説明

プロピレン−オレフィン−コポリマーワックス及びカーボンナノチューブを含む組成物

本発明は、ある種のプロピレン−オレフィン−コポリマーワックス、及びカーボンナノチューブ(CNTs)を含んでなり、マスターバッチ、化合物、又は導電性ポリマーの形態の組成物、及び導電性ポリマー及び導電性ポリマー製の物品を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある種のプロピレン−オレフィン−コポリマーワックス、及びカーボンナノチューブ(CNT)を含む組成物であって、マスターバッチ、配合物(compound)、又は導電性ポリマーの形態にある該組成物、及び導電性ポリマー及び導電性ポリマー製の物品を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック業界では、化合物又はマスターバッチの形態で添加剤を使用するのが慣習的である。
【0003】
本発明の目的のために、マスターバッチは、キャリアーポリマー及び添加剤を含む組成物であって、該添加剤が、最終用途における場合よりも高濃度でマスターバッチ中に存在し、そしてそのキャリアーポリマーは、最終用途のポリマーでない場合がしばしばである。マスターバッチ中の上記の添加剤の好ましい濃度は、マスターバッチの全重量に基づいて0.1〜90重量%、特に、1〜80重量%である。
【0004】
本発明の目的のために、化合物は、ポリマー及び添加剤を含む組成物であり、該添加剤は、所望の最終濃度で最終用途又は最終物品における化合物中に存在し、そして該ポリマーは、最終用途又は最終物品の所望のポリマーであって、そのため、該化合物は、物理的な成形プロセスによって、単に最終用途又は最終物品の所望の形状にされる。
【0005】
導電性化合物及び導電性化合物製の最終製品は、本発明の目的のために、10−6オーム〜1011オーム、好ましくは10−5オーム〜1011オーム、特に0.1オーム〜10オームの電気表面抵抗によって特徴付けられる。
【0006】
電気表面抵抗は、DIN EN 61340−5−1に従って定義されており、そしていずれの場合にもDIN EN 61340−2−3に従って測定され、テストされる試料は、少なくとも80mm×120mmの寸法又は少なくとも110mmの径を示す。
【0007】
テストする試料が少なくとも80mm×120mmの寸法でもなく、かつ少なくとも110mmの径を示さないような場合、電気表面抵抗は、IEC 93に従って、60mm×40mmの寸法の平坦な試料でもって、矩形の電極寸法、a=40mm、b=3mm、及びg=10mmで試料の表面上に導電性の銀塗料を直接ペイントする。
【0008】
CNTを添加剤として含み、そして導電性ポリオレフィンを製造するのに使用されるマスターバッチ及び/又は化合物は、要求される次の要件を満たさなくてはならない:すなわち、組成物は、良好な加工性を付与するために非常に低い粘度を有するべきであり、組成物は、高い充填量、すなわち、CNTの高い濃度を有するべきであり、そして、組成物は、最終物品において所望の導電性を設定可能であるべきである。更なる要件とは:マスターバッチの場合における高い熱伝導性、最終用途又は最終物品のポリマーとの良好な混和性及び相溶性、更にマスターバッチ及び/又は化合物中への良好なCNTの分散性、最終物品の機械特性及び熱特性、特に衝撃強度、引張り強度、又は熱変形抵抗に対する非常に小さい悪影響。
【0009】
導電性ポリオレフィンは、爆発の危険性が高い区域、領域、又は用途で使用される物品を製造するのに使用され、これらは、本発明の目的を簡略にするために、爆発保護に使用される物品として要約される。
【0010】
更に、導電性ポリオレフィンだけが、静電粉体塗装によって着色できる。この使用分野は、本発明の目的のために、静電粉体塗装と呼ばれる。
【0011】
更に、導電性ポリオレフィンは、静電的な荷電が使用される場合にほとんど表示しない包装物を製造するのに使用され、そして例えば電子部品のパッケージングで使用される。
【0012】
導電性ポリオレフィンは、燃料電池におけるバイポーラプレートとしても使用される。
【0013】
ポリエチレン(PE)及びカーボンナノチューブ(CNT)を含む化合物は、“Polyethylene multiwalled carbon nanotube composites”, Polymer 46 (2005), 8222 ff(非特許文献1)から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許出願公開第321852A1号
【特許文献2】欧州特許出願公開第384264A1号
【特許文献3】国際公開第2006/050903A号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】“Polyethylene multiwalled carbon nanotube composites”, Polymer 46 (2005), 8222 ff
【非特許文献2】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A 28, Weinheim 1996, S. 151−152
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
公知の組成物は、上述したように今日の産業の要求を全て満たしていない。現在の要求、そして特に要求される粘度及び充填量を満たし、それによって要求されるポリオレフィンの導電性を設定できる、CNTを含むマスターバッチが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くべきことに、ある種のプロピレン−オレフィン−コポリマーワックス及びCNTを含むマスターバッチは、向上された特性を示す。
【0018】
本発明の対象は、成分A及び成分Bを含む組成物Zであり、
その成分Aが、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスであり、そして
成分BがCNTであり、
上記のプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、モノマーのプロピレンと、次式(II)で表される化合物の少なくとも一つの0.1〜50重量%とから製造される。ここで重量%は、モノマーの全重量に基づいている。
【0019】
【化1】

【0020】
(式中、Rは、H及び非分岐状又は分岐状のC2−18アルキルからなる群から選択される。)
【0021】
好ましくは、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、プロピレンと、式(II)で表される化合物の少なくとも一つ、好ましくは、1つ、2つ、又は3つ、より好ましくは1つを、いずれの場合もモノマーの全重量(100%)に基づいて、0.1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量%、さらにもっと好ましくは2〜30重量%、特に、2〜20重量%とから製造される。
【0022】
好ましくは、RはHであり、すなわち、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、プロピレン−エチレン−コポリマーワックスである。
【0023】
従って、モノマーのプロピレンと、式(II)の化合物との組み合わされた量は、合計で100重量%までであり、重量%とは、いずれの場合もモノマーの全重量(100%)に基づいている。
【0024】
組成物Zは、好ましくはマスターバッチMB、又は導電性ポリマーCPであり、導電性ポリマーCPは、好ましくは導電性有機ポリマーである。
【0025】
本発明の目的のために、導電性ポリマーCPは、導電性ポリマーCPから製造された圧縮成形プレートに対して測定された、好ましくは、130以下、特に好ましくは120以下の充填量−比表面抵抗(loading−specific surface resistance、LSSR)の下限を有し;それぞれの場合における好ましい上限は、好ましくは15,000、特に好ましくは10,000、特に1,000、とりわけ、100、就中10である。
【0026】
さらに、本発明の目的のために、導電性ポリマーCPは、導電性ポリマーCPから製造されたフラットフィルムに対して測定された、530以下、特に好ましくは400以下、特に300以下、とりわけ250以下のLSSRの下限を好ましく有し;それぞれの場合における好ましい上限は、好ましくは15,000、特に好ましくは10,000、特に1,000、とりわけ、100、就中10である。
【0027】
上記のLSSRは、表面抵抗の絶対値の底を10とする対数を乗ずることによって計算され、重量%で表されるCNTによる導電性ポリマーCPの対数の絶対値の二乗によりオームで測定され、重量%は、導電性ポリマーCPの全重量に基づく。従って、例えば、加圧(圧縮成形)プレートの全重量に基づいてCNT充填量3重量%を有し、かつ1.0*1015オームの表面抵抗を有する加圧(圧縮成形)プレートは、LSSR135である。
【0028】
好ましくは、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、特に、それらがメタロセン触媒作用によって合成された場合に、より狭いモル質量分布によって特徴付けられる。モル質量分布は、重量平均モル質量(Mw値[g/mol])及び数平均モル質量(Mn値[g/mol])によって特徴付けられる。
【0029】
好ましくは、Mnは500〜50,000g/mol、より好ましくは1,000〜35,000g/mol、さらにより好ましくは1,100〜25,000g/molである。
【0030】
好ましくは、Mwは、1,000〜140,000g/mol、より好ましくは1,900〜100,000g/mol、さらにより好ましくは2,100〜70,000g/molである。
【0031】
好ましくは、以下でMw/Mnと言うMwをMnで割った値、は、1.0〜3.0、より好ましくは1.5〜2.9、さらにより好ましくは、1.7〜2.8;とりわけ2.1〜2.7;就中2.2〜2.5であり;従来の非メタロセン触媒作用ワックスの場合、Mw/Mn値は、少なくとも3.1であり、そして7又は8まで上昇する場合がある。
【0032】
プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスの製造に使用できる可能な触媒は、好ましくはチーグラー−ナッタ触媒及び例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A 28, Weinheim 1996, S. 151−152(非特許文献2)中で言及されているようなメタロセン触媒である。
【0033】
プロピレン−オレフィン−コポリマーワックス、好ましくはプロピレン−エチレン−コポリマーワックスは、適当な高分子量プロピレン−オレフィン−コポリマー、好ましくはプロピレン−エチレン−コポリマーの熱分解によっても製造できる。
【0034】
好ましくは、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、触媒としてのメタロセンの存在下で製造されたワックスである。メタロセン触媒の特別な性能が、選択的な、そして完全に新しい特性プロフィルを有するプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスの合成に使用される。メタロセン触媒の使用によって、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスの融点、粘度、及び分子量の特別な組み合わせが得られる。
【0035】
プロピレン−オレフィン−コポリマーワックス、好ましくはメタロセンプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、好ましくは、その大部分又は完全にアモルファスであり、そして必要に応じて、追加的に、それが極性になるように改質することができる。本発明の目的のために、大部分とは、80重量%超、好ましくは90重量%超、特に95重量%超、就中99重量%超を意味し、それぞれの場合の重量%はワックスの全重量に基づいている。
【0036】
メタロセンプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、次式(I)で表されるメタロセン化合物を用いて調製される。
【0037】
【化2】

