説明

プリント配線板、プリント配線板の製造方法

【課題】カバーレイやソルダーレジスト等で形成される絶縁層が、導電層に対して所定の位置よりズレて被覆(形成)された場合でも、絶縁層に形成される実装用開口部に対して電子部品を精度良く実装することができるプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】基材10と、該基材10に積層される回路配線21を備える導電層20と、該導電層20に積層される絶縁層30とを少なくとも備えるプリント配線板1であって、電子部品40を実装するものにおいて、前記電子部品40を実装するための実装用開口部31aと、前記電子部品40の実装位置を規定するための認識マーク31bとを、前記絶縁層30に、同時に且つ一定の位置関係をもって設けてあるプリント配線板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板及び該プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の電子機器の内部には、コネクター等の電子部品が実装されたプリント配線板が配設されている。
このようなプリント配線板においては、特有形状をもつ導体(例えば円形状等)を認識マーク(いわゆるアライメントマーク)としてプリント配線板の導電層に形成し、この認識マークを基準として、電子部品を実装する際の位置決めを行うものが一般的である。
より具体的には、認識マークを、例えば撮像カメラ等による画像認識装置を用いて電気的に認識し、その位置データを基準にして、導電層を被覆する絶縁層に形成される電子部品を実装するための開口部(以下、実装用開口部とする。)に電子部品を実装するものが一般的である。
このようなプリント配線板を示す従来技術として、例えば下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−7460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、フレキシブル基板の認識マーク構造に関する発明で、撮像カメラによる認識マークの認識精度を向上させることができるメリットがある。
しかし上記特許文献1においては、既述した従来のプリント配線板と同様に、認識マークを導体で形成する構成であることから、カバーレイやソルダーレジスト等で形成される絶縁層が、認識マークを形成する導電層に対して所定の位置よりズレて被覆された場合には、絶縁層に形成される実装用開口部に対して電子部品を精度良く実装することができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来技術における問題点を解消し、カバーレイやソルダーレジスト等で形成される絶縁層が、導電層に対して所定の位置よりズレて被覆された場合でも、絶縁層に形成される実装用開口部に対して電子部品を精度良く実装することができるプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリント配線板は、基材と、該基材に積層される回路配線を備える導電層と、該導電層に積層される絶縁層とを少なくとも備えるプリント配線板であって、電子部品を実装するものにおいて、前記電子部品を実装するための実装用開口部と、前記電子部品の実装位置を規定するための認識マークとを、前記絶縁層に、同時に且つ一定の位置関係をもって設けてあることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、プリント配線板は、基材と、該基材に積層される回路配線を備える導電層と、該導電層に積層される絶縁層とを少なくとも備えるプリント配線板であって、電子部品を実装するものにおいて、前記電子部品を実装するための実装用開口部と、前記電子部品の実装位置を規定するための認識マークとを、前記絶縁層に、同時に且つ一定の位置関係をもって設けてあることから、カバーレイやソルダーレジスト等で形成される絶縁層が、導電層に対して所定の位置よりズレて被覆された場合でも、絶縁層に形成される実装用開口部に対して電子部品を精度良く実装することができる。
【0008】
また本発明のプリント配線板は、上記本発明の第1の特徴に加えて、前記認識マークを、前記絶縁層に形成した凹部で構成してあることを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、前記認識マークを、前記絶縁層に形成した凹部で構成してあることから、認識マークの形成を容易なものとすることができる。
【0010】
また本発明のプリント配線板は、上記本発明の第1の特徴に加えて、前記認識マークを、前記絶縁層に形成した凸部で構成してあることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、前記認識マークを、前記絶縁層に形成した凸部で構成してあることから、認識マークの形成を容易なものとすることができる。
【0012】
また本発明のプリント配線板は、上記本発明の第1〜第3の何れか1つの特徴に加えて、前記絶縁層は、カバーレイであることを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、上記本発明の第1〜第3の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、前記絶縁層は、カバーレイであることから、耐熱性、柔軟性等に優れた絶縁層とすることができる。
