プロファイル処理装置、プロファイル処理方法並びにプログラム
【課題】プロファイル調整処理において、プロファイル生成時との測色条件の違いがあるとき報知を行うことで、精度の良いプロファイル調整を可能とする。
【解決手段】パッチデータを画像形成装置から出力して得られたパッチ出力を測色したパッチ測色値を得て、前記パッチ測色値をもとにしてプロファイルを生成する演算工程と、前記演算工程で得られたプロファイルと測色条件の情報を対応して保存するプロファイル情報保存工程、前記プロファイルの調整時に、前記プロファイル情報保存工程で保存された前記プロファイルに対応する測色条件と、前記プロファイルの調整のためのパッチの測色時の測色条件を比較する比較工程、前記比較工程による比較結果、測色条件が一致しない場合、報知する工程とを有する。
【解決手段】パッチデータを画像形成装置から出力して得られたパッチ出力を測色したパッチ測色値を得て、前記パッチ測色値をもとにしてプロファイルを生成する演算工程と、前記演算工程で得られたプロファイルと測色条件の情報を対応して保存するプロファイル情報保存工程、前記プロファイルの調整時に、前記プロファイル情報保存工程で保存された前記プロファイルに対応する測色条件と、前記プロファイルの調整のためのパッチの測色時の測色条件を比較する比較工程、前記比較工程による比較結果、測色条件が一致しない場合、報知する工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロファイル処理装置、プロファイル処理方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真技術やインクジェット技術を用いたカラープリンタの画質は、オフセット印刷機に遜色ないレベルにまで向上してきている。さらには、印刷速度の向上、印刷ワークフローへのソフトウェア対応などにより、印刷の現場でも、少部数印刷や本印刷前のプルーフなどの用途に対して、高性能なハイエンドのプリンタが使用されるようになってきている。当然ながら、このような現場では、印刷品質、特に色味に対する要求は厳しいものとなる。
【0003】
印刷ワークフローでは、従来より、ICCプロファイルを用いたCMS(カラーマッチングシステム)が運用される場合が多いが、そこでのCMSの目的は、大きく分けて2つあると考えられる。一つは、印刷機のプロファイルを入力プロファイル、プリンタのプロファイルを出力プロファイルとして用いて、印刷機と同じ色味をプリンタで実現するという色味を合わせる目的である。もう一つは、プリンタの時間的な変動や機体の個体差を吸収するために、出力プロファイルを印刷の都度作成してカラーマッチングを行うことにより出力される色味の安定を図る目的である。
【0004】
もしも、プリンタの変動が非常に少ないものであれば、一度、入力プロファイルと出力プロファイルを作成してしまいさえすれば、プリンタの出力は色味があった状態が保たれて印刷ワークフローを円滑に進めることができる。しかし、現実的には、プリンタ出力の色味に対する要求の厳しい現場では、色味の微小な変動も許容されない場合が多い。そのため、変動したプリンタの状態に合わせて、プロファイルを作成するという行為が頻繁に発生することになる。
【0005】
さて、プロファイルを生成するには、多数(たとえば1000色程度)のカラーパッチをプリンタで出力し、測色器で、出力されたプリントサンプル上の多数のカラーパッチを測定する。そしてのちに、測色された色値の情報をもとに、デバイス従属色空間(たとえばCMYK)とデバイス独立色空間(たとえばL*a*b*)との変換ルールを生成する必要がある。この測色にいて必要とする測色値のデータ数が多いことで、パッチを測定する時間、プロファイル生成の演算の時間がかかるという問題がある。
【0006】
このため、特許文献1では、生成したプロファイルから、少数のデータを抜き出してパッチ出力を行い、測色したデータをもとに、プロファイルのLUTを調整する装置が開示されている。特許文献1の発明によれば、少数のデータに対応するパッチのみを用いる構成によりパッチ測定時間やプロファイル調整に要する時間を短縮でき、プロファイル調整を簡便に行うことができる。その結果、プリンタの状態に合わせてプロファイルを調整する行為を高い頻度で行うことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−165864
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示すような構成のみでは、プロファイルの調整時に精度が確保できない可能性がある。
【0009】
なぜなら、特許文献1では、調整時の動作のみしか考慮されておらず、プロファイルが生成された際の状況が把握できない。特に、測色動作にかかわる状況を知ることができない。
【0010】
たとえば、プロファイル生成の際に使用した測色器とプロファイル調整の際に使用された測色器が異なる場合、測色器の種類ごとの違いにより、同じパッチを測定しても、厳密に同じ測色値が得られない可能性がある。そのため実際には調整が必要ないのに不要な調整をしてしまったり、また、調整の程度を誤ってしまい、精度のよい調整ができないという問題が生じる。
【0011】
上記のような問題に鑑み、本発明は、プロファイル生成時とプロファイル調整時の測色条件に一貫性を持たせ、精度のよいプロファイルを簡便に得られるプロファイル処理装置、プロファイル処理方法並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明は、パッチデータを画像形成装置から出力して得られたパッチ出力を測色したパッチ測色値を得て、前記パッチ測色値をもとにしてプロファイルを生成する演算工程と、
前記演算工程で得られたプロファイルと測色条件の情報を対応して保存するプロファイル情報保存工程、
前記プロファイルの調整時に、前記プロファイル情報保存工程で保存された前記プロファイルに対応する測色条件と、前記プロファイルの調整のためのパッチの測色時の測色条件を比較する比較工程、
前記比較工程による比較結果、測色条件が一致しない場合、報知する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成によれば、プロファイル調整時において、プロファイル生成時と測色条件に違いがあるときに報知を行うことができるため、精度のよいプロファイル調整が行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施例群のシステム構成を示す図である。
【図2】測色器の例を示す図である。
【図3】プリンタでのPDL処理のフローを示すブロック図である。
【図4】プロファイル作成装置のソフトウェアモジュール構成を示す図である。
【図5】プロファイル作成装置の起動時の画面を示す図である。
【図6】プロファイル生成時のユーザーインターフェースを示す図である。
【図7】プロファイル生成時のパッチを示す図である。
【図8】プロファイルのデータ構造を示す図である。
【図9】測定パッチデータの例を示す図である。
【図10】プロファイル生成時の動作フローを示すブロック図である。
【図11】プロファイル調整時のユーザーインターフェースを示す図である。
【図12】プロファイル調整時のパッチデータ抽出を模式的に示す図である。
【図13】パッチデータを画像データに変換するフローを示すブロック図である。
【図14】プロファイル調整演算処理のフローを示すブロック図である。
【図15】実施例1におけるプロファイル調整制御モジュールの行うパッチ測定処理のフローチャートを示す図である。
【図16】プロファイル調整制御モジュールが行うパッチ測定処理のユーザーインターフェースを示す図である。
【図17】実施例2におけるプロファイル調整制御モジュールの行うパッチ測定処理のフローチャートを示す図面である。
【図18】バッキング調整ガイドのフローチャート処理を示す図である。
【図19】バッキング調整ガイド処理のユーザーインターフェースを示す図である。
【図20】実施例3におけるプロファイル調整制御モジュールの行うパッチ測定処理のフローチャートを示す図である。
【図21】実施例3におけるパッチ測定処理のユーザーインターフェースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
本実施例のプロファイル処理システムの構成の例を図1に示す。
【0017】
本実施例において、システム構成は大きく2つの構成要素からなる。一つはプロファイルを生成・調整するためのプロファイル処理装置であるホストPC100であり、このホストPC100には分校測色器120が接続されている。もう一つは、プロファイルの作成対象となるMFP(Multi−Function−Peripheral)110である。ホストPC100とMFP110は、ネットワーク130に接続されており、MFP110はネットワーク130経由で受信したホストPC100からの印刷指示と印刷データに従って、印刷動作をおこなう。
