説明

プリント装置

【課題】測色用画像情報がプリントされたテストチャートを排出部から測色計に供給して補正値を設定するプリント装置を構成する。
【解決手段】測色計26が排出部に接近する自動計測位置にセットされたことを位置センサ29で検出した状態で自動測色モードを実行した場合に、測色処理手段57が、プリント情報生成手段53と露光処理手段54とを制御して印画紙に測色用画像情報がプリントされたテストチャートを生成する。このテストチャートを、搬送制御手段55が排出部の下段排出口から排出させ、測色計26に直接的に供給する。測色計26では色濃度情報が取得され、色濃度情報から測色処理手段57が補正値を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光部において測色用画像情報を感光材料に露光し、この露光が行われた感光材料を現像処理部で現像した後に排出部から装置上面の測色計に送り出し、この測色計で計測された色濃度情報に基づいて前記露光部での露光処理における補正値を設定する補正処理ユニットを備えているプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成されたプリント装置として特許文献1には、プリント装置の本体の端部位置に排出部(文献では乾燥部)が上方に突出する形態で形成されると共に、本体の上部カバーに対して測色計が排出部に対して接近及び離間できるように移動自在に支持された構成が示され、この測色計を排出部に接近させた状態では、排出部から排出された感光材料(テストプリント)を測色計に供給する搬送形態が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009‐98362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測色用画像情報がプリントされた感光材料を測色計に供給して補正値を取得する処理を考えると、この処理を実現するためには、測色計を排出部に接近する位置にセットし、感光材料を測色計に供給するように排出部における搬送経路の切換えを行い、測色計で色濃度情報を取得する手続を必要とする。しかしながら、これら全てを手動操作で行う場合には手間が掛かることになり、また、誤操作を招くこともあり改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、測色用画像情報がプリントされた感光材料を排出部から測色計に供給して補正値を設定する処理を容易に実現するプリント装置を構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、露光部において測色用画像情報を感光材料に露光し、この露光が行われた感光材料を現像処理部で現像した後に排出部から装置上面の測色計に送り出し、この測色計で計測された色濃度情報に基づいて前記露光部での露光処理における補正値を設定する補正処理ユニットを備えているプリント装置であって、
前記測色計が、前記排出部に近接する自動計測位置と、前記排出部から離間する手動計測位置とに切換自在に構成され、前記排出部が、前記感光材料を上部位置から排出する状態と、これより下側の下部排出位置から排出する状態とに切り換える搬送経路切換機構を備えており、前記測色計を前記自動計測位置にセットして自動測色モードの処理を実行した場合に、前記補正処理ユニットが、前記排出部での前記感光材料の排出位置を前記下部排出位置に設定するように前記搬送経路切換機構を制御し、前記測色用画像情報がプリントされた前記感光材料を前記排出部の下部排出位置から排出して前記測色計に供給する点にある。
【0007】
この構成によると、測色計を排出部に近接する自動計測位置にセットした状態で、補正処理ユニットにおいて自動測色モードの処理を実行することにより、この補正処理ユニットが搬送経路切換機構を制御することで測色用画像情報がプリントされた感光材料を排出部の下部排出位置から排出し、測色計に供給する。この制御により、測色計において測色用画像情報がプリントされた感光材料の色濃度情報を取得し、補正値を取得できる。つまり、自動測色モードの処理を実行することにより、感光材料に測色用画像情報をプリントし、この感光材料を排出部の下部排出位置から排出し、このように排出された感光材料が測色計に供給され、測色計では感光材料の色濃度情報を取得することになり、これらの処理を人為的に行う必要がない。
従って、測色用画像情報がプリントされた感光材料を排出部から測色計に供給して補正値を設定する処理を容易に実現するプリント装置が構成された。
