説明

プログラミング装置

【課題】組込み制御装置で実行されるプログラムを効率よく作成する。
【解決手段】プログラミング装置は、図式化プログラム10を入力に応じて編集する編集部と、編集部で編集された図式化プログラム10をディスプレイに表示させる表示部と、編集部で編集された図式化プログラム10をマイクロプロセッサにて実行可能なプログラムに変換する変換部と、を備えている。図式化プログラム10では、一連処理ごとにモジュール11が構成されている。このモジュール11にあっては、シーケンス図C及び内部変数19,35を独自に含んでいるため、同様な一連処理を繰り返しプログラミングする場合、モジュール11を複製するようにプログラミングできると共に、各モジュール11に内部変数19,35を割り当てる必要もない。よって、一連処理を1度プログラミングすれば、そのプログラムを容易に再利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御を必要とするシステム内に組み込む制御装置である組込み制御装置上で実行されるプログラムを作成するためのプログラミング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプログラミング装置としては、プログラムを図式化してなる図式化プログラムを入力に応じて編集する編集手段と、編集手段で編集された図式化プログラムを画面に表示させる表示手段と、編集手段で編集された図式化プログラムを組込み制御装置にて実行可能なプログラムに変換する変換手段と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなプログラミング装置では、通常、ラダー言語が用いられており、図式化プログラムが接点図及びコイル図で表されている。
【特許文献1】特開平9−62314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したようなプログラミング装置では、次の問題がある。すなわち、処理状態を表す変数を割り当てる必要がある。そのため、例えば、同様な一連の処理(以下、単に「一連処理」という)を繰り返しプログラミングする場合、かかる一連処理を複製するようにプログラミングすることが難しく、プログラミングする際の再利用性が低くなってしまう。よって、プログラムを効率よく作成することが困難となり、ひいては生産性が低下してしまう。
【0004】
そこで、本発明は、組込み制御装置上で実行されるプログラムを効率よく作成することができるプログラミング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るプログラミング装置は、組込み制御装置上で実行されるプログラムを作成するためのプログラミング装置であって、プログラムを図式化してなる図式化プログラムを入力に応じて編集する編集手段と、編集手段で編集された図式化プログラムを画面に表示させる表示手段と、編集手段で編集された図式化プログラムを組込み制御装置にて実行可能なプログラムに変換する変換手段と、を備え、図式化プログラムでは、一連の処理ごとにモジュールが構成されており、モジュールは、処理を実行するためのシーケンス図、及びモジュール内での処理状態を表す内部変数を含むことを特徴とする。
【0006】
このプログラミング装置による図式化プログラムでは、一連処理ごとにモジュールが構成されている。そして、このモジュールにあっては、シーケンス図及び内部変数を独自に含んでいる。そのため、同様な一連処理を繰り返しプログラミングする場合、モジュールを複製するようにプログラミングすることができ、且つ各モジュールに内部変数を割り当てる必要もない。すなわち、一連処理を1度プログラミングすれば、そのプログラムを容易に再利用してプログラミングすることができる。その結果、組込み制御装置上で実行されるプログラムを効率よく作成することが可能となる。
【0007】
ここで、モジュールは、複数のシーケンス図がグループ化されてなるシーケンス図群を複数含み、複数のシーケンス図群のそれぞれは、該シーケンス図群ごとに指定された指定値に基づいて処理を実行することが好ましい。この場合、処理を自由にシーケンス図群としてグループ化することができると共に、これら各シーケンス図群の実行形態を指定値で指定することが可能となる。
【0008】
また、図式化プログラムは、複数層に階層化され、上位階層においてモジュールが上位モジュールとして構成されると共に、下位階層においてモジュールが下位モジュールとして構成されており、上位モジュールでは、下位モジュールの呼び出しが行われることが好ましい。この場合、上位モジュールは、下位モジュールにて内部変数をさらに保持することができる。よって、例えば、上位モジュールに呼び出される下位モジュールを複数形成すると、上位モジュールが下位モジュール別に内部変数を保持できるため、上位モジュールにおいて複数の下位モジュールを並列に動作させることが可能となる。
