説明

プロジェクションユニットのキャビネット、プロジェクションユニット、及び、マルチビジョン装置

【課題】映像を表示する必要がない場合に、プロジェクションユニットのキャビネットの容積を小さくすることが可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】プロジェクションユニットのキャビネット10は、枠体20と、天パネル30と、底パネル40と、左側パネル50と、右側パネル60とを備える。天パネル30は、反射ミラー11が光学ユニット1からの光をスクリーンユニット2に向けて反射する組立位置と、折畳位置とを含むように回動する。底パネル40は、光学ユニット1が配置可能な組立位置と、折畳位置とを含むように回動する。左側パネル50及び右側パネル60は、天パネル30及び底パネル40と線接触する組立位置と、折畳位置とを含むように回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンユニットに映像を投写するプロジェクションユニット、そのキャビネット、及び、マルチビジョン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イベント会場や展示会において大画面表示を行う場合に、50〜80インチサイズのプロジェクションユニットを縦及び横方向に複数組合せて大画面を構成するマルチビジョン装置が利用されるようになってきている。プロジェクションユニットの一種であるリアプロジェクションユニットにおいては、内部に設けられた投射ユニットからの映像がスクリーン背面に向けて投射されることにより、当該映像がスクリーンに表示される。リアプロジェクションユニットのキャビネットにおいては、投射映像の光路を遮らないように内部に空洞が設けられている。しかし、当該空洞は、輸送時や保管時には無駄な空間となっていた。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の技術では、キャビネットの筐体を前後半分に分割し、後半分の筐体をスライドして前半分の筐体に収容可能となっている。この技術によれば、輸送時や保管時等において、キャビネットの厚さを半分にすることにより、その容積を半分に低減することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−130697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば搬送時において、プロジェクションユニットのキャビネットを狭い通路や扉に通すことができるように、また、トラックやコンテナへの積載効率を高めて輸送コストを低減することができるように、さらに容積を削減することが求められている。また、特許文献1に開示されたプロジェクションユニットでは、容積を半分に低減できるが、投射ユニットとスクリーンとの間の距離が大きい直接投射方式であることから、容積が十分小さくなるものではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、映像を表示する必要がない場合に、プロジェクションユニットのキャビネットの容積を小さくすることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプロジェクションユニットのキャビネットは、スクリーンユニットと、光学ユニットとを備えるプロジェクションユニットのキャビネットであって、前記スクリーンユニットが設けられた矩形状の枠体を備える。そして、前記枠体の上辺部分と第1連結手段を介して連結された端部を有し、自身に固定された反射ミラーが前記光学ユニットからの光を前記スクリーンユニットに向けて反射する第1位置と、前記枠体内に収容される第2位置とを含むように前記第1連結手段を支点に回動可能な天パネルを備える。そして、前記枠体の下辺部分と第2連結手段を介して連結された端部を有し、前記光学ユニットが配置可能な第1位置と、前記枠体内に収容される第2位置とを含むように前記第2連結手段を支点に回動可能な底パネルを備える。そして、前記枠体の左辺部分と第3連結手段を介して連結された端部を有し、それぞれが前記第1位置にある前記天パネル及び前記底パネルの左端部と接触する第1位置と、前記枠体内に収容された前記天パネル及び前記底パネルの左面を覆う第2位置とを含むように前記第3連結手段を支点に回動可能な左側パネルを備える。そして、前記枠体の右辺部分と第4連結手段を介して連結された端部を有し、それぞれが前記第1位置にある前記天パネル及び前記底パネルの右端部と接触する第1位置と、前記枠体内に収容された前記天パネル及び前記底パネルの右面を覆う第2位置とを含むように前記第4連結手段を支点に回動可能な右側パネルを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、天パネル、底パネル、左側パネル及び右側パネルが折り畳まれると、キャビネットの奥行き寸法を大きく低減することができることから、キャビネットの容積を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係るプロジェクションユニットの構成を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1に係るマルチビジョン装置の構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係るキャビネットの構成を示す斜視図である。
