説明

プリント配線板

【課題】絶縁性の支持層と、その上に塗布された導電性材料からなる層とを備えるプリント配線板に関し、プリント配線板の柔軟性を高める。
【解決手段】プリント配線板60の少なくとも1つの個所で、導電性材料からなる層62と向かい合う支持層61の側に、プリント配線板60の一方の側からプリント配線板60の他方の側へと延びる直線状の溝63を形成するために支持層61の材料が除去されており、それによりプリント配線板60は溝63に沿って屈曲可能であり、溝63の領域に残っている支持層61の材料および/または溝63の領域にある導電性材料からなる層62が曲げエッジを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性の支持層と、その上に塗布された導電性材料からなる層とを備えるプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べた種類のプリント配線板は、いわゆるリジッドプリント配線板として従来技術から公知である。これは電子デバイス(抵抗器、コンデンサ、コイル、集積回路(IC)など)の機械的な固定と電気的な接触のために用いられる。そのために、接続配線(条導体)がたとえばマスクエッチングによって導電性材料の薄い層から製作される。デバイスは多くの場合、はんだ面(いわゆるパッド)にはんだ付けされるか、または穴および(穴を取り囲む)アイレットにはんだ付けされ、そのようにして、機械的な固定と電気的な接触が同時になされる。あるいは、プリント配線板にデバイスを固定および/または接触させるためのこれ以外の方法も知られており、たとえば接着、クランプまたは溶接などがある。
【0003】
従来のリジッドプリント配線板は、多くの場合、電気絶縁性の支持材料(基本材料)でできており、その上に銅層が塗布されている。層厚は典型的には35μmであり、電流の高い用途向けには70μmから140μmの間となる。基本材料として、以前にはPertinax(硬質紙と呼ばれる紙繊維を含むフェノール樹脂、材料識別記号FR2)がしばしば用いられていた。現在では多くの場合、エポキシ樹脂で含浸されたガラスファイバマットが用いられる(材料識別番号FR4)。この材料は改善されたトラッキング抵抗性と改善された高周波特性、ならびに硬質紙よりも低い吸水性を有している。特殊用途についてはこれ以外の材料も用いられており、たとえば高周波技術用のLTCCやHTCCではテフロン(登録商標)やセラミックが用いられ、あるいはガラスも用いられる。熱の排出に高い要求が課されるプリント配線板については、たとえば高性能LEDの照明技術の分野などでは、金属コアを有する基本材料が用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公知のリジッドプリント配線板における欠点は、その形状に関して柔軟性が低いことである。この理由により、公知の制御装置は長方形の箱として構成されるのが通常であり、その底面の上にリジッドプリント配線板が延びている。長方形の形状から外れる制御装置の形状は意味をなさない。そのような形状は、公知のリジッドプリント配線板によって有効に充填することができないからである。
【0005】
さらに従来技術より、絶縁性の支持層がたとえばポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリイミド(PI)などのフィルムでできているフレキシブルプリント配線板が知られている。フレキシブルプリント配線板は、制御装置ハウジングの複雑な形状に合わせて形状を適合化することができるという利点があり、すなわち、制御装置の内部空間を特別に有効に活用することができる。しかしフレキシブルプリント配線板は、その輪郭を打ち抜かなくてはならないという欠点がある。これは比較的高いコストがかかり、また、工具コストと機械コストが比較的高いために、大量の個数用としてしか適していない。そのうえフレキシブルプリント配線板は、制御装置に組み込まれる形状で維持および/または固定されなくてはならない。そうしないと支持層の柔軟性に基づき、再びもとの形状に戻ってしまうからである。さらにフレキシブルプリント配線板は、リジッドプリント配線板のようには安定しておらず、たとえば裂け目が入る可能性がある。最後に、フレキシブルプリント配線板は比較的高価でもある。
【0006】
さらに従来技術から、フレキシブルプリント配線板とリジッドプリント配線板の複合型である、いわゆるフレックスリジッドプリント配線板が知られている。接続部はフレキシブルな配線でできており、これがプリント配線板のリジッド部分と取外し不能に結合されている。剛直な領域は、電気デバイスおよびコネクタを搭載するための固定的な土台としての役目を果たす。フレキシブルな接続部によって、部品を支持するリジッド部分の位置を規定し、変更することができる。しかしフレックスリジッドプリント配線板は製造に関して非常に高いコストがかかり、したがって非常に高価である。
【0007】
つまり、以上を要約すると、これまでに最善のプリント配線板はまだ存在していないと言うことができる。したがって本発明の課題は、ある程度の柔軟性を形状に関して有するように、冒頭に述べた種類のリジッドプリント配線板を構成、改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、冒頭に述べた種類のプリント配線板を前提としたうえで、プリント配線板の少なくとも1つの個所で、導電性材料からなる層と向かい合う支持層の側に、プリント配線板の一方の側からプリント配線板の他方の側へと延びる直線状の溝を形成するために支持層の材料が除去されており、それによりプリント配線板は溝に沿って屈曲可能であり、溝の領域に残っている支持層の材料および/または溝の領域にある導電性材料からなる層が曲げエッジを形成することが提案される。
【0009】
本発明により、絶縁性の支持層の材料の的確な除去によって、プリント配線板を曲げることができる曲げエッジをプリント配線板に形成することで、簡単であるにもかかわらず非常に効率的な仕方で、プリント配線板の柔軟性を高めることができることが見出された。曲げエッジの領域における十分な安定性は、そこに残されている導電性層の材料によって保証される。導電性材料は、通常、曲げエッジに沿ってプリント配線板を最大90°曲げることを可能にする程度に柔軟性である。ただしプリント配線板の柔軟性を高めるには、これよりも低い、好ましくは最大45°の角度範囲の屈曲角があれば十分である。さらに導電性材料は、条導体の亀裂またはその他の損傷を生じることなく、プリント配線板を複数回両方向に曲げることを可能にする程度に安定性と抵抗性を備えている。
【0010】
溝の領域では、支持材料全体が導電性層まで除去されるのが好ましい。あるいは、支持材料の薄い層が導電性層の下側で溝に残されることも考えられる。それにより、曲げエッジに沿って安定性を高めることができる。このことは特に、脆性が高くなく、むしろ靭性のある、もしくは柔軟性のある支持材料によって実現することができる。複数の導体層を備えるプリント配線板、いわゆる多層プリント配線板を使用する場合、1つのプリント配線板セグメントから別のプリント配線板セグメントへの電気的な移行部は1つの層だけで行われるのがよく、すなわち、両方のセグメントの間のヒンジとして残された導電性材料の層で行われるのがよい。そのために、各セグメントの間で伝達されるべき信号がこの層でまとめられなくてはならない。これに代えて、各プリント配線板セグメントの間の移行部を多層で構成することも考えられ、この場合、各セグメントの間のヒンジの領域にある各層は、互いに相対的な各セグメントの運動を可能にするために、できるだけ互いに密着して積み重なっているのがよい。このとき個々の層の導体の間には、絶縁材料を挿入することができる。