【0009】
また、図式化プログラムは、複数層に階層化され、上位階層においてモジュールが上位モジュールとして構成されると共に、下位階層においてモジュールが下位モジュールとして構成されており、下位モジュールは、シーケンス群を複数含み、上位モジュールでは、下位モジュールのシーケンス群の呼び出しが行われることが好ましい。この場合、下位モジュールが複数の役割をシーケンス群として持ち、上位モジュールがその役割単位で下位モジュールを利用することになる。その結果、下位階層において下位モジュールが複数に散在してしまうのを抑制でき、図式化プログラムが煩雑になるのを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、組込み制御装置上で実行されるプログラムを効率よく作成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るプログラミング装置を示す概略ブロック図である。プログラミング装置1は、制御を必要とするシステム内に組み込む制御装置であるマイクロプロセッサ(組込み制御装置)2上で実行されるプログラムを、図形を利用して作成するものである。具体的には、プログラミング装置1は、プログラムの構造を図式化してなる図式化プログラム10(図2参照)によって、マイクロプロセッサ2上で実行されるプログラムを作成する。
【0013】
このプログラミング装置1は、コンピュータに搭載されており、ここでは、パソコン3のECU4に搭載されている。プログラミング装置1は、編集部(編集手段)5、表示部(表示手段)6及び変換部(変換手段)7を備えている。
【0014】
編集部5は、例えばマウスやキーボード等の入力装置8からの入力に応じて、図式化プログラム10を編集する。具体的には、編集部5は、図式化プログラム10の図形要素、及び図形要素を構成する要素等を、利用者と対話形式で追加、移動又は削除したりする。より具体的には、編集部5は、ECU4の内部記憶領域にデータ表現を構成し、このデータ表現を利用者の入力に従って編集すると共に、ハードディスクドライブ等の記憶装置(不図示)にデータ表現を格納したり呼び出したりすることで、内部記憶領域にデータ表現を再現する。
【0015】
表示部6は、編集部5で編集された図式化プログラム10をディスプレイ(画面)9上に表示させるためのものである。変換部7は、編集部5によって編集された図式化プログラム10の情報を記憶装置から呼び出し、内部記憶領域にデータ表現を再現し、マイクロプロセッサ2にて実行可能なプログラムに変換する。
【0016】
次に、プログラミング装置1による図式化プログラム10について説明する。
【0017】
図2は、図1のプログラミング装置による図式化プログラムを示す概略図である。図2に示すように、図式化プログラム10は、ひとまとまりの処理を表すモジュール11で構成されている。換言すると、図式化プログラム10では、一連の処理(以下、単に「一連処理」という)ごとにモジュール11が構成されており、1つのソースファイルに1つのモジュール11が対応するようになっている。
【0018】
この図式化プログラム10は、上位階層Uと下位階層Dとに階層化されており、上位階層Uにて上位モジュール12が構成されると共に、下位階層Dにて下位モジュール13a,13bが構成されている。
【0019】
上位モジュール12は、処理を実行するための図形要素であるシーケンス図Cとして、下位モジュール呼出し14a,14bを少なくとも含んでいる。下位モジュール呼出し14a,14bは、下位モジュール13a,13bを呼び出す(コールする)ためのものである。これらの下位モジュール呼出し14a,14bは、矩形枠からなり、その型を識別するための識別図15を左上部に有している。また、下位モジュール呼出し14a,14bの枠内には、その名称16a,16bが記入されている。名称16a,16bは、呼び出す下位階層Dの下位モジュール13a,13bに対応している。
【0020】
また、下位モジュール呼出し14a,14bのそれぞれには、入力端子17及び出力端子18が形成されている。これにより、下位モジュール呼出し14a,14bは、下位モジュール13a,13bへの入力値を入力端子17から入力し、下位モジュール13a,13bの出力値を出力端子18から出力する。
【0021】
また、上位モジュール12は、該上位モジュール12内での処理状態を表す変数である内部変数19を含んでいる。この内部変数19は、内部変数領域20に格納されている。
【0022】
