説明

プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】カラー系高速機でのクリーニング不良を改善し、良好な電子写真特性を有するカートリッジおよび該プロセスカートリッジを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】クリーニング手段が、線圧0.78N/cm以上の当接圧をもって感光体表面に当接された弾性ブレードから成り、かつ電子写真感光体の表面層が少なくとも電荷輸送物質および窒素原子を含有しないバインダー樹脂を含有し、かつ該電子写真感光体の表面層のガラス転移温度が130℃以上であり、かつ該電荷輸送物質と該バインダー樹脂の比率が7/10〜15/10であることを特徴とするプロセスカートリッジおよび該プロセスカートリッジを備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジおよび該プロセスカートリッジを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置に用いられる電子写真感光体材料として、高生産性、材料設計の容易性および将来性の観点から、有機光導電性物質の開発が盛んに行われている。電子写真感光体としての機能性に関しては、無機電子写真感光体より優れた電子写真感光体が生産されるに至ったが、有機電子写真感光体における高感度化や繰り返し使用時の画像の安定性、耐久性という点において更なる改善が望まれている。
【0003】
特許文献1においては、表面層のガラス転移点が105℃以上で、純水に対する接触角が90°以上である電子写真感光体が開示されている。
【0004】
次に、画像形成工程について説明する。
【0005】
プリント開始の信号により、電子写真感光体は一定方向に駆動される。ローラあるいはコロナなどの帯電手段により、感光体表面を一定の電位まで帯電する。このときの感光体の電位をVd電位とよぶ。さらに、露光装置により、コントローラからの信号に基づいてON/OFF制御されたレーザ光を感光体の長手方向に走査しながら、感光体表面に照射(露光)する。このときの感光体の電位をVL電位とよぶ。光照射位置は露光量に応じた分だけ、チャージダウンするため、感光体表面に静電潜像が形成される。
【0006】
続いて、現像装置により、感光体表面の静電潜像にトナーを付着させて現像し、可視化する。例えば、現像装置は、感光体に当接配置させ、感光体の移動方向に対して順方向に一定の周速差で回転している弾性ローラ、および弾性ローラにトナーを薄層コートさせ、かつ、トナーに一定の電荷を与えるトナー規制部材などで構成されている。弾性ローラの表面電位をVd電位とVL電位の間の適当な値となるように制御することにより、感光体上のVL部のみに、帯電されたトナーが付着し、トナー像が形成される。
【0007】
続いて、感光体上に形成されたトナー像の転写材への転写方法について、カラー高速機に多く用いられるタンデム型の画像形成装置を例に挙げて述べる。
【0008】
4つの感光体すべてに当接し、かつ感光体の移動方向に対して順方向に略同速度で移動する転写材搬送手段である転写ベルトを配置する。
【0009】
また、転写ベルトの裏面の感光体との対向部にそれぞれ4つの転写手段を配置する。転写手段としては、弾性ローラ、コロナ、ブレード、ブラシなどが挙げられる。トナー像の転写材への転写は、それぞれの転写手段に独立で適当な正のDCバイアスを印加することにより行う。
【0010】
給紙された転写材は転写ベルトへと搬送され、転写ベルトに当接配置された吸着手段である吸着ローラに正負いずれかのDCバイアスを印加することにより、転写ベルトに対し静電吸着される。吸着されたままの転写材は各感光体対向部に搬送される。ここで、転写部材に印加した正のDCバイアスの作用により、感光体と転写材の間に電界が形成され、トナー像が順に転写材に転写されることになる。4色の転写がすべて完了した後、転写材は転写ベルトから分離される。
【0011】
ところで、現在の技術では、転写材にトナーを100%移し替えることはできない。感光体に残ったトナーは、ブレード、ブラシなどのクリーニング手段により感光体から機械的に除去している。
【0012】
また、感光体からのトナーの離型性を高め、トナーの転写性を向上させるために、懸濁重合法で製造した球形に近いトナーを用いることが提案されている。
【0013】
しかし、この方法によって得られるトナーの形状が実質的に真球状であることから、ブレードクリーニングを行う際にトナー粒子のすりぬけによるクリーニング不良が発生し、複写画像の品質を著しく損うことがある。
【0014】
そこで、このように重合法で製造されたトナーを搭載する画像形成装置においては、クリーニングブレードの感光体に対する線圧を高め、クリーニング性能を向上させることが多い。
【0015】
転写工程の終了した転写材は定着ユニットへと搬送され、一対のローラからなる加熱加圧する手段を用いてトナー像を転写材に永久固定する。
【特許文献1】特開2000−206721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記のようなカラー高速機においては、高温高湿環境にてクリーニングブレード圧が大きいことに起因したクリーニングブレードめくれが発生し、画像不良を引き起こすことがあり、特に電子写真感光体の耐久性との両立が課題となっている。
【0017】
本発明は、クリーニング不良に起因する画像欠陥が発生せず、良好な電子写真特性を維持することができるプロセスカートリッジおよび該プロセスカートリッジを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは鋭意検討の結果、電子写真感光体表面層のガラス転移温度、電荷輸送物質とバインダー樹脂の混合比に着目し、双方を特定の範囲のものとすることにより、クリーニングブレードめくれによるクリーニング不良を抑制し、良好な電子写真特性を有するプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0019】
即ち、本発明は以下の通りである。
【0020】
(1)クリーニング手段が線圧0.78N/cm以上の当接圧をもって電子写真感光体表面に当接された弾性ブレードから成り、かつ電子写真感光体の表面層が少なくとも電荷輸送物質および窒素原子を含有しないバインダー樹脂を含有し、かつ該電子写真感光体の表面層のガラス転移温度が130℃以上であり、かつ該電荷輸送物質と該バインダー樹脂の比率が7/10〜15/10であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0021】
(2)前記電荷輸送物質とバインダー樹脂の比率が13/10〜15/10であることを特徴とする(1)に記載のプロセスカートリッジ。
【0022】
(3)前記表面層のガラス転移温度が、130℃以上200℃以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載のプロセスカートリッジ。
【0023】
(4)前記バインダー樹脂が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【0024】
(5)前記電荷輸送物質の少なくとも1種は、下記式(1)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質であり、
該感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して、下記式(1)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質が占める割合が、90質量%〜100質量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【0025】
【化6】

