説明

プレコートメタル塗料組成物及び塗装金属板

【課題】 着色力を高めるため、顔料濃度を高めても、優れた塗膜加工性を有する塗膜を形成できるプレコートメタル塗料組成物を提供する。
【解決手段】 共重合ラテックス樹脂を含むプレコートメタル塗料組成物であって、上記共重合ラテックス樹脂は、スチレン・ブタジエン系、アクリロニトリル・ブタジエン系、塩化ビニリデン系、酢酸ビニル系、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系の共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であるプレコートメタル塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレコートメタル塗料組成物及び塗装金属板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からプレコートメタル塗料が種々の用途に広く使用されているが、この塗料に対する要求性能は年々高度になってきており、高位な性能バランス化が必要となってきている。例えば、塗膜の硬度を更に高くすれば、加工性は低下する。又、PCMの用途によっては、従来以上に色彩を鮮明にするものや、更に特定の用途では着色力を高めることが要求されている。このようなプレコートメタル塗料に対する要求性能としては、塗膜硬度を硬くしつつ塗膜加工性を高めること、着色力を向上しつつ塗膜加工性を高めること、等が挙げられる。
【0003】
これらの要求性能を満足にする、すなわち、加工性を維持しつつ、塗膜硬度を高めかつ着色力を高める手段としては従来、現状使用している顔料の濃度を大きくするとともに、高分子量樹脂を使用し濃度を小さくする方法が従来から用いられてきたが、このような方法では塗膜加工性が不足し、要求を満たす塗膜を形成することは困難であった。
【0004】
ところで、粘接着剤、不織布等の繊維処理剤、紙塗工用組成物等、種々の用途において共重合ラテックスが使用されている。また、近年では塗料成分としても使用され、例えば、道路標示用塗料組成物に使用することも提案されているが、プレコートメタル塗料組成物中の成分として共重合ラテックスが使用されたものではない(特許文献1等)。
【特許文献1】特開2006−037026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状に鑑み、着色力を高めるため、顔料濃度を高めても(塗膜硬度や着色力を高めても)、優れた塗膜加工性を有する塗膜を形成できるプレコートメタル塗料組成物(以下、「PCM塗料組成物」ともいう)を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、共重合ラテックス樹脂を含むプレコートメタル塗料組成物であって、上記共重合ラテックス樹脂は、スチレン・ブタジエン系、アクリロニトリル・ブタジエン系、塩化ビニリデン系、酢酸ビニル系、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系の共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするプレコートメタル塗料組成物である。
【0007】
上記共重合ラテックス樹脂は、平均粒子径が40〜300nm、ガラス転移温度(Tg)が−50〜50℃であり、かつ、上記共重合ラテックス樹脂の含有量は、プレコートメタル塗料組成物の固形分100質量%中10〜70質量%(固形分)であることが好ましい。
【0008】
上記プレコートメタル塗料組成物は、更に、着色顔料を塗料組成物の固形分100質量%中30〜90質量%含むことが好ましい。
上記プレコートメタル塗料組成物は、透過型液晶表示装置のバックパネル反射板用として使用されることが好ましい。
【0009】
本発明はまた、上述のプレコートメタル塗料組成物によって形成された塗膜を備えることを特徴とする塗装金属板でもある。
上記塗装金属板における金属板は、亜鉛めっき鋼板、合金化亜鉛めっき金属板、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、アルミニウム板、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板又は冷延鋼板であることが好ましい。
【0010】
上記塗装金属板は、透過型液晶表示装置のバックパネル反射板として使用されることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明のPCM塗料組成物では、スチレン・ブタジエン系共重合体等の共重合ラテックス樹脂が使用されている。このような共重合ラテックスを使用した場合、顔料濃度を高めることによって加工性を低下させることなく塗膜硬度や着色力を向上させると同時に、塗膜加工性を向上させることが可能となる。
