プレスフリット
【課題】取扱いが容易で封止面積が広い用途にも使用可能なプレスフリットを提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも2つのパーツで構成され、前記パーツがガラス粉末とビヒクルとを混合して得られた顆粒をプレス成形して得たプレス体を焼結した焼結体、前記プレス体を所望形状に研削や修繕したものを焼結した加工焼結体および前記プレス体を焼結した焼結体を所望形状に研削した加工体から選ばれる少なくとも1種であり、このパーツを組立てて所望とする封止面形状を形成することを特徴とするプレスフリット。
【解決手段】少なくとも2つのパーツで構成され、前記パーツがガラス粉末とビヒクルとを混合して得られた顆粒をプレス成形して得たプレス体を焼結した焼結体、前記プレス体を所望形状に研削や修繕したものを焼結した加工焼結体および前記プレス体を焼結した焼結体を所望形状に研削した加工体から選ばれる少なくとも1種であり、このパーツを組立てて所望とする封止面形状を形成することを特徴とするプレスフリット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立てて所望とする形状を形成することができるプレスフリットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プレスフリットは、低融点ガラス粉末や低融点ガラス粉末に耐火性フィラー粉末を混合したもの(以下、低融点ガラス粉末等とする)をプレス成形により、被封着物の封着面と当接しうるように成形した封着材料であり、金属、ガラス、セラミックス等の絶縁、気密、水密、耐熱等の信頼性を要求される接着部に使用されている。その特徴としては、シール部分へプレスフリットをセットし加熱するだけで封着ができるため、粉末のままの封着材料と比較して取り扱いやすく、使用量を一定にでき、自動化しやすい等である。その用途としては、シーズヒータの口元封着用、エンジン用グロープラグ金属部品の絶縁用や固定用、ディスプレイの排気管固定用、魔法瓶の真空封着用、気密端子封着用等であった。
【0003】
そして、このプレスフリットには、種々の形状のものがあり、気密端子封着用では、リード線との濡れ高さを大きくするために、プレスフリットを複数個鉛直方向積み重ねて使用することが開示され、このプレスフリットは円筒状で一端にフランジが形成されたものである(特許文献1)。また、排気管固定用では、パネル面と接合する部分を広くするために大径部と小径部とを別々の円筒状部材で形成し、これを鉛直方向に積み重ねて使用することが開示されている(特許文献2)。
【0004】
しかし、ブラウン管のパネルとファンネルとの封着や、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの前面パネルおよび背面パネルと外枠との封着には、低融点ガラス等をペースト状として、このペーストを接合面に塗布して加熱することにより封着していた。
【0005】
【特許文献1】特開平10−214646号公報
【特許文献2】特開2002−293580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、従来の前面パネルおよび背面パネルと外枠との封着のように、封着面積の広いものについては、ペースト状のフリットを使用していたが、ペースト状のものを用いると、封着の前にペースト中に含まれる有機成分を分解除去する必要があった。しかし、パネルと外枠との封着は、通常製造工程の最終段階ごろに行われ、内部に回路や装置が組み込まれた状態で加熱されるので、有機成分の分解除去により発生するガスが内部に残存したときの不具合や、ペースト中の有機成分が完全に除去しきれず、フリット中に残存したときの不具合が発生する虞があった。
【0007】
また、封着面積の広いものについては、プレスフリットで封着面形状と類似したものを充填密度等を均一にして成形することが難しく、仮に、顆粒をプレス成形してプレス体を形成できた場合でも、その搬送等で破損しやすく取扱いが容易なものでもなかった。さらに、封着面に高低差が設けられたものや、幅の異なるものが連続的に形成されているものなどにおいては、その形状に合わせ、かつ充填密度等を均一にしてプレス成形することは非常に困難なものであった。
【0008】
そこで、本発明は取扱いが容易で様々な形状の封着面に使用可能なプレスフリットを提供することを目的とする。また、封着面積が広い用途に使用できるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、請求項1に対応する発明は、二つの被封着物の間に介在させ、焼成により前記被封着物を封着するプレスフリットにおいて、少なくとも2つのパーツで構成し、前記パーツを接合したときの接合面に隣接する面を前記被封着物の封着面に当接しうる当接面とした。このように当接面を形成することにより、被封着物の封着面との間に隙間を防ぐことができるので、封着時の封着面への気泡の形成を防げ、良好な封着を行うことができる。また、パーツの組立て方によって当接面の形状や大きさを自由に形成することができる。また、パーツは自由に形状を決めることができるので、保管やハンドリング等の取扱いが簡単な形状とすることも容易である。ここで、プレスフリットの当接面とは、被封着物の封着面とぴったりと全面が接するものはもちろんのこと、当接面と封着面との間に部分的に隙間が形成された状態をも含むものである。しかし、当接面と封着面との距離である隙間の最大値が、1mmを超えてしまうと封着面に気泡が形成され、封着強度の低下をまねく虞があるので、この隙間は1mm以下とすることが好ましい。なお、被封着物の封着面は平面と平面との封着とは限らず、曲面と曲面との封着、平面と曲面との封着、平面と曲面とを組合わせたものの封着および面と線との封着というように様々なパターンが考えられる。また、封着面にあらかじめ段差がある場合などにおいては、パーツの境を段差形状に合わせるようにすることにより、簡単に封着面と当接しうる当接面を形成することができるだけでなく、充填密度等を均一にしたプレスフリットを形成することが可能となる。
【0010】
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応するプレスフリットにおいて、前記当接面の厚み方向の反対面も当接面とした。これにより、対峙する二つの被封着物を封着するときにもプレスフリットが原因となる隙間を防ぐことができ、封着時の封着面への気泡の形成を防げ、良好な封着を行うことができる。
【0011】
請求項3に対応する発明は、請求項1または2に対応するプレスフリットにおいて、前記パーツが同一形状のみで形成した。パーツを同一形状としたことにより、生産が容易で、かつ所望とする封着面の形成も容易に行うことができる。
【0012】
請求項4に対応する発明は、請求項1または2に対応するプレスフリットにおいて、前記パーツを少なくとも2種の形状から形成した。パーツを2種以上から形成することにより、パーツ同士を嵌合構造とすることができ、かつ所望とする形状を多種形成することができる。
【0013】
請求項5に対応する発明は、請求項1ないし4のいずれかに対応するプレスフリットにおいて、前記パーツをガラス粉末とビヒクルとを混合して得られた顆粒をプレス成形して得たプレス体、このプレス体を焼結した焼結体、前記プレス体を所望形状に研削や加工したものを焼結した加工焼結体および前記プレス体を焼結した焼結体を所望形状に研削や研磨した加工体から選ばれる少なくとも1種とした。このようにパーツを形成することで、単純な形状から複雑な形状まで対応することができる。また、複雑な形状のパーツを使用するときには、加工体は正確な寸法のパーツを形成できる点で好ましい。なお、プレス体は有機成分を含んでいるものであるので、プレス体を含んでプレスフリットを形成する場合は、被封着物の封着面に乗せる前にパーツを組立ててパーツ同士を接合して使用するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のプレスフリットは、少なくとも2つのパーツで形成されているので、被封着物の封着面がどのような形状となっても、所望とする形状を容易に形成することができ、かつパーツ単位で管理することができ、取扱いも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のプレスフリットは、ガラス粉末とビヒクルとを混合して顆粒としたものをプレス成形して得られたプレス体をパーツとして組立てて使用するもの、前記プレス体を焼結して形成した焼結体をパーツとして組立てて使用するもの、前記プレス体を所望形状に研削や加工したものを焼結して形成した加工焼結体をパーツとして組立てて使用するもの、前記焼結体を所望とする形状に研削や研磨を行って得られた加工体をパーツとして組立てて使用するもの、およびプレス体、焼結体、加工体とを組立てて使用するものである。プレスフリットの熱膨張係数の調整や強度向上のために耐火性フィラーをガラス粉末、ビヒクルと混合して顆粒を形成してもよい。前記加工体に関しては、プレス成形により形成が難しい形状を得ようとするときや、組立て時の嵌合精度のよいもの得ようとするときに、特に好ましいものである。
【0016】
