説明

プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】本発明は、案内板の振動に伴う騒音の発生を抑制することが可能なプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】プロセスカートリッジは、現像剤像(トナー)を担持する像担持体(感光ドラム27)と、記録シート(用紙3)の先端を前記像担持体へ当てた後、前記現像剤像の転写位置Cへ向けて案内する弾性変形可能な片持ち梁状の案内板61とを備えている。そして、案内板61の先端部61cは、案内板61の記録シートと当接する案内面(上面61a)とは反対面側に向けて屈曲され、これにより騒音が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光ドラム等の像担持体に用紙を寄せる案内板を備えたプロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタなどの電子写真方式の画像形成装置には、現像剤像を担持する感光ドラムと、現像剤像を引き寄せる転写バイアスが印加される転写ローラとが互いに当接した状態で設けられており、これらの間を用紙が通過する際に現像剤像が転写ローラ側に移動することで用紙に現像剤像が転写されて画像が形成されるようになっている。ところで、このような画像形成装置では、感光ドラムと転写ローラとの間における転写位置よりも用紙の搬送方向上流側において、感光ドラムと用紙が離れていると、それらの間で放電した場合に現像剤が飛散して用紙が汚れるといった問題(いわゆる、プレ転写)があった。
【0003】
このような問題に対しては、従来、可撓性フィルムによって構成される案内板によって用紙の先端を感光ドラムへ当てた後、転写位置へ向けて案内することで、プレ転写を抑制する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−128482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した技術のように案内板が可撓性フィルムで構成されていると、用紙の後端(上流側の端部)が案内板を通り抜けるときに、今まで撓んでいた案内板が元に戻ることによって振動して、騒音が発生する可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、案内板の振動に伴う騒音の発生を抑制することが可能なプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るプロセスカートリッジは、現像剤像を担持する像担持体と、記録シートの先端を前記像担持体へ当てた後、前記現像剤像の転写位置へ向けて案内する弾性変形可能な片持ち梁状の案内板とを備え、前記案内板の先端部が、前記案内板の記録シートと当接する案内面とは反対面側に向けて屈曲されたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記したプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする。さらに、本発明に係る画像形成装置は、現像剤像を担持する像担持体と、記録シートの先端を前記像担持体へ当てた後、前記現像剤像の転写位置へ向けて案内する弾性変形可能な片持ち梁状の案内板とを備え、前記案内板が装置本体に設けられるとともに、前記案内板の先端部が、前記案内板の記録シートと当接する案内面とは反対面側に向けて屈曲されたことを特徴とする。
【0009】
本発明のように案内板の先端部を、案内板の記録シートと当接する案内面とは反対面側に向けて屈曲させると、案内板の先端部における剛性が適度に大きくなる。したがって、本発明によれば、記録シートが案内板を通過したときに案内板が振動しづらくなるので、案内板の振動に伴う騒音の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、案内板の先端部が案内板の記録シートと当接する案内面とは反対面側に向けて屈曲されることにより、案内板の振動に伴う騒音の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1の実施形態]
<レーザプリンタの全体構成>
最初に、本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの全体構成について簡単に説明する。参照する図面において、図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの一実施形態を示す側断面図である。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0012】
<フィーダ部の構成>
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に着脱可能に装着される給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7を備えている。また、フィーダ部4は、給紙トレイ6の一端側端部の上方に設けられる給紙ローラ8および給紙パット9と、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられる紙粉取りローラ10,11を備えている。さらに、フィーダ部4は、紙粉取りローラ10,11に対して下流側に設けられるレジストローラ12を備えている。なお、以下の説明においては、用紙3の搬送方向下流側または上流側を、単に、下流側または上流側という場合があるとともに、搬送されている用紙3の下流側の端縁を先端、上流側の端縁を後端という場合がある。
