説明

プレキャストコンクリート構造部材接合構造、及びプレキャストコンクリート構造部材の接合方法

【課題】プレキャストコンクリート構造部材同士を接合するときに移動方向の制約を受けず、一方の構造部材を移動させて他方の構造部材と接合させることが可能なプレキャストコンクリート構造部材接合構造、プレキャストコンクリート構造部材の接合方法を提供することを目的とする。
【解決手段】連結部18と連結部26とを組み合せた後に、横側面18Dから連結部18を貫通するピン部材22によって連結部18と連結部26とを連結することで、梁部材12の連結部18に対して、梁部材14の連結部26を上方及び横方向から組み合せることができる。従って、梁部材14を上方又は横方向に移動させて接合することができる。よって、梁部材14の移動方向が横方向に制限されず、施工の自由度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート製の構造部材同士を接合するプレキャストコンクリート構造部材接合構造、及びプレキャストコンクリート構造部材の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造建物の施工においては、建設作業員の省人化や施工効率の向上を図るために、プレキャスト化された柱部材や梁部材が盛んに用いられている。特に、超高層建物の建築では、施工の合理化が工期短縮やコスト縮減等のために重要なので、プレキャスト化された柱部材や梁部材を用いた施工が有効となる。
【0003】
これらの柱部材同士又は梁部材同士の接合構造としては、例えば、図16に示すように、プレキャスト化された梁部材同士の接合構造200が知られている。この接合構造200では、プレキャストコンクリート(以下、「PCa」とする)製の柱部材202の上に載置されたPCa製の梁部材204とPCa製の梁部材206とを接合する。
【0004】
梁部材204と梁部材206とは、各々の端部から突出する梁鉄筋204A、206Aを機械式継手208で接続すると共に、この接合部に型枠(不図示)を仮設し、コンクリートUを打設して一体化される。その後、梁部材204、206の上に、PCa製の柱部材210が載置される。
【0005】
しかしながら、この接合構造200では、型枠の仮設やコンクリートの打設等の後工事が発生し、工期の短縮が困難であった。
【0006】
一方、特許文献1には、図17に示すように、プレキャスト化された梁部材同士の接合構造220が開示されている。この接合構造220では、PCa製の柱部材222上に載置されたPCa製の梁部材224の端部と、PCa製の梁部材226の端部とを突き合せて接合する。
【0007】
梁部材224と梁部材226とは、柱部材222、230と一体化された梁部材224に向かって梁部材226を水平方向(矢印A)に移動させ、梁部材224の端部に埋設されたスリーブ228に、梁部材226の端部から突出する梁鉄筋226Aを挿入すると共に、スリーブ228にグラウト(不図示)を充填して梁部材224と梁部材226とを一体化する。
【0008】
このように接合構造220では、型枠の仮設作業や現場打ちコンクリートを不要とするものの、梁部材226を水平方向(矢印A)に移動しなければならない。従って、梁部材226を水平方向に移動できない場合、例えば、既に設置された2つの梁部材の間に梁部材226を載置する場合や、クレーンのブームの移動範囲が制限される場合に、接合構造200を採用することができない。
【0009】
また、特許文献1の接合構造200をPCa製の柱部材同士の接合に適用した場合も同様に、柱部材を上下方向に移動しなければならない。従って、柱部材を上下方向に移動できない場合には、採用することができない。
【特許文献1】特開2004−346587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は係る事実を考慮し、プレキャストコンクリート構造部材同士を接合するときに移動方向の制約を受けず、一方の構造部材を移動させて他方の構造部材と接合させることが可能なプレキャストコンクリート構造部材接合構造、プレキャストコンクリート構造部材の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載のプレキャストコンクリート構造部材接合構造は、プレキャストコンクリート製の第1構造部材と、前記第1構造部材に接合されるプレキャストコンクリート製の第2構造部材と、前記第1構造部材の端面から該第1構造部材の材軸方向に延び、断面積が先端部に向かって小さくなる第1連結部と、前記第2構造部材の端面から該第2構造部材の材軸方向に延び、断面積が先端部に向かって小さくなると共に前記第1連結部に上方及び横方向から組み合せられ前記第1構造部材の外形と同一となる第2連結部と、前記第1連結部の外面から貫通され、該第1連結部と前記第2連結部とを連結する連結手段と、を備える。
【0012】
上記の構成によれば、プレキャストコンクリート製の第1構造部材の端面には、この第1構造部材の材軸方向に延びる第1連結部が設けられている。第1連結部は、先端部に向かって断面積が小さくなっている。一方、プレキャストコンクリート製の第2構造部材の端面には、この第2構造部材の材軸方向に延びる第2連結部が設けられている。この第2連結部は、先端部に向かって断面積が小さくなると共に第1連結部に上方及び横方向から組み合せられる。また、第2連結部を第1連結部に組み合せると、第1構造部材の外形と同一となる。第1構造部材と第2構造部材とは、第1連結部と第2連結部とを組み合せた後に、外面から第1連結部を貫通する連結手段によって接合される。
【0013】
このように、第1連結部と第2連結部とを組み合せた後に、外面から第1連結部に連結手段を貫通させることで、第2連結部を上方及び横方向から第1連結部に組み合せることができる。そのため、例えば、本発明の接合構造を用いて、プレキャストコンクリート製の梁部材同士を接合する場合、第2構造部材の移動方向が水平方向に制限されない。また、本発明の接合構造を用いて、プレキャストコンクリート製の柱部材同士を接合する場合、第2構造部材の移動方向が上下方向に制限されない。従って、施工の自由度が向上する。
【0014】
また、第1連結部の断面積が先端部に向かって小さくなっている。そのため、第1連結部の断面積を先端部に向かって小さくしない場合と比較して、第2連結部の根元付近の断面積(第2構造部材の端面側の断面積)が大きくなり、曲げ応力等に抵抗する構造断面(断面剛性)が大きくなる。従って、第2連結部の根元付近に生じるひび割れが抑制され、外観品質(美観)の低下が防止される。また、ひび割れを防止することで、第2構造部材に配筋された鉄筋、補強筋等の腐食が防止され耐久性が向上する。第2連結部と同様に、第1連結部の根元付近に生じるひび割れも抑制される。
【0015】
更に、第2連結部の根元付近の断面剛性を大きくすることで、第1構造部材と第2構造部材との接合面の開き(割れ)が抑制される。特に、応力が集中し易い第1連結部の先端部と第2構造部材の端部との接合面、及び第2連結部の先端部と第1構造部材の端部との接合面の開きが抑制される。従って、外観品質(美観)の低下を防止することができる。
【0016】
請求項2に記載のプレキャストコンクリート構造部材接合構造は、請求項1に記載のプレキャストコンクリート構造部材接合構造において、前記第1構造部材及び前記第2構造部材が梁部材であり、前記連結手段が前記第1連結部の横側面から貫通されて該第1連結部と前記第2連結部とを連結する。
【0017】
上記の構成によれば、第1構造部材及び第2構造部材が梁部材とされている。また、第1連結部と第2連結部とは、第1連結部の横側面を貫通する連結手段により連結されている。
【0018】