【図4】実施の形態1に係るキャビネットの構成を示す側面断面図である。
【図5】実施の形態1に係るキャビネットの構成を示す側面断面図である。
【図6】実施の形態1に係るキャビネットが折り畳まれた状態を示す斜視図である。
【図7】実施の形態1に係るキャビネットが折り畳まれた状態を示す側面断面図である。
【図8】天パネルが折り畳まれた状態を示す斜視図である。
【図9】底パネルが折り畳まれた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態に係るプロジェクションユニットの構成についてその一部を分解した状態を示す斜視図である。以下、本実施の形態に係るプロジェクションユニット90の前後方向、左右方向、上下方向を、それぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向とするXYZ直交座標系(図1参照)を適宜使用しながら説明する。
【0011】
図1に示されるように、プロジェクションユニット90は、光学ユニット1と、スクリーン2aを有するスクリーンユニット2と、背面カバー3と、キャビネット10とを備える。このプロジェクションユニット90では、光学ユニット1が、反射ミラー11に向けて(+Z側に向けて)映像を投射し、反射ミラー11が、当該映像をスクリーンユニット2の背面に向けて(−X側に向けて)反射することにより、スクリーンユニット2のスクリーン2aに映像が表示される。
【0012】
図2は、上記プロジェクションユニット90を複数備えるマルチビジョン装置91を示す図である。図2に示すように、縦及び横方向に配置された複数のプロジェクションユニット90のスクリーンユニット2が、全体として一つの画面を構成することから、マルチビジョン装置91は、その画面に大きな映像を表示することが可能となっている。なお、図2においては、4つのプロジェクションユニット90が縦2段、横2列に配置された状態が示されているが、プロジェクションユニット90の個数、及び、配列はこれに限ったものではない。
【0013】
図1に戻って、プロジェクションユニット90の構成について説明する。
【0014】
キャビネット10は、矩形状の枠体20と、天パネル30と、底パネル40と、プロジェクションユニット90を正面から見て左側(+Y側)に位置する左側パネル50と、右側(−Y側)に位置する右側パネル60とを備える。スクリーンユニット2は、枠体20の前面(−X側の面)に設けられており、背面カバー3は、天パネル30、底パネル40、左側パネル50及び右側パネル60の後側端部(+X側端部)と脱着可能となっている。背面カバー3がキャビネット10に取り付けられた場合には、スクリーンユニット2、背面カバー3及びキャビネット10に囲まれる内部空間が形成される。光学ユニット1は、キャビネット10と着脱可能となっており、プロジェクションユニット90において映像が表示される場合には、当該内部空間における底パネル40上に配置され、例えばプロジェクションユニット90が搬送される場合には、当該内部空間の外部に取り出される。
【0015】
図3は、本実施の形態に係るキャビネット10の構造を示す斜視図であり、図4及び図5は、その側面断面図である。なお、図3においては、キャビネット10の内部構造を分かりやすくするため、手前側に位置する右側パネル60の側板の図示を省略している。以下、図3〜図5を用いてキャビネット10の構造について説明する。
【0016】
図3に示されるように、枠体20は、平面視矩形状を有するとともに、X方向にある程度の厚みを有している。この枠体20は、例えば、それぞれが断面形状として長方形状を有する4本の鋼管等が矩形に配置され、当該矩形の頂点4箇所において溶接されることにより形成される。
【0017】
天パネル30も同様に平面視矩形状を有している。この天パネル30は、例えば4本のアルミ押出しフレームが矩形に配置され、当該矩形の頂点4箇所において接続されることにより形成される。天パネル30の当該フレームには、矩形状の反射ミラー11の周縁部を支持するミラー支持板金31が固定されている。このミラー支持板金31は、平面視において内側に矩形穴31aを有しており、当該矩形穴31aの周辺部分において、反射ミラー11の周縁部を支持する。