【0013】
そして、このように構成されるフィーダ部4では、給紙トレイ6内の用紙3が、用紙押圧板7によって給紙ローラ8側に寄せられ、この給紙ローラ8および給紙パット9で送り出されて各種ローラ10〜12を通った後一枚ずつ画像形成部5(詳しくは、転写位置C;図2参照)に搬送されるようになっている。
【0014】
<画像形成部の構成>
画像形成部5は、スキャナ部16、プロセスカートリッジ17、定着部18などを備えている。
【0015】
<スキャナ部の構成>
スキャナ部16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず。)、回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20,21、反射鏡22,23,24などを備えている。レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、レンズ20、反射鏡22,23、レンズ21、反射鏡24の順に通過あるいは反射して、プロセスカートリッジ17の感光ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
【0016】
<プロセスカートリッジの構成>
プロセスカートリッジ17は、スキャナ部16の下方に配設され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される構造となっている。そして、このプロセスカートリッジ17は、筐体51と、筐体51に着脱可能に装着される現像カートリッジ28とを主に備えて構成されている。
【0017】
現像カートリッジ28は、現像ローラ31、層厚規制ブレード32、供給ローラ33およびトナーホッパ34を備えている。そして、トナーホッパ34内のトナーは、供給ローラ33の矢印方向(反時計方向)への回転により、現像ローラ31に供給され、このとき、供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の矢印方向(反時計方向)への回転に伴って、層厚規制ブレード32と現像ローラ31との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
【0018】
筐体51は、感光ドラム27と、スコロトロン型帯電器29と、転写ローラ30とを主に備えて構成されている。
【0019】
感光ドラム27は、筐体51に、矢印方向(時計方向)へ回転可能に支持されている。この感光ドラム27は、ドラム本体が接地されるとともに、その表面部分が正帯電性の感光層により形成されている。
【0020】
スコロトロン型帯電器29は、感光ドラム27の上方に、感光ドラム27に接触しないように、所定間隔を隔てて対向配置されている。このスコロトロン型帯電器29は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光ドラム27の表面を一様に正極性に帯電させるように構成されている。
【0021】
転写ローラ30は、感光ドラム27の下方において、この感光ドラム27に対向して接触するように配置され、筐体51に、矢印方向(反時計方向)へ回転可能に支持されている。この転写ローラ30は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料が被覆されて構成されている。この転写ローラ30には、転写時に、定電流制御によって転写バイアスが印加される。なお、この転写ローラ30と感光ドラム27との接触位置(ニップ位置)で、転写位置C(図2参照)が形成される。
【0022】
そして、感光ドラム27の表面は、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナ部16からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。ここで、「静電潜像」とは、一様に正帯電されている感光ドラム27の表面のうち、レーザビームによって露光されて電位が下がっている露光部分をいう。次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持されているトナーが、感光ドラム27に対向して接触する時に、感光ドラム27の表面上に形成される静電潜像に供給される。そして、トナーは、感光ドラム27の表面上で選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像によりトナー像が形成される。
【0023】
その後、感光ドラム27と転写ローラ30とは、図2に示す転写位置Cにおいて、用紙3を両者間で挟持して搬送するように回転駆動され、感光ドラム27と転写ローラ30との間を用紙3が搬送されることにより、感光ドラム27の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0024】
<定着部の構成>