【0014】
また本発明のプリント配線板は、上記本発明の第1〜第3の何れか1つの特徴に加えて、前記絶縁層は、ソルダーレジストであることを第5の特徴としている。
【0015】
上記本発明の第5の特徴によれば、上記本発明の第1〜第3の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、前記絶縁層は、ソルダーレジストであることから、耐熱性、柔軟性等に優れた絶縁層とすることができると共に、微小な電子部品に対応する実装用開口部を精度良く形成することができる。
【0016】
また本発明のプリント配線板は、上記本発明の第1〜第5の何れか1つの特徴に加えて、前記認識マークを、前記実装用開口部の外側にある絶縁層に設けてあることを第6の特徴としている。
【0017】
上記本発明の第6の特徴によれば、上記本発明の第1〜第5の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、前記認識マークを、前記実装用開口部の外側にある絶縁層に設けてあることから、認識マークをより確実に認識することができる。
【0018】
また本発明のプリント配線板は、上記本発明の第1〜第5の何れか1つの特徴に加えて、前記認識マークを、前記実装用開口部の内側にある絶縁層に設けてあることを第7の特徴としている。
【0019】
上記本発明の第7の特徴によれば、上記本発明の第1〜第5の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、前記認識マークを、前記実装用開口部の内側にある絶縁層に設けてあることから、認識マークをより確実に認識することができる。
【0020】
また本発明のプリント配線板は、上記本発明の第1〜第7の何れか1つの特徴に加えて、前記プリント配線板は、フレキシブルプリント配線板であることを第8の特徴としている。
【0021】
上記本発明の第8の特徴によれば、上記本発明の第1〜第7の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、前記プリント配線板は、フレキシブルプリント配線板であることから、薄型化や高密度配線が可能なプリント配線板とすることができる。
【0022】
また本発明のプリント配線板の製造方法は、絶縁性の基材上に回路配線を含む導電層を形成する導電層形成工程と、前記導電層に絶縁層を被覆する絶縁層被覆工程とを少なくとも備えるプリント配線板の製造方法であって、前記絶縁層被覆工程において、電子部品を実装するための実装用開口部と、前記電子部品の実装位置を規定するための認識マークとを、前記絶縁層に、同時に且つ一定の位置関係をもって形成することを第9の特徴としている。
【0023】
上記本発明の第9の特徴によれば、プリント配線板の製造方法は、絶縁性の基材上に回路配線を含む導電層を形成する導電層形成工程と、前記導電層に絶縁層を被覆する絶縁層被覆工程とを少なくとも備えるプリント配線板の製造方法であって、前記絶縁層被覆工程において、電子部品を実装するための実装用開口部と、前記電子部品の実装位置を規定するための認識マークとを、前記絶縁層に、同時に且つ一定の位置関係をもって形成することから、導電層形成工程において、絶縁性の基材上に回路配線を含む導電層を形成することができる。また絶縁層被覆工程において、導電層に絶縁層を被覆することができると共に、電子部品を実装するための実装用開口部と、電子部品の実装位置を規定するための認識マークとを、絶縁層に、同時に且つ一定の位置関係をもって形成することができる。よって実装用開口部に対して電子部品を精度良く実装することが可能なプリント配線板とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のプリント配線板によれば、カバーレイやソルダーレジスト等で形成される絶縁層が、導電層に対して所定の位置よりズレて被覆された場合でも、絶縁層に形成される実装用開口部に対して電子部品を精度良く実装することができる。また実装用開口部及び認識マークの形成を容易なものとすることができると共に、認識性の良好な認識マークとすることができる。
また本発明のプリント配線板の製造方法によれば、導電層形成工程において、絶縁性の基材上に回路配線を含む導電層を形成することができる。また絶縁層被覆工程において、導電層に絶縁層を被覆することができる共に、電子部品を実装するための実装用開口部と、電子部品の実装位置を規定するための認識マークとを、絶縁層に、同時に且つ一定の位置関係をもって形成することができる。よって実装用開口部に対して電子部品を精度良く実装することが可能なプリント配線板とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板を示す図で、(a)はプリント配線板の全体平面図、(b)は(a)における実装用開口部を拡大して示す図、(c)は(a)のa−a線方向における断面図の一部を示す図である。
