プロジェクタ
【課題】幼児等の操作によって光源が不用意に点灯してしまうことを抑制可能なプロジェクタを提供する。
【解決手段】スタンバイ状態において電源キーの操作(オン操作)がなされると、制御部20は、突出状態検知部27からの検知信号に基づいて、2つの前方脚部がともに突出した状態であるか否かを判断する。そして、2つの前方脚部がともに突出した状態である場合には、制御部20は、電源回路25に指示をして動作電力の供給を開始させて、プロジェクタ1を電源オンの状態に移行させ、さらに、光源制御部26に指示をして光源11を点灯させる。この結果、画像信号入力部31に入力される画像信号に応じた画像が画像投写部10から投写される。一方、少なくとも1つの前方脚部が収納された状態である場合には、制御部20は、スタンバイ状態のまま処理を終了する。
【解決手段】スタンバイ状態において電源キーの操作(オン操作)がなされると、制御部20は、突出状態検知部27からの検知信号に基づいて、2つの前方脚部がともに突出した状態であるか否かを判断する。そして、2つの前方脚部がともに突出した状態である場合には、制御部20は、電源回路25に指示をして動作電力の供給を開始させて、プロジェクタ1を電源オンの状態に移行させ、さらに、光源制御部26に指示をして光源11を点灯させる。この結果、画像信号入力部31に入力される画像信号に応じた画像が画像投写部10から投写される。一方、少なくとも1つの前方脚部が収納された状態である場合には、制御部20は、スタンバイ状態のまま処理を終了する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から射出された光を変調して投写するプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
超高圧水銀ランプ等の光源から射出された光を変調して投写レンズからスクリーン等に投写するプロジェクタを家庭で使用する場合に、プロジェクタを幼児の手の届く位置に放置してしまうと、幼児が誤って電源を投入して光源を点灯させ、投写光を覗き見てしまう恐れがある。プロジェクタの投写光を直接覗き見てしまうと、激しい眩しさを感じ、一時的に視力が低下する症状が生じ得る。
特許文献1には、光源が不用意に点灯しないように、投写レンズを繰り出す操作を行うことによって電源スイッチをオンとするバッテリー駆動型の小型ビデオプロジェクタが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−186522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のビデオプロジェクタは、バッグ等に収納した状態で電源スイッチが不用意にオンとなるのを防ぐには効果的であるが、投写レンズを繰り出す操作は、幼児にとっても簡単な操作であるため、幼児が投写光を覗き見てしまうことを防止することには有効ではない。
また、投写レンズの前面に開閉式のレンズカバーを備えたプロジェクタが存在するが、レンズカバーを閉め忘れたり、幼児がレンズカバーを開いてしまったりする恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクタは、光源から射出された光を変調して投写する画像投写部と、前記画像投写部を収容する筐体と、前記筐体の底面側に突出して前記筐体を傾斜させる脚部と、前記脚部の突出状態を調整するための突出状態調整部と、前記脚部の突出状態を検知する突出状態検知部と、前記光源を点灯させるためのオン操作、及び前記光源を消灯させるためのオフ操作を受け付ける電源操作部と、前記電源操作部が前記オン操作を受け付けた際に、前記脚部の突出状態に応じて前記光源の点灯を許可又は禁止する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このプロジェクタによれば、電源操作部がオン操作された際、脚部の突出状態に応じて光源の点灯を許可又は禁止する構成であるため、光源を点灯させるためには脚部の突出状態を調整する必要がある。このため、例えば、スイッチ等の簡単な操作のみで光源が点灯してしまうことがなくなり、幼児等の操作によって光源が不用意に点灯してしまうことを抑制することが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記制御部は、前記脚部が突出量の最も小さい突出状態の場合に、前記光源の点灯を禁止することが望ましい。
【0009】
このプロジェクタによれば、脚部の突出量が最も小さい場合に光源の点灯が禁止になるため、光源を点灯させるためには、脚部の突出量を大きくする必要がある。プロジェクタが未使用の状態、即ち光源が消灯している状態では、脚部は突出量が最も小さくなるように調整されている場合が多いため、幼児等の操作によって光源が不用意に点灯してしまうことを一層抑制することが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記電源操作部が前記オフ操作を受け付けた際、前記脚部を前記光源の点灯が禁止される突出状態に調整するように促す警告部をさらに備えることが望ましい。
【0011】
このプロジェクタによれば、電源操作部がオフ操作を受け付けた際に、警告部が、脚部を光源の点灯が禁止される突出状態に調整するように促すため、次回オン操作を行う際に、脚部を調整することなく光源が点灯してしまう事態を抑制することが可能となる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記制御部は、前記電源操作部が前記オフ操作を受け付けた際、前記脚部の突出状態が、前記光源の点灯が禁止される突出状態である場合に前記光源を消灯させることが望ましい。
【0013】
このプロジェクタによれば、電源操作部がオフ操作を受け付けた際、脚部の突出状態が、光源の点灯が禁止される突出状態である場合に光源を消灯させる構成であるため、次回オン操作を行う際に、脚部を調整することなく光源が点灯してしまう事態を一層抑制することが可能となる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、複数の前記脚部を備え、前記制御部は、前記電源操作部が前記オン操作を受け付けた際、前記複数の脚部の突出状態に応じて前記光源の点灯を許可又は禁止することが望ましい。
【0015】
このプロジェクタによれば、脚部を複数備えており、光源を点灯させるためには複数の脚部の突出状態を調整する必要があるため、幼児等の操作によって光源が不用意に点灯してしまうことを一層抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係るプロジェクタについて、図面を参照して説明する。プロジェクタは、光源から射出された光を、外部から入力される画像信号に応じて変調して画像光を形成し、この画像光をスクリーン等に拡大投写して画像信号に応じた画像を表示する光学装置である。
【0017】
図1及び図2は、本実施形態のプロジェクタを示す斜視図であり、図1は、上面側から見た図、図2は、底面側から見た図である。また、図3(a)、(b)は、プロジェクタが画像を投写する様子を示す側面図である。
【0018】
図1に示すように、プロジェクタ1は、装置本体が筐体2で囲まれた構成を有しており、筐体2の前面2fには、外部のスクリーン等に画像(画像光)を投写する投写レンズ13が露出している。また、筐体2の上面2tには、ユーザにより入力操作が行われる操作パネル22が設けられ、操作パネル22の近傍には、プロジェクタ1の動作状態を報知するためのLED表示部28が備えられている。なお、これ以降、筐体2の前面2f側の方向を「前方」、その反対方向を「後方」と呼ぶ。また、「右側」及び「左側」は、それぞれ前面2fに向かって右側、左側を示すものとする。
【0019】
図2に示すように、筐体2の底面2bには、前方側の左右両側に前方脚部3、後方側の略中央に後方脚部4がそれぞれ備えられており、プロジェクタ1を机上等の設置面に設置した状態では、プロジェクタ1は、これら3つの脚部(前方脚部3及び後方脚部4)で支持される(図3(a)参照)。このうち、2つの前方脚部3は、底面2bから下側に向かって突出可能になっており、前方脚部3を突出させることによって筐体2を傾斜させた状態で設置することが可能になっている(図3(b)参照)。前方脚部3を突出させて筐体2を傾けると、画像は、より高い位置に投写されることになり、大勢で画像を見るのに適した状態となる。図1及び図2に示すように、筐体2の左右の側面2s,2rには、前方脚部3の近傍に凹部5が形成されており、凹部5には、前方脚部3の突出状態(突出量)を調整するためのフットレバー6が設けられている。
【0020】
図4〜図6は、前方脚部3の周辺構造を前方から見た部分断面図であり、図4は、前方脚部3の突出量を最小にした状態(これ以降、「前方脚部3を収納した状態」ともいう。)を示す図、図5は、前方脚部3の突出量を調整している状態を示す図、図6は、前方脚部3の突出量を最大にした状態を示す図である。なお、これらの図では、一方(左側)の前方脚部3のみを示しているが、他方(右側)の前方脚部3については、これと略同一(左右対称)の構造であるため、図示及び説明を省略する。
【0021】