【0008】
本発明は、前記排出部が、前記上部位置として上段排出位置と、これより下側の中段排出位置とを備えており、小サイズの前記感光材料を前記上段排出位置から排出し、前記小サイズより大きい大サイズの前記感光材料を前記中段排出位置から排出し、測色のための前記感光材料を前記下部排出位置から排出するように前記搬送経路切換機構を制御する搬送制御手段を備え、前記測色計が前記自動計測位置にセットされた状態では、この測色計が前記中段排出位置から前記感光材料の排出を妨げる上下寸法に構成され、この測色計が、前記自動計測位置にセットされた状態では、大サイズの前記感光材料を前記上段排出位置から排出するように前記搬送制御手段の制御形態が設定されても良い。
【0009】
これによると、測色計を排出部に近接する位置にセットした状態において大サイズの感光材料にプリントを行った場合には、搬送制御手段が搬送経路切換機構を制御することで、この感光材料を排出部の上段排出位置から排出することになり、測色計の位置を排出部から離間させる操作を怠った場合でも大サイズの印画紙のプリントを可能にする。
【0010】
本発明は、前記測色計で計測した前記色濃度情報を前記補正処理ユニットに送るケーブルが前記測色計に接続しており、前記測色計を前記手動計測位置にセットした状態で、手動測色モードの処理を実行した場合には、前記補正処理ユニットが、前記測色計に対して手動により供給された前記感光材料から前記色濃度情報を前記ケーブルを介して取得しても良い。
【0011】
これによると、測色計を手動計測位置にセットした状態で手動測色モードの処理を実行する場合には、測色用画像情報を感光材料にプリントしておき、この感光材料を測色計に手動で供給することで、感光材料から色濃度情報が取得され、この色濃度情報がケーブルを介して補正処理ユニットが所得して補正情報を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像処理システム全体を示す斜視図である。
【図2】プリントステーションの縦断側面図である。
【図3】乾燥部と排出部との構成を示す断面図である。
【図4】測色計を手動計測位置と自動計測位置とメンテナンス位置とに設定した状態を示す側面図である。
【図5】制御系のブロック回路図である。
【図6】自動測色モードのフローチャートである。
【図7】写真プリント処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1に示すようにプリントされる画像データを取得し必要な処理を実現する操作ステーションAと、感光材料の一例としての銀塩印画紙P(以下、印画紙Pと称する)に対する画像情報のプリントを実現するプリント装置としてのプリントステーションBとを備えて画像処理システムが構成されている。この画像処理システムは、デジタルミニラボとも称せられるものであり、操作ステーションAにおいてプリント処理に必要な情報の管理を行い、プリントステーションBでは、操作ステーションAからの情報に基づいて印画紙Pに対する露光処理と現像処理と乾燥処理とを行い乾燥処理後の印画紙Pを筐体の外部に排出する。
【0014】
操作ステーションAは、コンソール部10に対して現像処理済みの写真フィルム(図示せず)のコマ画像を光電変換によりデジタル信号化された画像情報として取得するフィルムスキャナ11と、各種情報を表示するディスプレイ12と、取得した画像情報をプリント処理に対応したデータに変換する処理等を実現するコンピュータで成る情報処理ユニット13とを備えている。コンソール部10の上面には、情報処理ユニット13に必要な操作情報を入力するためのキーボード14と、ポインティングデバイスとして機能し操作情報を取得するためのマウス15とを備えている。
【0015】
また、情報処理ユニット13は、半導体型メディアからデジタル信号化された画像情報を取得する半導体ドライブ16と、ディスク型メディアからデジタル信号化された画像情報を取得するディスクドライブ17とを備えている。
【0016】
図2に示すように、プリントステーションBは、印画紙Pをロール状に巻き取る形態で収容する2つの印画紙マガジンMの一方から印画紙Pを引き出し、カッター22でプリントサイズに切断して搬送する印画紙供給部Cを備えると共に、この印画紙Pが搬送される経路に沿って露光部Dと現像処理部Eと乾燥部Fと排出部Gとを、この順序で備えている。プリントステーションBには、露光部Dと現像処理部Eと乾燥部Fと排出部Gとを管理するためマイクロプロセッサやDSP等を有したプリント管理ユニットH(補正処理ユニットとしても機能する)を備えている。印画紙マガジンMの外面には、印画紙マガジンMを識別するためのID部(図示せず)を備えており、このID部の情報を取得するマガジンセンサSmがプリントステーションBの内部に備えられている。
