プロジェクターおよびプロジェクターの画面形状補正方法
【課題】直感的且つスクリーンから離れた場所で画面形状補正を行うことができるプロジェクター、投写システムおよびプロジェクターの画面形状補正方法を提供する。
【解決手段】投写画面の形状を示す補正画面をスクリーンSC上に表示する投写光学系30と、スクリーンSC上における、レーザーポインターを用いたポイント位置の移動を検出する移動検出部16aと、ポイント位置の移動に基づいて、補正画面の形状を変形させると共に投写画面の画面形状を補正する画面形状補正部12aと、を備えた。
【解決手段】投写画面の形状を示す補正画面をスクリーンSC上に表示する投写光学系30と、スクリーンSC上における、レーザーポインターを用いたポイント位置の移動を検出する移動検出部16aと、ポイント位置の移動に基づいて、補正画面の形状を変形させると共に投写画面の画面形状を補正する画面形状補正部12aと、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
投写画面をスクリーン上に表示するプロジェクターおよびプロジェクターの画面形状補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターの画面形状補正機能として、「キーストーン歪み補正」(例えば、特許文献1)や「クイックコーナー補正」(例えば、非特許文献1)が知られている。前者のキーストーン歪み補正は、縦・横方向(垂直・水平方向)の歪み補正を行うものであり、通常、装置本体に備えられた操作パネル、若しくは遠隔操作を行うためのリモートコントローラー(以下、「リモコン」と称する)に備えられた上下左右ボタンを用いて補正操作を行う。一方、後者の「クイックコーナー補正」は、投写画面の4つの角に対してそれぞれ歪み補正を行うものであり、OSD(On Screen Display)画面で、補正対象となる角を選択し、上記の上下左右ボタンを用いて補正操作を行う。
【0003】
【特許文献1】特開2004−246242号公報
【非特許文献1】オフィリオ プロジェクター EMP−1815/1810 取扱説明書 2007年度版 p.14〜16 エプソン販売株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のように操作パネルやリモコンを用いて画像形状補正を行う方法は、上下左右ボタンを何度も押下する必要があるため手間がかかる。また、スクリーンサイズが大きい場合、スクリーンから離れて投写画面の歪みを確認する必要があるが、リモコンを用いた場合でも、赤外線が届く範囲までしか移動できないため、わざわざリモコンを操作可能な位置までプロジェクターに近づいてから補正操作を行わなければならない。さらに、リモコンを用いると、複数台のプロジェクターが近接して配置されている場合に(複数のプロジェクターを用いて大きな1画面を投写する、いわゆるタイリング表示やマルチスクリーン表示と称される表示を行った場合など)、操作対象となるプロジェクター以外のプロジェクターに影響を及ぼしてしまうといった問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、(1).画面形状補正を容易に行うことができること、(2).スクリーンから離れた場所で画面形状補正を行うことができること、(3).複数台のプロジェクターが近接して配置されている場合でも、他のプロジェクターに影響を与えることなく画面形状補正を行うことができること、などを実現可能なプロジェクターおよびプロジェクターの画面形状補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、投写画面をスクリーン上に表示する投写表示部と、スクリーン上における、ポインティングデバイスを用いたポイント位置の移動を検出する移動検出部と、ポイント位置の移動に基づいて、投写画面の画面形状を補正する画面形状補正部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明のプロジェクターの画面形状補正方法は、投写画面をスクリーン上に表示するプロジェクターの画面形状補正方法であって、スクリーン上における、ポインティングデバイスを用いたポイント位置の移動を検出するステップと、ポイント位置の移動に基づいて、投写画面の画面形状を補正するステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、ポインティングデバイスを用いて、スクリーン上のポイント位置を移動させることにより、直感的に且つ容易に投写画面の画面形状を補正することができる。また、ポインティングデバイスとして、プロジェクターに有線接続されたものやレーザーポインターなどを使用することで、複数台のプロジェクターが近接して配置されている場合でも、他のプロジェクターに影響を与えることなく画面形状補正を行うことができる。
なお、ポインティングデバイスとしては、マウス、タッチパネル、トラックパッド、タッチパッド、ジョイスティック、トラックボール、各種ポインターなど、その種類を問わない。また、ポインティングデバイスとプロジェクターは、有線接続であっても良いし、無線接続(赤外線通信や近距離無線通信など)であっても良い。また、非接続状態(レーザーポインターを用いた場合など)であっても良い。さらに、有線接続や無線接続の場合、直接的な接続でなくても良く、ポインティングデバイスとプロジェクターの間にパーソナルコンピューターなどを介した間接的な接続であっても良い。
【0009】
上記に記載のプロジェクターにおいて、移動検出部は、ポイント位置の移動方向および移動量を検出することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ポイント位置の移動方向と移動量に基づいて、補正方向や補正量を指示することができる。これにより、より直感的な補正操作が可能となる。
【0011】
上記に記載のプロジェクターにおいて、ポインティングデバイスは、スクリーンに対して光線を照射するポインターであり、移動検出部は、ポインターの照射位置を撮像した撮像結果に基づいて、当該照射位置に相当するポイント位置の移動を検出することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ポインティングデバイスとして、プレゼンテーションなどの際に投写画像の任意の位置を指し示すために用いられるポインターを適用できるため、画像形状補正を行うために特別なポインティングデバイスを必要としない。また、ポインターを用いるため、スクリーンから離れた場所で画面形状補正を行うことができる。
なお、本構成の場合、移動検出部としては、CCDカメラやCMOSカメラなどの撮像手段を用いることが想定される。また、ポインターとしては、レーザーポインターをはじめ、LEDライトや指向性の高い懐中電灯などを用いても良い。また、LEDライトとしては、砲弾型のLEDを用いることが好ましい。
【0013】
上記に記載のプロジェクターにおいて、投写表示部は、投写画面の形状を示す矩形領域をスクリーン上に表示し、移動検出部は、スクリーン上に表示されている矩形領域を基準としたポイント位置の移動を検出することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、スクリーン上に表示された矩形領域を基準にして、ポイント位置を移動させれば良いため、補正操作をより簡単に行うことができる。
【0015】
上記に記載のプロジェクターにおいて、画面形状補正部は、ポイント位置が近接または重畳された、矩形領域の辺および/または頂点の位置を、ポイント位置の移動に伴って変化させることにより、投写画面の画面形状を補正することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、矩形領域の辺や頂点の位置を移動させる感覚で、投写画面の画面形状を補正することができる。また、補正操作に伴って矩形領域の形状(辺や頂点の位置)も変化するため、補正結果を確認しながら操作を行うことができる。
【0017】
上記に記載のプロジェクターにおいて、投写表示部は、矩形領域と共に、当該矩形領域の4つの頂点位置を含む複数個所に配置された複数のマーカー画像を表示し、移動検出部は、マーカー画像上を通過したポイント位置の移動を検出することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、マーカー画像を表示することで、ユーザーが、矩形領域のどの部分にポイント位置を合わせて移動させれば良いかを把握することができる。また、マーカー画像上を通過したポイント位置の移動を検出する構成であるため、言い換えればポイント位置がマーカー画像上を通過しない場合は、画像補正を行わない。これにより、ユーザーの意思に反して矩形領域が変形され、画像補正されてしまうことを防止できる。
なお、画面形状補正部は、ポイント位置が通過したマーカー画像に対応する位置を、ポイント位置の移動に伴って変化させる。これによりユーザーは、形状を変化させたい位置に対応するマーカー画像にポイント位置を合わせて移動させれば良く、より直感的に補正操作を行うことができる。
また、移動検出部は、マーカー画像領域内を通過した全てのポイント位置の移動を検出しても良いが、その検出対象領域をマーカー画像領域内に限定しても良い。つまり、マーカー画像領域内におけるポイント位置の移動のみ検出しても良い。また、マーカー画像領域内を移動開始点および/または移動終了点とするポイント位置の移動を検出しても良い。
【0019】
上記に記載のプロジェクターにおいて、複数のマーカー画像は、矩形領域の4つの角にそれぞれ内接し、互いに重畳しない4つの角部領域を含むことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、マーカー画像が矩形領域の4つの角に対応して設けられているため、それぞれを任意の方向に移動させることで、歪みのない投写画面を表示できる。また、4つのマーカー画像は、いずれも矩形領域に内接しているため、マーカー画像の表示によって矩形領域の形状把握が阻害されることがない。
【0021】
上記に記載のプロジェクターにおいて、ポイント位置の移動に基づいて画面形状補正を行う補正モードと、投写画面の投写を行う通常モードと、を切り替えるモード切替部をさらに備え、移動検出部および画面形状補正部は、補正モード時のみ機能することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、補正モード時のみ画面形状補正が可能となるため、通常の投写画像を表示している際に、ユーザーの意思に反して画面形状補正が行われてしまうことを防止できる。
【0023】
上記に記載のプロジェクターにおいて、モード切替部は、移動検出部により、ポイント位置がスクリーン上の投写画面または矩形領域を除く特定領域に重畳されたことを検出した場合、モード切替を行うことが好ましい。
【0024】
上記に記載のプロジェクターにおいて、モード切替部は、移動検出部により、ポイント位置の移動軌跡によって特定の線画像が描かれたことを検出した場合、モード切替を行うことが好ましい。
【0025】
これらの構成によれば、ポインティングデバイスを用いてモード切替を行うことができるため、スクリーンから離れた場所に居る場合でも、プロジェクター本体に近づくことなく、モード切替および画面形状補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る投写システムのイメージ図である。
