説明

プロピレン−ジエンコポリマーから製造される膨張ビース発泡体及びそれらの使用

コポリマーベースレジン及び発泡剤を含む膨張オレフィンレジンを本明細書において開示する。前記コポリマーベースレジンは、90乃至99.999重量パーセントのオレフィン及び0.001乃至10重量パーセントのα-ωジエンを含み、30,000から50,000ダルトンの重量平均分子量、115℃から135℃の結晶化温度、0.1dg/分乃至100dg/分の230℃における2.16kg負荷における溶融流量を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膨張ビース、粒子など及びそれらから製造される製品に関する。より具体的には、プロピレンとジエンモノマーとの共重合により形成されたプロピレンコポリマーレジン膨張発泡体に関係する。
【背景技術】
【0002】
プロピレンは幅広い製品に適用される安価な熱可塑性ポリマーである。プロピレンを用いて製造することができる製品は、膨張させたプロピレンレジンビーズを発泡体に成形することにより得られた製品を含む。
【0003】
成形用の型の中で膨張ポリオレフィンレジンビースを膨張及び/又は発砲させて得られた製品(以後本明細書において発泡製品と言う)は、化学品耐性、衝撃耐性、圧力ストレスからの回復性質が優れていることが証明されている。従って、発泡製品は、包装材料、緩衝素材として、及び/又は自動車バンパーのコア材料のような襲撃吸収素材として使用されている。
【0004】
膨張ビースに用いるポリオレフィン、特にポリプロピレンベースレジンは、チグラー-ナッター触媒を用いた重合により得ることができる。しかしながら、そのようなベースレジンは、包装材料、衝撃吸収材として又は他の典型的な膨張させた発泡製品に用いるのに適した性質を有していない。メタロセン重合触媒を用いて調製されるポリオレフィンベースレジン(本明細書においてメタロセンベースレジンと言う)は、膨張させた発泡体に使用するのに適した性質を有している。例えば、メタロセン触媒を用いて製造したポリプロピレンの融点はチグラー-ナッター触媒を用いて製造したポリプロピレンの融点よりも低い。
【0005】
従って、メタロセンベースポリプロピレン(すなわち、メタロセン触媒システムを用いて重合されたプロピレン)から製造された膨張ビースは、チグラーナッタ触媒を用いて製造したポリプロピレンから製造される膨張ビーズよりもよりも低い温度及び圧力で成形することができる。従って、メタロセンベースポリプロピレンから製造された膨張ビースは、より低い成形温度で製造することができ、最終製品の粒子直径がより均一となる。
【0006】
U.S. Patent No. 6,451,419は、メタロセン重合触媒を用いて得られたプロピレンホモポリマーのみをベースレジンとして含む発泡性粒子を、発泡させて製造した発泡成形品を含む衝撃吸収物質を開示する。
【0007】
U.S. Patent No. 6,476,089は、ポリプロピレンホモポリマー又はコポリマーの各重量に基づいて、180 ℃のガラス転移温度を有する熱可塑剤の含量が50 wt%以下であり、-5 ℃から150 ℃の間の沸点を有するハロゲン非含有発泡剤を1乃至40 %含み、エチレン及び/又は1-ブテンの重量が15 wt%以下あるプロピレンのホモポリマー又はコポリマーを含む膨張ポリマービースを開示する。この例では、発泡前ビースは、400 g/lの嵩密度を有しており、100 ℃以上の温度で加熱した後に大気と接触させずに室温で1時間置いた後の嵩密度が200 g/lとなる非架橋発泡ビースを製造することができる。
【0008】
U.S. Patent No. 6,313,184は膨張プロピレンレジンビースを開示する。このビースは、メタロセン重合触媒の存在下で、エチレン及び炭素数4以上のαオレフィンからなる群より選択される少なくとも1のコモノマーとプロピレンとの共重合により得られたアイソタクチックランダムプロピレンコポリマーレジンをベースレジンとして50 wt%以上含む。このアイソタクチックランダムプロピレンコポリマーレジンは141 ℃から160 ℃の幅の融点及び12 g/10分以上の溶融流量を有する。
【0009】
しかしながら、ホモポリプロピレンレジンを含む膨張ポリプロピレンレジンビースから形成された製品は、発泡製品として好ましくない衝撃強度、溶融強度、融点及び他の性質を示す。膨張プロピレンレジンビーズ製品及びそれらから開発される発泡製品に含まれるポリマーの物理的、機械的及び流動学的な性質、特にポリプロピレンポリマー及びコポリマーベースレジンの物理的、機械的及び流動学的な性質は、日々発展する製品に対する要求を満たすために、変更及び改善され続ける必要性がある。
【発明の開示】
【0010】
本発明の1の態様は、コポリマーベースレジン及び発泡剤を含む膨張オレフィンレジンである。コポリマーベースレジンは、99.95乃至99.99 wt%のプロピレン及び0.001乃至0.05 wt%のα-ωジエンを含むメタロセンベース共重合反応生成物であり、30,000乃至500,000ダルトンの重量平均分子量、115 ℃から135 ℃の結晶化温度、及び0.1 dg/分乃至100 dg/分の、230 ℃、2.16 kg負荷におけるASTM D-1238を用いて測定される溶融流量を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様は、膨張オレフィンレジンを製造するために、大気圧以上の圧力条件下でコポリマーベースレジンと発泡剤を接触させる工程と、コポリマーベースレジンの軟化点以上の温度でコポリマーベースレジンと発泡剤を加熱する工程を含む、膨張オレフィンレジンを製造する方法である。この方法において、コポリマーベースレジンはプロピレン及び0.001乃至0.05 wt%のα-ωジエンを含むメタロセンベース共重合反応生成物であり、30,000乃至500,000ダルトンの重量平均分子量、115 ℃乃至135 ℃の結晶化温度及び0.1 dg/分から100 dg/分の溶融流量(230 ℃、2.16 kg装填におけるASTM D-1238を用いて測定される)を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の更なる態様は、発泡させた膨張オレフィンレジンを含む発泡製品である。発泡させる前の、膨張オレフィンレジンは、プロピレンと0.001乃至0.5 wt%のα-ωジエンのメタロセンベース重合反応生成物であるコポリマーベースレジンと発泡剤を含む。前記コポリマーベースレジンは30,000乃至500,000ダルトンの重量平均分子量、115 ℃乃至135 ℃の結晶化温度、及び0.1 dg/分から100 dg/分の溶融流量(230 ℃、2.16 kg負荷におけるASTM D-1238を用いて決定される)を有する。さらに、発泡製品は、0.001 g/mlから0.8 g/mlの嵩密度を有する。
【0013】
本明細書で開示する発泡させた膨張オレフィンレジンを含む発泡製品を製造する他の方法は、膨張させた発泡製品を製造するために、膨張オレフィンレジンを加熱する工程及び膨張オレフィンレジンに適用する圧力を減らす工程の一方又は両方を含む。
【0014】
本明細書に開示する任意の態様において、α-ωレジンは、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,10-ウンデカジエン、1,11-ドデカジエン、1,12-トリデカジエン、1,13-テトラデカジエン、2-メチル-1,9-デカジエン、2-メチル-1,7-オクタジエン、3,4-ジメチル-1,6-ヘプタジエン、4-エチル-1,7-オクタジエン、3-エチル-4メチル-5-プロピル-1,10-ウンデカジエン、又はこれらのジエンの少なくとも1を含む混合物を含む。
【0015】
本明細書で開示する任意の態様において、コポリマーベースレジンは更にエチレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンの誘導単位、又はこれらの少なくとも1を含む混合物を含む。
【0016】
本明細書で開示する任意の態様において、コポリマーベースレジンは、プロピレン及び1以上のα-ωジエンモノマーのメタロセンベース共重合反応生成物を含む。
【0017】
本明細書で開示する任意の態様において、コポリマーベースレジンの数平均分子量に対する重量平均分子量は2乃至20である。
【0018】
本明細書で開示する任意の態様において、コポリマーベースレジンの数平均分子量に対する重量平均分子量は2.5乃至7である。
【0019】
本明細書で開示する任意の態様において、コポリマーベースレジンは、165 ℃以下の融点を有する。
【0020】
本明細書で開示する任意の態様において、コポリマーベースレジンは、歪速度1.0秒-1から1.0秒-1における線形粘度に対する破断点での伸延粘度の比が2.5以上である。
【0021】