【0038】
式(I)は、次式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物を包含する。
【0039】
【化3】

【0040】
【化4】

【0041】
【化5】

【0042】
上記の式(I)、(Ia)及び(Ib)において、Mは、周期表第IVb族、第Vb族又は第VIb族の金属であり、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、特に好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0043】
及びRは、同一又は異なって、それぞれ、互いに独立して、水素原子、C−C10−、好ましくは、C−C−アルキル基、特に、メチル、C−C10−、好ましくはC−C−アルコキシ基、C−C10−、好ましくはC−C−アリール基、C−C10−、好ましくはC−C−アリールオキシ基、C−C10−、好ましくはC−C−アルケニル基、C−C40−、好ましくはC−C10−アリールアルキル基、C−C40−、好ましくはC−C12−アルキルアリール基、C−C40−、好ましくはC−C12−アリールアルケニル基、又はハロゲン原子、好ましくは塩素原子である。
【0044】
及びRは、同一又は異なって、それぞれ、互いに独立して、中央の原子Mと一緒にサンドイッチ構造を形成できる、単環式、又は多環式炭化水素基である。R及びRは、好ましくは、シクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、ベンズインデニル、又はフルオレニルであり、それらの基本骨格は追加的な置換基を有するか、又は互いに架橋することができるものである。さらに、基R及びRの一方は、R24がR17の意味のうちの一つを有し、そして好ましくはメチル、tert−ブチル又はシクロヘキシルである場合に、窒素原子で置換されることができる。
【0045】
、R、R、R、R及びR10は、同一又は異なって、それぞれ、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子、C−C10−、好ましくはC−C−アルキル基、C−C10−、好ましくはC−C−アリール基、C−C10−、好ましくはC−C−アルコキシ基、−NR16、−SR16、−OSiR16、−SiR16又は−PR16基(式中、R16は、C−C10−、好ましくはC−C−アルキル基又はC−C10−、好ましくはC−C−アリール基である。)、又は、Si−又はP−含有基の場合には、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子であることもでき、あるいは、二つの隣接する基R、R、R、R、R又はR10は、それらを結合する炭素原子と一緒に環を形成する。特に好ましい配位子は、基本骨格のシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、ベンズインデニル又はフルオレニルの置換化合物である。
【0046】
13は、次である。
【化6】