梁部材とされた第1構造部材、第2構造部材には、常時荷重に起因する曲げモーメントが作用する。しかしながら、第1連結部の断面積が先端部に向かって小さくなるため、第2連結部の根元付近の断面積が大きくなり、曲げモーメント(曲げ応力)に抵抗する構造断面(断面剛性)が大きくなる。そのため、第2連結部の根元付近に生じるひび割れ等が抑制される。第2連結部と同様に、第1連結部の根元付近に生じるひび割れ等が抑制される。更に、第1連結部及び第2連結部の根元付近の断面剛性を大きくすることで、常時荷重に起因する曲げモーメントによる第1構造部材と第2構造部材との接合面の開き(割れ)が抑制される。
【0019】
請求項3に記載のプレキャストコンクリート構造部材接合構造は、請求項2に記載のプレキャストコンクリート構造部材接合構造において、前記第1連結部の先端部に設けられ、前記第1連結部の上面側から下面に向かって先端側に傾斜する第1上斜面と、前記第2構造部材の端面を切り欠いて形成され、前記第1上斜面が合せられる第2下斜面と、前記第2連結部の先端部に設けられた前記第2連結部の下面側から上面に向かって先端側に傾斜する第1下斜面と、前記第1構造部材の端面を切り欠いて形成され、前記第1下斜面が合せられる第2上斜面と、を備える。
【0020】
上記の構成によれば、第1連結部の先端部には、この第1連結部の上面側から下面に向かって先端側に傾斜する第1上斜面が設けられている。第2構造部材には、第2構造部材の端面を切り欠いて形成され、第1上斜面と合せられる第2下斜面が設けられている。
【0021】
また、第2連結部の先端部には、この第2連結部の下面側から上面に向かって先端側に傾斜する第1下斜面が設けられている。第1構造部材には、第1構造部材の端面を切り欠いて形成され、第1下斜面と合せられる第2上斜面が設けられている。第1構造部材と第2構造部材とは、第1上斜面と第2下斜面、第2上斜面と第1下斜面とを合せて接合される。
【0022】
このように、第2構造部材の端部に第2下斜面を設けることで、第2連結部の根元から、第2構造部材の切り欠きの奥に向かって、第2構造部材の端部の断面積が一定の割合で大きくなり、曲げ応力等に抵抗する構造断面(断面剛性)が大きくなる。また、第2構造部材の端部の断面積の変化が緩やかになり、第2連結部の根元付近に生じる応力集中が緩和される。従って、第2連結部の根元付近のひび割れが抑制されると共に、第1連結部の先端部と第2構造部材の端部との接合面の開き(割れ)が抑制される。
【0023】
第2構造部材と同様に、第1構造部材の端部に第2上斜面を設けることで、第1連結部の根元から切り欠きの奥に向かって、第1構造部材の断面積が一定の割合で大きくなり、曲げ応力等に抵抗する構造断面(断面剛性)が大きくなる。また、第1構造部材の端部の断面積の変化が緩やかになり、第1連結部の根元付近に生じる応力集中が緩和される。従って、第1連結部の根元付近のひび割れが抑制されると共に、第2連結部の先端部と第1構造部材の端部との接合面の開き(割れ)が抑制される。
【0024】
更に、第1上斜面と第2下斜面、第1下斜面と第2上斜面との合せ面において、支圧による応力伝達がなされる。従って、第1構造部材と第2構造部材との応力伝達が良好となる。
【0025】
請求項4に記載のプレキャストコンクリート構造部材接合構造は、請求項1〜3の何れか1項に記載のプレキャストコンクリート構造部材接合構造において、前記第2連結部と合せられる前記第1連結部の第1合せ面は、該第1連結部の横側面に向かって傾斜する斜面であり、前記第1連結部と合せられる前記第2連結部の第2合せ面は、該第2連結部の横側面に向かって傾斜する斜面である。
【0026】
上記の構成によれば、第1連結部の第1合せ面は、第1連結部の横側面に向かって傾斜する斜面とされている。また、第2連結部の第2合せ面は、第2連結部の横側面に向かって傾斜する斜面とされている。
【0027】
応力集中は、構造断面が急激に変化する部位に生じ易いが、このように、第1連結部の第1合せ面、及び第2連結部の第2合せ面を斜面とし、第1連結部、第2連結部の断面積を先端部に向かって一定の割合で小さくすることで応力集中が緩和される。従って、第1構造部材と第2構造部材との接合面の開き(割れ)が抑制される。特に、応力が集中し易い第1連結部の先端部と第2構造部材の端部との接合面、及び第2連結部の先端部と第1構造部材の端部との接合面の開きが抑制される。従って、外観品質(美観)の低下を防止することができる。
【0028】
請求項5に記載の発明は、プレキャストコンクリート製の第1構造部材と、前記第1構造部材に接合されるプレキャストコンクリート製の第2構造部材と、を有し、前記第1構造部材の端面から該第1構造部材の材軸方向に延び、断面積が先端部に向かって小さくなる第1連結部に、前記第2構造部材の端面から該第2構造部材の材軸方向に延び、断面積が先端部に向かって小さくなる第2連結部を、上方又は横方向から組み合せる組み合せ工程と、前記第1連結部に前記第2連結部を組み合せた状態で、外面から前記第1連結部を貫通する連結手段により、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結する連結工程と、を備える。
【0029】
上記の構成によれば、組み合せ工程において、第1構造部材の端面から第1構造部材の材軸方向に延び、断面積が先端部に向かって小さくなる第1連結部に、第2構造部材の端面から該第2構造部材の材軸方向に延び、断面積が先端部に向かって小さくなる第2連結部を、上方又は横方向から組み合せる。次に、連結工程において、第1連結部に第2連結部を組み合せた状態で、外面から第1連結部を貫通する連結手段により、第1連結部と第2連結部とを連結する。従って、請求項1に記載の発明と、同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、上記の構成としたので、プレキャストコンクリート構造部材同士を接合するときに、移動方向の制約を受けず、一方の構造部材を移動させて他方の構造部材と接合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材接合構造、及びプレキャストコンクリート構造部材の接合方法について説明する。
【0032】
先ず、第1の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材接合構造10の構成について説明する。
【0033】
プレキャストコンクリート構造部材接合構造10は、図1(A)、図1(B)に示すように、PCa製の梁部材12(第1構造部材)とPCa製の梁部材14(第2構造部材)とを接合する。
【0034】
梁部材12の端部には、連結部18(第1連結部)と切欠き部16とが設けられている。連結部18は、梁部材12の端面12Aに突設され、梁部材12の材軸方向(長さ方向)に延びている。この連結部18の先端部には、面を略鉛直とした鉛直面18A、18Cと、上斜面18B(第1上斜面)とが形成されている。上斜面18Bは、図2(B)に示すように、連結部18の上面18Hから下面18Iに向かって先端側(鉛直面18A側)に向かって傾斜している。即ち、上斜面18Bは、上方が開放された斜面とされている。
【0035】
切欠き部16は、図2(B)に示すように、梁部材12の端面12Aを切り欠いて設けられ、面を略鉛直とした奥壁面16Aと、後述する梁部材14の連結部26の下斜面26Bが合せられる上斜面16B(第2上斜面)と、を備えている。この上斜面16Bは、梁部材12の上面12B側から下面12Cに向かって端面12A側に傾斜している。即ち、上斜面16Bは、上方が開放された斜面とされている。この上斜面16Bにより、梁部材12の端部の断面積(梁部材12の材軸方向に垂直な断面)が、端面12A(連結部18の根元)から奥壁面16Aに向かって一定の割合で大きくなっている。
【0036】