【図2】補正画面の説明図と、ポインターのブロック図である。
【図3】プロジェクターのブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る補正操作の説明図である。
【図5】第1実施形態に係る撮像画像を示す図である。
【図6】調整マーカーに対するポイント位置の移動を説明するための説明図である。
【図7】図6とは異なる、ポイント位置の移動を説明するための説明図である。
【図8】画面形状補正処理を示すフローチャートである。
【図9】モード切替方法を示す説明図である。
【図10】図9とは異なる、モード切替方法を示す説明図である。
【図11】マーカー画像の変形例を示す図である。
【図12】図11とは異なる、マーカー画像の変形例を示す図である。
【図13】第2実施形態に係る投写システムのイメージ図である。
【図14】第2実施形態に係る補正操作の説明図である。
【図15】第2実施形態に係る撮像画像を示す図である。
【図16】補正操作を行う操作位置の説明図である。
【図17】モード選択の階層構造を示す図である。
【図18】選択モードに応じた補正画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、添付した図面を参照し、本発明の一実施形態に係るプロジェクターおよびプロジェクターの画面形状補正方法について説明する。図1は、第1実施形態に係る投写システムSY1のイメージ図である。同図に示すように、投写システムSY1は、投写画面10を投写するプロジェクター1と、投写画面10上の任意の位置を指し示すためのポインター2と、投写画面10が投写されるスクリーンSCと、を備えている。ここで、投写画面10とは、スクリーンSCに投写光が投写される全体領域(以下、「投写領域」と称する)を指す。
【0028】
操作者(ユーザー)は、プロジェクター1本体に備えられた操作パネル14やリモコン15(いずれも図3参照)を操作して、スクリーンSC上に投写画面10を投写させる。その後、ポインター2からレーザー光を照射して、スクリーンSC上にポイント位置P(照射点)を表示し、投写画像中の重要部分を指し示しながらプレゼンテーションを行う。なお、プロジェクター1には、必要に応じてパーソナルコンピューターなどの外部機器が接続されるが、本発明には直接関係がないため説明を省略する。
【0029】
ところで、本実施形態のプロジェクター1は、上記のポインター2を用いて、投写画面10の画面形状補正(台形歪み補正など)を行い得るようになっている。また、当該画面形状補正は、投写画面10を表示させる通常モードから、画面形状補正を行うための補正モードに切り替えられた状態で行われる。
【0030】
図2(a)は、補正モード時にスクリーンSC上に表示される補正画面20(矩形領域)と、調整マーカーM(マーカー画像)を示す図である。補正画面20は、投写画面10と略同一のアスペクト比を有する矩形領域であり、投写画面10と同様に、スクリーンSCに対するプロジェクター1の配置によって台形歪みが生じる。操作者は、この台形歪みが無くなるように、補正画面20の形状を調整することで、投写画面10の形状補正操作を行う。なお、補正画面20は、投写画面10(投写領域)を縮小した縮小サイズであっても良いが、投写画面10と略同一の大きさを有することが好ましい。一方、補正画面20の4つの角部には、それぞれ同サイズ且つ同形状の調整マーカーMが表示される。操作者は、この調整マーカーMを用いて補正画面20の形状を調整する。なお、投写画面10の形状補正操作については、後に詳述する。
【0031】
次に、図2(b)および図3を参照し、ポインター2およびプロジェクター1のハードウェア構成について説明する。図2(b)は、ポインター2の構成を示すブロック図である。ポインター2は、レーザー照射部21、レーザー発光部22および操作部23を備えている。操作部23は、スイッチであり、ON/OFFを切り替える。なお、操作部23をボタンで構成し、押下している間レーザー光を照射し続ける構成としても良い。レーザー発光部22は、操作部23の操作にしたがってレーザー光を発光し、当該レーザー光は、レーザー照射部21により照射される。
【0032】
図3は、プロジェクター1の構成を示すブロック図である。プロジェクター1は、画像信号入力部11、画像処理部12、撮像部13、操作パネル14、リモコン15、制御部16および投写光学系30(投写表示部)を備えている。
【0033】
画像信号入力部11は、パーソナルコンピューターやビデオプレーヤーなどの外部機器、若しくはUSBメモリー等の外部記憶媒体から、画像信号(RGB信号やコンポジット信号など)を入力する。画像処理部12は、画像信号入力部11により入力された画像信号に対し、所定の画像処理を施して、後述するライトバルブ駆動部31に出力する。所定の画像処理としては、画質調整処理、画像サイズ調整処理、ガンマ補正処理などが含まれる。また、画像処理部12は、画面形状補正部12aを有し、操作者によるポインター2を用いた補正操作に基づき、投写画面10(補正画面20)の画面形状を補正する画面形状補正処理を行う。
【0034】
撮像部13は、プロジェクター1の前面に搭載されたCCDカメラやCMOSカメラにより実現され、スクリーンSCを撮像する。撮像対象としては、ピント調整(フォーカス調整)を行うためのテストパターンや、上記の補正画面20を撮像する。補正画面20の撮像は、当該補正画面20上におけるポイント位置Pの移動を認識するために行われる。
【0035】
操作パネル14は、プロジェクター1本体に設けられ、各種操作を行うための操作子群を有している。操作子群には、環境設定メニューをOSD表示させるためのメニューボタンの他、補正モードと通常モードを切り替えるためのモード切替ボタンが含まれる。また、リモコン15は、プロジェクター1本体を遠隔操作するためのものであり、操作パネル14と同様に、各種操作子群を有している。
【0036】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、プロジェクター1を統括制御する。また、制御部16は、移動検出部16aおよびモード切替部16bを有している。前者の移動検出部16aは、撮像部13の撮像結果から、ポインター2によるスクリーンSC上のポイント位置Pの移動を検出する(詳細については、後述する)。また、後者のモード切替部16bは、操作パネル14やリモコン15を用いたモード切替操作にしたがって、補正モードと通常モードを切り替える。
【0037】
一方、投写光学系30は、液晶方式を採用し、ライトバルブ駆動部31、ランプ駆動部32、レンズ位置検出部33、レンズ駆動部34、光源ランプ35、液晶ライトバルブ36およびレンズ群37を有している。
【0038】
ライトバルブ駆動部31は、液晶ライトバルブ36を駆動するためのドライバーであり、液晶ライトバルブ36の各画素に、画像信号に応じた駆動電圧を印加することにより、各画素の光透過率を設定する。レンズ位置検出部33は、レンズ群37に含まれるフォーカスレンズやズームレンズ(いずれも図示省略)の光軸方向における位置を検出する。なお、レンズ群37には、フォーカスレンズやズームレンズの他、投写レンズが含まれる。レンズ駆動部34は、レンズ群37の位置や角度を調整するためのドライバーであり、レンズ位置検出部33の検出結果に基づいて調整を行う。
【0039】
ランプ駆動部32は、放電発光型のランプである光源ランプ35を点灯するためのドライバーであり、高電圧を発生して放電回路を形成するイグナイタ部と、点灯後の安定した点灯状態を維持するためのバラスト回路と、を有している(いずれも図示省略)。光源ランプ35としては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプまたは高圧水銀ランプを適用可能である。なお、光源ランプ35に代えて、レーザーやLEDなどの固体光源を用いても良い。
【0040】
上記の構成により、光源ランプ35から射出された光は、光分離光学系(ダイクロイックミラーなど,図示省略)によって、R,G,Bの色光に分離された後、各色用の液晶ライトバルブ36を透過することによって変調される。また、変調された画像光は、光合成光学系(ダイクロイックプリズムなど,図示省略)により画素毎に合成されてカラー画像化され、当該カラー画像化された画像光が、レンズ群37を経て射出されることにより、スクリーンSC上に投写画像が表示される。
【0041】
次に、図4ないし図7を参照し、画面形状補正処理について説明する。図4は、補正操作の説明図である。例えば、同図(a)に示すように、補正画面20が歪んだ形状で表示されている状態で、ポインター2によるレーザー光の照射により、ポイント位置Pを補正画面20の右下角部に配置された調整マーカーMに合わせて右下方向に移動させると(同図(b)参照)、当該ポイント位置Pの移動方向および移動量に基づいて、補正画面20の画面形状が変化する(同図(c)参照)。すなわち、図4の例では、補正画面20の右下部の頂点位置が変化する。なお、本例では、補正画面20の画面形状が変化したことによって、同図(c)では、ポイント位置Pが調整マーカーM上に配置された状態となっている。これは、本例において、「ポイント位置Pの移動量≒補正画面20の形状変化量(頂点位置の変化量)」と設定されているためであるが、ポイント位置Pの移動量に対して補正画面20の形状変化量を大きく設定した場合は、補正画面20の画面形状が変化した後の状態において、ポイント位置Pが調整マーカーMから外れる場合もある。
【0042】
なお、ポイント位置Pの移動量と補正画面20の形状変化量との調整量を、メニュー画面による環境設定等で設定可能としても良い。この構成によれば、ポイント位置Pを少し移動させただけで補正画面20の形状を大きく変化させたり、逆にポイント位置Pを移動させても補正画面20の形状が大きく変化しないようにするなど、操作者の好みに応じた設定が可能となる。
【0043】
図5は、撮像部13の撮像結果である撮像画像25を示す図である。撮像画像25には、補正画面20、調整マーカーMおよびポイント位置Pの画像が含まれる。なお、同図では、分かりやすく示すため、補正操作前の補正画面20の外枠を点線で示し、補正操作前の調整マーカーMの図示を省略する。ここで、図4に示した補正操作により、ポイント位置Pが、図示点線付き白丸で示す移動開始点(X1,Y1)から、図示黒丸で示す移動終了点(X2,Y2)まで移動されたものとする。この場合、制御部16(移動検出部16a)は、まずポイント位置Pを検出する。当該検出は、撮像画像25を画像解析し、明度、輝度、色相などに基づいてある条件を満たす位置を抽出することにより行う。続いて、制御部16は、移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内にあるか否かを判別する。そして、移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内にあると判定した場合は、移動開始点および移動終了点の各座標に基づいて、ポイント位置Pの移動方向および移動量を算出する。一方、移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内に無い場合は、移動検出を行わない。また、画像処理部12(画面形状補正部12a)は、算出された移動方向および移動量に基づいて、補正された調整マーカーMに対応する角部(本例では、右下角部)の補正パラメーターを生成し、当該補正パラメーターに基づいて補正画面20の形状を変化させる。さらに、画像処理部12は、生成した当該補正パラメーターを不図示のメモリーに格納しておき、通常モードに移行されたときに投写する投写画面10の画面形状を、格納しておいた補正パラメーターに基づいて補正する。