【0018】
反射ミラー11は、矩形穴31aを覆うようにミラー支持板金31上に配置された後、ミラーカバー32によって覆われる。このミラーカバー32には打ち抜き曲げ部32aが矩形の4辺に設けられている。このようなミラーカバー32が反射ミラー11を覆う際には、当該打ち抜き曲げ部32aが反射ミラー11の端を保持するとともに、ミラー支持板金31及びミラーカバー32が反射ミラー11を挟持することにより、反射ミラー4が天パネル30に固定される。このように、本実施の形態に係るミラーカバー32は、外力により反射ミラー11が破損するのを防止する機能を有するとともに、反射ミラー11を固定する機能を有している。
【0019】
図4に示されるように、天パネル30は、枠体20の上側内壁(上辺部分)とヒンジ80a(第1連結手段)を介して連結された前側フレーム30a(−X側端部)を有しており、ヒンジ80aを支点にY軸周りに回動可能となっている。図3に戻って、天パネル30における、ヒンジ80aが設けられた前側フレーム30aと反対側の+X側端部には、スライドラッチ70a及びスライドラッチ70bが、左側端部(+Y側端部)及び右側端部(−Y側端部)にそれぞれ設けられている。
【0020】
第1スライドラッチたるスライドラッチ70aは、Y方向にスライド可能なツマミを有しており、当該ツマミが+Y方向にスライドされると、スライドラッチ70aの凸部が天パネル30の+Y側端を越えて外側に突出し、当該ツマミが−Y方向にスライドされると、当該凸部がスライドラッチ70a内に後退する。図4に示されるように、左側パネル50の後側フレーム50d(+X側端部)には角穴50a(第1穴)が設けられており、スライドラッチ70aから突出した凸部が当該角穴50aに係止されると、天パネル30が、その後側端部(+X側端部)が下側に傾けられた状態で固定される。
【0021】
同様に、第2スライドラッチたるスライドラッチ70bは、Y方向にスライド可能なツマミを有しており、当該ツマミが−Y方向にスライドされると、スライドラッチ70bの凸部が天パネル30の−Y側端を越えて外側に突出し、当該ツマミが+Y方向にスライドされると、当該凸部がスライドラッチ70b内に後退する。図5に示されるように、右側パネル60の後側フレーム60d(+X側端部)には角穴60a(第3穴)が設けられており、スライドラッチ70bから突出した凸部が当該角穴60aに係止されると、天パネル30が、その後側端部(+X側端部)が下側に傾けられた状態で固定される。
【0022】
底パネル40は、枠体20と連結された第1底パネル41と、枠体20と第1底パネル41を介して連結された第2底パネル42とを備える。第1及び第2底パネル41,42はいずれも、平面視矩形状を有している。第1底パネル41は、例えば矩形に配置された4本のアルミ押出しフレームが当該矩形の頂点4箇所において接続され、それによって形成される矩形構造内側の穴が底板45により塞がれて形成される。同様に、第2パネル42は、例えば矩形に配置された4本のアルミ押出しフレームが当該矩形の頂点4箇所において接続され、それによって形成される矩形構造内側の穴が底板46により塞がれて形成される。第1及び第2底パネル41,42のフレーム41a,42aは、ヒンジ80b(第2連結手段)を介して互いに連結されており、一方のパネルが他方のパネルに対してヒンジ80bを支点にY軸周りに回動可能となっている。つまり、第1及び第2底パネル41,42は、一方が他方に対して屈曲可能となっている。
【0023】
底パネル40は、枠体20の下側内壁(下辺部分)とヒンジ80c(連結手段)を介して連結された前側フレーム41b(−X側端部)を有しており、ヒンジ80cを支点にY軸周りに回動可能となっている。なお、本実施の形態では、ヒンジ80cを介して枠体20と連結される前側フレーム41bは、第1底パネル41の前側フレーム41bである。底パネル40における、ヒンジ80cが設けられた前側フレーム41bと反対側の後側端部(+X側端部)には、スライドラッチ70c及びスライドラッチ70dが、左側端部(+Y側端部)及び右側端部(−Y側端部)にそれぞれ設けられている。なお、本実施の形態では、スライドラッチ70c,70dは、第2底パネル42の後側端部(+X側端部)に設けられている。
【0024】
第3スライドラッチたるスライドラッチ70cは、上述のスライドラッチ70aと同様の構成及び機能を有している。図4に示されるように、左側パネル50の後側フレーム50d(+X側端部)には角穴50b(第2穴)が設けられており、スライドラッチ70cから突出した凸部が当該角穴50bに係止されると、第1底パネル41が、その後側端部(+X側端部)が下側に傾けられた状態で固定されるとともに、第2底パネル42が、XY平面と平行となる状態、つまり水平配置された状態で固定される。
【0025】