なお、プレス体、焼結体、加工焼結体、加工体を被封着物上の封着面とは異なる場所(封着面以外)で組立てるとき、パーツ同士の接合部に隙間が生じている場合であっても、その隙間が最大値で2mm以下であれば、上記で形成した顆粒と同一または類似する熱膨張係数で、かつ同一または類似する軟化温度を有するペーストを介在させることで、プレスフリットの接合面に空隙のないものを得ることができる。また、プレス体、焼結体、加工焼結体、加工体を被封着物上の封着面で組立てるときに、その接合部に隙間が生じている場合では、その隙間の最大値が1mm以下の場合には、隙間の空いている状態のまま被封着物の封着を行っても、パーツ同士に気泡が残存することなく良好な封着を行うことができる。さらに、パーツを封着面以外であらかじめ接合する場合に、パーツ同士の接合を効率よく行うために、接合面にほとんど隙間が空いていないときでも、ペーストを介在させてもよい。
【0017】
本発明に使用できるガラス粉末は、SnO−P2O5系、SiO2−B2O3系、Bi2O3−B2O3系、SiO2−ZnO系、B2O3−ZnO系等の無鉛ガラスや鉛含有ガラスを使用することができる。
【0018】
上記焼結体の形成は、まず、目開き105μmの篩を通過したガラス粉末とビヒクルと(必要に応じて耐火性フィラー)を混合し、平均粒径44〜256μmの顆粒とした。次に、この顆粒を金型に所望量入れ、5×104〜50×104kPaの圧力でプレス成形しプレス体を成形した。そして、このプレス体を焼結炉に入れビヒクルの分解温度まで加熱し、この温度で30〜120分間加熱しビヒクルを除去したのち、さらにガラス粉末の所定温度まで加熱し、この温度で30〜120分加熱し焼結を行い焼結体を形成した。上記ガラス粉末の所定温度とは、「DTAの第三変曲点−20℃」から「DTAの第四変曲点」までの温度を意味する。
【0019】
なお、加工焼結体の形成は、この焼結体の形成でプレス体を所望形状に研削や加工する点のみが異なる。加工体の形成は、この焼結体の形成で焼結体を所望形状に研削や研磨する点のみが異なる。
【実施例】
【0020】
本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。以下の記載で、「上面」および「下面」は本発明での当接面を意味するものである。
(実施の形態1)
この実施の形態は、同一形状のパーツを組立ててプレスフリットとする例である。
【0021】
(実施例1)
この実施例は、図1に示すような形状の焼結体を第1のパーツ101として用いて、四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0022】
第1のパーツ101は、長手方向の両端に斜面102が形成され、この斜面102のなす角103は45度となるようにした。これにより、この第1のパーツ101を4つ組立てることにより、図2に示すような、外縁104および内縁105を正方形としたプレスフリットを形成することができる。ここで、この正方形とするプレスフリットは、被封着物の封着面上で、この第1のパーツ101を並べパーツ同士が接合されていない状態のものや、被封着物の封着面以外であらかじめ第1のパーツ101を接合した状態のものが該当する。
【0023】
また、第1のパーツ101の斜面102以外の対向する面は、平行に形成されているので、組立てられたプレスフリットの上面および下面を面一とすることができる。面一とすることにより、プレスフリットと封着面との間に隙間が形成されにくくなるので、気泡のない封着面を形成することができる。
【0024】
この実施例1では焼結体を用いた。仮に焼結による収縮で変形が生じ、接合面106に1mmを超え2mm以下の隙間が生じた場合には、接合面にペーストを介してあらかじめパーツ同士を接合し組立てることにより、プレスフリットを平面ディスプレイパネル等の封着に使用しても、気泡のない封着面を形成することができる。
【0025】
また、第1のパーツの接合個数を変更させることにより、外縁104および内縁105を長方形としたプレスフリットも形成可能である。さらに、なす角103の角度を(例えば、30、54、60度に)変更することにより、多角形のプレスフリットを形成することが可能である。
【0026】
(実施例2)
この実施例は、図3に示すような形状のプレス体を第1のパーツ201として用いて、四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0027】
第1のパーツ201は、正面から見た形状が凸状に形成されたものであり、凸部202と切欠き203とは同じ大きさに形成されている。そして、この第1のパーツ201を図4のように重ねて、焼結炉に入れ加熱し有機成分の分解除去を行い、さらなる加熱によってパーツ同士を接合して、外縁204および内縁205を正方形としたプレスフリットを形成することができる。なお、このとき、第1のパーツ201が4個入り正方形を形成できる焼結用の枠型を使用してもよい。
【0028】
また、第1のパーツ201の対抗する面は、全て平行となるように形成されているので、焼結され形成されたプレスフリットの上面および下面を面一とすることができる。面一とすることにより、プレスフリットとの被封着面との間に、隙間が形成されにくくなるので、気泡のない封着面を形成することができる。
【0029】
この実施例でも、接合面206に隙間が生じた場合には、ペーストを介して組立てれば気泡のない封着面を形成することができる。また、第1のパーツの接合個数を変更させることにより、外縁204および内縁205を長方形としたプレスフリットも形成可能である。
【0030】
(実施例3)
この実施例は、実施例2の第1のパーツ201の一方の凸部202と切欠き203の形成位置のみを逆にした図5に示す第1のパーツ301を使用する例である。この第1のパーツ301を図6のように組立てると、外縁302および内縁303を正方形としたプレスフリットを形成することができる。
【0031】
(実施例4)
この実施例も、実施例2の変形例であり、図3に示す第1のパーツ201と類似する図7に示す第1のパーツ401を使用するものである。図8および図9に示すように、第1のパーツ401の組立て方をのみを変更したものである。図8のように組立てると、外縁402および内縁403は正方形となり、図9のように組立てると、外縁404および内縁405を長方形としたプレスフリットを形成することができる。
【0032】
(実施の形態2)
この実施の形態は、プレス体を焼結して得られた異なる2種以上の焼結体をパーツとして、組立ててプレスフリットとする例である。
【0033】
(実施例5)
この実施例は、図10に示すような形状の焼結体を第1のパーツ501として、図11に示すような形状の焼結体を第2のパーツ502として交互に組合わせ、図12に示すような四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0034】
第1のパーツ501は、長手方向の両端に斜面503が形成され、この斜面503のなす角504は45度となるようにした。また、第2のパーツ502は、平面から見てL字状で、かつ突出している部分に斜面503に対応する斜面505をそれぞれ形成し、この斜面505のなす角506を45度となるようにした。なお、なす角504および506を45度したが、この角度に限定することなく、任意の角度とすることができる。すなわち、504と506とを同じ角度にしていればよい。
【0035】
そして、この第1のパーツ501と第2のパーツ502とを交互に組立てることにより、図12に示すような外縁507および内縁508を正方形としたプレスフリット509を形成することができる。なお、プレスフリット509の上面および下面を面一とするので、プレスフリット509と被封着面との間に隙間が形成されにくくなるので、気泡のない封着面を形成することができる。
【0036】
(実施例6)
この実施例は、実施例5の変形例であり、図13に示すような形状の焼結体を第1のパーツ601と、図14に示すような形状の焼結体を第2のパーツ602とを交互に接合し、図15に示すような四角い枠状プレスフリットを形成する例である。
【0037】
第1のパーツ601は、実施例5と同じように長手方向の両端に斜面603が形成されているが、この対向する斜面603が平行となるように形成されているものである。また、この斜面603のなす角604も45度となるようにした。また、第2のパーツ602は、実施例5と同じように平面から見てL字状で、かつ突出している部分に斜面603に対応する斜面605をそれぞれ形成したものであるが、第2のパーツ602の上面と下面とを反転させても、同じ形状となるように斜面605を形成した。この斜面605のなす角606を45度となるようにした。
【0038】
そして、この第1のパーツ601と第2のパーツ602とを交互に組立てることにより、図15に示すような外縁607および内縁608を正方形としたプレスフリット609を形成することができる。
【0039】
また、この実施例6の第1のパーツ601と実施例5の第2のパーツ502とを交互に組合わせると、図16に示すような組立て形状となる。
【0040】
(実施例7)
この実施例は、実施例5の第1のパーツ501(図10)と、実施例6の第2のパーツ602(図14)と、この第2のパーツ602の鏡像体である図17に示す第3のパーツ701とを組合わせ、図18に示すような四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0041】
