説明

プロトン伝導性高分子電解質膜およびその製造方法ならびにそれを用いた膜−電極接合体および高分子電解質型燃料電池

【課題】ポリビニルアルコール(PVA)を基材とするプロトン伝導性高分子電解質膜であって、優れたプロトン伝導性およびメタノール遮断特性を有する電解質膜の製造方法を提供する。
【解決手段】PVAとプロトン伝導基を有する水溶性高分子電解質とを含み、PVAと前記水溶性高分子電解質とを除く水溶性ポリマーの含有量が、PVAに対する重量比にして0.1未満である前駆体膜を熱処理して、PVAの結晶化を進め、PVAと反応する架橋剤により上記熱処理した前駆体膜を化学的に架橋することにより、架橋PVAを基材とし、前記基材に保持された前記電解質を介してプロトンが伝導される高分子電解質膜を形成する製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトン伝導性高分子電解質膜とその製造方法に関する。また本発明は、プロトン伝導性高分子電解質膜を用いた膜−電極接合体および高分子電解質型燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代のエネルギー源として燃料電池が脚光を浴びている。特に、プロトン伝導性を有する高分子膜を電解質に使用した高分子電解質型燃料電池(PEFC)は、エネルギー密度が高く、家庭用コージェネレーションシステム、携帯機器用電源、自動車用電源などの幅広い分野での使用が期待される。PEFCの電解質膜には、燃料極−酸化極間でプロトンを伝導する電解質として機能するとともに、燃料極に供給される燃料と、酸化極に供給される酸化剤とを分離する隔壁となることが求められ、電解質および隔壁のいずれか一方としての機能が不十分であると燃料電池の発電効率が低下する。このため、プロトン伝導性、電気化学的安定性および機械的強度に優れ、燃料および酸化剤の透過性が低い高分子電解質膜が望まれる。
【0003】
現在、PEFCの電解質膜には、プロトン伝導基としてスルホン酸基を有するパーフルオロカーボンスルホン酸(例えば、デュポン社製「ナフィオン(登録商標)」)が広く用いられている。パーフルオロカーボンスルホン酸膜は電気化学的な安定性に優れるものの、原料となるフッ素樹脂は汎用品ではなく、その合成過程も複雑であることから非常に高価である。電解質膜が高価であることは、PEFCの実用化に対する大きな障害となる。また、パーフルオロカーボンスルホン酸膜はメタノールを透過しやすく(即ち、メタノール遮断特性に劣り)、PEFCの1種であり、メタノールを含む溶液が燃料極に供給されるダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)の電解質膜にパーフルオロカーボンスルホン酸膜を用いることは難しい。
【0004】
このため、パーフルオロカーボンスルホン酸膜の代替として、低コストかつメタノールの透過が抑制された炭化水素系高分子電解質膜の開発が進められている。例えば、特許文献1〜4には、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリイミドからなる電解質膜が、それぞれ提案されている。これら炭化水素系電解質膜の原料となる樹脂はフッ素系樹脂に比べて安価であり、上記電解質膜の使用により、PEFCの低コスト化が図れるとされる。しかし、電解質および隔壁としての機能の両立が要求される燃料電池用の電解質膜としては、特許文献1〜4に提案されている炭化水素系電解質膜の特性は必ずしも十分ではなく、当該膜を用いたPEFCの実用化には未だ至っていない。
【0005】
これとは別に特許文献5には、プロトン伝導基である酸性基を有する水溶性高分子電解質と、ポリビニルアルコール(PVA)と、第3成分であるポリエチレングリコール(PEG)などの水溶性ポリマーとを含む混合物からなる電解質膜が開示されており(請求項1)、当該膜を物理的または化学的に架橋してもよいことが示されている(請求項4、段落番号[0006]および実施例など)。この電解質膜は、PVAを基材とすることにより、低コストで製造できる。しかし、特許文献5に開示されている電解質膜のプロトン伝導性はパーフルオロカーボンスルホン酸膜に比べて大きく劣り、PEFCの電解質膜、特にメタノールを含む溶液が燃料極に供給されるDMFCの電解質膜、としての使用は現実的ではない。
【特許文献1】特開平6−93114号公報
【特許文献2】特開平10−45913号公報
【特許文献3】特開平9−245818号公報
【特許文献4】特表2000−510511号公報
