説明

プログラム、情報記憶媒体および画像生成システム

【課題】視点との位置関係によって透明度が変化するような物体を小さいモデルデータ量でリアルに表現することが可能なプログラム、情報記憶媒体および画像生成システムを提供する。
【解決手段】オブジェクトが配置されたオブジェクト空間を所与の視点から見た画像を生成するための画像生成システムであって、第1の色と第2の色とを補間して第3の色を求める第1の補間処理部と、第1の色と第3の色とを補間してオブジェクトを構成するプリミティブの描画ピクセルの色を求める第2の補間処理部とを含み、第2の補間処理部が、視点の向きと、オブジェクトを構成するプリミティブの向きとに基づき、視点の向きと正対する基準方向からのずれに応じて第1の色の合成率が低くなるように、第1の色と第3の色とを補間する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報記憶媒体および画像生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オブジェクト空間に配置された物体と視点との位置関係に応じて、当該物体に透過処理を行う画像生成装置が知られている。この画像生成装置によれば、視点とオブジェクトの間に配置された物体に透過処理を行うことによって、オブジェクトの視認性を高めることができる。
【特許文献1】特開平9−50541 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記画像生成装置の目的はオブジェクトの視認性を高めることであり、リアリティのある半透明物体を表現することは考慮されていなかった。さらに上記画像生成装置では、半透明物体を表示するために半透明モデルを用意する必要があったため、モデルのデータ量が大きくなってしまうという問題があった。本発明の目的は、視点との位置関係によって透明度が変化するような物体を小さいモデルデータ量でリアルに表現することが可能なプログラム、情報記憶媒体および画像生成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明は、オブジェクトが配置されたオブジェクト空間を所与の視点から見た画像を生成するための画像生成システムであって、第1の色と第2の色とを補間して第3の色を求める第1の補間処理部と、前記第1の色と前記第3の色とを補間して前記オブジェクトを構成するプリミティブの描画ピクセルの色を求める第2の補間処理部とを含む描画部を有し、前記第2の補間処理部が、前記視点の向きと、前記オブジェクトを構成するプリミティブの向きとに基づき、前記視点の向きと正対する基準方向からのずれに応じて前記第1の色の合成率が低くなるように、前記第1の色と前記第3の色とを補間することを特徴とする画像生成システムに関係する。また、本発明は、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラムに関係する。また、本発明は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラムを記憶(記録)した情報記憶媒体に関係する。
【0005】
本発明によれば、視点との位置関係によって透明度が変化するような物体を、半透明モデルを用いることなく少ないモデルデータ量で表現することができる。
【0006】
(2)また、本発明にかかる画像生成システム、プログラム、および情報記憶媒体では、前記オブジェクトに対応づけられたテクスチャを構成するテクセルに格納された属性情報を参照して、前記第1の色と前記第3の色とを補間して描画ピクセルの色を求める補間処理対象領域を設定する補間処理対象領域設定部を有するようにしてもよい。
【0007】
このようにすれば、半透明物体を表示する領域を属性情報に基づいて設定することができるので、複雑な形状の半透明物体を表示することができる。
【0008】
(3)また、本発明にかかる画像生成システム、プログラム、および情報記憶媒体では、前記オブジェクトに対応づけられたテクスチャを構成するテクセルに格納された属性情報を参照して、前記第1の色、前記第2の色とは別に設定された特定色で描画ピクセルを描画する特定色領域を設定する特定色領域設定部を含むようにしてもよい。
【0009】
このようにすれば、特定色領域に模様などの画像を描画することができ、複雑な形状の半透明物体を表示することができる。
【0010】