【0026】
(式中、Ar101〜Ar108はそれぞれ独立して置換または無置換の一価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の一価の芳香族複素環基を示し、Z11〜Z15はそれぞれ独立して置換または無置換の二価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の二価の芳香族複素環基を示す。)
(6)前記電荷輸送物質の少なくとも1種は、下記式(2)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質であり、
該感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して、下記式(2)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質が占める割合が、90質量%〜100質量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【0027】
【化7】

【0028】
(式中、Ar201〜Ar209はそれぞれ独立して置換または無置換の一価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の一価の芳香族複素環基を示し、Z21〜Z26はそれぞれ独立して置換または無置換の二価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の二価の芳香族複素環基を示す。)
(7)前記電荷輸送物質の少なくとも1種は、下記式(3)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質であり、
該感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して、下記式(3)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質が占める割合が、90質量%〜100質量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【0029】
【化8】

【0030】
(式中、Ar301〜Ar310はそれぞれ独立して置換または無置換の一価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の一価の芳香族複素環基を示し、Z31〜Z37はそれぞれ独立して置換または無置換の二価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の二価の芳香族複素環基を示す。)
(8)前記電荷輸送物質の少なくとも1種は、下記式(4)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質であり、
該感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して、下記式(4)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質が占める割合が、90質量%〜100質量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【0031】
【化9】

【0032】
(式中、Ar401〜Ar411はそれぞれ独立して置換または無置換の一価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の一価の芳香族複素環基を示し、Z41〜Z48はそれぞれ独立して置換または無置換の二価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の二価の芳香族複素環基を示す。)
(9)前記電荷輸送物質の少なくとも1種は、下記式(5)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質であり、
該感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して、下記式(5)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質が占める割合が、90質量%〜100質量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【0033】
【化10】