図3は、ディスプレイ上に表示された編集画面の一例を示す図である。図3に示すように、内部変数領域20は、例えばディスプレイ9の左側部分にて表すことができる。そして、シーケンス図Cは、例えばディスプレイ9の内部変数領域20の右側部分に表すことができる。これについては、以下のモジュールについて同様である。
【0023】
図2に戻り、下位モジュール13a,13bは、上位階層Uの上位モジュール12に呼び出されるものであり、入力に基づいて出力を求める処理を行う。この下位モジュール13a,13bは、シーケンス図Cとして、例えば、条件演算図31及び応答処理図32(詳しくは後述)を少なくとも含んでいる。
【0024】
また、下位モジュール13a,13bは、該下位モジュール13a,13b内での処理状態を表す変数である内部変数35(35a,35b)を含んでいる。この内部変数35a,35bは、内部変数領域36(36a,36b)にそれぞれ格納されている。
【0025】
また、上位モジュール12では、下位モジュール呼出し14a,14bにてコールするための識別子として、名称16(16a,16b)が定義されている。なお、これらの名称16a,16bは、内部変数領域20にてそれぞれ定義することができる。ここでは、名称16は、「module 下位モジュール 下位モジュール利用名称」のかたちで定義されている。
【0026】
ちなみに、下位モジュール13のソースファイルは、上位モジュール12と同じフォルダで保存されている。これにより、コンパイラは、上位モジュール12を読み込む際、下位モジュール13a,13bを自動的に読み込んで繋ぎ合わせることができる。
【0027】
次に、図2に示す図式化プログラムを詳細に説明する。
【0028】
図4は図2の図式化プログラムにおける上位モジュールの詳細を示す図であり、図5は図2の図式化プログラムにおける下位モジュールの詳細を示す図である。図4,5に示すように、図式化プログラム10は、フィードバックによる位置決め制御を行って、装置を目標位置に一定速度で移動させるものである。ここでの図式化プログラム10では、「一定速度移動処理」という型のモジュールを下位モジュール13a,13bとして複数回(ここでは2回)利用している。
【0029】
図4に示すように、上位モジュール12は、前述のように、シーケンス図Cとして下位モジュール呼出し14a,14bを含むと共に、内部変数領域20に格納された内部変数19を含んでいる。ここでの下位モジュール呼出し14aは、「左端への移動処理」と定義した下位モジュール13aを呼び出し、下位モジュール呼出し14aは、「中央への移動処理」と定義した下位モジュール13bを呼び出す。
【0030】
また、上位モジュール12は、条件演算図31と、応答処理図32とを含んでいる。条件演算図31は、条件演算(つまり、条件判断処理の演算)を示すものである。この条件演算図31は、矩形枠からなり、その内部に条件判断演算式33が記入されている。また条件演算図31には、その内部に条件判断属性図21が形成されている。この条件判断属性図21は、その形態の違いによって以下の演算規則を条件演算図31に与える。
【0031】
図6は、条件判断属性図を説明するための図である。図6(a)に示す条件判断属性図21aは、条件判断演算式33の演算値を条件演算の演算値とする。図6(b)に示す条件判断属性図21bは、条件判断演算式33の演算値の反転結果を条件演算の演算値とする。図6(c)に示す条件判断属性図21cは、条件判断演算式33の演算値が偽から真に変わったときだけ条件演算の演算値を真とし、それ以外は偽とする。図6(d)に示す条件判断属性図21dは、条件判断演算式33の演算値が真から偽に変わったときだけ条件演算の演算値を真とし、それ以外は偽とする。
【0032】
図4に示すように、応答処理図32は、応答処理を示すものである。この応答処理図32は、矩形枠からなり、その内部に応答処理内容34が記入される。応答処理図32は、応答処理内容34が左辺値の場合、入力された演算結果を代入する。一方、応答処理内容34が演算式の場合、入力された演算結果が真になったとき、演算式を演算する。他方、応答処理内容34が文の場合、入力された演算結果が真になったとき、文を実行する。
【0033】
図5に示すように、下位モジュール13a,13bは、前述のように、シーケンス図Cとして条件演算図31を含むと共に、内部変数領域36a,36bに格納された内部変数35a,35bを含んでいる。また、下位モジュール13a,13bは、状態保持図40を含んでいる。
【0034】
状態保持図40は、状態保持回路を表すものであり、上位階層U0と下位階層D0とに階層化されている。上位階層U0には、状態定義図41が形成されており、下位階層D0には、矢印42、条件演算図31及び応答処理図34が制御枠43に囲まれるようにして形成されている。
【0035】