(3)また、本発明にかかる画像生成システム、プログラム、および情報記憶媒体では、 前記描画部が、前記オブジェクトを構成するプリミティブの描画ピクセルのうち、前記補間処理対象領域、前記特定色領域のいずれでもない描画ピクセルを、第1の色で描画するようにしてもよい。
【0011】
このようにすれば、補間処理対象領域は第1の色と第3の色が合成された色で、特定色領域は特定色で、補間処理対象領域、前記特定色領域のいずれでもない領域は第1の色で描画されることにより、複雑な形状の半透明物体を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0013】
1.構成
図1に本実施形態の画像生成システム(ゲームシステム)の機能ブロック図の例を示す。なお本実施形態の画像生成システムは図1の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0014】
操作部160は、プレーヤがプレーヤオブジェクト(移動体オブジェクトの一例、プレーヤが操作するプレーヤ車両など)の操作データを入力するためのものであり、その機能は、レバー、ボタン、ステアリング、マイク、タッチパネル型ディスプレイ、或いは筺体などにより実現できる。
【0015】
記憶部170は、処理部100や通信部196などのワーク領域となるもので、その機能はRAM(メインメモリ172)、VRAM(ビデオメモリ174)などにより実現できる。
【0016】
情報記憶媒体180(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部100は、情報記憶媒体180に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体180には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0017】
表示部190は、本実施形態により生成された画像を出力するものであり、その機能は、CRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイ、或いはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などにより実現できる。音出力部192は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカ、或いはヘッドフォンなどにより実現できる。
【0018】
携帯型情報記憶装置194は、プレーヤの個人データやゲームのセーブデータなどが記憶されるものであり、この携帯型情報記憶装置194としては、メモリカードや携帯型ゲーム装置などがある。通信部196は外部(例えばホスト装置や他の画像生成システム)との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0019】
なお本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(データ)は、ホスト装置(サーバー)が有する情報記憶媒体からネットワーク及び通信部196を介して情報記憶媒体180(あるいは記憶部170のメインメモリ172)に配信してもよい。このようなホスト装置(サーバー)の情報記憶媒体の使用も本発明の範囲内に含めることができる。
【0020】
処理部100(プロセッサ)は、操作部160からの操作データやプログラムなどに基づいて、ゲーム処理、画像生成処理、或いは音生成処理などの処理を行う。ここでゲーム処理としては、ゲーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理、ゲームを進行させる処理、キャラクタやマップなどのオブジェクトを配置する処理、オブジェクトを表示する処理、ゲーム結果を演算する処理、或いはゲーム終了条件が満たされた場合にゲームを終了する処理などがある。この処理部100は記憶部170内のメインメモリ172をワーク領域として各種処理を行う。処理部100の機能は各種プロセッサ(CPU(メインプロセッサ)、GPU(描画プロセッサ)、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0021】
処理部100は、オブジェクト空間設定部110、移動・動作処理部112、仮想カメラ制御部114、描画部120、音生成部130を含む。なおこれらの一部を省略する構成としてもよい。
【0022】