【0011】
さらに、溝ないし曲げエッジの領域でプリント配線板の安定性を高めるために、回路工学的に必要なのではなく、プリント配線板を追加的に機械的に安定化させる役目だけを果たす追加の条導体(いわゆる安定導体)がプリント配線板に形成されることが考えられる。このような安定化導体は、条導体とともに共通の作業ステップで形成することができるので、追加のステップは必要ない。溝の領域における支持層の材料の除去は、簡単な仕方で可能である。たとえば溝のフライス加工が特別に好ましい。さらに、各セグメントの間のヒンジの領域で条導体を補強するために、プリント配線板を自動式に実装するときにわずかな追加コストしか必要としないワイヤブリッジを利用することができる。
【0012】
本発明の好ましい発展例では、支持層に複数の溝が刻設されており、これらの溝のうち少なくとも2つは互いに平行に延びていることが提案される。このことは、当初の純粋に二次元の形状から大きく離れた三次元形状となるように、プリント配線板の形状を変えることを可能にする。このようなプリント配線板は、長方形とは異なる形状を有する制御装置ハウジングを、たとえば湾曲したハウジング壁を有する制御装置ハウジングを、格別にうまく充填する。ハウジング壁の湾曲に合わせて、プリント配線板の形状を適合化することができるからである。
【0013】
複雑に構成されたプリント配線板について、1つの好ましい実施形態では、支持層に複数の溝が刻設されており、これらの溝のうち少なくとも2つは互いに斜めに延びていることが提案される。それにより、プリント配線板の格別に高い柔軟性を実現することができる。プリント配線板が三次元空間でほぼ任意の形状をとることができるからである。ほぼ任意に成形された制御装置ハウジングを、湾曲させたプリント配線板で効率的に充填することができる。
【0014】
絶縁性の支持材料は、セラミック、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、紙、および/またはガラスファイバ繊維でできているのが有利である。上述した材料の組み合わせも考えられ、たとえば樹脂と紙繊維またはガラス繊維との組み合わせが考えられる。これ以外のどのような適切な絶縁性材料も、当然ながら同じように考えられる。導電性材料からなる層は、銅、ニッケル、金、および/またはスズでできている。上述した材料の組み合わせ、ないし合金も考えられる。これ以外のどのような適切な導電性材料も、当然ながら同じように考えられる。
【0015】
本発明によるプリント配線板の特別な利点は、特に、自動車用制御装置でプリント配線板が使用される場合に発揮される。自動車では走行中に部分的に強い揺れおよび振動、不都合な動作条件(約−35℃から約+150℃の自動車内の温度)が発生する。したがって、使用する電気コンポーネントには、特に回路の電気デバイスを支持するプリント配線板には、高い要求が課せられる。本発明によるリジッドプリント配線板はこのような要求を満たすことができ、支持材料にフライス加工された溝によって、同時にプリント配線板の柔軟性が与えられる。このことが重要である理由は、現代の自動車で機能や装備が増えつづけるにともない、コンポーネントや装置類のための慢性的なスペース不足が生じているからである。本発明によるプリント配線板は、利用できるスペースを最善に活用することができる。制御装置を小型に構成することができる。最後に、本発明によるプリント配線板は簡単、迅速、かつ低コストに製造することができ、このことは、特にコストに敏感な自動車業界では大きな重要性がある。
【0016】
別の好ましい発展例では、プリント配線板は自動車用照明装置のための制御装置で使用するために構成されている。別の好ましい実施形態では、プリント配線板は自動車ヘッドライトのガス放電ランプのための制御装置または点灯装置で使用するために構成されている。特に、ガス放電ランプの高度に集積化された複合型の点灯・制御装置でプリント配線板が使用される場合、本発明のプリント配線板には大きな利点がある。これに代えて、プリント配線板は自動車照明装置の半導体光源(LED)のための制御装置で使用するために構成されている。
【0017】
次に、本発明の好ましい実施形態と特別な利点について、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】照明装置のガス放電ランプである。
【図2】従来技術から公知となっている照明装置である。
【図3】照明装置の複合型の点灯・制御装置のプリント配線板を示す平面図である。
【図4】照明装置の複合型の点灯・制御装置のプリント配線板を示す分解図である。
【図5】照明装置の複合型の点灯・制御装置のプリント配線板を示す断面図である。
【図6】照明装置の複合型の点灯・制御装置のプリント配線板の一部を示す平面図である。
【図7】図6のプリント配線板部分を示す図6のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】プリント配線板に溝がフライス加工される前における、本発明による照明装置の複合型の点灯・制御装置の本発明によるプリント配線板の例である。
【図9】溝がフライス加工された後における図8の本発明によるプリント配線板である。
【図10】複合型の点灯・制御装置およびその内部に配置された図9の本発明によるプリント配線板を備えるガス放電ランプである。
【図11】本発明によるプリント配線板の複雑な三次元の形態である。
【図12】統合された複合型の点灯・制御装置とリフレクタの一部とを有するガス放電ランプを含む、照明装置の一部分を示す側面図である。
【図13】照明装置の統合された複合型の点灯・制御装置を備えるガス放電ランプを示す側面図である。
【図14】統合された複合型の点灯・制御装置とリフレクタとを有するガス放電ランプを含む、照明装置の一部を示す側面図である。
【図15】照明装置のリフレクタの裏面を示す光射出方向で見た図である。
【図16】統合された複合型の点灯・制御装置を備えるガス放電ランプを示す、光射出方向と反対から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図2では、従来技術から知られている自動車ヘッドライトの形状の照明装置が、全体として参照符号100を付して示されている。
【0020】
照明装置100は、プラスチックで製作されているのが好ましいハウジング101を含んでいる。ハウジング101は光射出方向102に、光透過性のカバーガラス104によって閉止された光射出口103を有している。カバーガラス104はクリアガラスとして構成されているのが好ましい。しかしながらカバーガラス104が、特に通過する光の制御をするために、たとえばレンズ、プリズム等のような形態の光学的に作用するプロファイル(図示せず)を有していることも考えられる。
【0021】
