説明

プリント配線基板の配線パターンおよびその形成方法

【課題】電子部品を配線パターンの搭載部に確実に固着させることで、接続信頼性の確保を図ることが可能なプリント配線基板の配線パターンおよびその形成方法を提供する。
【解決手段】フォトIC10には、絶縁基板21に形成され、導電性粉体である銀粉体を含有する銀ペースト70を介在させて受光ICチップ30およびチップコンデンサ40が搭載部22bに搭載され固着されるプリント配線基板20の配線パターン22が設けられ、搭載部22bには、銀粉体と同じ金属で形成された銀めっき層224が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁基板に形成される配線パターンに、電子部品が導電性粉体を含有する導電性接着剤を介在させて搭載されるプリント配線基板およびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品は、所定パターンとした配線パターンが絶縁基板に形成されたプリント配線基板に搭載される。この電子部品が配線パターンに形成された搭載部に搭載されるときには、電子部品は導電性粉体を含有する導電性接着剤を介在させて固着される。
【0003】
導電性接着剤は、一般的に、半田と比較して接着強度が低く、また、塗布量にばらつきが発生しやすいので、導電接着剤によって接着された電子部品をリフロー処理などの高温に曝すことによって、吸湿した導電性接着剤の水分の気化膨張により、プリント配線基板から電子部品が剥離することがある。
【0004】
電子部品が剥離することを防止するために接続強度を向上させることができる従来のプリント配線基板が、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の表面実装用基板は、貫通孔が形成された搭載部である電極に導電性接着剤である銀ペーストを注入して電子部品であるチップコンデンサを搭載することで、銀ペーストと基板および電極との接触面積が増加するので、銀ペーストの接続強度を高めることができるものである。
【特許文献1】特開2005−32943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子部品の剥離は、搭載される装置の動作不良を発生させ、信頼性を低下させるものなので、大きな問題である。従って、高い信頼性を確保するためには、導電性接着剤を介在させて配線パターンの搭載部に搭載される電子部品を確実に固着させる必要がある。
【0006】
そこで本発明は、電子部品を配線パターンの搭載部に確実に固着させることで、接続信頼性の確保を図ることが可能なプリント配線基板の配線パターンおよびその形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプリント配線基板の配線パターンは、絶縁基板に形成され、導電性粉体を含有する導電性接着剤を介在させて電子部品が搭載部に搭載され固着されるプリント配線基板の配線パターンであって、前記搭載部には、前記導電性粉体と同じ金属で形成された金属めっき層が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、電子部品が、この導電性粉体を含有した導電性接着剤を介在させて搭載部に搭載されるので、導電性粉体と導電性粉体と同じ金属で形成された金属めっき層とが同族金属結合により安定して密着した状態となることで、電子部品を搭載部に確実に固着させることができる。よって、本発明のプリント配線基板は、接続信頼性の確保を図ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本願の第1の発明は、絶縁基板に形成され、導電性粉体を含有する導電性接着剤を介在させて電子部品が搭載部に搭載され固着されるプリント配線基板の配線パターンであって、搭載部には、導電性粉体と同じ金属で形成された金属めっき層が設けられていることを特徴としたものである。
【0010】
本発明のプリント配線基板の配線パターンには、導電性粉体と同じ金属で形成された金属めっき層が搭載部に設けられている。電子部品は、この導電性粉体を含有した導電性接着剤を介在させて搭載部に搭載されるので、導電性粉体と金属めっき層とが同族金属結合により安定して密着した状態となることで、電子部品を搭載部に確実に固着させることができる。
【0011】
本願の第2の発明は、金属めっき層は、導電性接着剤が、銀を導電性粉体とした銀ペーストである場合に、銀めっき層で形成されていることを特徴としたものである。
【0012】
本願の第2の発明においては、電子部品が銀を導電性粉体とした銀ペーストを介在させて搭載部に搭載されている。搭載部には、銀めっき層が形成されているので、同種金属間の化学的結合安定性により電子部品を搭載部に確実に固着させることができる。
【0013】
本願の第3の発明は、絶縁基板に形成され、導電性粉体を含有する導電性接着剤を介在させて、電子部品が搭載部に搭載されるプリント配線基板の配線パターンの形成方法であって、絶縁基板に、所定パターンの金属箔層を形成し、金属箔層の全体に、導電性粉体と同じ金属で形成された金属めっき層を形成し、搭載部を少なくとも残して、金属めっき層を除去することを特徴としたものである。
【0014】
