説明

プロジェクターおよび同期方法

【課題】 画像と音声を再生する際に、より簡易な構成で画像と音声の同期をとることが可能なプロジェクター等を提供すること。
【解決手段】 プロジェクター100が、画像データ142および音声データ132を順次受信する受信部110と、音声データ132を一時的に蓄積する音声バッファー130と、音声データ132を音声バッファー130に順次書き込む音声データ書込部120と、音声データ132を順次取り出す音声データ取り出し部150と、音声データ132に基づき、音声を生成する音声生成部180と、音声バッファー130における音声データ132の単位時間当たりの増加量を演算するとともに、当該増加量が画像供給装置の転送レートに応じた第1の値を超えている状態であるかどうかを判定する判定部170を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターおよび同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターが、PC(Personal Computer)等の画像供給装置から画像データと音声データを受信し、画像データに基づいて画像を投写し、音声データに基づいて音声を出力する場合、画像と音声を適切に同期させることが必要である。例えば、特開平9−65303号公報では、ビデオ送信装置が、音声データと動画データのそれぞれにタイムコード(タイムスタンプ)を付加することによって同期をとる手法が記載されている。また、例えば、特開2003−244658号公報では、入力データをそのまま後段のバッファーメモリーに出力するか、入力データを読み捨てるかを外部からの制御信号により切り替え可能なデータ廃棄手段が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−65303号公報
【特許文献2】特開2003−244658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、画像と音声の同期をとるためには、画像供給装置と表示装置でタイムスタンプを利用する手段を実装したり、表示装置が外部装置からの制御命令に応じて再生クロック等のパラメーターを動的に変更する手段を実装したりする必要があり、複雑な構成が必要となっていた。特に、プロジェクターが画像供給装置から無線の伝送路を介して画像データと音声データを受信する場合、外乱等によって画像と音声が同期しないことがあった。
【0005】
本発明にかかるいくつかの態様は、上記課題を解決することにより、画像供給装置から画像データと音声データを受信し、画像と音声を再生する際に、より簡易な構成で画像と音声の同期をとることが可能なプロジェクターおよび同期方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の1つであるプロジェクターは、画像供給装置から画像データおよび音声データを順次受信する受信部と、前記音声データを一時的に蓄積する音声バッファーと、前記受信部によって受信された前記音声データを前記音声バッファーに順次書き込む音声データ書込部と、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データを順次取り出す音声データ取り出し部と、当該音声データ取り出し部によって取り出された前記音声データに基づき、音声を生成する音声生成部と、前記画像データに基づき、画像を生成する画像生成部と、判定部と、を含み、前記判定部は、前記音声バッファーにおける前記音声データの単位時間当たりの増加量を演算するとともに、前記単位時間当たりの増加量が転送レートに応じた第1の値を超えており、かつ、前記音声バッファーにおける前記音声データの量が閾値を超えている状態である第1の状態であるかどうかを判定し、前記音声データ取り出し部は、前記判定部によって前記第1の状態であると判定された場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データのうち、一部の音声データを読み捨て、読み捨てた音声データよりも後に蓄積された音声データを取り出すことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の態様の1つである同期方法は、プロジェクターにおける画像と音声の同期方法であって、前記プロジェクターは、画像供給装置から画像データおよび音声データを順次受信し、前記受信部によって受信された前記音声データを音声バッファーに順次書き込み、前記音声バッファーにおける前記音声データの単位時間当たりの増加量を演算するとともに、前記単位時間当たりの増加量が転送レートに応じた第1の値を超えており、かつ、前記音声バッファーにおける前記音声データの量が閾値を超えている状態である第1の状態であるかどうかを判定し、前記第1の状態でないと判定した場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データを順次取り出し、前記第1の状態であると判定した場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データのうち、一部の音声データを読み捨て、読み捨てた音声データよりも後に蓄積された音声データを取り出し、取り出した前記音声データに基づき、音声を生成し、前記画像データに基づき、画像を生成することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、プロジェクターは、音声バッファーにおける音声データの単位時間当たりの増加量と、音声バッファーにおける音声データの量に基づき、第1の状態であるかどうかを判定して一部の音声データを読み捨てることにより、画像の生成が音声の生成よりも先行している場合等に画像と音声を同期させることができる。特に、プロジェクターは、タイムスタンプを用いたり、外部装置からの制御命令を用いたりする必要がないため、より簡易に画像と音声を同期させることができる。