第3のパーツ701は、実施例6の第2のパーツ602と同様に、上面と下面とを反転させても同じ形状となるように、斜面702を形成している。ただし、第2のパーツ602と第3のパーツ701とは、鏡像体であるので形状は相違している。なお、斜面702のなす角703を45度となるようにした。
【0042】
そして、これらパーツを組立てることにより、図18に示すような外縁704および内縁705を正方形としたプレスフリットを形成することができる。
【0043】
上記の実施の形態2の実施例でも封着面に対応する上面および下面を面一とするもので説明したが、封着面にあらかじめ段差があるものの場合は、第1のパーツと第2のパーツとの接合面を境にして、その段差に対応させることもできる。
【0044】
(実施の形態3)
この実施の形態は、プレス体を所望形状に加工したものを焼結して得られた同一形状の焼結体をパーツとして、組立ててプレスフリットとする例である。または、プレス体を焼結して得られた焼結体を所望形状に研削等した加工体を組立ててプレスフリットとする例である。
【0045】
(実施例8)
この実施例は、図19に示すような形状の加工体を第1のパーツ801として用いて、四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0046】
第1のパーツ801は、長手方向の一端面に凸部802を形成し、他端側の側面に凸部802が嵌まり込む凹部803を形成したものである。この第1のパーツ801は、長手方向の一端面に凸部802を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から凹部803を研削して得られた加工体である。
【0047】
そして、4個の第1のパーツ801を図20に示すように組立てることにより、外縁804および内縁805を正方形としたプレスフリットを形成することができる。この実施例の凸部802と凹部803のような、嵌合構造を形成する場合には、この嵌合をスムーズに行うために、隙間が空くように形成している。したがって、このような嵌合構造には、ペーストを介在させて組立てる方が、隙間による気泡等の欠点のない封着面を形成することができるので好ましい。
【0048】
なお、上記した第1のパーツ801は加工体を用いたが、プレス体を所望形状に加工したものを焼結して得られた焼結体を用いてもよい。
【0049】
(実施例9)
この実施例は、図21に示すような形状の加工体を第1のパーツ901として用いて、四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0050】
第1のパーツ901は、長手方向の一端面に鉤片902を形成し、他端側近傍に鉤片902が嵌まり込む凹部903を形成したものである。この第1のパーツ901は、長手方向の一端面に凸部を備えたプレス体を形成し、これを所望とする形状に加工してから焼結して得られた焼結体である。
【0051】
そして、4個の第1のパーツ901を図22に示すように組立てることにより、外縁904および内縁905を正方形としたプレスフリットを形成することができる。この実施例も上記実施例8と同じように、組立てるときにペーストを介在させた方が、隙間による気泡等の欠点のない封着面を形成することができるので好ましい。
【0052】
なお、上記した第1のパーツ901は焼結体を用いたが、プレス体を焼結して得られた焼結体を所望形状に研削等した加工体を用いてもよい。
【0053】
(実施の形態4)
この実施の形態は、プレス体を所望形状に加工したものを焼結して得た異なる2種以上の焼結体をパーツとして、組立ててプレスフリットとする例である。または、プレス体を焼結して得られた焼結体を所望形状に研削等して得た異なる2種以上の加工体を組立ててプレスフリットとする例である。
【0054】
(実施例10)
この実施例は、図23に示すような形状の焼結体を第1のパーツ1001として、図24に示すような形状の焼結体を第2のパーツ1002として交互に組合わせ、図25のような四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0055】
第1のパーツ1001は、長手方向の一端面に凸部1003を形成し、他端に凹部1004を形成したものである。この第1のパーツ1001は、図23に示す最終形状と同じ形状をプレス成形により成形することが可能なので、プレス体を焼結して得られた焼結体を用いることができる。もちろん、プレス体を所望形状に加工して得られたものを焼結した焼結体や、焼結体を所望形状に加工した加工体を用いてもよい。
【0056】
第2のパーツ1002は、一面に凸部1005を形成し、この凸部1005を形成した面の側面に凹部1006を形成したものである。この第2のパーツ1002は、一面に凸部1005を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から凹部1006を研削して得られた加工体である。
【0057】
そして、第1のパーツ1001の凸部1003と第2のパーツ1002の凹部1006とが嵌め込まれ、第2のパーツ1002の凸部1005と第1のパーツ1001の凹部1004とが嵌め込まれると、図25に示したような、外縁1007および内縁1008を正方形としたプレスフリットを形成することができる。すなわち、このような組立をする場合には、第1のパーツ1001と第2のパーツ1002との凸部の大きさは異なったものでも、それぞれが結合する凹部と嵌合する大きさとすればよい。
【0058】
なお、第1のパーツ1001を2つ以上並べて四角い枠を形成する場合には、第1のパーツ1001と第2のパーツ1002との凸部の大きさは同じ大きさとした方が、嵌合部の隙間を必要以上に広くすることがないので好ましい。
【0059】
(実施例11)
この実施例は、図26に示すような形状の加工体を第1のパーツ1101として、図27に示すような形状の加工体を第2のパーツ1102として交互に組合わせ、図28のような四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0060】
第1のパーツ1101は、長手方向の両端に凸部を備えたプレス体を形成し、これを焼結体とした後、所望とする鉤片1103を形成した加工体である。
【0061】
第2のパーツ1102は、平面から見てL字状のプレス体を形成し、これを焼結体とした後、第1のパーツ1103と噛み合う鉤片1104を突出している部分に研削等により形成した加工体である。
【0062】
そして、この第1のパーツ1101と第2のパーツ1102とを交互に組立てることにより、図28に示すような外縁1105および内縁1106を正方形としたプレスフリットを形成することができる。
【0063】
(実施の形態5)
この実施の形態は、プレス体を所望形状に加工したものを焼結して得た異なる2種以上の焼結体をパーツとして、組立てて複数の四角い枠を形成するプレスフリットの例である。または、プレス体を焼結して得られた焼結体を所望形状に研削等した加工体を組立ててプレスフリットとする例である。
【0064】
(実施例12)
この実施例は、図29に示すような形状の加工体を第1のパーツ1201として、図30に示すような形状の加工体を第2のパーツ1202として、図31に示すような形状の焼結体を第3のパーツ1203として組立てて、図32のような四角い枠を2箇所形成したプレスフリットを形成する例である。
【0065】
第1のパーツ1201は、長手方向の一端面に凸部1204を形成し、他端側の側面に凹部1205を形成したものである。この第1のパーツ1201は、長手方向の一端面に凸部1204を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から凹部1205を研削等して得られた加工体である。
【0066】
第2のパーツ1202は、長手方向の一端面に凸部1206を形成し、他端側の側面に凹部1207と1208を形成したものである。この第2のパーツ1202も第1のパーツと同様に成形された加工体である。
【0067】
第3のパーツ1203は、長手方向の両端に凸部1209を形成したものである。この第3のパーツ1203は、長手方向の両端に凸部1209を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体である。
【0068】
そして、第1のパーツの凸部1204と第2のパーツの凹部1207、第1のパーツの凹部1205と第2のパーツの凸部1206、さらに、第2のパーツの凹部1208と第3のパーツの凸部1209を組合わせて、図32に示す長方形の外縁1210と2つの正方形の内縁1211を形成したプレスフリットを形成することができる。
【0069】
なお、凸部1204、1206及び1209の大きさは、組合わせる凹部1207、1205及び1208嵌合できるものであれば、全て同じ大きさでも異なる大きさでもよい。なお、第1のパーツと第2のパーツとをひとつずつ組合わせた形状のものをひとつのパーツとして使用すれば2種類パーツでも図32のような形状を形成することができる。
【0070】
(実施例13)
この実施例は、図33に示すような形状の加工体を第1のパーツ1301として、図34に示すような形状の加工体を第2のパーツ1302として、図35に示すような形状の焼結体を第3のパーツ1303として組立てて図36のような四角い枠を4箇所形成したプレスフリットを形成する例である。
【0071】