状態定義図41は、状態の名称を示す状態名称図45及び、条件演算図31が上下方向に積み重ねられてグループ化されている。なお、状態定義図41は、条件演算図31を1つ以上含んでいればよい。
【0036】
矢印42は、状態での処理順序を示すものである。始端に○印が形成された矢印42は、始端の条件演算図31の演算値が偽になったときに、その演算値が真となるという演算規則を与える。制御枠43は、状態保持図40の下位階層D0を画成するものであり、その左上部には、上記の条件演算図31と同様な制御枠条件演算図44が形成されている。この制御枠条件演算図44による条件演算が真の場合、制御枠43内の各処理が演算される一方、偽の場合、制御枠43内の各状態がリセットされるという演算規則が与えられる
【0037】
この図式化プログラム10では、下位モジュール呼出し14aに、「移動可能」の演算値、「位置目標値」及び「移動速度」がそれぞれ入力される。また、下位モジュール呼出し14aに、左右往復位置指令値が「位置初期値」として入力される。そして、左端移動指示がなされた場合、かかる移動指示が下位モジュール呼出し14aに「移動指令」として入力され、下位モジュール13aが呼び出される。
【0038】
下位モジュール13aでは、移動指令の立ち上がりを受けて、「移動中」という状態が保持される。「移動可能」という条件が成り立っており、且つ「移動完了」でない間、この状態は保持される。移動中の状態の間、位置指令値が小さいときには、移動速度(サンプル周期での移動量)が位置指令値に加えられる一方、位置指令値が大きいときには、位置指令値から移動速度が減算される。なお、位置指令値が小さいという判断は、「位置目標値−移動速度」で比較され、位置指令値が大きいという判断は、「位置目標値+移動速度」で比較される。最後に、位置指令値が所定範囲になったとき(小さくもなく大きくもないとき)、位置目標値に到達したと判断される。
【0039】
ここで、上位モジュール12においては、下位モジュール呼出し14aからの位置指令値が「左右往復位置指令値」に設定され、移動中の演算値は「左端へ移動中」に設定され、移動完了の演算値は「左端へ移動完了」に設定される。以上により、装置が左端に一定速度で移動されることとなる。
【0040】
また、この図式化プログラム10では、下位モジュール呼出し14bに、「移動可能」の演算値、「位置目標値」及び「移動速度」がそれぞれ入力される。また、下位モジュール呼出し14bに、左右往復位置指令値が「位置初期値」として入力される。そして、中央移動指示がなされた場合、かかる移動指示が下位モジュール呼出し14bに「移動指令」として入力され、下位モジュール13bが呼び出される。
【0041】
下位モジュール13bでは、上記の下位モジュール13aと同様に、移動指令の立ち上がりを受けて、「移動中」という状態が保持される。「移動可能」という条件が成り立っており、且つ「移動完了」でない間、この状態は保持される。移動中の状態の間、位置指令値が小さいときには、移動速度が位置指令値に加えられる一方、位置指令値が大きいときには、位置指令値から移動速度が減算される。最後に、位置指令値が所定範囲になったとき、位置目標値に到達したと判断される。
【0042】
ここで、上位モジュール12においては、下位モジュール呼出し14bからの位置指令値が「左右往復位置指令値」に設定され、移動中の演算値は「中央へ移動中」に設定され、移動完了の演算値は「中央へ移動完了」に設定される。以上により、装置が中央に一定速度で移動されることとなる。
【0043】
以上、本実施形態によれば、一連処理ごとにモジュール11が構成されている。そして、このモジュール11にあっては、シーケンス図C及び内部変数19,35を独自に含んでいる。そのため、共通する一連処理(ここでは、一定速度移動距離の処理)を繰り返しプログラミングする際、例えば、下位モジュール13aをプログラミングした後,この下位モジュール13aを複製するよう下位モジュール13bをプログラミングすることができる。具体的には、同じ型のモジュールを別々の名称で上位モジュール12から呼び出すことによって、下位モジュール13a,13bを複製したことと等価になっている。これと共に、複製された下位モジュール13a,13bに内部変数35を別途に割り当てる必要もない。
【0044】
すなわち、モジュール11を1度プログラミングしてしまえば、このモジュール11を容易に再利用してプログラミングすることができ、よって、マイクロプロセッサ2上で実行されるプログラムを効率よく作成することが可能となる。その結果、プログラミングする際の生産性及び効率を高めることができる。かかる効果は、特に、プログラミングする設計者にとって有効なものといえる。
【0045】