【0012】
このような優れた効果は、共重合ラテックス樹脂が粒子状の樹脂で、塗膜形成時に粒子が融合し顔料間の接着剤として機能するため、高顔料濃度(低樹脂濃度)領域でも塗膜の加工性が維持されると推察される。また、高顔料濃度であることから、塗膜硬度を硬くしたり、塗膜の着色力を高めることも可能となる。
【0013】
また、従来から透過型液晶表示装置のバックパネル反射板として、鋼板等の金属板にPETフィルムを接着剤等で貼り付けたものが使用されているが、このような反射板の製造では、フィルムの貼付工程が必要であるため、生産性に劣ってしまう。また、反射板の白色度が低いため、光の反射率が低くなることもある。
【0014】
これに対し、金属板上に、本発明のPCM塗料組成物を使用して塗膜を形成した塗装金属板を反射板として使用した場合、上記の貼付工程は不要となるため、生産性良く製造することができる。また、PCM塗料組成物中の顔料成分として白色顔料を使用した場合、上記のように塗膜硬度を維持しながら顔料濃度を高めることが可能である。このため、形成される塗膜の白色度を高めることが可能となるため、反射板上の光の反射率を向上させることができる。よって、本発明のPCM塗料組成物により形成した塗膜を備える塗装金属板は、透過型液晶表示装置のバックパネル反射板として極めて良好に使用することができる。
【0015】
本発明のPCM塗料組成物は、共重合ラテックス樹脂として、スチレン・ブタジエン系、アクリロニトリル・ブタジエン系、塩化ビニリデン系、酢酸ビニル系、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系の共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含むものである。このような成分を使用することにより、顔料濃度を高めた場合であっても、塗膜硬度を硬くしつつ塗膜加工性を向上させることができ、また、塗膜の着色力を高めつつ塗膜加工性を向上させることが可能となる。
【0016】
上記スチレン・ブタジエン系共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、シリコーン系共重合体、ウレタン系共重合体、アクリル系共重合体のラテックス樹脂としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。なかでも、上記効果が良好に得られる点から、スチレン・ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体を使用することが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
上記共重合ラテックス樹脂は、平均粒子径が40〜300nmの樹脂粒子であることが好ましい。これにより、上記効果を良好に得ることができる。40nm未満であると、塗料の保存安定性が悪化する恐れがある。300nmを超えると、塗膜形成時の顔料間における樹脂粒子の融合不良が生じる恐れがある。50〜200nmであることがより好ましい。上記平均粒子径を有する樹脂粒子は、共重合ラテックス樹脂の製造条件を適宜選択することにより調整することができる。
【0018】
なお、上記平均粒子径は、レーザー散乱法や回折法等を用いた通常の測定機器により求めた重量平均粒子径を指すものであり、例えば、島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置「SALD−2000」を使用して得ることができる。
【0019】
上記共重合ラテックス樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が−50〜50℃であることが好ましい。これにより、上記効果を良好に得ることができる。−50℃未満であると、得られた塗膜の硬度が不足するおそれがある。50℃を超えると、得られた塗膜の加工性が不足するおそれがある。−15〜20℃であることがより好ましい。上記Tgは、共重合ラテックス樹脂の合成に用いるモノマー組成物の組成を適宜選択することにより調整することができる。
【0020】
上記共重合ラテックス樹脂のガラス転移温度(Tg)の算出方法は以下のとおりである。
使用モノマーのTg値は、例えば、北岡協三著、新高分子文庫7 塗料用合成樹脂入門(高分子刊行会)p168等の成書に記載されている値を用い、次式によりTg値を算出した。
共重合ラテックス樹脂の1/Tg 値=1/Tg1×w1+1/Tg2×w2+・・・・・・+1/Tg n×wn