【0009】
また、前記判定部は、前記音声バッファーがアンダーフロー状態であるかどうかを判定するとともに、前記音声バッファーがアンダーフロー状態である場合、前記音声バッファーにおける前記音声データのデータ量が閾値を超えている状態である第2の状態であるかどうかを判定し、前記音声データ取り出し部は、前記判定部によって前記第2の状態であると判定された場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データのうち、一部の音声データを読み捨て、読み捨てた音声データよりも後に蓄積された音声データを取り出してもよい。
【0010】
また、本発明の態様の1つであるプロジェクターは、画像供給装置から画像データおよび音声データを順次受信する受信部と、前記音声データを一時的に蓄積する音声バッファーと、前記受信部によって受信された前記音声データを前記音声バッファーに順次書き込む音声データ書込部と、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データを順次取り出す音声データ取り出し部と、当該音声データ取り出し部によって取り出された前記音声データに基づき、音声を生成する音声生成部と、前記画像データに基づき、画像を生成する画像生成部と、判定部と、を含み、前記判定部は、前記音声バッファーがアンダーフロー状態であるかどうかを判定するとともに、前記音声バッファーがアンダーフロー状態である場合、前記音声バッファーにおける前記音声データのデータ量が閾値を超えている状態である第2の状態であるかどうかを判定し、前記音声データ取り出し部は、前記判定部によって前記第2の状態であると判定された場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データのうち、一部の音声データを読み捨て、読み捨てた音声データよりも後に蓄積された音声データを取り出すことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の態様の1つである同期方法は、プロジェクターにおける画像と音声の同期方法であって、前記プロジェクターは、画像供給装置から画像データおよび音声データを順次受信し、前記受信部によって受信された前記音声データを音声バッファーに順次書き込み、前記音声バッファーがアンダーフロー状態であるかどうかを判定し、前記音声バッファーがアンダーフロー状態である場合、前記音声バッファーにおける前記音声データのデータ量が閾値を超えている状態である第2の状態であるかどうかを判定し、前記第2の状態でないと判定した場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データを順次取り出し、前記第2の状態であると判定した場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データのうち、一部の音声データを読み捨て、読み捨てた音声データよりも後に蓄積された音声データを取り出し、取り出した前記音声データに基づき、音声を生成し、前記画像データに基づき、画像を生成することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、プロジェクターは、音声バッファーにおける音声データのデータ量に基づき、第2の状態であるかどうかを判定して一部の音声データを読み捨てることにより、画像の生成が音声の生成よりも先行している場合等に画像と音声を同期させることができる。特に、プロジェクターは、タイムスタンプを用いたり、外部装置からの制御命令を用いたりする必要がないため、より簡易に画像と音声を同期させることができる。
【0013】
また、前記音声データ書込部は、前記判定部によって前記第1の状態であると判定された場合、前記受信部によって受信された前記音声データを前記音声バッファーに書き込まなくてもよい。これによれば、プロジェクターは、第1の状態である場合に新たな音声データを音声バッファーに書き込まないことにより、音声バッファーにおける音声データの増加量を低減することができるため、第1の状態を解消しやすくなる。
【0014】
また、前記音声データ書込部は、前記判定部によって前記第2の状態であると判定された場合、前記受信部によって受信された前記音声データを前記音声バッファーに書き込まなくてもよい。これによれば、プロジェクターは、第2の状態である場合に新たな音声データを音声バッファーに書き込まないことにより、音声バッファーにおける音声データの増加量を低減することができるため、第2の状態を解消しやすくなる。
【0015】
また、前記判定部は、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データの量が前記音声データ取り出し部の必要取り出し量に対して不足しているかどうかを判定し、前記音声データ取り出し部は、前記判定部によって前記音声データの量が不足していると判定された場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データに代えて無音の音声データを前記音声生成部に出力してもよい。これによれば、プロジェクターは、無音の音声データを音声生成部に出力することにより、画像と音声が同期していない状態であっても、画像と合っていない音声が出力されることを防止することができる。また、これによれば、プロジェクターは、音声データ取り出し部が音声バッファーにおける音声データの量に関わらず、必要な量の音声データを音声生成部に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施例における投写システムの一例を示す図である。
