説明

プリント配線板及びプリント配線板の製造方法

【課題】電子部品を実装するプリント配線板において、製造効率の高効率化及び低コスト化を実現することができると共に、多様な仕様のプリント配線板を効率良く製造することができるプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】電極形成領域Kを備える本体部10と、電極形成領域K及び電子部品実装領域Bを備える電子部品実装部20とが、一体に電気接続されてなるプリント配線板1であって、電子部品実装部20は、電極形成領域Kの部分で本体部10の電極形成領域Kと異方性導電接着剤30を介して電気接続されてあると共に、その途中で折り返して電子部品実装領域Bを電極形成領域Kに重なるように設けてあるプリント配線板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を実装するプリント配線板において、製造効率の高効率化及び低コスト化を実現することができると共に、多様な仕様のプリント配線板を効率良く製造することができるプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を実装するプリント配線板は、1枚の基板上に電子部品を実装する領域(以下、電子部品実装領域とする)と、その他の領域との全てを形成するものが一般的であった。
またこのような従来のプリント配線板は、製造効率の観点から、同一形状をなす複数枚のプリント配線板の外形を、1枚の原板からプレス機で打ち抜くこと等で製造されるものが一般的であった。
このようなプリント配線板を示す従来技術として、例えば下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−281512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、電子機器の製造方法に関する発明で、1枚の基板上に電子部品を実装する領域(以下、電子部品実装領域とする)と、その他の領域との全てを形成するフレキブルプリント配線板が開示されている。
また大形の絶縁フィルムを所定箇所で切断することで、複数のフレキシブルプリント配線板の外形を製造する工程が開示されている。
しかしこのような従来のプリント配線板においては、同一形状をなす複数枚のプリント配線板の外形を、1枚の原板から打ち抜いたり、切断したりする構成であることから、原板から切り取ることができる枚数(いわゆる取り数)が、プリント配線板全体の外形によって限定されることになり、製造効率が悪いという問題があった。
また1枚の基板上に電子部品実装領域と、その他の領域との全てを形成する構成であることから、例えば電子部品実装領域のみの仕様を変更する場合でも、全体の仕様を考慮して変更を行う必要があり、多様な仕様のプリント配線板を効率良く製造することができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、電子部品を実装するプリント配線板において、製造効率の高効率化及び低コスト化を実現することができると共に、多様な仕様のプリント配線板を効率良く製造することができるプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリント配線板は、電極形成領域を備える本体部と、電極形成領域及び電子部品実装領域を備える電子部品実装部とが、一体に電気接続されてなるプリント配線板であって、前記電子部品実装部は、前記電極形成領域の部分で前記本体部の電極形成領域と異方性導電接着剤を介して電気接続されてあると共に、その途中で折り返して前記電子部品実装領域を前記電極形成領域に重なるように設けてあることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、プリント配線板は、電極形成領域を備える本体部と、電極形成領域及び電子部品実装領域を備える電子部品実装部とが、一体に電気接続されてなるプリント配線板であって、前記電子部品実装部は、前記電極形成領域の部分で前記本体部の電極形成領域と異方性導電接着剤を介して電気接続されてあると共に、その途中で折り返して前記電子部品実装領域を前記電極形成領域に重なるように設けてあることから、本体部と電子部品実装部とを別部材とすることで、製造工程において、本体部と電子部品実装部とを別々の原板を用いて形成することができる。よって原板から打ち抜くことができる枚数(いわゆる取り数)が、プリント配線板全体の外形によって限定されることがない。よって原板から打ち抜くことができる枚数を効果的に増加させることができると共に、原板においてプリント配線板として利用されずに不要となる部分を減少させることができる。従って製造効率の高効率化と製造コストの低コスト化とを実現することができる。
また本体部若しくは電子部品実装部のみの仕様を変更する場合でも、どちらか一方のみの設計を変更するだけでよく、多様な仕様のプリント配線板を効率良く製造することができる。
また電子部品実装領域を電極形成領域に重なるように設けてある構成とすることで、電子部品実装領域と電極形成領域とをプリント配線板の同一領域に設けることができ、省スペース化を実現することができる。