オブジェクト空間設定部110は、オブジェクトデータ記憶部172Aに記憶されているオブジェクトデータに基づいて、車、キャラクタ、建物、球場、樹木、柱、壁、コース(道路)、マップ(地形)などの表示物を表す各種オブジェクト(ポリゴン、自由曲面又はサブディビジョンサーフェスなどのプリミティブで構成されるオブジェクト)をオブジェクト空間に配置設定する処理を行う。即ちワールド座標系でのオブジェクトの位置や回転角度(向き、方向と同義)を決定し、決定された位置(X、Y、Z)に決定された回転角度(X、Y、Z軸回りでの回転角度)でオブジェクトを配置する。
【0023】
移動・動作処理部112は、オブジェクト(車、キャラクタ、又は飛行機等)の移動・動作演算(移動・動作シミュレーション)を行う。すなわち操作部160によりプレーヤが入力した操作データや、プログラム(移動・動作アルゴリズム)や、各種データ(モーションデータ)などに基づいて、オブジェクトをオブジェクト空間内で移動させたり、オブジェクトを動作(モーション、アニメーション)させる処理を行う。具体的には、オブジェクトの移動情報(位置、回転角度、速度、或いは加速度)や動作情報(オブジェクトを構成する各パーツの位置、或いは回転角度)を、1フレーム(1/60秒)毎に順次求めるシミュレーション処理を行う。なおフレームは、オブジェクトの移動・動作処理(シミュレーション処理)や画像生成処理を行う時間の単位である。
【0024】
仮想カメラ制御部114は、オブジェクト空間内の所与(任意)の視点から見える画像を生成するための仮想カメラ(視点)の制御処理を行う。具体的には、仮想カメラの位置(X、Y、Z)又は回転角度(X、Y、Z軸回りでの回転角度)を制御する処理(視点位置、視線方向あるいは画角を制御する処理)を行う。
【0025】
例えば仮想カメラによりオブジェクト(例えば車、キャラクタ、ボール)を後方から撮影する場合には、オブジェクトの位置又は回転の変化に仮想カメラが追従するように、仮想カメラの位置又は回転角度(仮想カメラの向き)を制御する。この場合には、移動・動作処理部112で得られたオブジェクトの位置、回転角度又は速度などの情報(所定の制御情報の一例)に基づいて、仮想カメラを制御できる。或いは、仮想カメラを、予め決められた回転角度で回転させたり、予め決められた移動経路で移動させたりする制御を行ってもよい。この場合には、仮想カメラの位置(移動経路)又は回転角度を特定するための仮想カメラデータ(所定の制御情報の一例)に基づいて仮想カメラを制御する。なお、仮想カメラ(視点)が複数存在する場合には、それぞれの仮想カメラについて上記の制御処理が行われる。
【0026】
描画部120は、処理部100で行われる種々の処理(ゲーム処理)の結果に基づいて描画処理を行い、これにより画像を生成し、表示部190に出力する。いわゆる3次元ゲーム画像を生成する場合には、まずオブジェクト(モデル)の各頂点の頂点データ(頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ、法線ベクトル或いはα値等)を含むオブジェクトデータ(モデルデータ)がオブジェクトデータ記憶部172Aから入力され、入力されたオブジェクトデータに含まれる頂点データに基づいて、頂点処理(頂点シェーダによるシェーディング)が行われる。なお頂点処理を行うに際して、必要に応じてポリゴンを再分割するための頂点生成処理(テッセレーション、曲面分割、ポリゴン分割)を行うようにしてもよい。頂点処理では、頂点処理プログラム(頂点シェーダプログラム、第1のシェーダプログラム)に従って、頂点の移動処理や、座標変換(ワールド座標変換、カメラ座標変換)、クリッピング処理、あるいは透視変換等のジオメトリ処理が行われ、その処理結果に基づいて、オブジェクトを構成する頂点群について与えられた頂点データを変更(更新、調整)する。そして、頂点処理後の頂点データに基づいてラスタライズ(走査変換)が行われ、ポリゴン(プリミティブ)の面とピクセルとが対応づけられる。この時、頂点データに含まれるテクスチャ座標、色データ、法線ベクトル或いはα値等は補間されて、ピクセル毎にこれらのデータが設定される。そしてラスタライズに続いて、画像を構成するピクセル(表示画面を構成するフラグメント)を描画するピクセル処理(ピクセルシェーダによるシェーディング、フラグメント処理)が行われる。