【0017】
このプリントステーションBでは、筐体20の一方の端部位置において上方に突出する形態の排出ケース21を備え、この排出ケース21の内部空間に乾燥部Fと排出部Gとが配置されている。また、筐体20において、印画紙供給部Cの側方位置の側壁体20Sが揺動開閉自在に構成され、現像処理部Eの上方を覆う上部壁体20Tが揺動開閉自在に構成されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、排出ケース21の上部位置から印画紙Pを排出するために、上段排出口21Aと中段排出口21Bとが排出ケース21に形成され、これより下側から印画紙Pを排出するために排出ケース21の下部に下段排出口21Cが形成されている。また、上段排出口21Aから排出された印画紙Pを水平方向に搬送するベルト型の搬送機構23が排出ケース21に支持され、この搬送機構23で搬送される印画紙Pをオーダ単位で受け止めて集積する複数のトレイ24Aを有したソータ24が筐体20の外側位置に備えられている(図1を参照)。中段排出口21Bから排出される印画紙Pを受け止めるように板状のラック25が排出ケース21の側面に支持されている。更に、下段排出口21Cから排出される印画紙Pの色濃度情報を取得する測色計26が筐体20の上部壁体20Tの上面に移動自在に備えられている。
【0019】
構成は図面に示していないが、搬送機構23は、図4(a)に示す印画紙Pを受け止める排出姿勢と、図4(c)に示すように先端側を跳ね上げた格納姿勢とに切換自在に排出ケース21に対して揺動自在に支持されている。これと同様に、ラック25も排出姿勢と格納姿勢とに切換自在となるように折り曲げ自在に構成されている。ラック25の先端部は搬送機構23のフレームに対してリンク体Lを介して吊り下げ状態で支持されている。
【0020】
露光部Dは、印画紙供給部Cから供給される印画紙Pに対してレーザビームを照射することにより露光を行う露光ユニット31を備え、現像処理部Eは、露光後に印画紙Pの現像処理を行う現像処理槽32を備えている。乾燥部Fは現像処理部Eから送り出される印画紙Pを上向きに挟持搬送する複数の挟持ローラ33と、この挟持ローラ33で搬送される印画紙Pに対して複数のノズル34Aから乾燥風を供給する乾燥風供給ダクト34とを備えており、複数の挟持ローラ33での搬送経路の搬送終端位置(上端位置)には大径ローラ35とこれに圧着する圧着ローラ36とを備えている。
【0021】
〔プリントステーションによるプリントの概要〕
このプリントステーションBでプリントが行われる際の具体的な作動形態を説明する。プリントを行う際には、2つの印画紙マガジンMの一方から印画紙Pを引き出し、この印画紙Pをカッター22でプリントサイズに切断し、上方に搬送する形態で露光部Dに供給する。この露光部Dでは印画紙Pを設定速度で上方に搬送し、この搬送と同期して露光ユニット31からレーザビームを照射することにより露光が行われる。この露光が行われた印画紙Pは、露光ユニット31の上方空間を現像処理部Eの方向に向け水平方向に搬送され、この搬送の後の印画紙Pは現像処理部Eに供給される。現像処理部Eでは、印画紙Pを現像処理槽32の発色現像槽と漂白定着槽と安定槽とに順次供給することで現像処理が行われる。現像処理された印画紙Pは乾燥部Fの挟持ローラ33で上方に搬送する際に乾燥風供給ダクト34から供給される乾燥風で乾燥される。この乾燥部Fで乾燥された印画紙Pは、排出部Gにおいて上段排出口21Aと中段排出口21Bと下段排出口21Cとの何れかの排出口に搬送され、その排出口から排出される。
【0022】
このプリントステーションBでは、サービスサイズ等の小サイズの印画紙Pのプリントを行う場合には、この小サイズの印画紙Pが上段排出口21Aから排出され、搬送機構23で搬送される。搬送機構23で搬送される印画紙Pはソータ24の最上段のトレイ24Aにオーダ単位で集積する形態で受け止められる。複数のトレイ24Aは上下方向に循環し、1オーダの印画紙Pを受け止めた後に一段だけ下方に移動することにより次のトレイ24Aが印画紙Pを受け止める位置にセットされる。また、小サイズより大きいサイズ(例えば、4つ切りサイズ)等の大サイズの印画紙Pのプリントを行う場合には、この大サイズの印画紙Pが中段排出口21Bから排出されラック25に受け止められる。セットアップを行うために自動測色モードでの処理を実行した場合には、測色用画像情報を印画紙Pに露光することでテストチャートPTがプリントされ、このテストチャートPTを下段排出口21Cから排出し、測色計26に供給し、この測色計26において色濃度情報が取得され、補正値が設定される。また、排出部Gにおける印画紙Pの排出の切換は図5に示す搬送制御手段55によって行われ、この制御形態は後述する。