【図2】第1の実施例における音声バッファーの模式図である。
【図3】第1の実施例におけるプロジェクターの機能ブロック図である。
【図4】第1の実施例における音声データの書込処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施例における音声データの書込処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をプロジェクターに適用した実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0018】
(第1の実施例)
図1は、第1の実施例における投写システムの一例を示す図である。プロジェクター100は、ネットワーク(例えば、無線LAN、有線LAN等)300を介して画像供給装置の一種であるPC200から画像データと音声データを順次(例えば、パケット単位、一定時間ごと等)受信し、画像と音声を同期させて再生(投写および音声出力)する機能を有している。
【0019】
図2は、第1の実施例における音声バッファーの模式図である。プロジェクター100の有する音声バッファーには音声データが、例えば、先入れ先出し方式等で書き込まれ、取り出される。プロジェクター100の有する画像バッファーも同様である。画像の場合は音声と比較してデータ量が大きい。このため、PC200には画像の十分なデータ量を保持可能なバッファーが設けられておらず、外乱等によって通信が切断された場合、PC200が画像データを読み捨てるか、TCP上で画像データが破棄されることになる。したがって、通信が回復した場合、最新の画像データがプロジェクター100に到達する。一方、音声データは画像データと比べてデータ量が少なく、また、人間の耳は画像と比べて音声に敏感であるため、画像バッファーよりも長い時間分のデータを保持可能な音声バッファーが設けられることが一般的である。このため、通信が切断した後に回復した場合、音声は古いデータも含めたデータが、まとまった状態でプロジェクター100によって受信されることになる。以上の理由により、通信が切断した後に回復した場合、画像と音声のずれが生じてしまう。本実施例のプロジェクター100は、音声バッファーにおける音声データの量等に応じて音声データを読み捨てることによって画像と音声のずれを回復する機能等を有する。
【0020】
次に、このような機能を有するプロジェクター100の機能ブロックについて説明する。図3は、第1の実施例におけるプロジェクター100の機能ブロック図である。プロジェクター100は、PC200から画像データおよび音声データを受信する受信部110と、音声バッファー130と、音声バッファー130に音声データ132を順次書き込む音声データ書込部120と、音声バッファー130から音声データ132を順次取り出す音声データ取り出し部150と、判定部170を含んで構成されている。また、プロジェクター100は、画像バッファー140と、画像バッファー140に画像データ142を順次書き込む画像データ書込部122と、画像バッファー140から画像データ142を順次取り出す画像データ取り出し部152と、音声データ取り出し部150によって取り出された音声データ132に基づき、音声を生成する音声生成部180と、当該音声を出力する音声出力部188と、画像データ取り出し部152によって取り出された画像データ142に基づき、画像を生成する画像生成部190と、当該画像をスクリーン等に投写する投写部198を含んで構成されている。
【0021】
なお、プロジェクター100は、以下のハードウェアを用いてこれらの各部として機能してもよい。例えば、プロジェクター100は、受信部110はLANユニット等、音声データ書込部120、画像データ書込部122、音声データ取り出し部150、画像データ取り出し部152、判定部170はCPU等、音声バッファー130、画像バッファー140はRAM等、音声生成部180は音声処理回路等、画像生成部190は画像処理回路等、音声出力部188はアンプ、スピーカー等、投写部198はランプ、液晶パネル、液晶駆動回路、レンズ等を用いてもよい。
【0022】
次に、本実施例における音声データの書込処理手順等について説明する。図4は、第1の実施例における音声データの書込処理手順を示すフローチャートである。例えば、プロジェクター100は、プロジェクター100が起動した場合、PC200との通信が開始した場合、PC200との通信が再開した場合等に、画像と音声を適切に同期させるため、音声データの書込処理を実行する。受信部110によってPC200から音声データが受信された場合、判定部170は、音声バッファー130における音声データ132のデータ増加率(例えば、1秒当たりの増加ビット数等)を演算する(ステップS1)。また、判定部170は、当該データ増加率がPC200側の転送レート(第1の値、例えば、1秒当たりの転送ビット数等)を越えているかどうか、すなわち、第1の状態であるかどうかを判定する(ステップS2)。なお、この転送レートは、固定値であってもよいし、PC200から伝達されたPC200における実際の転送レートであってもよいし、通信状態等に応じて調整された値であってもよい。
【0023】