【0047】
=BR17、=AlR17、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NR17、=CO、=PR17又は=P(O)R17(式中、R17、R18及びR19は、同一又は異なっていて、それぞれ、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、C−C30−、好ましくはC−C−アルキル基、特にメチル基、C−C10−フルオロアルキル基、好ましくはCF基、C−C10−フルオロアリール基、好ましくはペンタフルオロフェニル基、C−C10−、好ましくはC−C−アリール基、C−C10−、好ましくはC−C−アルコキシ基、特にメトキシ基、C−C10−、好ましくはC−C−アルケニル基、C−C40−、好ましくはC−C10−アラルキル基、C−C40−、好ましくはC−C12−アリールアルケニル基、又はC−C40−、好ましくはC−C12−アルキルアリール基である。)か、又は、R17及びR18又はR17及びR19は、それらを結合する原子と一緒に環を形成する。)
【0048】
は、ケイ素、ゲルマニウム、又はスズであり、好ましくはケイ素又はゲルマニウムである。
【0049】
13は、好ましくは、=CR1718、=SiR1718、=GeR1718、−O−、−S−、=SO、=PR17又は=P(O)R17である。
【0050】
11及びR12は、同一又は異なっていて、そして独立してR17の意味のうちの一つを有する。
【0051】
m及びnは、同一又は異なっていて、それぞれ、0.1又は2、好ましくは0又は1であり、mプラスnは0、1又は2、好ましくは0又は1である。
【0052】
14及びR15は、同一又は異なっていて、そして独立してR17及びR18の意味のうちの一つを有する。
【0053】
好ましいメタロセンは:
− ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(1−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(2−メチル−4,6−ジ−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(5−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(アルキルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(アルキルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(オクタデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビスシクロペンタジエニルジベンジルジルコニウム、
− ビスシクロペンタジエニルジメチルジルコニウム、
− ビステトラヒドロインデニルジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリル−9−フルオレニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチルテトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−インデニルジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−インデニルジメチルジルコニウム、
− ジメチルシリルビス−1−テトラヒドロインデニルジルコニウムジクロリド、
− ジフェニルメチレン−9−フルオレニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、
− ジフェニルシリルビス−1−インデニルジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−(2−メチルテトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−インデニルジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−テトラヒドロインデニルジルコニウムジクロリド、
− インデニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、
− イソプロピリデン(1−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− イソプロピリデン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− フェニルメチルシリルビス−1−(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
及び、これらメタロセンジクロリドのアルキル又はアリール誘導体でもある。
【0054】
シングルサイト触媒系を活性化するために、適当な共触媒が使用される。上記の式(I)のメタロセンに適した共触媒は、オルガノアルミニウム化合物、特に、アルミノキサン、又はアルミニウム不含系、例えば、R20NH4−xBR21、R20PH4−xBR21、R20CBR21又はBR21である。これらの式中、xは1〜4であり、基R20は、同一又は異なっていて、好ましくは同一で、そしてそれぞれ、互いに独立して、C−C10−アルキル又はC−C18−アリールであるか、又は、二つの基R20は、それらを結合する原子と一緒に環を形成し、そして基R21は、同一又は異なっていて、好ましくは同一であって、それぞれ、互いに独立して、アルキル、ハロアルキル、又はフッ素で置換できるC−C18−アリールである。特に、R20は、エチル、プロピル、ブチル又はフェニルであり、R21は、フェニル、ペンタフルオロフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル、メシチル、キシリル又はトリルである。
【0055】
さらに、極性触媒の毒性に対する保護を維持するために、第三の成分が必要とされる場合が多い。オルガノアルミニウム化合物、例えば、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなど、及びそれら化合物の混合物もまた、この目的に適している。
【0056】
プロセスに依存して、支持されたシングルサイト触媒も使用することができる。支持材料及び共触媒の残存含有量が、生成物中の濃度100ppmを超えない触媒系が好ましい。
【0057】
メタロセンプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは公知の物質であり、それらは、欧州特許出願公開第321852A1号(特許文献1)又は欧州特許出願公開第384264A1号(特許文献2)に従って調製できる。好ましいメタロセンプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、プロピレン−エチレン−コポリマーワックスであり、そしてメタロセン触媒、ジメチルシリルビスインデニルジルコニウムジクロリドを用いて、欧州特許出願公開第384264A1号(特許文献2)中で報告されている方法、特に、例1〜16における方法と同様にしてプロピレンをエチレンと共重合することによって調製される。
【0058】
プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、微粒子状態、好ましくは噴霧又は粉砕などによる顆粒形態で使用される。
【0059】
さらに好ましくは、グラフト化プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスである。好ましいグラフト化プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、0.5〜10重量%の無水マレイン酸で変性されたプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスであり、ここで重量%とは、出発材料であるプロピレン−オレフィン−コポリマーワックス及び無水マレイン酸の重量の合計に基づく。
【0060】
好ましくは、成分Aは、1つ、2つ、3つ又は4つの、より好ましくは1つ又は2つの、さらにより好ましくは1つのプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスを含む。
【0061】
好ましいCNTは、単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)又は多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)であり、MWCNTsが好ましい。
【0062】
別途指示しない限り、質量−比表面積は、ASTM D3037に従い、ブルナウアー−エメット−テラー(BET)吸着測定によって、窒素を用いて測定され、この表面積を、以降、BET表面積と呼ぶ。
【0063】
好ましいCNTは、50〜1,000m/g、特に好ましくは200〜600m/g、特に250〜560m/gのBET表面積を有する。
【0064】
2〜50個の炭素層、特に3〜15個の炭素層に構成された層(wall)構造を有するMWCNTが好ましい。
【0065】
好ましいMWCNTは、1〜500nm、特に好ましくは2〜100nm、特に3〜60nm、就中3〜20nmの平均外径(数分布の中央値として定義)を有する。
【0066】
異なる製造方法又は異なる触媒粒子という点で、異なるCNTを製造するための様々な技術及び方法がある。そのため、とりわけ、CNT中における触媒の残存含有量が異なるという結果をもたらす。
【0067】
好ましくは、残存触媒含有量20重量%以下、特に好ましくは8重量%以下、特に5重量%以下、就中3重量%以下を有するCNTが与えられ、ここでそれぞれの場合の重量%とは、CNTの全重量に基づいている。
【0068】
好ましいCNTは、国際公開第2006/050903A号(特許文献3)に開示されているようなCNTであり、その文献に開示されている方法で得ることができる。従って、その文献の開示、特に、カーボンナノチューブの開示された製造方法、及びこの方法で得られるカーボンナノチューブの技術的特徴が記載された請求項1〜10は、その点で、参照により本明細書に明確に組み入れられる。
【0069】
特に好ましく与えられるのは、Mn、Co及び支持材料を含み、金属形態における活性成分の全含有量に基づいてCo及びMnが2〜98モル%の量で存在し、任意に、追加的にMoを含有する不均一触媒による、気体の炭化水素の分解によって得られるCNTであり、特に好ましくは、主要径3nm〜150nmを有し、この触媒を用いて製造されたカーボンナノチューブであり、ここで、脂肪族及びオレフィンのような軽質炭化水素が、個別又は混合状態でも、出発材料として好ましく利用され、そして、この方法は、触媒の導入及び消耗された触媒によって形成されたカーボンナノチューブの排出に基づいて、連続的に又はバッチ方式で好ましく遂行され、そして触媒は、好ましくは、主要な触媒活性成分が酸化物として存在し、部分的に又は完全に還元されるか、又は水酸化物として存在する反応空間中に導入される。この方法の更なる詳細については、国際公開第2006/050903A号(特許文献3)の記載中に見出すことができる。驚くべきことに、特に、このようにして製造されたこれらのカーボンナノチューブにより、低粘度及び同時に高充填量を有する組成物Zを製造することが可能となって、ポリオレフィンにおいて所望の導電性が設定でき、そして、ポリオレフィンの表面抵抗は低い。
【0070】
ポリオレフィン又はエチレン−酢酸ビニルコポリマーで被覆されたCNTを使用するのが好ましい。この被覆は、その場の重合によって好ましく供される。特に好ましくは、ポリエチレン及びポリプロピレン、特にポリエチレンで被覆されたMWCNTである。
【0071】
好ましくは、CNTは、それらの表面が変性又は活性化によってより容易に分散されたものである。特に好ましいCNTの表面処理は、プラズマ放射又はγ放射を用いたものであり、特に好ましくは、プラズマ処理されたMWCNTである。
【0072】
CNTは、好ましくは、Mitsui社、Arkema社、Nanocyl社、Thomas Swan & Co Ltd.社、CNI社といった会社から入手でき、特にBayer Material Science AG社から入手できる。
【0073】
成分Bとしては、1つ超の、好ましくは1つ、2つ、又は3つの、より好ましくは1つ又は2つの、就中1つのCNTを使用できる。
【0074】
好ましくは、組成物Zは次を含む。
0.05〜99.95重量%の成分A、
0.05〜99.95重量%の成分B;
【0075】
さらに好ましくは、組成物Zは次を含む。
0.1〜99.9重量%の成分A、
0.1〜99.9重量%の成分B;
【0076】
さらにより好ましくは、組成物Zは次を含む。
1〜99重量%の成分A、
1〜99重量%の成分B;
ここで、上記のいずれの場合も、重量%は組成物の全重量に基づいている。
【0077】
組成物Zは更なる物質を含んでいてもよい。
【0078】
更なる物質は、導電性のカーボンブラック及びグラファイトからなる群から好ましく選択される。
【0079】
好ましい導電性カーボンブラックは、ASTM D2414に従って測定された油吸収数(oil absorption number (OAN))、100〜500ml/100g、特に好ましくは150〜400ml/100g、特に、170〜350ml/100gを有する。
【0080】
好ましい導電性カーボンブラックは、30〜2,000m/g、特に好ましくは50〜1,500m/g、特に60〜1,250m/gのBET表面積を有する。
【0081】
導電性カーボンブラックは、会社Cabot、Phelps Dodge、Timcal、Degussa及びAkzoから好ましく入手できる。
【0082】
好ましいグラファイトは、DIN 53601に従って測定されたジブチルフタレート(DBP)の油吸収、DBP/100gの30〜300g、特に好ましくはDBP/100gの40〜170g、特にDBP/100gの50〜150gを有する。
【0083】
好ましいグラファイトは、0.1〜50m/g、特に好ましくは1〜40m/g、特に1.5〜30m/gのBET表面積を有する。
【0084】
天然に産するグラファイト及び合成で製造されたグラフライトの両方を使用することが可能である。
【0085】
グラファイトは、会社Timcal、SGL Carbon又はNationale de Graphiteから好ましく入手できる。
【0086】
CNTと導電性カーボンブラックとの重量比は、好ましくは、1:98〜98:1、特に好ましくは1:19〜19:1、特に1:9〜1:1である。
【0087】
CNTとグラファイトとの重量比は、好ましくは、1:98〜98:1、特に好ましくは1:90〜90:1、特に1:85〜1:1である。
【0088】
好ましくは、組成物Zは、グラファイトを50〜90重量%、より好ましくは60〜85重量%、さらにより好ましくは65〜80重量%を含み、ここでそれぞれの場合の重量%は、全組成物Zの重量に基づいている。
【0089】
CNT、カーボンブラック及びグラファイトが使用されるとき、導電性のカーボンブラックとグラファイトとの重量比は、好ましくは、1:99〜99:1、特に好ましくは1:40〜40:1、特に1:20〜1:1である。
【0090】
特に好ましくは、組成物Zは、CNT及びグラファイトの両方を含む。
【0091】
特に好ましくは、組成物Zは、CNTだけを含み、グラファイト及びカーボンブラックは含まない。
【0092】
組成物Zにおける成分Aと成分Bとの重量比は、好ましくは、1:99〜99:1、特に好ましくは1:90〜90:1、特に1:85〜85:1である。
【0093】
組成物Zが、グラファイト並びにカーボンブラックのいずれも含まないとき、組成物Zにおける成分Aと成分Bとの重量比は、好ましくは、1:1〜1:50、特に好ましくは1:1〜1:40、特に1:1〜1:35である。
【0094】
組成物Zが、CNTsに加えて、グラファイト及び/又はカーボンブラックを含むとき、組成物Zにおける成分Aと成分Bとの重量比は、好ましくは、1:1〜1:99、特に好ましくは1:1〜1:90、特に1:1〜1:85である。
【0095】
組成物Zは、更なる物質として成分Cを好ましく含み、該成分Cは、1つ又はより多くの、好ましくは1つ、2つ又は3つ、より好ましくは1つの分散剤である。好ましい分散剤は、C10−30アルコール、特にC10−30アルコールの極性の酸エステルである、アルキルスルホネート、ネオアルコキシチタネート、ネオアルコキシジルコネート、モノアルコキシチタネート又はモノアルコキシジルコネートである。さらに好ましくは、成分Cは、アルキルスルホン酸ナトリウム、さらにより好ましくは、C1018−アルキルスルホン酸ナトリウムである。
【0096】
成分Cは、CNTの向上された分散性を付与する。
【0097】
組成物Zは、更なる物質として成分Dを好ましく含み、該成分Dは、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックス以外の、少なくとも1つ、好ましくは1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ、より好ましくは1つ又は2つ、さらにより好ましくは1つの極性又は非極性のワックスである。
【0098】
好ましくは、成分Dは、ポリエチレンワックス、プロピレンホモポリマーワックス、C4−101−オレフィンのホモポリマー、及びエチレンとC4−101−オレフィンとのコポリマーからなる群から選択される。
【0099】
さらに好ましくは、成分Dは、ポリエチレンワックス又はプロピレンホモポリマーワックスである。
【0100】
さらに好ましくは、成分Dは、高圧重合によって、又はチーグラー−ナッタ触媒を用いて、又はメタロセン触媒を用いて作製されたポリエチレンワックス、及びチーグラー−ナッタ触媒又はメタロセン触媒によって作製されたプロピレンホモポリマーワックスからなる群から選択され、さらにより好ましくは、これらの種類のワックスは、100℃超、より好ましくは110〜170℃、さらにより好ましくは115〜166℃の滴点又は軟化点を有する。
【0101】
成分Dのこれらワックスは、酸化されるか又はグラフト化されることもできる。好ましくは、5〜30mgKOH/gの酸価を有する、酸化されたポリエチレンワックスが好ましい。好ましくは、グラフト化は、0.5〜10重量%の無水マレイン酸によって行われ、ここで重量%は、使用される出発材料の全重量に基づき、より好ましくは、そのグラフト化は、メタロセンポリエチレンワックス又はメタロセンプロピレンホモポリマーワックスに対して行われる。
【0102】
好ましくは、成分Dとしてメタロセンポリオレフィンワックスの場合、Mnは500〜50,000g/mol、より好ましくは1,000〜35,000g/mol、さらにより好ましくは1,100〜25,000g/molである。
【0103】
好ましくは、成分Dとしてメタロセンポリオレフィンワックスの場合、Mwは1,000〜140,000g/mol、より好ましくは1,900〜100,000g/mol、さらにより好ましくは2,100〜70,000g/molである。
【0104】
好ましくは、成分Dとしてメタロセンポリオレフィンワックスの場合、Mw/Mn値は、1.0〜3.0であることが好ましく、より好ましくは1.5〜2.9、さらにより好ましくは1.7〜2.8、殊に2.1〜2.7、就中2.2〜2.5である。
【0105】
好ましくは、成分Dとして非メタロセンポリオレフィンワックスの場合、重量平均モル質量Mwは1,000〜20,000g/molの範囲内にあり、及び/又は数平均モル質量Mnは500〜15,000g/molの範囲内にある。
【0106】
成分Aと成分Dとの重量比は10:1〜1:10であることが好ましく、特に好ましくは4:1〜1:4、特に3:1〜1:3である。
【0107】
本発明のさらなる対象は、成分A及び成分B、及び成分Pを含む組成物Zであり、該成分Pは有機ポリマーである。
【0108】
好ましくは、この成分Pは、熱可塑性重縮合物、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアクリレートコポリマー、ポリアセタール、重付加物、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー、及びこれら物質の混合物からなる群から選択される。
【0109】
この成分Pは、熱可塑性重縮合物類からなる群から選択されるのが好ましく、より好ましくは熱可塑性ポリエステル、さらにより好ましくはポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0110】
この成分Pは、スチレンポリマー類からなる群から選択されるのが好ましく、より好ましくはポリスチレン(PS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、アクリルニトリル−ポリブタジエン−スチレングラフトポリマー(ABS)又はスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)である。
【0111】
この成分Pは、ポリアミド類からなる群から選択されるのが好ましく、より好ましくはポリアミド46(PA46)、ポリアミド6/6t(PA6/6T)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド12(PA12)又はポリアミド6.6(PA6.6)である。
【0112】
この成分Pは、ポリアクリレート類、ポリアクリレート類とポリアクリレートコポリマー類からなる群から選択されるのが好ましく、より好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)及びエチレンとアクリル酸メチルとのコポリマー、さらにより好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)である。
【0113】
この成分Pは、ポリアセタール類から選択されるのが好ましく、より好ましくはポリオキシメチレン(POM)である。
【0114】
この成分P及び有機ポリマーOPは、同一又は異なっていて、互いに独立して、重付加物類からなる群から選択されるのが好ましく、より好ましくはポリウレタン、さらにより好ましくは熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)である。
【0115】
この成分Pは、ポリオレフィン及びポリオレフィンコポリマーからなる群から好ましく選択される。
【0116】
上記の組成物Zが、導電性ポリマーCPであるとき、上記の成分Pは、ポリオレフィン又はポリオレフィンコポリマーであるのが好ましい。
【0117】
成分Pとしてさらに好ましいポリオレフィン又はポリオレフィンコポリマーは、
− ポリエチレン(PE)、好ましくは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状の低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン低密度ポリエチレン(mLDPE)及びメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、
− ポリプロピレン(PP)、好ましくはポリプロピレンホモポリマー(PPH)、ポリプロピレンランダムコポリマー(PP−R)及びポリプロピレンブロックコポリマー(PP−ブロック−COPO)、
− ポリオレフィンプラストマー、好ましくは1−オクテンのエチレンとのポリマー、及び
− PEコポリマー、好ましくはエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンとメチルアクリレートとのコポリマー(EMA)、エチレンとブチルアクリレートとのコポリマー(EBA)、エチレンとエチルアクリレートとのコポリマー(EEA)、シクロオレフィンコポリマー(COC)
からなる群から選択され、
さらにより好ましくは、
− PE、好ましくはHDPE、LDPE及びLLDPE、
− PP、好ましくはPPH、PP−R及びPP−ブロック−COPO、
− ポリオレフィンプラストマー、好ましくは1−オクテンのエチレンとのポリマー、及び
− PEコポリマー、好ましくはEVA及びEMA
から選択される。
【0118】
この組成物Zは成分Eを好ましく含み、該成分Eはエチレンとメチルアクリレートとのコポリマーである。この成分Eは、成分Pとして、PC、PBT、PET、PS、SAN、ABS、PA6又はPA6.6からなる群から選択されるポリマーを含む組成物Zを製造すべきときに好ましく使用される。成分Eは、組成物Zと成分Pとのより良好な相溶性をもたらす。
【0119】
組成物Zは、
成分Aと成分Bとの合計10〜100重量%
を好ましく含み、ここで、重量%はその組成物Zの全重量に基づくいている。
【0120】