【0034】
(式中、Ar501〜Ar512はそれぞれ独立して置換または無置換の一価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の一価の芳香族複素環基を示し、Z51〜Z59はそれぞれ独立して置換または無置換の二価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の二価の芳香族複素環基を示す。)
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載のプロセスカートリッジを有し、かつプロセススピードが100mm/sec以上であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、クリーニングブレード圧が高く設定されたカラー高速機においても、クリーニング不良に起因する画像欠陥が発生せず良好な電子写真特性を有するプロセスカートリッジおよび該プロセスカートリッジを備えた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0037】
まず、図1を参照してタンデム方式カラー画像形成装置について説明する。
【0038】
画像形成装置中央部に電子写真感光体を4つ、転写材搬送手段である静電転写ベルト4の転写材搬送方向に沿って、等間隔で配置している。そして、それぞれの感光体(感光ドラム)1に対応させて、帯電ローラ5、露光装置7、現像装置8、およびクリーニングブレード11を配置する。現像装置8内には、静電転写ベルト4の転写材搬送方向上流側からマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー、ブラックトナーがそれぞれ充填されている。
【0039】
帯電ローラ5はその両端芯金部をバネ加圧し、表層を感光体1に当接させ、感光体1に対して従動回転させる。帯電ローラ5の芯金部に放電開始電圧以上のバイアスを印加すると、帯電ローラ5と感光ドラム1のニップ近傍で放電が発生する。それにより、感光体1の電荷輸送層表面には電荷が蓄積される。
【0040】
本発明においては、帯電ローラによる接触帯電方式の他に、レーヨンやナイロンを材質としたブラシを用いた接触帯電方式、磁気粒子ブラシを用いた接触注入帯電方式、コロナ帯電器を用いた非接触帯電方式も選択可能である。
【0041】
帯電ローラ5の放電によりVd電位に保たれた感光体1表面に、露光装置7を用い、図示しないコントローラからの信号に基づいて、光源をON/OFF制御しながら、走査露光することにより、静電潜像を形成する。
【0042】
本発明の光学系においては、レーザ走査型、LEDを用いたリニアアレイ光源型のどちらも使用可能である。
【0043】
その後、感光体1と対向する位置に配置した現像装置8により、感光ドラム1上の静電潜像を可視化する処理を行う。それは、以下のようにして行っている。現像装置8内にはトナーが蓄えられている。これらのトナーは、図示しない撹拌部材などにより、感光体1に対し当接配置され、感光体1回転方向に対して、順方向に周速差をもって回転している現像ローラ3に供給される。
【0044】
現像ローラ3は例えば金属の芯金を導電性弾性ゴムで覆い、その上に誘電層をコートしたものなどが用いられる。現像ローラ3上の感光体1当接部の上流側にトナー規制ブレード23をカウンタ方向に当接させ、現像ローラ3上にトナーを薄層コートする。
【0045】
また、トナー規制ブレード23には、トナーが通過する際に、トナーを負に一定量帯電させる役割もある。トナー規制ブレード23としては、例えば、リン青銅やSUSなどの弾性を有する金属の板バネ、あるいは金属板バネにより支持されたウレタンゴム、シリコンゴム、さらには、ゴム表面をナイロンコートしたものなどが用いられる。そうして、現像ローラ3の芯金部に、VdとVLの間の適当なバイアス(以下、「現像バイアス」という)を印加する。これにより、感光体1と現像ローラ3の間に形成される電界の作用により、感光体1上のVL部分に対応する現像ローラ3上のトナーだけが、感光体1上に転移し、トナー像が形成され、現像工程が完了する。
【0046】
本発明においては、非磁性一成分トナーを用いた接触現像方式の他に、同じ非磁性一成分トナーを用いた非接触ジャンピング現像方式、二成分現像剤を用いた接触型二成分磁気ブラシ現像方式を使用することも可能である。
【0047】
続いて、感光体1上に形成されたトナー像の転写材への転写方法について述べる。転写ベルト4を4つの感光体1すべてに対し当接するように配置する。転写ベルト4は駆動ローラ14およびテンションローラ13の2本のローラにより支持されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ14を駆動させることにより転写ベルト4は感光体1に対して順方向に略同速度で移動する。
【0048】
また、転写ベルト4の裏面の感光体1との対向部にそれぞれ転写部材12を当接配置する。t〜tは感光体1と転写部材12の当接部(ニップ部)である。転写部材12としては、ローラ、ブレード、ブラシ、コロナなどの多様な部材を用いることができる。転写ローラ12は感光体1に当接させ、転写ベルト4の移動方向に対して、順方向に略同速度で回転させる。トナー像の転写材への転写に際しては、それぞれの転写部材12に独立で適当な正のDCバイアスを印加するようにする。
【0049】
転写部材12に印加した正のDCバイアスの作用で、転写電界が発生し各色のトナー像が順に転写材に転写される。4色の転写がすべて完了した後、転写材はテンションローラ13の近傍で曲率分離される。
【0050】
図1中、20は給紙トレイ、21は給紙ローラ、19は吸着ローラ、15は分離帯電器、t〜tは感光体1と転写部材12の当接部(ニップ部)である。
【0051】
本件においては、中間転写体を有する中間転写方式も選択可能である。
【0052】
感光体上に形成されたトナー画像は、感光体と中間転写ベルトとのニップ部を通過する過程で、中間転写ベルトに印加した一次転写バイアスにより形成される電界によって、中間転写ベルトの外周面に転写されていく(一次転写、中間転写)。
【0053】
タンデム型画像形成装置においては、順次中間転写ベルト上に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。
【0054】
中間転写ベルト上に重畳転写された4色のトナー像は、中間転写ベルトに給紙された転写材に転写される。バイアスが印加された転写ローラを中間転写ベルトに転写材を挟んで当接することにより、中間転写ベルト上の4色のトナー画像が一括して転写材に転写される(二次転写)。
【0055】
また、感光体上で帯電、露光、現像の各記録工程を4回繰り返して4色の重ね画像を形成した後、一括して転写体に転写するKNCプロセスも選択可能である。
【0056】
転写工程後に感光体1上に残ったトナーは、このまま放置すると、次回転目に転写材に転写され、画像の乱れが発生する。それを防止するため、感光体1の回転方向に対して、カウンタの向きで、クリーニングブレード11を当接し、転写残トナーを感光体1から機械的に除去する。クリーニングブレード11により除去されたトナーは廃トナー回収部10に回収される。
【0057】
さらに、転写材は定着手段9へ搬送され、トナー像が定着ローラ9aおよび加圧ローラ9bにより加熱および加圧されて、転写材に永久固定される。
【0058】