上式中、Tg1、Tg2、・・・Tgnは成書記載の各モノマーのTg値、w1、w2、・・・wnは各モノマーのモノマー総量に対する質量分率を表わす。
【0021】
上記PCM塗料組成物において、上記共重合ラテックス樹脂の含有量は、PCM塗料組成物の固形分100質量%中10〜70質量%(固形分)であることが好ましい。10質量%未満であると、造膜不良を生じる恐れがあり、70質量%を超えると、目的とする硬度と加工性及び着色力のバランスが得られない恐れがある。
固形分とは、塗料組成物中の全顔料及び全樹脂をいう。
【0022】
上記共重合ラテックス樹脂の含有量は、10〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが更に好ましい。樹脂量が少量(高顔料濃度)であっても、所望の塗膜性能(塗膜硬度、着色力)を得ることができる。よって、白色顔料を高濃度領域で使用することによって塗膜の白色度が高められるため、反射板上の光の反射率を向上させることができる。従って、透過型液晶表示装置のバックパネル反射板用PCM塗料組成物として好適に使用できる。
【0023】
本発明のPCM塗料組成物は、着色顔料を含むことが好ましい。これにより、所望の塗膜硬度、着色力を得ることができる。
上記着色顔料としては特に限定されず、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、各種焼成顔料、シアニングリーン、シアニンブルー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明のPCM塗料組成物が透過型液晶表示装置のバックパネル反射板用として使用される場合、着色顔料として白色顔料である酸化チタンを使用することが好ましい。この場合、塗膜の白色度を効果的に高めることが可能となるため、透過型液晶表示装置のバックパネル反射板上の光の反射率を効果的に向上させることができる。
【0025】
上記PCM塗料組成物は、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム等の体質顔料、アルミニウム粉等の金属粉、シリカ、アルミナを含むものであってもよい。また、つや消剤、消泡剤、レベリング剤、たれ止め剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、分散剤、粘性調整剤、ワックス等の慣用の添加剤を含んでもよい。更に、上記PCM塗料組成物は、水以外の他の溶剤を本発明の効果を阻害しない範囲内で含んでもよい。
【0026】
上記PCM塗料組成物は、全顔料重量濃度(PWC)が30〜90%であることが好ましい(着色顔料の含有量が塗料組成物の固形分100質量%中30〜90質量%であることが好ましい)。30質量%未満であると、目的とする硬度は加工性及び着色力のバランスが得られない。90質量%を超えると、造膜不良を生じる恐れがある。
PWCとは、全顔料の重量(P)と全樹脂の固形分重量(R)から式PWC=P/(P+R)×100より算出した値である。
【0027】
上記共重合ラテックス樹脂の含有量は、60〜90質量%であることがより好ましく、70〜90質量%であることが更に好ましい。高顔料濃度(樹脂量が少量)であっても、所望の塗膜性能(塗膜硬度、着色力)を得ることができる。
【0028】
上記PCM塗料組成物は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、共重合ラテックス樹脂、着色顔料、他の成分(各種添加剤、溶剤等)を加え、ローラーミル、ペイントシェーカー、ポットミル、ディスパー、ビーズミル等の機械を用いて塗料化される。
【0029】
上記PCM塗料組成物は、道路標示用等の塗料組成物等、種々の用途に好適に使用することができるが、なかでも、上述した優れた性能を有しているため、透過型液晶表示装置のバックパネル反射板用として特に好適に使用することができる。
【0030】
本発明の塗装金属板は、上述したプレコートメタル塗料組成物によって形成された塗膜を備えたものである。上記PCM塗料組成物によって形成された塗膜が塗膜硬度、着色力、塗膜加工性に優れているため、本発明の塗装金属板は優れた加工性(折り曲げ性)を有している。
【0031】
上記塗装金属板において、素材として使用される金属板としては、例えば、亜鉛めっき鋼板、合金化亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、アルミニウム合金めっき鋼板、アルミニウム板、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、冷延鋼板等を挙げることができる。
【0032】