第1のパーツ1301は、長手方向の両端面に長さの異なる長さの鉤片1304および1305を形成したものである。この第1のパーツ1301は、長手方向の両端面に異なる長さの凸部を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から所望とする鉤片1304および1305を研削等して得られた加工体である。
【0072】
第2のパーツ1302は、長手方向の一端面に鉤片1306を形成し、他端側近傍に鉤片1306が嵌まり込む凹部1307を、真ん中近傍に鉤片1305または第3のパーツ1303の鉤片1309が嵌まり込む凹部1308を形成したものである。この第2のパーツ1302は、長手方向の一端面に凸部を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から所望とする鉤片1306と凹部1307、1308を研削等して得られた加工体である。
【0073】
第3のパーツ1303は、長手方向の両端面に同じ大きさの鉤片1309を備え、真ん中近傍に鉤片1304が2つ嵌合できる凹部1310を形成したものである。この第3のパーツ1303は、長手方向の両端面に凸部を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から所望とする鉤片1309と凹部1310を研削して得られた加工体である。
【0074】
そして、4つの第2のパーツ1302の鉤片1306と凹部1307とを、第3のパーツの鉤片1309と第2のパーツ1302の凹部1308とを、第1のパーツ1301の鉤片1305と第2のパーツ1302の凹部1308とを、さらに、第1のパーツ1301の鉤片1304と第3のパーツ1303の凹部1310とを組合わせて、図36に示す正方形の外縁1311と4つの正方形の内縁1312を形成したプレスフリットを形成することができる。
【0075】
上記した実施例でプレス体を使用するものでは、有機成分が含まれているので、あらかじめ被封着物の封着面上以外でパーツを並べパーツ同士を接合したものの方が、従来のペーストを用いての封着時の課題が生じるおそれがないので好ましい。他の焼結体、加工焼結体および加工体をパーツとして使用する場合は、パーツ同士をあらかじめ接合したものでも、接合していないものでもどちらでもペーストでの封着時の課題が生じる恐れはない。
【0076】
また、上記した実施例では、本発明の当接面である上面および下面を面一とした平面としたが、少なくとも一方を面一の曲面としたり、パーツの境で当接面に段差をつけたり、上面または下面のいずれか一方を当接面としたりすることもできる。いずれか一方を当接面とする場合には、面と線との接着に使用することができる。面上で線材を接着する場合には、焼成前では線接触であるが、焼成中に軟化流動したガラス中に線材が包み込むようになって線材も面で接着されるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
上記実施例では、平面上の封着面をパーツを組合わせて形成するようにしたが、高さ方向の封着面を形成すれば3次元用のプレスフリットとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図2】図1の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図3】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図4】図3の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図5】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図6】図5の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図7】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図8】図7の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図9】図7の第1のパーツを組立てたときの他のプレスフリットの概念図である。
【図10】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図11】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図12】図10の第1のパーツと図11の第2のパーツとを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図13】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図14】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図15】図13の第1のパーツと図14の第2のパーツとを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図16】図13の第1のパーツと図11の第2のパーツとを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図17】本発明の他の実施例に使用する第3のパーツの概念図である。
【図18】図10の第1のパーツ、図14の第2のパーツおよび図16の第3のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図19】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図20】図19の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図21】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図22】図21の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図23】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図24】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図25】図23の第1のパーツと図24の第2のパーツとを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図26】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図27】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図28】図26の第1のパーツと図27の第2のパーツとを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図29】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図30】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図31】本発明の他の実施例に使用する第3のパーツの概念図である。
【図32】図29の第1のパーツ、図30の第2のパーツおよび図31の第3のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図33】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図34】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図35】本発明の他の実施例に使用する第3のパーツの概念図である。
【図36】図33の第1のパーツ、図34の第2のパーツおよび図35の第3のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【符号の説明】
【0079】
第1のパーツ…101、202、301、401、501、601、801、901、1001、1101、1201、1301
第2のパーツ…502、602、1002、1102、1202、1302
第3のパーツ…701、1203、1303
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立てて所望とする形状を形成することができるプレスフリットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プレスフリットは、低融点ガラス粉末や低融点ガラス粉末に耐火性フィラー粉末を混合したもの(以下、低融点ガラス粉末等とする)をプレス成形により、被封着物の封着面と当接しうるように成形した封着材料であり、金属、ガラス、セラミックス等の絶縁、気密、水密、耐熱等の信頼性を要求される接着部に使用されている。その特徴としては、シール部分へプレスフリットをセットし加熱するだけで封着ができるため、粉末のままの封着材料と比較して取り扱いやすく、使用量を一定にでき、自動化しやすい等である。その用途としては、シーズヒータの口元封着用、エンジン用グロープラグ金属部品の絶縁用や固定用、ディスプレイの排気管固定用、魔法瓶の真空封着用、気密端子封着用等であった。
【0003】
