説明

プリント装置および測色装置

【課題】測色用の画像がプリントされたシートの乾燥もしくは測色の期間中にも、別のシートに対する通常画像のプリントを可能とする。
【解決手段】第1の経路に沿って搬送されるシートに画像をプリントするプリント部と、第1の経路からシートが移行可能であって、プリント部でプリントされたシートを待機させるために設けられた第2の経路と、画像がプリントされたシートを測色する測色部とを有する。第2の経路に移行したシートを測色部で測色する前に待機もしくは測色部で測色している状態で、第1の経路を用いて別のシートにプリント部で画像をプリントすることが可能である

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにプリントされた画像の測色機能を備えたプリント装置およびプリント方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シートにインクを付与して画像をプリントするプリント装置においては、同じインクを用いて画像をプリントしたとしても、シートの種類、および温度や湿度などの環境によって画像の濃度が異なることがある。商業用のプリント物などでは、異なる時に画像をプリントしたとしても、同じプリント濃度であることが望まれている。
【0003】
特許文献1には、所望の通常画像をプリントする本プリントの前に、測色用のカラーパッチをシートにプリントし、そのカラーパッチを測色した測色データに基づいて、本プリントの際にキャリブレーションを行う方法が記載されている。このような方法を用いることにより、本プリントの際には、それ以前にプリントされた画像と同じ濃度の画像をプリントすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−281549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カラーパッチの測色の前には、プリントしたカラーパッチの色を安定させるために、十分に乾燥させる必要がある。このために、例えば、数時間〜数十時間という長い時間の自然乾燥が必要である。シートの乾燥中は、そのシートが装置内に待機することになり、その間、ユーザーは、本来の通常画像のプリント作業の中断が強いられる。
【0006】
本発明の目的は、測色用の画像がプリントされたシートの乾燥もしくは測色の期間中にも、別のシートに対する通常画像のプリントを可能とするプリント装置およびプリント方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプリント装置は、第1の経路と、前記第1の経路に沿って搬送されるシートに画像をプリントするプリント部と、前記第1の経路からシートが移行可能であって、前記プリント部でプリントされたシートを待機させるために設けられた第2の経路と、前記画像がプリントされたシートを測色する測色部と、を有し、前記第2の経路に移行したシートを前記測色部で測色する前に待機もしくは前記測色部で測色している状態で、別のシートに前記プリント部で画像をプリントすることが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第2の経路に移行したシートを乾燥のために長時間待機させている状態もしくは測色している状態で、第1の経路を用いて別のシートに、シート同士が干渉することなく画像をプリントすることが可能である。つまり、測色を行わない通常画像のプリントは待機や測色の間にも並行して行うことができる。ユーザーは、本来のプリント作業が開始可能になるまで長時間待たされることが無くなり、プリントの生産性と利便性が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるプリント装置全体の概略構成図である。
【図2】図1における測色ユニットの拡大図である。
【図3】図1のプリント装置の制御系のブロック構成図である。
【図4】(a)は、図1のプリント装置によるカラーパッチのプリント動作の説明図であり、(b)は、カラーパッチがプリントされたシートの待機状態の説明図である。
【図5】(a)は、図1のプリント装置によるカラーパッチの測色動作の説明図であり、(b)は、カラーパッチがプリントされたシートの排紙動作の説明図である。
【図6】(a)は、本発明の第2の実施形態におけるプリント装置によるカラーパッチのプリント動作の説明図であり、(b)は、カラーパッチがプリントされたシートの待機状態の説明図である。
【図7】(a)は、図1のプリント装置によるカラーパッチの測色動作の説明図であり、(b)は、カラーパッチがプリントされたシートの排紙動作の説明図である。
【図8】図6における測色装置を設置する位置の異なる例の説明図である。
【図9】本発明の第3の実施形態におけるプリント装置全体の概略構成図である。
【図10】図9における測色部の斜視図である。
【図11】図9のプリント装置によるプリント動作の説明図である。
【図12】(a)は、図9のプリント装置によるカラーパッチのプリント動作の説明図であり、(b)は、カラーパッチがプリントされたシートの乾燥状態の説明図であり、(c)は、カラーパッチの測色動作の説明図である。
【図13】図9のプリント装置の制御系のブロック構成図である。
【図14】図9のプリント装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】図9のプリント装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】(a),(b),(c),(d)は、それぞれ、本発明の第4の実施形態のプリント装置における異なる動作の説明図である。
【図17】(a),(b),(c),(d)は、それぞれ、本発明の第5の実施形態のプリント装置における異なる動作の説明図である。
【図18】本発明の第6の実施形態におけるプリント装置全体の斜視図である。
【図19】図18のプリント装置におけるプリント動作時の要部の説明図である。
【図20】図18のプリント装置におけるシート乾燥時の要部の説明図である。
【図21】本発明の第7の実施形態のプリント装置におけるシート乾燥時の要部の説明図である。
【図22】本発明の第8の実施形態のプリント装置におけるシート乾燥時の要部の説明図である。
【図23】本発明の第9の実施形態のプリント装置におけるシート乾燥時の要部の説明図である。
【図24】本発明の第10の実施形態のプリント装置におけるシート乾燥時の要部の説明図である。
【図25】本発明の第11の実施形態のプリント装置におけるシート乾燥時の要部の説明図である。
【図26】本発明の第12の実施形態のプリント装置におけるプリント動作時の要部の説明図である。
【図27】図26のプリント装置におけるシート巻き戻し時の要部の説明図である。
【図28】図26のプリント装置におけるシート乾燥時の要部の説明図である。
【図29】本発明の第13の実施形態のプリント装置におけるシート乾燥時の要部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の実施形態の装置はいずれも、カラーキャリブレーション機能を備えたプリント装置であって、シートに画像をプリントするプリント部と、カラーキャリブレーション等のために画像(検査パターン)がプリントされたシートを測色する測色部とを有している。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるプリント装置100の概略構成図である。本例のプリント装置100において、ロール状に巻回された長尺のシート1は、給紙部にセットされ、搬送ローラ対2によって矢印A方向に搬送される。本明細書においては、シートが搬送される経路の任意の位置において、排出部がある側を下流側、その逆を上流側というものとする。
【0012】
測色を行わない通常画像のプリントの場合、給紙部300から供給されたシート1は、プリント部3のプリント位置において所望の画像がプリントされ、その後、カッタ4によってカットされる。カットされたシート1は、プリント搬送経路5を通って、スタンド400に取り付けられた通常シート用のバスケット(第1の排出部)19に排出される。本明細書では、プリント部3でのプリントの際にシートが搬送される経路を第1の経路と呼ぶ。
【0013】
一方、測色データを取得する場合、給紙部300から供給されたシート1は、第1の経路を通って搬送され、プリント部3のプリント位置において測色用のカラーパッチのパッチ列Pがプリントされる。その後、カラーパッチがプリントされたシート1は、カッタ4によってカットされてから、プリント搬送経路5から分岐した測色搬送経路6を通って、プリント装置100に組み込まれた測色部200へと搬送(バックフィード)される。シート端部がローラ対でニップされた状態で停止する。そして測色を開始する前に、インク乾燥のために長時間シートは待機状態とされる。待機の後、再びシートを搬送して測色部200によって、パッチ列Pの測色が行われた後のシート1は、測色搬送経路6を通って、測色シート用のバスケット(第2の排出部)20に排出される。
【0014】
本明細書では、測色搬送経路6を第2の経路と呼ぶ。測色搬送経路6は、測色位置を通る水平の第2経路部6aと、その第2経路部6aの下流に斜め下方につながる第2経路部6bと、を含む。第2の経路は、第1の経路からシートが移行可能であって、プリント部3でプリントされたシートを測色の前に待機させるために設けられたものである。
【0015】
以下、このようなプリント装置100における構成および機能について詳細に説明する。
【0016】