また異方性導電接着剤を用いる構成とすることで、プリント配線板の厚みの調整が容易であると共に、厚み方向には良好な導電性を実現でき、且つ面方向には確実な絶縁性を確保することができる。
【0008】
また本発明のプリント配線板は、上記本発明の第1の特徴に加えて、前記本体部は、外周の一部を突出させてなる突出領域を備えると共に、該突出領域に前記電極形成領域を設けてあることを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、前記本体部は、外周の一部を突出させてなる突出領域を備えると共に、該突出領域に前記電極形成領域を設けてあることから、突出領域を電子部品実装領域とすることができる。
よって本体部における突出領域以外の領域に多様な機能を持たせることができ、多機能なプリント配線板とすることができる。
【0010】
また本発明のプリント配線板は、上記本発明の第1又は第2の特徴に加えて、前記電子部品実装部は、前記電子部品と電気接続される端子形成領域を備えることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、上記本発明の第1又は第2の特徴による作用効果に加えて、前記電子部品実装部は、前記電子部品と電気接続される端子形成領域を備えることから、端子形成領域を介してプリント配線板を他の電子機器等と電気接続させることができ、一段と多機能なプリント配線板とすることができる。
【0012】
また本発明のプリント配線板の製造方法は、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、電極形成領域を備える本体部を形成する工程と、電極形成領域及び電子部品実装領域を備える電子部品実装部を形成する工程と、前記本体部を準備する工程と、前記電子部品実装部を前記本体部と対向する位置に準備する工程と、前記本体部の電極形成領域と前記電子部品実装部の電極形成領域とを異方性導電接着剤を介して電気接続させる工程と、前記電子部品実装部における前記電極形成領域の反対側の表面に接着剤を配置する工程と、前記電極形成領域と前記電子部品実装領域とが重なるように前記電子部品実装部を折り返した状態で、前記接着剤を介して前記電子部品実装部の表面を接着させる工程とを備えることを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、プリント配線板の製造方法は、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、電極形成領域を備える本体部を形成する工程と、電極形成領域及び電子部品実装領域を備える電子部品実装部を形成する工程と、前記本体部を配置する工程と、前記電子部品実装部を前記本体部と対向する位置に配置する工程と、前記本体部の電極形成領域と前記電子部品実装部の電極形成領域とを異方性導電接着剤を介して電気接続させる工程と、前記電子部品実装部における前記電極形成領域の反対側の表面に接着剤を配置する工程と、前記電極形成領域と前記電子部品実装領域とが重なるように前記電子部品実装部を折り返した状態で、前記接着剤を介して前記電子部品実装部の表面を接着させる工程とを備えることから、本体部と電子部品実装部とを別部材とすることで、本体部と電子部品実装部とを別々の原板を用いて形成することができる。よって原板から打ち抜くことができる枚数(いわゆる取り数)が、プリント配線板全体の外形によって限定されることがない。よって原板から打ち抜くことができる枚数を効果的に増加させることができると共に、原板においてプリント配線板として利用されずに不要となる部分を減少させることができる。従って製造効率の高効率化と製造コストの低コスト化とを実現することができる。また本体部若しくは電子部品実装部のみの仕様を変更する場合でも、どちらか一方のみの設計を変更するだけでよく、多様な仕様のプリント配線板を効率良く製造することができる。
また電極形成領域と電子部品実装領域とが重なるような構成とすることで、電子部品実装領域と電極形成領域とをプリント配線板の同一領域に設けることができ、省スペース化を実現することができる。
また異方性導電接着剤を用いる構成とすることで、プリント配線板の厚みの調整が容易であると共に、厚み方向には良好な導電性を実現でき、且つ面方向には確実な絶縁性を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法によれば、電子部品を実装するプリント配線板において、製造効率の高効率化及び低コスト化を実現することができると共に、多様な仕様のプリント配線板を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るプリント配線板の要部を示す図で、(a)は本体部と電子部品実装部とが一体化された状態を示す平面図、(b)は本体部と電子部品実装部とが一体化される前の状態を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプリント配線板の要部を示す図で、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を簡略化して示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を簡略化して示す断面図である。