そして、このプレスフリットには、種々の形状のものがあり、気密端子封着用では、リード線との濡れ高さを大きくするために、プレスフリットを複数個鉛直方向積み重ねて使用することが開示され、このプレスフリットは円筒状で一端にフランジが形成されたものである(特許文献1)。また、排気管固定用では、パネル面と接合する部分を広くするために大径部と小径部とを別々の円筒状部材で形成し、これを鉛直方向に積み重ねて使用することが開示されている(特許文献2)。
【0004】
しかし、ブラウン管のパネルとファンネルとの封着や、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの前面パネルおよび背面パネルと外枠との封着には、低融点ガラス等をペースト状として、このペーストを接合面に塗布して加熱することにより封着していた。
【0005】
【特許文献1】特開平10−214646号公報
【特許文献2】特開2002−293580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、従来の前面パネルおよび背面パネルと外枠との封着のように、封着面積の広いものについては、ペースト状のフリットを使用していたが、ペースト状のものを用いると、封着の前にペースト中に含まれる有機成分を分解除去する必要があった。しかし、パネルと外枠との封着は、通常製造工程の最終段階ごろに行われ、内部に回路や装置が組み込まれた状態で加熱されるので、有機成分の分解除去により発生するガスが内部に残存したときの不具合や、ペースト中の有機成分が完全に除去しきれず、フリット中に残存したときの不具合が発生する虞があった。
【0007】
また、封着面積の広いものについては、プレスフリットで封着面形状と類似したものを充填密度等を均一にして成形することが難しく、仮に、顆粒をプレス成形してプレス体を形成できた場合でも、その搬送等で破損しやすく取扱いが容易なものでもなかった。さらに、封着面に高低差が設けられたものや、幅の異なるものが連続的に形成されているものなどにおいては、その形状に合わせ、かつ充填密度等を均一にしてプレス成形することは非常に困難なものであった。
【0008】
そこで、本発明は取扱いが容易で様々な形状の封着面に使用可能なプレスフリットを提供することを目的とする。また、封着面積が広い用途に使用できるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、請求項1に対応する発明は、二つの被封着物の間に介在させ、焼成により前記被封着物を封着するプレスフリットにおいて、少なくとも2つのパーツで構成し、前記パーツを接合したときの接合面に隣接する面を前記被封着物の封着面に当接しうる当接面とした。このように当接面を形成することにより、被封着物の封着面との間に隙間を防ぐことができるので、封着時の封着面への気泡の形成を防げ、良好な封着を行うことができる。また、パーツの組立て方によって当接面の形状や大きさを自由に形成することができる。また、パーツは自由に形状を決めることができるので、保管やハンドリング等の取扱いが簡単な形状とすることも容易である。ここで、プレスフリットの当接面とは、被封着物の封着面とぴったりと全面が接するものはもちろんのこと、当接面と封着面との間に部分的に隙間が形成された状態をも含むものである。しかし、当接面と封着面との距離である隙間の最大値が、1mmを超えてしまうと封着面に気泡が形成され、封着強度の低下をまねく虞があるので、この隙間は1mm以下とすることが好ましい。なお、被封着物の封着面は平面と平面との封着とは限らず、曲面と曲面との封着、平面と曲面との封着、平面と曲面とを組合わせたものの封着および面と線との封着というように様々なパターンが考えられる。また、封着面にあらかじめ段差がある場合などにおいては、パーツの境を段差形状に合わせるようにすることにより、簡単に封着面と当接しうる当接面を形成することができるだけでなく、充填密度等を均一にしたプレスフリットを形成することが可能となる。
【0010】
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応するプレスフリットにおいて、前記当接面の厚み方向の反対面も当接面とした。これにより、対峙する二つの被封着物を封着するときにもプレスフリットが原因となる隙間を防ぐことができ、封着時の封着面への気泡の形成を防げ、良好な封着を行うことができる。
【0011】
請求項3に対応する発明は、請求項1または2に対応するプレスフリットにおいて、前記パーツが同一形状のみで形成した。パーツを同一形状としたことにより、生産が容易で、かつ所望とする封着面の形成も容易に行うことができる。
【0012】
請求項4に対応する発明は、請求項1または2に対応するプレスフリットにおいて、前記パーツを少なくとも2種の形状から形成した。パーツを2種以上から形成することにより、パーツ同士を嵌合構造とすることができ、かつ所望とする形状を多種形成することができる。
【0013】
請求項5に対応する発明は、請求項1ないし4のいずれかに対応するプレスフリットにおいて、前記パーツをガラス粉末とビヒクルとを混合して得られた顆粒をプレス成形して得たプレス体、このプレス体を焼結した焼結体、前記プレス体を所望形状に研削や加工したものを焼結した加工焼結体および前記プレス体を焼結した焼結体を所望形状に研削や研磨した加工体から選ばれる少なくとも1種とした。このようにパーツを形成することで、単純な形状から複雑な形状まで対応することができる。また、複雑な形状のパーツを使用するときには、加工体は正確な寸法のパーツを形成できる点で好ましい。なお、プレス体は有機成分を含んでいるものであるので、プレス体を含んでプレスフリットを形成する場合は、被封着物の封着面に乗せる前にパーツを組立ててパーツ同士を接合して使用するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のプレスフリットは、少なくとも2つのパーツで形成されているので、被封着物の封着面がどのような形状となっても、所望とする形状を容易に形成することができ、かつパーツ単位で管理することができ、取扱いも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のプレスフリットは、ガラス粉末とビヒクルとを混合して顆粒としたものをプレス成形して得られたプレス体をパーツとして組立てて使用するもの、前記プレス体を焼結して形成した焼結体をパーツとして組立てて使用するもの、前記プレス体を所望形状に研削や加工したものを焼結して形成した加工焼結体をパーツとして組立てて使用するもの、前記焼結体を所望とする形状に研削や研磨を行って得られた加工体をパーツとして組立てて使用するもの、およびプレス体、焼結体、加工体とを組立てて使用するものである。プレスフリットの熱膨張係数の調整や強度向上のために耐火性フィラーをガラス粉末、ビヒクルと混合して顆粒を形成してもよい。前記加工体に関しては、プレス成形により形成が難しい形状を得ようとするときや、組立て時の嵌合精度のよいもの得ようとするときに、特に好ましいものである。
【0016】
なお、プレス体、焼結体、加工焼結体、加工体を被封着物上の封着面とは異なる場所(封着面以外)で組立てるとき、パーツ同士の接合部に隙間が生じている場合であっても、その隙間が最大値で2mm以下であれば、上記で形成した顆粒と同一または類似する熱膨張係数で、かつ同一または類似する軟化温度を有するペーストを介在させることで、プレスフリットの接合面に空隙のないものを得ることができる。また、プレス体、焼結体、加工焼結体、加工体を被封着物上の封着面で組立てるときに、その接合部に隙間が生じている場合では、その隙間の最大値が1mm以下の場合には、隙間の空いている状態のまま被封着物の封着を行っても、パーツ同士に気泡が残存することなく良好な封着を行うことができる。さらに、パーツを封着面以外であらかじめ接合する場合に、パーツ同士の接合を効率よく行うために、接合面にほとんど隙間が空いていないときでも、ペーストを介在させてもよい。
【0017】
本発明に使用できるガラス粉末は、SnO−P2O5系、SiO2−B2O3系、Bi2O3−B2O3系、SiO2−ZnO系、B2O3−ZnO系等の無鉛ガラスや鉛含有ガラスを使用することができる。
【0018】
上記焼結体の形成は、まず、目開き105μmの篩を通過したガラス粉末とビヒクルと(必要に応じて耐火性フィラー)を混合し、平均粒径44〜256μmの顆粒とした。次に、この顆粒を金型に所望量入れ、5×104〜50×104kPaの圧力でプレス成形しプレス体を成形した。そして、このプレス体を焼結炉に入れビヒクルの分解温度まで加熱し、この温度で30〜120分間加熱しビヒクルを除去したのち、さらにガラス粉末の所定温度まで加熱し、この温度で30〜120分加熱し焼結を行い焼結体を形成した。上記ガラス粉末の所定温度とは、「DTAの第三変曲点−20℃」から「DTAの第四変曲点」までの温度を意味する。
【0019】
なお、加工焼結体の形成は、この焼結体の形成でプレス体を所望形状に研削や加工する点のみが異なる。加工体の形成は、この焼結体の形成で焼結体を所望形状に研削や研磨する点のみが異なる。
【実施例】
【0020】
本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。以下の記載で、「上面」および「下面」は本発明での当接面を意味するものである。
(実施の形態1)