【特許文献5】特開2006−156041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、PVAを基材とするプロトン伝導性高分子電解質膜であって、優れたプロトン伝導性およびメタノール遮断特性を有する電解質膜とその製造方法との提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法では、PVAと、プロトン伝導基を有する水溶性高分子電解質とを含み、前記PVAと前記水溶性高分子電解質とを除く水溶性ポリマーの含有量が前記PVAに対する重量比にして0.1未満である前駆体膜を熱処理して、前記PVAの結晶化を進め、前記PVAと反応する架橋剤により前記熱処理した前駆体膜を化学的に架橋することにより、架橋PVAを基材とし、前記基材に保持された前記電解質を介してプロトンが伝導される高分子電解質膜を形成する。
【0008】
本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜は、上記本発明の製造方法により得た電解質膜である。
【0009】
別の側面から見た本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜は、架橋したPVAからなる基材と、前記基材に保持された、プロトン伝導性を有する水溶性高分子電解質とを含み、当該電解質膜における、前記PVAと前記水溶性高分子電解質とを除く水溶性ポリマーの含有量が、前記PVAに対する重量比にして0.1未満である。
【0010】
本発明の膜−電極接合体は、高分子電解質膜と、前記電解質膜を狭持するように配置された一対の電極とを備え、前記電解質膜が上記本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜である。
【0011】
本発明の高分子電解質型燃料電池は、高分子電解質膜と、前記電解質膜を狭持するように配置された一対のセパレータとを備え、前記電解質膜が上記本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法によれば、プロトン伝導性およびメタノール遮断特性が改善した電解質膜を製造できる。ナフィオンなどのパーフルオロカーボンスルホン酸からなる電解質膜と同等の高いプロトン伝導性と、当該電解質膜に比べて大きく向上したメタノール遮断特性とを有する電解質膜を製造することも可能である。
【0013】
PVAは基本的に水溶性であるため、これを電解質膜として用いるためには、その耐水性を向上させる必要がある。特許文献5(特開2006-156041号公報)では、「PVAとの水素結合などを通して膜に機械的強度を与える」([0017]参照)作用を有するPEGなどの水溶性ポリマー(第3成分)を添加し、さらにこのPVAを物理的または化学的にさらに架橋することにより、PVAの耐水性を向上させ、基材としての自立を図っている。しかし、本発明者らの検討によれば、この電解質膜では、PVAに対する重量比で「1:0.1〜2.0の範囲」([0017]参照)で添加される第3成分がPVAの結晶化を阻害するために、架橋後のPVAの耐水性が十分に向上せず、その結果、当該膜のプロトン伝導性およびメタノール遮断特性が低下する。
【0014】
一方、本発明の製造方法では、前駆体膜における上記水溶性ポリマーの含有量をPVAに対する重量比にして0.1未満とし、この前駆体膜に対して熱処理工程(I)および架橋工程(II)をこの順に実施する。この方法によれば、PVAの結晶性が確実に向上し、化学的架橋によりPVAの耐水性が十分に向上する。このため、プロトン伝導性およびメタノール遮断特性に優れた電解質膜が得られる。なお、後述の実施例に示すように、(I)熱処理工程と(II)架橋工程との実施順序を逆にした場合には、特性に優れた電解質膜が得られない。これは、先にPVAの架橋が進むことで、後の熱処理によるPVAの結晶化が困難になるため、と考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(プロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法)
[前駆体膜]
本発明の製造方法に用いる前駆体膜は、PVAとプロトン伝導基を有する水溶性高分子電解質とを含み、前駆体膜におけるPVAと水溶性高分子電解質とを除く水溶性ポリマーの含有量が、PVAに対する重量比にして0.1未満である。前駆体膜は、熱処理およびその後の化学的架橋によって、架橋PVAを基材とし、当該基材中に水溶性高分子電解質が含まれるプロトン伝導性高分子電解質膜となる。
【0016】
前駆体膜は、上記水溶性ポリマーを実質的に含まなくてもよい。本発明の製造方法では、前駆体膜が上記水溶性ポリマーを含むことなく電解質膜を形成できる。なお、「実質的に含まない」とは、前駆体膜を形成する際に用いた原料に混入する不純物など、少量(例えば、PVAに対する重量比にして0.01未満)の水溶性ポリマーが含まれていてもよいことを意味する。
【0017】