図4〜図6に示すように、前方脚部3は、柱状の脚部本体3aと、脚部本体3aの一端(下端)に設けられて設置面と当接する下端部3bと、脚部本体3aの他端(上端)に設けられた上端部3cとを有して構成され、これらは一体的に結合されている。脚部本体3aは、筐体2の底面2bに形成された孔部2hに摺動可能に挿通されており、筐体2の底面2bに対して略垂直な姿勢で備えられている。脚部本体3aには、最寄りの筐体側面(側面2s)を臨む面に、鋸歯状の係合部3dが形成されている。係合部3dには、前後方向に沿って形成された多数の溝が、上下方向に略等間隔で配列されている。また、下端部3b及び上端部3cは、脚部本体3aよりも幅広になっており、孔部2hを挿通不能になっている。このため、前方脚部3は、孔部2hを囲う側壁2wの下端、即ち底面2bに下端部3bが当接する位置(図4参照)と、側壁2wの上端に上端部3cが当接する位置(図6参照)との間を摺動できるようになっている。
【0022】
フットレバー6は、前方脚部3の係合部3d側(左側)に配置された略L字状の部材であり、前方脚部3の近傍から左側に向かって延出して凹部5から露出する操作部6aと、前方脚部3に沿って下方向に延出する係止部6bとを有している。また、操作部6aと係止部6bとが交わる位置には、前方及び後方に突出する軸6cが形成されている。
【0023】
軸6cは、筐体2によって軸支されており(図示せず)、フットレバー6は、軸6cを中心にして回動可能になっている。係止部6bには、前方脚部3に対向する面の下部に、鋸歯状の係合部6dが形成されている。係合部6dには、前後方向に沿って形成された複数の溝が、上下方向に略等間隔で配列されており、前方脚部3の係合部3dと噛合(係合)可能になっている。係止部6bは、コイルバネ7によって前方脚部3側に付勢されており、操作部6aを操作していない状態(開放した状態)では、フットレバー6の係合部6dは、前方脚部3の係合部3dと噛合して前方脚部3の摺動を規制する(図4及び図6参照)。ここで、ユーザが操作部6aの先端を持ち上げる操作を行うと、フットレバー6は、コイルバネ7を圧縮させる方向に回動する。この結果、係合部6dの噛合は解除され、前方脚部3は摺動可能な状態となる(図5参照)。この状態でユーザが前方脚部3を所望の突出量だけ突出させ、その後に操作部6aを開放すると、係合部6dは、再びコイルバネ7の付勢によって脚部本体3aの係合部3dと噛合し、前方脚部3の摺動を規制する状態に戻る。
【0024】
筐体2の内部には、回路基板8の下面に搭載された押圧スイッチ9が前方脚部3の上方に配置されている。押圧スイッチ9は、上向きに押圧が可能なボタン9aを備えており、ボタン9aは、押圧スイッチ9の内部に備わる図示しないバネによって常に下方に付勢されてる。図4に示すように、前方脚部3を収納した状態、即ち前方脚部3の下端部3bを筐体2の底面2bに当接させて前方脚部3の突出量を最小とした状態のときには、押圧スイッチ9のボタン9aは、前方脚部3の上端部3cによって上向きに押圧されるようになっており、このとき、押圧スイッチ9はオンの状態となる。また、図5及び図6に示すように、前方脚部3を突出させて脚部本体3aを底面2bから露出させた状態にすると、ボタン9aは、バネの付勢によって下方に突出し、このときの押圧スイッチ9はオフの状態となる。このため、プロジェクタ1は、押圧スイッチ9の状態(オン又はオフ)によって前方脚部3が収納された状態であるか突出した状態であるかを認識することが可能になっている。
【0025】
なお、前述したように、2つの前方脚部3のうち、他方の前方脚部3の周辺も略同一の構造を有しているため、筐体2の内部には、2つの押圧スイッチ9が備わっていることになる。筐体2を傾けた状態で安定させるためには、双方の前方脚部3を突出させる必要があることから、この状態では、2つの押圧スイッチ9はともにオフの状態となる。
【0026】
次に、プロジェクタ1の回路構成について説明する。
図7は、プロジェクタ1の回路構成を示すブロック図である。
図7に示すように、プロジェクタ1は、画像投写部10、制御部20、記憶部21、操作パネル22、リモコン23、操作信号受信部24、電源回路25、光源制御部26、突出状態検知部27、LED表示部28、画像信号入力部31、画像処理部32、OSD処理部33等で構成され、これらは筐体2に収容されている。
【0027】
画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、ライトバルブ駆動部14等を含んでいる。画像投写部10は、表示部に相当するものであり、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して画像光を形成し、この画像光を投写レンズ13から投写することによってスクリーンSC等に画像を表示する。
【0028】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクタ11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレータ光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0029】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリクス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。ライトバルブ駆動部14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラー画像を表す画像光となった後、投写レンズ13によってスクリーンSC等に拡大投写される。
【0030】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶部21に記憶されている制御プログラムに従って動作することによりプロジェクタ1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、記憶部21とともにコンピュータとして機能する。
【0031】
記憶部21は、マスクROM(Read Only Memory)や、フラッシュメモリ、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリ)等の不揮発性のメモリにより構成されている。記憶部21には、プロジェクタ1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクタ1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
【0032】
操作パネル22及びリモコン23は、ユーザからの入力操作を受け付ける入力操作部に相当するものであり、ユーザがプロジェクタ1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。操作パネル22及びリモコン23が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを交互に切り替えるための「電源キー」や、各種設定を行うための設定メニューを重畳表示させる「メニューキー」等がある。ユーザが操作パネル22の各種操作キーを操作すると、操作パネル22は、ユーザの操作内容(操作された操作キー)に応じた操作信号を制御部20に出力する。また、ユーザがリモコン23の各種操作キーを操作すると、リモコン23は、ユーザの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発し、操作信号受信部24がこれを受信して制御部20に伝達する。
【0033】
電源回路25には、外部からAC100V等の商用電源が供給される。電源回路25は、商用電源(交流電源)を所定の電圧の直流電源に変換するとともに、プロジェクタ1の各部に電力を供給する。なお、制御部20は、電源回路25から電力の供給を受けて動作している間、電源回路25に指示をして、画像の投写に必要な電力(動作電力)を供給する状態と、動作電力の供給を停止した状態とを切り替えさせることができる。
【0034】
光源制御部26は、制御部20の指示に基づいて、光源11に対する電力の供給と停止とを制御し、光源11の点灯及び消灯を切り替える。
【0035】
突出状態検知部27は、上述した2つの押圧スイッチ9等で構成され、2つの押圧スイッチ9のオン・オフによって前方脚部3の突出状態、即ち前方脚部3が収納された状態であるか突出した状態であるかを検知し、その検知結果を示す検知信号を制御部20に出力する。
【0036】
LED表示部28は、LED(発光ダイオード)を備えたインジケータであり、制御部20の指示に基づいてその表示状態を切り替えることにより、ユーザにプロジェクタ1の動作状態(電源のオン・オフや異常発生等)を報知する。なお、LED表示部28は、その表示状態、即ち点灯、点滅、消灯、発光色等を適宜切り替えることによって、多数の動作状態を表すことが可能になっている。
【0037】
画像信号入力部31には、パーソナルコンピュータやDVD(Digital Versatile Disc)再生装置等、図示しない外部の画像出力装置とケーブルを介した接続を行うための接続端子(図示せず)が備えられており、画像出力装置から各種形式の画像信号が入力される。画像信号入力部31は、入力された画像信号を画像処理部32に出力する。
【0038】
画像処理部32は、画像信号入力部31から入力される各種形式の画像信号を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出する光の強弱(階調)が規定される。さらに、画像処理部32は、制御部20の指示に基づいて、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための画質調整処理等を行い、処理後の画像情報をOSD処理部33に出力する。