組成物ZがマスターバッチMBであるとき、その組成物Zは、成分Aと成分Bの合計を10〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、さらにより好ましくは70〜100重量%、殊に95〜100重量%含み、ここでそれぞれの場合の重量%はその組成物Zの全重量に基づいている。殊に、組成物Zは成分A及び成分Bからなる。
【0121】
組成物ZがマスターバッチMBであり、そしてグラファイト及びカーボンブラックのいずれも含まないとき、その組成物Zは、
成分Aを6〜97%重量%、
成分Bを3〜94重量%
好ましく含み、
より好ましくは、
成分Aを7.5〜95重量%、
成分Bを5〜50重量%
含み、
さらにより好ましくは、
成分Aを25〜90重量%、
成分Bを10〜47.5重量%
含み、
とりわけ、
成分Aを55〜90重量%、
成分Bを10〜45重量%
含み、
就中、
成分Aを55〜90重量%、
成分Bを13〜45重量%、
含む。
上記において重量%は、それぞれ、組成物Zの全重量に基づく。
【0122】
組成物Zは、
成分Pを5〜99.9重量%、
成分A及び成分Bを合計0.1〜95重量%
を好ましく含み、
より好ましくは、
成分Pを10〜90重量%、
成分A及び成分Bを合計10〜90重量%
含み、
さらにより好ましくは、
成分Pを12.5〜90重量%、
成分A及び成分Bを合計10〜87.5重量%
含み、
上記のいずれの場合も重量%は組成物Zの全重量に基づき、
特に好ましくは、成分A、成分B及び成分Pの重量%は合計で100%になる。
【0123】
組成物Zが導電性ポリマーCPであり、そしてその組成物Zがグラファイト及びカーボンブラックのいずれも含まないとき、その組成物Zは、
成分Aを6.0〜45重量%、
成分Bを0.1〜10重量%、
成分Pを10〜93.9重量%
好ましく含み、
より好ましくは、
成分Aを7.5〜45重量%、
成分Bを0.5〜9重量%、
成分Pを10〜92重量%
含み、
さらにより好ましくは、
成分Aを10〜35重量%、
成分Bを1〜8重量%、
成分Pを10〜89重量%
含み、
特に、
成分Aを15〜35重量%、
成分Bを2〜8重量%、
成分Pを10〜83重量%
含み、上記いずれの場合も、重量%は組成物Zの全重量に基づいている。
【0124】
組成物Zが導電性ポリマーCPであり、そしてグラファイトを含むとき、その組成物Zは、
成分Aを2.5〜10重量%、
成分Bを0.1〜10重量%、
グラファイトを50〜90重量%、
成分Pを10〜47.4重量%
好ましく含み、
より好ましくは、
成分Aを2.5〜10重量%、
成分Bを0.2〜7.5重量%、
グラファイトを60〜85重量%、
成分Pを10〜37.3重量%
含み、
さらにより好ましくは、
成分Aを3〜9重量%、
成分Bを0.5〜5重量%、
グラファイトを65〜80重量%、
成分Pを10〜31.5重量%
含み、
特に好ましくは、
成分Aを3〜9重量%、
成分Bを0.5〜4重量%、
グラファイトを65〜80重量%、
成分Pを10〜31.5重量%
含み、上記のいずれの場合も重量%は組成物Zの全重量に基づいている。
【0125】
組成物Zは、成分Cを0.1〜10重量%、特に好ましくは、0.1〜5重量%、特に0.5〜3重量%好ましく含み、ここで重量%はいずれの場合も組成物Zの全重量に基づいている。
【0126】
組成物Zは、成分Dを0.1〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%、さらにより好ましくは15〜35重量%好ましく含み、ここで重量%はいずれの場合も組成物Zの全重量に基づいている。
【0127】
組成物ZがマスターバッチMBであるとき、その組成物Zは、成分Dを0.5〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%、さらにより好ましくは15〜35重量%好ましく含み、ここで重量%はいずれの場合も組成物Zの全重量に基づいている。
【0128】
組成物Zが化合物COであるとき、その組成物Zは、成分Dを0.1〜15重量%、より好ましくは5〜12重量%、さらにより好ましくは6〜9重量%を好ましく含み、ここで重量%はいずれの場合も組成物Zの全重量に基づいている。
【0129】
組成物Zは、成分Eを0.1〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%、特に15〜35重量%を好ましく含み、ここで重量%はいずれの場合も組成物Zの全重量に基づいている。
【0130】
さらに、本発明は、成分A及び成分B、及びさらなる成分が互いに物理的に混合されることを特徴とする、組成物Zの製造方法を提供する。
【0131】
それらの成分の混合は、一段階で、又は多段階で行うことができる。
【0132】
物理的混合のための混合装置としては、プラスチック産業で慣用の混合装置、好ましくは押出機、混練機、プレス、射出成形機、及びブレードミキサーからなる群から選択される混合装置を使用することが可能である。組成物ZがマスターバッチMBであるとき、混合装置は、好ましくは押出機、混練機及び/又はブレードミキサーである。組成物Zが導電性ポリマーCPであるとき、混合装置は、好ましくは押出機、プレス及び射出成形機であり、特に好ましくは押出機である。
【0133】
混合は、連続的に又はバッチ方式で好ましく行われ、特に好ましくは、連続的に行われ、マスターバッチMBの場合には、押出又は混練により、特に好ましくは押出により行われ、導電性ポリマーCPの場合には、好ましくは押出又は射出成形、又はプレスにより行われ、特に好ましくは押出により行われる。
【0134】
混合は、80〜300℃の温度で好ましく遂行される。
【0135】
マスターバッチMBの場合、混合は、好ましくは80〜200℃、特に好ましくは100〜180℃、特に110〜150℃の温度で遂行され、導電性ポリマーCPの場合、混合は、好ましくは80〜300℃、特に好ましくは100〜280℃で遂行される。
【0136】
混合時間は好ましくは5秒〜10時間である。
【0137】
連続混合の場合の混合時間は、5秒〜1時間であることが好ましく、特に好ましくは10秒〜15分である。
【0138】
バッチ方式混合の場合の混合時間は、1分〜10時間であるのが好ましく、特に好ましくは2分〜8時間、特に2分〜5時間、殊に2分〜1時間、就中2〜15分である。
【0139】
導電性ポリマーCPの場合、成分A及び成分Bは、マスターバッチMBの形態で成分Pと混合されるのが好ましい。さらに、マスターバッチMBとペレット状の成分Pとのプレミックスが物理的混合に好ましく使用される。
【0140】
さらに、本発明は導電性ポリマーCP製造のための、又は導電性ポリマーCPとしての組成物Zの使用を提供する。
【0141】
組成物ZがマスターバッチMBであるとき、その組成物Zは、導電性ポリマーCPを製造するのに、特に、導電性ポリオレフィンを製造するのに好ましく用いられる。
【0142】
組成物Zが導電性ポリマーCPであるとき、その組成物Zは、導電性ポリオレフィンを製造するのに、又は導電性ポリオレフィンとして好ましく用いられる。
【0143】
組成物Zが成分Eを含むとき、その組成物Zは、導電性の非ポリオレフィンポリマーを製造するのに、又は導電性の非ポリオレフィンポリマーとして好ましく用いられる。
【0144】
組成物Zからの、特に導電性ポリマーCPからの導電性ポリオレフィンの製造は、組成物Z、特に導電性ポリマーCPの製造について上述した方法に類似の方法によって、類似のプロセス段階及びプロセスパラメーターでもって遂行される。
【0145】
本発明の目的のために、導電性ポリマーは、表面抵抗10−6オーム〜1011オーム、好ましくは10−5オーム〜1011オーム、特に0.1オーム〜10オームを有するポリマーである。
【0146】
組成物Zは、爆発防護に使用される導電性ポリマーを製造するのに、又は導電性ポリマーとして、及び/又は導電性ポリマーからなる物品を製造するのに、又はそれらとして好ましく用いられる。
【0147】
組成物Zは、静電粉体塗装によって着色できる、導電性ポリマーを製造するのに、又は導電性ポリマーとして、及び/又は導電性ポリマーからなる物品を製造するのに、又はそれらとして好ましく用いられる。
【0148】
組成物Zは、静電荷電性がもたらされる場合に、ほとんど表示しない包装物が製造される導電性ポリマーを製造するために、又はそれらとして使用されることが好ましく使用される。本発明の目的のために、静電帯電性がほとんどないとは、表面抵抗が10−6オーム〜1011オームであることを好ましく意味し、好ましくは、10−5オーム〜1011オーム、特に0.1オーム〜10オームであり、そして本来の荷電の10%までの静電帯電時間は2秒以下である。
【0149】
静電帯電性(electric chargeability)は、DIN EN61340−5−1に従って定義され、そしてDIN EN 61340−2−1に従って測定される。
【0150】
組成物Zは、燃料電池におけるバイポーラプレートとして用いられる、導電性ポリマー、好ましくは導電性ポリオレフィンを製造するのに、又はそれらとして好ましく使用される。
【0151】
さらに、組成物Zは、特に、機械的強化のための、及び電気伝導性を高めるための、ポリマー中の添加剤、又はポリマーとしての使用、ガス貯蔵及びエネルギー貯蔵における使用、着色のための材料としての、難燃剤としての使用、電極材料としての、又はコンダクタトラック(conductor tracks)及び導電性構造体を製造するための使用、及びディスプレイにおけるエミッタとしての使用に適している。組成物Zは、電気伝導率又は熱伝導率、及び機械特性を向上させるためのポリマー、セラミック、又は金属複合材料中への使用、又はそれらとしての使用、導電膜及び複合材料を製造するための使用、又は導電膜及び複合材料としての使用、着色剤としての使用、電池中、コンデンサー中、ディスプレイ中(例えば、フラットスクリーンディスプレイ)又は蛍光体中での使用、誘電トランジスタとしての使用、貯蔵媒体、例えば、水素又はリチウムとしての使用、膜、例えば、ガス浄化のための膜中での使用、触媒として又は支持材料、例えば、化学反応における触媒活性成分としての使用、燃料電池中での使用、医療分野、例えば、細胞組織のフレームワークとしての使用、診断分野での、例えば、マーカーとしての使用、及び化学分析並びに物理分析(例えば、原子力顕微鏡)での使用に適している。
【0152】
組成物Zは、更なる物質、好ましくは、
− 着色剤として可能な有機染料及び無機染料、及び顔料を有する着色剤;有機顔料としては、好ましくは、アゾ系顔料又はジアゾ系顔料、被覆アゾ系顔料又は被覆ジアゾ系顔料、又は多環式顔料;好ましい多環式顔料は、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ジアリール系顔料、又はキノフタロン系顔料た与えられ;無機顔料としては、好ましくは、顔料化に適した金属酸化物、混合酸化物、硫酸アルミニウム、クロム酸塩、金属粉末、真珠効果顔料(マイカ)、発光顔料、チタン酸化物、カドミウム−鉛顔料、鉄酸化物、カーボンブラック、シリケート、チタン酸ニッケル、コバルト顔料、又はクロム酸化物が与えられ;
− シリカ、ゼオライト、アルミニウムシリケート、ナトリウムシリケート、カルシウムシリケートのようなシリケート類、チョーク、タルクのようなフィラー;
− 補助剤、好ましくは、ステアレート、発泡剤、核形成剤、過酸化物類、酸化防止剤;
− 帯電防止剤、好ましくはグリセリンステアレート、グリセリンモノステアレート、アルキルアミン、エトキシル化アルキルアミン、アルキルスルホネート、グリセリンエステル、又はそれらの混合物(ブレンド);
− UV吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤(HALS)化合物、滑剤、防曇剤、抗凝固剤、及び/又は懸濁安定剤、難燃剤;酸化防止剤又はその他慣用のプラスチック添加剤類、又はそれらの混合物、
を含むことができる。
【0153】
驚くべきことに、組成物Zは、マスターバッチMBの形態、又は導電性ポリマーCPの形態のいずれの場合でも、低粘度と同時にCNTの高い充填量が得られることによって特徴付けられ;特に20重量%まで、さらには25重量%まで、多くの場合には30重量%まで、ときには、さらに多くのCNTで充填されたマスターバッチMBを、その粘度が、マスターバッチMBをもはや製造及び加工できなくなるほど、あるいはマスターバッチが全く形成されないほど低下されることなく得ることができ(重量%は、マスターバッチMBの全重量に基づく);さらには、所望の導電性及び所望の低表面抵抗を、導電性ポリオレフィンに設定することができる。低粘度と組み合わせた高い固形分含有量によって、ポリマー中へ添加剤を安価で導入することが可能となり;また、成形物に対する摩滅が最小限になり、そしてCNTの迅速な均質化及び均一な分布が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0154】
組成物Zにおいて、CNTは十分分散される。分散物の品質は、加圧された(圧縮成形された)プレート又はフィルムに対する光学的手段によって定性的に測定される。流動性、衝撃靭性、熱変形温度(すなわち、負荷下における歪みの温度)、及び引張り強度もまた要求を満たす。粘度又は流動性は、DIN ISO 1133に従って測定され、メルトフローレートMFRとして表され、衝撃靭性は、DIN EN ISO 179に従って測定され、熱変形温度(すなわち、負荷下における歪みの温度)は、DIN EN ISO 75−1に従って測定され、そして引張り強度は、DIN EN ISO 527−1に従って測定される。
【0155】
さらなる試験方法は次のとおりである。
生成物の特性は、別途示さない限り以下の方法によって測定される。
【0156】
モル質量及びモル質量分布、すなわち、Mw値及びMn値は、DIN 55672に従い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるが、135℃の温度及び溶媒1,2−ジクロロベンゼン中にワックスを完全に溶解させて行われ;キャリブレーションのために市場から入手可能なPE標準物が使用される。
【0157】
滴点の測定は、ウベローデ(Ubbelohde)滴点計器を用いて、DIN 51801/2(℃)に従って遂行される。
【0158】
環/球軟化点の測定は、DIN EN 1427(℃)に従って行われる。正確さを目的として、別途指示しない限り、軟化点が本明細書及び特許請求の範囲において整数で与えられる場合“.0 C”を表し、例えば、“130 C”は“130.0 C”を表す。
【0159】
ワックスの粘度の測定はDIN 53018(mPa*s)に従う。
【0160】
密度の測定はISO 1183(g/cm)に従う。
【0161】
かさ密度の測定はDIN EN ISO 60(kg/m)に従う。
【0162】
ケン化価の測定はISO 3681(mgKOH/g)に従う。
【0163】
酸価の測定はISO 2114(mgKOH/g)に従う。
【0164】
弾性係数の測定はDIN EN ISO 527−1(MPa)に従う。
【0165】
電気表面抵抗を測定するSR−1法はDIN EN 61340−2−3に従う。
【0166】
電気表面抵抗を測定するSR−2法はIEC 93に従う。
【0167】
融点の測定方法:ISO 3146に従う示差走査熱量計(DSC)。
【0168】
押出機のトルク(Nm)及び押出機ヘッド部における溶融圧(バール)は、その機械で読み取ったものであり、そして溶融物の押出機における粘度又は流動性の測定値である。
【0169】
使用物質:
成分A1: モノマーの全重量に基づいて11〜13重量%のエチレン含有量を有するプロピレン−エチレン−コポリマーワックスであり、Mn値2,900、Mw値6,400g/mol、Mw/Mn値2.2g/mol、及び密度0.86〜0.89g/cm
成分A2: モノマーの全重量に基づいて8〜10重量%のエチレン含有量を有するプロピレン−エチレン−コポリマーワックスであり、Mn値6,700g/mol、Mw値15,500g/mol、Mw/Mn値2.3、及び密度0.86〜0.89g/cm
成分A3: モノマーの全重量に基づいて10〜12重量%のエチレン含有量を有するプロピレン−エチレン−コポリマーワックスであり、Mn値11,200g/mol、Mw値25,200g/mol、Mw/Mn値2.3、及び密度0.86〜0.89g/cm
【0170】
成分B1: Mn、Co及び支持材料を含み、Co及びMnが金属形態で、そして活性成分の含有量に基づいて2〜98モル%の量で存在し、任意に、さらにMoを含む不均質成分触媒での気体の炭化水素の分解によって製造され、そして10〜16nmの平均外径(数分布の中央値として定義される)を有し、3〜15の炭素層で構成された層構造、残存する触媒含有量6重量%未満、長さ1〜10ミクロン、及びかさ密度150〜350kg/mを有するMWCNT。
成分B2: DIN 53601に従って測定されたジブチルフタレート(DBP)の油吸収、DBP/100gの52g、及びBET表面積3m/gを有する、合成グラファイト。
成分B3: 油吸収数(OAN)320ml/100g及びBET表面積>700m/gを有する、導電性カーボンブラック。
【0171】
成分C1: 全重量に基づいて、活性物質含有量を少なくとも90重量%有する、C12−C18−アルキルスルホン酸ナトリウム。
【0172】
成分D1: チーグラー−ナッタ触媒を用いて製造され、140℃で測定された粘度640〜660mPa*s、117〜122℃の範囲の滴点、密度0.92〜0.94g/cm(20℃で測定)、酸価0mgKOH/g、Mn値1,800g/mol、Mw値5,600g/mol、Mw/Mn値3.1、及びケン化価0mgKOH/gを有する、非極性ポリエチレンワックスホモポリマー。
成分D2: チーグラー−ナッタ触媒を用いて製造され、170℃で測定された粘度1,500〜1,800mPa*s、160〜166℃の範囲の滴点、密度0.88〜0.90g/cm(20℃で測定)、酸価0mgKOH/g、Mn値2,500g/mol、Mw値18,000g/mol、Mw/Mn値7.2、及びケン化価0mgKOH/gを有する、非極性ポリプロピレンワックスホモポリマー。
成分D3: 140℃で測定された粘度130〜150mPa*s、滴点122〜125℃、密度0.97〜1.00g/cm、Mn値1,200g/mol、Mw値3,000g/mol、Mw/Mn値2.5、及び酸価17〜19mgKOH/gを有する、無水マレイン酸変性ポリエチレンメタロセンポリオレフィンワックス。
成分D4: 170℃で測定された粘度1,500〜2,000mPa*s、軟化点160〜166C、Mn値7,100g/mol、Mw値19,300g/mol、Mw/Mn値2.7、及び密度0.88〜0.92g/cmを有する、プロピレンホモポリマーワックス。
【0173】
成分E1: メチルアクリレートを24重量%含み、そして、密度0.944g/cm、メルトフローレート2g/10分(2.16kgのおもりを用いて190℃で測定)及び融点91℃を有する、エチレンとメチルアクリレートとのコポリマー。
【0174】
成分P1: 密度0.87g/cm、メルトフローレート450〜550g/10分(2.16kgのおもりを用いて190℃で測定)、及び融点69〜71℃を有する、ポリオレフィンプラストマー(エチレンを有する1−オクテンのポリマー)。
成分P2: 密度0.945g/cm、MFR6g/10分(190℃/21.6kgで測定)、及び融点131℃を有する、HDPE。
成分P3: 密度0.956g/cm、MFR30.0g/10分(190℃/21.6kgで測定)、及び弾性係数1,250MPaを有する、HDPE。
成分P4: 密度0.91g/cm、MFR120g/10分(230℃/2.16kgで測定)、及び弾性係数1,450MPaを有する、PPH。
【0175】
以下において、別途指示しない限り、重量%は、混合物又は物品の全重量に基づき、部は重量部であり、“Comp.”は比較例を意味する。
【実施例】
【0176】
例1
成分A3を85部及び成分B1を15部を一緒に、二軸スクリュー押出機(押出機の温度:100〜160℃)で均質化する。マスターバッチMB1が得られる。
【0177】
例2
成分A2を95部及び成分B1を15部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:160〜200℃)。マスターバッチMB2が得られる。
【0178】
比較例3
成分P1を85部及び成分B1を15部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:160〜200℃)。マスターバッチMB3が得られる。
【0179】
例4
成分A3を57.5部、成分E1を27.5部及び成分B1を15部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:160〜200℃)。マスターバッチMB4が得られる。
【0180】
比較例5
成分P3を85部及び成分B1を15部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:220〜240℃)。マスターバッチMB5が得られる。
【0181】
例10
成分A1を73部、成分B1を25部、及び成分C1を2部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:100〜130℃)。マスターバッチMB10が得られる。
【0182】
例11
成分A2を38部、成分D3を35部、成分B1を25部、及び成分C1を2部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:100〜160℃)。マスターバッチMB11が得られる。
【0183】
比較例12
成分P2を58部、成分D1を25部、成分B1を15部、及び成分C1を2部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:200〜220℃)。マスターバッチMB12が得られる。
【0184】
例13
成分A2を50部、成分D4を25部、成分B1を25部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:100〜160℃)。マスターバッチMB13が得られる。
【0185】
比較例20
成分P4を17部、及び成分B2を83部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:230〜260℃)。マスターバッチMB20が得られる。このマスターバッチ20は非常に脆弱であってペレット化するのが困難である。
【0186】
比較例21
成分P4を17部、成分B2を78部、及び成分B3を5部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:230〜260℃)。マスターバッチMB21が得られる。このマスターバッチ21は非常に脆弱であってペレット化するのが困難である。
【0187】
例22
成分A1を78部、成分C1を2部、及び成分B1を20部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:100〜130℃)。マスターバッチMB22が得られる。このマスターバッチ22は脆弱でなく、そして容易にペレット化できる。
【0188】
例23
成分A1を63部、成分D3を15部、成分C1を2部、及び成分B1を20部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:100〜130℃)。マスターバッチMB23が得られる。このマスターバッチ23は脆弱でなく、そして容易にペレット化できる。
【0189】
比較例25
成分A1の変わりに成分D1を用いる点だけが異なり、例22を繰り返した。
凝集物ではない、粉末状のマッスが押出物のストランドの代わりに出てきたため、マスターバッチは製造できなかった。
【0190】
比較例26
成分A1の変わりに成分D2を用いる点だけが異なり、例22を繰り返した。
凝集物ではない、粉末状のマッスが押出物のストランドの代わりに出てきたため、マスターバッチは製造できなかった。
【0191】
例27
成分A2を65部、及び成分B1を35部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:120〜180℃)。マスターバッチMB27が得られる。
【0192】
例28
成分A2を60部、及び成分B1を40部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:120〜180℃)。マスターバッチMB28が得られる。
【0193】
例29
成分A2を55部、及び成分B1を45部を、二軸スクリュー押出機で一緒に均質化する(押出機の温度:120〜180℃)。マスターバッチMB29が得られる。
【0194】
流動性に関する測定結果を、メルトフローレートMFRとして測定表A中で報告し、そしてマスターバッチに対して直接測定する。
【0195】
【表1】