【図5】従来のプリント配線板の要部を示す平面図である。
【図6】従来のプリント配線板の要部を示す図で、(a)は本体部と電子部品実装部とが一体化される前の状態を示す平面図、(b)は本体部と電子部品実装部とが一体化された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態に係るプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0017】
まず図1、図2を参照して、本発明の実施形態に係るプリント配線板を説明する。
【0018】
本発明の実施形態に係るプリント配線板1は、図1、図2に示すように、電極形成領域Kを備える本体部10と、電極形成領域K及び電子部品実装領域Bを備える電子部品実装部20とが、異方性導電接着剤30を介して一体に電気接続されてなるプリント配線板である。
【0019】
前記本体部10は、プリント配線板1の骨格を構成するプリント基板であり、図2(b)に示すように、基材層11と、導電層12と、絶縁層13とから構成される。
【0020】
前記基材層11は、本体部10の基台となるものであり、絶縁性の樹脂フィルムで形成されている。
樹脂フィルムとしては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用される。例えばポリイミドフィルムやポリエステルフィルム等、プリント基板の基材を形成する樹脂フィルムとして通常用いられるものであれば、如何なるものを用いてもよい。
また特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有しているものが望ましい。例えばポリアミド系の樹脂フィルムや、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルムや、ポリエチレンナフタレートを好適に用いることができる。
また耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等、プリント基板を形成する耐熱性樹脂として通常用いられるものであれば、如何なるものを用いてもよい。
なお基材層11の厚みは、5μm〜50μm程度とすることが望ましい。
【0021】
前記導電層12は、基材層11上に積層され、本体部10の電極12a、回路配線12b等を構成する層である。
本実施形態においては、図1(b)、図2(b)に示すように、絶縁層13の一部を取り除いて開口部13aを形成すると共に、開口部13aに露出する導電層12を電極12aとすることで、電極形成領域Kを形成してある。つまり、ここで及び以下の説明において「本体部10における電極形成領域K」とは、「電極12aを露出させる開口部13aの領域」のことを意味するものとする。
また本実施形態においては、図1(b)に示すように、本体部10の外周の一部を突出させてなる突出領域Dに電極形成領域Kを設けてある。
【0022】
この導電層12は、基材層11上に導電性金属箔をめっきを用いて積層すること(いわゆるアディティブ法)等の公知の形成方法で形成することができる。
また導電性金属箔としては、銅(Cu)を用いることができる。勿論、銅(Cu)に限るものではなく、プリント基板の導電層を形成する導電性金属箔として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
なお導電層12の厚みは、5μm〜50μm程度とすることが望ましい。
また導電層12に形成する電極12aの数等は、本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0023】
前記絶縁層13は、本体部10の絶縁を確保するための層である。
この絶縁層13は、基材層11及び導電層12の表面にポリイミドフィルム等の絶縁性樹脂からなるカバーレイ等を公知の形成方法を用いて被覆させることで形成することができる。
また既述したように、絶縁層13には、電極形成領域Kたる開口部13aを形成してある。
なお絶縁層13の厚みは、5μm〜80μm程度とすることが望ましい。
【0024】
前記電子部品実装部20は、プリント配線板1における、主として電子部品を実装するためプリント基板であり、図2(b)に示すように、基材層21と、導電層22と、絶縁層23とから構成される。
この基材層21と、導電層22と、絶縁層23とは、既述した本体部10における基材層11と、導電層12と、絶縁層13と同一部材及び同一方法で形成されるものであることから、以下の詳細な説明は省略し、既述した本体部10と相違する部分を主として説明することとする。
【0025】
本実施形態における導電層22においては、図1(b)、図2(b)に示すように、絶縁層23の一部を取り除いて開口部23aを形成すると共に、開口部23aに露出する導電層22を電極22aとすることで、電極形成領域Kを形成してある。つまり、ここで及び以下の説明において「電子部品実装部20における電極形成領域K」とは、「電極22aを露出させる開口部23aの領域」のことを意味するものとする。
