいう。
【0018】
また、前記した挟持部材3は、図示しないバネ等によりプリント基板4を積載する側とは反対側に常に付勢されており、回転軸8に固定されたカム6の動作に連動して複数のプリント基板4を挟持、すなわち挟み込んで把持する。
【0019】
また、前記した打撃部材5は、図3に示すように、プリント基板10の側方に設置されており、プリント基板10を叩く作用をするものである。例えば、打撃部材5としては、電磁力によって先端部14が突出するソレノイド等を採用することができる。
【0020】
(プリント基板供給方法)
前記したプリント基板供給装置1を用いて図示しない搬送路にプリント基板4を1枚ずつ供給する方法について、主に図2および図3を用いて以下に説明する。尚、図2および図3は、説明を簡単にするため、図1における上部プレート13を無くした状態でプリント基板供給装置1のプリント基板近傍を上方から見たものを図示したものである。また、図2においては打撃部材5の図示を省略している。
【0021】
まずモータ7を動作(正転)させて、図2に示すように、4個の支持部材2をプリント基板10の下方に進入させると共に、挟持部材3を開放させる。そうすると、積載されたプリント基板4は、挟持部材3の挟持から開放されるので、支持部材2により下方において支持される。
【0022】
次に、図3に示すように、モータ7を動作(逆転)させて、挟持部材3により、少なくとも最も下に位置するプリント基板10を含む積載されたプリント基板4の全部または一部を挟持すると共に、4個の支持部材2をプリント基板10の下方から後退させる。その後、異なる位置に配置した2個の打撃部材5を交互に動作させてプリント基板10を叩き、プリント基板10のみを図示しない搬送路上に落下させる。
【0023】
ここで、図4に示すように、挟持部材3は、最も下に位置するプリント基板10を、このプリント基板10の上面11からプリント基板10の厚みAの50%未満までの部分Bを挟持する。つまり、挟持部材3の下端12は、プリント基板10の上面からプリント基板10の厚みAの50%未満の間に位置しており、AとBの関係は、0.5×A>Bとなる。
【0024】
かかる構成により、プリント基板10が上に凸になるように反っていても、下に凸になるように反っていても、下から2枚目のプリント基板4を確実に把持(挟持)することができるので、下から1枚目のプリント基板10と共に下から2枚目のプリント基板4も同時に搬送路に供給することが無い。
【0025】
さらに、図4において、プリント基板10を0.5×A>Bという関係で挟持するため、プリント基板10が上に凸になるように反っていても、下に凸になるように反っていても挟持部材3は強力にプリント基板10を挟持することが無い。このため、打撃部材5によりプリント基板10の側方からプリント基板10に対して衝撃を与えると、プリント基板10が挟持部材3の挟持から容易に開放される。尚、打撃部材5は、図3に示すように、プリント基板10を異なる方向から叩く位置に複数配置するのが望ましく、かつ、交互に動作させるのが望ましい。
【0026】
尚、寸法Bの設定は、前記したように、プリント基板の厚みAの0.5倍よりも少なければ良いが、0.2×A≦B<0.5×Aに設定することがより望ましい。プリント基板10が大きく上に凸になるように反っていても、より確実に2枚目を強力に挟持部材3で挟持できるからである。
【0027】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載から当事者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。
【0028】
例えば、前記した実施例においては、支持部材2が4個あるものを示したが、プリント基板10の下方において上下動する1個の支持部材であっても良い。また、打撃部材5は、1個であっても3個以上であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、プリント基板実装装置に対してプリント基板を1枚ずつ供給するプリント基板供給装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】プリント基板供給装置の斜視図
【図2】プリント基板供給装置(プリント基板挟持前)の上面図
【図3】プリント基板供給装置(プリント基板挟持後)の上面図
【図4】プリント基板と挟持部材の位置関係を説明するための模式図
【図5】従来の係止手段と保持部材の動作を説明するための模式図
【図6】従来の係止手段と保持部材の動作を説明するための模式図
【図7】従来の係止手段と保持部材の動作を説明するための模式図
【符号の説明】
【0031】
1 プリント基板供給装置
2 支持部材
3 挟持部材
4 プリント基板
5 打撃部材
10 最も下に位置するプリント基板
11 最も下に位置するプリント基板の上面
12 挟持部材の下端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路上に配置され、積載された複数のプリント基板を、下方から1枚づつ分離供給するプリント基板供給装置において、
最も下に位置する前記プリント基板の下方に進入、後退可能であって、進入時に複数の前記プリント基板を下方において支持する支持部材と、
該支持部材に支持された最も下に位置する前記プリント基板を含む複数の前記プリント基板を両側方から挟持、開放可能な一対の挟持部材と、
該挟持部材に挟持された最も下に位置する前記プリント基板を側方から叩く打撃部材とを有し、
該挟持部材は、最も下に位置する前記プリント基板を、該プリント基板の上面から該プリント基板の厚みの50%未満までの部分を少なくとも挟持することを特徴とするプリント基板供給装置
【請求項2】
搬送路上に配置され、積載された複数のプリント基板を、下方から1枚づつ分離供給するプリント基板供給方法において、
最も下に位置する前記プリント基板の下方に支持部材を進入させて、該支持部材により複数の前記プリント基板を下方において支持し、
該支持部材に支持された最も下に位置する前記プリント基板を少なくとも該プリント基板の上面から該プリント基板の厚みの50%未満までの部分を側方から挟持部材により挟持しつつ、複数の前記プリント基板も挟持すると共に、前記支持部材を後退させた後、
最も下に位置する前記プリント基板を打撃部材により側方から叩くことにより前記搬送路上にプリント基板を供給することを特徴とするプリント基板供給方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−114252(P2010−114252A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285344(P2008−285344)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】