プリント部3は、インクをシート1に付与することによりカラーパッチを含む画像をプリントするものであり、例えば、インクを吐出可能なインクジェット方式のプリントヘッドを用いることができる。インクジェット方式のプリントヘッドは、電気熱変換素子(ヒーター)やピエゾ素子などの吐出エネルギー発生素子を用いて、インクを吐出するものである。電気熱変換素子を用いた場合には、その発熱によってインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用してノズル先端の吐出口からインクを吐出することができる。また、プリント部3のプリント方式は任意であり、いわゆるシリアルスキャン方式やフルライン方式などのプリント方式であってもよい。シリアルスキャン方式の場合には、シート搬送方向におけるシートの搬送と、そのシート搬送方向と交差する方向におけるプリントヘッドの走査と、を繰り返すことにより、プリント位置において画像をプリントする。また、フルライン方式の場合には、シート幅方向に沿って延在する長尺なプリントヘッドを用い、シートを連続的に搬送しながらプリント位置において画像をプリントする。本例のプリント装置100は、シリアルスキャン方式のプリント部3を備えており、プリントヘッドを搭載したキャリッジをシート搬送方向と交差(本例の場合は、直交)する方向に往復移動させる構成となっている。プリント部3は、複数色のインクを用いてカラー画像をプリントすることができる。その場合、カラーパッチとして、インク色毎のパッチを格子状に配列したパッチ列をプリントすることができる。カラーパッチの形態は、特定されず任意である。
【0017】
次に、図2に基づいて測色部200の構成例について説明する。測色部200は、カラーキャリブレーションのための色パターン(パッチ列)の色を読み取るためのセンサを有する読取部である。パッチ列Pの色彩を定量測定する測色センサ7は、センサ保持体8によって保持され、そのセンサ保持体8は支持板9に支持されている。センサ保持体8の底面に設けられた摺動部材10は、支持板9に接している。センサ保持体8に係止されたループ状のベルト11は、図2中紙面の表裏方向に離れて位置するモータプーリ12とアイドラプーリ13との間に掛け渡されている。モータ14によってモータプーリ12が回転されることにより、ベルト11を介して、センサ保持体8がシート幅方向(図2中紙面の表裏方向)に移動される。その移動の際、支持板9、摺動部材10、およびセンサ保持体8を介して、支持板9の押圧面9aに対する測色センサ7の姿勢精度は維持される。
【0018】
支持板9には色校正板15が設けられており、測色センサ7は、支持板9上をシート幅方向に走査することにより、支持板9に設けられたスリット9bを介して、シート1にプリントされたカラーパッチを測色する。色校正板15は、測色センサ7の経時的変化を校正するためのものであり、測色センサ7は、測色走査中にも頻繁に色校正板15と対向する位置に移動して校正を行う。測色センサ7、センサ保持体8、支持板9、摺動部材10、ベルト11、モータプーリ12、アイドラプーリ13、モータ14、および色校正板15は、測色装置としてのユニットを構成しており、以下、それを測色ユニットUという。
【0019】
図3は、プリント装置100の制御系のブロック構成図である。CPU600は、ROM601に記憶された制御プラグラムにしたがってプリント、乾燥、測色の動作を含むプリント装置全体の制御を行う。CPU600には、ホストコンピューター602から、プリントデータおよびプリントモード設定情報等が入力インターフェイス603を介して入力される。CPU600は、それらのプリントデータ等をRAM604に書き込んだり、または、読み出したりする。CPU600は、ホストコンピューター602からのプリントデータ、プリントモード情報、および測色センサ7からの測色データに基づいて、プリントヘッド607、測色ユニット駆動部609、およびモータ605,606,608,14を制御する。測色ユニット駆動部609は、後述するように測色ユニットUを昇降させるための駆動部である。また、モータ605は、図2の搬送ローラ2を駆動するためのシート搬送モータであり、モータ606は、後述する測色用搬送ローラ対18を駆動するための測色用シート搬送モータである。また、モータ608は、前述したプリント部3のキャリッジを移動させるためのモータであり、モータ14は、図2のように測色ユニットUに備わるモータである。ホストコンピューター602から、プリントデータおよびプリントモード設定情報等がプリント装置100に転送されると、CPU600は、プリントモードの設定情報にしたがってプリント制御方法を決定して、プリントを開始する。
【0020】
次に、プリント装置100におけるプリント、測色、および排紙の一連の動作を図4および図5に基づいて説明する。
【0021】
測色データを取得する場合には、まず、図4(a)に示すように、シート1が給紙部300から搬送ローラ対2によって、第1の経路を通ってプリント部3まで搬送される。シート1は、搬送ローラ対2による間欠的な搬送を伴って、プリント部3のプリントヘッド607により測色用のカラーパッチとして複数のパッチ列Pがプリントされ、その後、カッタ4によってカットされる。本例においては、パッチ列PがP1,P2,P3・・・のように複数プリントされる。
【0022】
カットされたシート1aは、図4(b)に示すように、搬送ローラ対2と測色用搬送ローラ対18によって矢印B1方向に搬送(バックフィード)されて、第1の経路から第2の経路である測色搬送経路6に移行する。その際、シート1aがカットされた後のシート1は、図4(b)のように、搬送ローラ対2の回転、および給紙部300の巻き戻し回転によって、シート1aと干渉しない退避位置にまで搬送される。
【0023】
シート1aは、図4(b)のように第2経路部6a内に搬送され、パッチ列Pが測色センサ7よりも搬送方向の上流側(図中の右側)に位置したときに、その搬送が停止される。シート1aは、その搬送が停止された状態のまま、その位置(待機位置)においてパッチ列Pが自然乾燥されるまで長時間の待機状態になる。この状態では、シート1a(第1のシート)は測色搬送経路6内に待機位置にある、すなわちシートの1aの少なくとも一部が第2の経路にあって待機状態にある。この待機状態では、図5(a)のように、シート1(第2のシート)に対して、プリント搬送経路5を利用した通常画像のプリントを並行して行うことが可能となる。また、待機の後、パッチ列を測色器が読み取る最中にも、通常画像のプリントを並行して行うことが可能となる。
【0024】
長時間待機してインクが十分に自然乾燥したら、シート1aのパッチ列Pが乾燥した後、図5(a)のように、パッチ列Pが測色位置であるスリット9bの直下に位置するまで、測色用搬送ローラ対18によってシート1aを矢印B2方向に搬送する。そして、測色ユニットUを駆動部609によって矢印C1に下降させて、押圧面9aによってシート1aの表面を押圧する。このようなシート1aの押圧状態において、測色センサ7がシート幅方向(図5(a)中紙面の表裏方向)へ走査して、パッチ列Pを測色する。P1,P2,P3のようにパッチ列Pが複数プリントされている場合には、シート1aの押圧解除、シート1aの矢印B2方向への搬送、およびシート1aの押圧を伴って、それらのパッチ列を順次測色位置に移動させて、それらのパッチ列を測色する。例えば、図5(a)のようにパッチ列P1を測色した後は、測色ユニットUを矢印C2方向(図5(b)参照)に上昇させてシート1aの押圧を解除してから、次のパッチ列P2が測色位置に位置するようにシート1aを矢印B2方向に搬送させる。その後、測色ユニットUの下降によってシート1aを押圧してから、測色センサ7の走査によってパッチ列P2を測色する。
【0025】
パッチ列Pの測色が終了した後は、図5(b)に示すように、測色ユニットUを上昇させてシート1aの押圧を解除してから、測色用搬送ローラ対18によって、シート1aを測色搬送経路6の第2経路部6bを通して搬送して測色用バスケット20に排紙する。
【0026】
待機中もしくは測色中に並行してプリント部3によって通常の画像がプリントされたシートは、図5(b)のように、搬送ローラ対2によって通常プリント搬送経路5に沿って搬送され、そしてカッタ4によりカットされる。カットされたシートは、シート1b(図5(a)参照)として通常プリント用バスケット19に排紙される。
【0027】
本実施形態によれば、第1の経路に沿って搬送されるシートに画像をプリントするプリント部と、第1の経路からシートが移行可能な第2の経路と、画像がプリントされたシートを測色する測色部とを有することを基本構成とする。第2の経路は、プリント部でプリントされたシートを待機させるために設けられる経路である。そして、第2の経路に移行したシートを測色部で測色する前に待機している状態もしくは測色部で測色している状態で、第1の経路を用いて別のシートにプリント部で画像をプリントすることが可能であることを特徴とする。より具体的には、プリント部は測色部よりも下流側にあり、第1の経路を搬送しながらプリント部で測色を行う画像をプリントしたシートは、上流に向けて搬送して第1の経路から第2の経路に移行さる。次いで、第2の経路において待機の済んだシートは下流に向けて搬送して測色部で測色を行う。このような構成および動作によって、シート同士が干渉することなく、測色を行わない通常画像のプリントは待機の間にも並行して行うことができる。したがって、ユーザーは本来のプリント作業が開始可能になるまで長時間待たされることが無くなり、プリントの生産性と利便性が大きく向上する。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図6および図7に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施形態と同様の部分については、同一符号を付して説明は省略する。
【0029】