本明細書の任意の態様において、膨張オレフィンベースレジンは、0.001 g/mlから0.8 g/mlの嵩密度を有する発泡レジン製品を製造するために製品に発泡させることができる。
【0022】
本明細書で開示する任意の態様において、コポリマーベースレジンは、
式:g”= [IV]分岐/[IV]直鎖
(上の式中、IVは分岐及び直鎖ポリマーの固有粘度をそれぞれ示す。)
で決定される分岐指数g”が0.99乃至0.6、好ましくは0.99乃至0.93である。
【0023】
本明細書で開示する任意の態様において、発泡剤は、有機酸、無機酸、炭酸又はこれらの少なくとも1を含む混合物を含む。そのような態様において、有機酸は、クエン酸を含む。炭酸塩は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、又はこれらの少なくとも1を含む混合物を含む。
【0024】
本明細書で開示する任意の態様において、発泡剤は、メタン、エタン、エチレン、プロピレン、エチン、プロピン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、テトラクロロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、塩化メチレン、塩化エチル、窒素、酸素、空気、ヘリウム、アルゴン、重炭酸、水、又はこれらの少なくとも1を含む混合物を含む。
【0025】
更なる態様は、本明細書で開示する膨張オレフィンレジンを含む膨張オレフィンレジン粒子を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
発明の詳細な説明
発明を詳細に定義するために本明細書では所定の数値範囲を用いる。違った形で定義されない限りこれらの数値範囲は、列挙される範囲のエンドポイント未満の値及び/又はエンドポイントまでの中間の値だけでなく、列挙されている範囲のエンドポイントの値も含む。さらに、列挙されている数値範囲は、列挙された範囲の外側ではあるけれども機能的には数値範囲内値と等しい全ての値を含む。
【0027】
本発明の目的のために使用する触媒活性を有する物質は、本明細書において「触媒物質」又は「触媒」として互換的に用いられる。触媒システムは、触媒、活性剤及び任意で担体を含む。反応器は化学反応を引き起こすことができる任意のコンテナを意味する。更に、CHEMICAL AND ENGINEERING News, 63(5), 27 (1985)に記載されているような、周期表グループのナンバリング法が本発明に用いられる。温度は摂氏温度(℃)で表す。
【0028】
コポリマーの説明において、特にコポリマーの成分について述べる場合に、モノマーについての技術用語を用いることができる。例えば、「オレフィン」、「プロピレン」、「アルファ、オメガ-ジエン」、「エチレン」及び他のアルファ-オレフィンが用いられる。そのようなモノマー技術用語を、コポリマーの成分を説明するために用いる場合には、コポリマーの中に存在するモノマーの重合単位も意味する。本明細書では、コポリマーは2以上のモノマーを組み合わせて含んでいる。従って、コポリマーは多数の各種モノマー、ホモポリマー及び同種のものを含む。
【0029】
本明細書において、膨張オレフィンレジンは非発泡状態で、好ましくは、ベースレジンを含んだ状態で、より好ましくはコポリマーベースレジン単独又はコポリマーベースレジンと膨張させる又は発泡させるための試薬(本明細書において発泡剤と言う)の混合物として存在する。発泡剤は、膨張オレフィンレジンのコポリマーベースレジン内に含浸させるか又は他の方法で取り込ませる。膨張オレフィンレジンは膨張オレフィンレジンに作用を及ぼす熱の適用及び/又は圧力の減縮のような条件及び条件のセットに曝すことによって発泡させることができる(すなわち膨張させことができる)。意図する製品及び/又は使用に望ましい各種性質を付与するために、コポリマーベースレジン、発泡されたオレフィンレジン、形成製品又は同種のものに対して1以上の添加剤を含ませることができる。膨張オレフィンビース、形状(form)、粒子、粉末又は同種のものは膨張オレフィンレジンの各種態様であり、総称として本明細書において、膨張オレフィンレジン粒子と言う。
【0030】
オレフィン
好ましくは、コポリマーベースレジンは1以上のオレフィンモノマー及び1以上のアルファ-オメガ-ジエン(α-ωジエン)モノマーを含む共重合反応生成物を含む。より好ましくは、コポリマーベースレジンは1以上のオレフィンモノマー及び1以上のα-ωジエンを含むメタロセンベース共重合反応生成物を含む。更なる好ましい態様は、プロピレン(すなわち、プロピレンモノマーを含む)及び1以上のα-ωジエンモノマーを含むメタロセンベース共重合反応生成物を含むコポリマーベースレジンである。好ましいコポリマーベースレジンは、2以上のオレフィンモノマー及び1以上のα-ωジエンモノマーの重合反応生成物を含む。好ましいオレフィンモノマーはアルファ-オレフィンモノマー、特にプロピレン及びエチレンモノマーである。
【0031】
使用に適したオレフィン(重合可能な反応性物質)は、エチレン、C3-C20アルファ-オレフィン又はジオレフィン(1のオレフィン官能価数を有するもの)である。アルファ-オレフィンの例は、例えば、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン及び同種のものを含む。更に、これらの混合物並びに、プロピレン及びエチレンの他にエラストマーを形成するためのモノマー化合物等の、他のアルファオレフィンとの組み合わせも用いることができる。結晶化可能なポリオレフィンを形成することができる、エチレン、プロピレン、スチレン及びブテン-1が特に好ましい。
【0032】
好ましくは、コポリマーベースレジンは、コポリマーの総重量に基づいて99.95乃至99.999 wt%のアルファオレフィンを有するコポリマーを含む。この数値範囲内で、99.9985 wt%以下のアルファオレフィン含量も用いることができる。アルファオレフィン含量は99.998 wt%以下が好ましく、99.997 wt%以下がより好ましい。また、99.955 wt%以上のアルファオレフィン含量が好ましく、99.96 wt%以上のアルファオレフィン含量がより好ましく、99.97 wt%以上のアルファオレフィン含量が特に好ましい。
【0033】
好ましい態様において、このコポリマーベースレジンは、コポリマーの総重量に基づいて0.001から0.05 wt%のα-ωジエンを含む。この数値範囲内において、0.045 wt%以下のα-ωジエン含量も用いることができる。0.04 wt%のα-ωジエン含量が好ましく、0.03 wt%のα-ωジエン含量がより好ましい。この数値範囲内では、0.0015 wt%以上のα-ωジエン含量も好ましく、0.002 wt%以上のα-ωジエン含量がより好ましく、0.005 wt%以上α-ωジエン含量が特に好ましい。
【0034】
他の態様において、コポリマーベースレジンはプロピレン及び1以上のプロピレン以外のオレフィンを含有するコポリマーを含む。このコポリマーは、コポリマーの総重量に基づいて、92乃至99.95 wt%のプロピレンを含むことが好ましい。この数値範囲内において、99.9 wt%以下のプロピレン含量も本発明に用いることができ、99.5 wt%以下のプロピレン含量がより好ましく、99 wt%以下のプロピレン含量がより好ましい。更に、96 wt%以上のプロピレン含量も好ましく、97 wt%以上のプロピレン含量が特に好ましい。
【0035】
以下でより詳述するが、プロピレン以外のオレフィン単位はコポリマーの総重量に基づいて、0.049 wt%から7.95 wt%コポリマー内に存在することが好ましい。この数値範囲内において、5.95 wt%以下のプロピレン以外のオレフィン含量も本発明に用いることができ、3.95 wt%以下のプロピレン以外のオレフィン含量が好ましく、2.95 wt%以下のプロピレン以外のオレフィン含量がより好ましい。更に、0.099 wt%以上のプロピレン以外のオレフィン含量も用いることができ、0.499 wt%以上のプロピレン以外のオレフィン含量がより好ましく、0.999 wt%以上のプロピレン以外のオレフィン含量が特に好ましい。
【0036】
本発明に用いるコポリマーベースレジンの重量平均分子量(本明細書において詳述するGPC法を用いて測定する)は30,000乃至500,000ダルトンであることが好ましい。この数値の範囲内において、400,000ダルトン以下の重量平均分子量を有するコポリマーも本発明に用いることができ、300,000ダルトン以下の重量平均分子量が好ましく、200,000ダルトン以下の重量平均分子量がより好ましい。また、この数値の範囲内において40,000ダルトン以上の重量平均分子量を有するコポリマーも本発明の使用に好ましく、50,000ダルトン以上の重量平均分子量がより好ましく、70,000ダルトン以上の重量平均分子量が特に好ましい。