ピクセル処理では、ピクセル処理プログラム(ピクセルシェーダプログラム、第2のシェーダプログラム)に従って、テクスチャの読出し(テクスチャマッピング)、色データの設定/変更、半透明合成、アンチエイリアス等の各種処理を行って、画像を構成するピクセルの最終的な描画色を決定し、透視変換されたオブジェクトの描画色をレンダリングターゲット(ピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファ。メインメモリ172の画像バッファ172B、ビデオメモリ174の画像バッファ174D)に出力(描画)する。すなわち、ピクセル処理では、画像情報(色、法線、輝度、α値等)をピクセル単位で設定あるいは変更するパーピクセル処理を行う。これにより、オブジェクト空間内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像が生成される。なお、仮想カメラ(視点)が複数存在する場合には、それぞれの仮想カメラから見える画像を分割画像として1画面に表示できるように画像を生成することができる。
【0027】
なお頂点処理やピクセル処理は、シェーディング言語によって記述されたシェーダプログラムによって、ポリゴン(プリミティブ)の描画処理をプログラム可能にするハードウェア、いわゆるプログラマブルシェーダ(頂点シェーダやピクセルシェーダ)により実現される。プログラマブルシェーダでは、頂点単位の処理やピクセル単位の処理がプログラム可能になることで描画処理内容の自由度が高く、従来のハードウェアによる固定的な描画処理に比べて表現力を大幅に向上させることができる。
【0028】
そして描画部120は、オブジェクトを描画する際に、ジオメトリ処理、テクスチャマッピング、隠面消去処理、αブレンディング等を行う。
【0029】
ジオメトリ処理では、オブジェクトに対して、座標変換、クリッピング処理、透視投影変換、或いは光源計算等の処理が行われる。そして、ジオメトリ処理後(透視投影変換後)のオブジェクトデータ(オブジェクトの頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ(輝度データ)、法線ベクトル、或いはα値等)は、メインメモリ172のオブジェクトデータ記憶部172Aに保存される。
【0030】
テクスチャマッピングは、画像バッファ172Bまたは174Dに記憶されるテクスチャ(テクセル値)をオブジェクトにマッピングするための処理である。具体的には、オブジェクトの頂点に設定(付与)されるテクスチャ座標等を用いて画像バッファ172Bまたは174Dからテクスチャ(色(RGB)、α値などの表面プロパティ)を読み出す。そして、2次元の画像であるテクスチャをオブジェクトにマッピングする。この場合に、ピクセルとテクセルとを対応づける処理や、テクセルの補間としてバイリニア補間、トライリニア補間などを行う。
【0031】
隠面消去処理としては、描画ピクセルのZ値(奥行き情報)が格納されるZバッファ174B(奥行きバッファ)を用いたZバッファ法(奥行き比較法、Zテスト)による隠面消去処理を行うことができる。すなわちオブジェクトのプリミティブに対応する描画ピクセルを描画する際に、Zバッファ174Bに格納されるZ値を参照する。そして参照されたZバッファのZ値と、プリミティブの描画ピクセルでのZ値とを比較し、描画ピクセルでのZ値が、仮想カメラから見て手前側となるZ値(例えば小さなZ値)である場合には、その描画ピクセルの描画処理を行うとともにZバッファ174BのZ値を新たなZ値に更新する。
【0032】
αブレンディングとしては、α値(A値)に基づく半透明合成処理(通常αブレンディング、加算αブレンディング又は減算αブレンディング等)を行う。例えば通常αブレンディングの場合には下式(1)〜(3)の処理を行う。
【0033】
=(1−α)×R+α×R (1)
=(1−α)×G+α×G (2)
=(1−α)×B+α×B (3)
また、加算αブレンディングの場合には下式(4)〜(6)の処理を行う。なお単純加算の場合はα=1として下式(4)〜(6)の処理を行う。
【0034】
=R+α×R (4)
=G+α×G (5)
=B+α×B (6)
また、減算αブレンディングの場合には下式(7)〜(9)の処理を行う。なお単純減算の場合はα=1として下式(7)〜(9)の処理を行う。
【0035】
=R−α×R (7)
=G−α×G (8)
=B−α×B (9)