【0023】
〔排出部〕
図3に示すように、大径ローラ35の外周を回り込む形態で搬送される印画紙Pを、上段排出口21Aと中段排出口21Bと下段排出口21Cとの何れかに排出する搬送系によって排出部Gが構成されている。
【0024】
上段排出口21Aが上部排出位置に対応しており、排出ケース21の上部位置には、大径ローラ35の外周を回り込む形態で搬送される印画紙Pを、上段排出口21Aに送る排出姿勢と中立姿勢とに切換自在な上段ガイドプレート37が備えられている。また、上段ガイドプレート37からの印画紙Pを上段排出口21Aの方向に搬送する圧着搬送型の上段挟持ローラ38と、上段排出口21Aから印画紙Pを排出する圧着搬送型の上段排出ローラ39とが備えられている。上段ガイドプレート37は図3に実線で示す排出姿勢と、同図に仮想線で示す中立姿勢とに切換自在に構成され、中立姿勢では印画紙Pの下方への搬送を許すように構成されている。
【0025】
この排出部Gでは、上段ガイドプレート37が中立姿勢にある場合に、この上段ガイドプレート37の下面側を印画紙Pが通過することになり、この印画紙Pを下方に送る中間挟持ローラ40が備えられている
【0026】
中段排出口21Bが中段排出位置に対応しており、排出ケース21の中段位置には、中間挟持ローラ40で搬送される印画紙Pを中段排出口21Bに送る排出姿勢と中立姿勢とに切換自在な中段ガイドプレート41が備えられている。また、中段ガイドプレート41からの印画紙Pを中段排出口21Bから排出する圧着搬送型の中段挟持ローラ42が備えられている。この中段ガイドプレート41は図3に仮想線で示す排出姿勢と、同図に実線で示す中立姿勢とに切換自在に構成され、中立姿勢では、印画紙Pの下方への搬送を許すように構成されている。
【0027】
下段排出口21Cが下部排出位置に対応しており、排出ケース21の下部には、下段排出口21Cに印画紙Pを送り出す姿勢に成形された下段ガイドプレート43が備えられている。
【0028】
上段ガイドプレート37の姿勢を切り換えるため電磁ソレノイドで成る上段ソレノイド37S(図5を参照)を備え、中段ガイドプレート41の姿勢を切り換えるため電磁ソレノイドで成る中段ソレノイド41S(図5を参照)を備えている。この上段ガイドプレート37と上段ソレノイド37S、及び、中段ガイドプレート41と中段ソレノイド41Sで搬送経路切換機構が構成されている。尚、上段ソレノイド37Sと中段ソレノイド41Sとに代えて電動モータを用いても良い。
【0029】
このような構成から、上段ガイドプレート37を排出姿勢に設定することで上段排出口21Aから印画紙Pを排出し、この上段ガイドプレート37を中立姿勢に設定した状態で中段ガイドプレート41を排出姿勢に設定することで中段排出口21Bから印画紙Pを排出する。そして、上段ガイドプレート37と中段ガイドプレート41とを中立姿勢に設定することで印画紙Pを下段排出口21Cから排出する。
【0030】
〔測色計〕
図2及び3に示すように、測色計26は、供給口26Aと排出口26Bとが形成されたケースを有すると共に、供給口26Aから供給されたテストチャートPTを搬送するようにステッピングモータで駆動される圧着搬送型の搬送ローラ26Cと、この搬送ローラ26Cで搬送されるテストチャートPTの色濃度情報を取得する濃度センサ26Dとを備えており、色濃度情報を取得した後のテストチャートPTを排出口26Bから排出する。
【0031】
図面には示していないが、測色計26は、供給口26AからテストチャートPTが供給されたことを検知する検知センサと、この検知センサの検知に基づいて搬送ローラ26Cを駆動する制御回路とを備えている。濃度センサ26Dは、テストチャートPTの表面に光線を照射するLED等の光源と、テストチャートPTの表面からの反射光からR(赤)、G(緑)、B(青)又はC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3原色の色濃度情報を取得するセンサ素子を備えている。
【0032】