【0039】
OSD処理部33は、制御部20の指示に基づいて、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を、入力画像(画像信号に基づく画像)上に重畳して表示するための処理を行う。OSD処理部33は、図示しないOSDメモリを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。制御部20がOSD画像の重畳を指示すると、OSD処理部33は、必要なOSD画像情報をOSDメモリから読み出し、入力画像の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像処理部32から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、ライトバルブ駆動部14に出力される。なお、制御部20からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理部33は、画像処理部32から入力される画像情報を、そのままライトバルブ駆動部14に出力する。
【0040】
ライトバルブ駆動部14が、OSD処理部33から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像情報に応じた画像光を形成し、この画像光が投写レンズ13からスクリーンSCに投写される。
【0041】
次に、本実施形態のプロジェクタ1の動作について説明する。
プロジェクタ1に商用電源が供給されると、電源回路25は、制御部20、記憶部21、操作パネル22、操作信号受信部24、LED表示部28に電力(スタンバイ電力)の供給を行い、制御部20は、この電力供給を受けて、制御プログラムに従った動作を開始する。商用電源が供給された直後には、プロジェクタ1は、スタンバイ状態(電源オフの状態ともいう。)であり、この状態では、制御部20は、LED表示部28を所定の色(本実施形態では、オレンジ色)で点灯させるとともに、操作パネル22やリモコン23の電源キーに対する操作(オン操作)を監視する。この状態でユーザが電源キーを操作すると、プロジェクタ1の各部には動作電力が供給され、画像の投写が可能な状態(電源オンの状態ともいう。)に移行する。ただし、本実施形態のプロジェクタ1は、2つの前方脚部3がともに突出した状態(押圧スイッチ9がオフの状態)でオン操作がなされた場合にのみ、電源オンの状態に移行するようになっている。
【0042】
図8は、スタンバイ状態において電源キーが操作された場合、即ちオン操作がなされた場合のプロジェクタ1の動作を説明するためのフローチャートである。スタンバイ状態において電源キーの操作がなされると、制御部20は、図8に示すフローに従って動作する。
【0043】
図8に示すように、ステップS101では、制御部20は、突出状態検知部27からの検知信号に基づいて、2つの前方脚部3がともに突出した状態であるか否かを判断する。そして、2つの前方脚部3がともに突出した状態である場合、即ち2つの押圧スイッチ9がともにオフの状態である場合にはステップS102に移行し、少なくとも1つの前方脚部3が収納された状態、即ち少なくとも1つの押圧スイッチ9がオンの状態である場合にはステップS105に移行する。
【0044】
前方脚部3が2つとも突出した状態でオン操作がなされ、ステップS102に移行した場合には、制御部20は、電源回路25に指示をして動作電力の供給を開始させ、プロジェクタ1を電源オンの状態に移行させる。その後、ステップS103では、制御部20は、LED表示部28の表示状態を緑色で点灯する状態に変更し、プロジェクタ1が電源オンの状態に移行した旨を報知する。続くステップS104では、制御部20は、光源制御部26に指示をして光源11を点灯させるとともに、他の必要な初期動作を行ってフローを終了する。つまり、制御部20は、2つの前方脚部3がともに突出した状態では、ユーザによるオン操作を有効として、電源オンの状態への移行、即ち光源11が点灯する状態への移行を許可する。この結果、画像信号入力部31に入力される画像信号に応じた画像が画像投写部10から投写される。
【0045】
一方、少なくとも1つの前方脚部3が収納された状態でオン操作がなされ、ステップS105に移行した場合には、制御部20は、LED表示部28の表示状態をオレンジ色で点滅する状態として、前方脚部3が収納された状態である旨をユーザに報知する。制御部20は、LED表示部28を所定時間(数秒程度)点滅させた後、続くステップS106において、その表示状態をオレンジ色で点灯する状態に戻し、スタンバイ状態のままフローを終了する。つまり、制御部20は、少なくとも1つの前方脚部3が収納された状態では、ユーザによるオン操作を無効として、電源オンの状態への移行、即ち光源11が点灯する状態への移行を禁止する。
【0046】
本実施形態のプロジェクタ1は、上記のように動作するため、少なくとも1つの前方脚部3が収納された状態では、電源キーの操作(オン操作)のみで電源オンの状態に移行しないようになっている。プロジェクタ1を電源がオンの状態にするためには、ユーザは、フットレバー6を操作して2つの前方脚部3を突出させ、その後で電源キーを操作する必要がある。なお、前方脚部3を収納した状態で画像を投写させたい場合(図3(a)参照)には、前方脚部3を突出させた状態でオン操作を行い、電源オンの状態に移行した後で前方脚部3を収納させればよい。
【0047】
また、電源がオンの状態でユーザにより電源キーの操作(オフ操作)がなされると、プロジェクタ1は、次回のオン操作時に電源キーの操作のみで電源オンの状態とならないように、前方脚部3の収納を促す注意メッセージを表示して、その後でスタンバイ状態に移行するようになっている。
【0048】
図9は、電源オンの状態において電源キーが操作された場合、即ちオフ操作がなされた場合のプロジェクタ1の動作を説明するためのフローチャートであり、図10は、オフ操作がなされた場合のプロジェクタ1の動作を説明する説明図である。電源オンの状態で電源キーの操作がなされると、制御部20は、図9に示すフローに従って動作する。
【0049】
図9に示すように、ステップS201では、制御部20は、OSD処理部33に指示をして、OSD画像である注意メッセージM1(例えば、「ご使用後は、脚部を収納してください」)を入力画像P上に重畳表示させる(図10参照)。制御部20は、この注意メッセージM1を所定時間(例えば、5秒)表示させた後、ステップS202に移行する。
【0050】
ステップS202では、制御部20は、光源制御部26に指示をして光源11を消灯させるとともに他の必要な終了動作を行い、続くステップS203では、LED表示部28の表示状態をオレンジ色で点灯する状態(スタンバイ状態を示す状態)とする。その後、ステップS204では、制御部20は、電源回路25に指示をして動作電力の供給を停止させ、プロジェクタ1をスタンバイ状態に移行させてフローを終了する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタ1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0052】
(1)本実施形態のプロジェクタ1は、ユーザによりオン操作がなされた際に、前方脚部3の突出状態に応じて、電源オンの状態への移行、即ち光源11が点灯する状態への移行を許可又は禁止するようにしているため、電源をオンにして光源11を点灯させるためには、前方脚部3の突出状態を調整する必要がある。このため、電源キーの操作のみで光源11が点灯してしまうことが抑制され、幼児等の操作によって光源11が不用意に点灯してしまうことを抑制することが可能となる。
【0053】
(2)本実施形態のプロジェクタ1は、前方脚部3が収納された状態、即ち前方脚部3の突出量が最も小さい状態でオン操作がなされた場合に、光源11の点灯を禁止するようにしているため、光源11を点灯させるためには、前方脚部3を突出させた状態でオン操作を行う必要がある。プロジェクタ1が未使用の状態、即ち光源11が消灯している状態では、前方脚部3は収納されている場合が多いため、幼児等の操作によって光源11が不用意に点灯してしまうことを一層抑制することが可能となる。
【0054】
(3)本実施形態のプロジェクタ1は、ユーザによりオフ操作がなされた際、次回のオン操作時に電源キーの操作のみで電源がオンの状態とならないように、注意メッセージM1によって前方脚部3の収納を促すようにしているため、幼児等の操作によって光源11が不用意に点灯してしまうことを一層抑制することが可能となる。
【0055】
(4)本実施形態のプロジェクタ1は、前方脚部3を複数(2つ)備えており、光源11を点灯させるためには、すべての前方脚部3を突出した状態に調整する必要があるため、前方脚部3が1つのみの場合に比べて、幼児等の操作によって光源11が不用意に点灯してしまうことを一層抑制することが可能となる。
【0056】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係るプロジェクタについて、図面を参照して説明する。上記第1実施形態では、電源オンの状態で電源キーの操作(オフ操作)がなされた場合に、前方脚部3の収納を促す注意メッセージM1を所定時間表示した後でスタンバイ状態に移行するようになっていたが、本実施形態では、2つの前方脚部3が収納された状態で電源キーが操作された場合にのみスタンバイ状態に移行するようになっている。これ以外の構成及び動作については、上記第1実施形態と同一である。
【0057】