【0044】
図6および図7は、調整マーカーMに対するポイント位置Pの移動を示す図である。図示矢印は、ポイント位置Pの移動軌跡を示している。上記の例では、図6(a)に示すように、移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内にあった場合(調整マーカーM上に配置されていた場合)に移動検出を行うものとしたが、これに限らず他の方法で移動検出を行っても良い。例えば、同図(b)に示すように、移動開始点(X1,Y1)および移動終了点(X2,Y2)が調整マーカーM外にある場合は、調整マーカーM内の移動のみを検出しても良い。この場合、調整マーカーM内における移動軌跡の両端の座標(Xa,Ya)および(Xb,Yb)に基づいて、移動方向および移動量を算出する。
【0045】
また、図7(a)に示すように、移動終了点(X2,Y2)が調整マーカーM内にある場合に移動検出を行うようにしても良い。また、図7(c)に示すように、移動開始点(X1,Y1)および移動終了点(X2,Y2)が調整マーカーM内にあるか否かにかかわらず、ポイント位置Pが調整マーカーMを通過した場合は、その移動開始点(X1,Y1)および移動終了点(X2,Y2)に基づいて移動検出を行うようにしても良い。
【0046】
その他、移動軌跡が曲線となった場合は、曲線の接線方向を移動方向として検出しても良い。また、図6(a)〜図7(b)に示したパターンのうち、どの移動検出方法を採用するかを、メニュー画面による環境設定等で設定可能としても良い。
【0047】
次に、図8のフローチャートを参照し、プロジェクター1による画面形状補正処理について説明する。プロジェクター1は、操作者による操作パネル14やリモコン15の操作によって、通常モードから補正モードに切り替えられると(S01:Yes)、ポイント位置Pの検出を開始し、調整マーカーM上におけるポイント位置Pの移動を検出した場合(例えば、移動開始点が調整マーカーM内となる移動を検出した場合,S02:Yes)、当該ポイント位置Pの移動方向および移動量に基づいて、画像処理部12により補正画面20の変形処理を行う(S03)。当該補正画面20の変形処理に伴って、通常モード時に投写される投写画面10の画面形状補正が行われる。変形処理後は、S02に戻る。
【0048】
一方、調整マーカーM上の移動を検出していない場合は(S02:No)、通常モードにモード切替が行われたか否かを判別し(S04)、モード切替が行われた場合は(S04:Yes)、画面形状補正処理を終了する。また、モード切替が行われていない場合は(S04:No)、S02に戻る。
【0049】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る投写システムSY1によれば、ポインター2を用いて、スクリーン上のポイント位置Pを移動させることにより、直感的且つ容易に投写画面10の画面形状を補正することができる。また、ポインター2を用いて補正操作を行うため、複数台のプロジェクター1が近接して配置されている場合でも、補正対象となる1台のプロジェクター1に対してのみ画面形状補正を行うことができる(リモコン15を用いて補正操作を行う場合のように、他のプロジェクター1に影響を与えることがない)。また、ポインター2は、通常モードで投写画像を投写する際にも任意の位置を指し示すために用いられるものであるため、画像形状補正を行うための特別なポインティングデバイスを必要としない。さらに、光源としてレーザーを用いるため、スクリーンSCから離れた場所でも画面形状補正を行うことができる。
【0050】
また、補正モードと通常モードの切替が可能であり、補正モード時のみ画像補正操作が有効となるため、通常の投写画像を表示している際に、誤って画像補正が行われることがない。また、補正モード時には、補正画面20を表示するため、当該補正画面20の辺や頂点の位置を移動させる感覚で、より直感的且つ容易に補正操作を行うことができる。また、補正操作に伴って補正画面20の形状(辺や頂点の位置)も変化するため、補正結果を確認しながら操作を行うことができる。
【0051】
なお、上記の実施形態では、操作パネル14やリモコン15の操作によってモード切替を行うとしたが、ポインター2を用いてモード切替を行っても良い。例えば、図9に示すように、移動検出部16aにより、ポイント位置PがスクリーンSC上の投写画面10または補正画面20を除く特定領域41に重畳されたことを検出した場合、モード切替を行うようにしても良い。この場合、通常モード時において、特定領域41にポイント位置Pが重畳されると、補正モードに移行する。また、補正モード時において、特定領域41にポイント位置Pが重畳されると、通常モードに移行する。なお、同図に示すように、現在設定されているモードを識別可能とするため、通常モード時の特定領域41と補正モード時の特定領域41の態様(色やデザイン)を異ならせても良い。
【0052】
また、図10に示すように、移動検出部16aにより、ポイント位置Pの移動軌跡(点線にて図示)によって特定の線画像42が描かれたことを検出した場合、モード切替を行うようにしても良い。この場合、通常モード時において、投写画面10上に特定の線画像42が描かれると、補正モードに移行する。また、補正モード時において、特定の線画像42が描かれると、通常モードに移行する。なお、補正モードに移行する際の線画像42と、通常モードに移行する際の線画像42は異なる画像であっても良い。このように、図9および図10に示した構成によれば、ポインター2を用いてモード切替を行うことができるため、スクリーンSCから離れた場所でも、プロジェクター1本体に近づくことなく、モード切替および画面形状補正操作を行うことができる。
【0053】
また、上記の実施形態では、調整マーカーMを、補正画面20の4つの角部にそれぞれ内接した状態で配置したが(図4等参照)、図11(a)に示すように、補正画面20の4つの頂点に、それぞれ重畳させた配置としても良い。また、調整マーカーMは、補正画面20の角部だけでなく、辺上に配置しても良い。例えば、図11(b)に示すように、補正画面20の4つの角部にそれぞれ内接した4つの調整マーカーMと、補正画面20の4つの辺にそれぞれ内接した4つの調整マーカーMとの、合計8つの調整マーカーMを配置しても良い。その他、調整マーカーMの数は任意である。
【0054】
また、調整マーカーMの形状も、必ずしも正方形でなくても良い。例えば、図12(a)に示すように、三角形であっても良い。その他、扇形や円形などであっても良い。また、調整マーカーMを表示しない構成としても良い。この場合、図12(b)に示すように、補正モード時には、補正画面20のみが表示されるが、ポイント位置Pの移動検出は、図4ないし図7に示したように、調整マーカーMが表示される場合と同様に行われる。
【0055】
また、上記の実施形態では、ポインター2としてレーザーポインターを例示したが、光線を照射するタイプのポインティングデバイスとしては、例えばLEDライトや指向性の高い懐中電灯(光量や指向性を可変できるタイプのものなど)を用いても良い。また、LEDライトとしては、指向性の高い砲弾型のLEDを用いることが好ましい。
【0056】
その他、光線を照射しないタイプのポインティングデバイスを用いても良い。そのようなポインティングデバイスとしてマウスを採用することができる。この場合、プロジェクター1には、マウス接続部が追加される。マウス接続部は、マウスから操作信号を取得し、制御部16に出力する。制御部16(移動検出部16a)は、マウスからの操作信号(移動信号)に基づいて、マウスによるカーソル位置(投写画面10や補正画面20に表示されるカーソルの位置)の移動方向および移動量を検出する。このように、ポインティングデバイスとしてマウスを用いた場合にも、直感的且つ容易に補正操作を行うことができる。なお、本変形例のようにポインティングデバイスとしてマウスを用いる場合、補正画面20を投写領域と同じサイズとすると、投写領域を超えるマウスの移動が不可能となるため、補正画面20を、投写領域よりも一回り小さい縮小サイズとすることが好ましい。
【0057】
また、ポインティングデバイスとしては、マウス以外にも、タッチパネル、トラックパッド、タッチパッド、ジョイスティック、トラックボールなどを用いても良い。また、ポインティングデバイスとプロジェクター1は、有線接続であっても良いし、無線接続(赤外線通信や近距離無線通信など)であっても良い。また、この場合、ポインティングデバイスとプロジェクター1との接続は直接的でなくても良く、ポインティングデバイスとプロジェクター1との間にパーソナルコンピューターなどを介した間接的な接続であっても良い。つまり、パーソナルコンピューターに備えられたマウスを、画面形状補正を行うためのポインティングデバイスとして用いても良い。
【0058】
また、上記の実施形態では、各調整マーカーMを個別に操作したが、複数の調整マーカーMに対し(補正画面20の頂点位置など)を連動して補正可能としても良い。例えば、図2に示したような補正画面20および調整マーカーMが表示されている状態で、4つの調整マーカーMのうち右下に位置する調整マーカーMを右方向に移動させた場合、左下に位置する調整マーカーMも、同じ移動量だけ左方向に移動するようにしても良い。つまり、一般的なキーストーン歪み補正の要領で、縦方向または横方向の歪み補正を行い得るようにしても良い。また、上記の実施形態に示したように、補正画面20の4つの角部をそれぞれ補正するか(クイックコーナー補正)、縦方向または横方向の歪み量を補正するか(キーストーン歪み補正)のいずれかの補正手法を、操作者の好みに応じて選択可能としても良い。
【0059】
また、上記の実施形態では、補正モード時に補正画面20を表示したが、必ずしも表示する必要はない。つまり、補正モード時においても、投写領域である投写画面10に対してポインター2を移動させることにより、投写画面10の画面形状補正を行っても良い。
【0060】
[第2実施形態]
次に、図13ないし図16を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態では、ポインター2を用いて補正操作を行ったが、本実施形態では、人間の手60(指)を用いて補正操作を行う。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0061】
図13は、第2実施形態に係る投写システムSY2のイメージ図である。同図に示すように、投写システムSY2は、投写画面10を投写するプロジェクター1と、投写画面10が投写されるスクリーンSCと、を備えている。本実施形態では、操作者がスクリーンSCに近づき、スクリーンSC上に表示された補正画面20(図14参照)に手60(物体)を接触させる(または翳す)ことによって補正操作を行う。なお、本実施形態に係るプロジェクター1のハードウェア構成は、第1実施形態(図3参照)と同様である。
【0062】
図14は、第2実施形態に係る補正モード時の補正操作の説明図である。例えば、同図(a)に示すように、補正画面20が歪んだ形状で表示されている状態で、右下角部の調整マーカーMに手60(指の先端)を合わせて右下方向に移動させると(同図(b)参照)、当該手60の移動方向および移動量に基づいて、補正画面20の画面形状が変化する(同図(c)参照)。