PVAの分子量は特に限定されないが、粘度平均分子量が10000〜1000000の範囲にあるPVAを用いることにより、電解質膜として好適な基材を形成できる。機械的強度など、電解質膜の機械的特性を考慮した場合、PVAの粘度平均分子量は50000〜200000が好ましい。
【0018】
水溶性高分子電解質の種類は、プロトン伝導基を有する限り特に限定されない。
【0019】
プロトン伝導基は、例えばスルホン酸基またはリン酸基であり、電解質膜中の含有量が少ない場合においても高いプロトン伝導性が得られることから、スルホン酸基が好ましい。なお、スルホン酸基およびリン酸基には、ナトリウム塩、アンモニウム塩などの塩の状態にある基(例えばスルホン酸ナトリウム基)を含む。ただし、スルホン酸基およびリン酸基が塩の状態にある場合、最終的に電解質膜とする前に、後述する酸処理工程によって当該基をプロトン型に変化させることが好ましい。
【0020】
水溶性高分子電解質は、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニルスルホン酸、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、およびスルホン化ポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種である。これらの電解質は、プロトン伝導基としてスルホン酸基を有する。水溶性高分子電解質は、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンおよびスルホン化ポリエーテルスルホン以外のスルホン化ポリアリーレン樹脂であってもよい。
【0021】
前駆体膜における水溶性高分子電解質の含有量は特に限定されないが、通常、PVAに対する重量比(水溶性高分子電解質の重量/PVAの重量)にして0.05〜1である。上記重量比が過大になると、PVA基材に対する水溶性高分子電解質の含有量が大きくなるために電解質膜のプロトン伝導性が向上するが、機械的特性およびメタノール遮断特性が低下して、PEFCへの使用に(特にDMFCへの使用に)適さなくなる。一方、上記重量比が過小になると、電解質膜として十分なプロトン伝導性が得られない。上述した重量比の範囲は、「PVA:水溶性高分子電解質」で表示して、95:5〜50:50に相当する。
【0022】
上記重量比は0.18〜0.54が好ましく、0.25〜0.54がより好ましい。プロトン伝導性およびメタノール遮断特性のバランスがとれた電解質膜が得られるためである。上述した重量比の範囲は、それぞれ「PVA:水溶性高分子電解質」で表示して、85:15〜65:35および80:20〜65:35に相当する。
【0023】
前駆体膜は、例えば、PVA水溶液と水溶性高分子電解質の水溶液との混合液を基板上にキャストして形成できる。
【0024】
混合液(キャスト溶液)の濃度は特に限定されないが、通常、1〜50重量%であり、得られる前駆体膜の均一性を考慮すると、3〜20重量%程度が好ましい。
【0025】
混合液のキャストには、ガラス、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、あるいはポリイミドなどのエンジニアリング樹脂からなる基板を用いることができる。
【0026】
キャスト厚は、例えば10〜2000μm程度であり、得たい電解質膜の厚さに応じて調整できる。キャスト厚が過小になると、電解質膜としての機械的強度が低下する。一方、キャスト厚が過大になると均一な乾燥が難しくなって、構造が不均一な膜が形成されやすくなる。
【0027】
電解質膜の厚さは、その用途にもよるが、一般的なPEFCに用いる場合には10〜200μmが好ましく、機械的強度とプロトン伝導性とのバランスを考慮すると、20〜100μmが好ましい。電解質膜の厚さが過小になると、プロトン伝導性は向上するものの、それ以上に機械的強度およびメタノール遮断特性の低下が大きくなることで電解質膜としての実用性が低下する。一方、上記厚さが過大になると、機械的強度およびメタノール遮断特性は向上するもののプロトン伝導性が低下して、PEFCへの使用が困難となる。
【0028】
その他、キャストにより前駆体膜を形成する方法の詳細は、公知の手法に従えばよい。
【0029】
なお、PVAおよび水溶性高分子電解質の双方が水溶性であるために、前駆体膜は水を媒体として形成できる。水を媒体とすることにより、製造時の環境負荷を低減できる。
【0030】
[(I)熱処理工程]
熱処理温度は、前駆体膜が融解または分解する温度未満であれば特に限定されないが、通常、PVAの結晶化が進行する温度である100〜180℃であり、PVAの結晶化が最も進行する温度である120〜140℃が好ましい。熱処理温度が過小になると、PVAの結晶化が十分に進行せず、プロトン伝導性およびメタノール遮断特性に優れる電解質膜が得られない。一方、熱処理温度が過大になるとPVAが劣化する。