本例においては、測色搬送経路6に、後述する測色用搬送ローラ対18a,18b、分岐部21(切換手段)、駆動部22、および排紙ガイド23とうの部材が備えられており、これらは測色ユニットUに対して一体的に取り付けられ、一体のユニットとなっている。この一体のユニットとなった測色装置を以下、測色部Sという。測色部Sは、固定部24によって、プリント装置100に着脱自在に取り付けられている。
【0030】
第1の経路は、給紙部300からプリント部3を通るカッタ4までの経路である。また、第2経路は測色搬送経路6であり、測色センサ7と対向する測色位置を通る水平の第2経路部6aと、その第2経路部6aから斜め下方につながる第2経路部6bと、を含む。
【0031】
測色を行うためには、まず、図6(a)に示すように、シート1が給紙部300から搬送ローラ対2によって、第1の経路を通ってプリント部3まで搬送される。シート1は、搬送ローラ対2による矢印A方向の搬送を伴いがながら、プリント部3よって測色用のパッチ列Pがプリントされる。本例の場合は、P1,P2・・・のように複数のパッチ列がプリントされる。パッチ列Pがプリントされたシート1は、カッタ4によりカットされる。カットされたシートをシート1aとする。シート1aは、図6(b)のように、搬送ローラ対2と測色用搬送ローラ対18aによって矢印B1方向に搬送されて、測色搬送経路6の第2経路部6a内に送り込まれる。つまり、シート1aは第1の経路から第2の経路に移行する。その際、プリント搬送経路5と測色搬送経路との分岐部に備わる分岐部21は、図6(a)のように第2経路を開く水平の状態あり、シート1aは、その分岐部21にガイドされるようにして第2経路部6a内に搬送される。
【0032】
第2経路部6a内に搬送されるシート1aは、図6(b)に示すように、パッチ列Pが測色センサ7よりも搬送方向の下流側(図中の左側)に位置してときに停止される。また、シート1aが分岐部21よりも搬送方向の下流側に搬送されたときに、分岐部21は、駆動部22によって反時計回りに回動されて、図6(b)に示すように第2経路部6aと第2経路部6bとを接続する。シート1aは、図6(b)のように、右端部が測色用搬送ローラ対18aにより挟持されて、左端部が自重で下方に垂れ下がった姿勢のまま、パッチ列Pが乾燥されるまで待機する。
【0033】
このようにシート1aが待機していて、分岐部21が第2経路部6aを閉じた状態であれば、図7(a)のように、シート1に対して、プリント搬送経路5を利用した通常画像のプリントを並行して行うことが可能となる。本例の分岐部21は、上下方向に回動することによりシートの通過方向を切り換える。
【0034】
パッチ列Pが乾燥されたシート1aは、図7(a)に示すように、パッチ列Pが測色位置であるスリット9bの直下に位置するまで、測色用搬送ローラ対18aによって矢印B2方向に搬送される。そして、測色ユニットUを矢印C1方向に下降させて、押圧面9aによってシート1aの表面を押圧し、その押圧した状態において、測色センサ7がシート幅方向へ走査してパッチPを測色する。P1,P2,P3のようにパッチ列Pが複数プリントされている場合には、シート1aの押圧解除、シート1aの矢印B2方向への搬送、シート1aの押圧を伴って、それらのパッチ列をP3,P2,P1の順に測色位置に移動させて、それらのパッチ列を測色する。
【0035】
パッチ列Pの測色が終了した後は、測色ユニットUを矢印C2方向に上昇させてシート1aの押圧を解除してから、測色用搬送ローラ対18a,18bによって、シート1aを測色搬送経路6の第2経路部6bを通して搬送して測色用バスケット20に排紙する。
【0036】
待機もしくは測色と並行して、プリント部3によって通常の画像がプリントされたシートは、図7(a)のように、搬送ローラ対2によって通常プリント搬送経路5に沿って搬送され、そしてカッタ4によりカットされる。カットされたシートは、通常プリント用バスケット19に排紙される。
【0037】
ユニットである測色部Sは、プリント装置100に対して着脱自在であるため、測色が必要のない場合には、測色部Sを取り外すことにより、プリント装置100を測色機能のない通常のプリント装置として使用することできる。したがって、測色部Sをオプション化することが可能となる。また、本例の測色部Sは、プリント部3よりもプリント時の搬送方向(矢印A方向)の下流側に設置されている。しかし、測色部Sは、図8に示すように、プリント部3よりもプリント時の搬送方向(矢印A方向)の上流側に設置してもよい。
【0038】
本実施形態は、プリント部は測色部よりも上流側にあり、第1の経路を搬送しながらプリント部で測色を行う画像をプリントしたシートは、下流に向けて搬送して第1の経路から第2の経路に移行させる。次いで、第2の経路において待機の済んだシートは上流に向けて搬送して測色部で測色を行うものである。この構成および動作により、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。加えて、測色部が着脱可能とすることにより、測色部のオプション化が可能となる。また、測色部のメンテナンス時には、それをプリント装置から取り外すことにより、通常のプリント作業を妨げることがなくなり、測色部のメンテナンスによる待機時間を短縮することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態のプリント装置全体の概略構成図である。プリンタ本体101において、プリント媒体としてのシートは、上流搬送ローラ対111によって給紙部121から矢印E1方向に供給される。シートは、プリント部119によって測色用のカラーパッチがプリントされた後、分岐部106(切換手段)の回動位置に応じて、矢印F1方向に沿って測色経路108に誘導、あるいは矢印G方向に沿って排出経路109に誘導される。図9中の分岐部106は、シートを測色経路108へ誘導する回動位置にある。測色経路108に誘導されたシートは、後述するように、保持ローラ対113により保持された状態で乾燥され、その後、プリント部119側へ戻されながら、測色部114によってカラーパッチが測色される。その後、そのシートは、分岐部106によって矢印Gの排出経路109に誘導されて、排出される。測色用のカラーパッチではない所望の画像をシートにプリントする場合には、その画像がプリント部9によってシートにプリントされてから、そのシートが分岐部106の可動によって矢印Gの排出経路109に誘導されて、排出される。
【0040】
図10は、測色部114の構成例を説明するための斜視図である。本例の測色部114は、シートP11にプリントされた測色対象のカラーパッチ104の色情報を測色センサ201によって読み取る。以下、カラーパッチがプリントされるシートP11を「測色シート」ともいう。測色センサ201は、レール202に沿って、測色シートP11の搬送方向(矢印F1,F2方向)と交差(本例の場合は、直交)する矢印H方向に移動することにより、カラーパッチ104を測色する。測色センサ201は、測色センサ用の駆動部203の駆動力が伝達部204を介して伝達されることにより移動される。本例の伝達部204は、駆動部203によって回動されるモータプーリ204Aと、アイドラプーリ204Bと、の間に掛け渡されたベルト204Cによって、駆動力を測色センサ201に伝達する構成となっている。なお、本実施形態に限らず、他の実施形態の装置の測色部も、図10と同様の構成である。
【0041】
図11は、測色部4によって測色されない画像がプリントされたシートP12の搬送経路の説明図である。このように測色されないシートP12を「非測色シート」ともいう。非測色シートP12に画像をプリントする場合、分岐部106は、後述する駆動部309および動力伝達部によって図11のように上方に回動され、非測色シートP12を矢印G方向に沿って排出経路109に誘導する。これにより、プリント部119によって画像がプリントされた非測色シートP12は、上流搬送ローラ対111が後述する駆動部311および動力伝達部によって駆動されることにより、排出経路109へ搬送されて排出される。分岐部106は、通常は、プリント部119のプリント動作時に生じるインクミストが測色部114の測色センサ201に付着することを防止するために、図11のように、測色経路108を塞ぐような上方への回動位置にある。
【0042】
プリント部119は、後述する駆動部308および動力伝達部によって、プリントヘッドがシートの搬送方向と交差(本例の場合は、直交)する方向に向に移動されることにより、シートに画像をプリントする。上流搬送ローラ対111は、後述する駆動部311および動力伝達部によって駆動されことにより、シートを搬送する。駆動部311の出力方向を切り換えることにより、シートの搬送方向は、分岐部106の方向に向かう矢印E1方向、あるいは給紙部121に向かう矢印E2方向に変更される。
【0043】
排出経路109に搬送された非測色シートP12が長尺シート(連続シート)の場合、その長尺シートは、非測色シートP12のプリント端部がカッタ122と対向する位置まで搬送されて、そのプリント端部がカッタ122によって切断されてから排出される。カッタ122は、後述する駆動部310および動力伝達部によって駆動される。
【0044】
図12は、測色部114による測色工程の説明図である。
【0045】
まず、図12(a)のように、図中の右から第1の経路に沿って搬送されるシートにプリント部119により測色用のカラーパッチ104がプリントされて、そのシートが測色シートP11となる。分岐部106は、図12(a)のように、測色シートP11を矢印F1方向に沿って測色経路108に誘導する位置にある。プリント部9によってカラーパッチ104がプリントされた測色シートP11は、上流搬送ローラ対111によって測色経路108(第2の経路)に搬送され移行する。このとき、測色部114は、後述する駆動部307および動力伝達部によって、測色シートP11の通過を妨げないように測色経路108の上方に移動されている。測色シートP11は、測色部114と押圧板ユニット112との間を通過する。