【0018】
ホストPC100は、さまざまなプログラムを実行して各部を制御するためのCPU105、プログラムやデータを格納する記憶装置であるHDD101、ホストPC100起動時のプログラムを格納するROM102、HDD101やROM102から読み込まれたプログラムを格納したり、プログラム実行の際の一時的なデータ記憶を行うRAM103、外部機器との接続するためのインターフェースであるUSB I/F104、ネットワーク130とのインターフェース動作を行うNetworkI/F108、ホストPCの状態を表示するためのディスプレイ107、ユーザーからの入力を受け付けるマウス・キーボード106、各部を接続する内部バス109からなる。ここで、分光測色器120はUSB I/F104を介してホストPC100に接続されており、ホストPC100からの所定のコマンド通信にしたがって、測色動作を行う。
【0019】
MFP110でも、MFPの動作を行うプログラムを実行するCPU117、プログラムやデータを格納するHDD111、起動時の制御プログラムを格納するROM112、HDDやROMから読み込まれたプログラムを格納したり一時的なデータ記憶を行うRAM113、NetworkI/F114を持っている。また、MFP110は、MFP110の状態表示とユーザー入力を行うための操作部としてディスプレイ+タッチパネル116を持つ。さらに、NetworkI/F114を介して受信した印刷データをPrinter部118に適した画像に変換するための画像処理部115を持ち、Printer部118は画像処理部115で画像処理されてCMYKデータに変換された画像を印刷する。Printer部118は電子写真方式あるいはインクジェット方式などの技術を用いて、受け取った画像データを、CMYK色材を用いて紙媒体上に印刷する。
【0020】
次に、分光測色器120の具体的な例について説明する。本実施例では、分光測色器120として複数のタイプの測色器が使用できる。
【0021】
図2(a)は手動スライド型の測色器を示す図である。手動スライド型の測色器は、測定ヘッド2001を、被測定物上に置いた測定ガイド2003に沿ってスライドさせて測色値を得るものである。測定ガイド2003は、測定ヘッド2001の測定孔2002に対応する高さ×用紙サイズ程度の幅の大きさの中空部分を持ち、測定孔2002を中空部分にはめ込むと被測定物に密着する程度の厚みを持つ構造である。ユーザーが測定器を手動でスライドしている間に、測色器120は被測定物の分光反射率を測定し、L*a*b*測色値に変換して、USBI/F104を介してホストPC100に測定値を送信する。測定するパッチが連続的に配列している場合に使用する。
【0022】
図2(b)は手動測定器の別の測定形態を示す図である。測定ガイド2004は、ちょうど測定孔2002と同等の大きさを持ち、パッチ一点を測定する場合に使用する。
【0023】
図2(c)はシートスルー型の測色器を示す図である。シートスルー型測色器本体2011は、内部に測定ヘッドを持っている。測色器2011は、ユーザーが測定スリット2012から矢印方向に差し込んだ被測定物を順次、矢印方向に搬送し、内部の測定ヘッドで分光反射率を測定し、L*a*b*測色値に変換して、ホストPC1000に測定値を送信する。
【0024】
図2(d)はテーブル型の測色器を示す図である。測色器本体2031は、測定ヘッド2034、測定アーム2032、測定台2033を持つ。測定ヘッド2034は、測定アーム2032に取り付けられており、ホストPCからの制御によって測定アーム2032が移動することによって、測定台2033上に固定した被測定物の任意の場所を測定する。測色器2031は、測定した分光反射率を、順次、L*a*b*測色値に変換して、ホストPCに送信する。
【0025】
次に、MFP110が、印刷データを受信してから印刷動作を行う際の動作フローを図3のブロック図を用いて説明する。なお、以下パッチを出力(印刷)する装置構成としてMFPを例にあげて説明をするが、印刷機能を有する画像形成装置であればシングルファンクションプリンタを採用してもよいことは言うまでも無い。
【0026】
本動作フローは、MFPのHDD111に格納され、RAM113に読み込まれたプログラムをCPU117が実行することによって実現される。
【0027】
MFP110のCPU117は、NetworkI/F114を介して受信した印刷データを受信しRAM113上に蓄える(301)。次に、PDL解釈部において、蓄えられたデータをPDL(PageDescriptionLanguage)を解釈する(302)。解釈しているPDLのデータは描画データごとに、RGB値やCMYK値の色値を持つが、その色値をプリンタで再現するためのCMS(ColorMatchingSystem)処理を行う(303)。CMS処理は、再現したいモニタや印刷機の色情報を示すSourceプロファイル(306)と、プリンタの色情報を示すDestinationプロファイル307を組み合わせて、再現したいモニタや印刷機の色をプリンタで再現するための色情報を生成し、カラーマッチングを行う。本実施例で、ホストPC100側で生成され、調整されたプロファイルは、MFP110のHDD101上に転送され、CMS処理のDestinationプロファイルとして用いられる。次に、ラスタライズ処理(304)は、CMS処理されたPDL描画データをプリンタ部の解像度に合わせた画像にビットマップ展開する。CPU117は、展開したビットマップデータを画像処理部(305/115)に送り、画像処理部(305/115)はプリンタ部116に適した画像処理を行った後、画像をprinter部118に転送する。
【0028】
次に、ホストPC100上のCPU105で動作するプログラムとして実現されるプロファイル処理(作成、調整)装置のソフトウェアモジュールについて、図4を用いて説明する。
【0029】
統合制御モジュール400は、プログラム起動時に、図5に示すようなユーザーインターフェース500をUI制御モジュール405に表示させ、ユーザーがBuildボタン501を押下した場合には、以降の制御をプロファイル生成制御モジュール401に渡す。またユーザーがCalibrationボタン502を押下した場合には、以降の制御をプロファイル調整制御モジュール406に渡す役割を果たす。 UI制御モジュール405は、統合制御モジュール400のみでなく、プロファイル生成制御モジュール401およびプロファイル調整制御モジュール406からも、画面表示やユーザーからの入力の管理を行うよう依頼を受けて、ユーザーとのインターフェース処理を行う。
【0030】
プロファイル生成制御モジュール401は、プロファイル生成時にプロファイルを生成するために各モジュールを制御する。プロファイル生成用パッチ作成モジュール402は、後述のように接続されている測色器の情報をもとにプロファイル生成のためのパッチデータの作成を行い、生成したパッチデータをプロファイル生成制御モジュール401に返す。パッチ出力制御モジュール410は生成されたパッチデータをプロファイル生成制御モジュール401から受け取り、MFP1010にネットワーク1030を介して出力する。パッチ出力制御モジュール410はパッチデータに対するMFP110の印刷動作においてはCMS処理を行わないように印刷指示を送る。測色器制御I/F411は、プロファイル生成制御モジュール401からの指示を受けて、分光測色器120により得られた測色値とUSBI/F104を介して通信して、MFP110から出力されたパッチ出力を測定し得られた測色値をプロファイル生成制御モジュールに返す。プロファイル生成演算モジュール403は、パッチデータに含まれるCMYK信号値と、パッチ出力を測定して得られたLab値と、プロファイル生成のパラメータを受け取り、プロファイルを生成して、プロファイル生成制御モジュール401に返す。プロファイル保存部404は、プロファイル生成制御モジュール401から、プロファイルと対応するパッチ測定値ファイルを受け取り、対応付けてプロファイル情報保存部であるHDD1001上に格納する。上述のパッチ測定値ファイルには、後述するように測色器の情報とプロファイル生成時に測色されたペーパーホワイトの測色値を少なくとも含む。
【0031】