【0037】
コポリマーベースレジンは、2乃至20の分子量分布を有する。分子量分布は数平均分子量に対する重量平均分子量(Mw/Mn)の比で定義される。本明細書ではMWDと略記する。この数値範囲において、18以下の分子量分布を有するものも本発明に用いることができ、10以下の分子量分布が好ましく、7以下の分子量分布がより好ましい。また、この数値範囲内において、2.1以上の分子量分布が本発明の使用に好ましく、2.5以上の分子量分布を有するコポリマーがより好ましい。
【0038】
コポリマーベースレジンは、核剤を添加しない状態で115 ℃以上の結晶化温度を有することが好ましい。130 ℃以下の結晶化温度を有するコポリマーも用いることができ、125 ℃以下の結晶化温度が好ましい。この幅の範囲内において、120 ℃以上の結晶化温度を有するコポリマーも好ましい。
【0039】
このコポリマーベースレジンは、230 ℃、2.16 kg負荷におけるASTM D-1238を用いて測定される溶融流量(MRF)が0.1 dg/分から100 dg/分であることが好ましい。この幅の範囲内において、50 dg/分以下の溶融流量を有するコポリマーも用いることができ、40 dg/分以下のMRFが好ましく、35 dg/分以下のMRFがより好ましい。また、0.5 dg/分以上のMRFを有するコポリマーも用いることができ、0.7 dg/分以上のMRFがより好ましく、1 dg/分のMRFが特に好ましい。
【0040】
コポリマーベースレジンの融点は165 ℃以下が好ましい。160 ℃以下の融点を有するコポリマーも用いることができる。155 ℃以下の融点を有するコポリマーが好ましい。
【0041】
21 CFR 177.1520(d)(3)(i)に従って測定される、コポリマーベースレジンのヘキサン抽出レベルは、コポリマーの総重量に基づいて2.0 wt%以下であることが好ましい。1.8 wt%以下のヘキサン抽出物レベルを有するコポリマーも本発明に用いることができ、1.5 wt%以下のヘキサン抽出物レベルが好ましく、1 wt%以下のヘキサン抽出物レベルがより好ましい。
【0042】
好ましい態様において、コポリマーベースレジンは、本明細書において詳述する測定法において歪速度1.0秒-1から1.0秒-1における線形粘度に対する破断点での伸延粘度の比が2.5以上である。歪速度1.0秒-1から1.0秒-1における線形粘度に対する破断点での伸延粘度の比が3.0以上で3.5以下のコポリマーベースレジンが好ましい。
【0043】
上で説明したように、本発明のコポリマーベースレジンは、アルファ-オレフィンを含む反応体混合物を含むコポリマーのブレンド、特にホモポリマーを含むコポリマーのブレンドを含む態様もある。例えば、直鎖ポリプロピレンを用いた反応体混合物、より具体的には、メタロセン触媒により製造されたポリプロピレンを含む反応体混合物を本発明に用いることができる。
【0044】
好ましくは、コポリマーベースレジンは、「分岐」を有することが好ましい。本明細書において述べるように、「分岐」の語は、1以上のアルファ-オレフィンの重合により形成された2以上のポリマー鎖間に存在するα-ωジエン単位の結合を含む。
【0045】
好ましくは、コポリマーベースレジンの中の分岐鎖は、非分岐コポリマーと比較した場合、他の特有の性質のほかに溶融強度をも改善する。分岐の総量は、U.S. Patent No. 6,225,432に記載されている分岐ポリオレフィンの重量平均分岐インデックスg'を用いて決定することができる。重量平均分岐指数g'は、g'= [Rg] 2分岐/ [Rg] 2 直鎖で定義される。この式において、Rgは多角度レザー散乱光(Multi-Angle Laser Light Scattering)を用いて測定することができる回転半径である。すなわち、[Rg] 分岐は分岐ポリマーの回転半径、[Rg] 直鎖は直鎖ポリマーの回転半径である。直鎖ポリマーの分岐指数を1.0として分岐ポリマーの分岐の程度が定義される。すなわち、分岐指数g'の値が減少すると、コポリマーの分岐が増える。
【0046】
代替的に、分岐指数は、g"= [lV] 分岐/[IV] 直鎖とも定義することができる。この式において、IVはそれぞれ、分岐ポリマー及び直鎖ポリマーの固有粘度数である。B. H. Zimm and W. H. Stockmayer, J. Chem Phys. 17,1301 (1949) 参照のこと。本明細書で開示するポリマーについては、g'はg"に比例していることが好ましく、より好ましくはg'はg"と等しい。
【0047】
重量平均分岐指数g"は0.99から0.6であることが好ましい。この数値の範囲内において、0.95以下の分岐指数を有するものも用いることができる。この幅の範囲内において0.65以上の分岐指数も好ましく、0.9以上の分岐指数がより好ましく。0.93以上の分岐指数が特に好ましい。
【0048】
発泡剤
発泡剤は、コポリマーベースレジンの内部に取り込まれるか、又は他の方法で配置される揮発性発泡剤である。発泡剤は、揮発性物質又はマイナス200 ℃(すなわち-200 ℃、73K)乃至150 ℃(すなわち423 K)の温度幅において揮発させることができる物質であることが好ましい。発泡剤は、-200 ℃乃至150 ℃の沸点を有することが好ましい。この幅の範囲内において、120 ℃以下の沸点を有する発泡剤も用いることができる。110 ℃以下の沸点を有する発泡剤も好ましく、100 ℃以下の沸点を有する発泡剤がより好ましい。-195 ℃以上の沸点を有する発泡剤も用いることができ、-170 ℃以上の沸点を有する発泡剤がより好ましく、-80 ℃以上の沸点を有する発泡剤が特に好ましい。
【0049】
膨張ポリオレフィンレジンを製造するために、コポリマーベースレジンの中に添加し及び/又は含浸させる発泡剤の濃度は、発泡剤の種類又は用いる他の薬剤、所望のコポリマーベースレジンの嵩密度及び膨張オレフィンレジンの製造条件により変動する。膨張オレフィンレジン中の発泡剤の濃度は、コポリマーベースレジンの総重量に基づいて0.01wt%から40wt%であることが好ましい。
【0050】
本発明に用いる発泡剤はブテン、ペンテン、ヘキサン、及び/又はヘプタンのような脂肪族炭化水素を含む。トリクロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、テトラクロロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、メチレンクロライド及び/又はエチルクロライドのようなハロゲン化炭化水素も単独で又は1以上の前記発泡剤と組み合わせて用いることができる。発泡剤は水を単独で、あるいは有機酸又は無機酸の発泡剤と組み合わせて含む場合もある。発泡剤は、メタン、エタン、エチレン、プロピレン、エチン、プロピン及び/又は同種のもの等の有機気体物質も含む。好ましい態様において、発泡剤は窒素、酸素、空気、ヘリウム、アルゴン及び/又は二酸化炭素を含む。
【0051】
発泡剤は化学反応により揮発性物質を製造することができる成分も含む。例えば、発泡剤は、CO2を生産するために結合する、有機酸、無機酸及び/又は炭酸塩を含む。好ましい態様において、有機酸はクエン酸又はそれらの塩を含み、炭酸塩は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、又はこれらのうちの少なくとも1を含む混合物である。発泡剤は、U.S. Patent No.6,479,089に記載されているような-5 ℃から150 ℃の沸点を有するアルカン、アルカノール、ケトン、エーテル、及びエステルからも選択される。
【0052】
添加剤及び改質剤
本発明に適した添加剤は、オレフィンポリマー、コポリマー、及びブレンドと共に用いることができるものを含む。例は、熱安定剤、抗酸化剤、中和剤、滑剤、抗ブロック剤、顔料、抗曇剤、抗静電気剤、清澄剤、核剤、紫外線吸収剤及び光安定剤、充填剤、炭化水素レジン、ロジン又はロジンエステル、ワックス、可塑剤、水素化炭化水素レジンであり、他の可塑剤も改質剤として単独で又は他の添加剤と組み合わせて使用することができる。添加剤の効果的なレベルは、コポリマーベースレジン、製造方法、最終製品等により変動する。添加剤の適切なレベルは、コポリマーベースレジンの総重量に基づいて通常50wt%以下である。
【0053】
触媒としてメタロセン化合物を用いて重合したプロピレンレジンと、添加剤、他のレジン及びエラストマーをブレンドすることは本発明の範囲内である。そのような態様においては、例えば、抗酸化剤、紫外線吸収剤、抗静電気剤、難燃剤、金属不活性物質、充填剤、顔料及び核剤のうちの1以上の添加剤を必要に応じて用いる。添加剤の好ましい量は、目的とする性質により変動するが、通常は本発明のコポリマーベースレジン100重量部に対して20重量部以下、好ましくは5重量部以下である。