図11は、電源オンの状態において電源キーが操作された場合、即ちオフ操作がなされた場合のプロジェクタ1の動作を説明するためのフローチャートであり、図12は、オフ操作がなされた場合のプロジェクタ1の動作を説明する説明図である。電源オンの状態で電源キーの操作がなされると、制御部20は、図11に示すフローに従って動作する。
【0058】
図11に示すように、ステップS301では、制御部20は、突出状態検知部27からの検知信号に基づいて、2つの前方脚部3がともに収納された状態であるか否かを判断する。そして、2つの前方脚部3がともに収納された状態である場合、即ち2つの押圧スイッチ9がともにオンの状態である場合にはステップS302に移行し、少なくとも1つの前方脚部3が突出した状態、即ち少なくとも1つの押圧スイッチ9がオフの状態である場合にはステップS305に移行する。
【0059】
前方脚部3が2つとも収納された状態で電源キーが操作され、ステップS302に移行した場合には、制御部20は、光源制御部26に指示をして光源11を消灯させるとともに他の必要な終了動作を行い、続くステップS303では、LED表示部28の表示状態をオレンジ色で点灯する状態(スタンバイ状態を示す状態)とする。その後、ステップS304では、制御部20は、電源回路25に指示をして動作電力の供給を停止させ、プロジェクタ1をスタンバイ状態に移行させてフローを終了する。
【0060】
一方、少なくとも1つの前方脚部3が突出した状態で電源キーが操作され、ステップS305に移行した場合には、制御部20は、OSD処理部33に指示をして、OSD画像である注意メッセージM2(例えば、「電源をオフにするためには、脚部を収納した状態で再度電源キーを押してください」)を入力画像P上に重畳表示させる(図12参照)。制御部20は、この注意メッセージM2を所定時間(例えば、5秒)表示させた後、電源オンの状態のままフローを終了する。
【0061】
本実施形態のプロジェクタ1は、上記のように動作するため、少なくとも1つの前方脚部3が突出した状態では、電源キーの操作(オフ操作)のみで電源オフの状態に移行しないようになっている。プロジェクタ1を電源オフの状態にするためには、ユーザは、フットレバー6を操作して2つの前方脚部3を収納し、その後で電源キーを操作する必要がある。
【0062】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタ1によれば、上記第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0063】
(1)本実施形態のプロジェクタ1は、ユーザによりオフ操作がなされた際、2つの前方脚部3がともに収納された状態の場合、即ち2つの前方脚部3の突出状態が、光源11の点灯が禁止される突出状態の場合に、光源11を消灯させてスタンバイ状態に移行する構成になっている。言い換えれば、2つの前方脚部3がともに突出した状態の場合、即ち2つの前方脚部3の突出状態が、光源11の点灯が許可される突出状態の場合にはスタンバイ状態に移行することができないようになっている。このため、次回オン操作を行う際に、前方脚部3の突出状態を調整することなく光源11が点灯してしまう事態を抑制することが可能となる。なお、本実施形態では、2つの前方脚部3がともに収納された状態の場合にのみスタンバイ状態に移行できるようになっているが、1つの前方脚部3のみが収納された状態であっても、次回のオン操作時に電源キーの操作のみで電源オンの状態に移行することはないため、少なくとも1つの前方脚部3が収納された状態の場合にスタンバイ状態に移行できるようにしてもよい。
【0064】
なお、上記第1及び第2実施形態では、前方脚部3の突出状態を調整するためのフットレバー6が突出状態調整部に相当し、電源キーを備えた操作パネル22及びリモコン23が電源操作部に相当する。また、注意メッセージM1,M2を表示する際の制御部20及びOSD処理部33が警告部に相当する。
【0065】
(変形例)
また、上記第1及び第2実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0066】
上記第1及び第2実施形態では、2つの前方脚部3がともに突出した状態、即ち前方脚部3の突出量が最小ではない状態でオン操作がなされた場合に、電源オンの状態に移行するようになっているが、電源をオンにすることが可能な前方脚部3の突出量は前記に限定されない。例えば、2つの前方脚部3の突出量が最大の状態でオン操作がなされた場合にのみ、電源オンの状態に移行するようにしてもよい。
なお、前方脚部3の突出量が最大の状態を検知するためには、例えば、図13(a)、(b)に示すように、前方脚部3が最も突出した状態のときに、上端部3cの下面によってボタン9aが下向きに押圧されるように押圧スイッチ9を配置すればよい。
【0067】
上記第1及び第2実施形態では、2つの前方脚部3を備えた構成を示しているが、前方脚部3の数は複数に限られず、1つであってもよい。
【0068】
上記第1及び第2実施形態では、前方脚部3が突出した状態であるか否かを押圧スイッチ9によって検知する構成を示しているが、押圧スイッチ9以外の接触型の検知手段を用いてもよいし、光センサや磁気センサ等の非接触型の検知手段を用いるようにしてもよい。
【0069】
上記第1及び第2実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源11から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【0070】
上記第1及び第2実施形態では、光源11は、放電型の光源ランプ11aによって構成されているが、LED光源等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態に係るプロジェクタを上面側から見た斜視図。
【図2】第1実施形態に係るプロジェクタを底面側から見た斜視図。
【図3】(a)、(b)は、第1実施形態に係るプロジェクタが画像を投写する様子を示す側面図。
【図4】第1実施形態に係るプロジェクタの前方脚部の周辺構造を前方から見た部分断面図であり、前方脚部の突出量を最小にした状態を示す図。
【図5】第1実施形態に係るプロジェクタの前方脚部の周辺構造を前方から見た部分断面図であり、前方脚部の突出量を調整している状態を示す図
【図6】第1実施形態に係るプロジェクタの前方脚部の周辺構造を前方から見た部分断面図であり、前方脚部の突出量を最大にした状態を示す図。
【図7】第1実施形態に係るプロジェクタの回路構成を示すブロック図。
【図8】第1実施形態に係るプロジェクタにおいてオン操作がなされた場合の動作を説明するためのフローチャート。
【図9】第1実施形態に係るプロジェクタにおいてオフ操作がなされた場合の動作を説明するためのフローチャート。
【図10】第1実施形態に係るプロジェクタにおいてオフ操作がなされた場合の動作を説明する説明図。
【図11】第2実施形態に係るプロジェクタにおいてオフ操作がなされた場合の動作を説明するためのフローチャート。
【図12】第2実施形態に係るプロジェクタにおいてオフ操作がなされた場合の動作を説明する説明図。
【図13】(a)、(b)は、変形例に係るプロジェクタの前方脚部の周辺構造を前方から見た部分断面図であり、(a)は、前方脚部の突出量を調整している状態を示す図、(b)は、前方脚部の突出量を最大にした状態を示す図。
【符号の説明】
【0072】
1…プロジェクタ、2…筐体、2t…上面、2f…前面、2b…底面、2s,2r…側面、3…前方脚部、3a…脚部本体、3b…下端部、3c…上端部、3d…係合部、4…後方脚部、5…凹部、6…フットレバー、6a…操作部、6b…係止部、6c…軸、6d…係合部、7…コイルバネ、9…押圧スイッチ、9a…ボタン、10…画像投写部、11…光源、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…ライトバルブ駆動部、20…制御部、21…記憶部、22…操作パネル、23…リモコン、24…操作信号受信部、25…電源回路、26…光源制御部、27…突出状態検知部、28…LED表示部、31…画像信号入力部、32…画像処理部、33…OSD処理部、M1…注意メッセージ、SC…スクリーン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から射出された光を変調して投写するプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
超高圧水銀ランプ等の光源から射出された光を変調して投写レンズからスクリーン等に投写するプロジェクタを家庭で使用する場合に、プロジェクタを幼児の手の届く位置に放置してしまうと、幼児が誤って電源を投入して光源を点灯させ、投写光を覗き見てしまう恐れがある。プロジェクタの投写光を直接覗き見てしまうと、激しい眩しさを感じ、一時的に視力が低下する症状が生じ得る。
特許文献1には、光源が不用意に点灯しないように、投写レンズを繰り出す操作を行うことによって電源スイッチをオンとするバッテリー駆動型の小型ビデオプロジェクタが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−186522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のビデオプロジェクタは、バッグ等に収納した状態で電源スイッチが不用意にオンとなるのを防ぐには効果的であるが、投写レンズを繰り出す操作は、幼児にとっても簡単な操作であるため、幼児が投写光を覗き見てしまうことを防止することには有効ではない。