【0063】
図15は、撮像部13により、図4に示した補正画面20を撮像した撮像画像25を示す図である。同図は、図4に示した補正操作により、人間の手60が、図示点線で示す位置から図示実線で示す位置まで移動されたことを示している。この場合、制御部16(移動検出部16a)は、撮像画像25から、プロジェクター1の投写光(補正画面20および調整マーカーM)が手60によって遮られたことによる反射率の変化を判定することにより、手60の先端位置(指の先端位置)を検出する。つまり、撮像画像25上において、手60の先端位置が、図示点線付き白丸で示す移動開始点(X1,Y1)から、図示黒丸で示す移動終了点(X2,Y2)まで移動したことを検出する。なお、反射率の変化は、手60そのものではなく、手60の影によって生じるものであっても良い。続いて、手60の先端位置となる移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内にあるか否かを判別する。そして、移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内にあると判定した場合は、移動開始点および移動終了点の各座標に基づいて、手60の移動方向および移動量を算出する。つまり、「手60の先端位置」を、第1実施形態の「ポイント位置P」として移動検出を行う。なお、制御部16は、移動検出の際、人間の指以上の大きさ(例えば、直径1cm以上など)を有する物体の移動を検出することが好ましい。これにより、撮像部13によって虫や埃などが撮像されたことによる誤判定を防止できる。
【0064】
このように、本発明の第2実施形態に係る投写システムSY2によれば、スクリーンSCに表示された補正画面20上で手60を移動させるため、ポインター2を用いた場合よりも、さらに直感的に補正操作を行うことができる。また、手60を用いるため、補正操作を行うために特別な道具を必要としない。
【0065】
なお、上記の実施形態では、人間の手60を用いて補正操作を行ったが、指し棒やマーカー(筆記具)などを用いても良い。この場合も、物体の先端位置の移動を検出することにより、投写画面10の画面形状補正処理を行う。
【0066】
また、上記の実施形態では、手60をスクリーンSCに接触させて移動させるものとしたが、必ずしも接触している必要はなく、プロジェクター1(撮像部13)とスクリーンSCとの間で物体を移動させれば良い。すなわち、図16に示すように、物体の移動は、スクリーンSC上91であっても良いし、スクリーンSCから若干離間した位置92であっても良いし、スクリーンSCから大きく離間した位置93であっても良い。但し、位置92や位置93で物体を移動させる場合、制御部16(移動検出部16a)は、物体の影の先端位置を検出することとなる。
【0067】
[第3実施形態]
次に、図17および図18を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、補正操作を行う手段として、第1実施形態に示したポインター2と、第2実施形態に示した人間の手60と、を選択できることを特徴とする。以下、この特徴点についてのみ説明する。
【0068】
図17は、第3実施形態に係るプロジェクター1のモード選択体系を示す図である。なお、図示点線枠については、変形例として後述する。同図に示すように、本実施形態では、まず第1実施形態と同様に、投写画面10を投写する通常モードと、画面形状補正を行う補正モードと、のいずれかを選択可能となっている。また、補正モードを選択した場合は、さらにポインティングデバイス使用モードと、物体使用モードとのいずれかを選択可能となっている(移動体選択部)。ここで、ポインティングデバイス使用モードが選択された場合、操作者は、ポインター2を用いて補正操作を行う。また、物体使用モードが選択された場合、手60を用いて補正操作を行う。
【0069】
図18は、ポインティングデバイス使用モード時と、物体使用モード時とにそれぞれ表示される補正画面20および調整マーカーMの一例を示す図である。同図(a)に示すように、ポインティングデバイス使用モード時は、白色の補正画面20で、且つ当該補正画面20の4つの角部に、黒色の調整マーカーMが表示される。一方、同図(b)に示すように、物体使用モード時は、黒色の補正画面20で、且つ当該補正画面20の4つの角部に、白色の調整マーカーMが表示される。また、当該白色の調整マーカーMは、ポインティングデバイス使用モード時に表示される黒色の調整マーカーMよりも大きなサイズとなっている。
【0070】
このように、本発明の第3実施形態に係るプロジェクター1は、ポインター2を用いた補正操作と、手60を用いた補正操作の両方に対応できる。これにより、操作者の好みやプレゼンテーションの内容、スクリーンSCの大きさなどに応じて、ポインティングデバイス使用モードと物体使用モードのいずれかを選択できる。また、各モードに応じた(ポインター2、手60など、使用する移動体に応じた)補正画面20および調整マーカーMを表示するため、移動検出精度の向上および補正操作の操作性の向上が期待できる。
【0071】
なお、変形例として、図17の点線枠に示すように、モード選択項目を追加しても良い。例えば、ポインティングデバイス使用モード時は、その下位階層でポインティングデバイスを選択可能としても良い。さらに、ポインティングデバイスとしてレーザーポインターが使用された場合は、レーザー光の色を選択可能としても良い。また、物体使用モード時は、その下位階層で物体を選択可能としても良い。さらに、その下位階層として、操作位置(図16の操作位置91〜93など)を選択可能としても良い。これらの構成によれば、各項目の選択結果に応じて、補正画面20および調整マーカーMの色、補正画面20および調整マーカーMの明度、補正画面20および調整マーカーMの大きさ、などを適切に可変できる。
【0072】
また、ポインティングデバイス使用モードと物体使用モードの選択結果に応じて、モード切替方法を可変しても良い。例えば、ポインティングデバイス使用モード時は、図9および図10に示したように、ポインティングデバイスを用いたモード切替指示にしたがってモード切替を行い、物体使用モード時は、操作パネル14やリモコン15を用いたモード切替指示にしたがってモード切替を行う構成としても良い。この構成によれば、選択されたモード(選択された移動体)に応じて、適切なモード切替方法を採用できる。また、ポインティングデバイス使用モード時は、ポインティングデバイスを用いたモード切替指示を採用することで、わざわざプロジェクター1に近づくことなく、プロジェクター1から離れた場所でモード切替操作および補正操作を行うことができる。また、物体使用モード時は、図9および図10に示した方法でモード切替を行わないようにすることで、何らかの物体が撮像部13の前を遮ったことにより、誤ってモード変換されてしまうなどの不具合を解消できる。
【0073】
以上、3つの実施形態を示したが、各実施形態に示したプロジェクター1の各構成要素および各機能をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターをプロジェクター1の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0074】
また、上記の実施形態では、プロジェクター1の表示方式として、透過型液晶表示方式を採用しているが、反射型液晶表示方式、CRT表示方式やライトスイッチ表示方式(マイクロミラーデバイス方式)など、プロジェクター1の表示原理は問わない。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…プロジェクター、2…ポインター、11…画像信号入力部、12…画像処理部、12a…画面形状補正部、13…撮像部、14…操作パネル、15…リモコン、16…制御部、16a…移動検出部、16b…モード切替部、30…投写光学系、31…ライトバルブ駆動部、32…ランプ駆動部、33…レンズ位置検出部、34…レンズ駆動部、35…光源ランプ、36…液晶ライトバルブ、37…レンズ群、SC…スクリーン
【技術分野】
【0001】
投写画面をスクリーン上に表示するプロジェクターおよびプロジェクターの画面形状補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターの画面形状補正機能として、「キーストーン歪み補正」(例えば、特許文献1)や「クイックコーナー補正」(例えば、非特許文献1)が知られている。前者のキーストーン歪み補正は、縦・横方向(垂直・水平方向)の歪み補正を行うものであり、通常、装置本体に備えられた操作パネル、若しくは遠隔操作を行うためのリモートコントローラー(以下、「リモコン」と称する)に備えられた上下左右ボタンを用いて補正操作を行う。一方、後者の「クイックコーナー補正」は、投写画面の4つの角に対してそれぞれ歪み補正を行うものであり、OSD(On Screen Display)画面で、補正対象となる角を選択し、上記の上下左右ボタンを用いて補正操作を行う。
【0003】
【特許文献1】特開2004−246242号公報
【非特許文献1】オフィリオ プロジェクター EMP−1815/1810 取扱説明書 2007年度版 p.14〜16 エプソン販売株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のように操作パネルやリモコンを用いて画像形状補正を行う方法は、上下左右ボタンを何度も押下する必要があるため手間がかかる。また、スクリーンサイズが大きい場合、スクリーンから離れて投写画面の歪みを確認する必要があるが、リモコンを用いた場合でも、赤外線が届く範囲までしか移動できないため、わざわざリモコンを操作可能な位置までプロジェクターに近づいてから補正操作を行わなければならない。さらに、リモコンを用いると、複数台のプロジェクターが近接して配置されている場合に(複数のプロジェクターを用いて大きな1画面を投写する、いわゆるタイリング表示やマルチスクリーン表示と称される表示を行った場合など)、操作対象となるプロジェクター以外のプロジェクターに影響を及ぼしてしまうといった問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、(1).画面形状補正を容易に行うことができること、(2).スクリーンから離れた場所で画面形状補正を行うことができること、(3).複数台のプロジェクターが近接して配置されている場合でも、他のプロジェクターに影響を与えることなく画面形状補正を行うことができること、などを実現可能なプロジェクターおよびプロジェクターの画面形状補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、投写画面をスクリーン上に表示する投写表示部と、スクリーン上における、ポインティングデバイスを用いたポイント位置の移動を検出する移動検出部と、ポイント位置の移動に基づいて、投写画面の画面形状を補正する画面形状補正部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明のプロジェクターの画面形状補正方法は、投写画面をスクリーン上に表示するプロジェクターの画面形状補正方法であって、スクリーン上における、ポインティングデバイスを用いたポイント位置の移動を検出するステップと、ポイント位置の移動に基づいて、投写画面の画面形状を補正するステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、ポインティングデバイスを用いて、スクリーン上のポイント位置を移動させることにより、直感的に且つ容易に投写画面の画面形状を補正することができる。また、ポインティングデバイスとして、プロジェクターに有線接続されたものやレーザーポインターなどを使用することで、複数台のプロジェクターが近接して配置されている場合でも、他のプロジェクターに影響を与えることなく画面形状補正を行うことができる。