【0046】
次に、図12(b)のように、カラーパッチ104のプリントが終了した測色シートP11が所定の位置まで搬送されたときに、保持ローラ対113の上側ローラが下降することにより、測色シートP11が保持される。保持ローラ対113の上側ローラは、後述する駆動部312および動力伝達部によって上下方向に移動される。測色シートP11がロール紙などの長尺シートの場合には、カッタ122によって測色シートP11は切断される。測色シートP11が切断された後の給紙部121側のシートは、図示しないロールシートの巻き取り装置によって巻き取られる。その後、分岐部106は、図12(b)のように排出経路109を形成するように回動する。
【0047】
測色シートP11は、プリントされたカラーパッチ104が十分に自然乾燥させるための所定の乾燥時間が経過するまで、図12(b)のように保持ローラ対113によって保持される。つまり、測色シートP11は、従動回転する保持ローラ対113により挟持されて、吊り下げられた状態に保持されたまま、乾燥される。保持ローラ対113は、シートの一部を挟持することができる部材であればよく、必ずしもローラでなくてもよい。
【0048】
測色シートP11を保持ローラ対113によって保持したまま、乾燥時間が経過するまでの間に、カラーパッチ104の測色結果を必要としない通常画像をプリントすることができる。そのような画像がプリントされる非測色シートP12は、図12(b)のように、矢印E1方向に搬送されつつ画像がプリントされて、排出経路109に誘導される。その非測色シートP12がロール紙などの長尺シートの場合には、カッタ122によって非測色シートP12は切断される。測色シートP11の乾燥時間が経過する間において、このような非測色シートP12のプリントを繰り返すことができる。
【0049】
測色シートP11の乾燥時間が経過した後に、図12(c)のように、分岐部106が下方に回動して測色経路108を形成する。測色シートP11は、保持ローラ対113によって矢印F2方向に搬送されながら、測色部114によってカラーパッチ104が測色される。その測色の際、測色部114は図12(c)のように下降して、その測色部114の測色部分によって、押圧板ユニット112の押圧板116上に位置する測色シートP11が押圧される。押圧板116の下部には、例えば、バネやゴムのような弾性部材からなる支持部材117が設けられている。測色部114が下降して測色シートP11を押圧したときに、支持部材117が押圧板116を介して測色シートP11を押し上げることにより、測色部114の測色部分に対して、測色シートP11におけるカラーパッチ104のプリント部分を均一に押圧する。このように、押圧板ユニット112は、測色部114の測色部分に対してカラーパッチ104のプリント部分を均一に押圧するように、測色シートP11を支える。
【0050】
測色シートP11が矢印F2方向に搬送されて、その搬送方向の上流側端部が上流搬送ローラ対111の位置に達すると、上流搬送ローラ対111は、保持ローラ対113と連携しながら測色シートP11を矢印F2方向と同じ矢印E2方向に搬送する。
【0051】
測色部114による測色が終了して、測色シートP11における搬送方向(矢印F2方向)の下流側端部が分岐部106よりも、その搬送方向の上流側(図12(c)中の右側)まで移動したときに、分岐部106が図12(b)のように回動する。その後、上流搬送ローラ対11が測色シートP11を矢印E1方向に搬送することにより、測色シートP11が排出経路109を通して排出される。
【0052】
図13は、本実施形態におけるプリント装置の制御系のブロック構成図である。CPU300Aは、ROM301に記憶された制御プラグラムにしたがってプリント、乾燥、および測色の動作を含むプリント装置全体の制御を行う。CPU300Aには、ホストコンピューター302から、プリントデータおよびプリントモード設定情報等が入力インターフェイス303を介して入力される。また、CPU300Aは、プリントデータ等をRAM304に書き込んだり、または、読み出したりする。CPU300Aは、ホストコンピューター302からのプリントデータ、プリントモード情報、測色に関する情報、乾燥時間計測部305からの時間情報、および測色センサ201からの測色データに基づいて、駆動部309〜313を制御する。乾燥時間計測部305は、測色シートP11の乾燥中の経過時間を計測するものである。駆動部306は測色センサ用であり、駆動部307は測色部用であり、駆動部308はプリント部用であり、駆動部309は分岐部用である。また、駆動部310はカッタ用であり、駆動部311は上流搬送ローラ対用であり、駆動部312は保持ローラ対用であり、駆動部313はロール紙の巻き取り装置用である。
【0053】
図14および15は、プリント、乾燥、および測色を含むプリント装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0054】
プリントデータの受信をすると、まず、そのプリントデータをプリントしたシートが測色や乾燥を必要とするか否かを判定する(ステップS1)。プリント後のシートが測色も乾燥も必要のないシート(非測色シートP12を含む)ときは、排出経路109を形成するように分岐部106を回動させて(ステップS2)、図11のように画像をプリントする(ステップS3)。そして、そのシートがロール紙のような長尺シートであるか否かを判定し(ステップS4)、それが長尺シートの場合には、カッタ122によって切断してから(ステップS5)、排出する(ステップS25)。
【0055】
一方、プリント後のシートが測色や乾燥を必要とするシート(測色シートP11を含む)のときは、測色経路108を形成するように分岐部106を回動させ(ステップS6)、画像(カラーパッチ104を含む)をプリントする(ステップS7)。そして、保持部(保持ローラ対113)によりシートを保持し(ステップS8)、そのシートがロール紙のような長尺シートであるか否かを判定し(ステップS9)。そのシートが長尺シートの場合には、カッタ122によって切断する(ステップS10)。
【0056】
次に、プリントされたシートが乾燥を必要とするものであるか否かを判定し(ステップS11)、乾燥の必要がないシートの場合は、後述するステップS21において、測色を必要とするものか否かの判定対象となる。乾燥を必要とするシートの場合は、図12(b)のように、保持部によって保持したまま乾燥させる(ステップS12)。
【0057】
このような乾燥期間中に、プリントされたときに測色も乾燥も必要としない他のプリントデータdを受信したか否かを判定する(ステップS13)。そのプリントデータdを受信した場合は、排出経路109を形成するように分岐部106が回動して(ステップS14)、そのプリントデータに基づいて、シートpに画像をプリントする(ステップS15)。そして、そのシートpがロール紙のような長尺シートであるか否かを判定し(ステップS16)、それが長尺シートの場合には、カッタ122によって切断してから(ステップS17)、排出する(ステップS18)。
【0058】
測色も乾燥も必要としないプリントデータdのプリントが終了すると、先のステップS12において保持されている乾燥中のシートの乾燥時間が所定の設定時間に達したか否かを判定する(ステップS19)。その乾燥時間が設定時間に達していない場合は、先のステップS13へ戻る。乾燥時間が設定時間に達した場合は、測色経路108を形成するように分岐部106を回動させてから(ステップS20)、乾燥済みのシートが測色を必要とするものであるか否かを判定する(ステップS21)。乾燥済みのシートが測色を必要とない場合には、後述するように、その排出先を判定する。乾燥済みのシートが測色を必要とする場合は、測色センサ201によって、その1回の走査によって測色可能な範囲毎にカラーパッチ104を測色する。すなわち、シートは、測色センサ201の1回の走査によって測色可能な範囲に対応する距離ずつ矢印E2,F2方向に搬送され、その測色可能な範囲毎の複数回の測色の都度、測色部114が下降する。つまり、測色部114は、測色時に図12(c)のように下降し、測色後は上昇する。このような動作を繰り返して、カラーパッチ104の全範囲を測色するための測色処理を行う(ステップS22)。
【0059】
次に、測色後のシートの排出先を判定する(ステップS23)。ステップS22の測色処理が行われなかったシートの排出先として、測色経路108の延長線上の位置が排出先として指定されている場合は、その測色経路108を通して排出される(ステップS25)。また、そのシートの排出先として、排出経路109の延長線上の位置が指定されている場合は、そのシートを矢印E2方向に搬送させて、それを一旦、分岐部106よりも矢印E2方向側の位置に移動させる。その後、排出経路109を形成するように分岐部106を回動させてから(ステップS24)、そのシートを排出経路109から排出させる(ステップS25)。
【0060】
一方、ステップS22の測色処理が行われたシートについては、先の測色処理時に測色経路108が形成されているため、測色経路108の延長線上の位置が排出先として指定されている場合は、そのまま測色経路108を通して排出させる(ステップS25)。また、そのシートの排出先として、排出経路109の延長線上の位置が指定されている場合は、そのシートを矢印E2方向に搬送させて、それを一旦、分岐部106よりも矢印E2方向側の位置に移動させる。その後、排出経路109を形成するように分岐部106を回動させてから(ステップS24)、そのシートを排出経路109から排出させる(ステップS25)。