また、図2(A)に示すように、梁部材14の連結部26(第2連結部)が合せられる連結部18の合せ面18E(第1合せ面)は、切欠き部16の奥壁面16Aから連結部18の横側面18Dに向かって傾斜する斜面とされている。これらの上斜面18B、及び合せ面18Eにより、図3(A)〜(E)に示すように、連結部18の断面積が先端部に向かって小さくなっている。
【0037】
また、図1(A)に示すように、連結部18には鋼製のシース管20が合せ面18Eから突出しないように略水平に複数埋設され、このシース管20により連結孔21が形成されている。連結孔21には、連結部18の横側面18D側から鉄筋状のピン部材22(連結手段)が挿入可能になっている。また、シース管20の内部には、このシース管20を貫通するピン部材22を支持するリング状のスペーサ22Aが溶接されている。このスペーサ22Aによって、ピン部材22がシース管20の略中心に配置される。
【0038】
なお、図1〜3では図示を省略したが、梁部材12には、図4(A)、図4(B)に示すように、上端筋30、下端筋32、及びせん断補強筋34が配筋されている。また、連結部18には、更に合せ面18Eに沿って2本の斜筋36が配筋されている。
【0039】
梁部材14の端部には、梁部材12の連結部18が組み合せられる連結部26と、連結部18の先端部が組み合せられる切欠き部24と、が設けられている。連結部26は、梁部材14の端面14Aに突設され、梁部材14の材軸方向(長さ方向)に延びている。この連結部26の先端部には、面を略鉛直とした鉛直面26A、26Cと、下斜面26B(第1下斜面)とが形成されている。この下斜面26Bは、図2(B)に示すように、連結部26の下面26Iから上面26Hに向かって先端側(鉛直面26A側)に向かって傾斜している。即ち、上斜面26Bは、下方が開放された斜面とされている。これらの鉛直面26A、下斜面26Bは、梁部材12の切欠き部16と組み合せたときに、切欠き部16の奥壁面16A、上斜面16Bと対向するように形成されている。また連結部26を、梁部材12の切欠き部16及び連結部18に組み合せると、梁部材12の外形と同一となる。
【0040】
切欠き部24は、梁部材14の端面14Aを切り欠いて設けられ、面を略鉛直とした奥壁面24Aと、連結部18の上斜面18Bが合せられる下斜面24B(第2下斜面)とを備えている。この下斜面24Bは、図2(B)に示すように、梁部材14の下面14C側から上面14Bに向かって端面14A側に傾斜している。即ち、下斜面24Bは、下方が開放された斜面とされている。この下斜面24Bにより、梁部材14の断面積(梁部材14の材軸方向に垂直な断面)が、端面14Aから奥壁面24Aに向かって一定の割合で大きくなっている。これらの奥壁面24A、下斜面24Bは、梁部材12の連結部18と組み合せたときに、連結部18の鉛直面18A、上斜面18Bと対向するように形成されている。
【0041】
図2(A)に示すように、梁部材12の連結部18と合せられる連結部26の合せ面26E(第2合せ面)は、切欠き部24の奥壁面24Aから連結部26の横側面26Dに向かって傾斜する斜面とされている。これらの下斜面26B、及び合せ面26Eにより、図3(A)〜(E)に示すように、連結部26の断面積が先端部に向かって小さくなっている。なお、梁部材14には、梁部材12と同様に上端筋、下端筋、せん断補強筋、斜筋が配筋されている。
【0042】
また、図1(A)に示すように、連結部26には鋼製のシース管28が合せ面26Eから突出しないように略水平に複数埋設され、このシース管28により連結孔29が形成されている。シース管28の内部には、このシース管28を貫通するピン部材22を支持するリング状のスペーサ28Aが溶接されている。このスペーサ28Aによって、ピン部材22がシース管28の略中心に配置される。また、シース管28によって形成された連結孔29は、連結部26を梁部材12の連結部18に組み合せたときに、連結部18に形成された連結孔21に通じてピン部材22が挿入される。
【0043】
次に、第1の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材接合構造10の接合方法の例について説明する。なお、第1の実施形態を例にして説明するが、本接合方法は全ての実施形態に適用可能である。
【0044】
図1(A)、図1(B)に示すように、柱部材(不図示)に載置された梁部材12の連結部18の合せ面18Eに対して、梁部材14の連結部26の合せ面26Eを上方又は横方向から組み合せる(組み合せ工程)。これにより、上斜面16Bに下斜面26Bが合せられると共に、下斜面24Bに上斜面18Bが合せられる。また、連結部18に形成された連結孔21の中心と、連結部26に形成された連結孔29の中心とがほぼ一致するように、梁部材14の設置高さが調整される。なお、図1(A)は、梁部材14の連結部26を横方向から組み合せている。
【0045】
次に、ゴム等の弾性素材からなるエアホース(不図示)を、連結部18と連結部26の隙間、連結部18と切欠き部24の隙間、及び連結部26と切欠き部16の隙間に形成された目地の開口周縁に沿って配置し、エアホースに空気を吹き込んで膨張させ、連結部18と連結部26との目地を密閉する。この際、目地の開口周縁に、グラウト、モルタル等の硬化材38を充填するための注入口(不図示)を確保しておく。
【0046】
次に、図1(A)に示すように、連結部18の横側面18D側から連結孔21、29にピン部材22を貫通させ(連結工程)、図3(A)〜(E)に示すように、各シース管20、28に硬化材38を充填する。硬化材38は、スペーサ20A又はスペーサ28Aとピン部材22との隙間からシース管20、28内に充填される。また、目地の開口周縁に設けた注入口から、連結部18と連結部26との隙間に硬化材38を充填する。硬化材38が硬化した後、エアホースから空気を除去して収縮させ、エアホースを目地の開口周縁から除去する。
【0047】
このように、シース管20、28に硬化材38を充填することで、ピン部材22がシース管20、28内に定着し、連結部18、26に作用するせん断力が相互に伝達される。また、連結部18と連結部26との隙間に硬化材38を充填することで、連結部18、26が隙間なく密着され、連結部18、26における応力伝達が良好となる。
【0048】
なお、本発明では、連結部18と連結部26の隙間、連結部18と切欠き部24の隙間、及び連結部26と切欠き部16の隙間に硬化材38を充填したが、硬化材38を充填せずに連結部18と連結部26、連結部18と切欠き部24、及び連結部26と切欠き部16を接触させて接合しても良い。このように、例えば、下斜面24Bに上斜面18Bを合せる場合には、下斜面24Bと上斜面18Bとを接触させて直接的に合せるだけでなく、上記のように硬化材38等を間に介して間接的に合せることも含まれる。上斜面16Bに下斜面26Bを合せる場合も同様である。
【0049】
次に、第1の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材接合構造10の作用及び効果について説明する。
【0050】
連結部18と連結部26とを組み合せた後に、横側面18Dから連結部18を貫通するピン部材22によって連結部18と連結部26とを連結することで、梁部材12の連結部18に対して、梁部材14の連結部26を上方及び横方向から組み合せることができる。従って、梁部材14を上方又は横方向に移動させて接合することができる。よって、梁部材14の移動方向が横方向に制限されず、施工の自由度が向上する。
【0051】
また、梁部材12の連結部18が、梁部材14の連結部26を組み合せるときのガイドになるので、組み合せ精度が向上する。更に、連結部18、26に形成された連結孔21、29に、ピン部材22を貫通させて梁部材12と梁部材14とを接合するため、現場打ちコンクリートや型枠の仮設作業が不要となり、施工性の向上、工期の短縮化を図ることができる。