ここで、R、G、Bは、画像バッファ172Bあるいは画像バッファ174Dに既に描画されている画像(原画像)のRGB成分であり、R、G、Bは、画像バッファ172Bあるいは画像バッファ174Dに描画すべき画像のRGB成分である。また、R、G、Bは、αブレンディングにより得られる画像のRGB成分である。なお、α値は、各ピクセル(テクセル、ドット)に関連づけて記憶できる情報であり、例えば色情報以外のプラスアルファの情報である。α値は、マスク情報、半透明度(透明度、不透明度と等価)、バンプ情報などとして使用できる。
【0036】
また、描画部120は、第1の補間処理部122、第2の補間処理部124、補間処理対象領域設定部126、特定色領域設定部128を含む。
【0037】
第1の補間処理部122は、描画バッファ172Bまたは174Dに記憶されたテクスチャ情報等から第1の色と第2の色を取得し、所定のパラメータに基づいて第1の色と第2の色を補間して第3の色を求める。
【0038】
第2の補間処理部124は、第1の色と第3の色を補間して、オブジェクトを構成するプリミティブの描画ピクセルの色を求める。その際に、第2の補間処理部は、視点の向きとオブジェクトを構成するプリミティブの向きとに基づき、視点の向きと正対する基準方向からのずれに応じて第1の色の合成率が低くなるように、第1の色と第3の色とを補間する。
【0039】
補間処理対象領域設定部126は、描画バッファ172Bまたは174Dに記憶されたマスクテクスチャを構成するテクセルに格納された属性情報を参照して、第1の色と第3の色とを補間して描画ピクセルの色を求める補間処理対象領域を設定する。
【0040】
特定色領域設定部128は、描画バッファ172Bまたは174Dに記憶されたマスクテクスチャを構成するテクセルに格納された属性情報を参照して、第1の色、第2の色とは別に設定された特定色で描画ピクセルを描画する特定色領域を設定する。
【0041】
音生成部130は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて音処理を行い、BGM、効果音、又は音声などのゲーム音を生成し、音出力部192に出力する。
【0042】
なお、本実施形態の画像生成システムは、1人のプレーヤのみがプレイできるシングルプレーヤモード専用のシステムにしてもよいし、複数のプレーヤがプレイできるマルチプレーヤモードも備えるシステムにしてもよい。また複数のプレーヤがプレイする場合に、これらの複数のプレーヤに提供するゲーム画像やゲーム音を、1つの端末を用いて生成してもよいし、ネットワーク(伝送ライン、通信回線)などで接続された複数の端末(ゲーム機、携帯電話)を用いて分散処理により生成してもよい。
【0043】
2.本実施形態の第1の手法
以下に、図2〜図5を用いて本実施形態の第1の手法を説明する。本実施形態の第1の手法では、肌が透けて見えるような、薄い素材の衣服(例えばストッキング)を着用したキャラクタの画像を生成する場合を例に取って説明する。
【0044】
2−1.補間処理
図2は、本実施形態の第1の手法の概略を示した図である。本実施形態の第1の手法では、肌の色(第1の色)と、衣服の色(第2の色)が予め設定されている。
【0045】
まず、この予め設定された2つの色が、衣服の厚さを表すパラメータで合成されて、肌の色と衣服の色との補間色(第3の色)が算出される(第1の補間処理)。すなわち、衣服が厚ければ衣服の色が高い割合で合成され、衣服が薄ければ肌の色が高い割合で合成される。このパラメータを調整することで、衣服の厚さを変化させることができる。後述するように、本実施形態の第1の手法ではプリミティブの向きに応じてさらに色を変化させるが、ここで算出された肌の色と衣服の色との補間色は、衣服の色が最も濃く現れる部分の色となる。
【0046】
次に、本実施形態の第1の手法では、肌の色と第1の補間処理で算出された補間色とを、視点の向きとプリミティブの向きに応じた合成率で合成して、プリミティブの描画ピクセルの色を求める(第2の補間処理)。すなわち、衣服の色が最も濃く現れる部分の色である補間色と肌の色をさらに合成することによって、衣服が透けて肌の色が見える部分の色が生成される。具体的には、プリミティブの描画ピクセルに設定された法線ベクトルと視線ベクトルの内積に基づいて、法線ベクトルの向きが視線ベクトルと正対する基準方向からずれるほど肌の色の合成率が低くなるように、肌の色と補間色とを合成する。
【0047】