【0196】
マスターバッチMB3、5及び12は、非常に硬質でそしてポリマー中で分布させるのが困難である。
【0197】
例51
例1で説明したように製造されたマスターバッチMB1を20部を均質化し、そして80部の成分P3と圧延機(二本ロールミルを用いた)(Labtech)で混合し、そして200℃で2分間、加熱された油圧式プラテン印刷機(hydraulic platen press)で加圧(圧縮成形)し、そして続いて室温に冷却した。加圧(圧縮成形)されたプレート20MB1(この名称は例1で説明されたように製造されたマスターバッチ20部という意味である)が得られた。
【0198】
例52、比較例53、例54及び比較例55
例50におけるように、例2〜例5で説明したように製造されたマスターバッチMB2〜MB5を、それぞれ、20部を均質化し、そして80部の成分P3と、圧延機(二本ロールミルを用いた)(Labtech)で混合し、そして200℃で2分間、加熱された油圧式プラテン印刷機(hydraulic platen press)で加圧(圧縮成形)し、そして続いて室温に冷却した。
加圧(圧縮成形)されたプレート20MB2、20MB3、20MB4、及び20MB5(名称は例51と同様)が得られた。
【0199】
比較例61、例62、比較例63、例64、及び比較例65
例1〜例5で説明したように製造されたマスターバッチMB1〜MB5を、それぞれ、30部を均質化し、そして70部の成分P3と、圧延機(二本ロールミルを用いた)(Labtech)で混合し、そして200℃で2分間、加熱された油圧式プラテン印刷機(hydraulic platen press)で加圧(圧縮成形)し、そして続いて室温に冷却した。加圧(圧縮成形)されたプレート30MB1〜30MB5が得られた(名称は例51と同様)。
【0200】
例71、例72、比較例73、例74、及び比較例75
例1〜例5で説明したように製造されたマスターバッチMB1〜MB5を、それぞれ、40部を均質化し、そして60部の成分P3と、圧延機(二本ロールミルを用いた)(Labtech)で混合し、そして200℃で2分間、加熱された油圧式プラテン印刷機(hydraulic platen press)で加圧(圧縮成形)し、そして続いて室温に冷却した。加圧(圧縮成形)されたプレート40MB1〜40MB5が得られた(名称は例51と同様)。
【0201】
加圧(圧縮成形)されたプレートは、続いて少なくとも24時間、23℃及び相対湿度50%に空調された。続いて表面抵抗をSR−2に従って測定した。
【0202】
測定結果を表Bに示す。
【0203】
【表2】