プロファイル調整制御モジュール406は、プロファイル調整時に生成されてプロファイル保存部404で保存されたプロファイルを調整するために、各モジュールを制御する。プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、プロファイル調整制御モジュール406から渡された、プロファイルと測色器の情報をもとに、プロファイル調整用のパッチデータを作成し、プロファイル調整制御モジュール406に返す。プロファイル調整制御モジュール406は、生成時と同様に、パッチ出力制御モジュール410に生成されたパッチデータを渡しMFP110への出力を依頼する。また、測色器制御I/F411を介して、出力されたパッチ出力の測色を制御する。測色値補正モジュール408は、プロファイル調整時のパッチ測定値をプロファイル生成時の測定値に変換するためのモジュールである。プロファイル調整制御モジュール406の行う測色動作および測色値補正モジュールの動作についての詳細は後述する。プロファイル調整演算モジュール409は、プロファイル、調整用パッチのCMYK色値、および、測色値を受け取り、調整されたプロファイルをプロファイル調整制御モジュール406に返す。
【0032】
図6は、プロファイル生成制御モジュール401が、プロファイル生成のためのパラメータをユーザーに入力させるために、UI制御モジュール405に表示させるBuild設定画面600を示す図である。
【0033】
Build設定画面600には、生成するプロファイルを保存する際のファイル名を入力させるテキストフィールド601、測色データを保存する際のファイル名を入力させるテキストフィールド602、プロファイル作成のターゲットとなるプリンタを指定するフィールド603、プロファイルのA2Bテーブルの格子点数を指定するチェックボックス604、プロファイルのB2Aテーブルの格子点数を指定するチェックボックス605、B2Aテーブルを作成する際の色分解テーブルの設定で、トナーあるいはインクの最大載り量を指定するフィールド606、墨入れ量を指定するフィールド607、測色器のタイプを指定するフィールド608、および、生成動作を開始する開始ボタン609を含む。
【0034】
プロファイル生成制御モジュール401は、これらの指定を受けて、各モジュールを制御する。すなわち、601,602で指定されたファイル名で、プロファイルを保存するよう、プロファイル保存部404に指示する。また、603で指定された出力先プリンタにパッチデータを出力するよう、パッチ出力制御モジュール410に指示する。また、プロファイル生成演算モジュール409には、604,605で指定された格子点数でプロファイルを作成し、その際に、606,607で指定されたパラメータで色分解を行うように指示する。また、測色器制御I/F411には、測色器のタイプを通知し、適合した測色器用の通信を行うように指示する。
【0035】
図7は、プロファイル生成用パッチ作成モジュール402が生成するパッチデータの例を示す図面である。プロファイル生成用パッチ作成モジュール402は、プリンタの用紙サイズに対応する画像全体枠700を生成し、測色器に応じたサイズのパッチを画像全体枠700内に配列する。本実施例では、配列するパッチの個数は、CMYKのうち、CMYは同じ分割数の個数を取り、CMYの分割数はKの濃度に応じるものとし、以下の通りの組み合わせをとるものとする。
K CMY
0 6x6x6
20 6x6x6
40 6x6x6
60 6x6x6
80 4x4x4
100 3x3x3
分割数が6x6x6の場合、CMYの取る信号値はそれぞれ0,20,40,60,80,100(%)となり、CMYでの組み合わせ数は、216個となる。分割数が4x4x4の場合、CMYの取る信号値は0,33,66,100(%)となり、CMYの組み合わせ数は、64個となる。分割数が3x3x3の場合、CMYの取る信号値は、0,50,100(%)となり、CMYの組み合わせ数は、27個となる。したがって、パッチの総個数は、216*4+64+27=955個となる。CMYの増加は、C→M→Y→Kの順で値が増加していくものとし、一番最初のパッチは、CMYK=(0,0,0,0)、つまり、何も印字しないパッチ領域701である。
【0036】
次に、本実施例におけるプロファイルのデータ構造について、図8を用いて説明する。プロファイル800は、ヘッダ部801、A2B LUT 802、B2A LUT 803からなる。ヘッダ部801は、プロファイルのフォーマットバージョンや、タイムスタンプ、プロファイルが適用されるデバイスの種別などを含む情報である。A2B LUT 802は、デバイス依存色空間からデバイス独立色空間への変換のためのLUT(ルックアップテーブル)であり、本実施例においては、CMYKの4次元の格子点からなり、各格子点上にLabデータを格納したフォーマットである。B2A LUT803は、デバイス独立色空間からデバイス依存色空間への変換のためのLUT(ルックアップテーブル)であり、本実施例においては、Labの3次元の格子点からなり、各格子点上にCMYKデータを格納したフォーマットである。
【0037】
プロファイル生成においては、これら全ての情報を生成する必要がある。プロファイル調整における調整対象は、B2A LUT 803である。デバイス独立色空間の色値をどういうCMYK値で印字すれば、測色可能なデバイス独立色空間の色値になるのか、を表現するLUT 803を調整することにより、その時々のデバイスの状態に合わせたプロファイルの調整を行う。
【0038】
図9は、プロファイル生成制御モジュール401が、プロファイル保存部404に格納を指示する測色値の情報の例を示す図面である。測色データファイル700は、使用した測色器の情報とターゲットとなるプリンタとパッチ番号とパッチ番号に対応するLab測色値を羅列したフォーマットからなるファイルであるものとする。
【0039】
次に、プロファイル生成演算モジュール403、プロファイル生成制御モジュール401から、パッチ信号値(CMYK信号値)とパッチ測色値(Lab測色値)の情報を得て行うプロファイル生成の動作フローについて、図10を用いて説明する。
【0040】
図10(a)は、プロファイルのA2B LUT802を生成する動作フローのブロック図である。プロファイル生成演算モジュール403内の補間演算処理1001は、CMYKパッチ信号値と測色値の対応テーブルであるCMYK→Lab測色値1002を用いて、CMYKの格子点値に対するLab値を演算して、A2B LUTを生成する。CMYK格子点値は、ユーザーによって設定された17x17x17x17か9x9x9x9の格子点であり、CMYK格子点数が17x17x17x17の場合、CMYK値は、C→M→Y→Kの順で昇順に、各々0から100%まで、6.25%刻みで増分するような値を取るものとする。CMYK格子点数が9x9x9x9の場合、CMYK値は、C→M→Y→Kの順で昇順に、0から100%まで12.5%刻みで増分する値を取るものとする。各々のCMYK格子点値に近接するCMYKパッチ信号値を数点選択し、それらに対応するLab値から補間演算でCMYK格子点値に対応するLab値を求める。補間演算は提案されている既知のさまざまな方法を取ることができるが、詳細はここでは割愛する。
【0041】
図10(b)は、プロファイルのB2A LUT803を生成する動作フローのブロック図である。B2Aテーブル生成フローでは、ユーザーによって設定されたB2Aプロファイル格子点数605に従って、17x17x17ないし33x33x33のLab格子点値を発生する。格子点値が17x17x17の場合、Lの値は0から100まで6.25刻みで増分し、a,bの値は、−128から128まで16刻みで増分し、b→a→Lの順で昇順に発生させる。格子点数が33x33x33の場合、Lの値は0から100まで3.125刻みで、a,bの値は−128から128まで8刻みで増分するように取り、b→a→Lの順で昇順に発生させる。
【0042】
GamutMapping1003は、格子点発生したLab格子点をDeviceRGB→Lab測色値対応テーブル1006の情報を用いて色空間圧縮する。Lab格子点値が取るLab値はプリンタの色再現領域よりも広いため、色空間圧縮が必要になる。ここで、DeviceRGB→Lab測色値対応テーブル1006は、DeviceRGB値を入力としてLab値を出力とする3次元のLUTであるものとし、プリンタの再現可能な範囲を決定する情報である。CMYK→Lab測色値1002と色分解処理1005を用いて生成するが、生成フローについては、後で、図10(c)の動作フローを用いて説明する。
【0043】
Lab→DeviceRGB変換1004は、GamutMapping1003によって色空間圧縮されたLab値を、DeviceRGB→Lab測色値テーブル1006を用いて、DeviceRGB値に逆変換するものである。この演算についても、さまざまな既知の方法があり、どのような方法を用いても構わない。ここでは詳細は割愛する。
【0044】
最後に色分解処理1005が、DeviceRGB値をCMYK値に変換し、Lab格子点値に対応するCMYK値を演算して、B2A LUT803を完成させる。色分解処理1005においては、ユーザーが設定した、トナーやインクの最大載り量606や墨入れ量607の情報をもとにDeviceRGBからCMYK値への色分解を行う。
【0045】