【0054】
コポリマーベースレジンはプロピレンレジン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等のチグラー-ナッタ触媒の存在下で重合された各種レジン、低密度ポリエチレン等の高圧法で製造されたポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、及びエチレンカルボンモノオキシドコポリマー等のポリオレフィンレジン、並びに非結晶ポリスチレンレジン、結晶性ポリスチレンレジン、塩化ビニルレジン、ポリアミドレジン、ポリアセチルレジン、及びポリカルボネートレジン等の各種レジンを含むことができる。このような態様において、混合されるレジンの量は、総コポリマーベースレジン100重量部に対して100重量部未満であり、好ましくは50重量部未満、より好ましくは10重量部未満である。
【0055】
コポリマーベースレジンは、エラストマーも含むことができる。好ましいエラストマーは、エチレンプロピレンラバー、エチレン-1-ブテンラバー、プロピレン-1-ブテンラバー、スチレン-ブタジエンラバー、及び/又はそれらの水素化生成物等の固形ラバーを含む。コポリマーベースレジンはポリスチレンエラストマーのようなエラストマーも含む。例えば、スチレン-ブタジエンブロック共重合エラストマーを用いることができる。好ましいエラストマーは、例えば、エチレンプロピレンラバー、エチレン-ブテン-1ラバー、及びプロピレン-ブテン-1ラバーのようなエラストマー様オレフィンポリマーを含む。L-ロータを用いて100 ℃でASTM-D1646の方法で測定されるこのようなエラストマーのムーニー粘度は1乃至100であることが好ましい。
【0056】
反応器外及び反応器内の両方で、他のポリマー、特に他のポリオレフィンと本発明のコポリマーを混合することができる。好ましい物質の特定の例は、エチレン-プロピレンラバー、エチレン-プロピレンジエンラバー、及びEXCAT(エクソンモービル ケミカル カンパニー)、AFFINITY及びENGAGE(ダウケミカルカンパニー)の取引名で市販されているレジン等のエチレンプラストマーを含むがこれらに限定されない。エチレン及び/又はプロピレンプラストマー又はエラストマーとの反応体混合物も本発明の範囲内である。
【0057】
ポリプロピレン-α-ωジエンコポリマーと組み合わせて用いる他のコポリマー、ターポリマー、及び同種のものは、エチレン及びブテンをランダムコポリマー及びインパクトコポリマーの形態で有するものを含む。ランダムコポリマーは、その主鎖内にランダムに挿入されたエチレンあるいは、他のコモノマーを6wt%まで含む。鎖の中へ不規則な挿入があることから、結晶化温度及び融点が低くなる。ランダムコポリマーは、透明度を改善し、融点を低くするために使用される。低い弾性率が好まれる場合にも使用される。U.S. Patent No. 6,583,227参照のこと。
【0058】
異相(heterophasic)コポリマーとして知られるインパクトコポリマーは、好ましくは、ホモポリマー基質内に、均一に分散されたエチレン-プロピレンラバー(ERP)を40wt%以下含む。取り込まれたラバーの総量により変動するけれども、50 wt%エチレンを有するERPは、総重量に基づき8 %から20 %のエチレンを有するインパクトコポリマーになる。名前において示唆されている様に、インパクトコポリマー製品は特に低温における衝撃強度が優れていることが好ましい。Polypropylene Handbook, Edward P. Moore, ed., p 5, Hanser Publishers, 1996参照のこと。
【0059】
本発明の使用に適したインパクトコポリマーの例は、U.S. Patent No. 5,258,464及びU.S. Patent No. 5,362,782に開示されているものを含む。ホモポリマー相(第一成分)の固有粘度に対するコポリマーラバー相(第二成分)の固有粘度が同じになるような割合で核剤が添加され、コポリマー相のエチレン含量は38 wt%乃至60 wt%である。これらのプロピレンインパクトコポリマーは、衝撃強度及び応力白化現象に対する耐性だけでなく良好な透明度を有する製品を生産することを目的としている。核剤は、耐性及び衝撃強度を増す。U.S. Patent No.5,250,631は、応力白化現象に対する耐性を備えた高い衝撃強度を得るためのホモポリプロピレン第一成分及びエチレン/ブテン/プロピレンターポリマー第二成分を有するプロピレンインパクトコポリマーを開示する。U.S. Patent No.5,948,839は、7乃至60 dg/分の溶融流量を有する組成物を生産するために、第一成分と55乃至65 %のエチレンを有するエチレンプロピレン第二成分を25乃至45 wt%含むインパクトコポリマーを開示する。U.S. Patent No.5,990,242は、ハフノセンタイプのメタロセンを用いて製造されたプロピレンコポリマーではなく、エチレン/ブテン(より高いアルファオレフィン)コポリマー第二成分の使用を開示する。U.S. Patent Nos. 6,492,266、6,492,473、6,492,465、6,472,474、6,399,707、6,384,142、6,342, 566、6, 288,171、6,268,438、6,225,412、6,111,039、6,087,459、5,747,592、5,225, 483、5,066,723、5,011,891、及び4,843,129を参照のこと。これらの全文献の内容を本明細書中に参照により援用する。
【0060】
ジエン
適切なα-ωジエンの例は、少なくとも7乃至30までの炭素原子、より好ましくは8乃至12の炭素原子を含むα-ωジエンである。そのようなα-ωジエンの具体的な例は、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,10-ウンデカジエン、1,11-ドデカジエン、1,12-トリデカジエン、1,13-テトラデカジエン、及び同種のものを含む。これらの中で、1,7-オクタジエン及び1,9-デカジエンがより好ましい。特に好ましいのは1,9-デカジエンである。ジエン含量は例えば、赤外線分光法を用いて722 cm-1における吸光度を測定することにより評価することができる。分岐、置換α-ωジエンとして、2-メチル-1,9-デカジエン、2-メチル-1,7-オクタジエン、3,4-ジメチル-1,6-ヘプタジエン、4-メチル1,7-オクタジエン又は3-エチル-4-メチル-5プロピル-1,10-ウンデカジエンも本発明のジエンに含まれる。
【0061】
α-ωジエンが好ましい一方で、他のジエンも本発明のポリマーを作るために用いることができる。他のジエンは、コポリマーベースレジンの交差架橋となるものが好ましい。そのような他のジエンは、好ましくは、ビニルノルボルネンのような環状ジエン又はジビニルベンゼンのような芳香族タイプのジエンである。
【0062】
触媒組成物
本明細書で用いるのに好ましい触媒は、メタロセンタイプの触媒を含む。本明細書で用いる「メタロセン」及び「メタロセン組成物」の語は、通常式CpMRXqで表される化合物を言う。この式において、Cpは、置換されたシクロペンタジエニル環又はそれらの置換誘導体である。Mは例えば、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタラム、クロミウム、モリブデン、及びタングステンの4、5又は6族の遷移金属である。Rは1から20の炭素原子を有するヒドロカルビル基又はヒドロカルボキシ基である。Xはハロゲンであり、m=1乃至3、n=0乃至3、q=0乃至3であって、m+n+qの和は遷移金属の酸化状態と等しい。
【0063】
本発明に用いるメタロセンの製造及び使用方法は、U.S. Patent Nos. 4,530,914、4,542,199、4,769,910、4,808,561、4,871,705、4,933,403、4,937,299、5,017,714、5,026,798、5,057,475、5,120,867、5,278,119、5,304,614、5,324,800、5,350,723、及び5,391,790に開示されている製造及び使用方法を含む。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
【0064】
メタロセンの調製方法は、the Journal of Organometallic Chem., volume 288, (1985), 63乃至67頁、及び EP-A-320762に記載されている。両文献を参照により本明細書に援用する。
【0065】