ハウジング101の内部には、光源106とリフレクタ107とを有する光学モジュール105が配置されている。光学モジュール105は、ヘッドライトハウジング101の中で水平方向および/または垂直方向へ旋回可能なように、1つまたは複数の支持フレームに支承されていてよい。光源106は、図示した実施例では、希ガス(たとえばキセノン)で充填され、アークが中で形成されるガラスバルブ108と、ガラスバルブ108の中でアークを点灯するために必要な、たとえば約25,000V前後である高圧を生成する、統合された点灯装置109とを備えるガス放電ランプとして構成されている。点火装置109はランプソケットに取外し不能に(たとえばD1ランプまたはD3ランプ)、または取外し可能に(たとえばD2ランプまたはD4ランプ)取り付けられていてよい。点火装置109とガラスバルブ108との間には皿状のランプソケット110が構成されており、これを介して光源106がリフレクタ107に取り付けられている。リフレクタ107へのランプソケット110の取付部は、図2に簡略化して図示されている。この取付は、リフレクタ107の裏面に構成され、ソケット110が中に挿入された、実質的に中空円筒状のリフレクタネック部を介して行われるのが通常である。リフレクタネック部の内側円周面には、通常、リフレクタ107の反射面に対して相対的に所定の位置で光源106を取り付けるための取付手段が構成されているが、この点に関してはここでは詳しくは立ち入らない。
【0022】
図2に示す光学モジュール105は、反射モジュールと呼ばれる。場合によりカバーガラス104に設けられる光学的に作用するプロファイルの影響のもとで、光源106から射出されてリフレクタ107で反射される光によってのみ、所望の光分布が生成されるからである。このときリフレクタ107は、追加のカバー絞りおよびカバーガラス104の光学的に作用するプロファイルなしで、所望の明暗境界のある光分布および明暗境界のない光分布を生成することができる、自由曲面リフレクタとして構成されるのが好ましい。
【0023】
光学モジュール105は、図2に示すコンポーネントである光源106およびリフレクタ107以外に、光源106から発せられてリフレクタ107により反射、集束される光線を、所望の光分布の生成のために自動車の手前の車道へ投影する投影レンズ(図示せず)をさらに有することができる。所望の光分布が水平方向の明暗境界を有しているべきである場合、リフレクタ107と投影レンズとの間には、ほぼ水平方向に延びる上辺を備える絞り構造が、ほぼリフレクタ107の光学軸117の高さに、もしくはそのすぐ下に設けられていてよい。このような種類の光学モジュールは投影モジュールと呼ばれる。
【0024】
点灯装置109の下面には、プラグの形状の電気差込部材111が設けられている。ブッシュの形状の対応する差込部材112が、この差込部材111と係合する。差込部材111および112を介して、点灯装置109の電気デバイスと、ヘッドライトハウジング101の外部に配置された制御装置114へと通じるシールドされたケーブル113との間で電気接触が成立する。さらに制御装置114は、ケーブル115を介して、自動車車内ネットワークのエネルギー源116につながっている。制御装置114は点灯装置109を制御し、車内電源電圧(たとえば6V、12V、24V)から、たとえばほぼ1,000V前後である点灯装置109に対する入力電圧を形成する。点灯装置109はこの電圧から、ガラスバルブ108の中でアークを点灯するのに必要な高圧(たとえば25,000V)を生成する。これに加えて制御装置114は、光源106の定常動作のために同じく車内電源電圧から形成される動作電圧を提供する。通常の光源106の定常動作のとき、すなわちアークの点灯が成功した後、点灯装置109は単に接続された状態にある。
【0025】
外部制御装置114を備える照明装置100は、そのために自動車内に設けられる取付けスペースへと嵌め込まれ、そこで自動車ボディに取り付けられる。公知の照明装置100で欠点となるのは、取付けスペースが、ヘッドライトハウジング101だけでなくこれに取り付けられた制御装置114も収容しなければならず、それに応じて広く構成されていなくてはならないことである。そのうえ、公知の照明装置100の組付けには高いコストがかかる。制御装置114をヘッドライトハウジング101の外面に配置して、これに取り付けなくてはならないからである。さらに、シールドされたケーブル113をハウジング101の開口部へ挿通し、差込部材111および112によって点灯装置109へ接続しなくてはならない。最後に、EMC両立性を改善する理由からシールドされるケーブル113は、比較的高価である。
【0026】
点灯装置109は内部(破線で図示)に従来式のリジッドプリント配線板118を有しており、その上に従来式の仕方で条導体が塗布されるとともに、一例として図示している電気デバイス119(コイル、コンデンサ、抵抗器など)のような電気デバイスが装着されて接触されている。さらに、プリント配線板118には従来式の差込接続システムとして構成されたコネクタ部材111が実装されている。プリント配線板118は電気絶縁性の剛直な基板でできているのが通常であり、その上にマスクエッチングによって、条導体および電気デバイス119,111のための接触個所が塗布される。公知の照明装置100の点灯装置109では、主として片面のプリント配線板または打抜き格子構造(たとえばプラスチックのような絶縁材料に埋設された、打ち抜かれた導体)が用いられ、表面の側だけに条導体が塗布されてデバイス119,111が配置されている。公知の点灯装置109では、点灯装置の内部で利用できる取付けスペースが最善に活用されていない。
【0027】
照明装置100が作動しているとき、大半の熱は光源106から発せられ、ないしは、ガラスバルブ108の中で形成されるアークから発せられる。放出される熱は、たとえばアルミニウムダイカストのような金属でできているか、またはたとえば金属被覆のような反射性コーティングが施された耐熱性プラスチックできているリフレクタ107の強い加熱につながる。点灯装置109のEMC特性を改善するために、点灯装置は、リフレクタの裏面と導電的に、かつそれに伴って熱伝導的に接触する、好ましくアルミニウム薄板などの金属からなるシールドを有している。こうした接触部による接続を介して、熱の大部分がリフレクタ107から点灯装置109のシールドへと伝わり、それに伴って、その中に配置されたプリント配線板118および電気デバイス119、111へと間接的に伝わるという欠点がある。そのために、点灯装置109の内部にあるプリント配線板118および電気デバイス119、111に非常に高い熱負荷が生じる恐れがある。このことは結果として、プリント配線板118およびデバイス119、111の早期の経年劣化、機能障害、および最終的に故障につながるか、または、特別に耐熱性の高いプリント配線板および電気デバイスを使用しなくてはならないことにつながるが、そのようなプリント配線板および電気デバイスは比較的高価である。
【0028】
従来技術から知られている照明装置100では、点灯装置109は長方形の形状を有しているのが通常である。点灯装置109の外壁はすべて実質的に平坦であり、隣接する壁部は互いに直角をなしており、点灯装置ハウジングの辺および角の領域における小さな面取りだけが例外である。その場合、光学モジュール105によって、特に光学モジュール105の光源106の点灯装置109によって、ヘッドライトハウジング101の内部で利用できるスペースが最善に活用されているとは言えない。むしろ、従来技術ではその反対が当てはまる。たとえば点灯装置109の厳密に方形の形状は、照明幅の調節のために、および/またはコーナリングランプ機能の実現のために光学モジュール105が旋回するときに、点灯装置109が通過する領域(図2では、光学モジュール105が垂直方向へ位置調節されるときに通過する軌道に参照符号120が付されている)が、本来必要であるよりも広くなることにつながる。点灯装置109のハウジングの裏面には、ハウジングの裏壁と運動軌道120との間に利用されない領域121がある。