また図2(b)に示すように、絶縁層23の一部を取り除いて開口部23aを形成すると共に、開口部23aに露出する導電層22と電子部品24とを半田40を介して電気接続させることで、電子部品実装領域Bを形成してある。つまり、ここで及び以下の説明において「電子部品実装領域B」とは、「電子部品実装部20における電子部品24が実装されている領域、より具体的には、電子部品24の外周で囲まれる領域」のことを意味するものとする。
更に図1、図2に示すように、絶縁層23の一部を取り除いて開口部23aを形成すると共に、開口部23aに露出する導電層22を端子22cとすることで、端子形成領域Tを形成してある。つまり、ここで及び以下の説明において「端子形成領域T」とは、「端子22cを露出させる開口部23aの領域」のことを意味するものとする。
この端子22cは、図1(b)に示すように、電子部品24と電気接続されている。
また本実施形態においては、図2(b)に示すように、電極22aと、電子部品24と、端子22cとを電子部品実装部20の同一面に設けてある。
また本実施形態においては、図1(a)、図2(b)に示すように、本体部10の電極形成領域Kと、電子部品実装部20の電極形成領域Kと、電子部品実装部20の電子部品実装領域Bとの3つの領域の大きさ(面積)を同一大きさ(面積)に形成してある。
【0026】
また図2(b)に示すように、電子部品実装部20は、電極形成領域Kの部分で本体部10の電極形成領域Kと異方性導電接着剤30を介して電気接続されてあると共に、その途中で折り返して、電子部品実装領域Bを電極形成領域Kに重なるように設けてある。
より具体的には、電子部品実装部20の電極22aと、本体部10の電極12aとを異方性導電接着剤30を介して電気接続させてあると共に、電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとの間で(更に具体的には、図1(b)に1点鎖線で示す折り返し線Fで)電子部品実装部20を180度折り返すことで、電子部品実装部20に折り畳み領域Eを形成し、折り畳み領域Eで電極形成領域Kの中心と電子部品実装領域Bの中心とが上下に重なるような状態で、向かい合う電子部品実装部20の表面(向かい合う基材層21の表面)を接着剤50を介して接着させてある。
なお、ここで及び以下の説明において「折り畳み領域E」とは、「電子部品実装部20を構成するプリント基板が向かい合った状態で重なる領域」のことを意味するものとする。
【0027】
前記異方性導電接着剤30は、本体部10の電極12aと、電子部品実装部20の電極22aとを電気接続させると共に、本体部10と電子部品実装部20とを機械的に接続させるための接着剤である。
この異方性導電接着剤30は、結着剤(バインダー)の中に導電性粒子30aを含有させたものであり、熱圧着時の加熱、加圧によって厚み方向に導通性を有すると共に、面方向に絶縁性を有し、更に部材同士を接着させる接着性を有する。
なお結着剤としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等、異方性導電接着剤30を形成する結着剤として通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
また導電性粒子30aとしては、ニッケル等、異方性導電接着剤30を形成する導電成分として通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
また異方性導電接着剤30の大きさは、図1(b)に1点鎖線で示すように、熱圧着前において、横方向の長さPが、複数の電極12aの両端を結ぶ長さよりもやや長く、縦方向の長さQが、電極12aの縦方向の長さよりもやや短い略四角形で囲まれる領域を被覆できる大きさとすることが望ましい。
なお本実施形態においては、異方性導電接着剤30として膜状に形成された異方性導電フィルムを用いる構成としてある。
勿論、このような構成に限るものではなく、異方性導電接着剤30として異方性導電ペーストを用いる構成としてもよい。
【0028】
前記接着剤50は、折り畳み領域Eにおいて向かい合う電子部品実装部20の表面(向かい合う基材層21の表面)を接着させるためのものである。
本実施形態においては、接着剤50として、両面テープを用いる構成としてある。
勿論、接着剤50は両面テープに限るものではなく、折り畳み領域Eにおいて、向かい合う電子部品実装部20の表面(向かい合う基材層21の表面)を一定の強度で接着させることができるものであれば、如何なる接着剤を用いてもよい。
【0029】
このような構成からなるプリント配線板1は、以下の効果を奏する。