定着部18は、プロセスカートリッジ17の下流側に配設され、加熱ローラ41、加熱ローラ41と対向配置され加熱ローラ41を押圧する押圧ローラ42、および、これら加熱ローラ41および押圧ローラ42の下流側に設けられる1対の搬送ローラ43を備えている。そして、このように構成される定着部18では、用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させ、その後、その用紙3を搬送ローラ43によって、排紙パス44に搬送するようにしている。なお、排紙パス44に送られた用紙3は、排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙されるか、あるいは、排紙ローラ45の逆回転およびフラッパ49の切替によって装置内に戻されて、複数の反転搬送ローラ50で画像形成部5の上流側に反転状態で再供給されて両面印刷がなされるようになっている。
【0025】
<転写位置周りの構造>
次に、本発明の特徴部分となる転写位置周りの構造について詳細に説明する。参照する図面において、図2は、図1に示すレーザプリンタの転写位置周りの構造を簡易化して示す側断面図(a)と斜視図(b)である。なお、図1の転写位置周りの構造は、説明の便宜上、適宜省略して示している。
【0026】
図2(a)に示すように、感光ドラム27と転写ローラ30との当接部(転写位置C)より上流側には、用紙3の先端を感光ドラム27へ当てた後、転写位置Cへ向けて案内する案内板61が設けられている。
【0027】
案内板61は、その上面61aで用紙3を支持して感光ドラム27側に案内するものであり、弾性変形可能な絶縁性材料、たとえば、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂からなり、プレス加工などにより略矩形状のフィルム部材として形成されている。ここで、案内板61としては、レーザプリンタ1で使用する記録シート(薄紙、厚紙、はがき等の用紙3やOHPシート等)のうち最も軟らかい記録シートより硬く、最も硬い記録シートより軟らかくなるよう、材料、形状及び寸法を選定する。例えば、案内板の材料としてポリエチレンテレフタラートを選定した場合、案内板の厚み(搬送方向および幅方向に直交する方向)が80μm〜200μmの範囲が好ましい。また、例えば、断面二次モーメントIとヤング率Eとの積EIが、3.49×10−5〜1.18×10−3(N・m)の範囲にある材料を選べばよい。
【0028】
また、本実施形態における案内板61は、図2(b)に示すように、用紙3の幅(用紙3の表面に沿った方向のうち用紙搬送方向に直交する方向の長さ)よりも短い幅に形成されるとともに、用紙3の幅に対応して2枚設けられている。そして、各案内板61は、用紙3の幅方向中心に対して左右対称に配設されることで、良好に用紙3を支持して搬送するようになっている。なお、案内板61は、用紙3の幅以上の幅である場合には1枚だけ配置すればよく、本実施形態よりも短い幅である場合には3枚以上並べてもよい。
【0029】
案内板61は、その基端部(用紙搬送方向における上流側の端部)61bが台座51aに固定されており、先端側(用紙搬送方向における下流側)が揺動自在(片持ち梁状)となっている。そして、この案内板61の先端部61cは、案内板61の上面61a(用紙3に当接する案内面;以下、案内面61aともいう)の反対側の面である下面61d側に向けて屈曲されている。このようにして、案内板61の先端部61cは、案内板61の案内面61aの用紙搬送方向下流端から連続する先端面610cを有する。
より具体的には、案内板61の案内面61aは、用紙搬送方向における上流側から下流側に向かって上方(転写ローラ30の中心点から感光ドラム27の中心点へ向かう方向)へ傾斜するように、その基端部61bが、台座51aに固定されている。
【0030】
そして、案内板61の案内面61aの傾斜角度(ニップ搬送方向NDに対する傾斜角度)αは、0°<α≦45°が望ましく、さらに好ましくは、10°<α≦35°が望ましい。ここで、「ニップ搬送方向」とは、像担持体(感光ドラム27)と転写手段(転写ローラ30)で記録シートを搬送する方向であり、本実施形態のように、像担持体と転写手段がともにローラ状であるときは、側面視におけるこれらの共通接線方向(または、両者の軸を結んだ方向に直交する方向)をいう。
また、案内板61は、案内面61aと先端面610cとがなす角のうち、下面61d側(案内面61aの反対面側)における角θが120°以下(本実施形態においては98°)となるように、先端部61cが屈曲されている。
【0031】
ここで、台座51aの上面は、案内板61が固定される部位の上流側の部位が案内板61の板厚以上の高さ分一段上がった段差形状となっており、これにより、紙詰まり(ジャム)が防止されるようになっている。そして、この台座51aは、プロセスカートリッジ17の筐体51(図1参照)の一部として形成されている。なお、台座51aは、筐体51とは別体に構成されていてもよい。また、台座51aを、プロセスカートリッジ17ではなく、装置本体の一例である本体ケーシング2側に形成して、案内板61を本体ケーシング2側に設けるようにしてもよい。
【0032】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
案内板61の先端部61cが下面61d側に向けて適度な角度で屈曲されているので、適度に案内板61の剛性が大きくなり、後述する実施例で示すように、案内板61の振動に伴う騒音の発生を抑制することができる。
【0033】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態に係る案内板61の一部の構造を変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。参照する図面において、図3は、第2の実施形態に係る案内板を示す斜視図である。