この実施の形態は、同一形状のパーツを組立ててプレスフリットとする例である。
【0021】
(実施例1)
この実施例は、図1に示すような形状の焼結体を第1のパーツ101として用いて、四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0022】
第1のパーツ101は、長手方向の両端に斜面102が形成され、この斜面102のなす角103は45度となるようにした。これにより、この第1のパーツ101を4つ組立てることにより、図2に示すような、外縁104および内縁105を正方形としたプレスフリットを形成することができる。ここで、この正方形とするプレスフリットは、被封着物の封着面上で、この第1のパーツ101を並べパーツ同士が接合されていない状態のものや、被封着物の封着面以外であらかじめ第1のパーツ101を接合した状態のものが該当する。
【0023】
また、第1のパーツ101の斜面102以外の対向する面は、平行に形成されているので、組立てられたプレスフリットの上面および下面を面一とすることができる。面一とすることにより、プレスフリットと封着面との間に隙間が形成されにくくなるので、気泡のない封着面を形成することができる。
【0024】
この実施例1では焼結体を用いた。仮に焼結による収縮で変形が生じ、接合面106に1mmを超え2mm以下の隙間が生じた場合には、接合面にペーストを介してあらかじめパーツ同士を接合し組立てることにより、プレスフリットを平面ディスプレイパネル等の封着に使用しても、気泡のない封着面を形成することができる。
【0025】
また、第1のパーツの接合個数を変更させることにより、外縁104および内縁105を長方形としたプレスフリットも形成可能である。さらに、なす角103の角度を(例えば、30、54、60度に)変更することにより、多角形のプレスフリットを形成することが可能である。
【0026】
(実施例2)
この実施例は、図3に示すような形状のプレス体を第1のパーツ201として用いて、四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0027】
第1のパーツ201は、正面から見た形状が凸状に形成されたものであり、凸部202と切欠き203とは同じ大きさに形成されている。そして、この第1のパーツ201を図4のように重ねて、焼結炉に入れ加熱し有機成分の分解除去を行い、さらなる加熱によってパーツ同士を接合して、外縁204および内縁205を正方形としたプレスフリットを形成することができる。なお、このとき、第1のパーツ201が4個入り正方形を形成できる焼結用の枠型を使用してもよい。
【0028】
また、第1のパーツ201の対抗する面は、全て平行となるように形成されているので、焼結され形成されたプレスフリットの上面および下面を面一とすることができる。面一とすることにより、プレスフリットとの被封着面との間に、隙間が形成されにくくなるので、気泡のない封着面を形成することができる。
【0029】
この実施例でも、接合面206に隙間が生じた場合には、ペーストを介して組立てれば気泡のない封着面を形成することができる。また、第1のパーツの接合個数を変更させることにより、外縁204および内縁205を長方形としたプレスフリットも形成可能である。
【0030】
(実施例3)
この実施例は、実施例2の第1のパーツ201の一方の凸部202と切欠き203の形成位置のみを逆にした図5に示す第1のパーツ301を使用する例である。この第1のパーツ301を図6のように組立てると、外縁302および内縁303を正方形としたプレスフリットを形成することができる。
【0031】
(実施例4)
この実施例も、実施例2の変形例であり、図3に示す第1のパーツ201と類似する図7に示す第1のパーツ401を使用するものである。図8および図9に示すように、第1のパーツ401の組立て方をのみを変更したものである。図8のように組立てると、外縁402および内縁403は正方形となり、図9のように組立てると、外縁404および内縁405を長方形としたプレスフリットを形成することができる。
【0032】
(実施の形態2)
この実施の形態は、プレス体を焼結して得られた異なる2種以上の焼結体をパーツとして、組立ててプレスフリットとする例である。
【0033】
(実施例5)
この実施例は、図10に示すような形状の焼結体を第1のパーツ501として、図11に示すような形状の焼結体を第2のパーツ502として交互に組合わせ、図12に示すような四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0034】
第1のパーツ501は、長手方向の両端に斜面503が形成され、この斜面503のなす角504は45度となるようにした。また、第2のパーツ502は、平面から見てL字状で、かつ突出している部分に斜面503に対応する斜面505をそれぞれ形成し、この斜面505のなす角506を45度となるようにした。なお、なす角504および506を45度したが、この角度に限定することなく、任意の角度とすることができる。すなわち、504と506とを同じ角度にしていればよい。
【0035】
そして、この第1のパーツ501と第2のパーツ502とを交互に組立てることにより、図12に示すような外縁507および内縁508を正方形としたプレスフリット509を形成することができる。なお、プレスフリット509の上面および下面を面一とするので、プレスフリット509と被封着面との間に隙間が形成されにくくなるので、気泡のない封着面を形成することができる。
【0036】
(実施例6)
この実施例は、実施例5の変形例であり、図13に示すような形状の焼結体を第1のパーツ601と、図14に示すような形状の焼結体を第2のパーツ602とを交互に接合し、図15に示すような四角い枠状プレスフリットを形成する例である。
【0037】
第1のパーツ601は、実施例5と同じように長手方向の両端に斜面603が形成されているが、この対向する斜面603が平行となるように形成されているものである。また、この斜面603のなす角604も45度となるようにした。また、第2のパーツ602は、実施例5と同じように平面から見てL字状で、かつ突出している部分に斜面603に対応する斜面605をそれぞれ形成したものであるが、第2のパーツ602の上面と下面とを反転させても、同じ形状となるように斜面605を形成した。この斜面605のなす角606を45度となるようにした。
【0038】
そして、この第1のパーツ601と第2のパーツ602とを交互に組立てることにより、図15に示すような外縁607および内縁608を正方形としたプレスフリット609を形成することができる。
【0039】
また、この実施例6の第1のパーツ601と実施例5の第2のパーツ502とを交互に組合わせると、図16に示すような組立て形状となる。
【0040】
(実施例7)
この実施例は、実施例5の第1のパーツ501(図10)と、実施例6の第2のパーツ602(図14)と、この第2のパーツ602の鏡像体である図17に示す第3のパーツ701とを組合わせ、図18に示すような四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0041】
第3のパーツ701は、実施例6の第2のパーツ602と同様に、上面と下面とを反転させても同じ形状となるように、斜面702を形成している。ただし、第2のパーツ602と第3のパーツ701とは、鏡像体であるので形状は相違している。なお、斜面702のなす角703を45度となるようにした。
【0042】
そして、これらパーツを組立てることにより、図18に示すような外縁704および内縁705を正方形としたプレスフリットを形成することができる。
【0043】
上記の実施の形態2の実施例でも封着面に対応する上面および下面を面一とするもので説明したが、封着面にあらかじめ段差があるものの場合は、第1のパーツと第2のパーツとの接合面を境にして、その段差に対応させることもできる。
【0044】
(実施の形態3)
この実施の形態は、プレス体を所望形状に加工したものを焼結して得られた同一形状の焼結体をパーツとして、組立ててプレスフリットとする例である。または、プレス体を焼結して得られた焼結体を所望形状に研削等した加工体を組立ててプレスフリットとする例である。
【0045】
(実施例8)
この実施例は、図19に示すような形状の加工体を第1のパーツ801として用いて、四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0046】
第1のパーツ801は、長手方向の一端面に凸部802を形成し、他端側の側面に凸部802が嵌まり込む凹部803を形成したものである。この第1のパーツ801は、長手方向の一端面に凸部802を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から凹部803を研削して得られた加工体である。
【0047】
そして、4個の第1のパーツ801を図20に示すように組立てることにより、外縁804および内縁805を正方形としたプレスフリットを形成することができる。この実施例の凸部802と凹部803のような、嵌合構造を形成する場合には、この嵌合をスムーズに行うために、隙間が空くように形成している。したがって、このような嵌合構造には、ペーストを介在させて組立てる方が、隙間による気泡等の欠点のない封着面を形成することができるので好ましい。