【0052】
ここで、断面積が変化しない連結部40、42を組み合せて梁部材12と梁部材14とを接合する比較例を図5(A)、図5(B)に示す。なお、梁部材12と梁部材14とは、本実施形態と同様に、連結部40、42を貫通するピン部材22によって接合される。
【0053】
この比較例では、連結部40の根元の断面積が梁部材12のほぼ半分となっている。更に、連結部40の根元において断面積が急変しており、連結部40の根元付近に曲げ応力が集中し易い。そのため、常時荷重等による曲げモーメント(曲げ応力)が長期的に作用すると、図5(B)に示すように、連結部40の根元付近にひび割れ44が発生したり、連結部40の先端部の鉛直面40Aと梁部材14の端面14Aとの目地が開いたり(矢印A)する場合がある。
【0054】
一方、本実施形態では、梁部材12の端部に設けられた連結部18の断面積が、先端部に向かって徐々に小さくなっている。そのため、図3(A)〜(E)に示すように、梁部材14の連結部26の断面積が、連結部26の根元に向かって徐々に大きくなっている。また、梁部材14の端部の断面積は、端面14Aから切欠き部24の奥壁面24Aに向かって徐々に大きくなる。従って、図5に示す比較例よりも常時荷重に起因する曲げモーメントに抵抗する梁部材14の端部の構造断面(断面剛性)が大きくなる。
【0055】
図6(A)は、図5に示す比較例の断面の模式図であり、図6(B)は、本実施形態の断面の模式図(図3(E)を模試化)である。この図6に基づいて、比較例と本実施形態の断面剛性を算出すると、図6(A)に示す比較例の連結部42の根元付近の断面剛性EIは、EI=4EI(E:ヤング係数、I=bh/96)であるのに対して、図6(B)に示す本実施形態の連結部26の根元付近の断面剛性EIは、EI=6.24EIとなる(EI<EI)。このように本実施形態の連結部26の根元付近の断面剛性EIが、比較例の連結部42の根元付近の断面剛性EIに比べて大きくなる。
【0056】
従って、連結部26の根元付近に生じるひび割れが抑制され、外観品質(美観)の低下が抑制される。また、ひび割れを抑制することで、連結部26に配筋された上端筋、下端筋、せん断補強筋等の腐食が防止され耐久性が向上する。更に、連結部18の根元の断面積を大きくすることで、図4(A)に示すように、連結部18に斜筋36を配筋するスペースが確保され、連結部18の曲げ剛性を高めることができる。
【0057】
また、本実施形態では、図2(A)に示すように、連結部18と連結部26の合せ面18E、26Eを斜面とすることで、連結部18、26の断面積を先端部に向かって徐々に減少させている。更に、図1(A)に示すように、連結部18、26の先端部にそれぞれ上斜面18B、下斜面26Bを設けることで、先端部の断面積を徐々に減少させている。そのため、連結部18、26の根元の断面剛性が大きくなるだけでなく、連結部18、26の断面積(構造断面)の変化が緩やかになり、応力集中が緩和される。従って、連結部18と連結部26との接合面の開き(割れ)が抑制される。特に、応力が集中し易い連結部18の鉛直面18Aと切欠き部24の奥壁面24Aとの接合面(図1(A)参照)の開きが抑制される。従って、外観品質(美観)の低下を防止することができる。
【0058】
梁部材14と同様に、梁部材12の連結部18の断面積は、連結部18の根元に向かって徐々に大きくなる。また、梁部材12の端部の断面積は、端面12Aから切欠き部16の奥壁面16Aに向かって徐々に大きくなる。従って、連結部18の根元付近に生じるひび割れが抑制され、外観品質(美観)の低下が防止される。更に、梁部材12の端面12Aと、連結部26の鉛直面26Cとの接合面(図1(A)参照)の開きが抑制される。
【0059】
次に、第1の実施形態の変形例1の構成について説明する。なお、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0060】
変形例1では、図7(A)、図7(B)に示すように、連結手段としてのピン部材22に替えて、軸の両端に雄ネジが切られたスタットボルト46で、連結部18と連結部26とを連結する。
【0061】
梁部材12の連結部18には、鋼製のシース管48が、連結部18の合せ面18Eから突出しないように略水平に複数埋設され、このシース管48により連結孔49が形成されている。連結孔49には、連結部18の横側面18Dからスタットボルト46が挿入可能になっている。シース管48の内部には、このシース管48を貫通するスタットボルト46(連結手段)を支持するリング状のスペーサ48Aが溶接されている。このスペーサ46Aによって、スタットボルト46がシース管20の略中心に配置される。
【0062】
連結部18と同様に、梁部材14の連結部26には、鋼製のシース管50が連結部26の合せ面26Eから突出しないように略水平に複数埋設され、このシース管50により連結孔51が形成されている。シース管50の内部には、このシース管50を貫通するスタットボルト46を支持するリング状のスペーサ50Aが溶接されている。このスペーサ50Aによって、スタットボルト46がシース管50の略中心に配置される。また、シース管50によって形成された連結孔51は、連結部26を連結部18に組み合せたときに、連結孔49に通じてスタットボルト46が貫通される。
【0063】
次に、第1の実施形態の変形例1の接合方法について説明する。
【0064】
先ず、第1の実施形態と同様に、梁部材12の連結部18に、上方又は横方向から梁部材14の連結部26を組み合せる(組み合せ工程)。次に、連結部18と連結部26とを組み合せた状態で、連結部18の横側面18D側から連結孔49、51にスタットボルト46を貫通させ(連結工程)、各シース管48、50に硬化材(不図示)を充填する。硬化材は、スペーサ48A又はスペーサ50Aとスタットボルト46との隙間からシース管48、50内に充填される。そして、スタットボルト46の軸の両端からワッシャー52を介してナット54をねじ込み、軸の両側から締め付けてスタットボルト46をスペーサ48A、50Aに固定する。
【0065】
次に、第1の実施形態の変形例1の作用及び効果について説明する。
【0066】
スタットボルト46を両側からナット54で締め付けて固定することで、スタットボルト46を各シース管48、50の中心に固定することができる。また、スタットボルト46とナット54の締付け力により、連結部18、26の接合強度が高めることができる。
なお、ナット54が露出しないように、連結孔49、51に硬化材等を充填して、連結孔49、51を埋めても良い。
【0067】
次に、第1の実施形態の変形例2の構成について説明する。なお、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
変形例2では、図8、図9に示すように、連結手段としてのピン部材22に替えて、六角穴付きのボルト56で、連結部18と連結部26とを連結する。なお、図8では、図が煩雑となるため、連結部18、26に配筋された梁鉄筋66、72の図示を省略している。
【0069】
図9に示すように、梁部材12の連結部18の合せ面18E側には、ボルト56のネジ部が貫通する鋼管58が、合せ面18Eから突出しないように埋設されている。また、連結部18の横側面18D側には、ボルト56の頭部及びワッシャー60が収納される鋼管62が略水平に埋設されている。これらの鋼管58、62により連結孔63が形成され、この連結孔63には、連結部18の横側面18D側から連結部18を貫通するボルト56が挿入される。また、鋼管58と鋼管62との間には固定金具64が配置され、この固定金具64に鋼管58、62がそれぞれ溶接されて一体化されている。固定金具64の両端は略円弧形状に曲げられ、この円弧部分を連結部18に配筋された梁鉄筋66に掛け止めることによって、所定の位置に連結孔63が配置される。また、鋼管62の周囲には、補強筋68が配筋されている。