【0031】
熱処理の時間は、熱処理温度にもよるが、PVAが比較的速やかに結晶化するため、数分から1時間程度である。
【0032】
熱処理は大気下で行うことができ、必要に応じて加圧雰囲気下で行ってもよい。
【0033】
その他、前駆体膜を熱処理する方法の詳細は、公知の手法に従えばよい。
【0034】
[(II)架橋工程]
架橋剤には、PVAと反応する官能基(典型的にはPVAの水酸基と反応する官能基)を有する2官能以上の多官能架橋剤を用いればよい。このような架橋剤は、例えば、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドおよびスベロイルクロライドである。
【0035】
具体的な架橋工程は公知の手法に従えばよく、例えば、適当な溶媒に架橋剤を溶解させて得た架橋溶液に前駆体膜を浸漬すればよい。
【0036】
架橋溶液の濃度および架橋時間は、前駆体膜の組成および架橋剤の種類などに応じて適宜設定すればよいが、一例として、架橋溶液の濃度が1〜20重量%、架橋時間が0.1〜48時間である。
【0037】
本発明の製造方法では、必要に応じて、熱処理工程および架橋工程以外の任意の工程を実施できる。例えば、プロトン伝導基がスルホン酸基であり、当該基がナトリウム塩あるいはアンモニウム塩などの塩の状態にある水溶性高分子電解質を用いた場合、当該基をプロトン型とするための酸処理工程を実施してもよい。酸処理工程の具体的な方法は特に限定されないが、例えば、架橋工程を経た前駆体膜を、濃度0.5〜2N程度の塩酸水溶液または硫酸水溶液に、1〜24時間程度浸漬すればよい。
【0038】
(プロトン伝導性高分子電解質膜)
本発明の電解質膜は、上述した本発明の製造方法により得た電解質膜である。
【0039】
本発明の製造方法において、前駆体膜における上記水溶性ポリマーの含有量がPVAに対する重量比にして0.1未満であることに着目すると、本発明の電解質膜は、架橋PVAからなる基材と、基材に保持されたプロトン伝導性を有する水溶性高分子電解質とを含み、上記水溶性ポリマーの含有量がPVAに対する重量比にして0.1未満である電解質膜であるともいえる。
【0040】
本発明の電解質膜は、上記水溶性ポリマーを実質的に含まなくてもよい。
【0041】
本発明の電解質膜における水溶性高分子電解質は、例えば、プロトン型のスルホン酸基またはリン酸基をプロトン伝導基として含む。
【0042】
本発明の電解質膜における水溶性高分子電解質の含有量は、PVAに対する重量比にして、通常0.05〜1であり、0.18〜0.54が好ましく、0.25〜0.54がより好ましい。
【0043】
本発明の電解質膜は、PVAを基材としながらもプロトン伝導性およびメタノール遮断特性に優れる。また、その構成によっては、ナフィオンなどのパーフルオロカーボンスルホン酸からなる電解質膜と同等のプロトン伝導性と、当該電解質膜に比べて大きく向上したメタノール遮断特性とを有する。
【0044】
本発明の電解質膜の用途は特に限定されないが、PEFCの高分子電解質膜(PEM)としての用途、特に燃料にメタノールを含む溶液を用いるDMFCのPEMとしての用途、に好適である。
【0045】
(膜−電極接合体)
本発明の膜−電極接合体(MEA)の一例を、図1に示す。
【0046】
図1に示すMEA1は、電解質膜2と、電解質膜2を狭持するように配置された一対の電極(アノード電極3、カソード電極4)とを備え、電解質膜2と電極3,4とは互いに接合されている。ここで、電解質膜2は上述した本発明の電解質膜であり、MEA1をPEFCに組み込むことにより、PEFCの発電特性、特に燃料にメタノールを含む溶液を用いるDMFCとしたときの発電特性、を向上できる。
【0047】
アノード電極(燃料極)3およびカソード電極(酸化極)4の構成は、それぞれ、一般的なMEAのアノード電極、カソード電極と同様であればよい。
【0048】
MEA1は、電解質膜2と電極3,4とを熱プレスするなど、公知の手法により形成できる。
【0049】
(高分子電解質型燃料電池)
本発明の高分子電解質型燃料電池(PEFC)の一例を、図2に示す。
【0050】
図2に示す燃料電池11は、電解質膜2と、電解質膜2を狭持するように配置された一対の電極(アノード電極3、カソード電極4)と、上記一対の電極を狭持するように配置された一対のセパレータ(アノードセパレータ5、カソードセパレータ6)とを備え、各部材は、当該部材の主面に垂直な方向に圧力が印加された状態で接合されている。電解質膜2と電極3,4とは、MEA1を構成している。ここで、電解質膜2は上述した本発明の電解質膜であり、発電特性に優れる(特に燃料にメタノールを含む溶液を用いるDMFCとしたときの発電特性に優れる)燃料電池11とすることができる。