図10(c)は、DeviceRGB→Lab測色値対応テーブル1006を求める動作フローを示す図面である。
【0046】
DeviceRGB→Lab測色値対応テーブル生成フローは、まず、DeviceRGB格子点値を発生させる。ここでは、33x33x33の格子点数からなるRGB値を発生するものとし、0から255まで8刻みで増分し、B→G→Rの順に昇順に値を取るものとする。このように発生したDeviceRGB値を色分解処理1005で、CMYKに変換する。この時、色分解処理1005のパラメータは、B2Aテーブル生成フローで用いたものと同じパラメータを用いる。
【0047】
その後、A2Bテーブル生成フローで用いたのと同様の補間演算1001を行って、Lab値を得る。
【0048】
以上のようにして、プロファイル生成制御モジュール401は、プロファイルを生成して、プロファイルと測色値情報をプロファイル保存部404に格納して、プロファイル生成の処理を終える。
【0049】
次に、プロファイル調整制御モジュール406が行う処理について、図面を用いて説明する。
【0050】
プロファイル調整制御モジュール406が、プロファイル調整処理の開始時に、ユーザーからの入力を得るために、UI制御モジュール405に表示させた画面の例を図11に示す。
【0051】
Calibration設定画面1100は、調整をしたいプロファイルのファイル名を指定するフィールド1101、プロファイル生成時の測色データファイルのファイル名を指定するフィールド1102、ターゲットとなるプリンタを指定するフィールド1103、および、測色器のタイプを指定するドロップダウンリスト1104を含む。
【0052】
これらの情報をユーザーが入力し、開始ボタン1105を押下すると、プロファイル調整制御モジュール406は、UI制御モジュール405からユーザーが入力した情報を受け取り、以降の処理を制御する。
【0053】
プロファイル調整制御モジュール406は、プロファイル調整用パッチ生成モジュール407にプロファイルのファイル名と測色器の情報を渡し、プロファイル調整用パッチを生成するように依頼する。測色器の情報としては、測色器の製品名はもちろん測色器の機体識別番号も含む。プロファイル調整用パッチ生成モジュールが生成したパッチデータを、プロファイル生成時と同様に、パッチ出力制御モジュール410に渡して、ターゲットとなるプリンタで出力するよう制御する。プリンタからパッチが出力され、ユーザーがパッチを測色する準備ができたら、測色器制御I/F411を介して、測色器を動作させ測色値を取得する。こうして得られたパッチの信号値と測色値をプロファイル調整演算モジュール409に渡して、プロファイルのB2A LUT803の調整を行わせるように制御する。
【0054】
以下、調整用パッチ生成モジュール407の動作とプロファイル調整演算モジュール409の動作について図面を用いて説明する。
【0055】
プロファイル調整用パッチ生成モジュール407がプロファイルファイル名1101のプロファイルのB2A LUTから、プロファイル調整用のCMYKデータを抽出する模式図を図12に示す。説明を容易にするため、2次元的に、かつ、格子点数を減らして示してあるが、Lab格子点(B2Aテーブル)1200はプロファイル生成制御モジュールが生成したプロファイルのB2Aテーブルと同じものである。このB2AテーブルのLab格子点値のうち、Printer部1018の色再現境界であるPrinter色再現域境界1201の内側あるいは近傍にある格子点(Lab値)の中から、結果として得られるパッチ数が100点程度になるようにサンプリング抽出して、対応するCMYK値データ1202を抽出する。次に、図13に示すパッチ画像データ作成処理1301が、抽出されたCMYK値データを適宜配列し直し、Printerー部1018に適した用紙サイズや測色器の種類に適したパッチとして、画像データ化する。なお、この時、サンプリングしたLab格子点値に対応するCMYK値データのパッチに加えて、CMYKが全て0である、ペーパーホワイトを測定できるパッチを画像データに含ませるものとする。これが、Lab格子点値調整用パッチとなる。
【0056】
このような処理を経て、プロファイル調整用パッチ生成モジュール407は、パッチ信号値を含む画像データをプロファイル調整制御モジュール405に返す。
【0057】
次に、プロファイル調整演算モジュール409が、プロファイル調整制御モジュール405から指示をうけて行うプロファイル調整の演算処理について、図14を参照して説明する。
【0058】
プロファイル調整演算モジュール409は、差分Lab演算処理1401で、B2A LUT803から調整用パッチ作成モジュール407でサンプリングしたLab格子点値と、Lab格子点値調整用パッチを上述した用紙にプリントし、このプリントされたLab格子点値調整用パッチを測色器により測色したデータである調整用パッチ測色値Lab1402との差分を演算する。Lab格子点調整用パッチとして格子点値のLabを再現するCMYK値を出力しているので、プリンタ部1018の状態(再現能力)が変わっていなければ、差分は各格子点について0となる。しかしながら、Printer部1018が経時変化や、温度、湿度の影響により変動している場合には、Lab各格子点値についての差分が得られる。次に、差分Lab値伝搬処理1403で、サンプリングしたLab各格子点値に対応するLab差分値を、B2A LUT803の各格子点に伝搬する処理を行う。この処理は、得られている差分値をサンプリングしたLab各格子点値近傍の各格子点にサンプルしたLab格子点からの距離に応じた重みをつけて反映させるものである。この反映の結果、Lab格子点近傍の各格子点では差分値の影響が距離に応じスムージング変化する。この結果、B2A LUTの各格子点はプリンタが変動した分だけ、Lab値が変動することになる。そして、補間演算処理1404で、移動したLab値に対するCMYK値を元のプロファイルのB2Aテーブル1405におけるこの移動したLab値近傍の格子点のLab値群に対応するCMYK値群を用いた補間演算で求める。最後に、B2A LUTの各格子点のLabに対応するCMYK値にこの求まったCMYK値を加算することで変動したプリンタに対する、Lab→CMYK変換テーブル、すなわち、プロファイルのB2A LUTを得る。
【0059】
プロファイル調整演算モジュール409は、こうして調整したプロファイルのB2A LUTをプロファイル調整制御モジュール406に返して処理を終える。
【0060】
次に、プロファイル調整制御モジュール406が、調整用パッチの測色時に行う測色器のチェック処理のフローを図15に示す。尚、以下のチェツク結果表示するダイアログは、ユーザへの情報報知の構成となる。
【0061】
プロファイル調整制御モジュール406は、調整用パッチをMFP1010に出力したのち、MFP110のPrinter部118により調整用パッチに従いプリントされたパッチが印刷された紙をユーザーが測色器にセットして測色動作を指示し、処理が開始される(S1500)。プロファイル調整制御モジュールは、S1501で、プロファイル保存部404に保存されている測色値データファイル900から取得したプロファイル生成時の測色器の情報と、測色器制御I/F411から取得した現在接続されている測色器の情報とを比較する。比較の結果、測色器の種類が同一である場合は、S1504に処理を移し、異なっている場合は、S1502で、UI制御モジュール405に図16(a)のダイアログ1を表示するように指示する。プロファイル調整制御モジュール406は、S1503で、ユーザーに測定実行の可否判断の入力によって、測定を中止する入力を受けた場合には、S1511で測定中止処理に入り、測定を実行する入力を受けた場合には、S1504に処理を移す。尚、S1511で測定中止処理後に、ユーザがホストPC100に接続される分光測色器120をプロファイル生成時と同じものに変更するようにしてもよい。この場合S1501から処理が再実行される。
【0062】