判定部170は、データ増加率が転送レートを越えている場合、音声バッファー130における音声データ132のデータ量が閾値(例えば、音声バッファー130の最大容量の4分の1等)を超えているかどうかを判定する(ステップS3)。音声バッファー130における音声データ132のデータ量が閾値を超えている場合、音声データ書込部120は、超過分の古い音声データ132が読み捨てられるように、音声バッファー130の取り出しポインターのアドレスを更新する(ステップS4)。なお、音声データ書込部120は、必要に応じて、受信された音声データ132の書込位置を示す書込ポインターのアドレスと、音声データ取り出し部150によって取り出される音声データ132の位置を示す取り出しポインターのアドレスを更新するものとする。
【0024】
音声データ132の読み捨て処理(ステップS4)の有無に関わらず、音声データ書込部120は、受信部110によって受信された音声データ132を音声バッファー130に書き込む(ステップS5)。なお、音声データ書込部120は、音声データ132の読み捨て処理(ステップS4)を実行した場合のみ、受信部110によって受信された音声データ132を音声バッファー130に書き込まなくてもよい。
【0025】
音声データ書込部120は、音声データ132の増加率が転送レート以下になった時点で音声データ132の読み捨て処理(ステップS4)に関する処理を終了し、通常の書込処理を実行する。また、音声データ取り出し部150は、音声データ書込部120の処理とは非同期で動作し、音声生成部180によって要求される量の音声データ132を、音声バッファー130の取り出しポインターに基づいて取り出し、音声生成部180に出力する。なお、音声バッファー130における有効な音声データ132のデータ量が要求量に満たない場合(アンダーフロー状態)、音声データ取り出し部150は、無音(ダミー)の音声データを音声生成部180に出力し、当該出力に応じて無音の音声データの総量(例えば、カウンター値等)を増加させる。
【0026】
音声生成部180は、音声データ取り出し部150からの音声データに基づいて音声を生成し、音声出力部188は、当該音声を出力する。また、音声の出力と同時に投写部198による画像の投写も行われる。
【0027】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター100は、起動時等において、音声バッファー130における音声データ132の単位時間当たりの増加量に基づき、第1の状態であるかどうかを判定して一部の音声データ132を読み捨てることにより、画像の生成が音声の生成よりも先行している場合等に画像と音声を同期させることができる。特に、プロジェクター100は、タイムスタンプを用いたり、外部装置からの制御命令を用いたりする必要がないため、より簡易に画像と音声を同期させることができる。
【0028】
また、本実施例によれば、プロジェクター100は、画像と音声の同期がとれていない状態である場合、新たな音声データ132を音声バッファー130に書き込まないことにより、音声バッファー130における音声データ132の増加量を低減することができるため、非同期状態(第1の状態)を解消しやすくなる。また、本実施例によれば、PC200における処理の変更は不要であるため、機能の実装が容易である。
【0029】
また、本実施例によれば、プロジェクター100は、無音の音声データを音声生成部180に出力することにより、画像と音声が同期していない状態で音声が出力されることを防止することができる。また、これによれば、音声データ取り出し部150は、音声バッファー130における音声データ132の量に関わらず、必要な量の音声データを音声生成部180に出力することができる。
【0030】
(第2の実施例)
第1の実施例では、プロジェクター100は、音声バッファー130におけるデータ増加率に基づく判定を行ったが、音声バッファー130における音声データ132のデータ量に基づく判定を行ってもよい。また、プロジェクター100は、音声バッファー130がアンダーフロー状態になった場合に、上述した音声データ132の読み捨て処理を実行してもよい。
【0031】
図5は、第2の実施例における音声データの書込処理手順を示すフローチャートである。ここでは、判定部170が、音声バッファー130における音声データ132の量等に基づき、音声バッファー130がアンダーフロー状態になったかどうかを判定し、音声バッファー130がアンダーフロー状態になったと判定したものとする。アンダーフロー状態で、受信部110によってPC200から音声データが受信された場合、判定部170は、音声データ取り出し部150によって音声生成部180に出力された無音の音声データの総量が0より大きいかどうかを判定する(ステップS11)。音声生成部180に出力された無音の音声データの総量が0より大きい場合、判定部170は、音声バッファー130に蓄積された音声データ130のデータ量が閾値(第1の実施例と同様)より大きいかどうか(第2の状態になっているかどうか)を判定する(ステップS12)。音声データ130のデータ量が閾値より大きい場合、音声データ書込部120は、超過分の古い音声データ132が読み捨てられるように、音声バッファー130の取り出しポインターのアドレスを更新する(ステップS13)。また、この場合、音声データ書込部120は、音声データ132の読み捨て量に応じて、出力された無音の音声データの総量を減少させる(ステップS14)。
【0032】
音声データ132の読み捨て処理(ステップS13)の有無に関わらず、音声データ書込部120は、受信部110によって受信された音声データ132を音声バッファー130に書き込む(ステップS15)。なお、音声データ書込部120は、音声データ132の読み捨て処理(ステップS13)を実行した場合のみ、受信部110によって受信された音声データ132を音声バッファー130に書き込まなくてもよい。
【0033】