また、本実施形態では、上述したように、図式化プログラム10が階層化され、上位階層Uにて上位モジュール12が構成されると共に、下位階層Dにて下位モジュール13a,13bが構成されている。そして、上位モジュール12では、下位モジュール13a,13bが別々の実態としてコールされている。これにより、上位モジュール12は、下位モジュール13a,13b別に内部変数35a,35bをさらに保持できる。その結果、上位モジュール12において下位モジュール13a,13bを並列に動作させることが可能となる。
【0046】
ここで、従来のプログラミング装置では、プログラムの処理が複雑で多くなった場合、一つ一つの処理を逐次に書き表すのは大変な手間である。また、共通の処理に間違いが見つかったときには、全ての処理を修正しなければならない。この点においても、一連処理でモジュール11を構成し該モジュール11を再利用してプログラミングできるという本実施形態の効果は、顕著である。
【0047】
なお、下位モジュール13a,13bは、手続き型言語のサブルーチンと異なり、終了させずに常に作動させることが可能である。
【0048】
次に、図1のプログラミング装置による図式化プログラムの他の例について説明する。
【0049】
図7は、図1のプログラミング装置による図式化プログラムの他の例を示す概略図である。図7に示すように、図式化プログラム50のモジュール51は、複数のシーケンス図Cがグループ化されてなるプロシジャ(proc:シーケンス図群)52を複数含んでおり、いわゆるマルチスレッドを構成している。ここでは、モジュール51は、高速周期で演算処理するグループである高速プロシジャ52aと、低速周期で演算処理させるグループである低速プロシジャ52bとを含んでいる。
【0050】
プロシジャ52では、条件演算図31及び応答処理図32が制御枠53で囲われてグループ化されている。この制御枠53の左上部には、後述の指定値56a,56bに対応する名称が記入される名称図54が形成されている。
【0051】
また、モジュール51には、指定値領域55が設けられている。指定値領域55では、指定値56a,56bがプロシジャ52a,52bごとに指定されている。
【0052】
この図式化プログラム50によれば、高速プロシジャ52aが指定値56aに基づいて実行されることにより、この高速プロシジャ52aでグループ化された演算処理が高速周期で実行されることになる。また、低速プロシジャ52bが指定値56bに基づいて実行されることにより、高速プロシジャ53bでグループ化された演算処理が低速周期で実行されることになる。
【0053】
以上、本実施形態によれば、プロシジャ52a,52bのそれぞれは、該プロシジャ52a,52bごとに指定された指定値56a,56bに基づいて処理を実行する。よって、処理を自由にプロシジャ52a,52bとしてグループ化することができると共に、各プロシジャ52a,52bの実行形態を指定値56a,56bでそれぞれ指定することが可能となる。
【0054】
次に、図1のプログラミング装置による図式化プログラムのさらに他の例について説明する。
【0055】
図8は、図1のプログラミング装置による図式化プログラムのさらに他の例を示す概略図である。図8に示すように、図式化プログラム60では、下位階層Dにて下位モジュール63が構成されている。
【0056】
下位モジュール63は、上記のプロシジャ52と同様なプロシジャ(シーケンス図群)64を複数含んでいる。具体的には、下位モジュール63は、入力に関する入力プロシジャ64aと、出力に関する出力プロシジャ64bとを含んでいる。入力プロシジャ64aは、入力処理の応答演算を示す応答演算図65を複数含んでいる。出力プロシジャ64bは、出力処理の応答演算を示す応答演算図66を複数含んでいる。
【0057】
また、図式化プログラム60では、上位階層Uにて上位モジュール62が構成されている。上位モジュール62は、下位モジュール呼出し67a,67bを含んでいる。下位モジュール呼出し67a,67bは、下位モジュール63のプロシジャ63a,63bを呼び出すためのものである。下位モジュール呼出し67a,67bの枠内には、下位モジュール呼出し67a,67bの名称68a,68bが記入されている。これらの名称68a,68bは、呼び出す下位モジュール63及びプロシジャ64に対応しており、この記入に応じて下位モジュール63がプロシジャ64単位でコールされる。
【0058】
以上、本実施形態によれば、上位モジュール62おいて下位モジュール63のプロシジャ64a,64bがコールされる。よって、下位モジュール63が複数の役割をプロシジャ64a,64bとして持つことができ、上位モジュール62がその役割単位で選択的に下位モジュール63を利用することが可能となる。これにより、下位階層Dにおいて下位モジュール63が散在するのを抑制でき、図式化プログラム60が煩雑になるのを抑制することが可能となる。加えて、図形化プログラム60を理解しやすいように表示することができる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、図式化プログラム10,60を、上位階層Uと下位階層Dとの2階層に階層化したが、3階層以上に階層化してもよく、複数層に階層化すればよい。