まず本体部10と電子部品実装部20とを別部材とすることで、製造工程において、本体部10と電子部品実装部20とを別々の原板を用いて形成することができる。よって原板から切り取ることができる枚数(いわゆる取り数)が、プリント配線板1全体の外形によって限定されることがない。よって原板から切り取ることができる枚数を効果的に増加させることができると共に、原板においてプリント配線板1として利用されずに不要となる部分を減少させることができる。従って製造効率の高効率化と製造コストの低コスト化とを実現することができる。また本体部10若しくは電子部品実装部20のみの仕様を変更する場合(例えば外形を変更する場合や、プリント基材の材質を安価材に変更する場合等)でも、どちらか一方のみの設計を変更するだけでよく、多様な仕様のプリント配線板を効率良く製造することができる。
また電子部品実装領域Bを電極形成領域Kに重なるように設ける構成とすることで、電子部品実装領域Bと電極形成領域Kとをプリント配線板1の同一領域(本実施形態における折り畳み領域E)に設けることができる。つまり本体部10と電子部品実装部20とを電気的及び機械的に接続させる領域と、電子部品24を実装する領域とを同一領域に集約させることができ、省スペース化を実現することができる。加えて本体部10において、電極形成領域Kを突出領域Dに設ける構成とすることで、突出領域Dを電子部品実装領域Bとすることができると共に、本体部における突出領域D以外の領域に多様な機能を持たせることができる。よって多機能なプリント配線板1とすることができる。
更に本体部10の電極形成領域Kと、電子部品実装部20の電極形成領域Kと、電子部品実装部20の電子部品実装領域Bとの3つの領域の大きさ(面積)を同一大きさ(面積)とすると共に、折り畳み領域Eで電極形成領域Kの中心と電子部品実装領域Bの中心とが上下に重なるような構成とすることで、本体部10と電子部品実装部20とを電気的及び機械的に接続させる領域と、電子部品24を実装する領域とを一段と同一領域に集約させることができ、一段と省スペース化を実現することができる。
また折り畳み領域Eで向かい合う電子部品実装部20の表面を接着剤50を介して接着させる構成とすることで、電子部品実装部20のスプリングバックを効果的に防止することができ、電気的及び機械的な接続信頼性の高いプリント配線板1とすることができる。
また端子形成領域Tに端子22cを形成すると共に、端子22cと電子部品24とを電気接続させる構成とすることで、端子22cを介してプリント配線板1を他の電子機器等と電気接続させることが可能となり、一段と多機能なプリント配線板とすることができる。
また異方性導電接着剤30を用いる構成とすることで、プリント配線板1の厚みの調整が容易であると共に、厚み方向には良好な導電性を実現でき、且つ面方向には確実な絶縁性を確保することができる。
【0030】
電子部品を実装する従来のプリント配線板としては、詳しくは図示していないが、例えば図5に示すように、1枚の基板上に電子部品実装領域Bと、その他の領域との全てを形成するプリント配線板2があった。
しかしこのような構成からなるプリント配線板2においては、プリント配線板2の製造工程において、原板から切り取ることができる枚数(いわゆる取り数)が、プリント配線板2全体の外形によって限定されることになり、製造効率が悪いという問題があった。
また1枚の基板上に電子部品実装領域Bと、その他の領域との全てを形成する構成であることから、例えば電子部品実装領域Bのみの仕様を変更する場合でも、全体の仕様を考慮して変更を行う必要があり、多様な仕様のプリント配線板を効率良く製造することができないという問題があった。
【0031】
また従来のこのような問題を解決する構成として、例えば図6に示すように、プリント配線板を、電極形成領域Kを備える本体部100と、電極形成領域K及び電子部品実装領域Bを備える電極電子部品実装部200との2部材で構成すると共に、電極120aと電極220aとを異方性導電接着剤300を介して電気接続させてなるプリント配線板3が開発されてきていた。
しかしこのような構成からなるプリント配線板3においては、異方性導電接着剤300を用いる構成であることから、電子部品実装領域Bを電極形成領域Kに重なるように設けることができず、省スペース化を実現することができないという問題があった。
つまり図6(b)に示すように、異方性導電接着剤300を介して電極120aと電極220aとを熱圧着させる前に、電子部品240(破線で示す)を予め電極220aに重なる領域に実装しておいた場合には、電子部品240があるために熱圧着手段600を用いて異方性導電接着剤300を熱圧着させることができないことから、電子部品実装領域Bを電極形成領域Kに重なるように設けることができないという問題があった。
一方、異方性導電接着剤300を介して電極120aと電極220aとを熱圧着させた後に、電子部品240(破線で示す)を電極220aに重なるように実装する場合には、熱圧着手段600により熱及び圧力を負荷させる面に(具体的には基材層210に)、電子部品240と電極220aとの導通を図るための開口部230a等(図示しない)が設けられていることで、熱圧着手段600による熱及び圧力を負荷させる面を凹凸のないフラットな面とすることができない。よって熱圧着手段600からの熱及び圧力を異方性導電接着剤300に均一に負荷させることができず、本体部10と電子部品実装部20との電気的及び機械的な接続が不完全となることから、電子部品実装領域Bを電極形成領域Kに重なるように設けることができないという問題があった。