メタロセン触媒組成物は、U.S. Patent Nos. 5,145,819、5,243,001、5,239,022、5,329,033、5,296,434、5,276,208、5,672,668、5,304,614、5,374,752、5,240,217、5,510,502 及び5,643,847並びにEP 549 900及び576 970に記載されている。これらの文献の内容を本明細書に参照により援用する。
【0066】
好ましいメタロセンの具体的で非限定的な例は、
ジメチルシランイルビス(2-メチル-4-フェニル-1-インデニル)ZrCl2
ジメチルシランイルビス(2-メチル-4,6-ジイソプロピルインデニル)ZrCl2
ジメチルシランイルビス(2-エチル-4-フェニル-1-インデニル)ZrCl2
ジメチルシランイルビス(2-エチル-4-ナフチル-1-インデニル)ZrCl2
フェニル(メチル)シランイルビス(2-メチル-4-フェニル1-1-インデニル)ZrCl2;
ジメチルシランイルビス(2-メチル-4-(1-ナフチル)-1-インデニル)ZrCl2
ジメチルシランイルビス(2-メチル-4-(2-ナフチル)-1-インデニル)ZrCl2;
ジメチルシランイルビス(2-メチル-インデニル)ZrCl2;
ジメチルシランイルビス(2-メチル-4,5-ジイソプロピル-1-インデニル)ZrCl2
ジメチルシランイルビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ZrCl2
フェニル(メチル)シランイルビス(2-メチル-4,6-ジイソプロピル-1-インデニル)ZrCl2
1,2-エタンジイルビス(2-メチル-4,6-ジイソプロピル-1-インデニル)ZrCl2;
1,2-ブタンジイルビス(2-メチル-4,6-ジイソプロピル-1-インデニル)ZrCl2
ジメチルシランイルビス(2-メチル-4-エチル-1-インデニル)ZrCl2
ジメチルシランイルビス(2-メチル-4-イソプロピル-1-インデニル)ZrCl2;
ジメチルシランイルビス(2-メチル-4-t-ブチル-1-インデニル)ZrCl2
フェニル(メチル)シランイルビス(2-メチル-4-イソプロピル-1-インデニル)ZrCl2
ジメチルシランイルビス(2-エチル-4-メチル-1-インデニル)ZrCl2
ジメチルシランイルビス(2,4-ジメチル-1-インデニル)ZrCl2
ジメチルシランイルビス(1,2-メチル-4-エチル-1-インデニル)ZrCl2
ジメチルシランイルビス(2-メチル-1-インデニル)ZrCl2
である。
【0067】
活性剤
メタロセンは、通常いくつかの活性剤と組み合わせて用いられる。活性剤としてアルキルアルモキサンが通常用いられるけれども、最も好ましいのはメチルアルモキサン(MAO)である。U.S. Patent Nos.4,665,208、4,952,540、5,091,352、5,206,199、5,204,419、4,874,734、4,924,018、4,908,463、4,968,827、5,308,815、5,329,032、5,248,801、5,235,081、5,103,031及びEP-A-0561476、EP-B1-0279586、EP-A-0594218及びWO/94/10180に各種アルモキサン調製方法が開示されている。これらの文献を参照により本明細書に援用する。活性剤は、触媒活性を有するメタロセンカチオンと共同して非配位性アニオンを形成するもの又は該非配位性アニオンを含むものも含む。フルオロアリル置換のボロンとアルミニウムの化合物又は複合体が特に好ましい。例えば、U.S. Patent Nos.5,198,401、5,278,119及び5,643,847参照のこと。
【0068】
担持物質
本発明の方法に用いる触媒組成物は、任意で、クレイ、タルク、無機酸化物又は無機塩化物並びにポリオレフィン又は高分子化合物のようなレジン様物質等の特定の物質を用いて担持させることができる。
【0069】
好ましくは、周期表2、3、4、5、13、及び14族の金属酸化物を含む担持物質は、多孔性の無機酸化物である。シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ及びそれらの混合物が特に好ましい。単独であるいはシリカ又はシリカアルミナと組み合わせて用いられる他の無機酸化物は酸化マグネシウム、チタニア、ジルコニア及び同種の物である。
【0070】
特に好ましい担持物質は、二酸化ケイ素粒子である。二酸化ケイ素粒子については本技術分野において良く知られており、数多の会社より市販されている。好ましくは、本明細書で用いる二酸化ケイ素は、多孔性物質であり、10乃至700 m2/gの幅の表面積、0.1乃至4.0 cc/gの総細孔容積及び10乃至500ミクロン幅の平均粒子径を有するものである。50乃至500 m2/gの表面積、0.5乃至3.5 cc/gの幅の細孔容積及び15乃至150ミクロンの幅の平均粒子径を有する二酸化ケイ素がより好ましい。100乃至400 m2/gの表面積、0.8乃至3.0 cc/gの細孔容積及び20乃至100ミクロンの幅の平均粒子径を有する二酸化ケイ素が最も好ましい。典型的な二酸化ケイ素担持物質の平均細孔径は、10乃至1000Åである。50乃至500Åの平均直径を有する支持物質が好ましい。最も好ましいのは75乃至350Åである。本発明に用いる担持物質は、タルク、クレイ、シリカ、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、酸化鉄、ホウ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、トリア、リン酸アルミニウムゲル、ポリ塩化ビニル及び置換ポリスチレン並びにこれらの混合物であることが好ましい。
【0071】
担持触媒組成物は直接重合に用いられるか、あるいは本技術分野においてよく知られた方法を用いて予備重合される。重合についての詳細はU.S. Patent Nos.4,923,833、4,921,825及び5,643,847並びにEP279863及びEP354893参照のこと(これらの文献を参照により本明細書に援用する)。
【0072】
重合
ポリマー鎖を素早く固定してポリマーを形成させるために、触媒部位が相対的に不溶性及び/又は固定化された触媒を用いたスラリー重合法を用いてα-ωジエンとオレフィンの共重合反応生成物であるコポリマーを調製することができる。そのような固定化は、例えば、(1)固形、不溶性触媒の使用、(2)得られるコポリマーが通常不溶性となるような媒質を用いた重合処理及び(3)コポリマーの結晶化融点以下で重合反応物及生成物を維持することにより達成される。
【0073】
上で述べたメタロセン担持触媒組成物は、α-ωジエン及びオレフィンの共重合に好適である。α-ωジエン及びオレフィン、特にアルファオレフィンの共重合に適した重合方法は、液体重合法、スラリー重合法、及び低圧ガス相重合法を含む当該技術分野においてよく知られている方法である。メタロセン担持触媒組成物は、特に、単式、連続式又は平行式反応器における固定床、移動床、流動床又はスラリー工程を採用する既知の操作方式において有用である。
【0074】
前記重合方法のいずれかを用いることができるが、プロピレンが選択されたオレフィンである場合、プロピレンの重合方法は、通常、プロピレン等の液体モノマー、炭化水素溶媒又は希釈剤、特に、プロパン、イソブタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等のような脂肪族パラフィン、又はトルエンのような芳香族希釈剤のいずれかを重合媒質として用いるスラリー工程で行われる。この場合には、重合温度の下限は、例えば、50 ℃未満、好ましくは、0 ℃乃至30 ℃の間の温度であり、上限の温度は150 ℃まで、好ましくは、50 ℃乃至80 ℃の間の温度であることが好ましい。圧力は、100乃至700 psia(0.69乃至4.8 MPa)の間で変動する。詳細はU.S. Patent Nos.5,274,056及び4,182,810並びにWO94/21692に記載されている。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
【0075】
より具体的には、プロピレン/α-ωジエンコポリマーを形成する重合方法は、プロピレンモノマー及びα-ωジエンモノマー等を重合させるのに適切な条件下で、触媒及び好ましくはメタロセン触媒を重合反応物と接触させる工程、及び、プロピレン/α-ωジエンコポリマーを回収する工程を含む。好ましくは、このメタロセン触媒は、ジルコニウムメタロセン触媒である。更に、接触工程は水素及びエチレンモノマーを含む。重合温度で平衡状態にある液体プロピレンのガス相濃度の測定により、水素は100 ppm乃至50,000 ppmの幅の濃度で存在する。500 ppm乃至20,000 ppmの水素濃度が好ましく、1,000 ppm乃至10,000 ppmの水素濃度が最も好ましい。
【0076】