【0051】
アノード電極(燃料極)3、カソード電極(酸化極)4、アノードセパレータ5およびカソードセパレータ6の構成は、それぞれ、一般的なPEFCにおける各部材と同様であればよい。
【0052】
本発明の燃料電池は、必要に応じて、図2に示す部材以外の部材を備えていてもよい。また、図2に示すPEFC11はいわゆる単セルであるが、本発明の燃料電池は、このような単セルを複数積層したスタックであってもよい。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0054】
最初に、本実施例において作製した電解質膜の評価方法を示す。
【0055】
(イオン交換容量:IEC)
作製した電解質膜を濃度3モル/Lの塩化ナトリウム水溶液に浸漬し、ウォーターバスにより水溶液を60℃に昇温して3時間保持した。次に、水溶液を室温まで冷却した後、電解質膜を水溶液から取り出してイオン交換水で十分に洗浄した。洗浄に用いたイオン交換水は全て、電解質膜を取り出した後の水溶液に加えた。次に、電解質膜を取り出した後の水溶液に含まれるプロトン(水素イオン)量を、電位差自動滴定装置(京都電子工業株式会社製、AT-510)を用いて、濃度0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定して求め、求めたプロトン量と、塩化ナトリウム水溶液に浸漬する前に予め測定しておいた電解質膜の重量とから、作製した電解質膜のイオン交換容量(meq/g)を求めた。
【0056】
なお、電解質膜のイオン交換容量が大きいほど、当該電解質膜がより多くのプロトン伝導基を有するといえる。
【0057】
(プロトン伝導率:σ)
作製した電解質膜を温度25℃のイオン交換水に浸漬して1時間以上保持した後、浸漬によって膨潤した電解質膜を一対の白金箔(矩形状)で挟み込んで、プロトン伝導度評価用のサンプルとした。白金泊により電解質膜を挟み込む際には、上記一対の白金箔を、各々の長軸方向の辺が互いに平行に近接し、かつ電解質膜の面に垂直な方向から見て当該辺が互いに10mm離間するように配置した。この離間距離を、サンプルにおける電極間距離d(=1cm)とした。次に、上記一対の白金泊を測定電極として、LCRメータ(HIOKI社製、LCRメータ3532-80)を用いてサンプルの複素インピーダンス測定(測定周波数:10kHz〜1MHz)を行った。次に、測定によって得られたインピーダンスの実数部分を横軸に、虚数部分を縦軸にしてプロットを描き、極小値の実数部分の値をサンプルの膜抵抗R(Ω)とした。これとは別に、浸漬により膨潤した電解質膜の厚さt1(μm)を測定し、以下の式(1)により、サンプルのプロトン伝導率σ(S/cm)を求めた。
σ(S/cm)=(1×10-4)/(R×t1×h) ・・・(1)
なお、式(1)におけるhは、電解質膜を狭持する白金泊の長軸方向の辺の長さ(cm)である。
【0058】
(メタノール透過率:MCO)
作製した電解質膜を隔壁として、同一形状の一対のガラス容器を、その開口部において互いに連結した。次に、一方のガラス容器に、当該容器における上記とは別の開口部から濃度3モル/Lのメタノール水溶液(温度60℃)を、他方のガラス容器に、当該容器における上記とは別の開口部から蒸留水(温度60℃)を注ぎ入れた後、電解質膜を介して蒸留水側に透過したメタノールの量を、容器全体をウォーターバスにより60℃に保持した状態で一定時間ごとに定量した。メタノールの定量はガスクロマトグラフィ(GC)により行い、定量には、所定の濃度のメタノール水溶液に対するGC測定から作成した検量線を使用した。定量したメタノール量を経過時間に対してプロットし、当該プロットの傾きから、以下の式(2)により電解質膜のメタノール透過率(mmol/hr/cm)を求めた。
メタノール透過率=プロットの傾き(mmol/hr)/S×t2 ・・・(2)
なお、式(2)におけるS、t2は、それぞれ、電解質膜における隔壁部分の面積、およびMCOを評価した直後に測定した、膨潤した電解質膜の厚さである。
【0059】
(実施例1)
PVA(重合度3500)の水溶液(濃度5重量%)と、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa、重量平均分子量1000000)の水溶液(濃度5重量%)とを、ポリマー重量比でPVA:PSSNa=90:10となるように混合し、全体が均一になるまで混合液を攪拌し、前駆体膜を作製するためのキャスト溶液とした。
【0060】
次に、上記のように得たキャスト溶液を、表面がテフロン(登録商標)加工された平坦な基板上にキャスト厚1500μmで塗布し、塗布膜を室温で2日間乾燥させた後、さらに60℃で2時間乾燥させて前駆体膜を得た。
【0061】