【0060】
また、上位モジュール12,62は、下位モジュール13a,13b,63の内部変数35に直接アクセスするように、下位モジュール13a,13b,63に関連付けられていてもよい。この場合、下位階層Dにおけるディスプレイ9上のスペースを節約することができ、コンパクトで理解しやすく表示することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、プログラミング装置1をパソコン3に搭載したが、種々のコンピュータに搭載することも勿論可能である。なお、本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されるものでなく、本発明は、シーケンス制御を行う様々な組込み制御装置上で実行される様々なプログラムを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係るプログラミング装置を示す概略ブロック図である。
【図2】図1のプログラミング装置による図式化プログラムを示す概略図である。
【図3】ディスプレイ上に表示された編集画面の一例を示す図である。
【図4】図2の図式化プログラムにおける上位モジュールの詳細を示す図である。
【図5】図2の図式化プログラムにおける下位モジュールの詳細を示す図である。
【図6】条件判断属性図を説明するための図である。
【図7】図1のプログラミング装置による図式化プログラムの他の例を示す概略図である。
【図8】図1のプログラミング装置による図式化プログラムのさらに他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0063】
1…プログラミング装置、2…マイクロプロセッサ(組込み制御装置)、5…編集部(編集手段)、6…表示部(表示手段)、7…変換部(変換手段)、9…ディスプレイ(画面)、10,50,60…図式化プログラム、11…モジュール、12…上位モジュール(モジュール)、13a,13a…下位モジュール(モジュール)、19,35…内部変数、52,64…プロシジャ(シーケンス図群)、C…シーケンス図。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
組込み制御装置上で実行されるプログラムを作成するためのプログラミング装置であって、
プログラムを図式化してなる図式化プログラムを入力に応じて編集する編集手段と、
前記編集手段で編集された前記図式化プログラムを画面に表示させる表示手段と、
前記編集手段で編集された前記図式化プログラムを前記組込み制御装置にて実行可能なプログラムに変換する変換手段と、を備え、
前記図式化プログラムでは、一連の処理ごとにモジュールが構成されており、
前記モジュールは、前記処理を実行するためのシーケンス図、及び前記モジュール内での処理状態を表す内部変数を含むことを特徴とするプログラミング装置。
【請求項2】
前記モジュールは、複数の前記シーケンス図がグループ化されてなるシーケンス図群を複数含み、
複数の前記シーケンス図群のそれぞれは、該シーケンス図群ごとに指定された指定値に基づいて前記処理を実行することを特徴とする請求項1記載のプログラミング装置。
【請求項3】
前記図式化プログラムは、複数層に階層化され、上位階層において前記モジュールが上位モジュールとして構成されると共に、下位階層において前記モジュールが下位モジュールとして構成されており、
前記上位モジュールでは、前記下位モジュールの呼び出しが行われることを特徴とする請求項1又は2記載のプログラミング装置。
【請求項4】
前記図式化プログラムは、複数層に階層化され、上位階層において前記モジュールが上位モジュールとして構成されると共に、下位階層において前記モジュールが下位モジュールとして構成されており、
前記下位モジュールは、前記シーケンス群を複数含み、
前記上位モジュールでは、前記下位モジュールの前記シーケンス群の呼び出しが行われることを特徴とする請求項2記載のプログラミング装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−271770(P2009−271770A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122443(P2008−122443)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】