【図2】プリント配線板の実装用開口部に電子部品を実装する工程を模式的に示す断面図で、(a)は本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板を示す図、(b)は本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板を示す図、(c)は従来のプリント配線板を示す図、(d)は従来のプリント配線板を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板の製造工程を簡略化して示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るプリント配線板を示す図で、(a)はプリント配線板の全体平面図、(b)は(a)のb−b線方向における断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るプリント配線板の製造工程を簡略化して示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板の変形例を示す図で、(a)はプリント配線板の全体平面図、(b)は(a)のc−c線方向における断面図の一部を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るプリント配線板の変形例を示す図で、(a)はプリント配線板の全体平面図、(b)は(a)のd−d線方向における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態に係るプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0027】
まず図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法について説明する。
なお図1(c)、図2、図3(d)においては、説明の便宜上、後述するカバーレイ31の形状を簡略化して示すものとする。
【0028】
本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板1は、電子部品を実装した状態で携帯電話機等の電子機器の内部に配設されるものである。
このプリント配線板1は、図1(c)に示すように、基材10と、導電層20と、絶縁層30とから構成される。
なお本実施形態においては、プリント配線板1として、いわゆる片面フレキシブルプリント配線板を用いる構成としてある。このような構成とすることで、高密度配線が可能で、電子機器の薄型化に対応できるプリント配線板とすることができる。
【0029】
前記基材10は、プリント配線板1の基台となるものであり、絶縁性の樹脂フィルムで形成されている。
樹脂フィルムとしては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用される。例えばポリイミドフィルムやポリエステルフィルム等のフレキシブルプリント配線板を形成する樹脂フィルムとして通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
また特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有しているものが望ましい。例えばポリアミド系の樹脂フィルムや、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルムや、ポリエチレンナフタレートを好適に用いることができる。
また耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等、フレキシブルプリント配線板を形成する耐熱性樹脂として通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
また基材10の厚みは、12.5μm〜25μm程度とすることが望ましい。
【0030】
前記導電層20は、回路配線21や、詳しくは図示しない回路パターンや端子等を形成するための導電性金属箔からなる層である。
本実施形態においては、図1(a)に示すように、回路配線21を2本形成してある。
また詳しくは図示していないが、回路パターン形成領域K及び端子形成領域Tには、それぞれ回路パターンと端子とを形成してある。
なお回路配線21、回路パターン、端子は、導電層20をエッチングする等の公知の形成方法を用いて形成することができる。
勿論、プリント配線板1の構成(回路配線21の数や形成位置等)は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0031】
また本実施形態においては、導電性金属箔として銅(Cu)を用いている。勿論、銅(Cu)に限るものではなく、フレキシブルプリント配線板の導電層を形成する導電性金属箔として通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
また導電層20の厚みは、12.5μm〜35μm程度とすることが望ましい。
【0032】
前記絶縁層30は、プリント配線板1の絶縁を確保するための層である。
この絶縁層30は、熱硬化性接着剤等からなる、図示しない接着剤を介して、カバーレイ31を基材10、導電層20に貼り付け、熱プレスすることで形成されている。
【0033】
また本実施形態においては絶縁層30たるカバーレイ31に、回路配線21の所定位置を露出させると共に、図1(b)に破線で示すコネクター等の電子部品40を実装するための実装用開口部31aと、電子部品40の実装位置を規定するための認識マーク31bとを、同時に且つ一定の位置関係をもって設けてある。