なお、現像装置8、電子写真感光体である感光ドラム1、帯電ローラ5、廃トナー回収部10、およびクリーニングブレード11を一体的にプロセスカートリッジとして装置本体に対して着脱自在の構成とする。
【0059】
本発明においては、クリーニングブレードは0.78N/cm以上の当接圧をもって感光体表面に当接される。また、クリーニングブレードはポリウレタンゴムなどから成り感光体の回転方向に対してカウンタ方向に当接され、感光体に対する設定角が10°〜30°であり、ゴムの弾性率は4.5〜10MPa、感光体方向への侵入量は0.7〜1.5mmである。
【0060】
必要に応じて、前露光灯(イレーサーランプ)を搭載してもよい。前露光による全面露光で除電を受けて前の作像過程で残った電気的メモリの消去がなされる。
【0061】
次に、本発明に用いる電子写真感光体の構成について説明する。
【0062】
本発明の電子写真感光体の感光層としては、電荷発生物質と電荷輸送物質を単一の層に含有する単層型感光層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と電荷発生物質を含有する電荷発生層に機能分離した機能分離型(積層型)感光層のどちらの形態でもいいが、電子写真特性の点で、機能分離型(積層型)が好ましく、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した機能分離型(積層型)がより好ましい。以下、機能分離型(積層型)と表現する場合は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層したものを意味する。
【0063】
本発明の電子写真感光体に用いる支持体としては、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成型したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したものなどが挙げられる。
【0064】
LBPなど画像入力がレーザ光の場合は、散乱による干渉縞防止、または、支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これは、カーボンブラック、金属粒子などの導電性粒子をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。
【0065】
導電層の膜厚は、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0066】
また、支持体または導電層の上に、接着機能を有する中間層を設けてもよい。
【0067】
中間層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンなどが挙げられる。これらを適当な溶剤に溶解して支持体または導電層上に塗布し、中間層が形成される。
【0068】
中間層の膜厚は、0.05〜5μmが好ましく、0.3〜1μmがより好ましい。
【0069】
機能分離型(積層型)感光層の場合、支持体、導電層、または中間層の上には電荷発生層が形成される。
【0070】
電荷発生層は、電荷発生物質を0.3〜4倍量の質量のバインダー樹脂および溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルおよび液衝突型高速分散機などの方法でよく分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。
【0071】
電荷発生層の膜厚は、5μm以下が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
【0072】
電荷発生物質としては、通常知られているものが使用可能であり、例えば、セレン−テルル、ピリリウム、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクドリンなどの各顔料が挙げられる。
【0073】
これらの顔料は0.3〜4倍の質量のバインダー樹脂および溶剤ともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ミル、サンドミルアトライター、ロールミル、液衝突型高速分散機などを使用して、良く分散した分散液とする。機能分離型(積層型)感光層の場合、この分散液を支持体、導電層、または中間層上に塗布し、乾燥することによって電荷発生層が得られる。
【0074】
機能分離型(積層型)感光層の場合、電荷発生層の上には電荷輸送層が形成される。
【0075】
電荷輸送層は電荷輸送物質と窒素原子を含有しないバインダー樹脂を溶剤に溶解させ塗布液とし、この塗布液を電荷発生層上に塗布後、乾燥することによって作製される。
【0076】
電荷輸送層の構成を、トリアリールアミン構造を多数個含有するポリマー型の高分子電荷輸送物質のみの構成にすれば、製造コストが大幅に上昇し、かつ塗工液のハンドリングが困難になるので、本発明においては、電荷輸送層は電荷輸送物質と窒素原子を含有しないバインダー樹脂から構成される。
【0077】
本発明の電荷輸送層のガラス転移温度は130℃以上である。好ましくは、電荷輸送層のガラス転移温度は130℃以上200℃以下である。ガラス転移温度が130℃未満であれば、クリーニングブレード圧が高いカラー高速機であれば耐摩耗性および耐傷性が十分に得られないことがある。
【0078】
また、本発明において、電荷輸送物質の分子量が1500〜4000であって、上記式(1)〜(5)で示される電荷輸送物質が占める割合が、感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して90質量%〜100質量%であることも、上記特性の向上が図られている要因であると考えられる。これは、上記式(1)〜(5)で示される電荷輸送物質以外の電荷輸送物質の占める割合が、感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して10質量%を超えると、上記電荷輸送物質が有する高感度化に寄与する特性が妨げられると考えられる。同様の理由から、同時に画像安定性、特に高湿環境下での画像安定性に関しても、本発明で使用する電荷輸送物質は優位性を有していると考えられる。また、電子写真感光体の耐久寿命の向上に関しても、上記式(1)〜(5)で示される電荷輸送物質以外の低分子量成分の電荷輸送物質の存在が機械的強度の低下を生むと考えられる。分子量(重量平均分子量)の測定方法は限定されないが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)を測定することが、容易な測定方法の一例として挙げられる。
【0079】
塗布液中の電荷輸送物質とバインダー樹脂の比率(電荷輸送物質/バインダー樹脂)は、質量比で7/10〜15/10が好ましく、電子写真感光体の電荷輸送特性、あるいはカラー高速機で使用された際のクリーニング性より、13/10〜15/10がより好ましい。
【0080】
電荷輸送物質とバインダー樹脂の比率が7/10を下回ると、耐久性としては大幅に向上するが、前述のようにクリーニングブレード圧が比較的高く設定されるカラー高速機用カートリッジに感光体を組み込んで高温・高湿状態で使用した際に、クリーニングブレードのめくれが生じ画像不良が発生することがある。
【0081】
電荷輸送物質とバインダー樹脂の比率が15/10を超えると、電荷輸送層のガラス転移温度が130℃以上であっても耐摩耗性および耐傷性が十分に得られず、耐久後にスジ状の画像が発生することがある。
【0082】