音声データ書込部120は、出力された無音の音声データの総量が0以下になった場合や、アンダーフロー状態になってから所定の時間が経過した場合、音声データ132の読み捨て処理(ステップS13)に関する処理を終了し、通常の書込処理を実行する。なお、音声データ取り出し部150以降の処理は第1の実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0034】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター100は、第1の実施例と同様の作用効果を奏する。また、本実施例によれば、プロジェクター100は、音声バッファー130における音声データ132のデータ量に基づき、第2の状態であるかどうかを判定して一部の音声データ132を読み捨てることにより、画像の生成が音声の生成よりも先行している場合等に画像と音声を同期させることができる。
【0035】
また、本実施例によれば、プロジェクター100は、出力した無音の音声データの総量と読み捨てた音声データの量を比較することにより、第2の状態が解消したかどうかを判定することにより、より確実に第2の状態の解消を判定することができる。
【0036】
(その他の実施例)
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、プロジェクター100は、第1の状態または第2の状態になった場合に、音声バッファー130における音声データ132の一部または全部を消去する消去部を含んでもよい。すなわち、読み捨ての手法は、上述した実施例の手法に限定されず、例えば、消去部が音声データ132を消去してもよいし、音声データ取り出し部150が、上述した取り出しポインターのアドレスを更新してもよい。
【0037】
また、第1の状態または第2の状態が解消したと判定する条件は、上述した条件に限定されず、例えば、単位時間当たりの音声バッファー130におけるデータ増加量が転送レート以下(または転送レートとの差分値が所定割合以内)の状態が一定時間以上継続したという条件等であってもよい。また、第2の実施例において、判定部170がステップS11の判定を行わず、音声データ書込部120が、ステップS12の判定結果が真である場合に上述した読み捨て処理を実行してもよい。また、プロジェクター100は、第1の実施例の処理と第2の実施例の処理を一連の流れとして実行してもよいし、どちらか一方の処理のみを実行してもよい。
【0038】
また、アンダーフロー状態において、音声データ取り出し部150は、無音の音声データに限らず、代替となる音声データを音声生成部180に出力してもよい。すなわち無音に限らず、可聴レベルに満たない程度の音声、可聴帯域外の音声、あるいはアンダーフロー状態を示す特定の音声等でもよい。
【0039】
また、画像供給装置としては、PC200だけでなく、例えば、DVDプレーヤー、携帯電話、携帯情報端末、ゲーム装置等の画像データと音声データを送信可能な装置が該当する。また、プロジェクター100の有するコンピューターは、情報記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取って判定部170等として機能してもよい。このような情報記憶媒体としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、ROM、RAM、HDD等を適用できる。
【0040】
また、プロジェクター100は、液晶プロジェクター(透過型、LCOS等の反射型)に限定されず、例えば、デジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクター等であってもよい。また、投写部198は、ランプの代わりにLED等の固体光源を含んでもよい。また、プロジェクター100の機能を複数の装置(例えば、PCとプロジェクター等)に分散してもよい。
【符号の説明】
【0041】
100 プロジェクター、110 受信部、120 音声データ書込部、122 画像データ書込部、130 音声バッファー、132 音声データ、140 画像バッファー、142 画像データ、150 音声データ取り出し部、152 画像データ取り出し部、170 判定部、180 音声生成部、188 音声出力部、190 画像生成部、198 投写部、200 PC(画像供給装置)、300 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像供給装置から画像データおよび音声データを順次受信する受信部と、
前記音声データを一時的に蓄積する音声バッファーと、
前記受信部によって受信された前記音声データを前記音声バッファーに順次書き込む音声データ書込部と、
前記音声バッファーに蓄積された前記音声データを順次取り出す音声データ取り出し部と、
当該音声データ取り出し部によって取り出された前記音声データに基づき、音声を生成する音声生成部と、
前記画像データに基づき、画像を生成する画像生成部と、
判定部と、
を含み、
前記判定部は、前記音声バッファーにおける前記音声データの単位時間当たりの増加量を演算するとともに、前記単位時間当たりの増加量が転送レートに応じた第1の値を超えており、かつ、前記音声バッファーにおける前記音声データの量が閾値を超えている状態である第1の状態であるかどうかを判定し、
前記音声データ取り出し部は、前記判定部によって前記第1の状態であると判定された場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データのうち、一部の音声データを読み捨て、読み捨てた音声データよりも後に蓄積された音声データを取り出す、
プロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記音声データ書込部は、前記判定部によって前記第1の状態であると判定された場合、前記受信部によって受信された前記音声データを前記音声バッファーに書き込まない、