【0048】
なお、上記した第1のパーツ801は加工体を用いたが、プレス体を所望形状に加工したものを焼結して得られた焼結体を用いてもよい。
【0049】
(実施例9)
この実施例は、図21に示すような形状の加工体を第1のパーツ901として用いて、四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0050】
第1のパーツ901は、長手方向の一端面に鉤片902を形成し、他端側近傍に鉤片902が嵌まり込む凹部903を形成したものである。この第1のパーツ901は、長手方向の一端面に凸部を備えたプレス体を形成し、これを所望とする形状に加工してから焼結して得られた焼結体である。
【0051】
そして、4個の第1のパーツ901を図22に示すように組立てることにより、外縁904および内縁905を正方形としたプレスフリットを形成することができる。この実施例も上記実施例8と同じように、組立てるときにペーストを介在させた方が、隙間による気泡等の欠点のない封着面を形成することができるので好ましい。
【0052】
なお、上記した第1のパーツ901は焼結体を用いたが、プレス体を焼結して得られた焼結体を所望形状に研削等した加工体を用いてもよい。
【0053】
(実施の形態4)
この実施の形態は、プレス体を所望形状に加工したものを焼結して得た異なる2種以上の焼結体をパーツとして、組立ててプレスフリットとする例である。または、プレス体を焼結して得られた焼結体を所望形状に研削等して得た異なる2種以上の加工体を組立ててプレスフリットとする例である。
【0054】
(実施例10)
この実施例は、図23に示すような形状の焼結体を第1のパーツ1001として、図24に示すような形状の焼結体を第2のパーツ1002として交互に組合わせ、図25のような四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0055】
第1のパーツ1001は、長手方向の一端面に凸部1003を形成し、他端に凹部1004を形成したものである。この第1のパーツ1001は、図23に示す最終形状と同じ形状をプレス成形により成形することが可能なので、プレス体を焼結して得られた焼結体を用いることができる。もちろん、プレス体を所望形状に加工して得られたものを焼結した焼結体や、焼結体を所望形状に加工した加工体を用いてもよい。
【0056】
第2のパーツ1002は、一面に凸部1005を形成し、この凸部1005を形成した面の側面に凹部1006を形成したものである。この第2のパーツ1002は、一面に凸部1005を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から凹部1006を研削して得られた加工体である。
【0057】
そして、第1のパーツ1001の凸部1003と第2のパーツ1002の凹部1006とが嵌め込まれ、第2のパーツ1002の凸部1005と第1のパーツ1001の凹部1004とが嵌め込まれると、図25に示したような、外縁1007および内縁1008を正方形としたプレスフリットを形成することができる。すなわち、このような組立をする場合には、第1のパーツ1001と第2のパーツ1002との凸部の大きさは異なったものでも、それぞれが結合する凹部と嵌合する大きさとすればよい。
【0058】
なお、第1のパーツ1001を2つ以上並べて四角い枠を形成する場合には、第1のパーツ1001と第2のパーツ1002との凸部の大きさは同じ大きさとした方が、嵌合部の隙間を必要以上に広くすることがないので好ましい。
【0059】
(実施例11)
この実施例は、図26に示すような形状の加工体を第1のパーツ1101として、図27に示すような形状の加工体を第2のパーツ1102として交互に組合わせ、図28のような四角い枠状のプレスフリットを形成する例である。
【0060】
第1のパーツ1101は、長手方向の両端に凸部を備えたプレス体を形成し、これを焼結体とした後、所望とする鉤片1103を形成した加工体である。
【0061】
第2のパーツ1102は、平面から見てL字状のプレス体を形成し、これを焼結体とした後、第1のパーツ1103と噛み合う鉤片1104を突出している部分に研削等により形成した加工体である。
【0062】
そして、この第1のパーツ1101と第2のパーツ1102とを交互に組立てることにより、図28に示すような外縁1105および内縁1106を正方形としたプレスフリットを形成することができる。
【0063】
(実施の形態5)
この実施の形態は、プレス体を所望形状に加工したものを焼結して得た異なる2種以上の焼結体をパーツとして、組立てて複数の四角い枠を形成するプレスフリットの例である。または、プレス体を焼結して得られた焼結体を所望形状に研削等した加工体を組立ててプレスフリットとする例である。
【0064】
(実施例12)
この実施例は、図29に示すような形状の加工体を第1のパーツ1201として、図30に示すような形状の加工体を第2のパーツ1202として、図31に示すような形状の焼結体を第3のパーツ1203として組立てて、図32のような四角い枠を2箇所形成したプレスフリットを形成する例である。
【0065】
第1のパーツ1201は、長手方向の一端面に凸部1204を形成し、他端側の側面に凹部1205を形成したものである。この第1のパーツ1201は、長手方向の一端面に凸部1204を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から凹部1205を研削等して得られた加工体である。
【0066】
第2のパーツ1202は、長手方向の一端面に凸部1206を形成し、他端側の側面に凹部1207と1208を形成したものである。この第2のパーツ1202も第1のパーツと同様に成形された加工体である。
【0067】
第3のパーツ1203は、長手方向の両端に凸部1209を形成したものである。この第3のパーツ1203は、長手方向の両端に凸部1209を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体である。
【0068】
そして、第1のパーツの凸部1204と第2のパーツの凹部1207、第1のパーツの凹部1205と第2のパーツの凸部1206、さらに、第2のパーツの凹部1208と第3のパーツの凸部1209を組合わせて、図32に示す長方形の外縁1210と2つの正方形の内縁1211を形成したプレスフリットを形成することができる。
【0069】
なお、凸部1204、1206及び1209の大きさは、組合わせる凹部1207、1205及び1208嵌合できるものであれば、全て同じ大きさでも異なる大きさでもよい。なお、第1のパーツと第2のパーツとをひとつずつ組合わせた形状のものをひとつのパーツとして使用すれば2種類パーツでも図32のような形状を形成することができる。
【0070】
(実施例13)
この実施例は、図33に示すような形状の加工体を第1のパーツ1301として、図34に示すような形状の加工体を第2のパーツ1302として、図35に示すような形状の焼結体を第3のパーツ1303として組立てて図36のような四角い枠を4箇所形成したプレスフリットを形成する例である。
【0071】
第1のパーツ1301は、長手方向の両端面に長さの異なる長さの鉤片1304および1305を形成したものである。この第1のパーツ1301は、長手方向の両端面に異なる長さの凸部を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から所望とする鉤片1304および1305を研削等して得られた加工体である。
【0072】
第2のパーツ1302は、長手方向の一端面に鉤片1306を形成し、他端側近傍に鉤片1306が嵌まり込む凹部1307を、真ん中近傍に鉤片1305または第3のパーツ1303の鉤片1309が嵌まり込む凹部1308を形成したものである。この第2のパーツ1302は、長手方向の一端面に凸部を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から所望とする鉤片1306と凹部1307、1308を研削等して得られた加工体である。
【0073】
第3のパーツ1303は、長手方向の両端面に同じ大きさの鉤片1309を備え、真ん中近傍に鉤片1304が2つ嵌合できる凹部1310を形成したものである。この第3のパーツ1303は、長手方向の両端面に凸部を備えたプレス体を形成し、これを焼結して得られた焼結体から所望とする鉤片1309と凹部1310を研削して得られた加工体である。
【0074】
そして、4つの第2のパーツ1302の鉤片1306と凹部1307とを、第3のパーツの鉤片1309と第2のパーツ1302の凹部1308とを、第1のパーツ1301の鉤片1305と第2のパーツ1302の凹部1308とを、さらに、第1のパーツ1301の鉤片1304と第3のパーツ1303の凹部1310とを組合わせて、図36に示す正方形の外縁1311と4つの正方形の内縁1312を形成したプレスフリットを形成することができる。
【0075】
上記した実施例でプレス体を使用するものでは、有機成分が含まれているので、あらかじめ被封着物の封着面上以外でパーツを並べパーツ同士を接合したものの方が、従来のペーストを用いての封着時の課題が生じるおそれがないので好ましい。他の焼結体、加工焼結体および加工体をパーツとして使用する場合は、パーツ同士をあらかじめ接合したものでも、接合していないものでもどちらでもペーストでの封着時の課題が生じる恐れはない。