図3は、本実施形態の第1の手法のオブジェクト空間の概略を示す図である。本実施形態の第1の手法では、オブジェクト空間にオブジェクト200(キャラクタの足のオブジェクト)、仮想カメラVが配置される。そして、オブジェクト200を構成するプリミティブには法線ベクトルNa〜Ncが設定されている。また、仮想カメラVには仮想カメラの向きを表す視線ベクトルNvが設定されている。オブジェクト200が透視投影変換、ラスタライズされると、法線ベクトルNa〜Ncが補間されて、描画ピクセル毎の法線ベクトルが求められる。本実施形態の第1の手法では、当該描画ピクセル毎の法線ベクトルと視線ベクトルの内積が求められ、内積に応じた合成率で肌の色と補間色が合成される。肌の色をa、補完色をb、描画ピクセルの法線ベクトルと視線ベクトルの内積のべき乗をXとすると、この描画ピクセルの描画色cは例えば下式(10)で求められる。
【0048】
c=X×a+(1−X)×b (10)
図4は、本実施形態の第1の手法に基づいて生成されたオブジェクト200の画像である。図4に示すとおり、描画ピクセルの法線ベクトルと視線ベクトルに正対する方向とのずれが大きい描画ピクセルpa1は、補間色に近い描画色で描画される。これは、第2の補間処理によって肌の色と補間色が合成される際に、肌の色が低い割合で合成されるからである。一方、描画ピクセルの法線ベクトルが視線ベクトルとほぼ正対する描画ピクセルpb1は、肌の色に近い描画色で描画される。これは、第2の補間処理によって肌の色と補間色が合成される際に、肌の色が高い割合で合成されるからである。
【0049】
このように、本実施形態の第1の手法を用いることにより、例えばストッキングを身につけたキャラクタの足のモデルを仮想カメラから見た画像を生成することができる。すなわち、足のモデルのうち仮想カメラに正対する部分は肌の色に近い色で描画され、仮想カメラと正対する向きからのずれが大きい部分はストッキングの色が濃く現れる色で描画される。本実施形態の第1の手法を用いることにより、足のモデルとは別の半透明モデルを使用することなく、ストッキングのような薄い生地の衣服を身につけたキャラクタを表現することができる。
【0050】
2−2.本実施形態の第1の手法の処理の流れ
図5は、本実施形態の第1の手法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
画像生成システムはまず、画像バッファ172Bまたは174Dに格納されたテクスチャ等から、肌の色(第1の色)、衣服の色(第2の色)を取得する(ステップS102、S104)。そして、第1の色と第2の色を所定のパラメータ(例えば、衣服の厚さパラメータ)で合成し、補間色(第3の色)を算出する(ステップS106)。
【0052】
次に画像生成システムは、視点に設定された視線ベクトルと描画ピクセルに設定された法線ベクトルの内積を求める(ステップS108)。そして、当該内積に基づいて、肌の色と衣服の色を合成し、描画ピクセルの描画色を決定する(ステップS110)。
【0053】
3.本実施形態の第2の手法
次に、図6、図7を用いて本実施形態の第2の手法について説明する。本実施形態の第2の手法では、本実施形態の第1の手法の補間処理に加えて、マスクテクスチャを用いて補間処理対象領域を設定することにより、本実施形態の第1の手法よりも複雑な形状の衣服(例えば模様入りの網タイツ)を身にまとったキャラクタを表現することができる。尚、本実施形態の第1の手法と共通する部分については、説明を省略する。
【0054】
3−1.マスク処理
図6は、本実施形態の第2の手法で使用されるマスクテクスチャの一例を示す図である。図6に示すように、本実施形態の第2の手法では、テクスチャのRプレーンとGプレーンにそれぞれ異なるマスク情報(属性情報)を格納している。Rプレーンには、格子状のマスク情報が格納されている。R値が0の部分(補間処理対象領域、図6の黒い部分)は、補間処理を行って肌の色(第1の色)と衣服の色(第2の色)が合成された描画色が描画される領域である。補間処理対象領域以外の部分(図6の白い部分)は、補間処理が行われず、肌の色がそのまま描画される領域である。Gプレーンにはエンブレム状のマスク情報が格納されている。GプレーンのG値が0の部分(図6の黒い部分)は、色の変わらない領域(特定色領域)であり、この領域には、肌の色、衣服の色とは別に予め設定された色の変わらない領域の色(特定色)が描画される。
【0055】