【0070】
梁部材14の連結部26の合せ面26E側には、ボルト56のネジ部がねじ込まれる長ナット70が合せ面26Eから突出しないように略水平に埋設されている。この長ナット70により連結孔71が形成され、この連結孔71には、連結部26の合せ面26E側からボルト56が挿入可能になっている。なお、ボルト56は、連結部26を貫通しない。
【0071】
この長ナット70の端部には固定金具72が溶接されている。固定金具72は、固定金具64と同様に、両端が略円弧形状に曲げられ、この円弧部分を連結部26に配筋された梁鉄筋74に掛け止めることによって、所定の位置に連結孔71が配置される。この連結孔71は、連結部26を連結部18に組み合せたときに、連結部18に形成された連結孔71に通じてボルト56が挿入される。なお、長ナット70の周囲には、補強筋76が配筋されている。
なお、固定金具64、72は、鋼管58、62及び長ナット70を所定位置に配置するための固定具であり、必要に応じて適宜設ければ良い。また、鋼管58、62又は長ナット70を支持・固定できれば良く、固定金具64、72に替えて種々の固定具を採用することができる。
【0072】
次に、第1の実施形態の変形例2の接合方法について説明する。
【0073】
先ず、第1の実施形態と同様に、梁部材12の連結部18に、上方又は横方向から梁部材14の連結部26を組み合せる(組み合せ工程)。次に、連結部18と連結部26とを組み合せた状態で、連結部18の横側面18D側からワッシャー60を介して連結孔63、71にボルト56を挿入し、長ナット70にボルト56をねじ込んで締め付ける(連結工程)。その後、連結部18と連結部26との隙間、及び鋼管62に硬化材38を充填して、梁部材12と梁部材14とを一体化させる。
【0074】
次に、第1の実施形態の変形例2の作用及び効果について説明する。
【0075】
連結部18、26に形成された連結孔63、71にボルト56を挿入し、ボルト56を長ナット70にねじ込んで締め付けることで、連結部18と連結部26との接合強度を高めることができる。また、連結部26に長ナット70を埋設することで、連結部18の横側面18D側からボルト56を締め付けるだけで、連結部18と連結部26とを連結することができる。従って、連結部26の横側面26D側に足場等を仮設する必要がないため施工性が向上する。特に、連結部26の横側面26Dを建物の外側に配置する場合に本変形例が適している。
【0076】
次に、第2の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材接合構造80の構成について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0077】
第2の実施形態では、図10に示すように、第1の実施形態に替えて切欠き部16及び連結部18の先端部に段部を設ける。梁部材12の連結部18の先端部には、面を略鉛直とした鉛直面18A、18Cと、面を略水平とした水平面18Fとが形成され、階段状に段差(段部)が設けられている。また、梁部材12の切欠き部16には、面を略鉛直とした奥壁面16Aと、面を略水平とした水平面16Cとが形成され、階段状に段差(段部)が設けられている。
【0078】
梁部材14の連結部26の先端部には、面を略鉛直とした鉛直面26A、26Cと、面を略水平とした水平面26Fとが形成され、階段状に段差(段部)が設けられている。これらの鉛直面26A、水平面26Fは、切欠き部16と組み合せたときに、切欠き部16の奥壁面16A、水平面16Cと対向するように形成されている。また、梁部材14の切欠き部24は、面を略鉛直とした奥壁面24Aと、面を略水平とした水平面24Cとが形成され、階段状に段差(段部)が設けられている。これらの奥壁面24A、水平面24Cは、連結部18と組み合せたときに、連結部18の鉛直面18A、水平面18Fと対向するように形成されている。
【0079】
なお、接合方法について、第1の実施形態の接合方法と同様の方法で行われるため説明を省略する。
【0080】
次に、第2の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材接合構造80の作用及び効果について説明する。
【0081】
図10(A)に示すように、連結部18と連結部26とを組み合せた後に、横側面18Dから連結部18を貫通するピン部材22によって連結部18と連結部26とを連結することで、梁部材12の連結部18に対して、梁部材14の連結部26を上方及び横方向から組み合せることができる。従って、梁部材14を上方又は横方向に移動させて接合することができる。よって、梁部材14の移動方向が横方向に制限されず、施工の自由度が向上する。
【0082】
また、第1の実施形態と同様に、連結部18の合せ面18Eは、切欠き部16の奥壁面16Aから連結部18の横側面18Dに向かって傾斜する斜面とされ、連結部26の合せ面26Eは、切欠き部24の奥壁面24Aから連結部26の横側面26Dに向かって傾斜する斜面とされている。即ち、連結部18、26の断面積が、各々の先端部に向かって小さくなり、連結部18、26の断面積が、各々の根元に向かって徐々に大きくなっている。更に、梁部材12、14の端部に切欠き部16、24を設けることで、各梁部材12、14の端部の断面積が、端面12A、14Aから切欠き部16、24の奥壁面16A、24Aに向かって大きくなり、常時荷重に起因する曲げモーメントに抵抗する梁部材12、14の端部の構造断面(断面剛性)が大きくなる。従って、連結部18、26の根元付近に生じるひび割れが抑制され、外観品質(美観)の低下が防止される。
【0083】
また、切欠き部16、24を設けない場合と比較して、連結部18、26の根元付近における断面積の変化が緩やかになり、応力集中が緩和される。従って、連結部18の鉛直面18Aと切欠き部24の奥壁面24Aとの接合面の開きが抑制されると共に、梁部材12の端面12Aと連結部26の鉛直面26Cとの接合面の開きが抑制される。
【0084】
更に、本実施形態では、連結部18、26の先端部に斜面を設けるのではなく水平面18F、26Fを設けるため、梁部材12、14の生産性が向上する。同様に、切欠き部16、24に斜面を設けるのではなく水平面16C、24Cを設けるため、梁部材12、14の生産性が向上する。
【0085】
なお、本実施形態では、連結部18、26の先端部に水平面18F、26Fを形成して一つの段部を設けたが、複数の段部を設けて良い。例えば、図11に示すように、連結部18の先端部に2つの水平面18F、18Gを形成し、連結部26の先端部に2つの水平面26F、26Gを形成して、2つの段部を設けて良い。この際、切欠き部24には、水平面18F、18Gが合せられる2つの水平面24C、24Dを形成し、切欠き部16には、水平面26F、26Gが合せられる水平面16C、16Dを形成すれば良い。
【0086】
次に、第2の実施形態の変形例1の構成について説明する。
【0087】
本変形例は、図12(A)に示すように、梁部材12、14に切欠き部を設けずに、連結部18と連結部26とを組み合せて接合する。
【0088】
連結部18の合せ面18Eは、梁部材12の端面12Aから連結部18の横側面18Dに向かって傾斜する斜面とされている。また、連結部26の合せ面26Eは、梁部材14の端面14Aから連結部26の横側面26Dに向かって傾斜する斜面とされている。そして、梁部材12の端面12Aに連結部26の鉛直面26Aを合せると共に、連結部18の鉛直面18Aに梁部材14の端面14Aを合せて、ピン部材22によって連結部18と連結部26とを連結する。
【0089】