次に、得られた前駆体膜を熱処理(120℃、30分)した後、熱処理後の膜を濃度10重量%のグルタルアルデヒド溶液(溶媒はアセトン、濃度0.1重量%の硫酸を含む)に室温で8時間浸漬して、架橋処理した。次に、架橋処理後の膜をイオン交換水により洗浄してグルタルアルデヒド溶液を除去した後、濃度0.5モル/Lの硫酸水溶液中に室温で12時間浸漬して、膜中のPSSNaをプロトン型であるポリスチレンスルホン酸(PSS)とした。最後に、硫酸水溶液に浸漬した後の膜をイオン交換水で洗浄して硫酸を除去した後、室温で12時間真空乾燥して、架橋PVAを基材とし、水溶性高分子電解質としてPSSを含む電解質膜を得た。
【0062】
(実施例2)
PVAの水溶液とPSSNaの水溶液とを、ポリマー重量比でPVA:PSSNa=80:20となるように混合した以外は実施例1と同様にして、架橋PVAを基材とし、水溶性高分子電解質としてPSSを含む電解質膜を得た。
【0063】
(実施例3)
PVAの水溶液とPSSNaの水溶液とを、ポリマー重量比でPVA:PSSNa=70:30となるように混合した以外は実施例1と同様にして、架橋PVAを基材とし、水溶性高分子電解質としてPSSを含む電解質膜を得た。
【0064】
(比較例1)
実施例1と同様にして得た前駆体膜を熱処理(120℃、30分)した後、熱処理後の膜を濃度0.5モル/Lの硫酸水溶液中に室温で12時間浸漬して、膜中のPSSNaをプロトン型であるPSSとした。次に、硫酸水溶液に浸漬した後の膜をイオン交換水で洗浄して硫酸を除去した後、室温で12時間真空乾燥して、PVAを基材とし、水溶性高分子電解質としてPSSを含む電解質膜を得た。
【0065】
(比較例2)
PVAの水溶液とPSSNaの水溶液とを、ポリマー重量比でPVA:PSSNa=80:20となるように混合した以外は比較例1と同様にして、PVAを基材とし、水溶性高分子電解質としてPSSを含む電解質膜を得た。
【0066】
(比較例3)
PVAの水溶液とPSSNaの水溶液とを、ポリマー重量比でPVA:PSSNa=70:30となるように混合した以外は比較例1と同様にして、PVAを基材とし、水溶性高分子電解質としてPSSを含む電解質膜を得た。
【0067】
(比較例4)
PVA(重合度3500)の水溶液(濃度5重量%)と、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa、重量平均分子量1000000)の水溶液(濃度5重量%)と、PEG(重量平均分子量400)の水溶液(濃度7.5重量%)とを、ポリマー重量比でPVA:PSSNa:PEG=40:40:20となるように混合し、全体が均一になるまで混合液を攪拌し、前駆体膜を作製するためのキャスト溶液とした。
【0068】
次に、上記のように得たキャスト溶液を、表面がテフロン(登録商標)加工された平坦な基板上にキャスト厚1500μmで塗布し、塗布膜を室温で2日間乾燥させた後、さらに60℃で2時間乾燥させて前駆体膜を得た。
【0069】
次に、得られた前駆体膜を熱処理(120℃、30分)した後、熱処理後の膜を濃度10重量%のグルタルアルデヒド溶液(溶媒はアセトン、濃度0.1重量%の硫酸を含む)に室温で8時間浸漬して、架橋処理した。次に、架橋処理後の膜をイオン交換水により洗浄してグルタルアルデヒド溶液を除去した後、濃度0.5モル/Lの硫酸水溶液中に室温で12時間浸漬して、膜中のPSSNaをプロトン型であるPSSとした。最後に、硫酸水溶液に浸漬した後の膜をイオン交換水で洗浄して硫酸を除去した後、室温で12時間真空乾燥して、PVAを基材とし、水溶性高分子電解質としてPSSを含む電解質膜を得た。
【0070】
(比較例5)
比較例4と同様にして得た前駆体膜を、濃度10重量%のグルタルアルデヒド溶液(溶媒はアセトン、濃度0.01重量%の硫酸を含む)に室温で8時間浸漬して、熱処理を行うことなく架橋処理した。次に、架橋処理後の膜をイオン交換水により洗浄してグルタルアルデヒド溶液を除去した後、濃度0.5モル/Lの硫酸水溶液中に室温で12時間浸漬して、膜中のPSSNaをプロトン型であるPSSとした。最後に、硫酸水溶液に浸漬した後の膜をイオン交換水で洗浄して硫酸を除去した後、室温で12時間真空乾燥して、PVAを基材とし、水溶性高分子電解質としてPSSを含む電解質膜を得た。
【0071】
実施例1〜3、比較例1〜5に対してイオン交換容量、プロトン伝導度およびメタノール透過率を評価した結果を以下の表1に示す。また、表1には、パーフルオロカーボンスルホン酸であるナフィオン115(デュポン社製)からなる電解質膜(形状は、実施例および比較例の各電解質膜と同一)に対して、実施例および比較例の各サンプルと同様に上記各特性を評価した結果を併せて示す。
【0072】