第4スライドラッチたるスライドラッチ70dは、上述のスライドラッチ70bと同様の構成及び機能を有している。図5に示されるように、右側パネル60の後側フレーム60d(+X側端部)には角穴60b(第4穴)が設けられており、スライドラッチ70dから突出した凸部が当該角穴60bに係止されると、第1底パネル41が、その後側端部(+X側端部)が下側に傾けられた状態で固定されるとともに、第2底パネル42が、XY平面と平行となる状態、つまり水平配置された状態で固定される。
【0026】
左側パネル50は、平面視矩形状を有している。この左側パネル50は、例えば矩形に配置された4本のアルミ押出しフレームが当該矩形の頂点4箇所において接続され、それによって形成される矩形構造内側の穴が側板55により塞がれて形成される。左側パネル50の奥行き寸法(X方向の寸法)は、枠体20の幅寸法(Y方向の寸法)の半分以下となっている。
【0027】
図4に示されるように、左側パネル50は、枠体20の左辺部分の後壁とヒンジ80d(第3連結手段)を介して連結された前側フレーム50c(−X側端部)を有しており、ヒンジ80dを支点にZ軸周りに回動可能となっている。本実施の形態では、左側パネル50は、枠体20の内側に位置する状態から、枠体20にほぼ垂直となる状態まで回動可能となっており、それ以上の回動は枠体20の当該後壁により妨げられる。また、左側パネル50における、ヒンジ80dが設けられた前側フレーム50cと反対側の後側フレーム50d(+X側端部)には、上述の角穴50a(第1穴)、及び、上述の角穴50b(第2穴)が設けられている。
【0028】
本実施の形態では、枠体20、天パネル30及び左側パネル50の間に形成される三角形状の穴を塞ぐ略三角形状のカバー板金56が、左側パネル50の上側フレーム50eの+Z側先端に取り付けられている。また、第1底パネル41を支持する断面L字型の支持金具57が左側パネル50の側板55に固定されているとともに、第2底パネル42を支持する断面L字型の支持金具58が、左側パネルの下側フレーム50f(−Z側端部)に固定されている。これにより、−Z方向への荷重に対する第2底パネル42の固定強度が高まることから、ある程度荷重の大きい光学ユニット1を底パネル40上に配置することができる。
【0029】
図5に示される右側パネル60は、図4に示される左側パネル50と左右対称な構造であるため、主要な点についてのみ説明する。
【0030】
図5に示されるように、右側パネル60は、枠体20の右辺部分の後壁とヒンジ80e(第4連結手段)を介して連結された前側フレーム60c(−X側端部)を有しており、ヒンジ80eを支点にZ軸周りに回動可能となっている。本実施の形態では、右側パネル60は、枠体20の内側に位置する状態から、枠体20にほぼ垂直となる状態まで回動可能となっており、それ以上の回動は枠体20の当該後壁により妨げられる。また、右側パネル60における、ヒンジ80eが設けられた前側フレーム60cと反対側の後側フレーム60d(+X側端部)には、上述の角穴60a(第3穴)、及び、上述の角穴60b(第4穴)が設けられている。
【0031】
なお、右側パネル60は、左側パネル50の側板55に対応する側板65を有しており、左側パネル50と同様に、カバー板金56、支持金具57及び支持金具58が設けられている。そして、右側パネル60の奥行き寸法(X方向の寸法)は、枠体20の幅寸法(Y方向の寸法)の半分以下となっている。
【0032】
図6は、以上において説明したキャビネット10の天パネル30、底パネル40、左側パネル50及び右側パネル60が内側に折り畳まれた状態を示す斜視図であり、図7は、その状態を示す側面断面図である。本実施の形態に係るキャビネット10では、天パネル30、底パネル40、左側パネル50及び右側パネル60を折り畳んで、キャビネット10の容積を低減することが可能となっている。以下、キャビネット10を、図3に示される組立状態から図6に示される折畳状態にする手順について説明する。
【0033】
図8は、図3に示される組立状態において、天パネル30が折り畳まれた状態を示す斜視図である。天パネル30は、反射ミラー11が光学ユニット1からの光をスクリーンユニット2に向けて反射する第1位置たる組立位置(図3)と、枠体20内に収容される第2位置たる折畳位置(図8)とを含むように、ヒンジ80aを支点に回動可能となっている。したがって、図3に示される状態において、天パネル30のスライドラッチ70a,70bを解除し、ヒンジ80aを支点に天パネル30を組立位置から折畳位置まで回動すれば、図8に示されるように天パネル30を枠体20内に収容することができる。
【0034】
なお、図4及び図5に示されるように、本実施の形態では、枠体20の左側内壁及び右側内壁に角穴20a,20cがそれぞれ設けられており、天パネル30が折畳位置にある場合に、スライドラッチ70a,70bの凸部が角穴20a,20cに係止されると、天パネル30が折畳位置において固定されるものとなっている。