図面には示していないが、テストチャートPTは22段階の濃度となるグレーパッチ領域(測色用画像情報の具体例)が形成されるものである。従って、セットアップ時には、プリントされたテストチャートPTを供給口26Aから供給することにより、検知センサの検知に基づいて搬送ローラ26Cの駆動によりテストチャートPTの搬送が開始され、濃度センサ26Dによりテストプリントのグレーパッチ領域の色濃度が計測される。この計測により印画紙Pと露光ユニット31と現像処理部Eでの現像処理液の状態を反映した補正値を取得することになり、この補正値により画像情報を補正することで最良の状態でのプリントを実現する。
【0033】
また、測色計26は、筐体20の上部壁体20Tの上面に備えられた一対のガイドレール27に沿って排出部Gに近接及び離間するように移動自在に支持されると共に、柔軟に変形可能なケーブル28によって情報のアクセスを行えるようにプリント管理ユニットHと接続されている。
【0034】
この測色計26は、手動操作により図4(a)に示す手動計測位置Xと、図4(b)に示す自動計測位置Yと、図4(c)に示すメンテナンス位置Zとにセットできるように構成され、上部壁体20Tには自動計測位置Yにセットしたことを検知する位置センサ29が備えられている。図面には示していないが、測色計26を手動計測位置Xと自動計測位置Yとメンテナンス位置Zとの何れの位置にセットした場合にも、その位置を保持するロック機構が備えられている。
【0035】
手動計測位置Xは、手動により供給口26AにテストチャートPTを供給するためのポジションである。この手動計測位置Xに測色計26をセットした場合には、測色計26が排出部Gから大きく離間する。自動計測位置Yは、下段排出口21Cから排出されたテストチャートPTを供給口26Aに対して直接的に供給するためのポジションである。この自動計測位置Yに測色計26をセットした場合には、測色計26の供給口26Aが排出部Gの下段排出口21Cに隣接する位置関係となる。メンテナンス位置Zは、手動計測位置Xと自動計測位置Yとの中間位置で、筐体20の上部壁体20Tを上方に開放するためのポジションである。このメンテナンス位置Zに測色計26をセットし、図4(c)に示す如く、搬送機構23とラック25とを格納姿勢に切り換えることにより、測色計26を上部壁体20Tに支持した状態で上部壁体20Tの開放が許容される。このように上部壁体20Tを開放することで現像処理部Eの現像処理槽32の上方を大きく開いてメンテナンスを容易にする。
【0036】
このプリントステーションBでは、通常のプリントを行う場合には測色計26を手動計測位置Xにセットする。これにより、小サイズの印画紙Pを上段排出口21Aから排出してソータ24においてオーダ単位で仕分けることが可能となり、大サイズの印画紙Pを中段排出口21Bから排出しラック25に回収することが可能となる。
【0037】
自動測色モードでの処理を行う場合には測色計26を自動計測位置Yにセットすることにより、前述したように測色用画像情報がプリントされたテストチャートPT(印画紙P)を下段排出口21Cから測色計26に直接供給して自動処理による測色が実現する。特に、測色計26として、この測色計26の上面が中段排出口21Bに達する寸法のものが使用されているため、この測色計26を自動計測位置Yにセットした場合には、測色計26の上面がラック25の下面に接触してラック25を持ち上げ、この中段排出口21Bから印画紙Pを排出できない状態に陥る。このような関係から測色計26を自動計測位置Yにセットした状態で写真プリントを行い大サイズのプリントを行った場合には、大サイズの印画紙Pを中段排出口21Bから排出せず、上段排出口21Aから排出する制御が行われる。この制御については後述する。
【0038】
〔制御構成〕
前述したようにプリント管理ユニットHは、補正処理ユニットの機能を有すると共に、印画紙Pに画像情報の露光を行い、現像処理を管理し、乾燥を行い、排出部Gにおける排出位置を制御する機能を有する。図5に示すようにプリント管理ユニットHは、処理モード設定手段51と、画像情報取得手段52と、プリント情報生成手段53と、露光処理手段54と、搬送制御手段55と、補正処理手段56と、測色処理手段57とで成る情報処理系を備えると共に、情報処理ユニット13との間で情報のアクセスを行えるように構成されている。また、プリント管理ユニットHはマガジンセンサSmからの検出信号を取得し、露光ユニット31に露光用の情報を出力し、測色計26から色濃度情報を取得し、位置センサ29の検知信号を取得し、上段ソレノイド37Sと中段ソレノイド41Sとに駆動信号を出力する信号系が形成されている。
【0039】