なお、表1では、比較例1〜5についてメタノール透過率が未測定であるが、比較例1〜5は、メタノール水溶液に対する膨潤度が非架橋のPVA単体膜と同程度であったため、PVA単体膜と同様の非常に大きいメタノール透過率を有すると考えられる。
【0073】
【表1】

【0074】
表1に示すように、実施例1〜3は、比較例1〜5に比べて大きなイオン交換容量を有し、高いプロトン伝導度を示した。特に、実施例3は、ナフィオン115からなる電解質膜と同等の高いプロトン伝導度を示した。
【0075】
また、実施例1〜3では、非架橋のPVA単体膜と同様の非常に大きなメタノール透過率を示すと考えられる比較例1〜5に比べて、メタノール遮断特性が改善した。特に、実施例2、3は、ナフィオン115からなる電解質膜と比べても、さらに優れるメタノール遮断特性を示した。
【0076】
(比較例6)
前駆体膜に対して熱処理および架橋処理を実施する順序を入れ替えた以外は実施例1と同様にして、電解質膜を作製した。
【0077】
作製した電解質膜に対して、そのイオン交換容量、プロトン伝導度およびメタノール透過率を評価しようとしたが、得られた膜の強度が著しく低く、評価を実施することができなかった。架橋処理の際に形成された架橋点によってPVAの結晶化が阻害されたため、PVAの耐水性の向上が十分になされなかったことが原因と考えられる。また、PVAと水溶性高分子電解質とがマクロ相分離しており、この相分離による膜構造の不均一性の増大も、得られた膜の強度が著しく低くなった原因と考えられる。
【0078】
(比較例7)
前駆耐膜に対して熱処理を実施しなかった以外は実施例1と同様にして、電解質膜を作製した。
【0079】
作製した電解質膜に対して、そのイオン交換容量、プロトン伝導度およびメタノール透過率を評価しようとしたが、得られた膜の強度が著しく低く、評価を実施することができなかった。
【0080】
(実施例4)
実施例1の電解質膜を用いて燃料電池を作製し、その発電特性を評価した。
【0081】
実施例1の電解質膜(厚さ60μm)を45mm×45mmのサイズに切り出し、温度70℃、相対湿度100%の雰囲気下に、当該雰囲気と平衡状態になるまで放置した。次に、放置後の電解質膜を、矩形状の窓部(23mm×23mm)を有する一対のガスケット(圧力の印加による厚さの変化量が少ない材料であるPTFEからなり、形状は互いに同一)により狭持した後、一方の窓部にアノード電極を、他方の窓部にカソード電極を、各電極が電解質膜に接するように嵌め込んだ。両電極には、カーボンペーパー(東レ製、TGP−H−060)上に、白金担持触媒(田中貴金属製、アノードがTEC66E50、カソードがTEC10E50E、白金担持量はどちらも4.0mg/cm2)とパーフルオロカーボンスルホン酸(デュポン製、ナフィオンDE−520)との混合物からなる触媒層が形成されたガス拡散電極を用いた。次に、電解質膜、電極、ガスケットの積層体を、燃料または酸化剤の流路となる溝が表面に形成された一対のカーボンセパレータにより狭持し、ボルトにより各部材の積層方向に圧力を印加して、発電特性の評価用セルとした。セル面積は、ガスケットの窓部の面積と同じ5.3cm2である。なお、積層体をカーボンセパレータにより狭持する際には、セパレータの溝が電極と接するようにした。また、印加する圧力は、セパレータとガスケットとの間から燃料が漏れ出ない程度とした。
【0082】
このように作製した評価用セルに対し、燃料と酸化剤とを供給し、そのI−V特性(電流−電圧特性)を公知の手法により評価した。評価結果を図3に示す。なお、I−V特性の評価条件は以下のとおりである。セル温:70℃。燃料:純水素、露点70℃、流量100mL/分。酸化剤:空気、露点70℃、流量250mL/分。
【0083】
図3に示すように、上記作製した評価セルでは、開回路電圧(OCV)が978mV、最大出力密度WMAXが256.5mW/cm2(電流密度が427mA/cm2のとき)を実現できた。
【0084】
これとは別に上記作製した評価用セルに対し、燃料としてメタノール水溶液を供給し、そのI−V特性を評価した。評価結果を図4に示す。なお、I−V特性の評価条件は以下のとおりである。セル温:70℃。燃料:メタノール水溶液(濃度1モル/L)、流量1.5mL/分。酸化剤:乾燥空気、流量250mL/分。
【0085】
図4に示すように、燃料にメタノール水溶液を供給した場合、OCVが753mV、最大出力密度WMAXが55.0mW/cm2(電流密度が183mA/cm2のとき)を実現できた。
【0086】