また、投写レンズの前面に開閉式のレンズカバーを備えたプロジェクタが存在するが、レンズカバーを閉め忘れたり、幼児がレンズカバーを開いてしまったりする恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクタは、光源から射出された光を変調して投写する画像投写部と、前記画像投写部を収容する筐体と、前記筐体の底面側に突出して前記筐体を傾斜させる脚部と、前記脚部の突出状態を調整するための突出状態調整部と、前記脚部の突出状態を検知する突出状態検知部と、前記光源を点灯させるためのオン操作、及び前記光源を消灯させるためのオフ操作を受け付ける電源操作部と、前記電源操作部が前記オン操作を受け付けた際に、前記脚部の突出状態に応じて前記光源の点灯を許可又は禁止する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このプロジェクタによれば、電源操作部がオン操作された際、脚部の突出状態に応じて光源の点灯を許可又は禁止する構成であるため、光源を点灯させるためには脚部の突出状態を調整する必要がある。このため、例えば、スイッチ等の簡単な操作のみで光源が点灯してしまうことがなくなり、幼児等の操作によって光源が不用意に点灯してしまうことを抑制することが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記制御部は、前記脚部が突出量の最も小さい突出状態の場合に、前記光源の点灯を禁止することが望ましい。
【0009】
このプロジェクタによれば、脚部の突出量が最も小さい場合に光源の点灯が禁止になるため、光源を点灯させるためには、脚部の突出量を大きくする必要がある。プロジェクタが未使用の状態、即ち光源が消灯している状態では、脚部は突出量が最も小さくなるように調整されている場合が多いため、幼児等の操作によって光源が不用意に点灯してしまうことを一層抑制することが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記電源操作部が前記オフ操作を受け付けた際、前記脚部を前記光源の点灯が禁止される突出状態に調整するように促す警告部をさらに備えることが望ましい。
【0011】
このプロジェクタによれば、電源操作部がオフ操作を受け付けた際に、警告部が、脚部を光源の点灯が禁止される突出状態に調整するように促すため、次回オン操作を行う際に、脚部を調整することなく光源が点灯してしまう事態を抑制することが可能となる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記制御部は、前記電源操作部が前記オフ操作を受け付けた際、前記脚部の突出状態が、前記光源の点灯が禁止される突出状態である場合に前記光源を消灯させることが望ましい。
【0013】
このプロジェクタによれば、電源操作部がオフ操作を受け付けた際、脚部の突出状態が、光源の点灯が禁止される突出状態である場合に光源を消灯させる構成であるため、次回オン操作を行う際に、脚部を調整することなく光源が点灯してしまう事態を一層抑制することが可能となる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、複数の前記脚部を備え、前記制御部は、前記電源操作部が前記オン操作を受け付けた際、前記複数の脚部の突出状態に応じて前記光源の点灯を許可又は禁止することが望ましい。
【0015】
このプロジェクタによれば、脚部を複数備えており、光源を点灯させるためには複数の脚部の突出状態を調整する必要があるため、幼児等の操作によって光源が不用意に点灯してしまうことを一層抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係るプロジェクタについて、図面を参照して説明する。プロジェクタは、光源から射出された光を、外部から入力される画像信号に応じて変調して画像光を形成し、この画像光をスクリーン等に拡大投写して画像信号に応じた画像を表示する光学装置である。
【0017】
図1及び図2は、本実施形態のプロジェクタを示す斜視図であり、図1は、上面側から見た図、図2は、底面側から見た図である。また、図3(a)、(b)は、プロジェクタが画像を投写する様子を示す側面図である。
【0018】
図1に示すように、プロジェクタ1は、装置本体が筐体2で囲まれた構成を有しており、筐体2の前面2fには、外部のスクリーン等に画像(画像光)を投写する投写レンズ13が露出している。また、筐体2の上面2tには、ユーザにより入力操作が行われる操作パネル22が設けられ、操作パネル22の近傍には、プロジェクタ1の動作状態を報知するためのLED表示部28が備えられている。なお、これ以降、筐体2の前面2f側の方向を「前方」、その反対方向を「後方」と呼ぶ。また、「右側」及び「左側」は、それぞれ前面2fに向かって右側、左側を示すものとする。
【0019】
図2に示すように、筐体2の底面2bには、前方側の左右両側に前方脚部3、後方側の略中央に後方脚部4がそれぞれ備えられており、プロジェクタ1を机上等の設置面に設置した状態では、プロジェクタ1は、これら3つの脚部(前方脚部3及び後方脚部4)で支持される(図3(a)参照)。このうち、2つの前方脚部3は、底面2bから下側に向かって突出可能になっており、前方脚部3を突出させることによって筐体2を傾斜させた状態で設置することが可能になっている(図3(b)参照)。前方脚部3を突出させて筐体2を傾けると、画像は、より高い位置に投写されることになり、大勢で画像を見るのに適した状態となる。図1及び図2に示すように、筐体2の左右の側面2s,2rには、前方脚部3の近傍に凹部5が形成されており、凹部5には、前方脚部3の突出状態(突出量)を調整するためのフットレバー6が設けられている。
【0020】
図4〜図6は、前方脚部3の周辺構造を前方から見た部分断面図であり、図4は、前方脚部3の突出量を最小にした状態(これ以降、「前方脚部3を収納した状態」ともいう。)を示す図、図5は、前方脚部3の突出量を調整している状態を示す図、図6は、前方脚部3の突出量を最大にした状態を示す図である。なお、これらの図では、一方(左側)の前方脚部3のみを示しているが、他方(右側)の前方脚部3については、これと略同一(左右対称)の構造であるため、図示及び説明を省略する。
【0021】
図4〜図6に示すように、前方脚部3は、柱状の脚部本体3aと、脚部本体3aの一端(下端)に設けられて設置面と当接する下端部3bと、脚部本体3aの他端(上端)に設けられた上端部3cとを有して構成され、これらは一体的に結合されている。脚部本体3aは、筐体2の底面2bに形成された孔部2hに摺動可能に挿通されており、筐体2の底面2bに対して略垂直な姿勢で備えられている。脚部本体3aには、最寄りの筐体側面(側面2s)を臨む面に、鋸歯状の係合部3dが形成されている。係合部3dには、前後方向に沿って形成された多数の溝が、上下方向に略等間隔で配列されている。また、下端部3b及び上端部3cは、脚部本体3aよりも幅広になっており、孔部2hを挿通不能になっている。このため、前方脚部3は、孔部2hを囲う側壁2wの下端、即ち底面2bに下端部3bが当接する位置(図4参照)と、側壁2wの上端に上端部3cが当接する位置(図6参照)との間を摺動できるようになっている。
【0022】
フットレバー6は、前方脚部3の係合部3d側(左側)に配置された略L字状の部材であり、前方脚部3の近傍から左側に向かって延出して凹部5から露出する操作部6aと、前方脚部3に沿って下方向に延出する係止部6bとを有している。また、操作部6aと係止部6bとが交わる位置には、前方及び後方に突出する軸6cが形成されている。
【0023】
軸6cは、筐体2によって軸支されており(図示せず)、フットレバー6は、軸6cを中心にして回動可能になっている。係止部6bには、前方脚部3に対向する面の下部に、鋸歯状の係合部6dが形成されている。係合部6dには、前後方向に沿って形成された複数の溝が、上下方向に略等間隔で配列されており、前方脚部3の係合部3dと噛合(係合)可能になっている。係止部6bは、コイルバネ7によって前方脚部3側に付勢されており、操作部6aを操作していない状態(開放した状態)では、フットレバー6の係合部6dは、前方脚部3の係合部3dと噛合して前方脚部3の摺動を規制する(図4及び図6参照)。ここで、ユーザが操作部6aの先端を持ち上げる操作を行うと、フットレバー6は、コイルバネ7を圧縮させる方向に回動する。この結果、係合部6dの噛合は解除され、前方脚部3は摺動可能な状態となる(図5参照)。この状態でユーザが前方脚部3を所望の突出量だけ突出させ、その後に操作部6aを開放すると、係合部6dは、再びコイルバネ7の付勢によって脚部本体3aの係合部3dと噛合し、前方脚部3の摺動を規制する状態に戻る。
【0024】
筐体2の内部には、回路基板8の下面に搭載された押圧スイッチ9が前方脚部3の上方に配置されている。押圧スイッチ9は、上向きに押圧が可能なボタン9aを備えており、ボタン9aは、押圧スイッチ9の内部に備わる図示しないバネによって常に下方に付勢されてる。図4に示すように、前方脚部3を収納した状態、即ち前方脚部3の下端部3bを筐体2の底面2bに当接させて前方脚部3の突出量を最小とした状態のときには、押圧スイッチ9のボタン9aは、前方脚部3の上端部3cによって上向きに押圧されるようになっており、このとき、押圧スイッチ9はオンの状態となる。また、図5及び図6に示すように、前方脚部3を突出させて脚部本体3aを底面2bから露出させた状態にすると、ボタン9aは、バネの付勢によって下方に突出し、このときの押圧スイッチ9はオフの状態となる。このため、プロジェクタ1は、押圧スイッチ9の状態(オン又はオフ)によって前方脚部3が収納された状態であるか突出した状態であるかを認識することが可能になっている。