【0035】
図9は、図8に示される状態において、底パネル40が折り畳まれた状態を示す斜視図である。底パネル40は、光学ユニット1が配置可能な第1位置たる組立位置(図8)と、枠体20内に収容される第2位置たる折畳位置(図9)とを含むように、ヒンジ80cを支点に回動可能となっている。したがって、図8に示される状態において、底パネル40のスライドラッチ70c、70dを解除し、ヒンジ80cを支点に底パネル40を組立位置から折畳位置まで回動すれば、図9に示されるように底パネル40を枠体20内に収容することができる。
【0036】
また、底パネル40が組立位置にある場合には、第2底パネル42が水平配置され、光学ユニット1が当該第2底パネル42上に配置される。これにより、光学ユニット1と反射ミラー11とを所望の距離だけ互いに離間させた状態で光学ユニット1をキャビネット10内に配置させることができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、底パネル40は第1及び第2底パネル41,42から構成されていることから、底パネル40が枠体20内に収容される際には、第1底パネル41及び第2底パネル42が同一面となるように、第2底パネル42が第1底パネル41に対して回動される。また、図4及び図5に示されるように、本実施の形態では、枠体20の左側内壁及び右側内壁に角穴20b、20dがそれぞれ設けられており、底パネル40が折畳位置にある場合に、スライドラッチ70c,70dの凸部が角穴20b,20dに係止されると、底パネル40が折畳位置において固定されるものとなっている。
【0038】
図9に示される状態において、左側パネル50及び右側パネル60を折り畳むと、図6に示した折畳状態となる。左側パネル50は、それぞれが組立位置にある天パネル30及び底パネル40の左端部(+Y側端部)と接触する第1位置たる組立位置(図3)と、枠体20内に収容された天パネル30及び底パネル40の左面(+Y側の面)を覆う第2位置たる折畳位置(図6)とを含むようにヒンジ80dを支点に回動可能となっている。同様に、右側パネル60は、それぞれが組立位置にある天パネル30及び底パネル40の右端部(−Y側端部)と接触する第1位置たる組立位置(図3)と、枠体20内に収容された天パネル30及び底パネル40の右面(−Y側の面)を覆う第2位置たる折畳位置(図6)とを含むようにヒンジ80eを支点に回動可能となっている。
【0039】
以上、キャビネット10を、組立状態から折畳状態にする手順について説明したが、折畳状態から組立状態にする場合には、これと逆の手順を行えばよい。
【0040】
以上のような本実施の形態に係るプロジェクションユニット90及びそのキャビネット10によれば、天パネル30、底パネル40、左側パネル50及び右側パネル60が折り畳まれる。この折り畳みによって、幅と高さ(Y及びZ方向の寸法)は変化しないが、キャビネットの奥行き寸法(X方向の寸法)を大きく低減することができることから、キャビネット10の容積を大きく低減することができる。したがって、キャビネット10を狭い通路や扉に通すことができ、また、トラックやコンテナへの積載効率を高めて輸送コストを低減することができる。
【0041】
なお、実際に適用したところ、キャビネット10の奥行き寸法が、元の4分の1程度に低減され、容積も元の4分の1程度に低減できた。つまり、特許文献1に記載の技術よりも大きく容積を低減することができた。
【0042】
また、本実施の形態に係るプロジェクションユニット90のキャビネット10によれば、スライドラッチ70a〜70dにより、天パネル30、底パネル40、左側パネル50及び右側パネル60が組立位置に固定される。したがって、工具等を別途使用しなくても容易にキャビネット10を組み立てることができる。
【0043】
なお、マルチビジョン装置91について再度説明すると、図2に示されるように、複数のプロジェクションユニット90が、それぞれのキャビネット10の天パネル30、底パネル40、左側パネル50及び右側パネル60を組立位置にした状態で縦及び横方向に配置されている。そして、複数のプロジェクションユニット90のうち、縦方向に互いに隣接して配置された任意の二つのプロジェクションユニット90に関し、上側のプロジェクションユニット90の左側パネル50及び右側パネル60は、下側のプロジェクションユニット90の左側パネル50及び右側パネル60にそれぞれ積載されている。
【0044】