なお、Qiaoらの論文(Jinli Qiao et al., "Life test of DMFC using poly(ethylene glycol)bis(carboxymethyl)ether plasticized PVA/PAMPS proton-conducting semi-IPNs", Electrochemistry Communications, Vol. 9, Issue 8, August 2007, pp.1945-1950)によれば、電解質膜と電極との間にプロトン伝導性アイオノマーからなる接着層を配置したときに最大出力密度51mW/cm2が得られている(燃料はメタノール水溶液である)。セルの構成および発電条件が異なるために純粋な対比はできないが、実施例1の電解質膜では、発電特性を向上させる作用を有するこのような接着層なしに、上記論文に開示の電解質膜と同等以上の発電特性が得られることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の方法により製造された電解質膜は、PEFC(特にメタノールを含む溶液を燃料とするDMFC)に好適に用いることができ、PEFCの発電効率を向上できる他、PVAを電解質膜の基材とすることにより、低コストのPEFCの実現も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の膜−電極接合体の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の燃料電池の一例を示す模式図である。
【図3】実施例において作製した燃料電池の発電特性(燃料が水素)を示す図である。
【図4】実施例において作製した燃料電池の発電特性(燃料がメタノール水溶液)を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 膜−電極接合体(MEA)
2 高分子電解質膜(PEM)
3 アノード電極
4 カソード電極
5 アノードセパレータ
6 カソードセパレータ
11 高分子電解質型燃料電池(PEFC)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール(PVA)と、プロトン伝導基を有する水溶性高分子電解質とを含み、前記PVAと前記水溶性高分子電解質とを除く水溶性ポリマーの含有量が、前記PVAに対する重量比にして0.1未満である前駆体膜を熱処理して、前記PVAの結晶化を進め、
前記PVAと反応する架橋剤により前記熱処理した前駆体膜を化学的に架橋することにより、架橋PVAを基材とし、前記基材に保持された前記電解質を介してプロトンが伝導される高分子電解質膜を形成する、プロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。
【請求項2】
前記プロトン伝導基が、スルホン酸基またはリン酸基である請求項1に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。
【請求項3】
前記水溶性高分子電解質が、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、およびスルホン化ポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。
【請求項4】
前記前駆体膜における前記水溶性高分子電解質の含有量が、前記PVAに対する重量比にして0.05〜1である請求項1に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得たプロトン伝導性高分子電解質膜。
【請求項6】
架橋したポリビニルアルコール(PVA)からなる基材と、前記基材に保持された、プロトン伝導性を有する水溶性高分子電解質とを含み、
前記PVAと前記水溶性高分子電解質とを除く水溶性ポリマーの含有量が、前記PVAに対する重量比にして0.1未満であるプロトン伝導性高分子電解質膜。
【請求項7】
高分子電解質膜と、前記電解質膜を狭持するように配置された一対の電極とを備え、
前記電解質膜が、請求項5または6に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜である膜−電極接合体。
【請求項8】
高分子電解質膜と、
前記電解質膜を狭持するように配置された一対の電極と、
前記一対の電極を狭持するように配置された一対のセパレータと、を備え、
前記電解質膜が、請求項5または6に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜である高分子電解質型燃料電池。
【請求項9】
ダイレクトメタノール型である請求項8に記載の高分子電解質型燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−252721(P2009−252721A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103304(P2008−103304)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】