スラリー又はガス相反応工程におけるポリマー粒子の均一性をさらに制御するために、予備重合を用いることができる。例えば、これは、C2-C6アルファ-オレフィンを所定の時間予備重合することにより行う。例えば、-15 ℃から30 ℃の温度及び250 psig(1724kPa)のエチレン圧力で75分間、支持体上にコーティングされたポリプロピレンを得るために、エチレンを担持メタロセン触媒組成物に接触させる。この予備重合触媒は、上で説明する重合工程に使用することができる。類似の方法は、予め重合したポリマーで被われた担体上で活性化させた触媒を重合工程に用いる方法である。
【0077】
更に、導入された供給原料、溶媒又は希釈剤由来の重合毒を、除去又は中和により減らすかあるいは排除することが好ましい。例えば、モノマー供給原料又は反応希釈剤を前処理するか、あるいは適切な除去剤を用いて重合反応器の中で処理する。通常、この工程に用いる除去剤は、U.S. Patent No.5,153,157、WO-A-91/19882、WO-A-94/03506及びWO-A-93/14132に記載されている13族有機金属化合物を利用した除去剤である。
【0078】
コポリマーベースレジン
コポリマーベースレジンを製造するために、混合、添加、又は他の方法を用いて、前述の成分及び他の成分を、コポリマーベースレジン、好ましくはポリプロピレンコポリマーベースレジンと混合する。好ましい態様において、各種成分は、液体状態及び/又は固形状態でプロピレンコポリマーベースレジンに取り込まれる。このためには、溶融混練及び同種の方法が好ましい。混練はロール機、押出成形機、バンバリーミキサー(Banbury mixer)、混練機、配合機又は粉砕機等の各種混練装置を用いて、好ましい温度で行う。混練の後、生成物は、適切なサイズの粒子、ビース又は意図する製品を形成するのに適した形態に顆粒化される。顆粒化方法は、研磨、切断、ストランドカット法、水中カット法、ホットカット法、ミストカット法、シートカット法、凍結粉砕法及び/又は溶融スプレー法を含む。
【0079】
膨張顆粒(すなわち、発泡剤を含むコポリマーベースレジン)は各種方法により製造することができる。膨張オレフィンレジンを製造する方法は、好ましくは大気圧以上の圧力で、コポリマーベースレジンを発泡剤と接触させる工程、あるいは好ましくはオレフィンコポリマーベースレジンの軟化点以上の温度で加熱する工程のいずれかあるいは両方を含む。
【0080】
本発明は、発泡剤を含む別個の膨張粒子を製造するためにコポリマーベースレジン粒子が、更に発泡剤を含浸する態様を含む。他の態様において、コポリマーベースレジンの含浸は、発泡製品の形成における中間工程である。この態様において、ベースコポリマーの粒子の含浸は、発泡製品の形成前に、成形用の型の中で、槽内で、あるいは、他の装置の一部の中で行われる。更なる態様において、発泡剤は押出形成工程又は他の混合工程の間に、コポリマーに取り込まれる。この態様において、発泡製品は押出形成機の出口で製造される。
【0081】
別の膨張粒子(すなわち、発泡剤を含むコポリマーベースレジン)を製造するための方法は、密閉コンテナ内でコポリマーベースレジンを液体中に分散する工程、好ましくは、分散剤を含む水溶液内に分散する工程を含む。水の中でレジン粒子を分散させるために用いるのに好適な分散剤の例は、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム(塩基)、第三リン酸カルシウム及びリン酸マグネシウム等の無機酸懸濁剤;ポリビニルアルコール、メチルカルボキシセルロース及びN-ポリビニルピロリドンのような水溶性高分子保護コロイド;及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、オレフィンスルホン酸ナトリウム、アシルメチルタウリン及びジアルキルスルホスクシニ酸ナトリウムのような陰イオン表面活性剤である。
【0082】
これらの中で、0.01から0.8マイクロメートルの粒子径を有する第三リン酸カルシウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの混合物を懸濁剤として用いることが望ましい。第三リン酸カルシウムの微粒子は0.60から0.67モルのリン酸と1モルの水酸化カルシウムを水の中で反応させることにより得ることができる。
【0083】
分散媒質として用いる水の量は、レジン粒子100重量部に対して150から1000重量部、好ましくは200から500重量部である。150重量部より少ない場合には、レジン粒子が加圧工程でブロッキングを起こす傾向がある。1000重量部を超えると、膨張粒子の生産性が減少する。
【0084】
発泡剤を閉鎖されたコンテナの中に供給し、次いで、少なくともコポリマーベースレジン粒子の軟化点まで分散液を加熱することが好ましい。しかしながら、反応コンテナを加熱する前、過熱中あるいは過熱後に発泡剤を添加することもできる。発泡剤は、全量を一度に添加することもできるが、少量ずつ添加することもできる。
【0085】
適切な温度で適切な量を適切な時間加熱した後、閉鎖コンテナ中の分散液の液面より下方に設置されている開口部を開ける。このことにより、閉鎖コンテナの中よりも低い圧力である大気圧中に発泡剤を含有するレジン粒子を含む水溶性懸濁液が放流される。圧力を調節するために、閉鎖コンテナへ発泡剤を添加する前又は後に、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素ガス又は空気等の無機ガスを供給することが好ましい。すなわち、分散液の加熱前、あるいは加熱後のいずれかでのタイミングで無機ガスを供給する。空気、窒素ガス、ヘリウム、アルゴン、又は、二酸化炭素ガス等の無機ガスは、レジン粒子への発泡剤の取り込みを促進させる。
【0086】
好ましい態様は、前述のポリプロピレン/α-ωジエンコポリマーベースレジン粒子を懸濁剤と共に水溶液中に分散し、次いで、ガス状の発泡剤として二酸化炭素を閉鎖コンテナ中へ供給することである。その後、コンテナ内を加熱と同時にコンテナ内の圧力が上昇して発泡剤をレジン粒子内に取り込せるために、懸濁液をポリマーベースレジンの軟化点以上の温度に加熱する。その後、水及び分散剤とともに開口部、例えば閉鎖コンテナの低い部分に設置されているスリット又はノズルからより低い圧力領域(例えば、大気圧、空気)へレジン粒子を放流する。このことにより。プロピレン/α-ωジエンコポリマーベースレジン膨張粒子が生産される。
【0087】
一の態様において、表面に付着している水を除去するために放流された膨張粒子を、30乃至65 ℃の温度で乾燥/成熟し、次いで、例えば、バンパーのコア材料、包装コンテナ及び同種のものを製造するために、好ましくは成形用の型の中で発泡を行う。
【0088】
本発明のポリプロピレンレジン膨張粒子は、任意の粒子径を有するが、2.5メッシュ(Tyler series)の篩を通過し、30メッシュ(Tyler series)の篩には保持されるような粒子径を有することが好ましい。この粒子は正確な球状から円筒形のような各種形態をしている。
【0089】
発泡させた膨張オレフィンレジンを含む発泡製品を製造するための好ましい工程は、発泡オレフィンレジンの加熱工程、膨張オレフィンレジンに適用している圧力の低減工程の一方あるいは両方を含む。この工程は、好ましくは、製品のおおよその最終形態に近い成形用の型の中で行われる。しかしながら、一旦形成された発泡製品は最終製品になる前に更なる加工を必要とする。
【0090】
本発明の膨張粒子あるいはビーズを発泡製品へ発泡及び/又は成形するために各種方法が用いられる。例えば、圧縮成形法は、膨張ポリオレフィン粒子を成形用の型の中に配置し、容積が15乃至50 %まで減るように圧縮し、融合させる方法である。1乃至5 kg/cm3の導入流れが好ましい。成形製品を得るために、その後、この型を冷却する。他の態様において、膨張ビーズを部分的に成形用の型内であるいは他の方法で膨張させ、その後再度上で述べたように発泡剤を含浸させる方法も用いることができる。
【0091】
次に、粒子を融合させるためだけでなく、二次発泡を引き起こすために、好ましくは蒸気とともに、二度発泡剤を含浸させた粒子を成形用の型内に配置し加熱する。他の態様において、空気又は窒素ガス等の無機ガスが導入されている所定の圧力を有する閉鎖チャンバー内に膨張粒子を導入する。それゆえ、膨張粒子の小胞内の圧力が、二次発泡能力を付与するために高くなる。そして、粒子を共に融合するだけでなく、二次発泡を実施するために、好ましくは蒸気とともに、二次発泡能力を有する得られた粒子を成形用の型中に配置し、加熱する。(U.S. Patent No.4,379,589及びEP-53333-Aに記載の「加圧熟成(pressurized aging)」と呼ばれている方法を参照のこと)。
【0092】