なお、ポインティングデバイスとしては、マウス、タッチパネル、トラックパッド、タッチパッド、ジョイスティック、トラックボール、各種ポインターなど、その種類を問わない。また、ポインティングデバイスとプロジェクターは、有線接続であっても良いし、無線接続(赤外線通信や近距離無線通信など)であっても良い。また、非接続状態(レーザーポインターを用いた場合など)であっても良い。さらに、有線接続や無線接続の場合、直接的な接続でなくても良く、ポインティングデバイスとプロジェクターの間にパーソナルコンピューターなどを介した間接的な接続であっても良い。
【0009】
上記に記載のプロジェクターにおいて、移動検出部は、ポイント位置の移動方向および移動量を検出することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ポイント位置の移動方向と移動量に基づいて、補正方向や補正量を指示することができる。これにより、より直感的な補正操作が可能となる。
【0011】
上記に記載のプロジェクターにおいて、ポインティングデバイスは、スクリーンに対して光線を照射するポインターであり、移動検出部は、ポインターの照射位置を撮像した撮像結果に基づいて、当該照射位置に相当するポイント位置の移動を検出することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ポインティングデバイスとして、プレゼンテーションなどの際に投写画像の任意の位置を指し示すために用いられるポインターを適用できるため、画像形状補正を行うために特別なポインティングデバイスを必要としない。また、ポインターを用いるため、スクリーンから離れた場所で画面形状補正を行うことができる。
なお、本構成の場合、移動検出部としては、CCDカメラやCMOSカメラなどの撮像手段を用いることが想定される。また、ポインターとしては、レーザーポインターをはじめ、LEDライトや指向性の高い懐中電灯などを用いても良い。また、LEDライトとしては、砲弾型のLEDを用いることが好ましい。
【0013】
上記に記載のプロジェクターにおいて、投写表示部は、投写画面の形状を示す矩形領域をスクリーン上に表示し、移動検出部は、スクリーン上に表示されている矩形領域を基準としたポイント位置の移動を検出することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、スクリーン上に表示された矩形領域を基準にして、ポイント位置を移動させれば良いため、補正操作をより簡単に行うことができる。
【0015】
上記に記載のプロジェクターにおいて、画面形状補正部は、ポイント位置が近接または重畳された、矩形領域の辺および/または頂点の位置を、ポイント位置の移動に伴って変化させることにより、投写画面の画面形状を補正することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、矩形領域の辺や頂点の位置を移動させる感覚で、投写画面の画面形状を補正することができる。また、補正操作に伴って矩形領域の形状(辺や頂点の位置)も変化するため、補正結果を確認しながら操作を行うことができる。
【0017】
上記に記載のプロジェクターにおいて、投写表示部は、矩形領域と共に、当該矩形領域の4つの頂点位置を含む複数個所に配置された複数のマーカー画像を表示し、移動検出部は、マーカー画像上を通過したポイント位置の移動を検出することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、マーカー画像を表示することで、ユーザーが、矩形領域のどの部分にポイント位置を合わせて移動させれば良いかを把握することができる。また、マーカー画像上を通過したポイント位置の移動を検出する構成であるため、言い換えればポイント位置がマーカー画像上を通過しない場合は、画像補正を行わない。これにより、ユーザーの意思に反して矩形領域が変形され、画像補正されてしまうことを防止できる。
なお、画面形状補正部は、ポイント位置が通過したマーカー画像に対応する位置を、ポイント位置の移動に伴って変化させる。これによりユーザーは、形状を変化させたい位置に対応するマーカー画像にポイント位置を合わせて移動させれば良く、より直感的に補正操作を行うことができる。
また、移動検出部は、マーカー画像領域内を通過した全てのポイント位置の移動を検出しても良いが、その検出対象領域をマーカー画像領域内に限定しても良い。つまり、マーカー画像領域内におけるポイント位置の移動のみ検出しても良い。また、マーカー画像領域内を移動開始点および/または移動終了点とするポイント位置の移動を検出しても良い。
【0019】
上記に記載のプロジェクターにおいて、複数のマーカー画像は、矩形領域の4つの角にそれぞれ内接し、互いに重畳しない4つの角部領域を含むことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、マーカー画像が矩形領域の4つの角に対応して設けられているため、それぞれを任意の方向に移動させることで、歪みのない投写画面を表示できる。また、4つのマーカー画像は、いずれも矩形領域に内接しているため、マーカー画像の表示によって矩形領域の形状把握が阻害されることがない。
【0021】
上記に記載のプロジェクターにおいて、ポイント位置の移動に基づいて画面形状補正を行う補正モードと、投写画面の投写を行う通常モードと、を切り替えるモード切替部をさらに備え、移動検出部および画面形状補正部は、補正モード時のみ機能することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、補正モード時のみ画面形状補正が可能となるため、通常の投写画像を表示している際に、ユーザーの意思に反して画面形状補正が行われてしまうことを防止できる。
【0023】
上記に記載のプロジェクターにおいて、モード切替部は、移動検出部により、ポイント位置がスクリーン上の投写画面または矩形領域を除く特定領域に重畳されたことを検出した場合、モード切替を行うことが好ましい。
【0024】
上記に記載のプロジェクターにおいて、モード切替部は、移動検出部により、ポイント位置の移動軌跡によって特定の線画像が描かれたことを検出した場合、モード切替を行うことが好ましい。
【0025】
これらの構成によれば、ポインティングデバイスを用いてモード切替を行うことができるため、スクリーンから離れた場所に居る場合でも、プロジェクター本体に近づくことなく、モード切替および画面形状補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る投写システムのイメージ図である。
【図2】補正画面の説明図と、ポインターのブロック図である。
【図3】プロジェクターのブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る補正操作の説明図である。
【図5】第1実施形態に係る撮像画像を示す図である。
【図6】調整マーカーに対するポイント位置の移動を説明するための説明図である。
【図7】図6とは異なる、ポイント位置の移動を説明するための説明図である。
【図8】画面形状補正処理を示すフローチャートである。
【図9】モード切替方法を示す説明図である。
【図10】図9とは異なる、モード切替方法を示す説明図である。
【図11】マーカー画像の変形例を示す図である。
【図12】図11とは異なる、マーカー画像の変形例を示す図である。
【図13】第2実施形態に係る投写システムのイメージ図である。
【図14】第2実施形態に係る補正操作の説明図である。
【図15】第2実施形態に係る撮像画像を示す図である。
【図16】補正操作を行う操作位置の説明図である。
【図17】モード選択の階層構造を示す図である。
【図18】選択モードに応じた補正画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、添付した図面を参照し、本発明の一実施形態に係るプロジェクターおよびプロジェクターの画面形状補正方法について説明する。図1は、第1実施形態に係る投写システムSY1のイメージ図である。同図に示すように、投写システムSY1は、投写画面10を投写するプロジェクター1と、投写画面10上の任意の位置を指し示すためのポインター2と、投写画面10が投写されるスクリーンSCと、を備えている。ここで、投写画面10とは、スクリーンSCに投写光が投写される全体領域(以下、「投写領域」と称する)を指す。
【0028】
操作者(ユーザー)は、プロジェクター1本体に備えられた操作パネル14やリモコン15(いずれも図3参照)を操作して、スクリーンSC上に投写画面10を投写させる。その後、ポインター2からレーザー光を照射して、スクリーンSC上にポイント位置P(照射点)を表示し、投写画像中の重要部分を指し示しながらプレゼンテーションを行う。なお、プロジェクター1には、必要に応じてパーソナルコンピューターなどの外部機器が接続されるが、本発明には直接関係がないため説明を省略する。
【0029】
ところで、本実施形態のプロジェクター1は、上記のポインター2を用いて、投写画面10の画面形状補正(台形歪み補正など)を行い得るようになっている。また、当該画面形状補正は、投写画面10を表示させる通常モードから、画面形状補正を行うための補正モードに切り替えられた状態で行われる。
【0030】
図2(a)は、補正モード時にスクリーンSC上に表示される補正画面20(矩形領域)と、調整マーカーM(マーカー画像)を示す図である。補正画面20は、投写画面10と略同一のアスペクト比を有する矩形領域であり、投写画面10と同様に、スクリーンSCに対するプロジェクター1の配置によって台形歪みが生じる。操作者は、この台形歪みが無くなるように、補正画面20の形状を調整することで、投写画面10の形状補正操作を行う。なお、補正画面20は、投写画面10(投写領域)を縮小した縮小サイズであっても良いが、投写画面10と略同一の大きさを有することが好ましい。一方、補正画面20の4つの角部には、それぞれ同サイズ且つ同形状の調整マーカーMが表示される。操作者は、この調整マーカーMを用いて補正画面20の形状を調整する。なお、投写画面10の形状補正操作については、後に詳述する。
【0031】
次に、図2(b)および図3を参照し、ポインター2およびプロジェクター1のハードウェア構成について説明する。図2(b)は、ポインター2の構成を示すブロック図である。ポインター2は、レーザー照射部21、レーザー発光部22および操作部23を備えている。操作部23は、スイッチであり、ON/OFFを切り替える。なお、操作部23をボタンで構成し、押下している間レーザー光を照射し続ける構成としても良い。レーザー発光部22は、操作部23の操作にしたがってレーザー光を発光し、当該レーザー光は、レーザー照射部21により照射される。
【0032】