【0061】
保持ローラ対113は、測色シートP11を保持することができればよく、その配置位置は本例のみに特定されない。例えば、保持ローラ対113を分岐部106と押圧板ユニット112との間に配備してもよい。また、分岐部106の回動支点の位置は、矢印E1,F2方向において下流側に位置する本例の構成のみに特定されない。分岐部106は、シートの搬送方向を切り換えが可能な構成であればよい。分岐部106の回動支点は、矢印E1,F2方向において上流側に位置してもよい。
【0062】
また、本実施形態では、測色後の測色シートP11を排出する際に、それを分岐部106によって排出経路109へ誘導している。しかし、その測色シートP11を測色経路108へ戻し、その測色経路108の延長線上の保持ローラ対113から排出することも可能である。したがって、ユーザーは、測色シートP11と非測色シートP12の排出先を分けることが可能となる。また、測色を必要としないシート(非測色シートP12を含む)であっても、それを測色経路108へ搬送させることにより、それを十分に乾燥させたてから排出することもできる。また、分岐部106によって、測色シートの搬送経路を複数切り換えられるように構成し、それぞれの搬送経路に保持部(保持ローラ対113)を配置することにより、同時に複数枚の測色シートの乾燥を行うことも可能である。
【0063】
本実施形態は、プリント部は測色部よりも上流側にあり、第1の経路を搬送しながらプリント部で測色を行う画像をプリントしたシートは、下流に向けて搬送して第1の経路から第2の経路に移行させる。次いで、第2の経路において待機の済んだシートは上流に向けて搬送して測色部で測色を行うものである。この構成および動作により、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
(第4の実施形態)
図16は、本発明の第4の実施形態を説明するための図であり、前述した第3の実施形態と同様に部分については、同一符号を付して説明は省略する。
【0065】
図16(a)は、非測色シートP12に画像をプリントしている状態を示す。本例においては、第3の実施形態における分岐部106と押圧板ユニット112とを一体化させた押圧板一体型分岐部120(切換手段)を備えている。本例の場合も、図16(a)のように、排出経路109を形成するように押圧板一体型分岐部120を上方に回動させることにより、非測色シートP12のプリントおよび排出を行うことができる。分岐部106と押圧板ユニット112とを一体化した構成以外は、前述した第3の実施形態と同様である。
【0066】
図16(b)は、測色シートP11を測色経路108へ搬送している状態を示す。このとき、押圧板一体型分岐部120は、測色経路108を形成するように下方に回動している。図16(c)は、カラーパッチ104のプリントが終了した測色シートP11を乾燥のために保持する状態を示す。このとき、押圧板一体型分岐部120は、排出経路109を形成するように上方に回動している。測色シートP11を乾燥させている間に、カラーパッチ104の測色結果を必要としない画像をプリントする場合には、測色シートP11を保持ローラ対113によって保持したまま、図16(a)のように非測色シートP12をプリントする。
【0067】
図16(d)は、測色シートP11の乾燥時間が経過した後、測色シートP11のカラーパッチ104を測色部114によって測色する状態を示す。このとき、押圧板一体型分岐部120は、測色経路108を形成するように上方に回動している。測色シートP11は、保持ローラ対113によって矢印F2方向に搬送されながら、測色部114によって測色される。
【0068】
本実施形態のように、押圧板一体型分岐部120を備えることにより、プリント部119と保持ローラ対113との間の距離を短くして、測色シートP11の搬送方向の前端および後端に生じる余白部分を小さく抑えて、シートを節約することができる。また、プリント部119と保持ローラ対113との間の距離が短くなることにより、プリント装置本体の小型化を図ることもできる。
【0069】
(第5の実施形態)
図17は、本発明の第5の実施形態を説明するための図であり、前述した実施形態と同様に部分については、同一符号を付して説明は省略する。
【0070】
図17(a)は、非測色シートP12に画像をプリントしている状態を示す。前述した第3の実施形態においては、分岐部106の上方を通過する経路によって測色経路108が形成されている。一方、本実施形態においては、分岐部106の下方を通過する経路によって測色経路108が形成されている。そのため、本実施形態においては、第3の実施形態における押圧板ユニット112がプリント装置の本体と一体に設けられている。すなわち、プリント装置の本体上に、測色部114に対して測色シートP11を均一に押圧させるための押圧板116、および、それを支持する支持部材117が設けられている。測色経路108が形成できれば、プリント装置の本体と押圧板ユニット112とを分離してもよい。また、排出経路109を形成するために、新たに搬送プレート118が設けられている。分岐部106に分けられる測色経路108と排出経路109の上下の位置関係以外は、前述した第3の実施形態と同様である。
【0071】
この構成における、第1の経路は、不図示の給紙部からプリント部119を通るカッタ122までの経路である。また、第2経路は測色経路108である。
【0072】
図17(b)は、測色シートP11を測色経路108へ搬送している状態を示す。このとき、分岐部106は、その下方に位置する測色経路108を形成するように、上方に回動している。図17(c)は、カラーパッチ104のプリントが終了した測色シートP11を乾燥のために保持する状態を示す。測色シートP11を乾燥のために保持している間に、カラーパッチ104の測色結果を必要としない画像をプリントする場合は、測色シートP11を保持ローラ対113によって保持した状態のまま、図17(a)のように非測色シートP12をプリントする。
【0073】
図17(d)は、測色シートP11の乾燥時間が経過した後、測色シートP11のカラーパッチ104を測色部114によって測色する状態を示す。測色部114によって測色された測色シートP11は、保持ローラ対113によって、プリント部119に向かう図17(d)中の矢印方向へ搬送される。このとき、分岐部106は、図17(d)のように下方に回動しており、測色部114側から搬送されてくる測色シートP11の先端部がプリント部119側へ円滑に移動するように、その先端部を誘導する。
【0074】
本実施形態においては、保持ローラ対113により保持されている乾燥中の測色シートP11の表側(上側)から、非測色シートP12が排出される。そのため、保持ローラ対113により保持されている乾燥中の測色シートP11の裏側(下側)から、非測色シートP12が排出される第3の実施形態と比較して、排出される非測色シートP12が取りやすくなる。また、プリント装置の本体内部に、保持ローラ対113により保持されている乾燥中の測色シートP11の排出方向側の端部を位置させて、その測色シートP11の乾燥および保管をすることもできる。
【0075】
(第6の実施形態)
図18は、本発明の第6の実施形態におけるプリント装置の斜視図である。プリント装置の本体501は、スタンド502によって保持され、プリント媒体としてのシートP20は給紙部503から供給される。本例のシートP20は、ロール状の巻回された長尺なシートである。測色部504は、本体501内においてシートP20上にプリントされた測色用のカラーパッチを測色する。カラーパッチを含む画像がプリントされたシートは、排紙部505から排出されて、収納部506に収納される。
【0076】
図19は、本例のプリント装置の要部の概略構成図であり、同図におけるシートP20は、その先端が排紙部505から機外に位置するように搬送されている。図19において、スタンド502の図示は省略されている。給紙ローラ対508は、給紙部503にセットされたロール状のシートP20を給紙し、プリント部509は、図19中紙面の表裏方向に沿ってプリントヘッドを往復移動させることにより、シートP20に画像をプリントする。プラテン510は、プリント部509と対向する位置に備えられており、その表面には不図示の穴が多数形成されている。プラテン510は、それらの穴を通して、不図示のファンによってシートP20を吸引することにより、シートP20の位置を規制して、良好なプリントを可能とする。上流搬送ローラ対511は、シートP20をプリント部9へ搬送する。カッタ512は、プリントが終了したシートP20を切断して、収納部6へ落下させる。測色搬送ローラ対513は、駆動側の下ローラ513aと従動側の上ローラ513bとから構成されている。上ローラ513bは、下ローラ513aに対して接離可能であり、測色部504が測色を行う場合を除き、通常は上方へ移動して下ローラ513aから離間している。図19は、プリント部509が測色用のカラーパッチのプリントを終了した状態を示し、測色搬送ローラ対513の上ローラ513bは下方へ移動して、下ローラ513aとの間においてシートP20を挟んでいる。その後、カッタ12によってシートP20が切断される。
【0077】
図20は、図19の状態の後の状態を示す。まず、カッタ12によってシートP20が切断された後、給紙部503側のシートP20が給紙ローラ対508の位置まで巻き戻される。カッタ12により切り離されたシートP21は、測色搬送ローラ対513、上流搬送ローラ対511、および保持ローラ対514によって矢印J2方向に搬送されて、分岐経路571に送り込まれる。このようなシートP21の搬送は、図20のように、保持ローラ対514がシートP21の端部付近を保持したときに停止する。シートP21は、測色用のカラーパッチがプリントされているため、測色シートともいう。