次に、プロファイル調整モジュール406は、S1504で、測色器制御I/F411を介して、ペーパーホワイトに対応するパッチの測色を実施する。プロファイル調整モジュール406は、ペーパーホワイトの測色値を測色器制御I/F411から受け取り、S1505で、測色値データファイル900に含まれるプロファイル生成時のペーパーホワイトの測色値と比較する。比較の結果、ペーパーホワイトの測色値の差分が所定の閾値に収まっていれば、ペーパーホワイトが一致、すなわち、使用する紙種が一致するものとして、S1512で、測色器制御I/Fに以降のパッチの測定を実行する指示を出す。S1505でペーパーホワイトが一致しないと判断された場合、S1506で、UI制御モジュール405に図16(b)に示すダイアログ2を表示させ、ユーザーの入力を促す。プロファイル調整制御モジュール406はS1507において、ダイアログ2でユーザーが紙種が同一であると入力した場合には、図16(c)に示すダイアログ3をUI制御モジュール405に表示させ、さらにユーザーに確認を促す。ここで、バッキングとは測定台の下地が何であるかを示す。たとえば、テーブル型測色器2031の測定台2033が黒色に塗装されており、プロファイル生成時に、測定台にパッチ出力印刷された紙と同一の紙を下に敷いて測定し、プロファイル調整時に測定台に条件が変更され何も敷かずに測定と、得られる測色値に影響が出る。又、測色器が同じであっても、測定台の色としては異なることになり、黒色の測定台の色が測定するパッチを透過するため、得られる測色値に影響が出る。そして、この影響が一番大きいのがペーパーホワイトの測色値であると考えられる。ユーザーがバッキングを確認したという入力をしたならば、プロファイル調整制御モジュール406は、S1509に処理を移す。
【0063】
プロファイル調整制御モジュール406は、S1507で、紙種が同一で無いというユーザー入力を受けた場合にも、S1509に処理を移す。そして、S1509で、UI制御モジュール405に図16(d)のダイアログ4を表示させ、測定を継続するかどうかの判断をユーザーに促す。プロファイル調整制御モジュール406は、S1510で、ユーザーの入力を受け取り、ユーザーが測定を継続するという入力をした場合には、S1512で、調整用パッチの測定処理を継続するように、測色器制御I/F411に指示を出し、ユーザーが測定を中止するという入力をした場合には、S1511で測定を中止するように、測定器制御I/F411に指示を出し、処理を終える。上記構成により、プロファイル生成時のパッチ測色とプロファイル調整時のパッチ測色における測色条件を比較し、測色条件が異なる場合にユーザに測色を続けるか確認した上で測色を行うことができる。
【0064】
以上の構成によりプロファイル生成時とプロファイル調整時の測色条件(測色器、ペーパーホワイトにより求まるパッチを出力印刷した紙種、バッキング)に一貫性を持たせ、精度のよいプロファイルを簡便に得ることが可能となる。
【実施例2】
【0065】
実施例2もシステム構成は、実施例1と同様に図1となる。
【0066】
実施例2では、プロファイル生成時とプロファイル調整時のペーパーホワイトの測色値が一致せず、かつ、紙種が同一であるとユーザーが入力した場合に、その相違の原因をバッキングの条件にあるものと想定し、バッキングを合わせるようユーザーにガイドする処理を行うものである。
【0067】
実施例2におけるプロファイル調整制御モジュール406が、調整用パッチの測色時に行う測色器のチェック処理のフローを図17に示す。図15におけるS1500−S1512と、対応する図17におけるS1700−S1712の各処理は、S1708を除いて同一であるため、S1708の処理以外のフローについての説明は省略し、S1708の処理を別のフロー図面として図18で説明する。
【0068】
プロファイル調整制御モジュール406は、S1707でユーザーが紙種が同一であると入力した場合(かつ、S1705でぺーパーホワイトが異なると判断した場合)、S1708でバッキング調整のガイドの処理に入る。
【0069】
プロファイル調整制御モジュール406が行う、バッキング調整ガイド処理のフローについて、図18を用いて説明する。
【0070】
S1800で、プロファイル調整制御モジュール406は、バッキング調整ガイド処理をスタートする。プロファイル調整制御モジュール406は、S1801で、図19(a)のダイアログ5を表示するようにUI制御モジュール405に指示する。プロファイル調整制御モジュール406は、S1802で、ダイアログ5に対するユーザー入力を判断し、バッキング調整ガイドを表示しない場合には、S1807に処理を移し、表示する場合には、S1803に処理を移す。S1803で、プロファイル調整制御モジュール406は、図19(b)に示すダイアログ6をUI制御モジュール405に表示させ、測色パッチが印刷出力された紙と同じ紙種の紙を用いたユーザーのバッキング調整動作を促す。プロファイル調整制御モジュール406は、S1804で、ユーザーが測定をキャンセルするという入力をした場合には、バッキング調整行為をキャンセルしたものと判断して、S1807に処理を移す。ユーザーがバッキング調整を行い、測定を開始すると、プロファイル調整制御モジュール406は、S1805でペーパーホワイトを測定するように測色器制御I/F411に指示を出す。プロファイル調整制御モジュール406は、ペーパーホワイトの測色値を受け取り、S1806で、プロファイル生成時のペーパーホワイトの測色値と比較する。ペーパーホワイトの測色値が一致する場合には、S1810で、測色器制御I/F411に以降の測定を実行するよう指示を出し、処理を終える。プロファイル調整制御モジュール406は、S1806でペーパーホワイトの測色値が一致しない場合には、S1807で図16(d)に示すダイアログ4をUI制御モジュール405に表示させる。プロファイル調整制御モジュール406は、S1808で、ダイアログ4に対するユーザーの入力を判断し、ユーザーが測定を継続するという入力を行った場合には、S1810で、測色器I/F411に以降の測定を実行するよう指示を出す。そして、ユーザーが測定を中止するという入力を行った場合には、S1809で、測色器I/F411に測定を中止するように指示を出す。
【0071】
上記のような処理フローを行うことによって、プロファイル生成時とプロファイル調整時の測定台の色の違い(バッキング条件)に起因する測色値の違いを簡単なガイドによって吸収し、精度のよいプロファイル調整を行うことができる。
【実施例3】
【0072】
実施例3もシステム構成は、実施例1と同様に図1となる。
【0073】
実施例3では、プロファイル生成時とプロファイル調整時における測色器の機種間の差を補正するようにした例を示す。
【0074】
プロファイル調整制御モジュール406は、調整用パッチの測色動作を行った後に、測色器の機種間差による測色値補正を測色値補正モジュール408において行える構成を提供する。更に、測色器が異なる場合に、測色値の補正を行うかどうかをユーザーに選択させる構成を備えることを特徴とする。
【0075】
プロファイル調整制御モジュール406が、プロファイル調整用パッチの測色を行うフローについて、図20に示す。本実施例での処理フローは、プロファイル生成時のペーパーホワイトとプロファイル調整時のペーパーホワイトを比較するステップS2009以降の処理は、実施例2における処理フローのS1605 以降の処理と同一であるので、説明を割愛し、S2000からS2008までの処理フローについて説明する。
【0076】
プロファイル調整制御モジュール406は、S2000で測色動作をスタートさせる。
【0077】
プロファイル調整制御モジュール406は、S2001で、プロファイル生成時とプロファイル調整時の測色器が同一であるかどうかを判断し、同一である場合は、S2008で調整用パッチのペーパーホワイトを測定し、その後、S2009のペーパーホワイトの比較処理に処理を移す。以降の処理は、測色値補正を行わないものとして実施例1のS1705以降の処理フローと同様に動作する。
【0078】
S2001でS1501同様測色器が同一でないと判断された場合、プロファイル調整制御モジュール406は、UI制御モジュール405に図21に示すダイアログ7を表示させる。プロファイル調整制御モジュール406は、S2003で、測色値を補正するかどうかのユーザー入力を確認し、ユーザーが測色値を補正しないと入力した場合には、S2005で、図16(d)のダイアログ4を、UI制御モジュール405に表示させ、S2006で測定を継続するかどうかのユーザー入力を確認する。プロファイル調整制御モジュール406は、ユーザーが測定を継続すると入力した場合には、S2008のペーパーホワイトの測定に処理を移し、ユーザーが測定を継続しないと入力した場合には、S2014で測定を中止するように、測色器制御I/F411に指示を出し、処理を終える。
【0079】
プロファイル調整制御モジュール406は、S2003で、ユーザーが測色値を補正すると入力した場合には、S2004で、測色値補正モジュール408で測色値補正テーブルを設定し、以降の測定では、測色値の補正を行わせるように指示する。次に、S2007で、プロファイル調整制御モジュール406は、測色器制御I/F411にペーパーホワイトを測定するよう指示し、得られた測色値に対して、測色値補正を行うよう、測色値補正モジュール408を制御する。この後、補正したペーパーホワイトの測色値を元に、S2009で、ペーパーホワイトの比較処理を行い、以降の動作を実施例2の処理フローと同様に行う。なお、プロファイル調整制御モジュール406は、S2015の測定実行後に得られた測色値を、測色値補正モジュール408に送り、補正を行うように指示し、補正された測色値を用いて、プロファイル調整の演算処理を行う。