【0029】
そのため必然的に照明装置100のハウジング101は、本来必要であるよりも大きい寸法を有している。点灯装置109の形状を適切に構成することで、ヘッドライトハウジング101の内部で光学モジュール105のために必要な取付けスペースを減らし、それによって照明装置100全体をさらに小型に構成することができるはずである。そうすれば、自動車にいっそう小さい取付けスペースしか設けなくてすむため、自動車のフロント領域で、特にエンジンルームで、他の装置類のためにいっそう広いスペースを利用することができる。このことは、特に、自動車に搭載される機能が増えつづけており、そのためにしばしば追加の装置類やコンポーネントをエンジンルームに配置しなければならないことを考えたときに有意義である。エンジンルーム内で利用できるスペースを最善に活用することは、以前にもまして課題となっている。
【0030】
図1は、照明装置の、特にヘッドライトの、ガス放電ランプ1を示している。このガス放電ランプ1は、公知の照明装置100のガス放電ランプ106と同様にリフレクタに取り付けられており、照明装置のハウジングの中に配置されている。ガス放電ランプ1は希ガスで充填されたガラスバルブ2を含んでおり、その内部3で、人間の目に見ることができる光を発するためにアークが点灯されて維持される。ランプソケット4を介して、照明装置のリフレクタのリフレクタネック部にガス放電ランプ1を配置し、これに取り付けることができる。このときリフレクタは、図2に示すものと同様にガラスバルブ2を取り囲んでいる。ガラスバルブ2と向かい合うほうのランプソケット4の側には、光源1の統合された構成要素である、すなわちソケット4と取外し不能に結合されている、複合型の点灯・制御装置5が配置されている。
【0031】
すなわち、このガス放電ランプ1においては、従来技術では外部の制御装置114によって果たされていた制御装置の機能が、点灯装置に統合されている。制御装置の機能と点灯装置の機能の両方を実現するためのすべての電子部品が、複合型の点灯・制御装置5の単一のハウジングの内部に格納されているのが好ましい。このことは、照明装置のハウジング外部での別個の制御装置の配置を省略できるという利点を有している。したがって、制御装置と点灯装置を電気接続するためのシールドされたケーブルの使用も必要なくなる。上述した照明装置は、従来知られている照明装置よりも簡単かつ迅速に組み立てることができる。そのうえ、上述した照明装置は自動車内で少ないスペースしか必要としないので、照明装置のために必要な自動車内の取付スペースを小さく設計することができる。すなわち自動車のフロント領域で、他のコンポーネントや装置類のためにいっそう広いスペースを利用することができる。
【0032】
複合型の点灯・制御装置5は、プラグの形状のコネクタ部材6を有している。自動車車内ネットワークのエネルギー源7が、ケーブル8およびブッシュの形状の別のコネクタ部材9を介して、コネクタ部材6を通じて複合型の点灯・制御装置5へ接続されている。コネクタ部材6、9を介して、エネルギー供給回線8ばかりでなく制御回線および/または信号回線10も、複合型の点灯・制御装置5に接続することができる。制御回線10を介して、たとえば上位の自動車制御装置11から光源1の点灯・制御装置5へ制御信号を送ることができる。同様に、回線10または別の信号回線を介して、ガス放電ランプ1の機能および動作に関する応答メッセージを上位の制御装置11に伝送することができる。
【0033】
ガス放電ランプ1の点灯装置への制御装置機能の統合を、どのようにすれば特別に好ましく構成できるかについては、さまざまな方策が考えられる。1つの態様は、たとえば複合型の点灯・制御装置5のハウジング内で利用することができる、点灯装置および制御装置の機能を実現するために必要な電気デバイスのためのスペースの特別に効率的な活用である。さらには、複合型の点灯・制御装置5の電気デバイスの早期の経年劣化を防止するために、および/または廉価なデバイスすなわち耐熱性の低いデバイスの使用を可能にするために、熱に関わる態様を考慮することができる。最後に、特別な方策により、照明装置のハウジングの内部で光学モジュールのために利用することができる取付けスペースも特に有効に活用することができ、それによって照明装置のハウジングは、制御装置の機能が点灯装置に統合されているにもかかわらず、従来よりも大型に構成しなくてよく、好ましくは従来よりも小型に構成することができる。
【0034】
図3には、照明装置の複合型の点灯・制御装置5で用いられるプリント配線板20の一例が示されている。プリント配線板20は、多数の条導体21および電気デバイスのための接点22を含んでいる。電気デバイスとしては、たとえば集積回路(IC1,IC2)、抵抗器(R1,R2,R3,R4)、コンデンサ(C5,C6,C7,C8)、ならびにコイルを配置することができる。図3に示すプリント配線板20の右側には、相並んで配置された複数の接触部23が構成されており、条導体21のいくつかが接触部23のいくつかへと通じている。接触部23は、コネクタ部材6の電気接触部を形成している。すなわち上述した差込接続形式では、コネクタの接点23がいわばプリント配線板20の条導体によって施工されている。つまりコネクタ部材6を具体化するために、スペースを必要とする追加の電子デバイスをプリント配線板20に配置、接触させなくてよい。コネクタ部材6はいわばプリント配線板20の統合された構成要素である。プリント配線板20の上でコネクタ部材6のために必要な取付けスペース、ならびにコネクタ部材6を接続するためのスペースを、図3を参照して説明している実現方法によって明らかに削減することができる。
【0035】
接触部23は、条導体21および接点22と同様の仕方でプリント配線板20に塗布することができる。これには、たとえばマスクエッチング法が適している。コネクタ部材9(ブッシュ部分)との機械的な結合は、プリント配線板20の輪郭に適合するフライス加工溝によって保証される。たとえば、プリント配線板輪郭にある切欠き24に、コネクタ部分6へ外嵌されるブッシュ部材9の弾性作用のある係止ラグが係合し、そのようにして、ブッシュ部材9がコネクタ部分6に取外し可能に保持されることが考えられ、それにより、自動車の運転中に振動が生じたときでも、差込接続部が意図せずに外れることがなくなる。
【0036】