なお従来のプリント配線板2、3において、既述したプリント配線板1と同一部材、同一機能を果たすものには、上2桁の番号及びアルファベットに同一なものを付し、詳細な説明を省略するものとする。
【0032】
よって本発明の実施形態に係るプリント配線板1の構成とすることで、電子部品24を実装するプリント配線板において、製造効率の高効率化及び低コスト化を実現することができると共に、多様な仕様のプリント配線板を効率良く製造することができるプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法の提供を課題とする。
【0033】
次に図3、図4を参照して本発明の実施形態に係るプリント配線板1の製造方法を説明する。
【0034】
まずアディティブ法、サブトラクティブ法等の公知のプリント基板形成方法を用いて、突出領域Dに電極形成領域Kを備える本体部10と、電極形成領域K、電子部品実装領域B、端子形成領域Tを備える電子部品実装部20とを形成する(図示しない)。
なおこの際、本体部10の電極形成領域Kと、電子部品実装部20の電極形成領域Kと、電子部品実装部20の電子部品実装領域Bとの3つの領域の大きさ(面積)を同一大きさ(面積)に形成する。また電子部品実装部20においては、電極形成領域Kと、電子部品実装領域Bとを同一面の所定の位置に形成すると共に、電極形成領域Kの反対側の面及び電子部品実装領域Bの反対側の面を、電子部品実装部20の表面のみからなるフラットな面として形成する。
なお、ここで及び以下の説明において「所定の位置」とは、「電子部品実装部20を電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとの間で180度折り返した際に、折り畳み領域Eで電極形成領域Kの中心と電子部品実装領域Bの中心とが上下に重なるような位置」のことを意味するものとする。
次に図3(a)を参照して、本体部10を準備する。
次に図3(b)を参照して、電子部品実装部20を本体部10と対向する位置に準備する。より具体的には、電極12aと電極22aとが対向するように電子部品実装部20を準備する。
次に図3(c)を参照して、熱圧着手段60を用いて、本体部10の電極形成領域Kに形成される電極12aと電子部品実装部20の電極形成領域Kに形成される電極22aとを異方性導電接着剤30を介して電気接続させる。
次に図4(a)を参照して、電子部品実装部20における電極形成領域Kの反対側の表面に接着剤50を配置する。より具体的には、電子部品実装部20における電極形成領域Kの反対側の表面に所定の大きさの両面テープを貼り付ける。なお両面テープの大きさ(面積)は、後に折り畳み領域Eを形成する、電子部品実装部20の表面が互いに向かい合う領域の大きさ(面積)を被覆できる大きさとすることが望ましい。
次に図4(b)を参照して、電子部品実装部20を、電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとの間で180度折り返すことで、電子部品実装部20に折り畳み領域Eを形成すると共に、折り畳み領域Eで電子部品実装領域Bと電極形成領域Kとが上下に重なるような状態として向かい合う電子部品実装部20の表面(向かい合う基材層21の表面)を接着剤50を介して接着させる。
以上の工程により、本発明の実施形態に係るプリント配線板1が製造される。
【0035】
このような構成からなる本発明の実施形態に係るプリント配線板1の製造方法は以下の効果を奏する。
本体部10と電子部品実装部20とを別部材とすることで、本体部10と電子部品実装部20とを別々の原板を用いて形成することができる。よって原板から切り取ることができる枚数(いわゆる取り数)が、プリント配線板1全体の外形によって限定されることがない。よって原板から切り取ることができる枚数を効果的に増加させることができると共に、原板においてプリント配線板1として利用されずに不要となる部分を減少させることができる。従って製造効率の高効率化と製造コストの低コスト化とを実現することができる。また本体部10若しくは電子部品実装部20のみの仕様を変更する場合でも、どちらか一方のみの設計を変更するだけでよく、多様な仕様のプリント配線板1を効率良く製造することができる。
また電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとが重なるような構成とすることで、電子部品実装領域Bと電極形成領域Kとをプリント配線板1の同一領域(本実施形態における折り畳み領域E)に設けることができる。つまり本体部10と電子部品実装部20とを電気的及び機械的に接続させる領域と、電子部品24を実装する領域とを同一領域に集約させることができ、省スペース化を実現することができる。加えて本体部10において、電極形成領域Kを突出領域Dに設ける構成とすることで、突出領域Dを電子部品実装領域Bとすることができると共に、本体部における突出領域D以外の領域に多様な機能を持たせることができる。よって多機能なプリント配線板1とすることができる。