このようなマルチビジョン装置91によれば、左側パネル50(縦方向に延在する前側及び後側フレーム50c,50d)と、右側パネル(縦方向に延在する前側及び後側フレーム60c,60d)とが柱となることから、上側のプロジェクションユニット90の荷重に対して十分な強度を有することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 光学ユニット、2 スクリーンユニット、10 キャビネット、11 反射ミラー、20 枠体、30 天パネル、40 底パネル、41 第1底パネル、42 第2底パネル、50 左側パネル、50a,50b,60a,60b 角穴、60 右側パネル、70a〜70d スライドラッチ、80a〜80e ヒンジ、90 プロジェクションユニット、91 マルチビジョン装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンユニットと、光学ユニットとを備えるプロジェクションユニットのキャビネットであって、
前記スクリーンユニットが設けられた矩形状の枠体と、
前記枠体の上辺部分と第1連結手段を介して連結された端部を有し、自身に固定された反射ミラーが前記光学ユニットからの光を前記スクリーンユニットに向けて反射する第1位置と、前記枠体内に収容される第2位置とを含むように前記第1連結手段を支点に回動可能な天パネルと、
前記枠体の下辺部分と第2連結手段を介して連結された端部を有し、前記光学ユニットが配置可能な第1位置と、前記枠体内に収容される第2位置とを含むように前記第2連結手段を支点に回動可能な底パネルと、
前記枠体の左辺部分と第3連結手段を介して連結された端部を有し、それぞれが前記第1位置にある前記天パネル及び前記底パネルの左端部と接触する第1位置と、前記枠体内に収容された前記天パネル及び前記底パネルの左面を覆う第2位置とを含むように前記第3連結手段を支点に回動可能な左側パネルと、
前記枠体の右辺部分と第4連結手段を介して連結された端部を有し、それぞれが前記第1位置にある前記天パネル及び前記底パネルの右端部と接触する第1位置と、前記枠体内に収容された前記天パネル及び前記底パネルの右面を覆う第2位置とを含むように前記第4連結手段を支点に回動可能な右側パネルと
を備えるプロジェクションユニットのキャビネット。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクションユニットのキャビネットであって、
前記左側パネルにおける、前記第3連結手段が設けられた端部と反対側の端部には第1及び第2穴が設けられ、
前記右側パネルにおける、前記第4連結手段が設けられた端部と反対側の端部には第3及び第4穴が設けられ、
前記天パネルにおける、前記第1連結手段が設けられた端部と反対側の端部には、前記第1及び第3穴とそれぞれ係止可能な第1及び第2スライドラッチとが設けられ、
前記底パネルにおける、前記第2連結手段が設けられた端部と反対側の端部には、前記第2及び第4穴とそれぞれ係止可能な第3及び第4スライドラッチとが設けられている、プロジェクションユニットのキャビネット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクションユニットのキャビネットであって、
前記底パネルは、前記枠体と連結された第1底パネルと、前記枠体と前記第1底パネルを介して連結された第2底パネルとを備え、
前記第1及び第2底パネルは、一方が他方に対して屈曲可能となっており、
前記底パネルが前記第1位置にある場合には前記第2底パネルが水平配置され、前記光学ユニットが当該第2底パネル上に配置される、プロジェクションユニットのキャビネット。
【請求項4】
前記天パネル及び前記底パネルがそれぞれ前記第1位置にある請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプロジェクションユニットのキャビネットと、
前記枠体に固定されたスクリーンユニットと、
前記底パネル上に配置された光学ユニットと
を備えるプロジェクションユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクションユニットを複数備え、
複数の前記プロジェクションユニットは、それぞれの前記キャビネットの前記天パネル、前記底パネル、前記左側パネル及び前記右側パネルが前記第1位置にある状態で、縦及び横方向に配置され、
前記複数のプロジェクションユニットのうち、縦方向に互いに隣接して配置された任意の二つのプロジェクションユニットに関し、上側のプロジェクションユニットの前記左側パネル及び前記右側パネルは、下側のプロジェクションユニットの前記左側パネル及び前記右側パネルにそれぞれ積載されている、マルチビジョン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−37745(P2012−37745A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178354(P2010−178354)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】