複合型の点灯・制御装置5のハウジング内にあるスペースを有効に活用するためのさらにべつの方策は、たとえば、片方の面だけに条導体が構成されて電気デバイスが配置される単層のプリント配線板に代えて、多層のプリント配線板を採用することによって実現することができる。図4は、たとえばセラミック基板やシリコン基板のような絶縁性材料からなる支持層31を有する、2層のプリント配線板30を一例として示している。支持層31の両方の側には、追加の薄い絶縁性層32が装着されていてよい。当然ながら、支持材料31の相応に適当な絶縁性の特性があれば、絶縁性層32の機能を支持層31に統合することも考えられ、すなわち、別個の絶縁性層32を省略することができる。最後に、支持層31の両方の側に導電性材料の薄い層33が装着されており、条導体34を形成するために、導電性材料の一部がたとえばマスクエッチング法によって除去される。すると層33のうちで残るのは、図4に示す条導体と接触部だけとなる。たとえば図4に示す両面のプリント配線板30のような多層のプリント配線板を使用することは、同じプリント配線板面積の上に事実上何倍もの条導体および電気デバイスを配置できるという利点を有している。それにより、所要のスペースに関して、大幅な削減を実現することができる。
【0037】
図5には、全部で8つの層を備える多層のプリント配線板40(いわゆるマルチレイヤPCB)が示されている。プリント配線板40の異なる層には参照符号41から48が付されている。異なる層41から48の間に条導体49を構成することができ、異なる層の条導体49は、当然ながら、適当な絶縁性層(図5には図示せず)によって互いに分離されてなくてはならない。さらに、たとえば集積回路(独自のハウジングをもたない単なるシリコンチップとしてのIC)、コンデンサ、抵抗器のような複合型の点灯・制御装置5の電子デバイスを、プリント配線板40の中間層42から47へ統合することができる。それにより、所与のプリント配線板面積を基準としたときに、従来よりも明らかに多くのデバイスを格納することができる。
【0038】
点灯・制御装置の機能を実現するのに必要なモジュールのために必要な取付けスペースを削減するためのさらに別の可能性は、回路に必要な中継巻線やインダクタンス巻線が螺旋状にプリント配線板の上に載るように組み付けられるか、または条導体としてプリント配線板の上で施工されていることによって得られる。これに相当する中継巻線またはインダクタンス巻線の実施例が図6に示されている。プリント配線板には参照符号50が付されている。条導体として螺旋状にプリント配線板50に塗布された中継巻線またはインダクタンス巻線には、参照符号51が付されている。巻線51は、条導体51の最初と最後のところに2つの接続部52および53を有している。接続部53は、プリント配線板50を貫いてプリント配線板50の裏面に通じており、そこで、その個所に延びている条導体を介して接触される(図7参照)。接続部52は、図6に示しているプリント配線板50の側で接触させることができる。
【0039】
図7は、図6のVII−VII線に沿ったプリント配線板50の断面図を示している。螺旋状の巻線51の中心部には、コア55が中に配置された切欠き54がプリント配線板50に形成されている。コア55は、複合型の点灯・制御装置5のハウジング56と接続されている。このようにして、点灯・制御装置5の作動時にコア55で発生する熱を、一種の冷却体として機能する金属ハウジング56へ効率的に逃がすことができる。別案として、コアをプレーナタイプとして構成し、プリント配線板50の切欠きによって具体化することもできる。この実施形態でも、熱排出を改善するために、コアを形成する軟磁性材料または強磁性材料をハウジング56と結合することができる。複合型の点灯・制御装置5のコア55とハウジング56との間には、コア55とハウジング56の間の熱伝導性を向上させる手段57が構成されていてよい。このような手段57は、たとえば特別によく熱を伝導するペーストまたはコーティングである。すなわち、複合型の点灯・制御装置5の回路全体がマイクロテクノロジーまたは厚膜ハイブリッドテクノロジーで構成されているのが好ましいが、その場合には大量の熱が発生するので、点灯・制御装置5のハウジング56内での最適化された熱管理のための措置を講じなくてはならない。
【0040】
点灯・制御装置5の回路の熱工学的な最適化をするための、すでに述べた方策とは異なる方策は、たとえば熱に敏感な電気デバイスを、さほど強い熱負荷を受けない回路の領域に配置することにある。熱に敏感なデバイスは、点灯・制御装置5の比較的低温の領域に的確に設置される。熱放出の大きいデバイスは敏感なデバイスから遠く離して、熱の良好な排出を行う領域に配置される。比較的低温の領域は、損失出力の低いデバイスが配置されている領域であるか、または、冷却空気が流入する領域であってよい。すなわち、ハウジング56の中での点灯・制御装置5の回路の個々のデバイスの配置は、デバイスの温度感受性と、ハウジング56の中のさまざまな位置における局所的な動作温度とに依存して行われる。ハウジング56の中の局所的な動作温度は実際の測定によって求めることができ、またはシミュレーションすることができる。デバイスを相応に配置した後、配置されたデバイスの適正な接触をするために条導体の形状を決めることができるが、ただし、意図的に選択したデバイスの位置はできるだけ変えないようにする。
【0041】
さらに、ハウジング56内での温度勾配を利用しながら、特に熱的にクリティカルなデバイスのそばを通過してこれを冷却する空気流が実現されるように、回路の電気デバイスをハウジング56の中で的確に配置することができる。さらに、自由な冷却空気流ができるだけ損なわれないように、もしくは妨げられないように、点灯・制御装置5のハウジング56のトポロジーを構成することができる。このことは、たとえば少ない空気抵抗と少ない空気渦流とを有するトポロジーによって実現することができる。
【0042】
1つまたは複数の平坦で剛直なプリント配線板ではなく、特別に屈曲可能な本発明によるプリント配線板を使用することによって、複合型の点灯・制御装置5のハウジング56の中で利用できるスペースの活用を最適化することができる。図8および図9を参照しながら、このようなプリント配線板の一例について詳しく説明する。基板61を支持材料として有する、従来式の特に剛直なプリント配線板60が前提となる。この支持材料61の上に導電性層62が構成されており、そこからたとえばマスクエッチング法によって条導体が形成される。そしてプリント配線板60の支持材料61に溝63が刻設され、たとえばフライス加工される。それによって切り取られる基板61の材料が、図8に斜線で図示されている。支持材料61へ溝63を刻設するにあたっては、実装のときやハウジング56へ取り付けるとき、もしくは自動車の運転中などに衝撃または振動によってプリント配線板60が割れるのを防止するために、少なくとも導電性層62が残るように留意し、もしも安定性の理由から必要であるならば、支持材料61の一部も残るように留意しなくてはならない。
【0043】
引き続いて、たとえば図9に示しているように、溝63によって形成される曲げエッジに沿ってプリント配線板60を折り曲げることができる。このとき、導電性層62は、ないしそこから形成される条導体、および場合により支持材料61の残された部分は、プリント配線板60を曲げることができるヒンジの役目を担う。図示した実施例に見られるように、以前には一体的であったプリント配線板60の支持材料61が、溝63によって、互いに相対的に溝63を中心として旋回可能な2つの部分61’および61’’に分割される。
【0044】