図3は、プロジェクター1の構成を示すブロック図である。プロジェクター1は、画像信号入力部11、画像処理部12、撮像部13、操作パネル14、リモコン15、制御部16および投写光学系30(投写表示部)を備えている。
【0033】
画像信号入力部11は、パーソナルコンピューターやビデオプレーヤーなどの外部機器、若しくはUSBメモリー等の外部記憶媒体から、画像信号(RGB信号やコンポジット信号など)を入力する。画像処理部12は、画像信号入力部11により入力された画像信号に対し、所定の画像処理を施して、後述するライトバルブ駆動部31に出力する。所定の画像処理としては、画質調整処理、画像サイズ調整処理、ガンマ補正処理などが含まれる。また、画像処理部12は、画面形状補正部12aを有し、操作者によるポインター2を用いた補正操作に基づき、投写画面10(補正画面20)の画面形状を補正する画面形状補正処理を行う。
【0034】
撮像部13は、プロジェクター1の前面に搭載されたCCDカメラやCMOSカメラにより実現され、スクリーンSCを撮像する。撮像対象としては、ピント調整(フォーカス調整)を行うためのテストパターンや、上記の補正画面20を撮像する。補正画面20の撮像は、当該補正画面20上におけるポイント位置Pの移動を認識するために行われる。
【0035】
操作パネル14は、プロジェクター1本体に設けられ、各種操作を行うための操作子群を有している。操作子群には、環境設定メニューをOSD表示させるためのメニューボタンの他、補正モードと通常モードを切り替えるためのモード切替ボタンが含まれる。また、リモコン15は、プロジェクター1本体を遠隔操作するためのものであり、操作パネル14と同様に、各種操作子群を有している。
【0036】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、プロジェクター1を統括制御する。また、制御部16は、移動検出部16aおよびモード切替部16bを有している。前者の移動検出部16aは、撮像部13の撮像結果から、ポインター2によるスクリーンSC上のポイント位置Pの移動を検出する(詳細については、後述する)。また、後者のモード切替部16bは、操作パネル14やリモコン15を用いたモード切替操作にしたがって、補正モードと通常モードを切り替える。
【0037】
一方、投写光学系30は、液晶方式を採用し、ライトバルブ駆動部31、ランプ駆動部32、レンズ位置検出部33、レンズ駆動部34、光源ランプ35、液晶ライトバルブ36およびレンズ群37を有している。
【0038】
ライトバルブ駆動部31は、液晶ライトバルブ36を駆動するためのドライバーであり、液晶ライトバルブ36の各画素に、画像信号に応じた駆動電圧を印加することにより、各画素の光透過率を設定する。レンズ位置検出部33は、レンズ群37に含まれるフォーカスレンズやズームレンズ(いずれも図示省略)の光軸方向における位置を検出する。なお、レンズ群37には、フォーカスレンズやズームレンズの他、投写レンズが含まれる。レンズ駆動部34は、レンズ群37の位置や角度を調整するためのドライバーであり、レンズ位置検出部33の検出結果に基づいて調整を行う。
【0039】
ランプ駆動部32は、放電発光型のランプである光源ランプ35を点灯するためのドライバーであり、高電圧を発生して放電回路を形成するイグナイタ部と、点灯後の安定した点灯状態を維持するためのバラスト回路と、を有している(いずれも図示省略)。光源ランプ35としては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプまたは高圧水銀ランプを適用可能である。なお、光源ランプ35に代えて、レーザーやLEDなどの固体光源を用いても良い。
【0040】
上記の構成により、光源ランプ35から射出された光は、光分離光学系(ダイクロイックミラーなど,図示省略)によって、R,G,Bの色光に分離された後、各色用の液晶ライトバルブ36を透過することによって変調される。また、変調された画像光は、光合成光学系(ダイクロイックプリズムなど,図示省略)により画素毎に合成されてカラー画像化され、当該カラー画像化された画像光が、レンズ群37を経て射出されることにより、スクリーンSC上に投写画像が表示される。
【0041】
次に、図4ないし図7を参照し、画面形状補正処理について説明する。図4は、補正操作の説明図である。例えば、同図(a)に示すように、補正画面20が歪んだ形状で表示されている状態で、ポインター2によるレーザー光の照射により、ポイント位置Pを補正画面20の右下角部に配置された調整マーカーMに合わせて右下方向に移動させると(同図(b)参照)、当該ポイント位置Pの移動方向および移動量に基づいて、補正画面20の画面形状が変化する(同図(c)参照)。すなわち、図4の例では、補正画面20の右下部の頂点位置が変化する。なお、本例では、補正画面20の画面形状が変化したことによって、同図(c)では、ポイント位置Pが調整マーカーM上に配置された状態となっている。これは、本例において、「ポイント位置Pの移動量≒補正画面20の形状変化量(頂点位置の変化量)」と設定されているためであるが、ポイント位置Pの移動量に対して補正画面20の形状変化量を大きく設定した場合は、補正画面20の画面形状が変化した後の状態において、ポイント位置Pが調整マーカーMから外れる場合もある。
【0042】
なお、ポイント位置Pの移動量と補正画面20の形状変化量との調整量を、メニュー画面による環境設定等で設定可能としても良い。この構成によれば、ポイント位置Pを少し移動させただけで補正画面20の形状を大きく変化させたり、逆にポイント位置Pを移動させても補正画面20の形状が大きく変化しないようにするなど、操作者の好みに応じた設定が可能となる。
【0043】
図5は、撮像部13の撮像結果である撮像画像25を示す図である。撮像画像25には、補正画面20、調整マーカーMおよびポイント位置Pの画像が含まれる。なお、同図では、分かりやすく示すため、補正操作前の補正画面20の外枠を点線で示し、補正操作前の調整マーカーMの図示を省略する。ここで、図4に示した補正操作により、ポイント位置Pが、図示点線付き白丸で示す移動開始点(X1,Y1)から、図示黒丸で示す移動終了点(X2,Y2)まで移動されたものとする。この場合、制御部16(移動検出部16a)は、まずポイント位置Pを検出する。当該検出は、撮像画像25を画像解析し、明度、輝度、色相などに基づいてある条件を満たす位置を抽出することにより行う。続いて、制御部16は、移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内にあるか否かを判別する。そして、移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内にあると判定した場合は、移動開始点および移動終了点の各座標に基づいて、ポイント位置Pの移動方向および移動量を算出する。一方、移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内に無い場合は、移動検出を行わない。また、画像処理部12(画面形状補正部12a)は、算出された移動方向および移動量に基づいて、補正された調整マーカーMに対応する角部(本例では、右下角部)の補正パラメーターを生成し、当該補正パラメーターに基づいて補正画面20の形状を変化させる。さらに、画像処理部12は、生成した当該補正パラメーターを不図示のメモリーに格納しておき、通常モードに移行されたときに投写する投写画面10の画面形状を、格納しておいた補正パラメーターに基づいて補正する。
【0044】
図6および図7は、調整マーカーMに対するポイント位置Pの移動を示す図である。図示矢印は、ポイント位置Pの移動軌跡を示している。上記の例では、図6(a)に示すように、移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内にあった場合(調整マーカーM上に配置されていた場合)に移動検出を行うものとしたが、これに限らず他の方法で移動検出を行っても良い。例えば、同図(b)に示すように、移動開始点(X1,Y1)および移動終了点(X2,Y2)が調整マーカーM外にある場合は、調整マーカーM内の移動のみを検出しても良い。この場合、調整マーカーM内における移動軌跡の両端の座標(Xa,Ya)および(Xb,Yb)に基づいて、移動方向および移動量を算出する。
【0045】
また、図7(a)に示すように、移動終了点(X2,Y2)が調整マーカーM内にある場合に移動検出を行うようにしても良い。また、図7(c)に示すように、移動開始点(X1,Y1)および移動終了点(X2,Y2)が調整マーカーM内にあるか否かにかかわらず、ポイント位置Pが調整マーカーMを通過した場合は、その移動開始点(X1,Y1)および移動終了点(X2,Y2)に基づいて移動検出を行うようにしても良い。
【0046】
その他、移動軌跡が曲線となった場合は、曲線の接線方向を移動方向として検出しても良い。また、図6(a)〜図7(b)に示したパターンのうち、どの移動検出方法を採用するかを、メニュー画面による環境設定等で設定可能としても良い。
【0047】
次に、図8のフローチャートを参照し、プロジェクター1による画面形状補正処理について説明する。プロジェクター1は、操作者による操作パネル14やリモコン15の操作によって、通常モードから補正モードに切り替えられると(S01:Yes)、ポイント位置Pの検出を開始し、調整マーカーM上におけるポイント位置Pの移動を検出した場合(例えば、移動開始点が調整マーカーM内となる移動を検出した場合,S02:Yes)、当該ポイント位置Pの移動方向および移動量に基づいて、画像処理部12により補正画面20の変形処理を行う(S03)。当該補正画面20の変形処理に伴って、通常モード時に投写される投写画面10の画面形状補正が行われる。変形処理後は、S02に戻る。
【0048】
一方、調整マーカーM上の移動を検出していない場合は(S02:No)、通常モードにモード切替が行われたか否かを判別し(S04)、モード切替が行われた場合は(S04:Yes)、画面形状補正処理を終了する。また、モード切替が行われていない場合は(S04:No)、S02に戻る。
【0049】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る投写システムSY1によれば、ポインター2を用いて、スクリーン上のポイント位置Pを移動させることにより、直感的且つ容易に投写画面10の画面形状を補正することができる。また、ポインター2を用いて補正操作を行うため、複数台のプロジェクター1が近接して配置されている場合でも、補正対象となる1台のプロジェクター1に対してのみ画面形状補正を行うことができる(リモコン15を用いて補正操作を行う場合のように、他のプロジェクター1に影響を与えることがない)。また、ポインター2は、通常モードで投写画像を投写する際にも任意の位置を指し示すために用いられるものであるため、画像形状補正を行うための特別なポインティングデバイスを必要としない。さらに、光源としてレーザーを用いるため、スクリーンSCから離れた場所でも画面形状補正を行うことができる。
【0050】
また、補正モードと通常モードの切替が可能であり、補正モード時のみ画像補正操作が有効となるため、通常の投写画像を表示している際に、誤って画像補正が行われることがない。また、補正モード時には、補正画面20を表示するため、当該補正画面20の辺や頂点の位置を移動させる感覚で、より直感的且つ容易に補正操作を行うことができる。また、補正操作に伴って補正画面20の形状(辺や頂点の位置)も変化するため、補正結果を確認しながら操作を行うことができる。