上記塗装金属板は、素材(金属板)に直接塗装することもできるが、リン酸亜鉛処理、塗布型クロメート等の表面処理後、特に耐食性を必要とする用途に対してはエポキシ樹脂プライマー、ポリウレタン変性エポキシ樹脂プライマー、ポリエステル樹脂プライマー等のプライマーをあらかじめ塗布し、上記PCM塗料組成物を塗装することが好ましい。
【0033】
塗装は、ロールコーター、エアレススプレー、静電スプレー、カーテンフローコーターその他一般の塗装方法が可能である。焼付温度は到達板温で150〜230℃が一般的であり、時間は30〜120秒が一般的である。
上記塗装金属板に形成される塗膜は、乾燥膜厚として5〜80μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。
【0034】
上記塗装金属板は、種々の用途に適用することができるが、特に透過型液晶表示装置のバックパネル反射板として好適に使用される。このような反射板では、高い白色度(反射率)を付与することが可能である。また、簡便な製造工程で製造することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明のPCM塗料組成物は、スチレン・ブタジエン系共重合体等の共重合ラテックス樹脂を使用しているため、顔料濃度を高めても(塗膜硬度や着色力を高めても)、優れた塗膜加工性を有する塗膜を形成することが可能である。また、着色顔料として白色顔料を用いた場合、白色度(反射率)が高められるため、透過型液晶表示装置のバックパネル反射板用PCM塗料組成物として好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
【0037】
塗料調製例1
スチレン・ブタジエン系ラテックス(Nipol LX438C、日本ゼオン社製、平均粒子径150nm、Tg1℃、加熱残分45%)33.3質量部、顔料(酸化チタン:TIPAQUE CR97 石原産業社製)85質量部、溶剤(純水)50質量部を配合してPCM塗料1を調製した。
【0038】
塗料調製例2
アクリロニトリル−ブタジエン系ラテックス(Nipol 1571H 日本ゼオン社製、平均粒子径120nm、Tg−8℃、加熱残分40%)37.5質量部、顔料(酸化チタン:TIPAQUE CR97 石原産業社製)85質量部、溶剤(純水)50質量部を配合してPCM塗料2を調製した。
【0039】
塗料調製例3
ポリエステル樹脂(パイロンGK19CS、東洋紡社製、加熱残分50%)30質量部、顔料(酸化チタン:TIPAQUE CR97 石原産業社製)85質量部、溶剤(シクロヘキサノン/ソルベッソ150=1/1)50質量部を配合してPCM塗料3を調製した。
【0040】
塗料調製例4
ポリエステル樹脂(パイロンGK19CS、東洋紡社製、加熱残分50%)80質量部、顔料(酸化チタン:TIPAQUE CR97 石原産業社製)60質量部、溶剤(シクロヘキサノン/ソルベッソ150=1/1)40質量部を配合してPCM塗料4を調製した。
【0041】
塗料調製例5
ポリエステル樹脂(パイロンGK19CS、東洋紡社製、加熱残分50%)120質量部、顔料(酸化チタン:TIPAQUE CR97 石原産業社製)40質量部、溶剤(シクロヘキサノン/ソルベッソ150=1/1)40質量部を配合してPCM塗料5を調製した。
【0042】
実施例1 塗装金属板の作成
0.5mm厚の化成処理を施した溶融亜鉛めっき鋼板を金属板(基材)として使用し、以下のようにして塗装金属板を作成した。
塗料調製例1で調製したPCM塗料1を乾燥膜厚15μmになるように塗装し、PMT(最高到達板温)220℃で60秒間焼き付けることによって塗装金属板を作成した。
【0043】
実施例2 塗装金属板の作成
0.5mm厚の化成処理を施した溶融亜鉛めっき鋼板を金属板(基材)として使用し、以下のようにして塗装金属板を作成した。
塗料調製例2で調製したPCM塗料2を乾燥膜厚15μmになるように塗装し、PMT(最高到達板温)220℃で60秒間焼き付けることによって塗装金属板を作成した。
【0044】
比較例1 塗装金属板の作成
0.5mm厚の化成処理を施した溶融亜鉛めっき鋼板を金属板(基材)として使用し、以下のようにして塗装金属板を作成した。
塗料調製例3で調製したPCM塗料3を乾燥膜厚15μmになるように塗装し、PMT(最高到達板温)220℃で60秒間焼き付けることによって塗装金属板を作成した。
【0045】
比較例2 塗装金属板の作成
0.5mm厚の化成処理を施した溶融亜鉛めっき鋼板を金属板(基材)として使用し、以下のようにして塗装金属板を作成した。
塗料調製例4で調製したPCM塗料4を乾燥膜厚15μmになるように塗装し、PMT(最高到達板温)220℃で60秒間焼き付けることによって塗装金属板を作成した。