当然ながら、互いに平行または斜めに延びることができる、1つを超える溝63を剛直なプリント配線板に刻設することが可能である。このようにしてプリント配線板60が、2次元の平面で(平行な溝の場合)ないしは3次元の立体で(互いに斜めの溝ないし傾斜した溝)で互いに相対的に旋回させることができる複数の部分に区分される。このように、ほぼ任意の3次元の構造をプリント配線板60によって実現することができる。プリント配線板60の複雑な三次元の構造の一例が、図11に示されている。さまざまな曲げエッジに参照符号64が付されている。それにより、複合型の点灯・制御装置5のハウジング56の内部へプリント配線板60を最善に嵌め込むことができる。プリント配線板60の安定性にとって決定的に重要なのは、それが剛直なプリント配線板であり、すなわち、特別に形状安定的なプリント配線板であり、これが特別な方策(プリント配線板60の基板61への溝63の刻設)によって、特定の点において、ないしは選択された曲げエッジ64に沿って、形状に関して変更可能になることである。
【0045】
図10は、ガス放電ランプ1を図1に記載のガス放電ランプに対応させて示している。ここでは複合型の点灯・制御装置5が部分的に断面図として示されており、それにより、ハウジング56の中の屈曲可能なプリント配線板60をよく見ることができる。図面から直接わかるように、それ自体では剛直であるにもかかわらず溝63の領域では屈曲可能なプリント配線板60により、一方では、自動車でプリント配線板60の安定性に対して課せられる特別に高い要求に関して、および他方では点灯・制御装置5のハウジング56の内部空間の最善の活用に関して、優れた妥協が見出された。このことは、特に、複数回曲げることが可能なプリント配線板60について当てはまり、特に、3次元空間で変形可能なプリント配線板60について当てはまる。
【0046】
本発明のプリント配線板60について、ガス放電ランプ1の複合型の点灯・制御装置5のためのプリント配線板を例にとって詳しく説明してきた。当然ながら、屈曲可能なプリント配線板60はその他の任意の自動車制御装置で採用することができる。たとえば、特に照明装置の半導体光源(LED)のための制御装置で、本発明によるプリント配線板60を採用することが考えられる。
【0047】
ガス放電ランプ106を備える従来技術から公知の照明装置100では、点灯装置109はリフレクタ107の裏面に対して間隔をおいて配置されている。さらに点灯装置は、リフレクタ107の裏面の部分領域にわたって延びているにすぎない。そのために、ヘッドライトハウジング101の内部には、何らかの方法でうまく活用できるはずの多くのスペースが無駄になっている。図12に示す実施形態は、この点について優れた解決法を提供する。この図には、照明装置の一部分が側面図として示されている。特に、ガス放電ランプ1がそのソケット4を介して取り付けられているリフレクタ70の部分が図示されている。複合型の点灯・制御装置5のハウジング71は、特別な仕方で構成されている。第1に、リフレクタ70のほうを向いているハウジング71の側は、ガス放電ランプ1がリフレクタ70に取り付けられたときに、できるだけ全面的にリフレクタ70の裏面に載置されるように構成されている。特に光学軸周辺の内側領域では、リフレクタ70はほぼ回転対称に構成されており、それにより、リフレクタ70の裏面へのハウジング71の全面的な載置が可能となっており、この場合、回転対称性に基づき、ランプ1をそのランプ軸を中心に回してランプを後方へ(光射出方向と反対向きに)外すことにより、ランプ1を交換することも依然として可能である。このようにして、点灯・制御装置5のハウジング71とリフレクタ70との間のスペースが最善に活用される。ガス放電ランプ1から発せられる熱放射に直接さらされるリフレクタ70によるハウジング71の強すぎる加熱を避けるために、ハウジング71とリフレクタ70の裏面との間には、たとえばセラミックまたはその他のコンデンサの充填材料のような熱を伝導しにくい素材からなる断熱性層72が、点灯・制御装置5を高温のリフレクタ70から断熱するために設けられている。このようにして、点灯・制御装置5のハウジング71とリフレクタ70との間のスペースを最善に活用することができ、高い温度に基づく回路の機能の低下につながることがない。
【0048】
複合型の点灯・制御装置71およびガス放電ランプ1により生成される電磁放射を外界に対してEMCシールドするために、点灯・制御装置71とリフレクタ70との間に、高周波信号について導電性である容量結合が設けられていてよい。すなわち、これは点灯・制御装置71とリフレクタ70との間の高抵抗の接続である。このような接続は、たとえばεr値(比誘電率)の高い材料によって実現することができる。このような材料は、たとえば空気または通常コンデンサに用いられる絶縁材料(たとえばPEN(ポリエチレンナフタレート)またはセラミック)などである。その場合、点灯・制御装置71の前面とリフレクタ70の裏面は、わずかな間隔をおきながら広い重なり合い面で配置され、これら両方の面の間に絶縁性材料が配置される。点灯・制御装置71とリフレクタ70を熱的に切り離すために温度を絶縁する材料を、同時に、点灯・制御装71とリフレクタ70を容量結合するための電気的な絶縁材料として利用することができる。
【0049】
図12に示す照明装置のガス放電ランプ1の点灯・制御装置のハウジング71のさらに別の態様は、円筒セグメント状に丸められたハウジング71の裏壁に見ることができる。光学モジュールが垂直方向に位置調節されるとき、ハウジング71の裏壁は円軌道73の上を動く。裏壁は、軌道73の上を正確に延びるように、ないしはわずかに軌道の内部で延びるように丸められている。このことは、円筒セグメント状に丸められた裏壁の円筒軸がほぼ水平方向を向いており、光学モジュールの位置調節運動の回転中心を通って延びることを意味している。このようにして、ガス放電ランプ1の点灯・制御装置の後側のスペースが、すなわちハウジング71の裏壁とヘッドライトハウジング(図示せず)の裏壁との間のスペースが、格別に有効に利用される。ヘッドライトハウジングの裏壁をハウジング71の裏壁に準じて成形することができ、ハウジング71の裏壁へ格別に密接するように近づけることができる。このようにして、自動車への照明装置の取付のために必要な取付けスペースを特別に小さく構成することができるため、車両のフロント領域で、他の装置類およびコンポーネントのための追加のスペースをつくることができる。
【0050】
図12に示す実施形態は、照明幅の調節が行われる照明装置の場合に、すなわち光学モジュールを垂直方向へ位置調節可能である場合に、特別な利点を有している。さらにこれに加えて、コーナリングランプ機能を実現するために光学モジュールの水平方向の位置調節が可能である場合、複合型の点灯・制御装置の球状セグメント状に湾曲したハウジング71の裏壁は、たとえば図13に示すような特別な利点をもたらす。光学モジュールが垂直方向へ位置調節vされるときに点灯・制御装置71の裏壁が動く円軌道には、参照符号73が付されている。光学モジュールが水平方向へ位置調節hされるときに点灯・制御装置71の裏壁が動く円軌道には、参照符号74が付されている。垂直方向の位置調節vの回転軸と、水平方向の位置調節hの回転軸とは、同時に光学モジュールの回転中心でもある交点で交わるのが好ましい。点灯・制御装置のハウジング71の裏壁の球状セグメントの中心点は、両方の回転軸の交点にちょうど位置しているのが好ましい。このようにして、ヘッドライトハウジングの内部で点灯・制御装置のために必要となるスペースが格別に小さくなり、照明装置全体を格別にコンパクトに構成することができる。それにより、自動車への照明装置の取付に必要な取付スペースを格別に小さく構成することができるので、車両のフロント領域で、他の装置類やコンポーネントのために追加のスペースをつくることができる。