プロジェクター。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記判定部は、前記音声バッファーがアンダーフロー状態であるかどうかを判定するとともに、前記音声バッファーがアンダーフロー状態である場合、前記音声バッファーにおける前記音声データのデータ量が閾値を超えている状態である第2の状態であるかどうかを判定し、
前記音声データ取り出し部は、前記判定部によって前記第2の状態であると判定された場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データのうち、一部の音声データを読み捨て、読み捨てた音声データよりも後に蓄積された音声データを取り出す、
プロジェクター。
【請求項4】
画像供給装置から画像データおよび音声データを順次受信する受信部と、
前記音声データを一時的に蓄積する音声バッファーと、
前記受信部によって受信された前記音声データを前記音声バッファーに順次書き込む音声データ書込部と、
前記音声バッファーに蓄積された前記音声データを順次取り出す音声データ取り出し部と、
当該音声データ取り出し部によって取り出された前記音声データに基づき、音声を生成する音声生成部と、
前記画像データに基づき、画像を生成する画像生成部と、
判定部と、
を含み、
前記判定部は、前記音声バッファーがアンダーフロー状態であるかどうかを判定するとともに、前記音声バッファーがアンダーフロー状態である場合、前記音声バッファーにおける前記音声データのデータ量が閾値を超えている状態である第2の状態であるかどうかを判定し、
前記音声データ取り出し部は、前記判定部によって前記第2の状態であると判定された場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データのうち、一部の音声データを読み捨て、読み捨てた音声データよりも後に蓄積された音声データを取り出す、
プロジェクター。
【請求項5】
請求項3、4のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記音声データ書込部は、前記判定部によって前記第2の状態であると判定された場合、前記受信部によって受信された前記音声データを前記音声バッファーに書き込まない、
プロジェクター。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記判定部は、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データの量が前記音声データ取り出し部の必要取り出し量に対して不足しているかどうかを判定し、
前記音声データ取り出し部は、前記判定部によって前記音声データの量が不足していると判定された場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データに代えて無音の音声データを前記音声生成部に出力する、
プロジェクター。
【請求項7】
プロジェクターにおける画像と音声の同期方法であって、
前記プロジェクターは、
画像供給装置から画像データおよび音声データを順次受信し、
前記受信部によって受信された前記音声データを音声バッファーに順次書き込み、
前記音声バッファーにおける前記音声データの単位時間当たりの増加量を演算するとともに、前記単位時間当たりの増加量が転送レートに応じた第1の値を超えており、かつ、前記音声バッファーにおける前記音声データの量が閾値を超えている状態である第1の状態であるかどうかを判定し、
前記第1の状態でないと判定した場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データを順次取り出し、
前記第1の状態であると判定した場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データのうち、一部の音声データを読み捨て、読み捨てた音声データよりも後に蓄積された音声データを取り出し、
取り出した前記音声データに基づき、音声を生成し、
前記画像データに基づき、画像を生成する、
同期方法。
【請求項8】
プロジェクターにおける画像と音声の同期方法であって、
前記プロジェクターは、
画像供給装置から画像データおよび音声データを順次受信し、
前記受信部によって受信された前記音声データを音声バッファーに順次書き込み、
前記音声バッファーがアンダーフロー状態であるかどうかを判定し、
前記音声バッファーがアンダーフロー状態である場合、前記音声バッファーにおける前記音声データのデータ量が閾値を超えている状態である第2の状態であるかどうかを判定し、
前記第2の状態でないと判定した場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データを順次取り出し、
前記第2の状態であると判定した場合、前記音声バッファーに蓄積された前記音声データのうち、一部の音声データを読み捨て、読み捨てた音声データよりも後に蓄積された音声データを取り出し、
取り出した前記音声データに基づき、音声を生成し、
前記画像データに基づき、画像を生成する、
同期方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−216997(P2011−216997A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80993(P2010−80993)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】