更に本体部10の電極形成領域Kと、電子部品実装部20の電極形成領域Kと、電子部品実装部20の電子部品実装領域Bとの3つの領域の大きさ(面積)を同一大きさ(面積)に形成すると共に、電子部品実装部20においては、電極形成領域Kと、電子部品実装領域Bとを所定の位置に形成する構成とすることで、本体部10と電子部品実装部20とを電気的及び機械的に接続させる領域と、電子部品24を実装する領域とを一段と同一領域に集約させることができ、一段と省スペース化を実現することができる。
また電子部品実装部20において、電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとを所定の位置に形成すると共に、電極形成領域Kの反対側の面及び電子部品実装領域Bの反対側の面を、電子部品実装部20の表面のみからなるフラットな面としておき、電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとの間で電子部品実装部20を180度折り返す構成とすることで、本体部10と電子部品実装部20との電気的及び機械的な接続を精度良く行うことができる。つまり図3(c)に示すように、熱圧着手段60により熱及び圧力を負荷させる面を、凹凸のないフラットな面としてあることで、異方性導電接着剤30による電極12aと電極22aとの接続時に、熱圧着手段60により均一な熱及び圧力を異方性導電接着剤30に負荷させることができ、本体部10と電子部品実装部20との電気的及び機械的な接続を精度良く行うことができる。更に図4(a)に示すように、向かい合う電子部品実装部20の表面を接着剤50を介して相互に接着させることができる。よって電子部品実装部20のスプリングバックを効果的に防止することができ、電気的及び機械的な接続信頼性の高いプリント配線板1とすることができる。
また異方性導電接着剤30を用いる構成とすることで、プリント配線板1の厚みの調整が容易であると共に、垂直方向には良好な導電性を実現でき、且つ水平方向には確実な絶縁性を確保することができる。
【0036】
なお本実施形態においては、本体部10及び電子部品実装部20の構成を、基材層の片面側にのみ導電層を備えるいわゆる片面基板で形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、基材層の両面に導電層を備えるいわゆる両面基板で形成する構成としてもよい。
また本実施形態においては、1つの電子部品実装部20を、異方性導電接着剤30を介して本体部10に接続させる構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく
、複数の電子部品実装部20を、異方性導電接着剤30を介して本体部10に接続させる構成としてもよい。
また本実施形態においては、本体部10において突出領域Dに電極形成領域Kを設けることで、電子部品実装部20に実装される電子部品24を、本体部10の突出領域Dに設ける構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、本体部10に設ける電極形成領域Kの位置は適宜変更可能である。
また本体部10及び電子部品実装部20を形成するプリント基板の種類としては、フレキシブル基板、リジット基板、リジットフレキシブル基板等、プリント配線板を形成するプリント基板として通常用いられるものであれば、如何なるものを用いてもよい。が、電子部品実装部20は、折り返す必要があることから、屈曲性の良好なフレキシブル基板で形成することが望ましい。
また本実施形態においては、電子部品実装部20に電子部品24と電気接続される端子22cを設ける構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、電子部品24と電気接続されるコネクタを設ける構成としてもよい。このような構成とすることで、プリント配線板1と他の電子機器等との接続、非接続を容易に行うことができる。
【0037】
また本実施形態においては、導電層22と電子部品24とを半田40を介して電気接続させることで、電子部品実装部20に電子部品24を実装する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、導電層22と電子部品24との導通を図ることができる構成であれば、如何なる構成としてもよい。例えば電子部品実装部20を両面基板で形成すると共に、導電層22と電子部品24とをブラインドビアを介して電気接続させることで、電子部品実装部20に電子部品24を実装する構成としてもよい。このような構成とすることで、高密度配線が可能なプリント配線板とすることができる。
また本実施形態においては、本体部10の電極形成領域Kと、電子部品実装部20の電極形成領域Kと、電子部品実装領域Bとの3つの領域を同一大きさ(面積)とする構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、本体部10の電極形成領域K、電子部品実装部20の電極形成領域K及び電子部品実装領域Bのそれぞれの大きさ(面積)は、適宜変更可能である。