更なる態様において、成形用の型の中の圧力が0.5以上になるように圧縮ガスを調整した条件下で、膨張粒子を一部分ずつ連続して導入する。成形用の型内の圧力は1.0から6.0 kg/cm2が好ましく、加圧されたガスで圧力を維持する。従って、膨張粒子の充填の間、成形用の型内の圧力は維持されているが、充填の後、大気圧にまで圧力を減少させる。その後、以下で示す方程式により表される膨張粒子の圧縮率を制御するために、好ましくは蒸気と共に、張粒子を加熱し融合させる。
【0093】
圧縮率 (%) =[(W/p)-V]/ [W/p] * 100
この式おいて、W、V、及びPをそれぞれ以下の様に定義する。
【0094】
W: 成形製品の重量 (g)
V: 成形製品の容量(リットル)
p:空気中での膨張粒子の 嵩密度 (g/リットル)
圧縮率は40から70%の幅であることが好ましい。
【0095】
圧縮ガスを用いて0.5から5.0 kg/cm2まで高められた圧力を有する型の中で行われる発泡方法を用いて本発明の膨張粒子又はビースを製品に成形する。0.5 kg/cm2以上で1時間又はそれ以上の間加圧されたガスと共に、一次加圧処理により得られた気体内部圧力を有する膨張ビースを連続して部分的に充填する。充填の間成形用の型の中では、前述の圧力が維持されており、充填が終了した後に、この圧力を再び大気圧にまで減少させる。上で定義した方程式で、40 %未満の(0 %を含む)膨張粒子の圧縮率を得るために、好ましくは蒸気とともに、膨張粒子を加熱し融合させる。更なる態様において、粒子を融合させるためだけでなく二次膨張を制御するために、成形用の型の割れ目の中へ又は成形用の型の中へ、二次膨張能力を有する膨張粒子を同じ圧力で充填し、その後、好ましくは蒸気と共に加熱する。(U.S. Patent Nos. 4,777,000及び4,720,509参照のこと)。
【0096】
成形用の型に導入される液体中ではなく、所望の製品を生産するために設計された成形用の型の中、チャンバー内又は反応器内において、成形に先立ち、コポリマー粒子に直接発泡剤を含浸させる態様も好ましい。この態様において、発泡剤を取り込む成形用の型の中に粒子を装填し、好ましくは、コポリマーの軟化点以上に加熱された圧力下で取り込まれる。発泡剤をコポリマーの中に取り込んだ後に、圧力を放出し、及び/又は発泡剤を取り込んだコポリマー粒子に発泡及び融合を引き起こすために更なる加熱を行うことが好ましい。このことにより、意図する発泡製品が成形される。
【0097】
上で説明した任意の方法を用いることができるが、これらの方法は膨張粒子の性質、形状、又は成形製品の密度を考慮して選択される。この方法は、例えば、参照により本明細書に援用されるEncyclopedia of Chemical Technology, by Kirk-Othmer, Fourth Edition, vol.11, 730-783頁に記載されている。
【0098】
好ましい態様において、発泡剤は、混合、押出成形及び/又は混練工程の間に直接コポリマーに取り込まれる。押出形成工程の間に適用される加熱時の圧力下で発泡剤をコポリマー内に取り込むことが好ましい。押出成形物はその後大気圧又は(コポリマーに適用した圧力に対して)低い圧力に曝され、好ましくは、成形用の型に設置されている又は他の開口部を通じての加熱の間、発泡剤が供給されるので、コポリマーは発泡を引き起こす。このことにより、シート、バー等の成形製品が製造される。この態様において、この工程の間に固形、液体及び/又は気体の状態で、発泡剤は直接コポリマーに取り込まれる。この工程に必要とされる最適な圧力、温度、及び発泡剤の濃度は用いられる発泡剤及び押出成形される製品の密度に関係する。
【0099】
発泡剤の好ましい濃度は、コポリマーベースレジンの総重量に対する発泡剤の総重量にもとづいて0.01 wt%乃至40 wt%である。この幅の範囲内で、コポリマーベースレジンの総重量に基づいて20 wt%以下の発泡剤の濃度も用いることができる。10 wt%以下の発泡剤の濃度が好ましく、5 wt%以下の発泡剤の濃度がより好ましい。コポリマーベースレジンの総量に基づいて0.1 wt%以上、好ましくは0.5 wt%以上、より好ましくは1 wt%以上の発泡剤の濃度を用いる。
【0100】
本明細書に基づいて製造される発泡製品は、好ましくは、0.001 g/mlから0.8 g/mlの嵩密度を有することが好ましい。この幅の範囲内で、0.6 g/ml以下の発泡嵩密度を有する発泡製品も製造することができる。0.5 g/ml以下の嵩密度を有する製品も好ましく、0.4 g/ml以下の嵩密度を有する製品がより好ましい。この幅の範囲内において、0.01 g/ml以上の嵩密度を有する製品が好ましく、0.05 g/ml以上の嵩密度を有する製品がより好ましく、0.1g/ml以上の嵩密度を有する製品が特に好ましい。
【0101】
発泡製品は建築及び自動車製品に特に有用である。建築材料の例は、断熱材、防音材、工業用及び住宅用製品及び包装材を含む。自動車製品の例は、バンパーガード、ダッシュボード及び内部裏地等の自動車の内装及び外装の部品である。
【実施例】
【0102】
実施例を製造するために、本発明のジエンポリプロピレンコポリマーを用いて発泡製品を製造した。比較のために、市販材料 Montell PF-814から比較例を製造した。以下で説明する触媒を用いて本発明のジエンプロピレンコポリマー製造をした。窒素でパージした乾燥グローブボックス内において上部に攪拌器が設置されている反応管へとか焼シリカ(500 g)を装填した。ヘキサン(2 L)中にトリス(ペルフルオロフェニル)ボロン(30 g、0.059モル)を溶解した溶液をか焼シリカに添加し、次いで、N、N-ジエチルアニリン(96 ml、0.061モル)を添加した。この混合物を49 ℃で1時間攪拌した。ジメチルシイルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル(4.5 g、0.0077モル)、ヘキサン(820 ml)、トリスエチルアルミニウム(187 ml、ヘプタン中25 wt%)及び1,9-デカジエン(10 ml)を別の容器内で混合し、スラリーを形成した。この態様において、触媒を安定させるための、例えば、その有効期限を改善するためのルイス塩基として1,9-デカジエンを使用した。このスラリーを、シリカを含む反応管に移した。この混合物を49 ℃で更に1時間攪拌した。14時間窒素でパージすることによりこの溶媒を除去し、自由流動性(free flowing)固形触媒を得た。得られたメタロセン触媒は1 g当たり0.015ミリモルの遷移金属を含んでいた。
【0103】
コポリマーを2つの容量150ガロンの自動冷却沸騰液体反応器の攪拌タンク内で調製した。2の攪拌タンク内の環境を以下に示す。
【表1】

ジエン濃度が125から375 ppmになる間H2は3000 ppmに維持されていた。所望のMFRを得るためにH2及びジエン濃度を調節した。このコポリマーは250 ppmのジエン濃度、5 dg/分のMRF、97,000のMn、97,000のMw、145 ℃のTm及び124.4 ℃のTcを有していた。
【0104】
注入-発泡剤としてCO2を用いた押出成形法により実施例試料と比較例試料を発泡させた。
【0105】
深さ0.8インチ、直径2.5インチのディスクを成形し、各種試験を行った。ポリマーの硬化(すなわち発泡)は一工程で行った。当該技術分野で知られている方法を用いて得られた発泡ディスクを分析した。コポリマーの溶融流量は、発泡の前状態で、230 ℃及び2.16 kg負荷におけるASTM-D-1238に従って測定した。発泡ディスクの物理面積を測定し、ディスクの質量と容量の比を計算することにより発泡密度を求めた。ASTM-D2240-86に従って硬度(Shore A scale)を測定した。ディスクの断面を観察し、目盛りのついた光学顕微鏡を用いて、小胞サイズを測定することにより小胞サイズを測定した。圧縮永久歪(歪みの回復率)は、ISO 1856に従って測定した。圧縮弾性率は、ISO 844に従って測定した。10 %歪における圧縮応力は、ASTMB 1621に従って測定した。実施例試料及び比較例試料のデータを以下の表に示す。
【表2】

実施例及び比較例を直接比較すると、同様の密度及び小胞サイズが同程度であることが明らかである。SHORE-Aスケールを用いた硬度の測定結果を比較すると、2のサンプルは実質的に同じ硬度を示した。圧縮永久歪のデータの比較を比較すると、2つの材料の性質に真の違いが存在することが確認された。実施例は弾性体として従来技術よりも優れており、硬質体が好まれる場合でさえも、従来技術よりも優れているといえる。
【0106】
2のサンプルを区別するために圧縮弾性率の値を再度参照する。比較例に対して実施例の弾性率が低いことは、実施例の方がより低い圧縮永久歪の値を有することを意味する。実施例の弾性率の方が低いので、より低い圧縮永久歪の値が期待される。より低い圧縮永久歪の値は発泡製品において形態維持特性が優れていることを示している。従って、実施例は従来技術に対して形態維持性質が優れていることになる。