【0080】
なお、測色値補正モジュール408は、測色器Aから測色器Bへの補正を3次元のLUTの演算で行うものとし、事前に、ホストPC100上の別のアプリケーションで、複数の測色器での測定を行って、Lab→Labの3次元LUTを構成しておき、HDD1001に格納されているものとする。プロファイル調整制御モジュール405は、測色値補正を行う際には、プロファイル生成時、ならびにホストPC100に現在接続されている測色器の情報をもとにHDD1001から対応する測色値補正テーブルを読みだして、測色値補正モジュール408に与える。
【0081】
測色値補正テーブルの構成方法は、同一のCMYKパッチを測色器Aと測色器Bで測色しておき、双方のCMYK→Labの対応関係から、測色器AについてLab→CMYKという逆変換を行い、測色器BについてのCMYK→Lab対応関係と組み合わせれば、測色器AのLab→測色器BのLabという対応関係が得られる。
【0082】
逆変換については様々な既知の演算で得ることができ、本実施例では、その方法には特にこだわるものではない。
【0083】
以上、説明したように、実施例3の構成によれば、測色器が異なる場合でも、測色値の補正を行ってプロファイル調整を行うことができる。
【0084】
(別の実施の形態)
各実施例を通じて、プロファイル作成装置の各モジュールは、ホストPC上のソフトウェアとして動作するものとして説明してきたが、MFPにさらにUSB I/Fを付加し、USB I/F測色器を接続することにより、MFP側のCPU、RAM、HDD、ROMで実現されるソフトウェアモジュールとして構成することも可能である。
【0085】
また、さらには、MFPのスキャナ、あるいは、外部のスキャナがパッチを読み込み、読み込んだRGB値をL*a*b*測色値に変換するようにすれば、スキャナを測定器として用いる構成を取ることができる。この時、プロファイル生成時とプロファイル調整時とで用いたスキャナの情報を保持するようにすれば、各実施例で説明した動作フローを適用することが可能である。また測色器ではなく、濃度計やデジタルカメラをパッチの測定機器に用いた場合でも上記各実施例の処理は実現可能である。
【0086】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロファイル処理装置、プロファイル処理方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真技術やインクジェット技術を用いたカラープリンタの画質は、オフセット印刷機に遜色ないレベルにまで向上してきている。さらには、印刷速度の向上、印刷ワークフローへのソフトウェア対応などにより、印刷の現場でも、少部数印刷や本印刷前のプルーフなどの用途に対して、高性能なハイエンドのプリンタが使用されるようになってきている。当然ながら、このような現場では、印刷品質、特に色味に対する要求は厳しいものとなる。
【0003】
印刷ワークフローでは、従来より、ICCプロファイルを用いたCMS(カラーマッチングシステム)が運用される場合が多いが、そこでのCMSの目的は、大きく分けて2つあると考えられる。一つは、印刷機のプロファイルを入力プロファイル、プリンタのプロファイルを出力プロファイルとして用いて、印刷機と同じ色味をプリンタで実現するという色味を合わせる目的である。もう一つは、プリンタの時間的な変動や機体の個体差を吸収するために、出力プロファイルを印刷の都度作成してカラーマッチングを行うことにより出力される色味の安定を図る目的である。
【0004】
もしも、プリンタの変動が非常に少ないものであれば、一度、入力プロファイルと出力プロファイルを作成してしまいさえすれば、プリンタの出力は色味があった状態が保たれて印刷ワークフローを円滑に進めることができる。しかし、現実的には、プリンタ出力の色味に対する要求の厳しい現場では、色味の微小な変動も許容されない場合が多い。そのため、変動したプリンタの状態に合わせて、プロファイルを作成するという行為が頻繁に発生することになる。
【0005】
さて、プロファイルを生成するには、多数(たとえば1000色程度)のカラーパッチをプリンタで出力し、測色器で、出力されたプリントサンプル上の多数のカラーパッチを測定する。そしてのちに、測色された色値の情報をもとに、デバイス従属色空間(たとえばCMYK)とデバイス独立色空間(たとえばL*a*b*)との変換ルールを生成する必要がある。この測色にいて必要とする測色値のデータ数が多いことで、パッチを測定する時間、プロファイル生成の演算の時間がかかるという問題がある。
【0006】
このため、特許文献1では、生成したプロファイルから、少数のデータを抜き出してパッチ出力を行い、測色したデータをもとに、プロファイルのLUTを調整する装置が開示されている。特許文献1の発明によれば、少数のデータに対応するパッチのみを用いる構成によりパッチ測定時間やプロファイル調整に要する時間を短縮でき、プロファイル調整を簡便に行うことができる。その結果、プリンタの状態に合わせてプロファイルを調整する行為を高い頻度で行うことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−165864
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示すような構成のみでは、プロファイルの調整時に精度が確保できない可能性がある。
【0009】
なぜなら、特許文献1では、調整時の動作のみしか考慮されておらず、プロファイルが生成された際の状況が把握できない。特に、測色動作にかかわる状況を知ることができない。
【0010】
たとえば、プロファイル生成の際に使用した測色器とプロファイル調整の際に使用された測色器が異なる場合、測色器の種類ごとの違いにより、同じパッチを測定しても、厳密に同じ測色値が得られない可能性がある。そのため実際には調整が必要ないのに不要な調整をしてしまったり、また、調整の程度を誤ってしまい、精度のよい調整ができないという問題が生じる。
【0011】
上記のような問題に鑑み、本発明は、プロファイル生成時とプロファイル調整時の測色条件に一貫性を持たせ、精度のよいプロファイルを簡便に得られるプロファイル処理装置、プロファイル処理方法並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明は、パッチデータを画像形成装置から出力して得られたパッチ出力を測色したパッチ測色値を得て、前記パッチ測色値をもとにしてプロファイルを生成する演算工程と、
前記演算工程で得られたプロファイルと測色条件の情報を対応して保存するプロファイル情報保存工程、
前記プロファイルの調整時に、前記プロファイル情報保存工程で保存された前記プロファイルに対応する測色条件と、前記プロファイルの調整のためのパッチの測色時の測色条件を比較する比較工程、
前記比較工程による比較結果、測色条件が一致しない場合、報知する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成によれば、プロファイル調整時において、プロファイル生成時と測色条件に違いがあるときに報知を行うことができるため、精度のよいプロファイル調整が行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施例群のシステム構成を示す図である。
【図2】測色器の例を示す図である。
【図3】プリンタでのPDL処理のフローを示すブロック図である。
【図4】プロファイル作成装置のソフトウェアモジュール構成を示す図である。
【図5】プロファイル作成装置の起動時の画面を示す図である。
【図6】プロファイル生成時のユーザーインターフェースを示す図である。
【図7】プロファイル生成時のパッチを示す図である。
【図8】プロファイルのデータ構造を示す図である。
【図9】測定パッチデータの例を示す図である。
【図10】プロファイル生成時の動作フローを示すブロック図である。
【図11】プロファイル調整時のユーザーインターフェースを示す図である。
【図12】プロファイル調整時のパッチデータ抽出を模式的に示す図である。
【図13】パッチデータを画像データに変換するフローを示すブロック図である。
【図14】プロファイル調整演算処理のフローを示すブロック図である。
【図15】実施例1におけるプロファイル調整制御モジュールの行うパッチ測定処理のフローチャートを示す図である。
【図16】プロファイル調整制御モジュールが行うパッチ測定処理のユーザーインターフェースを示す図である。
【図17】実施例2におけるプロファイル調整制御モジュールの行うパッチ測定処理のフローチャートを示す図面である。
【図18】バッキング調整ガイドのフローチャート処理を示す図である。
【図19】バッキング調整ガイド処理のユーザーインターフェースを示す図である。