【0076】
また、上記した実施例では、本発明の当接面である上面および下面を面一とした平面としたが、少なくとも一方を面一の曲面としたり、パーツの境で当接面に段差をつけたり、上面または下面のいずれか一方を当接面としたりすることもできる。いずれか一方を当接面とする場合には、面と線との接着に使用することができる。面上で線材を接着する場合には、焼成前では線接触であるが、焼成中に軟化流動したガラス中に線材が包み込むようになって線材も面で接着されるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
上記実施例では、平面上の封着面をパーツを組合わせて形成するようにしたが、高さ方向の封着面を形成すれば3次元用のプレスフリットとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図2】図1の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図3】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図4】図3の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図5】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図6】図5の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図7】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図8】図7の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図9】図7の第1のパーツを組立てたときの他のプレスフリットの概念図である。
【図10】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図11】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図12】図10の第1のパーツと図11の第2のパーツとを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図13】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図14】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図15】図13の第1のパーツと図14の第2のパーツとを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図16】図13の第1のパーツと図11の第2のパーツとを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図17】本発明の他の実施例に使用する第3のパーツの概念図である。
【図18】図10の第1のパーツ、図14の第2のパーツおよび図16の第3のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図19】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図20】図19の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図21】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図22】図21の第1のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図23】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図24】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図25】図23の第1のパーツと図24の第2のパーツとを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図26】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図27】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図28】図26の第1のパーツと図27の第2のパーツとを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図29】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図30】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図31】本発明の他の実施例に使用する第3のパーツの概念図である。
【図32】図29の第1のパーツ、図30の第2のパーツおよび図31の第3のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【図33】本発明の他の実施例に使用する第1のパーツの概念図である。
【図34】本発明の他の実施例に使用する第2のパーツの概念図である。
【図35】本発明の他の実施例に使用する第3のパーツの概念図である。
【図36】図33の第1のパーツ、図34の第2のパーツおよび図35の第3のパーツを組立てたときのプレスフリットの概念図である。
【符号の説明】
【0079】
第1のパーツ…101、202、301、401、501、601、801、901、1001、1101、1201、1301
第2のパーツ…502、602、1002、1102、1202、1302
第3のパーツ…701、1203、1303
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの被封着物の間に介在させ、焼成により前記被封着物を封着するプレスフリットにおいて、少なくとも2つのパーツで構成され、前記パーツを接合したときの接合面に隣接する面を前記被封着物の封着面に当接しうる当接面としたことを特徴とするプレスフリット。
【請求項2】
前記当接面の厚み方向の反対面も当接面であることを特徴とする請求項1記載のプレスフリット。
【請求項3】
前記パーツが同一形状のみで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプレスフリット。
【請求項4】
前記パーツが少なくとも2種の形状から形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプレスフリット。
【請求項5】
前記パーツが ガラス粉末とビヒクルとを混合して得られた顆粒をプレス成形して得たプレス体、このプレス体を焼結した焼結体、前記プレス体を所望形状に研削や加工したものを焼結した加工焼結体および前記プレス体を焼結した焼結体を所望形状に研削した加工体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載のプレスフリット。
【請求項1】
二つの被封着物の間に介在させ、焼成により前記被封着物を封着するプレスフリットにおいて、少なくとも2つのパーツで構成され、前記パーツを接合したときの接合面に隣接する面を前記被封着物の封着面に当接しうる当接面としたことを特徴とするプレスフリット。
【請求項2】
前記当接面の厚み方向の反対面も当接面であることを特徴とする請求項1記載のプレスフリット。
【請求項3】
前記パーツが同一形状のみで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプレスフリット。
【請求項4】
前記パーツが少なくとも2種の形状から形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプレスフリット。
【請求項5】
前記パーツが ガラス粉末とビヒクルとを混合して得られた顆粒をプレス成形して得たプレス体、このプレス体を焼結した焼結体、前記プレス体を所望形状に研削や加工したものを焼結した加工焼結体および前記プレス体を焼結した焼結体を所望形状に研削した加工体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載のプレスフリット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公開番号】特開2009−67633(P2009−67633A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238330(P2007−238330)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000158208)AGCテクノグラス株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000158208)AGCテクノグラス株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
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