次に、第2の実施形態の変形例1の作用及び効果について説明する。
【0090】
連結部18の合せ面18Eは、梁部材12の端面12Aから連結部18の横側面18Dに向かって傾斜する斜面とされている。また、連結部26の合せ面26Eは、梁部材14の端面14Aから連結部26の横側面26Dに向かって傾斜する斜面とされている。即ち、連結部18、26の断面積が、各々の先端部の向かって一定の割合で減少し、連結部18、26の断面積が、各々の根元に向かって一定の割合で増加している。従って、常時荷重に起因する曲げモーメントに抵抗する梁部材12、14の端部の構造断面(断面剛性)が大きくなり、連結部18、26の根元付近に生じるひび割れが抑制される。
【0091】
更に、合せ面18E、26Eを斜面としない場合と比較して、連結部18、26の根元付近の断面積の変化が緩やかになり、応力集中が緩和される。従って、連結部18の鉛直面18Aと梁部材14の端面14Aとの接合面の開きが抑制されると共に、梁部材12の端面12Aと連結部26の鉛直面26Aとの接合面の開きが抑制される。
【0092】
このように、梁部材12、14の端部に切欠き部を設けなくても、連結部18、26の根元付近の断面積を大きくすることで、連結部18、26の根元付近に生じるひび割れ等を抑制することができる。
【0093】
なお、連結部18、26の合せ面18E、26Eは、全面に渡って斜面にする必要はなく、合せ面18E、26Eの一部に斜面を形成しても良い。例えば、図12(B)に示す構成では、連結部18の合せ面18Eに、略鉛直に形成された2つの鉛直面82、84と、この鉛直面82、84の間に形成され梁部材12の端面12Aから連結部18の横側面18Dに向かって傾斜する斜面86と、を設けている。また、連結部26の合せ面26Eに、略鉛直に形成された2つの鉛直面88、90と、この鉛直面88、90の間に形成され梁部材14の端面14Aから連結部26の横側面26Dに向かって傾斜する斜面92と、を設けている。
【0094】
このように、合せ面18E、26Eの一部に斜面86、90を設けることで、連結部18、26の先端部よりも根元付近の断面積を大きくすることができる。即ち、常時荷重に起因する曲げモーメントに抵抗する連結部18、26の根元の断面積(断面剛性)が大きくなるため、上記と同様の効果を奏することができる。
【0095】
次に、第2の実施形態の変形例2の構成について説明する。
【0096】
本変形例では、図13(A)に示すように、連結部18、26の合せ面18E、26Eに斜面を設けずに、連結部18、26の先端部にのみそれぞれ上斜面18B、下斜面26Bを設ける。
【0097】
梁部材12の連結部18の先端部には、面を略鉛直とした鉛直面18A、18Cと、上斜面18Bと、が形成されている。また、梁部材12の切欠き部16には、面を略鉛直とした奥壁面16Aと、連結部26の下斜面26Bが合せられる上斜面16Bと、が設けられている。
【0098】
梁部材14の連結部26には、面を略鉛直とした鉛直面26A、26Cと、下斜面26Bと、が形成されている。これらの鉛直面26A、下斜面26Bは、連結部26と梁部材12の切欠き部16とを組み合せたときに、切欠き部16の奥壁面16A、上斜面16Bと対向するように形成されている。
【0099】
また、梁部材14の切欠き部24には、面を略鉛直とした奥壁面24Aと、連結部18の上斜面18Bが合せられる下斜面24Bと、が形成されている。これらの奥壁面24A、下斜面24Bは、梁部材12の連結部18と組み合せたときに、連結部18の鉛直面18A、上斜面18Bと対向するように形成されている。
【0100】
一方、連結部18、26の合せ面18E、26Eは、連結部18、26の横側面18D、26Dに略平行な面とされ、傾斜していない。
【0101】
次に、第2の実施形態の変形例2の作用及び効果について説明する。
【0102】
梁部材14の切欠き部24に設けられた下斜面24Bにより、梁部材14の端部の断面積が、梁部材14の端面14Aから切欠き部24の奥壁面24Aに向かって一定の割合で大きくなっている。従って、切欠き部24を設けない場合に比べて、常時荷重に起因する曲げモーメントに抵抗する梁部材14の端部の構造断面(断面剛性)が大きくなる。更に、梁部材14の端部に切欠き部24を設けることで、連結部26の根元付近の断面積の変化が緩やかになり、応力集中が緩和される。従って、連結部26の根元付近に生じるひび割れが抑制されると共に、連結部18の鉛直面18Aと梁部材14の端面14Aとの接合面の開きが抑制される。
【0103】
梁部材14と同様に、梁部材12の端部に切欠き部16を設けているため、連結部18の根元付近に生じるひび割れが抑制されると共に、梁部材12の端面12Aと連結部26の鉛直面26Aとの接合面の開きが抑制される。
【0104】
このように、連結部18、26の合せ面18E、26Eに斜面を設けなくても、梁部材12、14の端部に切欠き部16、24を設けることで、常時荷重に起因する曲げモーメントに抵抗する梁部材12、14の端部の構造断面(断面剛性)が大きくすることができる。即ち、必ずしも合せ面18E、26Eに斜面を設ける必要はなく、必要に応じて適宜設ければ良い。
【0105】
なお、図13(B)に示すように、連結部18の先端部に上斜面18Bのみを形成しても良い。この場合、梁部材14の切欠き部24には、上斜面18Bが合せられる下斜面24Bを形成すれば良い。連結部26の先端部についても同様に、下斜面26Bのみを形成しても良く、この場合、梁部材12の切欠き部16には、下斜面26Bが合せられる上斜面16Bを形成すれば良い。
【0106】
次に、第3の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材接合構造100の構成について説明する。なお、第1、第2の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0107】
図14(A)、図14(B)に示すように、梁部材12の端部には、連結部106と2つの切欠き部102、104とが設けられている。切欠き部102、104の間に位置する連結部106(第1連結部)は、梁部材12の端面12Aに突設され、梁部材12の材軸方向(長さ方向)に延びている。この連結部18の先端部には、面を略鉛直とした鉛直面106A、106Cと、連結部106の上面106F側から下面106Gに向かって先端側(鉛直面106A側)に傾斜する上斜面106B(第1上斜面)とが形成されている。なお、図14(B)においては、図が煩雑となるため連結部106の想像線を省略している。
【0108】
また、連結部106の合せ面106D、106Eは、切欠き部102、104の奥壁面102A、104Aから、梁部材12の幅方向の中央に向かって傾斜する斜面とされている。これらの上斜面106B、及び合せ面106D、106Eにより、連結部106の断面積が先端部に向かって小さくなっている。
【0109】
切欠き部102、104は、梁部材12の端面12Aを切り欠いて設けられ、面を略鉛直とした奥壁面102A、104Aと、梁部材14の連結部110、112の下斜面110B、112Bが合せられる上斜面102B、104B(第2上斜面)と、を備えている。この上斜面102B、104Bにより、梁部材12の端部の断面積が、端面12Aから奥壁面102A、104Aに向かって一定の割合で大きくなっている。
【0110】
梁部材14の端部には、切欠き部108と2つの連結部110、112(第2連結部)とが設けられている。切欠き部108の両側に配置された2つの連結部110、112は、梁部材14の端面14Aに突設され、梁部材14の材軸方向(長さ方向)に延びている。この連結部110先端部には、面を略鉛直とした鉛直面110A、110Cと、連結部の下面110G側から上面110Fに向かって先端側(鉛直面110A側)に傾斜された下斜面110B(第1下斜面)とが形成されている。また、連結部112の先端部には、面を略鉛直とした鉛直面112A、112Cと、連結部の下面112G側から上面112Fに向かって先端側(鉛直面112A側)に傾斜された下斜面110B(第1下斜面)とが形成されている。