【図20】実施例3におけるプロファイル調整制御モジュールの行うパッチ測定処理のフローチャートを示す図である。
【図21】実施例3におけるパッチ測定処理のユーザーインターフェースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
本実施例のプロファイル処理システムの構成の例を図1に示す。
【0017】
本実施例において、システム構成は大きく2つの構成要素からなる。一つはプロファイルを生成・調整するためのプロファイル処理装置であるホストPC100であり、このホストPC100には分校測色器120が接続されている。もう一つは、プロファイルの作成対象となるMFP(Multi−Function−Peripheral)110である。ホストPC100とMFP110は、ネットワーク130に接続されており、MFP110はネットワーク130経由で受信したホストPC100からの印刷指示と印刷データに従って、印刷動作をおこなう。
【0018】
ホストPC100は、さまざまなプログラムを実行して各部を制御するためのCPU105、プログラムやデータを格納する記憶装置であるHDD101、ホストPC100起動時のプログラムを格納するROM102、HDD101やROM102から読み込まれたプログラムを格納したり、プログラム実行の際の一時的なデータ記憶を行うRAM103、外部機器との接続するためのインターフェースであるUSB I/F104、ネットワーク130とのインターフェース動作を行うNetworkI/F108、ホストPCの状態を表示するためのディスプレイ107、ユーザーからの入力を受け付けるマウス・キーボード106、各部を接続する内部バス109からなる。ここで、分光測色器120はUSB I/F104を介してホストPC100に接続されており、ホストPC100からの所定のコマンド通信にしたがって、測色動作を行う。
【0019】
MFP110でも、MFPの動作を行うプログラムを実行するCPU117、プログラムやデータを格納するHDD111、起動時の制御プログラムを格納するROM112、HDDやROMから読み込まれたプログラムを格納したり一時的なデータ記憶を行うRAM113、NetworkI/F114を持っている。また、MFP110は、MFP110の状態表示とユーザー入力を行うための操作部としてディスプレイ+タッチパネル116を持つ。さらに、NetworkI/F114を介して受信した印刷データをPrinter部118に適した画像に変換するための画像処理部115を持ち、Printer部118は画像処理部115で画像処理されてCMYKデータに変換された画像を印刷する。Printer部118は電子写真方式あるいはインクジェット方式などの技術を用いて、受け取った画像データを、CMYK色材を用いて紙媒体上に印刷する。
【0020】
次に、分光測色器120の具体的な例について説明する。本実施例では、分光測色器120として複数のタイプの測色器が使用できる。
【0021】
図2(a)は手動スライド型の測色器を示す図である。手動スライド型の測色器は、測定ヘッド2001を、被測定物上に置いた測定ガイド2003に沿ってスライドさせて測色値を得るものである。測定ガイド2003は、測定ヘッド2001の測定孔2002に対応する高さ×用紙サイズ程度の幅の大きさの中空部分を持ち、測定孔2002を中空部分にはめ込むと被測定物に密着する程度の厚みを持つ構造である。ユーザーが測定器を手動でスライドしている間に、測色器120は被測定物の分光反射率を測定し、L*a*b*測色値に変換して、USBI/F104を介してホストPC100に測定値を送信する。測定するパッチが連続的に配列している場合に使用する。
【0022】
図2(b)は手動測定器の別の測定形態を示す図である。測定ガイド2004は、ちょうど測定孔2002と同等の大きさを持ち、パッチ一点を測定する場合に使用する。
【0023】
図2(c)はシートスルー型の測色器を示す図である。シートスルー型測色器本体2011は、内部に測定ヘッドを持っている。測色器2011は、ユーザーが測定スリット2012から矢印方向に差し込んだ被測定物を順次、矢印方向に搬送し、内部の測定ヘッドで分光反射率を測定し、L*a*b*測色値に変換して、ホストPC1000に測定値を送信する。
【0024】
図2(d)はテーブル型の測色器を示す図である。測色器本体2031は、測定ヘッド2034、測定アーム2032、測定台2033を持つ。測定ヘッド2034は、測定アーム2032に取り付けられており、ホストPCからの制御によって測定アーム2032が移動することによって、測定台2033上に固定した被測定物の任意の場所を測定する。測色器2031は、測定した分光反射率を、順次、L*a*b*測色値に変換して、ホストPCに送信する。
【0025】
次に、MFP110が、印刷データを受信してから印刷動作を行う際の動作フローを図3のブロック図を用いて説明する。なお、以下パッチを出力(印刷)する装置構成としてMFPを例にあげて説明をするが、印刷機能を有する画像形成装置であればシングルファンクションプリンタを採用してもよいことは言うまでも無い。
【0026】
本動作フローは、MFPのHDD111に格納され、RAM113に読み込まれたプログラムをCPU117が実行することによって実現される。
【0027】
MFP110のCPU117は、NetworkI/F114を介して受信した印刷データを受信しRAM113上に蓄える(301)。次に、PDL解釈部において、蓄えられたデータをPDL(PageDescriptionLanguage)を解釈する(302)。解釈しているPDLのデータは描画データごとに、RGB値やCMYK値の色値を持つが、その色値をプリンタで再現するためのCMS(ColorMatchingSystem)処理を行う(303)。CMS処理は、再現したいモニタや印刷機の色情報を示すSourceプロファイル(306)と、プリンタの色情報を示すDestinationプロファイル307を組み合わせて、再現したいモニタや印刷機の色をプリンタで再現するための色情報を生成し、カラーマッチングを行う。本実施例で、ホストPC100側で生成され、調整されたプロファイルは、MFP110のHDD101上に転送され、CMS処理のDestinationプロファイルとして用いられる。次に、ラスタライズ処理(304)は、CMS処理されたPDL描画データをプリンタ部の解像度に合わせた画像にビットマップ展開する。CPU117は、展開したビットマップデータを画像処理部(305/115)に送り、画像処理部(305/115)はプリンタ部116に適した画像処理を行った後、画像をprinter部118に転送する。
【0028】
次に、ホストPC100上のCPU105で動作するプログラムとして実現されるプロファイル処理(作成、調整)装置のソフトウェアモジュールについて、図4を用いて説明する。
【0029】
統合制御モジュール400は、プログラム起動時に、図5に示すようなユーザーインターフェース500をUI制御モジュール405に表示させ、ユーザーがBuildボタン501を押下した場合には、以降の制御をプロファイル生成制御モジュール401に渡す。またユーザーがCalibrationボタン502を押下した場合には、以降の制御をプロファイル調整制御モジュール406に渡す役割を果たす。 UI制御モジュール405は、統合制御モジュール400のみでなく、プロファイル生成制御モジュール401およびプロファイル調整制御モジュール406からも、画面表示やユーザーからの入力の管理を行うよう依頼を受けて、ユーザーとのインターフェース処理を行う。
【0030】
プロファイル生成制御モジュール401は、プロファイル生成時にプロファイルを生成するために各モジュールを制御する。プロファイル生成用パッチ作成モジュール402は、後述のように接続されている測色器の情報をもとにプロファイル生成のためのパッチデータの作成を行い、生成したパッチデータをプロファイル生成制御モジュール401に返す。パッチ出力制御モジュール410は生成されたパッチデータをプロファイル生成制御モジュール401から受け取り、MFP1010にネットワーク1030を介して出力する。パッチ出力制御モジュール410はパッチデータに対するMFP110の印刷動作においてはCMS処理を行わないように印刷指示を送る。測色器制御I/F411は、プロファイル生成制御モジュール401からの指示を受けて、分光測色器120により得られた測色値とUSBI/F104を介して通信して、MFP110から出力されたパッチ出力を測定し得られた測色値をプロファイル生成制御モジュールに返す。プロファイル生成演算モジュール403は、パッチデータに含まれるCMYK信号値と、パッチ出力を測定して得られたLab値と、プロファイル生成のパラメータを受け取り、プロファイルを生成して、プロファイル生成制御モジュール401に返す。プロファイル保存部404は、プロファイル生成制御モジュール401から、プロファイルと対応するパッチ測定値ファイルを受け取り、対応付けてプロファイル情報保存部であるHDD1001上に格納する。上述のパッチ測定値ファイルには、後述するように測色器の情報とプロファイル生成時に測色されたペーパーホワイトの測色値を少なくとも含む。