本発明のプリント配線基板の配線パターンには、導電性粉体と同じ金属で形成された金属めっき層が搭載部に設けられている。電子部品は、この導電性粉体を含有した導電性接着剤を介在させて搭載部に搭載されるので、導電性粉体と金属めっき層とが同族金属結合により安定して密着した状態となることで、電子部品を搭載部に固着させることができる。また、金属めっき層が酸化しやすい金属で形成されている場合には、搭載部以外の空気中に露出する部分を除去することで、酸化などの腐食を防止することができる。
【0015】
本願の第4の発明は、金属めっき層として銀めっき層を形成することを特徴としたものである。
【0016】
本願の第4の発明においては、金属めっき層として銀めっき層を形成することで、導電性接着剤として、銀めっき層と同じ金属である銀を導電性粉体として含有した銀ペーストが使用できる。そうすることで、同種金属間の化学的結合安定性により電子部品を搭載部に確実に固着させることができる。また、金属めっき層が酸化しやすい銀で形成されているので、搭載部以外の空気中に露出する部分を除去することで、銀が酸化して腐食してしまうことを防止することができる。
【0017】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係るフォトICを図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態に係るプリント配線基板に受光ICチップを搭載したフォトICの正面図である。図2は、図1に示すフォトICの平面図である。
【0018】
図1に示すフォトIC10は、プリント配線基板20と、電子部品である受光ICチップ30およびチップコンデンサ40と、樹脂パッケージ50とを備え、DVDドライブやCDドライブなどで、フロントモニタ素子として用いられている。
【0019】
プリント配線基板20には、絶縁基板21に、所定パターンに形成された配線パターン22が形成されている。絶縁基板21は、BTレジン(ビスマレイミドトリアジン樹脂系の熱硬化樹脂)で形成され、多数個ほど配列された集合基板の状態からダイシングされ、個片とすることで、略正方形状に形成される。
【0020】
配線パターン22は、接続電極22aと、搭載部22bと、ワイヤボンドパッド22cと、配線部22dとが形成されている。
【0021】
接続電極22aは、樹脂パッケージ50から露出した状態に、絶縁基板21の両端部に断面コ字状に形成されている。搭載部22bは、受光ICチップ30とチップコンデンサ40とが搭載されるパターンである。ワイヤボンドパッド22cは、受光ICチップ30からワイヤ60によって接続されるパターンである。配線部22dは、ワイヤボンドパッド22cと、接続電極22aや、搭載部22bとを接続するように形成されたパターンである。
【0022】
受光ICチップ30は、受光部31にて受光した光信号を電気信号へ変換すると共に、増幅したり、変調したりする機能を備えた光電変換素子である。受光ICチップ30には、出力される電気信号や、制御用の入力信号や、電源の供給のために、接続端子32が設けられている。
【0023】
チップコンデンサ40は、受光ICチップ30の誤動作防止用に設けられたバイパスコンデンサである。本実施の形態では、チップコンデンサ40として、2個設けられている。
【0024】
この受光ICチップ30およびチップコンデンサ40が、配線パターン22の搭載部22bに、導電性接着剤である銀ペースト70を介在させて固着されている。銀ペースト70は、導電性粉体である銀粉体が分散剤と共に、熱硬化性樹脂に含有されたものである。
【0025】
樹脂パッケージ50は、受光ICチップ30、チップコンデンサ40およびワイヤ60を封止するために、エポキシ系樹脂を用いてトランスファー成型法にて形成した樹脂封止部である。
【0026】
ここで、配線パターン22について、図3に基づいて詳細に説明する。図3は、プリント配線基板20に形成された配線パターン22の搭載部22bの断面図である。
【0027】
配線パターン22は、絶縁基板21に、ベースとなる銅箔層221が形成されることで、接続電極22a、搭載部22b、ワイヤボンドパッド22cおよび配線部22dを象るパターンが形成されている。銅箔層221の上面には、ニッケルめっき層222が形成されている。ニッケルめっき層222の上面には、搭載部22b以外では最外層となる金めっき層223が形成されている。そして、金めっき層223の上面には、銀めっき層224が形成されている。
【0028】
本実施の形態では、受光ICチップ30およびチップコンデンサ40を搭載部22bに固着させる導電性接着剤として銀ペースト70を用いているので、搭載部22bの最外層として銀めっき層224が形成されている。
【0029】
このように構成されるフォトIC10の製造方法を、図4に基づいて説明する。図4(A)から同図(D)は、図1に示すフォトIC10の製造方法の各工程を示す図である。なお、図4において、絶縁基板21は、多数個ほど配列された集合基板の状態で、配線パターン22や、受光ICチップ30およびチップコンデンサ40が複数個搭載されるが、1個分のみ図示している。
【0030】
まず、図4(A)に示すように、絶縁基板21に、銅箔層221を所定パターンに形成した後に、ニッケルめっき層222および金めっき層223をめっき処理にて、それぞれ銅箔層221全体に形成することで金属箔層22xを形成する。
【0031】