【0051】
このように、複合型の点灯・制御装置のハウジング71の形状の特別に考えられた幾何学形態によって、ヘッドライトハウジングの内部で点灯・制御装置に利用できるスペースを格別に有効に活用することができる。図11および図12に示す実施例の点灯・制御装置の湾曲したハウジング形状は、図8から図10の実施例に基づくプリント配線板の使用によって、格別に有効に活用することができる。このプリント配線板は、ハウジング71の裏壁の形状に合わせて適合化することができる。
【0052】
ヘッドライトハウジングの中で複合型の点灯・制御装置80のために利用できるスペースの特別に有効な活用のさらに別の例が、図14に示されている。ガス放電ランプ1は、すでに述べたように、そのソケット4を介して、リフレクタ81の裏面に構成されたリフレクタネック部82に、リフレクタ81の反射面に対して相対的に定義された位置で取り付けられている。このことは、従来式の照明装置の場合(図2参照)、点灯・制御装置80のハウジングの前壁とリフレクタ81の裏壁との間で比較的広い未使用のスペースが生じることにつながる。図14に示す実施形態では、点灯・制御装置80のハウジングが前壁の領域で少なくとも部分的に、リフレクタネック部82の周囲でリフレクタ81の方向へ前方に延長されることによって、このスペースを活用することができる。図示した実施例では、点灯・制御装置80の前壁がリフレクタネック部82の下方でリフレクタ81の方向へと変位しており、それにより、点灯・制御装置80のハウジングはリフレクタネック部82の下方で追加のスペース83を有しており、プリント配線板および/または点灯・制御装置80の電気デバイスを配置するためにこのスペースを利用することができる。このようにして、点灯・制御装置80のハウジングの内部で電子装置のためにいっそう広いスペースを利用することができるが、光学モジュール84の寸法が大きくなることはなく、光学モジュール84の中で利用できる取付けスペースが、特別に有効に利用されるにすぎない。
【0053】
点灯・制御装置80の追加的に創出されるスペース83の、リフレクタ81の裏側のほうを向いている少なくとも1つの壁部は、少なくとも近似的に裏壁の形状に合わせて適合化されているのが好ましい。このことは特に、光射出方向85で見て前側にあるスペース83の壁部86について当てはまり、および、リフレクタネック部82のほうを向いているスペース83の壁部、すなわち本実施例では上側の壁部87について当てはまる。図示した実施例では、前側の壁部86と上側の壁部87とをつなぐ部分は斜めに構成されており、この傾斜の角度は、対応する領域におけるリフレクタ81の裏壁の形状にほぼ対応している。当然ながら、前側の壁部86と上側の壁部87との間の連絡壁部を、直線状または平坦にではなく湾曲するように構成し、それにより、リフレクタ81の裏壁に対して等間隔に延びるようにすることも考えられる。
【0054】
当然ながら、この実施形態を前述した各実施形態のうちの1つと組み合わせることもでき、特に、図11と図12に示す実施形態の点灯・制御装置のハウジングの湾曲した裏壁と組み合わせることができる。
【0055】
図12は、複合型の点灯・制御装置の前壁が、リフレクタの裏壁の上に全面的に載置される実施例を示している。その際にクリティカルなのは、リフレクタから点灯・制御装置のハウジングへの熱伝導、およびそれと結びついた点灯・制御装置の高い動作温度である。この理由により、図12の実施例では、点灯・制御装置のハウジングの前壁とリフレクタの裏壁との間の接触面に断熱性層が設けられている。
【0056】
光学モジュールのクリティカルなデバイスの冷却を改善するために、特に、点灯・制御装置のハウジングの冷却を改善するために、温度勾配を的確に利用して、点灯・制御装置のハウジングに沿った冷却空気流を実現することができる。この関連において、冷却空気流が妨げられないように、光学モジュールの構成部品のトポロジーを的確に構成することができる。これは、少ない空気抵抗と少ない空気渦流とを有するトポロジーである。さらには、特定の領域で単位時間あたりの空気が多く流れることによって、および/または空気流の流動速度が加速されることによって、空気流ができる限り促進されるのが望ましい。
【0057】
図15にはリフレクタ90の裏側が示されている。リフレクタ90は中央の開口部91を有しており、この開口部を通して、ガス放電ランプのガラスバルブがリフレクタ内部へ挿入される。開口部91は、リフレクタ90の裏側から後方に向かって突出するリフレクタネック部92によって取り囲まれている。リフレクタネック部は、ガス放電ランプのランプソケットの収容と取付の役目をする。さらにリフレクタ90はその前側縁部のところに、光学モジュールの投影レンズ(図示せず)の支持体を取り付けるための開口部93の形状の取付部材を備えており、それにより、投影レンズは光射出方向で見てリフレクタ90の後に配置されることになる。
【0058】
リフレクタ90の裏面の部分領域は空気誘導手段94を有しており、この手段は、たとえばリフレクタ90の裏壁から突出する相並んで配置された複数のリブとして構成されていてよく、および/または裏壁に刻設された凹部として構成されていてよい。空気誘導手段94を備える領域は、ガス放電ランプが組み付けられたときに、点灯・制御装置のハウジングの前面が載置される領域に対応している(図12参照)。このように空気誘導手段94によって、リフレクタ90の裏側と、載置された点灯・制御装置95の前面との間に空気通路が形成される。この通路を介して冷却空気が流れ、リフレクタ90から、ないしは点灯・制御装置のハウジングから、熱を運び出すことができる。
【0059】
当然ながら、空気誘導手段94は必ずしもリフレクタ90の裏側に構成しなければならないわけではない。図16は、ガス放電ランプ96を前から見た図で示しており、すなわち光射出方向と反対向きに示している。ランプ96は、希ガスで充填されたガラスバルブ97と、ランプソケット98とを含んでいる。図16に見ることができる複合型の点灯・制御装置95の前面は、ランプ96がリフレクタに組み付けられたとき、リフレクタの裏側にできるだけ全面的に載置されるように構成されており、もしくは、これに対してわずかな間隔をおいて延びるように構成されている。リフレクタ90の裏側にある空気誘導手段94の代替または追加として、点灯・制御装置のハウジング95の前面に空気誘導手段99が配置される。このような手段は、たとえばハウジング95の前面から突出する相並んで配置された複数のリブとして構成され、および/または前面に刻設された凹部として構成される。
【0060】
さらに、空気誘導手段94および99の追加または代替として、ハウジング95の前面とリフレクタ90の裏壁との間の温度を絶縁する層(たとえば図12の層72)に、空気誘導手段を設けることも考えられよう。このような手段は、たとえばハウジング95の前面から突出する相並んで配置された複数のリブとして構成されていてよく、および/または前面に刻設された凹部として構成されていてよい。この実施形態では、ハウジング95の前面および/またはリフレクタ90の裏壁は平滑に構成されており、すなわち、空気誘導手段94および99なしで構成されていることが考えられよう。この場合、空気誘導手段は、温度を絶縁する層にだけ構成されていてよい。リフレクタ90の裏壁の平滑な構成は、標準リフレクタを使用できるという利点を有することになる。