【0025】
なお、前述したように、2つの前方脚部3のうち、他方の前方脚部3の周辺も略同一の構造を有しているため、筐体2の内部には、2つの押圧スイッチ9が備わっていることになる。筐体2を傾けた状態で安定させるためには、双方の前方脚部3を突出させる必要があることから、この状態では、2つの押圧スイッチ9はともにオフの状態となる。
【0026】
次に、プロジェクタ1の回路構成について説明する。
図7は、プロジェクタ1の回路構成を示すブロック図である。
図7に示すように、プロジェクタ1は、画像投写部10、制御部20、記憶部21、操作パネル22、リモコン23、操作信号受信部24、電源回路25、光源制御部26、突出状態検知部27、LED表示部28、画像信号入力部31、画像処理部32、OSD処理部33等で構成され、これらは筐体2に収容されている。
【0027】
画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、ライトバルブ駆動部14等を含んでいる。画像投写部10は、表示部に相当するものであり、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して画像光を形成し、この画像光を投写レンズ13から投写することによってスクリーンSC等に画像を表示する。
【0028】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクタ11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレータ光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0029】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリクス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。ライトバルブ駆動部14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラー画像を表す画像光となった後、投写レンズ13によってスクリーンSC等に拡大投写される。
【0030】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶部21に記憶されている制御プログラムに従って動作することによりプロジェクタ1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、記憶部21とともにコンピュータとして機能する。
【0031】
記憶部21は、マスクROM(Read Only Memory)や、フラッシュメモリ、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリ)等の不揮発性のメモリにより構成されている。記憶部21には、プロジェクタ1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクタ1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
【0032】
操作パネル22及びリモコン23は、ユーザからの入力操作を受け付ける入力操作部に相当するものであり、ユーザがプロジェクタ1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。操作パネル22及びリモコン23が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを交互に切り替えるための「電源キー」や、各種設定を行うための設定メニューを重畳表示させる「メニューキー」等がある。ユーザが操作パネル22の各種操作キーを操作すると、操作パネル22は、ユーザの操作内容(操作された操作キー)に応じた操作信号を制御部20に出力する。また、ユーザがリモコン23の各種操作キーを操作すると、リモコン23は、ユーザの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発し、操作信号受信部24がこれを受信して制御部20に伝達する。
【0033】
電源回路25には、外部からAC100V等の商用電源が供給される。電源回路25は、商用電源(交流電源)を所定の電圧の直流電源に変換するとともに、プロジェクタ1の各部に電力を供給する。なお、制御部20は、電源回路25から電力の供給を受けて動作している間、電源回路25に指示をして、画像の投写に必要な電力(動作電力)を供給する状態と、動作電力の供給を停止した状態とを切り替えさせることができる。
【0034】
光源制御部26は、制御部20の指示に基づいて、光源11に対する電力の供給と停止とを制御し、光源11の点灯及び消灯を切り替える。
【0035】
突出状態検知部27は、上述した2つの押圧スイッチ9等で構成され、2つの押圧スイッチ9のオン・オフによって前方脚部3の突出状態、即ち前方脚部3が収納された状態であるか突出した状態であるかを検知し、その検知結果を示す検知信号を制御部20に出力する。
【0036】
LED表示部28は、LED(発光ダイオード)を備えたインジケータであり、制御部20の指示に基づいてその表示状態を切り替えることにより、ユーザにプロジェクタ1の動作状態(電源のオン・オフや異常発生等)を報知する。なお、LED表示部28は、その表示状態、即ち点灯、点滅、消灯、発光色等を適宜切り替えることによって、多数の動作状態を表すことが可能になっている。
【0037】
画像信号入力部31には、パーソナルコンピュータやDVD(Digital Versatile Disc)再生装置等、図示しない外部の画像出力装置とケーブルを介した接続を行うための接続端子(図示せず)が備えられており、画像出力装置から各種形式の画像信号が入力される。画像信号入力部31は、入力された画像信号を画像処理部32に出力する。
【0038】
画像処理部32は、画像信号入力部31から入力される各種形式の画像信号を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出する光の強弱(階調)が規定される。さらに、画像処理部32は、制御部20の指示に基づいて、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための画質調整処理等を行い、処理後の画像情報をOSD処理部33に出力する。
【0039】
OSD処理部33は、制御部20の指示に基づいて、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を、入力画像(画像信号に基づく画像)上に重畳して表示するための処理を行う。OSD処理部33は、図示しないOSDメモリを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。制御部20がOSD画像の重畳を指示すると、OSD処理部33は、必要なOSD画像情報をOSDメモリから読み出し、入力画像の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像処理部32から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、ライトバルブ駆動部14に出力される。なお、制御部20からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理部33は、画像処理部32から入力される画像情報を、そのままライトバルブ駆動部14に出力する。
【0040】
ライトバルブ駆動部14が、OSD処理部33から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像情報に応じた画像光を形成し、この画像光が投写レンズ13からスクリーンSCに投写される。
【0041】
次に、本実施形態のプロジェクタ1の動作について説明する。
プロジェクタ1に商用電源が供給されると、電源回路25は、制御部20、記憶部21、操作パネル22、操作信号受信部24、LED表示部28に電力(スタンバイ電力)の供給を行い、制御部20は、この電力供給を受けて、制御プログラムに従った動作を開始する。商用電源が供給された直後には、プロジェクタ1は、スタンバイ状態(電源オフの状態ともいう。)であり、この状態では、制御部20は、LED表示部28を所定の色(本実施形態では、オレンジ色)で点灯させるとともに、操作パネル22やリモコン23の電源キーに対する操作(オン操作)を監視する。この状態でユーザが電源キーを操作すると、プロジェクタ1の各部には動作電力が供給され、画像の投写が可能な状態(電源オンの状態ともいう。)に移行する。ただし、本実施形態のプロジェクタ1は、2つの前方脚部3がともに突出した状態(押圧スイッチ9がオフの状態)でオン操作がなされた場合にのみ、電源オンの状態に移行するようになっている。
【0042】
図8は、スタンバイ状態において電源キーが操作された場合、即ちオン操作がなされた場合のプロジェクタ1の動作を説明するためのフローチャートである。スタンバイ状態において電源キーの操作がなされると、制御部20は、図8に示すフローに従って動作する。
【0043】