銅箔層221上にニッケルめっき層222および金めっき層223を形成した後、導電性接着剤に含有される導電性粉体と同じ金属の金属めっき層を金めっき層223上に形成する。本実施の形態では、導電性接着剤として銀ペースト70を用いているので、図4(B)に示すように、銀めっき層22yを金めっき層223全体に形成する。この状態では、接続電極22aおよびワイヤボンドパッド22cも銀めっき層22yが形成された状態である。接続電極22aは、樹脂パッケージ50(図1および図2参照)から露出するので、経時変化により銀めっき層22yが酸化して腐食するおそれがある。また、図2に示すように、ワイヤボンドパッド22cは、ワイヤ60として金細線を用いることから、銀めっき層22yとするよりは、同じ金属である金めっき層223を最外層とした方が、同種金属の化学的結合安定性により接続性が良好である。従って、搭載部22bとその隣接した部分のみを、図示しないレジスト膜によりマスクして溶剤に浸漬して溶解することで最外層の銀めっき層22yを除去する。このようにして、図4(C)に示すように、本発明の実施の形態に係る銀めっき層224を、搭載部22bに位置する金めっき層223上に形成する。
【0032】
このように、銀めっき層224は、銀めっき層22yを金めっき層223全体に形成した後に、搭載部22b以外の不要な部分を除去することで、容易に所望とする部分的なパターンを形成することができる。
【0033】
次に、図4(D)に示すように、銀めっき層224が形成された搭載部22bの所定の位置に、銀ペースト70を塗布して、受光ICチップ30およびチップコンデンサ40を搭載する。受光ICチップ30およびチップコンデンサ40を搭載した後に、熱硬化炉にて銀ペーストを硬化させて、受光ICチップ30およびチップコンデンサ40を搭載部22bに固着させる。搭載部22bには、銀ペーストと同じ金属である銀めっき層224が形成されているので、銀粉体と銀めっき層224とが同族金属結合により安定して密着した状態となることで、受光ICチップ30およびチップコンデンサ40を搭載部22bに確実に固着させることができる。
【0034】
そして、受光ICチップ30の接続端子32とワイヤボンドパッド22cとをワイヤ60で接続し、受光ICチップ30とチップコンデンサ40とワイヤ60とを、樹脂で封止することで樹脂パッケージ50(図1参照)を形成する。最後に、ダイサーにより集合基板を切断して、個片とすることで図1に示すフォトIC10が得られる。
【0035】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本実施の形態では、導電性接着剤として銀ペーストを例に説明したが、他の導電性接着剤でも、その導電性粉体と同じ金属をめっき層として搭載部に形成することができれば、使用することは可能である。また、銀めっき層224は、銀ペーストとの接続性に問題がなければ、銀合金で形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、電子部品を配線パターンの搭載部に確実に固着させることで、接続信頼性の確保を図ることが可能なので、絶縁基板に形成される配線パターンに、電子部品が導電性粉体を含有する導電性接着剤を介在させて搭載されるプリント配線基板およびその形成方法に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施の形態に係るプリント配線基板に受光ICチップを搭載したフォトICの正面図
【図2】図1に示すフォトICの平面図
【図3】プリント配線基板に形成された配線パターンの搭載部の断面図
【図4】(A)から(D)は、図1に示すフォトICの製造方法の各工程を示す図
【符号の説明】
【0038】
10 フォトIC
20 プリント配線基板
21 絶縁基板
22 配線パターン
22a 接続電極
22b 搭載部
22c ワイヤボンドパッド
22d 配線部
22x 金属箔層
22y 銀めっき層
30 受光ICチップ
31 受光部
32 接続端子
40 チップコンデンサ
50 樹脂パッケージ
60 ワイヤ
70 銀ペースト
221 銅箔層
222 ニッケルめっき層
223 金めっき層
224 銀めっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板に形成され、導電性粉体を含有する導電性接着剤を介在させて電子部品が搭載部に搭載され固着されるプリント配線基板の配線パターンであって、
前記搭載部には、前記導電性粉体と同じ金属で形成された金属めっき層が設けられていることを特徴とするプリント配線基板の配線パターン。
【請求項2】
前記金属めっき層は、前記導電性接着剤が、銀を導電性粉体とした銀ペーストである場合に、銀めっき層で形成されていることを特徴とする請求項1記載のプリント配線基板の配線パターン。
【請求項3】
絶縁基板に形成され、導電性粉体を含有する導電性接着剤を介在させて、電子部品が搭載部に搭載されるプリント配線基板の配線パターンの形成方法であって、
前記絶縁基板に、所定パターンの金属箔層を形成し、
前記金属箔層の全体に、前記導電性粉体と同じ金属で形成された金属めっき層を形成し、
前記搭載部を少なくとも残して、前記金属めっき層を除去することを特徴とするプリント配線基板の配線パターンの形成方法。
【請求項4】
前記金属めっき層として銀めっき層を形成することを特徴とする請求項3記載のプリント配線基板の配線パターンの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−43750(P2009−43750A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203911(P2007−203911)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】