より具体的には、実装用開口部31aの外側にあるカバーレイ31に、円形の認識マーク31bを2つ形成し、この2つの認識マーク31bを基準として、実装用開口部31aを、認識マーク31bと同時に且つ一定の位置関係をもって形成してある。
なお、ここで「一定の位置関係をもって」とは、図1(b)を参照して、2つの認識マーク31bの何れか(本実施形態においては上側の認識マーク31b)を座標軸における原点とし、2つの認識マーク31bの中心を結ぶ直線(1点鎖線で示す。)をY軸、原点と直交する直線(1点鎖線で示す。)をX軸とした場合に、X−Y座標軸(座標平面)で指定することができる任意の点(座標(x、y))を実装用開口部31aの中心点とする位置関係のことを意味するものとする。
このような構成とすることで、カバーレイ31に形成される2つの認識マーク31bの位置データを基準として、座標平面上の任意の点を実装用開口部31aの中心点として指定することで、2つの認識マーク31bの位置データを基準とするプリント配線板1上における電子部品40の実装位置を一義的に定めることができる。よってカバーレイ31が導電層20に対して所定の位置よりズレて被覆された場合であっても、実装用開口部31aに対して電子部品40を精度良く実装することができる。
【0034】
つまり図2(a)に示すように、カバーレイ31が、導電層20に対して所定の位置に被覆された場合は勿論のこと、図2(b)に示すように、カバーレイ31が、導電層20に対して所定の位置よりズレ幅Zの分だけズレて被覆された場合であっても、プリント配線板1上における、電子部品40の実装位置を一義的に定めることができることで、実装用開口部31aに対して電子部品40を精度良く実装することができる。
【0035】
これに対して、図2(c)、図2(d)に示す、認識マーク230を導電層200に形成する従来のプリント配線板2においては、導電層200に形成される認識マーク230の位置データを基準にして、実装用開口部310aの中心点の位置データが決定され、実装用開口部310aが形成されると共に、電子部品400の実装位置が決定される。
よって図2(c)に示すように、カバーレイ310が、基材100及び導電層200に対して所定位置に被覆された場合では、導電層200に形成される認識マーク310bの位置データを基準として、実装用開口部310bに対して電子部品400を精度良く実装することができる。
しかし、図2(d)に示すように、カバーレイ310が、導電層200に対して所定の位置よりズレ幅Zの分だけズレて被覆された場合では、認識マーク230の位置データを基準として決定された電子部品400の実装位置と、実際に電子部品400を実装すべき実装位置との間にズレ幅Z分のズレが生じることになる。よって実装用開口部310aに対して電子部品400を精度良く実装することができないという問題があった。
なお従来のプリント配線板2は、本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板1に比して、認識マークの構成のみを異なる構成とするものである。よって本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板1と同一部材、同一機能を果たすものには、上2桁の番号及びアルファベットに同一番号、同一アルファベットを付し、以下の説明を省略するものとする。
【0036】
よって本発明の第1の実施形態の構成とすることで、例えカバーレイ31が、導電層20に対して所定の位置よりズレて被覆された場合であっても、実装用開口部31aに対して電子部品40を精度良く実装することができる。
またカバーレイ31で絶縁層30を形成することで、耐熱性、柔軟性等に優れた絶縁層30とすることができる。
【0037】
また実装用開口部31aと認識マーク31bとは、図1(c)に示すように、カバーレイ31に形成される凹部(貫通孔)で構成されている。更に本実施形態においては、実装用開口部31aと認識マーク31bとを構成する凹部を、打ち抜き加工を用いてカバーレイ31に同時に形成する構成としてある。このような構成とすることで、実装用開口部31aと認識マーク31bとを容易に形成することができると共に、実装用開口部31aと認識マーク31bとの位置関係を精度良く形成することができる。
また既述したように、認識マーク31bを実装用開口部31aの外側にあるカバーレイ31に形成する構成とすることで、認識マーク31bをより確実に認識することができる。
【0038】
なお認識マーク31bの大きさは、0.3mm〜0.5mm程度とすることが望ましい。
また認識マーク31bの形状は、円形に限るものではなく、四角形、星形等、適宜変更可能である。が、認識マーク31bの中心点を規定することができる等方的な形状であることが必要である。
また認識マーク31bの数も本実施形態のものに限る必要はなく、適宜変更可能である。しかし座標平面を規定するためには、少なくとも2つ以上であることが必要である。
また実装用開口部31a及び認識マーク31bのプリント配線板1における形成位置も本実施形態のものに限る必要はなく、実装用開口部31aと認識マーク31bとを同時に且つ一定の位置関係をもって形成するものであれば、適宜変更可能である。
【0039】