【0111】
この下斜面110B、112Bにより、連結部110、112の断面積が先端に向かって一定の割合で小さくなっている。これらの鉛直面110A、112A、下斜面110B、112Bは、切欠き部102、104と組み合せたときに、切欠き部102、104の奥壁面102A、104A、上斜面102B、104Bと対向するように形成されている。また、連結部110、112を切欠き部102、104に組み合せると、梁部材12の外形と同一となる。
【0112】
連結部110、112の合せ面110E、112Eは、切欠き部108の奥壁面108Aから連結部110、112の側面110D、112Dに向かってそれぞれ傾斜する斜面とされている。これらの下斜面110B、112B、及び合せ面110E、112Eにより、連結部110、112の断面積が先端部に向かって小さくなっている。
【0113】
切欠き部108は、梁部材14の端面14Aを切り欠いて設けられ、面を略鉛直とした奥壁面108Aと、連結部106の上斜面106Bが合せられる下斜面108B(第2下斜面)とが形成されている。この下斜面108Bにより、梁部材14の断面積が、端面14Aから奥壁面108Aに向かって一定の割合で大きくなっている。これらの奥壁面108A、下斜面108Bは、梁部材12の連結部106と組み合せたときに、連結部106の鉛直面106A、上斜面106Bと対向するように形成されている。
【0114】
また、連結部106にはシース管20が合せ面106D、106Eから突出しないように略水平に複数埋設され、このシース管20により連結孔21が形成されている。また、連結部110、112にはシース管28が各々の合せ面110E、112Eから突出しないように略水平に複数埋設され、このシース管28により連結孔29が形成されている。
【0115】
次に、第3の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材接合構造100の接合方法について説明する。なお、第1の実施形態と同様に方法については適宜省略して説明する。
【0116】
図14(A)に示すように、柱部材(不図示)に載置された梁部材12の連結部106に対して、梁部材14の連結部110、112を上方又は横方向から組み合せ、連結部110、112の間に連結部106を挿入する(組み合せ工程)。このとき、連結部106に形成された連結孔21の中心と、連結部110、112に形成された連結孔29の中心とがほぼ一致するように、梁部材14の設置高さが調整される。なお、図14(A)は、梁部材14の連結部110、112を上方から組み合せる状態を示している。
【0117】
次に、図14(A)又は図14(B)に示すように、連結部110の側面110D側から連結孔29、21、29の順にピン部材22を貫通させ(連結工程)、各シース管20、28に硬化材38を充填する。また、連結部106と連結部110、112との隙間、切り欠部102と連結部110との隙間、及び切り欠部104と連結部112との隙間に硬化材38を充填する。
【0118】
このように、シース管20、28に硬化材38を充填することで、ピン部材22がシース管20、28内に定着し、連結部106、110、112に作用するせん断力が相互に伝達される。また、連結部106と連結部110、112との目地等に硬化材38を充填することで、連結部106と連結部110、112とが隙間なく密着され、連結部106、110、112における応力伝達が良好となる。
【0119】
次に、第3の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材接合構造100の作用及び効果について説明する。
【0120】
図14(A)に示すように、連結部106と連結部110、112とを組み合せた後に、横側面110Dから連結部110を貫通するピン部材22によって連結部106と連結部110、112とを連結することで、梁部材12の連結部106に対して、梁部材14の連結部110、112を上方及び横方向から組み合せることができる。従って、梁部材14を上方又は横方向に移動させて接合することができる。よって、梁部材14の移動方向が横方向に制限されず、施工の自由度が向上する。
【0121】
また、梁部材12の連結部106の断面積が、先端部に向かって小さくなっている。そのため、連結部106と組み合せられる梁部材14の連結部110、112の断面積が、連結部110、112の根元に向かって大きくなる。また、切欠き部108を設けることで、梁部材14の端部の断面積が、端面14Aから切欠き部108の奥壁面108Aに向かって徐々に大きくなり、常時荷重に起因する曲げモーメントに抵抗する梁部材14の端部の構造断面(断面剛性)が大きくなる。従って、連結部110、112の根元付近に生じるひび割れが抑制される。更に、切欠き部108を設けることで、連結部110、112の根元付近の断面積の変化が緩やかになり、応力集中が緩和される。従って、連結部106の鉛直面106Aと切欠き部108の奥壁面108Aとの接合面の開き(割れ)が抑制される。
【0122】
梁部材14と同様に、梁部材12の連結部106の根元付近に生じるひび割れが抑制されると共に、梁部材12の端面12Aと、連結部110、112の鉛直面110C、112Cとの接合面の開きが抑制される。更に、連結部106を連結部110、112の間に挿入するため、第1の実施形態と比較して、硬化材38の付着面積が増加し、連結部106、110、112における応力伝達が良好となる。
【0123】
なお、本実施形態では、梁部材12の端部に一つの連結部106を設け、梁部材14の端部に2つの連結部110、112を設けたがこれに限らず、梁部材12の端部に複数の連結部を設けても良い。この場合、梁部材14の端部には、梁部材12の連結部に応じた数の連結部を設ければ良い。
【0124】
なお、上記全ての実施形態では、第1構造部材としての梁部材12と第2構造部材としての梁部材14とを接合したが、図15に示すように、PCa製の下柱部材122(第1構造部材)とPCa製の上柱部材124(第2構造部材)とを接合しても良い。即ち、下柱部材122の端部に切欠き部16と連結部18とを設け、上柱部材124の端部に切欠き部24と連結部26を設ける。この場合、設置済みの下柱部材122の連結部18に対して、連結部26を上方及び横方向から組み合せることができる。また、接合部におけるひび割れや、接合面の開き(割れ)を抑制することができる。
【0125】
また、上記全ての実施形態において、連結部の合せ面や、連結部と切欠き部との接合面にコッターを設けることが好ましい。コッターを設けることで、硬化材の付着力が高まり、せん断力の伝達が良好になるためである。なお、硬化材には、一般に用いられているグラウト材を用いればよく、モルタル、エポキシ樹脂等を使用することができる。
【0126】
また、上記全ての実施形態では、連結部にシース管を略水平に埋設して連結孔を形成したが、シース管を斜めに埋設して連結孔を形成しても良い。また、シース管の本数や配置は、上記したものに限らず、設計強度に応じて適宜変更可能である。更に、連結部にシース管を埋設して連結孔を形成したがこれに限らず、連結孔21、29を形成する位置に円柱状の部材を配置しておき、コンクリートが硬化した後にこの円柱状の部材を取り除くことによって連結孔を形成してもよい。また、穿孔により連結孔を形成してもよい。
【0127】
更に、連結手段としてのピン部材22に替えてPC鋼棒を用いても良い。PC鋼棒にプレストレスを与えることにより、連結部の合せ面に作用する圧縮力を増加させ、摩擦力によりせん断力を伝達しても良い。