【0034】
図3に示すように、第2の実施形態に係る案内板62は、第1の実施形態に係る案内板61と同様の材料および折り曲げ角度で形成されている他、用紙3,3’,3”の幅方向両端部に対応した部分にスリット62a,62b,62cが形成されている。各スリット62a,62b,62cは、案内板62の先端側から基端側に向けて形成されている。詳しくは、各スリット62a,62b,62cは、案内板62の折り曲げられた先端部62dの先端縁から折り曲げられていない搬送部62eの中央近傍まで形成されている。また、各スリット62a,62b,62cは、複数種類の大きさの用紙3,3’,3”に合わせて複数対形成されている。詳しくは、最も幅広の用紙3(例えば、A4用紙)に対応して一対のスリット62a,62aが各案内板62にそれぞれ形成され、用紙3より幅狭の用紙3’(例えばB5用紙)に対応して一対のスリット62b,62bが形成されている。また、用紙3’よりも幅狭の用紙3”(例えばはがき)に対応して一対のスリット62c,62cが形成されている。
【0035】
以上によれば、第2の実施形態において以下のような効果を得ることができる。
用紙3,3’,3”の幅方向両端部に対応した部分にスリット62a,62b,62cを案内板62に形成したので、案内板62を用紙3,3’,3”が通り抜けるときに生じる案内板62と用紙3,3’,3”の幅方向両端縁との摺接による紙粉の発生を抑制することができる。また、複数種類の大きさの用紙3,3’,3”に合わせて各スリット62a,62b,62cを形成したので、用紙の種類に関わらずに紙粉の発生を抑制することができる。さらに、用紙3,3’,3”の内、力が集中する幅方向両端における後端が、案内板62を通過するときに案内板62と当接しない。この結果、用紙3,3’,3”の幅方向両端における後端が、案内板62を強くはじくことにより騒音が発生することを防止できる。
【0036】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記各実施形態では、案内板61,62の先端部61c,62dをそれぞれ1回だけ屈曲させたが、本発明はこれに限定されず、複数回屈曲させてもよい。例えば、図4(a)に示すように、第1の実施形態に係る案内板61の屈曲された先端部61cを、用紙3の搬送方向下流側に向けてさらに屈曲してもよい。これによれば、案内板61を通り抜けた用紙3の後端は、さらに屈曲した先端部61c’によって下方への移動が規制されるので、用紙3の後端のばたつきを抑えることができる。そして、このように用紙3の後端のばたつきを抑えることで、用紙3のばたつきによる騒音を抑えることができるとともに、画像形成を良好に行うことができる。
【0037】
また、図4(b)に示すように、第1の実施形態に係る案内板61の屈曲された先端部61cを、用紙3の搬送方向上流側に向けてさらに屈曲してもよい。これによれば、案内板61の先端部61cの剛性が増すので、先端部61cが振動して騒音が発生することをより確実に防止できる。
【0038】
第2の実施形態では、各スリット62a,62b,62cを、案内板62の先端部62dの先端縁から搬送部62eの中央近傍まで形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スリットは案内板の先端側から基端側に向けて形成されていればよい。例えば、図5に示すように、案内板63の屈曲された角部63aから基端側に向けて所定の長さでスリット63c,63d,63eを形成してもよい。すなわち、各スリット63c,63d,63eを孔状に形成してもよい。これによっても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
また、図3に示す各スリット62a,62b,62cは、搬送部62eの中央近傍まで形成したが、基端側に抜けるように形成してもよい。言い換えると、幅狭の案内板を複数設け、これらの間の空間を適宜用紙の幅方向両端縁に合わせて位置させることで、各案内板の間の空間をスリットとして利用してもよい。
【実施例】
【0040】
以下に、前記した第1の実施形態についての実施例を説明する。詳しくは、案内板61の先端部61cの折り曲げ角度と騒音との関係を調べた実験結果を示す。
【0041】
本実施例における実験の各種条件は、以下の通りである。
(1)案内板61の材料;ポリエチレンテレフタラート
(2)案内板61の大きさ;縦幅11.00mm×横幅105.50mm×厚さ0.10mm
ここで、『縦幅』とは、案内板61の案内面61aに沿う方向のうち用紙3の搬送方向に沿った長さであり、『横幅』とは、案内板61の案内面61aに沿う方向のうち用紙3の搬送方向に直交する方向の長さであり、『厚さ』とは案内板61の案内面61aに直交する方向の長さである。
(3)案内板61の台座51aからの延出量(折り曲げた先端部61cを除く);6.00mm
(4)折り曲げた先端部61cの長さ;2.00mm
(5)案内板61の先端部61cの折り曲げ角度(5種類)
ここで、案内板61の先端部61cの折り曲げ角度とは、案内板61の案内面61aと先端面610cのなす角度のうち、案内面61aと反対側においてなす角度を指す。
(a) 180°(折り曲げ無し)
(b) 98°
(c) 99°
(d) 107°
(e) 110°
(6)案内板61の枚数;2枚
(7)用紙3の種類;80g/mのA4サイズ普通紙
(8)測定回数;10回