【0204】
例80
例10で説明したように製造されたマスターバッチMB10の30部を、タンブルミキサー中で70部の成分P2と予備混合(premixed)し、そして混合セクション(温度:175〜190℃)を有するBrabenderの一軸スクリュー押出機(Brabender single−screw extruder)中で均質化した。0.7mm厚の平坦なフィルムFF10が、平坦フィルムダイを介した押出によって得られた。
【0205】
例81
例11で説明したように製造されたマスターバッチMB11の30部を、タンブルミキサー中で70部の成分P2と予備混合(premixed)し、そして混合セクション(温度:175〜190℃)を有するBrabenderの一軸スクリュー押出機中で均質化した。0.7mm厚の平坦なフィルムFF11が、平坦フィルムダイを介した押出によって得られた。
【0206】
比較例82
例12で説明したように製造されたマスターバッチMB12の50部を、タンブルミキサー中で50部の成分P2と予備混合(premixed)し、そして混合セクション(温度:175〜190℃)を有するBrabenderの一軸スクリュー押出機中で均質化した。0.7mm厚の平坦なフィルムFF12が、平坦フィルムダイを介した押出によって得られた。
【0207】
平坦フィルムは、その後、少なくとも24時間、23℃及び相対湿度50%で調整された。続いて表面抵抗をSR−1に従って測定した。
【0208】
測定結果を表Cに示す。
【0209】
例83
例13で説明したように製造されたマスターバッチMB13の30部を、タンブルミキサー中で70部の成分P2と予備混合(premixed)し、そして混合セクション(温度:175〜190℃)を有するBrabenderの一軸スクリュー押出機中で均質化した。0.7mm厚の平坦なフィルムFF13が、平坦フィルムダイを介した押出によって得られた。
【0210】
【表3】