本発明におけるバインダー樹脂としては、通常、感光層または電荷輸送層に使用できる樹脂ならば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂など、いずれの樹脂においても使用可能であるが、樹脂の透過性、成膜性の観点から、また、感光層または電荷輸送層が電子写真感光体の表面層である場合には耐摩耗性や耐傷性の観点から、熱可塑性樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂の中でもポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が一般的に用いられる。
【0083】
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、20000〜80000であることが好ましい。
【0084】
ポリカーボネート樹脂を構成する二価の有機残基部分は、置換または無置換の二価のビフェニル残基、置換または無置換の二価のビスフェニル残基、置換または無置換の二価のビフェニルエーテル残基、置換または無置換の二価のビフェニルチオエーテル残基など、二価の有機残基であればどのよう構造であっても可能であるが、置換または無置換の二価のビフェニル残基、置換または無置換の二価のビスフェニル残基、または、置換または無置換の二価のビフェニルエーテル残基であることが好ましい。
【0085】
また、生産性の向上などのために、ポリカーボネート樹脂中の二価の有機残基部分に異種の二価の有機残基を使用する共重合樹脂を使用することも可能である。混合の効果を効率よく発現させるためには、混合比率は、5/95〜95/5であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましい。
【0086】
ポリアリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、50000〜200000であることが好ましく、強度、生産性などの面から、80000〜150000であることがより好ましい。
【0087】
ポリアリレート樹脂に用いられるフタル酸部位の構造に関しては、イソフタル酸またはテレフタル酸が使用される。樹脂中におけるテレフタル酸とイソフタル酸の比率(イソフタル酸/テレフタル酸)は質量比で0/100〜100/0まで任意に可能であるが、ポリアリレート樹脂の溶媒に対する溶解性の観点から、イソフタル酸/テレフタル酸=20/80〜80/20であることが好ましい。さらには、ポリアリレート樹脂の強度の観点より、イソフタル酸/テレフタル酸=30/70〜70/30が好ましい。
【0088】
ポリアリレート樹脂を構成する二価の有機残基部分は、置換または無置換の二価のビフェニル残基、置換または無置換の二価のビスフェニル残基、置換または無置換の二価のビフェニルエーテル残基、置換または無置換の二価のビフェニルチオエーテル残基など、二価の有機残基であればどのよう構造であっても可能であるが、置換または無置換の二価のビフェニル残基、置換または無置換の二価のビスフェニル残基、または、置換または無置換の二価のビフェニルエーテル残基であることが好ましい。
【0089】
また、溶解性の向上などのために、ポリアリレート樹脂中の二価の有機残基部分に異種の二価の有機残基を使用する共重合樹脂を使用することも可能である。混合の効果を効率よく発現させるためには、混合比率は、5/95〜95/5であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましい。
【0090】
さらに、生産性の向上などのために、ポリカーボネート樹脂、またはポリアリレート樹脂に、他構造のポリアリレート樹脂やポリカーボネート樹脂をブレンドすることも可能である。混合の効果を効率よく発現させるためには、混合比率は質量比で、5/95〜95/5であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましい。
【0091】
また、表面層である電荷輸送層のガラス転移温度が130℃以上である限りは、電荷輸送層中に酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤を必要に応じて添加してもよい。
【0092】
電荷輸送層が電子写真感光体の表面層である場合、必要に応じて、潤滑剤や微粒子を使用してもよい。潤滑剤あるいは微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン微粒子、ポリスチレン微粒子といった樹脂微粒子、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化スズ微粒子といった金属酸化物微粒子、およびそれら微粒子に表面処理を施した微粒子、ステアリン酸亜鉛といった固体潤滑剤、アルキル基により置換されたシリコーン、フッ化アルキル基を有する脂肪族系オイル、ワニスなどが挙げられる。
【0093】
電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmが好ましく、15〜30μmがより好ましい。
【0094】
電子写真感光体の各層の形成工程において、使用する溶剤としては、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、単独で用いても複数の溶剤を用いてもよい。
【0095】
また、上記塗布の方法としては、浸漬塗布法、スプレー塗布法、バーコート法など通常知られている方法が使用できる。
【実施例】
【0096】
以下、具体的実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。実施例中「部」は質量部を示す。
【0097】
[実施例1]
直径30mm、長さ260.5mmのアルミニウムシリンダー上に、以下の材料より構成される塗料を浸漬塗布法にて塗布し、140℃で30分熱硬化することにより、膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0098】
導電性顔料:SnOコート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調整用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール=2/8 20部
【0099】
次に、この導電層上に、N―メトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部をメタノール65部およびn−ブタノール30部の混合溶剤に溶解した溶液を浸漬塗布法で塗布し、乾燥することによって、膜厚が0.7μmの中間層を形成した。
【0100】
次に、CuKα特性X線回折のブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン4部と、ポリビニルブチラール(エスレックBX−1、積水化学(株)製)2部と、シクロヘキサノン60部とを、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、エチルアセテート100部を加えて、電荷発生層用分散液を調製した。これを中間層上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚が0.25μmの電荷発生層を形成した。
【0101】
次に、下記式(6)で示される電荷輸送物質14部と、
【0102】
【化11】

ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)10部とを、モノクロロベンゼン80部とジメトキシメタン10部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。これを電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布し、120℃、1時間乾燥して、膜厚が18μmの電荷輸送層を形成した。このようにして実施例1に用いられる感光体1を作製した。
【0103】
本発明において、感光体表面層のガラス転移温度の測定は、動的粘弾性測定法によって行った。まず、電子写真感光体の表面層をコロナ処理の施されていないポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗工し、この後PETフィルム上から剥がし取って、幅3mmの短冊を作成して測定用サンプルとした。このサンプルをレオメーター(Rheometrics RSAII)にて測定した。測定モードは引っ張りモードとし、ひずみ率を0.3%、Initial Static Forceは70gに設定して−138℃〜200℃まで掃引を行い、得られた温度と圧力の波形の微分曲線の変曲点から求めたガラス転移温度を本発明における電子写真感光体の表面層のガラス転移温度とした。
【0104】
次に、本発明の感光体、プロセスカートリッジの画像特性評価方法について説明する。
【0105】
評価装置は、キヤノン製LBP−5500をプロセススピードが190mm/secになるように改造して用いた。
【0106】
評価用のカートリッジとしてはキヤノン製EP−85を用いた。そして前述の感光体1とウレタンを主体とした材質から成るクリーニングブレードが当接角度30°、当接圧0.88N/cmにて当接するように調整した。
【0107】
このようにして用意したカートリッジを上記の評価装置に装着し、温湿度30℃80%RHの環境で、A4サイズ紙に面積比率4%印字の文字パターンで連続10,000枚の連続画像出し試験を行い、初期の画像と10,000枚画像出し試験後の画像評価(べた白、べた黒、ハーフトーン)を行い、結果を下記の評価基準に従って分類した。
【0108】
(画像評価)
◎:画像不良なく鮮明
○:画像不良なし
△:軽微な画像不良発生
×:明らかにクリーニング不良に起因する濃度薄等の画像不良発生
評価結果を表1に示す。
【0109】
[実施例2]
電荷輸送物質を10部にした以外は実施例1と同様にして感光体2を作製した。この感光体2を、実施例1と同様にしてクリーニングブレードと組み合わせてカートリッジを作製し、評価を行った。
【0110】
評価結果を表1に示す。
【0111】
[実施例3]
ポリカーボネート樹脂に代えて、下記式(7)で示されるポリアリレート樹脂(Mw=110,000)
【0112】
【化12】