【0128】
更にまた、説明の都合上、梁部材、柱部材に配筋されるべき鉄筋やせん断補強筋を、適宜省略して説明したが、梁部材、柱部材に求められる強度に応じて適宜設ければ良い。また、梁部材12、14は、鉄筋コンクリート造に限らず、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレストレスコンクリート造であっても良い。
【0129】
以上、本発明の第1〜第3の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1〜第3の実施形態を組み合せて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】(A)、(B)は、本発明の第1の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造を示す斜視図である。
【図2】(A)は、本発明の第1の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造を示す平面図であり、(B)は側面図である。
【図3】(A)は図2(A)又は図2(B)における1−1線断面図、(B)は2−2線断面図、(C)は3−3線断面図、(D)は4−4線断面図、(E)は5−5線断面図である。
【図4】(A)は、本発明の第1の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造を示す平面図であり、(B)は側面図である。
【図5】(A)は、本発明の第1の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造の比較例を示す平面図であり、(B)は側面図である。
【図6】(A)は、図5(B)の6−6線断面の模式図であり、(B)は、図3(E)の模式図である。
【図7】(A)、(B)は、本発明の第1の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造の変形例を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造の変形例を示す斜視図である。
【図9】図8の梁部材同士を組み合せた後の8−8線断面図である。
【図10】(A)、(B)は、本発明の第2の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造を示す斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造の変形例を示す斜視図である。
【図12】(A)、(B)は、本発明の第2の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造の変形例を示す斜視図である。
【図13】(A)、(B)は、本発明の第2の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造の変形例を示す斜視図である。
【図14】(A)、(B)は、本発明の第3の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造を示す斜視図である。
【図15】本発明の第1〜3の実施形態に係るプレキャストコンクリート構造部材の接合構造の変形例を示す斜視図である。
【図16】従来の梁部材同士の接合構造を示す説明図である。
【図17】従来の梁部材同士の接合構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0131】
10 プレキャストコンクリート構造部材接合構造
12 梁部材(第1構造部材)
14 梁部材(第2構造部材)
16B 上斜面(第2上斜面)
18 連結部(第1連結部)
18B 上斜面(第1上斜面)
18D 横側面
18E 合せ面(第1合せ面)
18I 下面
18H 上面
22 ピン部材(連結手段)
24B 下斜面(第2下斜面)
26 連結部(第2連結部)
26B 下斜面(第1下斜面)
26E 合せ面(第2合せ面)
26I 下面
26H 上面
46 スタットボルト(連結手段)
54 ナット(連結手段)
56 ボルト(連結手段)
80 プレキャストコンクリート構造部材接合構造
100 プレキャストコンクリート構造部材接合構造
102B 上斜面(第2上斜面)
106 連結部(第1連結部)
106B 上斜面(第1上斜面)
108B 下斜面(第2下斜面)
110 連結部(第2連結部)
110B 下斜面(第1下斜面)
112 連結部(第2連結部)
112B 下斜面(第1下斜面)
122 下柱部材(第1構造部材)
124 上柱部材(第2構造部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャストコンクリート製の第1構造部材と、
前記第1構造部材に接合されるプレキャストコンクリート製の第2構造部材と、
前記第1構造部材の端面から該第1構造部材の材軸方向に延び、断面積が先端部に向かって小さくなる第1連結部と、
前記第2構造部材の端面から該第2構造部材の材軸方向に延び、断面積が先端部に向かって小さくなると共に前記第1連結部に上方及び横方向から組み合せられ前記第1構造部材の外形と同一となる第2連結部と、
前記第1連結部の外面から貫通され、該第1連結部と前記第2連結部とを連結する連結手段と、
を備えるプレキャストコンクリート構造部材接合構造。
【請求項2】
前記第1構造部材及び前記第2構造部材が梁部材であり、
前記連結手段が前記第1連結部の横側面から貫通されて該第1連結部と前記第2連結部とを連結する請求項1に記載のプレキャストコンクリート構造部材接合構造。
【請求項3】
前記第1連結部の先端部に設けられ、前記第1連結部の上面側から下面に向かって先端側に傾斜する第1上斜面と、
前記第2構造部材の端面を切り欠いて形成され、前記第1上斜面が合せられる第2下斜面と、
前記第2連結部の先端部に設けられた前記第2連結部の下面側から上面に向かって先端側に傾斜する第1下斜面と、
前記第1構造部材の端面を切り欠いて形成され、前記第1下斜面が合せられる第2上斜面と、
を備える請求項2に記載のプレキャストコンクリート構造部材接合構造。
【請求項4】
前記第2連結部と合せられる前記第1連結部の第1合せ面は、該第1連結部の横側面に向かって傾斜する斜面であり、
前記第1連結部と合せられる前記第2連結部の第2合せ面は、該第2連結部の横側面に向かって傾斜する斜面である請求項1〜3の何れか1項に記載のプレキャストコンクリート構造部材接合構造。
【請求項5】
プレキャストコンクリート製の第1構造部材と、
前記第1構造部材に接合されるプレキャストコンクリート製の第2構造部材と、
を有し、
前記第1構造部材の端面から該第1構造部材の材軸方向に延び、断面積が先端部に向かって小さくなる第1連結部に、前記第2構造部材の端面から該第2構造部材の材軸方向に延び、断面積が先端部に向かって小さくなる第2連結部を、上方又は横方向から組み合せる組み合せ工程と、
前記第1連結部に前記第2連結部を組み合せた状態で、外面から前記第1連結部を貫通する連結手段により、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結する連結工程と、
を備えるプレキャストコンクリート構造部材の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−299267(P2009−299267A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151550(P2008−151550)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】