【0078】
この構成における、第1の経路は、給紙部503からプリント部509を通るカッタ512までの経路である。また、第2経路は分岐経路571である。測色シートP21は、第2の経路である分岐経路571において、保持ローラ対514によってシートの一部が保持されたまま乾燥される。分岐経路571は、通常のプリント時に用いられる給紙ローラ対508と排紙部505と間の搬送経路572とは、別の経路である。そのため、乾燥中の測色シートP21は、通常のプリントの妨げとならない。所定の乾燥時間が経過した後、乾燥済みの測色シートP21は、保持ローラ対514の逆回転により矢印J1方向に搬送され、測色部504においてカラーパッチが測色された後、排紙部505から機外に排出される。
【0079】
(第7の実施形態)
図21は、本発明の第7の実施形態の説明図である。上流搬送ローラ対511よりも矢印J1方向の下流側に関しては、第6の実施形態と同様の構成であるため、その部分の説明は省略する。
【0080】
本例のシートP20はロール状のシートであり、給紙部521から供給される。給紙部521にセットされたロール状のシートP20は、給紙ローラ対522によって搬送される。本例の場合、給紙ローラ対522から上流搬送ローラ対511までの間の搬送路573は、略水平に形成されている。測色用のカラーパッチがプリントされてからカッタ512によって切断された測色シートP21は、測色搬送ローラ対513、上流搬送ローラ対511、および保持ローラ対523によって矢印J2方向に搬送されて、分岐経路571に送り込まれる。このような測色シートP21の搬送は、図21のように、保持ローラ対523が測色シートP21の端部付近を保持したときに停止する。
【0081】
フラッパ524(切換手段)は、回動中心524aを中心に回動可能であり、通常は、不図示のバネに付勢されて、図21のような上方への回動位置に停止している。この状態において、測色シートP21が矢印J2方向に搬送された場合、その測色シートP21は、フラッパ524によって、保持ローラ対523および分岐経路571の方向へ導かれる。一方、給紙部521から給紙ローラ対522によって供給されるシートP20は、その先端部がフラッパ524と衝突する。しかし、フラッパ524を上方の回動位置に付勢している不図示のバネが弱いため、そのバネの付勢力に抗して、シートP20がフラッパ524を押し下げて、上流搬送ローラ対511の方向へ搬送される。
【0082】
本実施形態においても、第1の経路は、給紙部503からプリント部509を通るカッタ512までの経路である。また、第2経路は分岐経路571である。分岐経路571は、通常のプリント時に用いられる給紙ローラ対522から排紙部505までの間の搬送経路とは、別の経路である。そのため、乾燥中の測色シートP21は、通常のプリントの妨げとならない。所定の乾燥時間が経過した後、乾燥済みの測色シートP21は、保持ローラ対523の逆回転により矢印J1方向に搬送され、測色部504においてカラーパッチが測色された後、排紙部505から機外に排出される。
【0083】
(第8の実施形態)
図22は、本発明の第8の実施形態の説明図である。上流搬送ローラ対511よりも矢印J1方向の下流側に関しては、第6の実施形態と同様の構成であるため、その部分の説明は省略する。
【0084】
本例のシートP20はロール状の長尺シートであり、給紙部525から供給される。給紙部525にセットされたロール状のシートP20は、給紙ローラ対526によって搬送される。本例の場合、給紙ローラ対526から上流搬送ローラ対511までの間の搬送路574は、湾曲されている。シート収容部527aと仕切り板527bを含む給紙カセット527は、シートP20とは別の多数のカットシート状のシートP30を収容する。収容部527aに収容されたシートP30は、第2の給紙ローラ528によって供給される。第2の給紙ローラ528は、シートP30を供給するときは、図22の上方位置から下方に移動して、給紙カセット527に収容されている最上位のシートP30に接触する。したがって、第2の給紙ローラ528の回転によって、その最上位のシートP30を分岐経路571からプリント部509に向かう矢印K2方向に搬送することができる。測色搬送ローラ対513および上流搬送ローラ対511によって分岐経路571を矢印K1方向に搬送される測色シートP21は、カセット搬送ローラ529によって矢印L1方向に搬送されて、仕切り板527b上に保持されて、乾燥される。
【0085】
フラッパ530(切換手段)は、回動中心530aを中心に回動可能であり、通常は、不図示のバネに付勢されて、図22のような上方への回動位置に停止している。この状態において、測色シートP21が矢印J2方向に搬送された場合、その測色シートP21は、フラッパ530によって、分岐経路571および仕切り板527bの方向へ導かれる。一方、給紙部525から給紙ローラ対526によって供給されるシートP20は、その先端部がフラッパ530と衝突する。しかし、フラッパ530を上方の回動位置に付勢している不図示のバネが弱いため、そのバネの付勢力に抗して、シートP20がフラッパ530を押し下げて、上流搬送ローラ対511の方向へ搬送される。
【0086】
本実施形態において、測色シートP21は仕切り板527b上に保持される。その仕切り板527bは、シートP20をプリントするための給紙ローラ対526から排紙部505までの搬送路、およびシートP30をプリントするための第2の給紙ローラ528から排紙部505までの搬送路から分岐した位置にある。そのため、乾燥中の測色シートP21は、シートP20,P30の通常のプリントの妨げとならない。所定の乾燥時間が経過した後、乾燥済みの測色シートP21は、カセット給送ローラ529の逆回転により矢印L2,K2方向に搬送される。さらに、乾燥済みの測色シートP21は、測色搬送ローラ対513および上流搬送ローラ対511によって矢印J1方向に搬送され、測色部504においてカラーパッチが測色された後、排紙部505から機外に排出される。
【0087】
本例の場合、第1の経路は、給紙部525からプリント部509を通るカッタ512までの経路、および給紙カセット527から分岐経路571を経てカッタ512までの経路を合わせたものである。また、第2経路は分岐経路571である。つまり、分岐経路571は、第1の経路と第2の経路に共通したものである。
【0088】
以上の第6から第8の実施形態においては、給紙部からプリント部に搬送されるシートの非プリント面側の位置に、測色シートP21を乾燥させるためのスペースを設けている。すなわち、プリント部によってプリントされるシートのプリント面を上面としたときに、プリント装置内において、そのシートの下面(非プリント面)側の位置に、測色シートを乾燥させるためのスペースを設けている。
【0089】
(第9の実施形態)
図23は、本発明の第9の実施形態の説明図である。上流搬送ローラ対511よりも矢印J1方向の下流側に関しては、第6の実施形態と同様の構成であるため、その部分の説明は省略する。
【0090】
本例のシートP20はロール状のシートであり、給紙部531から供給される。給紙部531にセットされたロール状のシートP20は、給紙ローラ対532によって搬送される。本例の場合、給紙ローラ対532から上流搬送ローラ対511までの間の搬送路575は、湾曲されている。測色用のカラーパッチがプリントされてからカッタ512によって切断された測色シートP21は、測色搬送ローラ対513、上流搬送ローラ対511、および保持ローラ対523によって矢印J2方向に搬送されて、分岐経路571に送り込まれる。このような測色シートP21の搬送は、図23のように、保持ローラ対533が測色シートP21の端部付近を保持したときに停止する。
【0091】
本実施形態において、第1の経路は、給紙部531から搬送路575を経てプリント部509を通るカッタ512までの経路である。また、第2経路は搬送路575と分岐経路571である。つまり、搬送路575は、第1の経路と第2の経路に共通したものである。分岐経路571は、通常のプリント時に用いられる給紙ローラ対532から排紙部505までの間の搬送経路とは、別の経路である。そのため、乾燥中の測色シートP21は、通常のプリントの妨げとならない。所定の乾燥時間が経過した後、乾燥済みの測色シートP21は、保持ローラ対533および上流搬送ローラ対511の逆回転により矢印J1方向に搬送され、測色部504においてカラーパッチが測色された後、排紙部505から機外に排出される。
【0092】
本例の場合、給紙部(供給部)531からシートを供給する搬送路(供給経路)575の一部と、分岐経路571と、によって、測色シートを乾燥させるための第2の経路が構成されている。したがって、その第2の経路は、シートを供給する搬送路(供給経路)575に含まれるように形成されている。
【0093】
(第10の実施形態)
図24は、本発明の第10の実施形態の説明図である。上流搬送ローラ対511よりも矢印J1方向の下流側に関しては、第6の実施形態と同様の構成であるため、その部分の説明は省略する。
【0094】
本例のシートP20はロール状のシートであり、給紙部541から供給される。給紙部541にセットされたロール状のシートP20は、給紙ローラ対542によって搬送される。本例の場合、給紙ローラ対542から上流搬送ローラ対511までの間の搬送路576は、湾曲されている。測色用のカラーパッチがプリントされてからカッタ512によって切断された測色シートP21は、測色搬送ローラ対513、上流搬送ローラ対511、および保持ローラ対543によって矢印J2方向に搬送されて、分岐経路571に送り込まれる。このような測色シートP21の搬送は、図24のように、保持ローラ対543が測色シートP21の端部付近を保持したときに停止する。