を10部にした以外は実施例1と同様にして感光体3を作製した。この感光体3を、実施例1と同様にしてクリーニングブレードと組み合わせてカートリッジを作製し、評価を行った。
【0113】
評価結果を表1に示す。
【0114】
[実施例4]
式(6)の電荷輸送物質に代えて、下記式(8)
【0115】
【化13】

【0116】
を14部添加した以外は実施例1と同様にして感光体4を作製した。この感光体4を、実施例1と同様にしてクリーニングブレードと組み合わせてカートリッジを作製し、評価を行った。
【0117】
評価結果を表1に示す。
【0118】
[実施例5]
式(6)の電荷輸送物質に代えて、下記式(9)
【0119】
【化14】

を14部にした以外は実施例1と同様にして感光体5を作製した。この感光体5を、実施例1と同様にしてクリーニングブレードと組み合わせてカートリッジを作製し、評価を行った。
【0120】
評価結果を表1に示す。
【0121】
[実施例6]
式(6)の電荷輸送物質に代えて、下記式(10)
【0122】
【化15】

を14部にした以外は実施例1と同様にして感光体6を作製した。この感光体6を、実施例1と同様にしてクリーニングブレードと組み合わせてカートリッジを作製し、評価を行った。
【0123】
評価結果を表1に示す。
【0124】
[実施例7]
式(6)の電荷輸送物質に代えて、下記式(11)
【0125】
【化16】

を14部にした以外は実施例1と同様にして感光体7を作製した。この感光体7を、実施例1と同様にしてクリーニングブレードと組み合わせてカートリッジを作製し、評価を行った。
【0126】
評価結果を表1に示す。
【0127】
[実施例8]
評価装置としてLBP−5500を改造せずに(プロセススピード94.2mm/sec)用いた以外は、実施例1と同様にカートリッジを作製し、評価を行った。
【0128】
評価結果を表1に示す。
【0129】
[比較例1]
式(6)の電荷輸送物質に代えて、下記式(12)
【0130】
【化17】