図8に示すように、ステップS101では、制御部20は、突出状態検知部27からの検知信号に基づいて、2つの前方脚部3がともに突出した状態であるか否かを判断する。そして、2つの前方脚部3がともに突出した状態である場合、即ち2つの押圧スイッチ9がともにオフの状態である場合にはステップS102に移行し、少なくとも1つの前方脚部3が収納された状態、即ち少なくとも1つの押圧スイッチ9がオンの状態である場合にはステップS105に移行する。
【0044】
前方脚部3が2つとも突出した状態でオン操作がなされ、ステップS102に移行した場合には、制御部20は、電源回路25に指示をして動作電力の供給を開始させ、プロジェクタ1を電源オンの状態に移行させる。その後、ステップS103では、制御部20は、LED表示部28の表示状態を緑色で点灯する状態に変更し、プロジェクタ1が電源オンの状態に移行した旨を報知する。続くステップS104では、制御部20は、光源制御部26に指示をして光源11を点灯させるとともに、他の必要な初期動作を行ってフローを終了する。つまり、制御部20は、2つの前方脚部3がともに突出した状態では、ユーザによるオン操作を有効として、電源オンの状態への移行、即ち光源11が点灯する状態への移行を許可する。この結果、画像信号入力部31に入力される画像信号に応じた画像が画像投写部10から投写される。
【0045】
一方、少なくとも1つの前方脚部3が収納された状態でオン操作がなされ、ステップS105に移行した場合には、制御部20は、LED表示部28の表示状態をオレンジ色で点滅する状態として、前方脚部3が収納された状態である旨をユーザに報知する。制御部20は、LED表示部28を所定時間(数秒程度)点滅させた後、続くステップS106において、その表示状態をオレンジ色で点灯する状態に戻し、スタンバイ状態のままフローを終了する。つまり、制御部20は、少なくとも1つの前方脚部3が収納された状態では、ユーザによるオン操作を無効として、電源オンの状態への移行、即ち光源11が点灯する状態への移行を禁止する。
【0046】
本実施形態のプロジェクタ1は、上記のように動作するため、少なくとも1つの前方脚部3が収納された状態では、電源キーの操作(オン操作)のみで電源オンの状態に移行しないようになっている。プロジェクタ1を電源がオンの状態にするためには、ユーザは、フットレバー6を操作して2つの前方脚部3を突出させ、その後で電源キーを操作する必要がある。なお、前方脚部3を収納した状態で画像を投写させたい場合(図3(a)参照)には、前方脚部3を突出させた状態でオン操作を行い、電源オンの状態に移行した後で前方脚部3を収納させればよい。
【0047】
また、電源がオンの状態でユーザにより電源キーの操作(オフ操作)がなされると、プロジェクタ1は、次回のオン操作時に電源キーの操作のみで電源オンの状態とならないように、前方脚部3の収納を促す注意メッセージを表示して、その後でスタンバイ状態に移行するようになっている。
【0048】
図9は、電源オンの状態において電源キーが操作された場合、即ちオフ操作がなされた場合のプロジェクタ1の動作を説明するためのフローチャートであり、図10は、オフ操作がなされた場合のプロジェクタ1の動作を説明する説明図である。電源オンの状態で電源キーの操作がなされると、制御部20は、図9に示すフローに従って動作する。
【0049】
図9に示すように、ステップS201では、制御部20は、OSD処理部33に指示をして、OSD画像である注意メッセージM1(例えば、「ご使用後は、脚部を収納してください」)を入力画像P上に重畳表示させる(図10参照)。制御部20は、この注意メッセージM1を所定時間(例えば、5秒)表示させた後、ステップS202に移行する。
【0050】
ステップS202では、制御部20は、光源制御部26に指示をして光源11を消灯させるとともに他の必要な終了動作を行い、続くステップS203では、LED表示部28の表示状態をオレンジ色で点灯する状態(スタンバイ状態を示す状態)とする。その後、ステップS204では、制御部20は、電源回路25に指示をして動作電力の供給を停止させ、プロジェクタ1をスタンバイ状態に移行させてフローを終了する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタ1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0052】
(1)本実施形態のプロジェクタ1は、ユーザによりオン操作がなされた際に、前方脚部3の突出状態に応じて、電源オンの状態への移行、即ち光源11が点灯する状態への移行を許可又は禁止するようにしているため、電源をオンにして光源11を点灯させるためには、前方脚部3の突出状態を調整する必要がある。このため、電源キーの操作のみで光源11が点灯してしまうことが抑制され、幼児等の操作によって光源11が不用意に点灯してしまうことを抑制することが可能となる。
【0053】
(2)本実施形態のプロジェクタ1は、前方脚部3が収納された状態、即ち前方脚部3の突出量が最も小さい状態でオン操作がなされた場合に、光源11の点灯を禁止するようにしているため、光源11を点灯させるためには、前方脚部3を突出させた状態でオン操作を行う必要がある。プロジェクタ1が未使用の状態、即ち光源11が消灯している状態では、前方脚部3は収納されている場合が多いため、幼児等の操作によって光源11が不用意に点灯してしまうことを一層抑制することが可能となる。
【0054】
(3)本実施形態のプロジェクタ1は、ユーザによりオフ操作がなされた際、次回のオン操作時に電源キーの操作のみで電源がオンの状態とならないように、注意メッセージM1によって前方脚部3の収納を促すようにしているため、幼児等の操作によって光源11が不用意に点灯してしまうことを一層抑制することが可能となる。
【0055】
(4)本実施形態のプロジェクタ1は、前方脚部3を複数(2つ)備えており、光源11を点灯させるためには、すべての前方脚部3を突出した状態に調整する必要があるため、前方脚部3が1つのみの場合に比べて、幼児等の操作によって光源11が不用意に点灯してしまうことを一層抑制することが可能となる。
【0056】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係るプロジェクタについて、図面を参照して説明する。上記第1実施形態では、電源オンの状態で電源キーの操作(オフ操作)がなされた場合に、前方脚部3の収納を促す注意メッセージM1を所定時間表示した後でスタンバイ状態に移行するようになっていたが、本実施形態では、2つの前方脚部3が収納された状態で電源キーが操作された場合にのみスタンバイ状態に移行するようになっている。これ以外の構成及び動作については、上記第1実施形態と同一である。
【0057】
図11は、電源オンの状態において電源キーが操作された場合、即ちオフ操作がなされた場合のプロジェクタ1の動作を説明するためのフローチャートであり、図12は、オフ操作がなされた場合のプロジェクタ1の動作を説明する説明図である。電源オンの状態で電源キーの操作がなされると、制御部20は、図11に示すフローに従って動作する。
【0058】
図11に示すように、ステップS301では、制御部20は、突出状態検知部27からの検知信号に基づいて、2つの前方脚部3がともに収納された状態であるか否かを判断する。そして、2つの前方脚部3がともに収納された状態である場合、即ち2つの押圧スイッチ9がともにオンの状態である場合にはステップS302に移行し、少なくとも1つの前方脚部3が突出した状態、即ち少なくとも1つの押圧スイッチ9がオフの状態である場合にはステップS305に移行する。
【0059】
前方脚部3が2つとも収納された状態で電源キーが操作され、ステップS302に移行した場合には、制御部20は、光源制御部26に指示をして光源11を消灯させるとともに他の必要な終了動作を行い、続くステップS303では、LED表示部28の表示状態をオレンジ色で点灯する状態(スタンバイ状態を示す状態)とする。その後、ステップS304では、制御部20は、電源回路25に指示をして動作電力の供給を停止させ、プロジェクタ1をスタンバイ状態に移行させてフローを終了する。
【0060】
一方、少なくとも1つの前方脚部3が突出した状態で電源キーが操作され、ステップS305に移行した場合には、制御部20は、OSD処理部33に指示をして、OSD画像である注意メッセージM2(例えば、「電源をオフにするためには、脚部を収納した状態で再度電源キーを押してください」)を入力画像P上に重畳表示させる(図12参照)。制御部20は、この注意メッセージM2を所定時間(例えば、5秒)表示させた後、電源オンの状態のままフローを終了する。
【0061】
本実施形態のプロジェクタ1は、上記のように動作するため、少なくとも1つの前方脚部3が突出した状態では、電源キーの操作(オフ操作)のみで電源オフの状態に移行しないようになっている。プロジェクタ1を電源オフの状態にするためには、ユーザは、フットレバー6を操作して2つの前方脚部3を収納し、その後で電源キーを操作する必要がある。
【0062】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタ1によれば、上記第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0063】