前述した処理モード設定手段51と、画像情報取得手段52と、プリント情報生成手段53と、露光処理手段54と、搬送制御手段55と、補正処理手段56と、測色処理手段57はソフトウエアで構成されるものであるが、ハードウエアで構成して良く、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによって構成しても良い。
【0040】
処理モード設定手段51は、印画紙Pに画像情報(測色用画像情報を含む)をプリントする写真プリントモードでの処理と、自動測色モードでの処理との一方の処理を選択する。画像情報取得手段52は、情報処理ユニット13から伝送された画像情報を取得して半導体メモリ等のストレージに保存する処理を行う。尚、情報処理ユニット13は、フィルムスキャナ11や半導体ドライブ16で画像情報を取得し、この画像情報を画像情報取得手段52に伝送する処理を行う。
【0041】
プリント情報生成手段53は、プリント情報を露光ユニット31に伝送することで印画紙Pに露光するための露光用画像情報を生成すると共に、プリントサイズ情報と、プリント枚数情報とを生成する。露光用画像情報は、R(赤)、G(緑)、B(青)の三原色に対応した3種のビットマップ構造の情報を有しており、写真プリントを行う場合には、画像情報取得手段52で取得した画像情報を補正処理手段56により補正することで露光用画像情報が生成される。テストチャートPTの場合には、メモリ等に記憶された測色用画像情報に基づいてグレーパッチ領域を形成するための露光用画像情報が生成され、テストチャートPTの印画紙Pのプリントサイズ情報と、1枚のプリント枚数情報とが生成される。
【0042】
露光処理手段54は、プリント情報生成手段53でセットされたプリントサイズの情報に基づいて印画紙マガジンMを選択して印画紙Pを供給し、プリント枚数情報に基づいて印画紙Pの供給量を設定する。また、この露光処理手段54は、プリント情報生成手段53で生成された露光用画像情報を露光ユニット31に伝送する処理を行うことで画像情報を印画紙Pに露光する。
【0043】
搬送制御手段55は、上段ソレノイド37Sと中段ソレノイド41Sを制御することで排出部Gの上段ガイドプレート37と中段ガイドプレート41との姿勢を設定し、上段排出口21Aと中段排出口21Bと下段排出口21Cとの何れか1つから印画紙Pを排出する制御を実現する。
【0044】
補正処理手段56は、前述したようにプリント情報生成手段53で露光用画像情報を生成する際にR(赤)、G(緑)、B(青)について補正テーブル(LUT)を参照することで露光用画像情報の補正が行われる。補正テーブルの補正値は、レーザビームの出力階調に対する印画紙Pの濃度階調の関係を示すデータ構造を有しており、印画紙Pに露光を行う場合に、プリント対象とする露光用画像情報の各ピクセルの濃度の補正テーブル(LUT)の補正値に基づいて変換を行うことで、現像処理後の印画紙Pにおいて必要とする濃度階調を得る補正処理を実現する。
【0045】
測色処理手段57は、操作ステーションAのディスプレイ12に表示されるモード選択画面の表示に基づいて自動測色モードでの測色と手動測色モードでの測色とを実現する。情報処理ユニット13において自動測色モードが選択された場合には、測色処理手段57が、テストチャートPTのプリントに必要なプリント情報を生成させる情報をプリント情報生成手段53に与え、テストチャートPTの露光を実行させる情報を露光処理手段54に与え、プリントされたテストチャートPTを下段排出口21Cから排出して測色計26に供給するように、上段ソレノイド37Sと中段ソレノイド41Sとを制御させる情報を搬送制御手段55に与える。そして、測色計26でテストチャートPTが供給されたことを検出すると、テストチャートPTの搬送を行いながら色濃度情報を取得し、測色処理手段57は、色濃度情報に基づいて補正処理手段56の補正テーブル(LUT)の補正値を設定(更新)する処理を行う。
【0046】
この自動測色モードでの制御形態の概要を図6のフローチャートに示している。つまり、位置センサ29の検知情報に基づいて最初に測色計26の位置を判別し、この測色計26が自動計測位置Yにセットされていない場合には、自動計測位置Yにセットする情報をディスプレイ12に表示し、自動計測位置Yにあることを確認した場合には、搬送制御手段55の制御により下段排出口21CをテストチャートPTの排出位置にセットする(#101〜#104ステップ)。
【0047】