を14部にした以外は実施例1と同様にして感光体8を作製した。この感光体8を、実施例1と同様にしてクリーニングブレードと組み合わせてカートリッジを作製し、評価を行った。
【0131】
評価結果を表1に示す。
【0132】
[比較例2]
電荷輸送物質を2部にした以外は、実施例1と同様にして感光体9を作製した。この感光体9を、実施例1と同様にしてクリーニングブレードと組み合わせてカートリッジを作製し、評価を行った。
【0133】
評価結果を表1に示す。
【0134】
[比較例3]
電荷輸送物質を18部にした以外は、実施例1と同様にして感光体10を作製した。この感光体10を、実施例1と同様にしてクリーニングブレードと組み合わせてカートリッジを作製し、評価を行った。
【0135】
評価結果を表1に示す。
【0136】
[比較例4]
評価用のカートリッジのクリーニングブレードを当接角度30°、当接圧0.29N/cmにて感光体に当接するように配置し、感光体は感光体1を用いたカートリッジを用意し評価を行った。
【0137】
評価結果を表1に示す。
【0138】
[比較例5]
評価装置としてLBP−5500を改造せずに(プロセススピード94.2mm/sec)用い、感光体は感光体9を用いてカートリッジを作製し、評価を行った。
【0139】
評価結果を表1に示す。
【0140】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明に係るタンデム型画像形成装置の一例を示す概略構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニング手段が線圧0.78N/cm以上の当接圧をもって電子写真感光体表面に当接された弾性ブレードから成り、かつ電子写真感光体の表面層が少なくとも電荷輸送物質および窒素原子を含有しないバインダー樹脂を含有し、かつ該電子写真感光体の表面層のガラス転移温度が130℃以上であり、かつ該電荷輸送物質と該バインダー樹脂の比率が7/10〜15/10であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記電荷輸送物質とバインダー樹脂の比率が13/10〜15/10であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記表面層のガラス転移温度が、130℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記バインダー樹脂が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記電荷輸送物質の少なくとも1種は、下記式(1)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質であり、
該感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して、下記式(1)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質が占める割合が、90質量%〜100質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【化1】

(式中、Ar101〜Ar108はそれぞれ独立して置換または無置換の一価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の一価の芳香族複素環基を示し、Z11〜Z15はそれぞれ独立して置換または無置換の二価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の二価の芳香族複素環基を示す。)
【請求項6】
前記電荷輸送物質の少なくとも1種は、下記式(2)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質であり、
該感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して、下記式(2)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質が占める割合が、90質量%〜100質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【化2】

(式中、Ar201〜Ar209はそれぞれ独立して置換または無置換の一価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の一価の芳香族複素環基を示し、Z21〜Z26はそれぞれ独立して置換または無置換の二価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の二価の芳香族複素環基を示す。)
【請求項7】
前記電荷輸送物質の少なくとも1種は、下記式(3)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質であり、
該感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して、下記式(3)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質が占める割合が、90質量%〜100質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【化3】

(式中、Ar301〜Ar310はそれぞれ独立して置換または無置換の一価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の一価の芳香族複素環基を示し、Z31〜Z37はそれぞれ独立して置換または無置換の二価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の二価の芳香族複素環基を示す。)
【請求項8】
前記電荷輸送物質の少なくとも1種は、下記式(4)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質であり、
該感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して、下記式(4)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質が占める割合が、90質量%〜100質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【化4】

(式中、Ar401〜Ar411はそれぞれ独立して置換または無置換の一価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の一価の芳香族複素環基を示し、Z41〜Z48はそれぞれ独立して置換または無置換の二価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の二価の芳香族複素環基を示す。)
【請求項9】
前記電荷輸送物質の少なくとも1種は、下記式(5)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質であり、
該感光層に含有される電荷輸送物質の全質量に対して、下記式(5)で示される構造を有し、かつ、重量平均分子量が1500〜4000である電荷輸送物質が占める割合が、90質量%〜100質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【化5】

(式中、Ar501〜Ar512はそれぞれ独立して置換または無置換の一価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の一価の芳香族複素環基を示し、Z51〜Z59はそれぞれ独立して置換または無置換の二価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の二価の芳香族複素環基を示す。)
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のプロセスカートリッジを有し、かつプロセススピードが100mm/sec以上であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−343658(P2006−343658A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170992(P2005−170992)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】