なおカバーレイとしては、ポリイミドフィルム、感光性レジスト、液状レジスト等を用いることができる。
また絶縁層30の厚みは、30μm〜60μm程度とすることが望ましい。
【0040】
次に図3を参照して本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板1の製造方法を説明する。
まず図3(a)を参照して、基材10に銅箔からなる導電層20を積層してなる、いわゆる銅張積層板を用意する。
そして図3(b)に示す、導電層形成工程Aにより、導電層20をエッチングする等の公知の形成方法を用いて、回路配線21や、図示しない回路パターン、端子等を形成する。
そして図3(c)に示す、絶縁層被覆工程Bにより、まず絶縁層30たるカバーレイ31に、打ち抜き加工を用いて、実装用開口部31aと認識マーク31bとを同時に且つ一定の位置関係をもって形成する。
その後、図3(d)に示す、絶縁層被覆工程Bにより、実装用開口部31aと認識マーク31bとを形成したカバーレイ31を、基材10及び導電層20に、図示しない接着剤を介して貼り付け、熱プレスを行う。これにより基材10及び導電層20が絶縁層30で被覆される。
以上の工程を経てプリント配線板1が形成される。
【0041】
このように形成されるプリント配線板1は、実装用開口部31aに、図示しない電子部品が実装された状態で、図示しない携帯電話機等の電子機器の内部に配設される。
なお本実施形態においては、サブトラクティブ法を用いて導電層20に回路配線21等を形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、その他の方法(例えばアディティブ法等)を用いて導電層20に回路配線21等を形成する構成としてもよい。
【0042】
次に図4、図5を参照して、本発明の第2の実施形態に係るプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法を説明する。
まず図4を参照して、本発明の第2の実施形態に係るプリント配線板3は、絶縁層30を、カバーレイ31とソルダーレジスト32とで形成すると共に、実装用開口部32aと認識マーク32bとをソルダーレジスト32に同時に且つ一定の位置関係をもって形成する構成とするものである。その他のプリント配線板としての主たる構成は、既述した本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板1と同様であることから、プリント配線板1と同一部材、同一機能を果たすものには、同一番号を付し、以下の説明を省略するものとする。
【0043】
このように、実装用開口部32aと認識マーク32bとをソルダーレジスト32に同時に且つ一定の位置関係をもって形成する構成とすることで、ソルダーレジスト32が、導電層20に対して所定の位置よりズレて被覆された場合であっても、電極22が露出状態にある実装用開口部32bに対して電子部品を精度良く実装することができる。
またソルダーレジスト32で絶縁層30を形成することで、耐熱性、柔軟性等に優れた絶縁層30とすることができると共に、微小な電子部品を実装する場合でも、実装用開口部32aを精度良く形成することができる。
【0044】
また認識マーク32bは、図4に示すように、ソルダーレジスト32で凸部を形成することで構成されている(ソルダーレジスト32の外周に凹部が形成された、いわゆる独立島として構成されている。)。
更に本実施形態においては、凹部たる実装用開口部32aと、凸部たる認識マーク32bとを同時に形成する構成としてある。このような構成とすることで、実装用開口部32aと認識マーク32bとの位置関係を精度良く形成することができる。
また認識マーク32bを実装用開口部32aの外側にあるソルダーレジスト32に形成する構成としてある。このような構成とすることで、認識マーク32bをより確実に認識することができる。
【0045】
なお認識マーク32bの大きさは、0.3mm〜0.5mm程度とすることが望ましい。
また認識マーク32bの形状は、円形に限るものではなく、四角形、星形等、適宜変更可能である。が、認識マーク32bの中心点を規定することができる等方的な形状であることが必要である。
また認識マーク32bの数も本実施形態のものに限る必要はなく、適宜変更可能である。しかし座標平面を規定するためには、少なくとも2つ以上であることが必要である。
また認識マーク32bの構成はソルダーレジスト32で凸部を形成することで構成するものに限るものではなく、ソルダーレジスト32で凹部を形成することで構成するものであってもよい。
つまり「認識マーク32bの構成」とは、画像認識装置(撮像カメラ等)が凸部を認識マーク32bとして認識する場合は、凸部をもって認識マーク32bとし、凹部を認識マーク32bとして認識する場合は、凹部をもって認識マーク32bとする概念を意味するものとする。
例えば本発明の第2の実施形態のように、ソルダーレジスト32でいわゆる独立島を形成するような構成である場合、画像認識装置(撮像カメラ等)が凸部(いわゆる独立島)を認識マーク32bとして認識する場合は、凸部が認識マーク32bとなり、凹部を認識マーク32bとして認識する場合は、凹部が認識マーク32bとなる。