次に、テストチャートPTをプリントし、このテストチャートPTが下段排出口21Cから排出され、測色計26に供給された場合には、測色処理手段57が測色計26で測色を実行してテストチャートPTの色濃度情報を取得する(#105、#106ステップ)。このように取得された色濃度情報は補正処理手段56に与えられ、マガジンセンサSmから取得した情報から印画紙マガジンMを特定し、補正処理手段56が印画紙マガジンMと関連付けられた補正値を設定し、印画紙マガジンMと関連付けられた補正テーブル(LUT)を更新する処理が行われる(#107、#108ステップ)。
【0048】
フローチャートには示していないが、手動測色モードで測色を行う場合には、テストチャートPTを予めプリントしておき、測色計26を手動計測位置Xにセットすることになる。そして、手動測色モードを選択した状態で、テストチャートPTを測色計26に供給することで、測色処理手段57が測色計26で測色を実行してテストチャートPTの色濃度情報を取得する。このように取得された色濃度情報は補正処理手段56に与えられ、この補正処理手段56が印画紙マガジンMと関連付けられた補正値を設定し、印画紙マガジンMと関連付けられた補正テーブルを更新する処理が行われるのである。
【0049】
また、図7のフローチャートには、処理モード設定手段51で写真プリント処理が選択された際の処理の概要を示している。この処理でテストチャートPT(手動測色用モード用のテストチャートPT)のプリントを行う場合には、プリント情報生成手段53が測色用画像情報に基づいて露光用画像情報を生成し、露光ユニット31で印画紙Pに露光する形態でテストプリントを実行すると共に、搬送制御手段55が排出部GにおけるテストチャートPT(印画紙P)の排出位置を上段排出口21Aにセットする(#201〜#203ステップ)。
【0050】
また、画像情報取得手段52で取得した画像情報を小サイズの印画紙Pにプリントする場合には、プリント情報生成手段53が画像情報取得手段52で取得した画像情報を補正処理手段56で補正することで露光用画像情報を生成し、露光ユニット31で印画紙Pに露光する形態で小サイズのプリントを実行すると共に、搬送制御手段55が排出部GにおけるテストチャートPT(印画紙P)の排出位置を上段排出口21Aにセットする(#204、#205、#203ステップ)。
【0051】
これとは異なり、画像情報取得手段52で取得した画像情報を大サイズの印画紙Pにプリントする場合には、プリント情報生成手段53が画像情報取得手段52で取得した画像情報を補正処理手段56で補正することで露光用画像情報を生成し、露光ユニット31で印画紙Pに露光する形態で大サイズのプリントを実行する(#206、#207ステップ)。次に、位置センサ29の検出情報に基づいて測色計26の位置の判別を行い、自動計測位置Yにセットされていないことを判別した場合には、搬送制御手段55が排出部Gにおける印画紙Pの排出位置を中段排出口21Bに設定し、自動計測位置Yにセットされていることを判別した場合には、印画紙Pの排出位置を上段排出口21Aにセットする(#208、#209、#203ステップ)。この後、画像情報がプリントされた印画紙Pはセットされた排出位置から排出される(#210ステップ)。
【0052】
つまり、印画紙Pを用いてテストチャートPTをプリントする場合、小サイズのプリントを行う場合、大サイズのプリントを行う場合には、夫々のサイズに対応して排出部Gにおける印画紙Pの排出位置が設定される。しかしながら、測色計26が自動計測位置Yにセットされた状態では、前述したように測色計26の上下寸法から中段排出口21Bから印画紙Pを排出できないため、このように測色計26が自動計測位置Yにセットされた状態で大サイズのプリントが行われた場合には、上段排出口21Aから印画紙Pを排出することで、排出不能の状態に陥らず円滑なプリントを実現できるものにしている。
【0053】
〔実施の形態の作用・効果〕
このように本発明の画像処理システムでは、プリントステーションBの測色計26を自動計測位置Yにセットした状態で、操作ステーションAにおいて自動測色モードの処理を実行することで、測色処理手段57がプリント情報生成手段53と露光処理手段54とを制御してテストチャートPTのプリントを行い、この測色処理手段57が搬送制御手段55を制御することで排出部Gの下段排出口21CからテストチャートPTを排出させる。このように排出されたテストチャートPTは測色計26の供給口26Aに直接供給され、このテストチャートPTの色濃度情報の取得が実現する。色濃度情報が取得された後には、印画紙マガジンMを識別する情報と関連付けて補正処理手段56の補正テーブル(LUT)の補正値が更新されることになり、これ以降、この印画紙マガジンMの印画紙Pを用いてプリントを行う場合には、補正テーブルに基づいて露光用画像情報が生成され良好な色調のプリントを実現する。