また本実施形態においては、電子部品実装部20における電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとの形成位置を、電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとの間で電子部品実装部20を180度折り返した際に、折り畳み領域Eで電極形成領域Kの中心と電子部品実装領域Bの中心とが上下に重なるような位置とする構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとの形成位置は適宜変更可能である。但し、電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとの間で電子部品実装部20を180度折り返した際に、電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとが折り畳み領域Eで上下に重なるような形成位置であることが必要である。また省スペース化の観点からは、電極形成領域Kと電子部品実装領域Bとの形成位置は、電極形成領域Kの中心と電子部品実装領域Bの中心とが折り畳み領域Eで上下に重なるような位置とすることが望ましい。
また本実施形態においては、電子部品実装部20において、電極形成領域K及び電子部品実装領域Bと同一面に端子形成領域Tを形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、電極形成領域K及び電子部品実装領域Bと異なる面に端子形成領域Tを形成する構成としてもよい。
また本体部10及び電子部品実装部20の外形、大きさ等も本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、電子部品を実装するプリント配線板において、製造効率の高効率化及び低コスト化を実現することができると共に、多様な仕様のプリント配線板を効率良く製造することができることから、電子部品を実装するプリント配線板の分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0039】
1 プリント配線板
2 プリント配線板
3 プリント配線板
10 本体部
11 基材層
12 導電層
12a 電極
12b 回路配線
13 絶縁層
13a 開口部
20 電子部品実装部
21 基材層
22 導電層
22a 電極
22b 回路配線
22c 端子
23 絶縁層
23a 開口部
24 電子部品
30 異方性導電接着剤
30a 導電性粒子
40 半田
50 接着剤
60 熱圧着手段
100 本体部
110 基材層
120 導電層
120a 電極
120b 回路配線
120c 端子
130 絶縁層
130a 開口部
140 電子部品
200 電子部品実装部
210 基材層
220 導電層
220a 電極
220b 回路配線
220c 端子
230 絶縁層
230a 開口部
300 導電性接着剤
300a 導電性粒子
400 半田
600 熱圧着手段
B 電子部品実装領域
D 突出領域
E 折り畳み領域
F 折り返し線
K 電極形成領域
T 端子形成領域
P 長さ
Q 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極形成領域を備える本体部と、電極形成領域及び電子部品実装領域を備える電子部品実装部とが、一体に電気接続されてなるプリント配線板であって、前記電子部品実装部は、前記電極形成領域の部分で前記本体部の電極形成領域と異方性導電接着剤を介して電気接続されてあると共に、その途中で折り返して前記電子部品実装領域を前記電極形成領域に重なるように設けてあることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記本体部は、外周の一部を突出させてなる突出領域を備えると共に、該突出領域に前記電極形成領域を設けてあることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記電子部品実装部は、前記電子部品と電気接続される端子形成領域を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、電極形成領域を備える本体部を形成する工程と、電極形成領域及び電子部品実装領域を備える電子部品実装部を形成する工程と、前記本体部を準備する工程と、前記電子部品実装部を前記本体部と対向する位置に準備する工程と、前記本体部の電極形成領域と前記電子部品実装部の電極形成領域とを異方性導電接着剤を介して電気接続させる工程と、前記電子部品実装部における前記電極形成領域の反対側の表面に接着剤を配置する工程と、前記電極形成領域と前記電子部品実装領域とが重なるように前記電子部品実装部を折り返した状態で、前記接着剤を介して前記電子部品実装部の表面を接着させる工程とを備えることを特徴とするプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−230954(P2012−230954A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96910(P2011−96910)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】