また実装用開口部32a及び認識マーク32bのプリント配線板3における形成位置も本実施形態のものに限る必要はなく、実装用開口部32aと認識マーク32bとを同時に且つ一定の位置関係をもって形成するものであれば、適宜変更可能である。
【0046】
なおソルダーレジスト32の主成分としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、及びアクリル、メタクリル等のビニル、あるいはメタクリル基含有有機材料などの熱硬化性樹脂等、ソルダーレジストの主成分を構成するものとして通常用いられるものを用いることができる。
またソルダーレジスト32の厚みは、10μm〜30μm程度とすることが望ましい。
【0047】
次に図5を参照して本発明の第2の実施形態に係るプリント配線板3の製造方法を説明する。
まず図5(a)を参照して、基材10に銅箔からなる導電層20を積層してなる、いわゆる銅張積層板を用意する。
そして図5(b)に示す、導電層形成工程Aにより、導電層20をエッチングする等の公知の形成方法を用いて、回路配線21、電極22、図示しない回路パターン、端子等を形成する。
そして図5(c)に示す、絶縁層被覆工程Bの第1工程として、基材10及び導電層20を絶縁層30たるソルダーレジスト32で被覆する。この際、実装用開口部32aと認識マーク32bとを同時に且つ一定の位置関係をもって設ける。
より具体的には、基材10及び導電層20上に、均一な膜を形成するように塗布またはフィルム貼付によりソルダーレジスト組成物(エポキシ樹脂等の樹脂を主成分とする組成物)を形成する形成工程と、ソルダーレジスト組成物をフォトマスクで覆い、所定の露光量(150〜600mJ/cm程度)で露光する露光工程と、露光されたソルダーレジスト組成物を所定の温度及び時間(アルカリ水溶液等の現像液を用いて、35〜45℃程度、60〜120秒程度)で現像する現像工程と、現像工程後にソルダーレジスト組成物を所定の温度及び時間(110〜160℃程度、10〜30分程度)で硬化させる硬化工程とを少なくとも経ることで、実装用開口部32aと認識マーク32bとを同時に且つ一定の位置関係をもって設けるソルダーレジスト32で、基材10及び導電層20が被覆される。
そして図5(d)に示す、絶縁層被覆工程Bの第2工程として、カバーレイ31を、基材10及び導電層20に、図示しない接着剤を介して貼り付け、熱プレスを行う。これにより基材10及び導電層20が絶縁層30で被覆される。
以上の工程を経てプリント配線板3が形成される。
【0048】
このように形成されるプリント配線板3は、実装用開口部32aに、図示しない電子部品が実装された状態で、図示しない携帯電話機等の電子機器の内部に配設される。
なお本実施形態においては、サブトラクティブ法を用いて導電層20に回路配線21等を形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、その他の方法(例えばアディティブ法等)を用いて導電層20に回路配線21等を形成する構成としてもよい。
またフォトレジスト法を用いてソルダーレジスト32を形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、その他の方法(例えばスクリーン印刷法等)を用いてソルダーレジスト32を形成する構成としてもよい。
【0049】
次に図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板1の変形例を説明する。
【0050】
本変形例は、既述した本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板1の構成に対して、認識マークの形成位置及びカバーレイの材質を変形させたものである。
より具体的には、図6に示すように、認識マーク31cを、実装用開口部31aの内側にある絶縁層に設ける構成としたものである。
更に具体的には、実装用開口部31aの内側に、カバーレイ31を用いて認識マーク31cを凸部(いわゆる独立島)として設ける構成としたものである。
その他の構成は、既述した本発明の第1の実施形態に係るプリント配線板1の構成と同一であることから、同一部材、同一機能を果たすものには、同一番号を付し、以下の詳細な説明は省略するものとする。
このような構成の認識マーク31cとすることで、認識マーク31cをより確実に認識することができる。
なお、この実装用開口部31aと認識マーク31cとは、例えば感光性レジストを用いて、露光工程、現像工程、硬化工程等を行うことで、絶縁層30に同時に且つ一定の位置関係をもって形成することができる。
【0051】
次に図7を参照して、本発明の第2の実施形態に係るプリント配線板3の変形例を説明する。
【0052】
本変形例は、既述した本発明の第2の実施形態に係るプリント配線板3の構成に対して、認識マークの形成位置を変形させたものである。
より具体的には、図7に示すように、認識マーク32cを、実装用開口部32aの内側にある絶縁層に設ける構成としたものである。
更に具体的には、実装用開口部32aの内側に、ソルダーレジスト32を用いて認識マーク32cを凸部(いわゆる独立島)として設ける構成としたものである。
その他の構成は、既述した本発明の第2の実施形態に係るプリント配線板3の構成と同一であることから、同一部材、同一機能を果たすものには、同一番号を付し、以下の詳細な説明は省略するものとする。