(1)本実施形態のプロジェクタ1は、ユーザによりオフ操作がなされた際、2つの前方脚部3がともに収納された状態の場合、即ち2つの前方脚部3の突出状態が、光源11の点灯が禁止される突出状態の場合に、光源11を消灯させてスタンバイ状態に移行する構成になっている。言い換えれば、2つの前方脚部3がともに突出した状態の場合、即ち2つの前方脚部3の突出状態が、光源11の点灯が許可される突出状態の場合にはスタンバイ状態に移行することができないようになっている。このため、次回オン操作を行う際に、前方脚部3の突出状態を調整することなく光源11が点灯してしまう事態を抑制することが可能となる。なお、本実施形態では、2つの前方脚部3がともに収納された状態の場合にのみスタンバイ状態に移行できるようになっているが、1つの前方脚部3のみが収納された状態であっても、次回のオン操作時に電源キーの操作のみで電源オンの状態に移行することはないため、少なくとも1つの前方脚部3が収納された状態の場合にスタンバイ状態に移行できるようにしてもよい。
【0064】
なお、上記第1及び第2実施形態では、前方脚部3の突出状態を調整するためのフットレバー6が突出状態調整部に相当し、電源キーを備えた操作パネル22及びリモコン23が電源操作部に相当する。また、注意メッセージM1,M2を表示する際の制御部20及びOSD処理部33が警告部に相当する。
【0065】
(変形例)
また、上記第1及び第2実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0066】
上記第1及び第2実施形態では、2つの前方脚部3がともに突出した状態、即ち前方脚部3の突出量が最小ではない状態でオン操作がなされた場合に、電源オンの状態に移行するようになっているが、電源をオンにすることが可能な前方脚部3の突出量は前記に限定されない。例えば、2つの前方脚部3の突出量が最大の状態でオン操作がなされた場合にのみ、電源オンの状態に移行するようにしてもよい。
なお、前方脚部3の突出量が最大の状態を検知するためには、例えば、図13(a)、(b)に示すように、前方脚部3が最も突出した状態のときに、上端部3cの下面によってボタン9aが下向きに押圧されるように押圧スイッチ9を配置すればよい。
【0067】
上記第1及び第2実施形態では、2つの前方脚部3を備えた構成を示しているが、前方脚部3の数は複数に限られず、1つであってもよい。
【0068】
上記第1及び第2実施形態では、前方脚部3が突出した状態であるか否かを押圧スイッチ9によって検知する構成を示しているが、押圧スイッチ9以外の接触型の検知手段を用いてもよいし、光センサや磁気センサ等の非接触型の検知手段を用いるようにしてもよい。
【0069】
上記第1及び第2実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源11から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【0070】
上記第1及び第2実施形態では、光源11は、放電型の光源ランプ11aによって構成されているが、LED光源等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態に係るプロジェクタを上面側から見た斜視図。
【図2】第1実施形態に係るプロジェクタを底面側から見た斜視図。
【図3】(a)、(b)は、第1実施形態に係るプロジェクタが画像を投写する様子を示す側面図。
【図4】第1実施形態に係るプロジェクタの前方脚部の周辺構造を前方から見た部分断面図であり、前方脚部の突出量を最小にした状態を示す図。
【図5】第1実施形態に係るプロジェクタの前方脚部の周辺構造を前方から見た部分断面図であり、前方脚部の突出量を調整している状態を示す図
【図6】第1実施形態に係るプロジェクタの前方脚部の周辺構造を前方から見た部分断面図であり、前方脚部の突出量を最大にした状態を示す図。
【図7】第1実施形態に係るプロジェクタの回路構成を示すブロック図。
【図8】第1実施形態に係るプロジェクタにおいてオン操作がなされた場合の動作を説明するためのフローチャート。
【図9】第1実施形態に係るプロジェクタにおいてオフ操作がなされた場合の動作を説明するためのフローチャート。
【図10】第1実施形態に係るプロジェクタにおいてオフ操作がなされた場合の動作を説明する説明図。
【図11】第2実施形態に係るプロジェクタにおいてオフ操作がなされた場合の動作を説明するためのフローチャート。
【図12】第2実施形態に係るプロジェクタにおいてオフ操作がなされた場合の動作を説明する説明図。
【図13】(a)、(b)は、変形例に係るプロジェクタの前方脚部の周辺構造を前方から見た部分断面図であり、(a)は、前方脚部の突出量を調整している状態を示す図、(b)は、前方脚部の突出量を最大にした状態を示す図。
【符号の説明】
【0072】
1…プロジェクタ、2…筐体、2t…上面、2f…前面、2b…底面、2s,2r…側面、3…前方脚部、3a…脚部本体、3b…下端部、3c…上端部、3d…係合部、4…後方脚部、5…凹部、6…フットレバー、6a…操作部、6b…係止部、6c…軸、6d…係合部、7…コイルバネ、9…押圧スイッチ、9a…ボタン、10…画像投写部、11…光源、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…ライトバルブ駆動部、20…制御部、21…記憶部、22…操作パネル、23…リモコン、24…操作信号受信部、25…電源回路、26…光源制御部、27…突出状態検知部、28…LED表示部、31…画像信号入力部、32…画像処理部、33…OSD処理部、M1…注意メッセージ、SC…スクリーン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光を変調して投写する画像投写部と、
前記画像投写部を収容する筐体と、
前記筐体の底面側に突出して前記筐体を傾斜させる脚部と、
前記脚部の突出状態を調整するための突出状態調整部と、
前記脚部の突出状態を検知する突出状態検知部と、
前記光源を点灯させるためのオン操作、及び前記光源を消灯させるためのオフ操作を受け付ける電源操作部と、
前記電源操作部が前記オン操作を受け付けた際に、前記脚部の突出状態に応じて前記光源の点灯を許可又は禁止する制御部と、
を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタであって、
前記制御部は、前記脚部が突出量の最も小さい突出状態の場合に、前記光源の点灯を禁止することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロジェクタであって、
前記電源操作部が前記オフ操作を受け付けた際、前記脚部を前記光源の点灯が禁止される突出状態に調整するように促す警告部をさらに備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のプロジェクタであって、
前記制御部は、前記電源操作部が前記オフ操作を受け付けた際、前記脚部の突出状態が、前記光源の点灯が禁止される突出状態である場合に前記光源を消灯させることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロジェクタであって、
複数の前記脚部を備え、
前記制御部は、前記電源操作部が前記オン操作を受け付けた際、前記複数の脚部の突出状態に応じて前記光源の点灯を許可又は禁止することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項1】
光源から射出された光を変調して投写する画像投写部と、
前記画像投写部を収容する筐体と、
前記筐体の底面側に突出して前記筐体を傾斜させる脚部と、
前記脚部の突出状態を調整するための突出状態調整部と、
前記脚部の突出状態を検知する突出状態検知部と、
前記光源を点灯させるためのオン操作、及び前記光源を消灯させるためのオフ操作を受け付ける電源操作部と、
前記電源操作部が前記オン操作を受け付けた際に、前記脚部の突出状態に応じて前記光源の点灯を許可又は禁止する制御部と、
を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタであって、
前記制御部は、前記脚部が突出量の最も小さい突出状態の場合に、前記光源の点灯を禁止することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロジェクタであって、
前記電源操作部が前記オフ操作を受け付けた際、前記脚部を前記光源の点灯が禁止される突出状態に調整するように促す警告部をさらに備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のプロジェクタであって、
前記制御部は、前記電源操作部が前記オフ操作を受け付けた際、前記脚部の突出状態が、前記光源の点灯が禁止される突出状態である場合に前記光源を消灯させることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロジェクタであって、
複数の前記脚部を備え、
前記制御部は、前記電源操作部が前記オン操作を受け付けた際、前記複数の脚部の突出状態に応じて前記光源の点灯を許可又は禁止することを特徴とするプロジェクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−134220(P2009−134220A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312069(P2007−312069)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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