【0054】
また、自動測色モードの処理を実行する際に、測色計26が自動計測位置Yにセットされていない場合には、測色計26を自動計測位置Yにセットすべき旨のメッセージがディスプレイ12に表示されるので、誤りのない処理が実現する。
【0055】
手動測色モードで測色を行う場合には、予めテストチャートPTをプリントするため、例えば、2つの印画紙マガジンMの双方の印画紙Pを用いてテストチャートPTを作成しておき、測色計26を手動計測位置Xにセットした状態で、印画紙マガジンMとの関係を指定して2枚のテストチャートPTを順次供給することで、夫々の印画紙マガジンMの印画紙Pに対応した補正テーブルの更新が可能となる。
【0056】
更に、写真プリント処理において大サイズのプリントを行う際に、測色計26が自動計測位置Yにセットされていることが判別された場合には、中段排出口21Bから印画紙Pの排出を行えない状況に陥っているので、大サイズの印画紙Pを上段排出口21Aから排出することで、排出不能の状態に陥らず円滑なプリントを実現できるものにしている。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、測色計を移動自在に備えたプリントステーションに利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
21A 上段排出口・上段排出位置
21B 中段排出口・中段排出位置
21C 下段排出口・下部排出位置
26 測色計
28 ケーブル
37 搬送経路切換機構(上段ガイドプレート)
41 搬送経路切換機構(下段ガイドプレート)
55 搬送制御手段
D 露光部
G 排出部
H 補正処理ユニット(プリント管理ユニット)
P 感光材料(印画紙)
X 手動計測位置
Y 自動計測位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光部において測色用画像情報を感光材料に露光し、この露光が行われた感光材料を現像処理部で現像した後に排出部から装置上面の測色計に送り出し、この測色計で計測された色濃度情報に基づいて前記露光部での露光処理における補正値を設定する補正処理ユニットを備えているプリント装置であって、
前記測色計が、前記排出部に近接する自動計測位置と、前記排出部から離間する手動計測位置とに切換自在に構成され、
前記排出部が、前記感光材料を上部位置から排出する状態と、これより下側の下部排出位置から排出する状態とに切り換える搬送経路切換機構を備えており、
前記測色計を前記自動計測位置にセットして自動測色モードの処理を実行した場合に、前記補正処理ユニットが、前記排出部での前記感光材料の排出位置を前記下部排出位置に設定するように前記搬送経路切換機構を制御し、前記測色用画像情報がプリントされた前記感光材料を前記排出部の下部排出位置から排出して前記測色計に供給するプリント装置。
【請求項2】
前記排出部が、前記上部位置として上段排出位置と、これより下側の中段排出位置とを備えており、
小サイズの前記感光材料を前記上段排出位置から排出し、前記小サイズより大きい大サイズの前記感光材料を前記中段排出位置から排出し、測色のための前記感光材料を前記下部排出位置から排出するように前記搬送経路切換機構を制御する搬送制御手段を備え、
前記測色計が前記自動計測位置にセットされた状態では、この測色計が前記中段排出位置から前記感光材料の排出を妨げる上下寸法に構成され、
この測色計が、前記自動計測位置にセットされた状態では、大サイズの前記感光材料を前記上段排出位置から排出するように前記搬送制御手段の制御形態が設定されている請求項1記載のプリント装置。
【請求項3】
前記測色計で計測した前記色濃度情報を前記補正処理ユニットに送るケーブルが前記測色計に接続しており、
前記測色計を前記手動計測位置にセットした状態で、手動測色モードの処理を実行した場合には、前記補正処理ユニットが、前記測色計に対して手動により供給された前記感光材料から前記色濃度情報を前記ケーブルを介して取得する請求項1又は2記載のプリント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−50548(P2013−50548A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187751(P2011−187751)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(311001347)NKワークス株式会社 (96)
【Fターム(参考)】