【0051】
なお、上記の実施形態では、操作パネル14やリモコン15の操作によってモード切替を行うとしたが、ポインター2を用いてモード切替を行っても良い。例えば、図9に示すように、移動検出部16aにより、ポイント位置PがスクリーンSC上の投写画面10または補正画面20を除く特定領域41に重畳されたことを検出した場合、モード切替を行うようにしても良い。この場合、通常モード時において、特定領域41にポイント位置Pが重畳されると、補正モードに移行する。また、補正モード時において、特定領域41にポイント位置Pが重畳されると、通常モードに移行する。なお、同図に示すように、現在設定されているモードを識別可能とするため、通常モード時の特定領域41と補正モード時の特定領域41の態様(色やデザイン)を異ならせても良い。
【0052】
また、図10に示すように、移動検出部16aにより、ポイント位置Pの移動軌跡(点線にて図示)によって特定の線画像42が描かれたことを検出した場合、モード切替を行うようにしても良い。この場合、通常モード時において、投写画面10上に特定の線画像42が描かれると、補正モードに移行する。また、補正モード時において、特定の線画像42が描かれると、通常モードに移行する。なお、補正モードに移行する際の線画像42と、通常モードに移行する際の線画像42は異なる画像であっても良い。このように、図9および図10に示した構成によれば、ポインター2を用いてモード切替を行うことができるため、スクリーンSCから離れた場所でも、プロジェクター1本体に近づくことなく、モード切替および画面形状補正操作を行うことができる。
【0053】
また、上記の実施形態では、調整マーカーMを、補正画面20の4つの角部にそれぞれ内接した状態で配置したが(図4等参照)、図11(a)に示すように、補正画面20の4つの頂点に、それぞれ重畳させた配置としても良い。また、調整マーカーMは、補正画面20の角部だけでなく、辺上に配置しても良い。例えば、図11(b)に示すように、補正画面20の4つの角部にそれぞれ内接した4つの調整マーカーMと、補正画面20の4つの辺にそれぞれ内接した4つの調整マーカーMとの、合計8つの調整マーカーMを配置しても良い。その他、調整マーカーMの数は任意である。
【0054】
また、調整マーカーMの形状も、必ずしも正方形でなくても良い。例えば、図12(a)に示すように、三角形であっても良い。その他、扇形や円形などであっても良い。また、調整マーカーMを表示しない構成としても良い。この場合、図12(b)に示すように、補正モード時には、補正画面20のみが表示されるが、ポイント位置Pの移動検出は、図4ないし図7に示したように、調整マーカーMが表示される場合と同様に行われる。
【0055】
また、上記の実施形態では、ポインター2としてレーザーポインターを例示したが、光線を照射するタイプのポインティングデバイスとしては、例えばLEDライトや指向性の高い懐中電灯(光量や指向性を可変できるタイプのものなど)を用いても良い。また、LEDライトとしては、指向性の高い砲弾型のLEDを用いることが好ましい。
【0056】
その他、光線を照射しないタイプのポインティングデバイスを用いても良い。そのようなポインティングデバイスとしてマウスを採用することができる。この場合、プロジェクター1には、マウス接続部が追加される。マウス接続部は、マウスから操作信号を取得し、制御部16に出力する。制御部16(移動検出部16a)は、マウスからの操作信号(移動信号)に基づいて、マウスによるカーソル位置(投写画面10や補正画面20に表示されるカーソルの位置)の移動方向および移動量を検出する。このように、ポインティングデバイスとしてマウスを用いた場合にも、直感的且つ容易に補正操作を行うことができる。なお、本変形例のようにポインティングデバイスとしてマウスを用いる場合、補正画面20を投写領域と同じサイズとすると、投写領域を超えるマウスの移動が不可能となるため、補正画面20を、投写領域よりも一回り小さい縮小サイズとすることが好ましい。
【0057】
また、ポインティングデバイスとしては、マウス以外にも、タッチパネル、トラックパッド、タッチパッド、ジョイスティック、トラックボールなどを用いても良い。また、ポインティングデバイスとプロジェクター1は、有線接続であっても良いし、無線接続(赤外線通信や近距離無線通信など)であっても良い。また、この場合、ポインティングデバイスとプロジェクター1との接続は直接的でなくても良く、ポインティングデバイスとプロジェクター1との間にパーソナルコンピューターなどを介した間接的な接続であっても良い。つまり、パーソナルコンピューターに備えられたマウスを、画面形状補正を行うためのポインティングデバイスとして用いても良い。
【0058】
また、上記の実施形態では、各調整マーカーMを個別に操作したが、複数の調整マーカーMに対し(補正画面20の頂点位置など)を連動して補正可能としても良い。例えば、図2に示したような補正画面20および調整マーカーMが表示されている状態で、4つの調整マーカーMのうち右下に位置する調整マーカーMを右方向に移動させた場合、左下に位置する調整マーカーMも、同じ移動量だけ左方向に移動するようにしても良い。つまり、一般的なキーストーン歪み補正の要領で、縦方向または横方向の歪み補正を行い得るようにしても良い。また、上記の実施形態に示したように、補正画面20の4つの角部をそれぞれ補正するか(クイックコーナー補正)、縦方向または横方向の歪み量を補正するか(キーストーン歪み補正)のいずれかの補正手法を、操作者の好みに応じて選択可能としても良い。
【0059】
また、上記の実施形態では、補正モード時に補正画面20を表示したが、必ずしも表示する必要はない。つまり、補正モード時においても、投写領域である投写画面10に対してポインター2を移動させることにより、投写画面10の画面形状補正を行っても良い。
【0060】
[第2実施形態]
次に、図13ないし図16を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態では、ポインター2を用いて補正操作を行ったが、本実施形態では、人間の手60(指)を用いて補正操作を行う。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0061】
図13は、第2実施形態に係る投写システムSY2のイメージ図である。同図に示すように、投写システムSY2は、投写画面10を投写するプロジェクター1と、投写画面10が投写されるスクリーンSCと、を備えている。本実施形態では、操作者がスクリーンSCに近づき、スクリーンSC上に表示された補正画面20(図14参照)に手60(物体)を接触させる(または翳す)ことによって補正操作を行う。なお、本実施形態に係るプロジェクター1のハードウェア構成は、第1実施形態(図3参照)と同様である。
【0062】
図14は、第2実施形態に係る補正モード時の補正操作の説明図である。例えば、同図(a)に示すように、補正画面20が歪んだ形状で表示されている状態で、右下角部の調整マーカーMに手60(指の先端)を合わせて右下方向に移動させると(同図(b)参照)、当該手60の移動方向および移動量に基づいて、補正画面20の画面形状が変化する(同図(c)参照)。
【0063】
図15は、撮像部13により、図4に示した補正画面20を撮像した撮像画像25を示す図である。同図は、図4に示した補正操作により、人間の手60が、図示点線で示す位置から図示実線で示す位置まで移動されたことを示している。この場合、制御部16(移動検出部16a)は、撮像画像25から、プロジェクター1の投写光(補正画面20および調整マーカーM)が手60によって遮られたことによる反射率の変化を判定することにより、手60の先端位置(指の先端位置)を検出する。つまり、撮像画像25上において、手60の先端位置が、図示点線付き白丸で示す移動開始点(X1,Y1)から、図示黒丸で示す移動終了点(X2,Y2)まで移動したことを検出する。なお、反射率の変化は、手60そのものではなく、手60の影によって生じるものであっても良い。続いて、手60の先端位置となる移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内にあるか否かを判別する。そして、移動開始点(X1,Y1)が調整マーカーM内にあると判定した場合は、移動開始点および移動終了点の各座標に基づいて、手60の移動方向および移動量を算出する。つまり、「手60の先端位置」を、第1実施形態の「ポイント位置P」として移動検出を行う。なお、制御部16は、移動検出の際、人間の指以上の大きさ(例えば、直径1cm以上など)を有する物体の移動を検出することが好ましい。これにより、撮像部13によって虫や埃などが撮像されたことによる誤判定を防止できる。
【0064】
このように、本発明の第2実施形態に係る投写システムSY2によれば、スクリーンSCに表示された補正画面20上で手60を移動させるため、ポインター2を用いた場合よりも、さらに直感的に補正操作を行うことができる。また、手60を用いるため、補正操作を行うために特別な道具を必要としない。
【0065】
なお、上記の実施形態では、人間の手60を用いて補正操作を行ったが、指し棒やマーカー(筆記具)などを用いても良い。この場合も、物体の先端位置の移動を検出することにより、投写画面10の画面形状補正処理を行う。
【0066】
また、上記の実施形態では、手60をスクリーンSCに接触させて移動させるものとしたが、必ずしも接触している必要はなく、プロジェクター1(撮像部13)とスクリーンSCとの間で物体を移動させれば良い。すなわち、図16に示すように、物体の移動は、スクリーンSC上91であっても良いし、スクリーンSCから若干離間した位置92であっても良いし、スクリーンSCから大きく離間した位置93であっても良い。但し、位置92や位置93で物体を移動させる場合、制御部16(移動検出部16a)は、物体の影の先端位置を検出することとなる。
【0067】
[第3実施形態]
次に、図17および図18を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、補正操作を行う手段として、第1実施形態に示したポインター2と、第2実施形態に示した人間の手60と、を選択できることを特徴とする。以下、この特徴点についてのみ説明する。
【0068】
図17は、第3実施形態に係るプロジェクター1のモード選択体系を示す図である。なお、図示点線枠については、変形例として後述する。同図に示すように、本実施形態では、まず第1実施形態と同様に、投写画面10を投写する通常モードと、画面形状補正を行う補正モードと、のいずれかを選択可能となっている。また、補正モードを選択した場合は、さらにポインティングデバイス使用モードと、物体使用モードとのいずれかを選択可能となっている(移動体選択部)。ここで、ポインティングデバイス使用モードが選択された場合、操作者は、ポインター2を用いて補正操作を行う。また、物体使用モードが選択された場合、手60を用いて補正操作を行う。
【0069】
図18は、ポインティングデバイス使用モード時と、物体使用モード時とにそれぞれ表示される補正画面20および調整マーカーMの一例を示す図である。同図(a)に示すように、ポインティングデバイス使用モード時は、白色の補正画面20で、且つ当該補正画面20の4つの角部に、黒色の調整マーカーMが表示される。一方、同図(b)に示すように、物体使用モード時は、黒色の補正画面20で、且つ当該補正画面20の4つの角部に、白色の調整マーカーMが表示される。また、当該白色の調整マーカーMは、ポインティングデバイス使用モード時に表示される黒色の調整マーカーMよりも大きなサイズとなっている。