本実施形態の第2の手法を用いることにより、例えば網タイツを身につけたキャラクタの足のモデルを仮想カメラから見た画像を生成することができる。すなわち、足の画像の網タイツの格子の部分が補間処理対象領域、網タイツに付いた模様の部分が色の変わらない領域として描画される。本実施形態の第2の手法では、本実施形態の第1の手法よりも複雑な形状の衣服をまとったキャラクタの画像を生成することができる。
【0056】
3−2.本実施形態の第2の手法の処理の流れ
図7は、本実施形態の第2の手法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
まず、画像生成システムは、画像バッファ172Bまたは174Dに格納されたマスクテクスチャのRプレーンに基づいて、補間処理対象領域を設定する(ステップS202)。また、マスクテクスチャのGプレーンから、色の変わらない領域を設定する(ステップS204)。また、肌の色(第1の色)、衣服の色(第2の色)を取得し(ステップS206、S208)、さらに色の変わらない領域の色を取得する(ステップS210)。
【0058】
次に、画像生成システムは、描画しようとする描画ピクセルが色の変わらない領域かどうかを、マスクテクスチャのGプレーンに格納されたマスク情報(属性情報)を参照して判定する(ステップS212)。本実施形態の第2の手法では、色の変わらない領域であることを示すために、マスクテクスチャのGプレーンのテクセルにG=0(黒色)が設定されている。画像生成システムは、描画ピクセルに設定されるテクスチャ座標に従ってマスクテクスチャのテクセルを参照し、参照したテクセルの値が0だった場合は、当該描画ピクセルが色の変わらない領域であると判定する(ステップS212Y)。そして、画像生成システムは、色の変わらない領域であると判定した描画ピクセルを、色の変わらない領域の色で描画する(ステップS214)。
【0059】
描画しようとする描画ピクセルが色の変わらない領域でないと判定した場合(ステップS212N)、画像生成システムはマスクテクスチャのRプレーンに格納されたマスク情報を参照して、当該描画ピクセルが補間処理対象領域か否かを判定する(ステップS216)。具体的には、描画ピクセルに設定されるテクスチャ座標に従って、マスクテクスチャのRプレーンのテクセルを参照し、テクセルにR=0(黒色)が格納されている場合に当該描画ピクセルが補間処理対象領域であると判定する(ステップS216Y)。すると、画像生成システムは肌の色と衣服の色から描画ピクセルの描画色を求める処理を行う。まず、画像生成システムは肌の色と衣服の色を所定のパラメータ(例えば衣服の厚さパラメータ)で合成し、補間色を算出する(ステップS218)。次に画像生成システムは、視点に設定された視線ベクトルと描画ピクセルに設定された法線ベクトルの内積を求める(ステップS220)。そして、当該内積に基づいて、肌の色と補間色を合成し、描画ピクセルの描画色を決定する(ステップS222)。描画しようとする描画ピクセルが補間処理対象領域でないと判定した場合、(ステップS216N)、画像生成システムは、補間処理対象領域でないと判定した描画ピクセルを肌の色で描画する(ステップS224)。
【0060】
4.変形例
4−1.第1の色と第2の色
上記実施形態では、第1の色を肌の色、第2の色を衣服の色とする例を説明したが、これとは逆に、第1の色を衣服の色、第2の色を肌の色としてもよい。上記実施形態では、第1の補間処理で衣服の色が最も濃くなる部分の色として第3の色を算出し、第2の補間処理で内積に基づいて第1の色(肌の色)と第3の色を合成した。これに対し、第1の色を衣服の色、第2の色を肌の色とした場合は、第1の補間処理で衣服の色が最も薄くなる部分の色として第3の色を算出し、第2の補間処理で内積に基づいて第1の色(衣服の色)と第3の色を合成すればよい。
【0061】
4−2.マスクテクスチャ
上記実施形態では、マスクテクスチャのRプレーンとGプレーンにそれぞれ異なるマスク情報を格納する例を説明したが、マスク情報の格納方法はこれに限られるものではない。例えばRプレーンだけを用いてもよいし、Rプレーン、Gプレーン、Bプレーン、αプレーンを用いてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では格子状のマスク情報が白黒2値である例を説明したが、白黒2値ではなく、グレースケールであってもよい。この場合、例えば第3の色にさらにグレースケール値に基づく調整を行うようにする。このようにすれば、第1の領域と第2の領域の境界線がくっきりと色分けされるのではなく、徐々に色が変化するような画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態の画像生成システムの機能ブロック図。