ここで、折り曲げ角度にばらつきがあるのは、弾性体である案内板61の復帰力によって、角度が目標値よりも開くことによる。例えば、(b)は、折り曲げ角度の目標値を90°として折り曲げたが、案内板61の復帰力によって98°まで戻って安定したことを示す。
【0042】
以上のような条件で、実験を行い、案内板の先端部の折り曲げ角度と騒音との関係を調べた。なお、実験方法としては、プリンタで発生する騒音を10[ms]毎に記録し、用紙が案内板を通過したときの騒音値を読み取った。その結果、図6に示すような実験結果が得られた。
【0043】
ここで、図6は、案内板の先端部の折り曲げ角度と騒音との関係を示すグラフである。そして、図6に示す棒グラフは、測定した騒音の平均値を示し、棒グラフの先端付近に示す線は、測定された騒音の最大値から最小値までの範囲を示している。
【0044】
図6に示す実験結果によれば、折り曲げ無し(180°)のものに比べ、98°,99°,107°,110°に折り曲げたものの方が、騒音が抑制されることが確認された。
具体的には、折り曲げ角度が180°であるときの騒音の平均値は56.69[dB]であり、折り曲げ角度が98°であるときの騒音の平均値は52.03[dB]であり、折り曲げ角度が99°であるときの騒音の平均値は51.27[dB]であり、折り曲げ角度が107°であるときの騒音の平均値は51.57[dB]であり、折り曲げ角度が110°であるときの騒音の平均値は49.78[dB]であった。
【0045】
以上により、折り曲げ角度を110°以下にすることで、確実に騒音が抑制されることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの一実施形態を示す側断面図である。
【図2】図1に示すレーザプリンタの転写位置周りの構造を簡易化して示す側断面図(a)と斜視図(b)である。
【図3】第2の実施形態に係る案内板を示す斜視図である。
【図4】案内板の先端部を搬送方向下流側に向けてさらに屈曲させた形態を示す側断面図(a)と、案内板の先端部を搬送方向上流側に向けてさらに屈曲させた形態を示す側断面図(b)である。
【図5】スリットを孔状に形成した形態を示す斜視図である。
【図6】案内板の先端部の折り曲げ角度と騒音との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0047】
1 レーザプリンタ
2 本体ケーシング
3 用紙
17 プロセスカートリッジ
27 感光ドラム
30 転写ローラ
51 筐体
51a 台座
61 案内板
61a 上面
61b 基端部
61c 先端部
61c’ 先端部
61d 下面
62 案内板
62a,62b,62c スリット
62d 先端部
62e 搬送部
C 転写位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像を担持する像担持体と、
記録シートの先端を前記像担持体へ当てた後、前記現像剤像の転写位置へ向けて案内する弾性変形可能な片持ち梁状の案内板とを備え、
前記案内板の先端部が、前記案内板の記録シートと当接する案内面とは反対面側に向けて屈曲されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記案内面と、前記案内面の記録シート搬送方向における下流端に連続する先端面とがなす角のうち、前記案内面の反対面側においてなす角は、120°以下であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記案内面と、前記案内面の記録シート搬送方向における下流端に連続する先端面とがなす角のうち、前記案内面の反対面側においてなす角は、110°以下であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記案内板のうち前記記録シートの記録シート搬送方向に直交する幅方向両端部に対応した部分には、前記案内板の先端側から基端側に向けてスリットが形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記スリットは、複数種類の大きさの記録シートに合わせて複数対形成されていることを特徴とする請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
屈曲された前記先端部は、記録シートの搬送方向下流側に向けてさらに屈曲されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
屈曲された前記先端部は、記録シートの搬送方向上流側に向けてさらに屈曲されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
現像剤像を担持する像担持体と、
記録シートの先端を前記像担持体へ当てた後、前記現像剤像の転写位置へ向けて案内する弾性変形可能な片持ち梁状の案内板とを備え、
前記案内板が装置本体に設けられるとともに、
前記案内板の先端部が、前記案内板の記録シートと当接する案内面とは反対面側に向けて屈曲されたことを特徴とする画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−297044(P2008−297044A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143274(P2007−143274)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】