このような構成の認識マーク32cとすることで、認識マーク32cをより確実に認識することができる。
なお、この実装用開口部32aと認識マーク32cとは、例えば既述した本発明の第2の実施形態と同様に、感光性のソルダーレジスト組成物を用いて、露光工程、現像工程、硬化工程等を行うことで、絶縁層30に同時に且つ一定の位置関係をもって形成することができる。
【0053】
なお既述した本発明の第1及び第2実施形態においては、プリント配線板1、3をいわゆる片面フレキシブルプリント配線板とする構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、いわゆる両面フレキシブルプリント配線板とする構成としてもよい。
またプリント配線板もフレキシブルプリント配線板に限るものではなく、例えばリジッドプリント配線板等、種々のプリント配線板を用いることができる。
また既述した本発明の第2実施形態においては、絶縁層30を1層で形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではない。例えばカバーレイ31と、ソルダーレジスト32とを積層することで、2層からなる絶縁層30とする構成としてもよい。但しこの場合は、実装用開口部及び認識マークをカバーレイ31、ソルダーレジスト32の同一位置に形成することが必要である。
また上記において、回路配線21の上方に位置するカバーレイ31は、現実的には若干盛り上がった状態に形成されるところ、図1(c)、図2、図3(d)、図4(b)、図5(d)、図7(b)においては、平坦な形状として示している。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、カバーレイやソルダーレジスト等で形成される絶縁層が、導電層に対して所定の位置よりズレて被覆された場合でも、絶縁層に形成される実装用開口部に対して電子部品を精度良く実装することができる。よって電子部品を実装するプリント配線板の分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0055】
1 プリント配線板
2 プリント配線板
3 プリント配線板
10 基材
20 導電層
21 配線回路
22 電極
30 絶縁層
31 カバーレイ
31a 実装用開口部
31b 認識マーク
31c 認識マーク
32 ソルダーレジスト
32a 実装用開口部
32b 認識マーク
32c 認識マーク
40 電子部品
100 基材
200 導電層
210 配線回路
230 認識マーク
300 絶縁層
310 カバーレイ
310a 実装用開口部
400 電子部品
A 導電層形成工程
B 絶縁層被覆工程
K 回路パターン形成領域
T 端子形成領域
Z ズレ幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材に積層される回路配線を備える導電層と、該導電層に積層される絶縁層とを少なくとも備えるプリント配線板であって、電子部品を実装するものにおいて、前記電子部品を実装するための実装用開口部と、前記電子部品の実装位置を規定するための認識マークとを、前記絶縁層に、同時に且つ一定の位置関係をもって設けてあることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記認識マークを、前記絶縁層に形成した凹部で構成してあることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記認識マークを、前記絶縁層に形成した凸部で構成してあることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記絶縁層は、カバーレイであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記絶縁層は、ソルダーレジストであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のプリント配線板。
【請求項6】
前記認識マークを、前記実装用開口部の外側にある絶縁層に設けてあることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のプリント配線板。
【請求項7】
前記認識マークを、前記実装用開口部の内側にある絶縁層に設けてあることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のプリント配線板。
【請求項8】
前記プリント配線板は、フレキシブルプリント配線板であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のプリント配線板。
【請求項9】
絶縁性の基材上に回路配線を含む導電層を形成する導電層形成工程と、前記導電層に絶縁層を被覆する絶縁層被覆工程とを少なくとも備えるプリント配線板の製造方法であって、前記絶縁層被覆工程において、電子部品を実装するための実装用開口部と、前記電子部品の実装位置を規定するための認識マークとを、前記絶縁層に、同時に且つ一定の位置関係をもって形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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