【図2】本実施形態の手法の概略図。
【図3】本実施形態のオブジェクト概略図。
【図4】本実施形態のスクリーン画像概略図。
【図5】本実施形態の処理の流れを示すフローチャート。
【図6】本実施形態で使用されるマスクテクスチャ。
【図7】本実施形態の処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0064】
100 処理部、
110 オブジェクト空間設定部、112 移動・動作処理部、
114 仮想カメラ制御部、
120 描画部、122 第1の補間処理部、124 第2の補間処理部
130 音生成部、
160 操作部、170 記憶部、
172 メインメモリ、
172A オブジェクトデータ記憶部、172B 画像バッファ、
174 ビデオメモリ、
174B Zバッファ、174D 画像バッファ、
180 情報記憶媒体、190 表示部、192 音出力部、
194 携帯型情報記憶装置、196 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトが配置されたオブジェクト空間を所与の視点から見た画像を生成するためのプログラムであって、
第1の色と第2の色とを補間して第3の色を求める第1の補間処理部と、
前記第1の色と前記第3の色とを補間して前記オブジェクトを構成するプリミティブの描画ピクセルの色を求める第2の補間処理部とを含む描画部としてコンピュータを機能させ、
前記第2の補間処理部が、
前記視点の向きと、前記オブジェクトを構成するプリミティブの向きとに基づき、前記視点の向きと正対する基準方向からのずれに応じて前記第1の色の合成率が低くなるように、前記第1の色と前記第3の色とを補間することを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記オブジェクトに対応づけられたテクスチャを構成するテクセルに格納された属性情報を参照して、前記第1の色と前記第3の色とを補間して描画ピクセルの色を求める補間処理対象領域を設定する補間処理対象領域設定部としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項1、2において、
前記オブジェクトに対応づけられたテクスチャを構成するテクセルに格納された属性情報を参照して、前記第1の色、前記第2の色とは別に設定された特定色で描画ピクセルを描画する特定色領域を設定する特定色領域設定部としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項2に従属する請求項3において、
前記描画部が、
前記オブジェクトを構成するプリミティブの描画ピクセルのうち、前記補間処理対象領域、前記特定色領域のいずれでもない描画ピクセルを、第1の色で描画することを特徴とするプログラム。
【請求項5】
コンピュータにより読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項1〜4のいずれかに記載のプログラムを記憶していることを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項6】
オブジェクトが配置されたオブジェクト空間を所与の視点から見た画像を生成するための画像生成システムであって、
第1の色と第2の色とを補間して第3の色を求める第1の補間処理部と、
前記第1の色と前記第3の色とを補間して前記オブジェクトを構成するプリミティブの描画ピクセルの色を求める第2の補間処理部とを含む描画部を有し、
前記第2の補間処理部が、
前記視点の向きと、前記オブジェクトを構成するプリミティブの向きとに基づき、前記視点の向きと正対する基準方向からのずれに応じて前記第1の色の合成率が低くなるように、前記第1の色と前記第3の色とを補間することを特徴とする画像生成システム。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−33285(P2010−33285A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193993(P2008−193993)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】