【0061】
空気通路の形状は、通路の断面が流動方向で狭まっていくように選択することもできる。それによって流動速度が高くなり、より多くの熱を運び出すことができる。リブないし凹部の相応の構成も容易に可能である。
【0062】
当然ながら、上述した各実施例の任意の組み合わせが可能である。その際の目的は、常に、制御装置の機能をガス放電ランプの点灯装置へ実用に即して統合できるようにすることにある。その際には、特にスペースと温度の問題を考慮する。ただし、これらの問題は互いに相互作用しており、すなわち、点灯・制御装置5;80の構成がコンパクトになるほど温度の問題は大きくなる。
【符号の説明】
【0063】
1 ランプ
1 光源
2 ガラスバルブ
3 内部
4 ランプソケット
5 点灯・制御装置
6 コネクタ部材
7 エネルギー源
8 エネルギー供給回線
9 コネクタ部材
10 回線
11 制御装置
20 プリント配線板
21 条導体
22 接点
23 接触部
30 プリント配線板
31 支持材料
32 絶縁性層
33 層
34 条導体
40 プリント配線板
49 条導体
50 プリント配線板
51 巻線
51 条導体
52 接続部
53 接続部
55 コア
56 ハウジング
60 プリント配線板
61 基板
61 部分
62 導電性層
63 溝
64 エッジ
70 リフレクタ
71 ハウジング
71 点灯・制御装置
72 断熱性層
80 点灯・制御装置
81 リフレクタ
82 リフレクタネック部
83 スペース
84 光学モジュール
85 光射出方向
86 壁部
87 壁部
90 リフレクタ
90 最大
91 開口部
92 リフレクタネック部
93 開口部
94 空気誘導手段
95 ハウジング
96 ガス放電ランプ
97 ガラスバルブ
98 ランプソケット
99 空気誘導手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の支持層(61)と、その上に塗布された導電性材料からなる層(62)とを備えるプリント配線板(60)において、前記プリント配線板(60)の少なくとも1つの個所で、導電性材料からなる前記層(62)と向かい合う前記支持層(61)の側に、前記プリント配線板(60)の一方の側から前記プリント配線板(60)の他方の側へと延びる直線状の溝(63)を形成するために前記支持層(61)の材料が除去されており、それにより前記プリント配線板(60)は前記溝(63)に沿って屈曲可能であり、前記溝(63)の領域に残っている前記支持層(61)の材料および/または前記溝(63)の領域にある導電性材料からなる前記層(62)が曲げエッジ(64)を形成することを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記支持層(61)に複数の溝(63)が刻設されており、前記溝(63)のうち少なくとも2つは互いに平行に延びていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板(60)。
【請求項3】
前記支持層(61)に複数の溝(63)が刻設されており、前記溝(63)のうち少なくとも2つは互いに斜めに延びていることを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線板(60)。
【請求項4】
絶縁性の前記支持材料(61)は剛直であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のプリント配線板(60)。
【請求項5】
絶縁性の前記支持材料(61)はセラミック、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、紙、および/またはガラスファイバ繊維でできていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載のプリント配線板(60)。
【請求項6】
導電性材料からなる前記層(62)は銅、ニッケル、金、および/またはスズでできていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載のプリント配線板(60)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記溝(63)はフライス加工によって前記支持材料(61)に刻設されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載のプリント配線板(60)。
【請求項8】
前記プリント配線板(60)は自動車用制御装置で使用するために構成されていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一項に記載のプリント配線板(60)。
【請求項9】
前記プリント配線板(60)は自動車用照明装置のための制御装置で使用するために構成されていることを特徴とする請求項8に記載のプリント配線板(60)。
【請求項10】
前記プリント配線板(60)は自動車ヘッドライトのガス放電ランプ(1;96)のための制御装置および/または点灯装置および/または複合型の点灯・制御装置(5;80)で使用するために構成されていることを特徴とする請求項9に記載のプリント配線板(60)。
【請求項11】
前記プリント配線板(60)は自動車用照明装置の半導体光源のための制御装置で使用するために構成されていることを特徴とする請求項9に記載のプリント配線板(60)。
【請求項12】
電磁放射、特に人間の目に見ることができる光の形態で電磁放射をするための放射源と、前記放射源から発せられる放射を集束させるためのリフレクタ(70;81)と、照明装置の少なくとも1つの機能を制御および/または調節するための制御装置とを備える自動車用の照明装置において、前記制御装置は請求項1から11までのいずれか一項に記載のプリント配線板(60)を有していることを特徴とする照明装置。
【請求項13】
前記放射源は点灯装置と制御装置の機能を実現するためにランプ(1;96)に統合された複合型の点灯・制御装置(5;80)を備えるガス放電ランプ(1;96)であり、前記プリント配線板(60)は前記点灯・制御装置(5;80)のハウジング(56;95)に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の照明装置。
【請求項14】
前記放射源は少なくとも1つの半導体光源を含んでおり、前記プリント配線板(60)は少なくとも1つの前記半導体光源のための制御装置のハウジングに配置されていることを特徴とする請求項12に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−258451(P2010−258451A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98615(P2010−98615)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(508256558)オートモーティブ ライティング ロイトリンゲン ゲーエムベーハー (19)
【Fターム(参考)】