【0211】
比較例90
比較例20で説明したように製造されたマスターバッチMB20の100部を、混合セクション(温度:260〜275℃)を有するBrabenderの一軸スクリュー押出機中で混合し、そして均質化した。1.5mm厚のプレートEP20が、平坦フィルムダイを介した押出によって得られた。
【0212】
例91
比較例20で説明したように製造されたマスターバッチMB20の95部、及び例22で説明したように製造されたマスターバッチMB22の5部を、タンブルミキサー中で予備混合し、そして混合セクション(温度:260〜275℃)を有するBrabenderの一軸スクリュー押出機中で混合し、そして均質化した。1.5mm厚のプレートEP21が、平坦フィルムダイを介した押出によって得られた。
【0213】
例92
比較例20で説明したように製造されたマスターバッチMB20の95部、及び例23で説明したように製造されたマスターバッチMB23の5部を、タンブルミキサー中で予備混合し、そして混合セクション(温度:260〜275℃)を有するBrabenderの一軸スクリュー押出機中で混合し、そして均質化した。1.5mm厚のプレートEP22が、平坦フィルムダイを介した押出によって得られた。
【0214】
比較例93
比較例21で説明したように製造されたマスターバッチMB21の100部を、混合セクション(温度:260〜275℃)を有するBrabenderの一軸スクリュー押出機中で混合し、そして均質化した。1.5mm厚のプレートEP23が、平坦フィルムダイを介した押出によって得られた。
【0215】
例94
比較例21で説明したように製造されたマスターバッチMB21の95部、及び例22で説明したように製造されたマスターバッチMB22の5部を、タンブルミキサー中で予備混合し、そして混合セクション(温度:260〜275℃)を有するBrabenderの一軸スクリュー押出機中で混合し、そして均質化した。1.5mm厚のプレートEP24が、平坦フィルムダイを介した押出によって得られた。
【0216】
例95
比較例21で説明したように製造されたマスターバッチMB21の90部、及び例22で説明したように製造されたマスターバッチMB22の10部を、タンブルミキサー中で予備混合し、そして混合セクション(温度:260〜275℃)を有するBrabenderの一軸スクリュー押出機中で混合し、そして均質化した。1.5mm厚のプレートEP22が、平坦フィルムダイを介した押出によって得られた。
【0217】
Brabender一軸スクリュー押出機の回転速度は、80回転/分で、全ての実験において一定であった。測定結果を表Dに示す。
【0218】
【表4】