【0095】
フラッパ544(切換手段)は、回動中心544aを中心に回動可能であり、通常は、不図示のバネに付勢されて、図24のような下方への回動位置に停止している。この状態において、測色シートP21が矢印J2方向に搬送された場合、その測色シートP21は、フラッパ544によって、保持ローラ対543および分岐経路571の方向へ導かれる。一方、給紙部541から給紙ローラ対542によって供給されるシートP20は、その先端部がフラッパ544と衝突する。しかし、フラッパ544を下方の回動位置に付勢している不図示のバネが弱いため、そのバネの付勢力に抗して、シートP20がフラッパ544を押し上げて、上流搬送ローラ対511の方向へ搬送される。
【0096】
本実施形態において、第1の経路は、給紙部541から搬送路576を経てプリント部509を通るカッタ512までの経路である。また、第2経路は分岐経路571である。分岐経路571は、通常のプリント時に用いられる給紙ローラ対542から排紙部505までの間の搬送経路とは、別の経路である。そのため、乾燥中の測色シートP21は、通常のプリントの妨げとならない。所定の乾燥時間が経過した後、乾燥済みの測色シートP21は、保持ローラ対543および上流搬送ローラ対511の逆回転により矢印J1方向に搬送され、測色部504においてカラーパッチが測色された後、排紙部505から機外に排出される。
【0097】
(第11の実施形態)
図25は、本発明の第11の実施形態の説明図である。上流搬送ローラ対511よりも矢印J1方向の下流側に関しては、第6の実施形態と同様の構成であるため、その部分の説明は省略する。
【0098】
本例のシートP20はロール状のシートであり、給紙部545から供給される。給紙部545にセットされたロール状のシートP20は、給紙ローラ対546によって搬送される。本例の場合、給紙ローラ対546から上流搬送ローラ対511までの間の搬送路576は、略水平に形成されている。測色用のカラーパッチがプリントされてからカッタ512によって切断された測色シートP21は、測色搬送ローラ対513、および上流搬送ローラ対511によって矢印J2方向に搬送されて、分岐経路571に送り込まれる。このような測色シートP21の搬送は、図25のように、保持ローラ対547が測色シートP21の端部付近を保持したときに停止する。
【0099】
フラッパ548(切換手段)は、回動中心548aを中心に回動可能であり、通常は、不図示のバネに付勢されて、図25のような下方への回動位置に停止している。この状態において、測色シートP21が矢印J2方向に搬送された場合、その測色シートP21は、フラッパ548によって、保持ローラ対547および分岐経路571の方向へ導かれる。一方、給紙部545から給紙ローラ対546によって供給されるシートP20は、その先端部がフラッパ548と衝突する。しかし、フラッパ548を下方の回動位置に付勢している不図示のバネが弱いため、そのバネの付勢力に抗して、シートP20がフラッパ548を押し上げて、上流搬送ローラ対511の方向へ搬送される。
【0100】
本実施形態において、第1の経路は、給紙部545から搬送路577を経てプリント部509を通るカッタ512までの経路である。また、第2経路は分岐経路571である。分岐経路571は、通常のプリント時に用いられる給紙ローラ対546から排紙部505までの間の搬送経路とは、別の経路である。そのため、乾燥中の測色シートP21は、通常のプリントの妨げとならない。所定の乾燥時間が経過した後、乾燥済みの測色シートP21は、保持ローラ対547および上流搬送ローラ対511の逆回転により矢印J1方向に搬送され、測色部504においてカラーパッチが測色された後、排紙部505から機外に排出される。
【0101】
以上の第9から第11の実施形態においては、給紙部からプリント部に搬送されるシートのプリント面側の位置に、測色シートP21を乾燥させるためのスペースを設けている。すなわち、プリント部によってプリントされるシートのプリント面を上面としたときに、プリント装置内において、そのシートの上面側の位置に、測色シートを乾燥させるためのスペースを設けている。
【0102】
(第12の実施形態)
図26から図28は、本発明の第12の実施形態の説明図である。上流搬送ローラ対511よりも矢印J1方向の下流側に関しては、第6の実施形態と同様の構成であるため、その部分の説明は省略する。本実施形態において、前述した第6の実施形態における測色搬送ローラ対513は備えられていない。
【0103】
第1の給紙部551にはロール状のシートP40がセットされており、そのシートP40は,第1の給紙ローラ対553によって給紙される。給紙ローラ対553から上流搬送ローラ対511までの搬送路578は、湾曲されている。第2の給紙部552にはロール状のシートP50がセットされており、そのシートP50は、第2の給紙ローラ対554によって、搬送路579を通して給紙される。第2の給紙ローラ対554は、後述するように、測色用のカラーパッチがプリントされた測色シート部分を保持することができる。搬送ガイド555は、後述するように搬送路579から離間する方向に移動可能である。
【0104】
図26は、第2の給紙部552から給紙されたシートP50に対して、プリント部509による測色用のカラーパッチのプリントが終了し、そのシートP50の先端が排紙部505の先から機外に搬送されている状態を示す。このとき、第1の給紙部551にセットされたシートP40は、その先端部近傍が第1の給紙ローラ対553によって保持されている。図26のように、カラーパッチがプリントされて、排紙部505から機外に搬送されているシートP50の部分は、カットされていない測色シートに対応するため、以下においては、測色シート部分P51ともいう。
【0105】
図27は、図26の状態から、シートP50が第2の給紙部552に巻き戻されて、測色シート部分P51の先端が上流搬送ローラ対511を抜けた位置まで搬送された状態を示す。PAは、測色シート部分P51において、プリント部509によりカラーパッチがプリントされた領域に後端位置であり、測色シート部分P51の先端側の位置から、この後端位置PAまでの領域にカラーパッチがプリントされている。図26から図27の状態までの間において、第2の給紙部552と第2の給紙ローラ対554は、測色シート部分P51を矢印J2方向へ搬送するために駆動される。図27の状態になった後は、第2の給紙部552の駆動は停止され、第2の給紙ローラ対554のみが駆動させることになる。
【0106】
すなわち、図27の状態になった後に、第2の給紙ローラ対554のみを駆動させることにより、図28のように、測色シート部分P51が第2の給紙部552の下側に弛む。図28は、第2の給紙ローラ対554よりも矢印M1方向のわずかに下流側の位置にまで、測色シート部分P51の先端が巻き戻されたときに、第2の給紙ローラ対554の駆動を停止させた状態を示す。搬送ガイド555は、第2の給紙ローラ対554の駆動停止後、搬送路579から離間する方向に移動される。このような図27の状態において、測色シート部分P51のカラーパッチがプリントされた領域は、測色シート部分P51の裏面(非プリント面)や搬送ガイド555と接触することがなく、効率よく乾燥される。搬送ガイド555は、その対向位置に、測色シート部分P51のカラーパッチのプリント面が通過する前に、搬送路579から離間する方向に移動させてもよい。この場合には、カラーパッチのプリント面と搬送ガイド555に接触させることになく、そのカラーパッチのプリント面が傷付くおそれをなくすことができる。
【0107】
本実施形態において、第1の経路は、第1の給紙部551から搬送路578を経てプリント部509を通るカッタ512までの経路である。また、第2経路は搬送路578、579である。搬送路579は、給紙ローラ対553から排紙部505までの間の搬送経路とは、別の経路である。そのため、乾燥中の測色シート部分P51は、第1の給紙部551から供給されるシートP40のプリントの妨げとならない。所定の乾燥時間が経過した後、乾燥済みの測色シート部分P51は、第2の給紙ローラ対554および上流搬送ローラ対511の逆回転により矢印J1方向に搬送される。そして、測色部504においてカラーパッチが測色された後、カッタ512により切断されてから、排紙部505から機外に排出される。
【0108】
本例の場合、シートを供給する第1および第2の給紙部551,552が備えられており、それらのシートが供給される搬送路578,579の一部によって、測色シート部分を乾燥させるための第2の経路が構成されている。したがって、その第2の経路は、搬送路(供給経路)578,579を部分的に含むように構成することができる。シートの供給部は3つ以上複数備えてもよく、第2の経路は、シートの異なる供給経路の少なくとも1つを部分的に含むように形成することができる。
【0109】
(第13の実施形態)
図29は、本発明の第13の実施形態の説明図である。上流搬送ローラ対511よりも矢印J1方向の下流側に関しては、第6の実施形態と同様の構成であるため、その部分の説明は省略する。本実施形態において、前述した第6の実施形態における測色搬送ローラ対513は備えられていない。
【0110】
第1の給紙部561にはロール状のシートP40がセットされており、そのシートP40は、第1の給紙ローラ対563により搬送路578を通して給紙される。第2の給紙部562にはロール状のシートP50がセットされており、そのシートP50は、第2の給紙ローラ対564により搬送路579を通して給紙される。第2の給紙ローラ対564は、後述するように、測色用のカラーパッチがプリントされた測色シート部分を保持することができる。第12の実施形態と同様に、PAは、測色シート部分P51において、プリント部509によりカラーパッチがプリントされた領域に後端位置であり、測色シート部分P51の先端側の位置から、この後端位置PAまでの領域にカラーパッチがプリントされている。