【0107】
これまで特別の態様を参照することによって本発明を説明しそして例示してきたが、本発明が本明細書中には例示されていない多くの異なる変種を意図することは、当業者には理解されるだろう。従って、本発明の真の範囲を決定するためには、添付のクレームのみが参照されなければならない。
【0108】
米国特許の実務に従って、添付のクレームは単一従属であるが、任意の従属クレームの中の特徴の各々は、その他の従属クレーム又はメインクレームの特徴の各々と組み合わせることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
99.95乃至99.999重量パーセントのプロピレン及び0.001乃至0.05重量パーセントのα-ωジエンを含むメタロセンベース共重合反応生成物であるコポリマーベースレジンと発泡剤を含む膨張オレフィンレジンであって、
前記コポリマーベースレジンが30,000乃至500,000ダルトンの重量平均分子量、115 ℃乃至135 ℃の結晶化温度及び230 ℃、2.16 kg負荷におけるASTM D-1238を用いた測定により0.1 dg/分乃至100 dg/分の溶融流量を有することを特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項2】
請求項1に記載の膨張オレフィンレジンであって、
前記α-ωジエンが、1,6-へプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,10-ウンデカジエン、1,11-ドデカジエン、1,12-トリデカジエン、1,13-テトラデカジエン、2-メチル-1,9-デカジエン、2-メチル-1,7-オクタジエン、3,4-ジメチル-1,6-へプタジエン、4-エチル-1,7-オクタジエン、3-エチル-4-メチル-5-プロピル-1,10-ウンデカジエン、又はこれらのジエンの少なくとも1を含む混合物を含むことを特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の膨張オレフィンレジンであって、
前記コポリマーベースレジンが、エチレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、又は1-ドデセン由来単位あるいはこれらのすくなくとも1を含む混合物を更に含むことを特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1請求項に記載の膨張オレフィンレジンであって、
前記コポリマーベースレジンが、プロピレン及び1以上のα-ωジエンモノマーのメタロセンベース共重合反応生成物から実質的になることを特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1請求項に記載の膨張オレフィンレジンであって、
前記コポリマーベースレジンの数平均分子量に対する重量平均分子量の比が2乃至20であること特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1請求項に記載の膨張オレフィンレジンであって、
前記コポリマーベースレジンの数平均分子量に対する重量平均分子量の比が2.5乃至7であること特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1請求項に記載の膨張オレフィンレジンであって、
前記コポリマーベースレジンが165 ℃以下の融点を有することを特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1請求項に記載の膨張オレフィンレジンであって、前記コポリマーベースレジンの歪速度1.0秒-1から1.0秒-1における線形粘度に対する破断点での伸延粘度の比が2.5以上であることを特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1請求項に記載の膨張オレフィンレジンであって、0.001 g/ml乃至0.8 g/mlの嵩密度を有する発泡レジン製品を製造するために製品中に発泡を起こさせることができる膨張オレフィンレジン。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1請求項に記載の膨張オレフィンレジンであって、以下の式、
g”= [IV]分岐/[IV]直鎖
(上の式中、IVは分岐及び直鎖ポリマーの固有粘度をそれぞれ示す)
で決定される0.99から0.6の分岐指数g”をコポリマーベースレジンが有することを特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項11】
前記分岐指数g”が0.99から0.93であることを特徴とする請求項10に記載の膨張オレフィンレジン。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1請求項に記載の膨張オレフィンレジンであって、前記発砲剤が、有機酸、無機酸、炭酸塩又はこれらの少なくとも1を含む混合物を含むことを特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項13】
請求項12に記載の膨張オレフィンレジンであって、前記有機酸がクエン酸を含み、炭酸塩が炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム又は少なくともこれらの1を含む混合物を含むことを特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか1請求項に記載の膨張オレフィンレジンであって、前記発泡剤が、メタン、エタン、エチレン、プロピレン、エチン、プロピン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、テトラクロロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、塩化メチレン、塩化エチル、窒素、酸素、空気、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、水、又はこれらの少なくとも1を含む混合物であることを特徴とする膨張オレフィンレジン。
【請求項15】
請求項1乃至14の膨張オレフィンレジンを含む膨張オレフィンレジン粒子。
【請求項16】
膨張オレフィンレジンを製造する方法であって、
膨張オレフィンレジンを製造するために、
大気圧以上の圧力下でコポリマーベースレジンを発泡剤に接触させる工程と、
前記オレフィンコポリマーベースレジンの軟化点以上の温度まで前記コポリマーベースレジン及び発泡剤を加熱する工程を含むことを特徴とし、
前記コポリマーベースレジンが、プロピレン及び0.001乃至0.05重量パーセントのα-ωジエンのメタロセンベース共重合反応生成物であり、
前記コポリマーベースレジンが、30,000乃至500,000ダルトンの重量平均分子量、115 ℃乃至135 ℃の幅の結晶化温度、及び230 ℃及び2.16 kg負荷におけるASTM D-1283により決定される0.1 dg/分乃至100 dg/分 の溶融流量を有することを特徴とする方法。
【請求項17】
発泡させた膨張オレフィンレジンを含む発泡製品であって、
発泡の前に、コポリマーベースレジン及び発泡剤を含み、前記コポリマーベースレジンがプロピレン及び0.001乃至0.05重量パーセントのα-ωジエンのメタロセンベース共重合反応生成物であり、前記コポリマーベースレジンが、30,000乃至500,000ダルトンの重量平均分子量、115 ℃乃至135 ℃の間の結晶化温度、及び230 ℃及び2.16 kg負荷におけるASTM D-1238で決定される0.1 dg/分乃至100 dg/分の溶融流量を有することを特徴とし、発泡製品の嵩密度が0.001 g/ml乃至0.8 g/mlであることを特徴とする発泡製品。
【請求項18】
請求項17の発泡させた膨張オレフィンレジンを含む発泡製品を製造する方法であって、
膨張させた発泡製品を製造するために、前記膨張オレフィンレジンを加熱する工程と、前記膨張オレフィンレジンに適用する圧力を減らす工程の一方又は両工程を含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2007−510033(P2007−510033A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537970(P2006−537970)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/025735
【国際公開番号】WO2005/044877
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】