【0046】
比較例3 塗装金属板の作成
0.5mm厚の化成処理を施した溶融亜鉛めっき鋼板を金属板(基材)として使用し、以下のようにして塗装金属板を作成した。
塗料調製例5で調製したPCM塗料5を乾燥膜厚15μmになるように塗装し、PMT(最高到達板温)220℃で60秒間焼き付けることによって塗装金属板を作成した。
【0047】
実施例3
溶融亜鉛めっき鋼板の代わりに溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板を使用した以外は、実施例1と同様にして塗装金属板を作成した。
【0048】
〔評価方法〕
実施例、比較例で得られた塗装金属板について、以下の方法により評価した。結果を表1に示した。
<白色度(反射率Y値)>
反射率(Y値)はコニカミノルタ社製、CR400(D/0拡散照明垂直受光方式)(JIS Z8722に準拠/正反射光含む)で塗面を測定した方法により得られる値である。
<鉛筆硬度>
鋼板の塗面をJIS−S−6006に規定された高級鉛筆を用い、JIS−K−5400に従って測定した。
<加工性(折曲性)>
塗装鋼板を180度折曲げ、折曲部の割例を判定した。
2Tとは折曲部に同じ板厚のものを2枚はさんだ場合をさす。
【0049】
【表1】

【0050】
表1から、実施例1及び2のスチレン・ブタジエン系ラテックスやアクリロニトリル−ブタジエン系ラテックスを使用した塗装金属板(基材:溶融亜鉛めっき鋼板)は、高顔料濃度であるにもかかわらず、白色度(反射率)が高く、鉛筆硬度、加工性(折曲性)のすべてに優れていた。また、基材として溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板を使用した実施例3でも同様に優れた塗装金属板が得られた。一方、ポリエステル樹脂を使用した比較例1〜3では、白色度が低かったり、鉛筆硬度や加工性に劣っており、白色度、鉛筆硬度及び加工性のすべての性能に優れた塗装金属板は得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のPCM塗料組成物は、道路標示用等の塗料組成物、透過型液晶表示装置のバックパネル反射板用塗料組成物等として好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合ラテックス樹脂を含むプレコートメタル塗料組成物であって、
前記共重合ラテックス樹脂は、スチレン・ブタジエン系、アクリロニトリル・ブタジエン系、塩化ビニリデン系、酢酸ビニル系、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系の共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である
ことを特徴とするプレコートメタル塗料組成物。
【請求項2】
共重合ラテックス樹脂は、平均粒子径が40〜300nm、ガラス転移温度(Tg)が−50〜50℃であり、かつ、前記共重合ラテックス樹脂の含有量は、プレコートメタル塗料組成物の固形分100質量%中10〜70質量%(固形分)である請求項1記載のプレコートメタル塗料組成物。
【請求項3】
更に、着色顔料を塗料組成物の固形分100質量%中30〜90質量%含む請求項1又は2記載のプレコートメタル塗料組成物。
【請求項4】
透過型液晶表示装置のバックパネル反射板用として使用される請求項1、2又は3記載のプレコートメタル塗料組成物。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載のプレコートメタル塗料組成物によって形成された塗膜を備えることを特徴とする塗装金属板。
【請求項6】
塗装金属板における金属板は、亜鉛めっき鋼板、合金化亜鉛めっき金属板、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、アルミニウム板、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板又は冷延鋼板である請求項5記載の塗装金属板。
【請求項7】
透過型液晶表示装置のバックパネル反射板として使用される請求項5又は6記載の塗装金属板。

【公開番号】特開2009−144101(P2009−144101A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325041(P2007−325041)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(503234872)日本ファインコーティングス株式会社 (13)
【Fターム(参考)】