【0111】
前述した第12の実施形態と同様に、給紙されたシートP50に対して、プリント部509によって測色用のカラーパッチをプリントした後、第2の給紙部562と第2の給紙ローラ対564を逆回転させて、シートP50を矢印J2方向に巻き戻す。図29は、第2の給紙ローラ対564よりも矢印J1方向のわずかに下流側の位置にまで、カラーパッチがプリントされたシートP50の部分(測色シート部分P51)の先端が巻き戻されたときに、第2の給紙ローラ対564の駆動を停止させた状態を示す。
【0112】
本実施形態においては、測色シート部分P51におけるカラーパッチのプリント領域の後端位置PAがシートP50の非プリント面と重なる直前に、第2の給紙部562の駆動を停止させて、第2の給紙ローラ対564のみを駆動させる。これにより、測色シート部分P51には、図29のように、第2の給紙部562の下側に弛み部分が生じる。そして、測色シート部分P51の先端が第2の給紙ローラ対564よりも矢印J1方向のわずかに下流側の位置にまで巻き戻されたときに、第2の給紙ローラ対564の駆動を停止させる。このような図29の状態において、測色シート部分P51のカラーパッチがプリントされた領域は、測色シート部分P51の裏面(非プリント面)や搬送ガイド555と接触することがなく、効率よく乾燥される。
【0113】
本実施形態において、第1の経路は、第1の給紙部561から搬送路578を経てプリント部509を通るカッタ512までの経路である。また、第2経路は搬送路579である。搬送路579は、給紙ローラ対563から排紙部505までの間の搬送経路とは、別の経路である。そのため、乾燥中の測色シート部分P51は、第1の給紙部561から供給されるシートP40のプリントの妨げとならない。所定の乾燥時間が経過した後、乾燥済みの測色シート部分P51は、給紙ローラ対564および上流搬送ローラ対511の逆回転により矢印J1方向に搬送される。そして、測色部504においてカラーパッチが測色された後、カッタ512により切断されてから、排紙部505から機外に排出される。
【0114】
上述した第6から第13の実施形態において、保持ローラ対によって保持された測色シートおよび測色シート部分は、予め設定された乾燥時間の経過を待って、測色部に搬送される。しかし、プリント装置の設置環境(温度/湿度)などを検知し、それらの環境条件に応じて乾燥時間を自動設定することにより、より効率的な乾燥を行うことができる。また、プリント媒体としてのシートの種類、インクの種類、プリント内容(プリント濃度を含む)などに応じて、最適な乾燥時間を設定することもできる。また、測色シートおよび測色シート部分に風を吹き付けたり、加熱したりして、強制的に乾燥させることにより、乾燥時間を短縮させることができ、ひいてはスループットを向上させることができる。
【0115】
以上説明してきたいずれの実施形態も、第1の経路に沿って搬送されるシートに画像をプリントするプリント部と、第1の経路からシートが移行可能な第2の経路と、画像がプリントされたシートを測色する測色部とを有することを基本構成とする。第2の経路は、プリント部でプリントされたシートを待機させるために設けられた経路である。そして、第2の経路に移行したシートを測色部で測色する前に待機させている状態もしくは前記測色部で測色している状態で、第1の経路を用いて別のシートにプリント部で画像をプリントすることが可能であることを特徴とする。つまり、測色を行わない通常画像のプリントは待機もしくは測色の間にも並行して行うことができる、したがって、ユーザーは本来のプリント作業が開始可能になるまで長時間待たされることが無くなり、プリントの生産性と利便性が大きく向上する。
【符号の説明】
【0116】
1 シート
2 搬送ローラ対
3 プリント部
4 カッタ
5 プリント搬送経路
6 測色搬送経路
7 測色センサ(測色部)
21 分岐部
100 プリント装置
200 測色部
300 給紙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の経路と、
前記第1の経路に沿って搬送されるシートに画像をプリントするプリント部と、
前記第1の経路からシートが移行可能であって、前記プリント部でプリントされたシートを待機させるために設けられた第2の経路と、
前記画像がプリントされたシートを測色する測色部と、
を有し、
前記第2の経路に移行したシートを前記測色部で測色する前に待機もしくは前記測色部で測色している状態で、別のシートに前記プリント部で画像をプリントすることが可能であることを特徴とするプリント装置。
【請求項2】
前記第2の経路に待機したシートを再び搬送して通過する測色位置において、前記測色部は測色を行うことを特徴とする、請求項1に記載のプリント装置。
【請求項3】
前記プリント部がプリントを行うプリント位置は前記第1の経路にあり、
前記測色位置は前記第1の経路と前記第2の経路のいずれか一方にあることを特徴とする、請求項2に記載のプリント装置。
【請求項4】
前記プリント部で画像がプリントされ且つ前記測色部で測色されないシートが排出される第1の排出部と、
前記プリント部で画像がプリントされ且つ前記測色部で測色されたシートが排出される、前記第1の排出部とは異なる第2の排出部と、
を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項5】
前記プリント部で画像がプリントされ且つ前記測色部で測色されないシートと、前記プリント部で画像がプリントされ且つ前記測色部で測色されたシートと、がともに排出される共通の排出部を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項6】
経路が分岐する分岐部に、シートの進む方向を前記第1の経路と前記第2の経路のいずれかに切り換える切換手段を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項7】
前記プリント部は前記測色部よりも下流側にあり、前記第1の経路を搬送しながら前記プリント部で測色を行う画像をプリントしたシートは、上流に向けて搬送して前記第1の経路から第2の経路に移行させ、次いで、前記第2の経路において待機の済んだシートは下流に向けて搬送して前記測色部で測色を行うことを特徴とする、請求項1記載のプリント装置。
【請求項8】
前記プリント部は前記測色部よりも上流側にあり、前記第1の経路を搬送しながら前記プリント部で測色を行う画像をプリントしたシートは、下流に向けて搬送して前記第1の経路から第2の経路に移行させ、次いで、前記第2の経路において待機の済んだシートは上流に向けて搬送して前記測色部で測色を行うことを特徴とする、請求項1記載のプリント装置。
【請求項9】
前記プリント部は前記測色部よりも上流側にあり、前記第1の経路を搬送しながら前記プリント部で測色を行う画像をプリントしたシートは、上流に向けて搬送して前記第1の経路から第2の経路に移行させ、次いで、前記第2の経路において待機の済んだシートは上流に向けて搬送して前記測色部で測色を行うことを特徴とする、請求項1記載のプリント装置。
【請求項10】
前記第2の経路には、前記第2の経路に移行したシートの一部を挟持して停止し、吊り下げることができる部材が設けられていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項11】
前記プリント部でプリントするためのシートを、前記第1の経路に供給する供給部と、
前記プリント部の近傍でシートを切断するためのカッタと、
をさらに有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項12】
前記供給部は複数のロールシートまたはカットシートを保持し、いずれかのシートを前記第1の経路に供給することが可能であることを特徴とする、請求項11記載のプリント装置。
【請求項13】
第1の経路に沿って搬送されるシートに画像をプリントするプリント部を有するプリント装置に組み込まれる測色装置であって、
前記第1の経路からシートが移行可能であって、前記プリント部で画像がプリントされたシートを待機させる第2の経路を構成する部材と、
シートにプリントされた画像を測色する測色部と、
がユニットとなっており、前記ユニットは前記プリント装置に対して着脱自在であることを特徴とする測色装置。
【請求項14】
プリント部と読取部を備える装置における、プリント方法であって、
第1のシートに前記プリント部で画像をプリントするステップと、
前記プリントの後、前記第1のシートを、装置において待機させるステップと、
待機の後、前記第1のシートの画像を前記読取部で読み取るステップと
前記第1のシートを待機もしくは前記読取部で読み読み取っている状態で、前記第1のシートと干渉することなく、前記第1のシートとは別の第2のシートを前記プリント部に送って画像をプリントするステップと、
を有することを特徴とするプリント方法。
【請求項15】
読み取りが済んだ前記第1のシートを、前記第2のシートを排出した排出部と異なる排出部に排出することを特徴とする、請求項14記載のプリント方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2013−111758(P2013−111758A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257085(P2011−257085)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】