【0070】
このように、本発明の第3実施形態に係るプロジェクター1は、ポインター2を用いた補正操作と、手60を用いた補正操作の両方に対応できる。これにより、操作者の好みやプレゼンテーションの内容、スクリーンSCの大きさなどに応じて、ポインティングデバイス使用モードと物体使用モードのいずれかを選択できる。また、各モードに応じた(ポインター2、手60など、使用する移動体に応じた)補正画面20および調整マーカーMを表示するため、移動検出精度の向上および補正操作の操作性の向上が期待できる。
【0071】
なお、変形例として、図17の点線枠に示すように、モード選択項目を追加しても良い。例えば、ポインティングデバイス使用モード時は、その下位階層でポインティングデバイスを選択可能としても良い。さらに、ポインティングデバイスとしてレーザーポインターが使用された場合は、レーザー光の色を選択可能としても良い。また、物体使用モード時は、その下位階層で物体を選択可能としても良い。さらに、その下位階層として、操作位置(図16の操作位置91〜93など)を選択可能としても良い。これらの構成によれば、各項目の選択結果に応じて、補正画面20および調整マーカーMの色、補正画面20および調整マーカーMの明度、補正画面20および調整マーカーMの大きさ、などを適切に可変できる。
【0072】
また、ポインティングデバイス使用モードと物体使用モードの選択結果に応じて、モード切替方法を可変しても良い。例えば、ポインティングデバイス使用モード時は、図9および図10に示したように、ポインティングデバイスを用いたモード切替指示にしたがってモード切替を行い、物体使用モード時は、操作パネル14やリモコン15を用いたモード切替指示にしたがってモード切替を行う構成としても良い。この構成によれば、選択されたモード(選択された移動体)に応じて、適切なモード切替方法を採用できる。また、ポインティングデバイス使用モード時は、ポインティングデバイスを用いたモード切替指示を採用することで、わざわざプロジェクター1に近づくことなく、プロジェクター1から離れた場所でモード切替操作および補正操作を行うことができる。また、物体使用モード時は、図9および図10に示した方法でモード切替を行わないようにすることで、何らかの物体が撮像部13の前を遮ったことにより、誤ってモード変換されてしまうなどの不具合を解消できる。
【0073】
以上、3つの実施形態を示したが、各実施形態に示したプロジェクター1の各構成要素および各機能をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターをプロジェクター1の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0074】
また、上記の実施形態では、プロジェクター1の表示方式として、透過型液晶表示方式を採用しているが、反射型液晶表示方式、CRT表示方式やライトスイッチ表示方式(マイクロミラーデバイス方式)など、プロジェクター1の表示原理は問わない。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…プロジェクター、2…ポインター、11…画像信号入力部、12…画像処理部、12a…画面形状補正部、13…撮像部、14…操作パネル、15…リモコン、16…制御部、16a…移動検出部、16b…モード切替部、30…投写光学系、31…ライトバルブ駆動部、32…ランプ駆動部、33…レンズ位置検出部、34…レンズ駆動部、35…光源ランプ、36…液晶ライトバルブ、37…レンズ群、SC…スクリーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投写画面をスクリーン上に表示する投写表示部と、
前記スクリーン上における、ポインティングデバイスを用いたポイント位置の移動を検出する移動検出部と、
前記ポイント位置の移動に基づいて、前記投写画面の画面形状を補正する画面形状補正部と、を備えたことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記移動検出部は、前記ポイント位置の移動方向および移動量を検出することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記ポインティングデバイスは、前記スクリーンに対して光線を照射するポインターであり、
前記移動検出部は、前記ポインターの照射位置を撮像した撮像結果に基づいて、当該照射位置に相当する前記ポイント位置の移動を検出することを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記投写表示部は、前記投写画面の形状を示す矩形領域を前記スクリーン上に表示し、
前記移動検出部は、前記スクリーン上に表示されている前記矩形領域を基準とした前記ポイント位置の移動を検出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記画面形状補正部は、前記ポイント位置が近接または重畳された、前記矩形領域の辺および/または頂点の位置を、前記ポイント位置の移動に伴って変化させることにより、前記投写画面の画面形状を補正することを特徴とする請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記投写表示部は、前記矩形領域と共に、当該矩形領域の4つの頂点位置を含む複数個所に配置された複数のマーカー画像を表示し、
前記移動検出部は、前記マーカー画像上を通過した前記ポイント位置の移動を検出することを特徴とする請求項5に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記複数のマーカー画像は、前記矩形領域の4つの角にそれぞれ内接し、互いに重畳しない4つの角部領域を含むことを特徴とする請求項6に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記ポイント位置の移動に基づいて画面形状補正を行う補正モードと、前記投写画面の投写を行う通常モードと、を切り替えるモード切替部をさらに備え、
前記移動検出部および前記画面形状補正部は、前記補正モード時のみ機能することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記モード切替部は、前記移動検出部により、前記ポイント位置が前記スクリーン上の前記投写画面または前記矩形領域を除く特定領域に重畳されたことを検出した場合、モード切替を行うことを特徴とする請求項8に記載のプロジェクター。
【請求項10】
前記モード切替部は、前記移動検出部により、前記ポイント位置の移動軌跡によって特定の線画像が描かれたことを検出した場合、モード切替を行うことを特徴とする請求項8に記載のプロジェクター。
【請求項11】
投写画面をスクリーン上に表示するプロジェクターの画面形状補正方法であって、
前記スクリーン上における、ポインティングデバイスを用いたポイント位置の移動を検出するステップと、
前記ポイント位置の移動に基づいて、前記投写画面の画面形状を補正するステップと、を実行することを特徴とするプロジェクターの画面形状補正方法。
【請求項1】
投写画面をスクリーン上に表示する投写表示部と、
前記スクリーン上における、ポインティングデバイスを用いたポイント位置の移動を検出する移動検出部と、
前記ポイント位置の移動に基づいて、前記投写画面の画面形状を補正する画面形状補正部と、を備えたことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記移動検出部は、前記ポイント位置の移動方向および移動量を検出することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記ポインティングデバイスは、前記スクリーンに対して光線を照射するポインターであり、
前記移動検出部は、前記ポインターの照射位置を撮像した撮像結果に基づいて、当該照射位置に相当する前記ポイント位置の移動を検出することを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記投写表示部は、前記投写画面の形状を示す矩形領域を前記スクリーン上に表示し、
前記移動検出部は、前記スクリーン上に表示されている前記矩形領域を基準とした前記ポイント位置の移動を検出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記画面形状補正部は、前記ポイント位置が近接または重畳された、前記矩形領域の辺および/または頂点の位置を、前記ポイント位置の移動に伴って変化させることにより、前記投写画面の画面形状を補正することを特徴とする請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記投写表示部は、前記矩形領域と共に、当該矩形領域の4つの頂点位置を含む複数個所に配置された複数のマーカー画像を表示し、
前記移動検出部は、前記マーカー画像上を通過した前記ポイント位置の移動を検出することを特徴とする請求項5に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記複数のマーカー画像は、前記矩形領域の4つの角にそれぞれ内接し、互いに重畳しない4つの角部領域を含むことを特徴とする請求項6に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記ポイント位置の移動に基づいて画面形状補正を行う補正モードと、前記投写画面の投写を行う通常モードと、を切り替えるモード切替部をさらに備え、
前記移動検出部および前記画面形状補正部は、前記補正モード時のみ機能することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記モード切替部は、前記移動検出部により、前記ポイント位置が前記スクリーン上の前記投写画面または前記矩形領域を除く特定領域に重畳されたことを検出した場合、モード切替を行うことを特徴とする請求項8に記載のプロジェクター。
【請求項10】
前記モード切替部は、前記移動検出部により、前記ポイント位置の移動軌跡によって特定の線画像が描かれたことを検出した場合、モード切替を行うことを特徴とする請求項8に記載のプロジェクター。
【請求項11】
投写画面をスクリーン上に表示するプロジェクターの画面形状補正方法であって、
前記スクリーン上における、ポインティングデバイスを用いたポイント位置の移動を検出するステップと、
前記ポイント位置の移動に基づいて、前記投写画面の画面形状を補正するステップと、を実行することを特徴とするプロジェクターの画面形状補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−129594(P2012−129594A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276680(P2010−276680)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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