【0219】
次の表E、F、及びGは、例1〜94で使用された成分全体の概要を与える。
【0220】
【表5】

【0221】
【表6】

【0222】
【表7】

【0223】
【表8】

【0224】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分A及び成分Bを含む組成物Zであり、
前記成分Aが、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスであり、そして、
前記成分Bが、カーボンナノチューブであり、
ここで、前記プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスはモノマーのプロピレンから作製され、そして次式(II)で表される化合物の少なくとも1つを0.1〜50重量%(重量%はモノマーの全重量に基づく。)含む、上記の組成物Z。
【化1】

(式中、Rは、H及び非分岐状又は分岐状のC2−18アルキルからなる群から選択される。)
【請求項2】
前記RがHである、請求項1に記載の組成物Z。
【請求項3】
前記組成物Zが、グラファイト、及び任意に導電性カーボンブラックを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物Z。
【請求項4】
前記組成物Zが、グラファイトもカーボンブラックも含まないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物Z。
【請求項5】
前記組成物Zが、
成分Aを0.05〜99.95重量%、
成分Bを0.05〜99.95重量%;
含み、ここで、重量%は前記組成物の全重量に基づくことを特徴とする、請求項1〜4の一つ又はより多くに記載の組成物Z。
【請求項6】
前記組成物Zが、前記成分A及びBを合計で10〜100重量%含み、ここで重量%は前記組成物Zの全重量に基づくことを特徴とする、請求項1〜5の一つ又はより多くに記載の組成物Z。
【請求項7】
前記組成物Zが、更なる成分Pとして有機ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つ又はより多くに記載の組成物Z。
【請求項8】
前記成分Pが、熱可塑性重縮合物、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアクリレートコポリマー、ポリアセタール、重付加物、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー、及びそれら物質の混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の組成物Z。
【請求項9】
前記組成物Zが、
成分Pを5〜99.9重量%、
成分A及び成分Bを合計0.1〜95重量%、
含み、ここで該成分A及び成分Bは、請求項1〜4のいずれか一つ又はより多くで定義されたとおりであり、
重量%は、該組成物Zの全重量に基づく、
ことを特徴とする、請求項7又は8に記載の組成物Z。
【請求項10】
前記組成物Zが導電性ポリマーCPであり、そして、
成分Aを2.5〜10重量%;
成分Bを0.1〜10重量%、
グラファイトを50〜90重量%;
成分Pを10〜47.4重量%、
を含み、
重量%は、該組成物Zの全重量に基づく、
ことを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一つに記載の組成物Z。
【請求項11】
前記組成物Zが、更なる成分Cとして分散剤を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1つ又はより多くに記載の組成物Z。
【請求項12】
前記組成物Zが、成分Dとして、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックス以外のワックスを少なくとも一つ含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つ又はより多くに記載の組成物Z。
【請求項13】
前記組成物Zが、更なる成分Eとして、エチレンとメチルアクリレートとのコポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つ又はより多くに記載の組成物Z。
【請求項14】
前記成分Aと前記成分B、及びいずれかの更なる成分が、互いに物理的に混合されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一つ又はより多くに記載の組成物Zの製造方法。
【請求項15】
導電性ポリマーCPを製造するための、又は導電性ポリマーCPとしての、請求項1〜13のいずれか一つ又はより多くに記載の組成物Zの使用。
【請求項16】
ガス貯蔵材料及びエネルギー貯蔵材料における、コンダクタトラックにおける、電極材料における、ディスプレイにおけるエミッタとしての、電気伝導性又は熱伝導性を向上させるための、及び導電性被膜のための、請求項15に記載の組成物Zの使用。

【公表番号】特表2012−507587(P2012−507587A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533613(P2011−533613)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007776
【国際公開番号】WO2010/051942
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】