【0031】
プロファイル調整制御モジュール406は、プロファイル調整時に生成されてプロファイル保存部404で保存されたプロファイルを調整するために、各モジュールを制御する。プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、プロファイル調整制御モジュール406から渡された、プロファイルと測色器の情報をもとに、プロファイル調整用のパッチデータを作成し、プロファイル調整制御モジュール406に返す。プロファイル調整制御モジュール406は、生成時と同様に、パッチ出力制御モジュール410に生成されたパッチデータを渡しMFP110への出力を依頼する。また、測色器制御I/F411を介して、出力されたパッチ出力の測色を制御する。測色値補正モジュール408は、プロファイル調整時のパッチ測定値をプロファイル生成時の測定値に変換するためのモジュールである。プロファイル調整制御モジュール406の行う測色動作および測色値補正モジュールの動作についての詳細は後述する。プロファイル調整演算モジュール409は、プロファイル、調整用パッチのCMYK色値、および、測色値を受け取り、調整されたプロファイルをプロファイル調整制御モジュール406に返す。
【0032】
図6は、プロファイル生成制御モジュール401が、プロファイル生成のためのパラメータをユーザーに入力させるために、UI制御モジュール405に表示させるBuild設定画面600を示す図である。
【0033】
Build設定画面600には、生成するプロファイルを保存する際のファイル名を入力させるテキストフィールド601、測色データを保存する際のファイル名を入力させるテキストフィールド602、プロファイル作成のターゲットとなるプリンタを指定するフィールド603、プロファイルのA2Bテーブルの格子点数を指定するチェックボックス604、プロファイルのB2Aテーブルの格子点数を指定するチェックボックス605、B2Aテーブルを作成する際の色分解テーブルの設定で、トナーあるいはインクの最大載り量を指定するフィールド606、墨入れ量を指定するフィールド607、測色器のタイプを指定するフィールド608、および、生成動作を開始する開始ボタン609を含む。
【0034】
プロファイル生成制御モジュール401は、これらの指定を受けて、各モジュールを制御する。すなわち、601,602で指定されたファイル名で、プロファイルを保存するよう、プロファイル保存部404に指示する。また、603で指定された出力先プリンタにパッチデータを出力するよう、パッチ出力制御モジュール410に指示する。また、プロファイル生成演算モジュール409には、604,605で指定された格子点数でプロファイルを作成し、その際に、606,607で指定されたパラメータで色分解を行うように指示する。また、測色器制御I/F411には、測色器のタイプを通知し、適合した測色器用の通信を行うように指示する。
【0035】
図7は、プロファイル生成用パッチ作成モジュール402が生成するパッチデータの例を示す図面である。プロファイル生成用パッチ作成モジュール402は、プリンタの用紙サイズに対応する画像全体枠700を生成し、測色器に応じたサイズのパッチを画像全体枠700内に配列する。本実施例では、配列するパッチの個数は、CMYKのうち、CMYは同じ分割数の個数を取り、CMYの分割数はKの濃度に応じるものとし、以下の通りの組み合わせをとるものとする。
K CMY
0 6x6x6
20 6x6x6
40 6x6x6
60 6x6x6
80 4x4x4
100 3x3x3
分割数が6x6x6の場合、CMYの取る信号値はそれぞれ0,20,40,60,80,100(%)となり、CMYでの組み合わせ数は、216個となる。分割数が4x4x4の場合、CMYの取る信号値は0,33,66,100(%)となり、CMYの組み合わせ数は、64個となる。分割数が3x3x3の場合、CMYの取る信号値は、0,50,100(%)となり、CMYの組み合わせ数は、27個となる。したがって、パッチの総個数は、216*4+64+27=955個となる。CMYの増加は、C→M→Y→Kの順で値が増加していくものとし、一番最初のパッチは、CMYK=(0,0,0,0)、つまり、何も印字しないパッチ領域701である。
【0036】
次に、本実施例におけるプロファイルのデータ構造について、図8を用いて説明する。プロファイル800は、ヘッダ部801、A2B LUT 802、B2A LUT 803からなる。ヘッダ部801は、プロファイルのフォーマットバージョンや、タイムスタンプ、プロファイルが適用されるデバイスの種別などを含む情報である。A2B LUT 802は、デバイス依存色空間からデバイス独立色空間への変換のためのLUT(ルックアップテーブル)であり、本実施例においては、CMYKの4次元の格子点からなり、各格子点上にLabデータを格納したフォーマットである。B2A LUT803は、デバイス独立色空間からデバイス依存色空間への変換のためのLUT(ルックアップテーブル)であり、本実施例においては、Labの3次元の格子点からなり、各格子点上にCMYKデータを格納したフォーマットである。
【0037】
プロファイル生成においては、これら全ての情報を生成する必要がある。プロファイル調整における調整対象は、B2A LUT 803である。デバイス独立色空間の色値をどういうCMYK値で印字すれば、測色可能なデバイス独立色空間の色値になるのか、を表現するLUT 803を調整することにより、その時々のデバイスの状態に合わせたプロファイルの調整を行う。
【0038】
図9は、プロファイル生成制御モジュール401が、プロファイル保存部404に格納を指示する測色値の情報の例を示す図面である。測色データファイル700は、使用した測色器の情報とターゲットとなるプリンタとパッチ番号とパッチ番号に対応するLab測色値を羅列したフォーマットからなるファイルであるものとする。
【0039】
次に、プロファイル生成演算モジュール403、プロファイル生成制御モジュール401から、パッチ信号値(CMYK信号値)とパッチ測色値(Lab測色値)の情報を得て行うプロファイル生成の動作フローについて、図10を用いて説明する。
【0040】
図10(a)は、プロファイルのA2B LUT802を生成する動作フローのブロック図である。プロファイル生成演算モジュール403内の補間演算処理1001は、CMYKパッチ信号値と測色値の対応テーブルであるCMYK→Lab測色値1002を用いて、CMYKの格子点値に対するLab値を演算して、A2B LUTを生成する。CMYK格子点値は、ユーザーによって設定された17x17x17x17か9x9x9x9の格子点であり、CMYK格子点数が17x17x17x17の場合、CMYK値は、C→M→Y→Kの順で昇順に、各々0から100%まで、6.25%刻みで増分するような値を取るものとする。CMYK格子点数が9x9x9x9の場合、CMYK値は、C→M→Y→Kの順で昇順に、0から100%まで12.5%刻みで増分する値を取るものとする。各々のCMYK格子点値に近接するCMYKパッチ信号値を数点選択し、それらに対応するLab値から補間演算でCMYK格子点値に対応するLab値を求める。補間演算は提案されている既知のさまざまな方法を取ることができるが、詳細はここでは割愛する。
【0041】
図10(b)は、プロファイルのB2A LUT803を生成する動作フローのブロック図である。B2Aテーブル生成フローでは、ユーザーによって設定されたB2Aプロファイル格子点数605に従って、17x17x17ないし33x33x33のLab格子点値を発生する。格子点値が17x17x17の場合、Lの値は0から100まで6.25刻みで増分し、a,bの値は、−128から128まで16刻みで増分し、b→a→Lの順で昇順に発生させる。格子点数が33x33x33の場合、Lの値は0から100まで3.125刻みで、a,bの値は−128から128まで8刻みで増分するように取り、b→a→Lの順で昇順に発生させる。
【0042】
GamutMapping1003は、格子点発生したLab格子点をDeviceRGB→Lab測色値対応テーブル1006の情報を用いて色空間圧縮する。Lab格子点値が取るLab値はプリンタの色再現領域よりも広いため、色空間圧縮が必要になる。ここで、DeviceRGB→Lab測色値対応テーブル1006は、DeviceRGB値を入力としてLab値を出力とする3次元のLUTであるものとし、プリンタの再現可能な範囲を決定する情報である。CMYK→Lab測色値1002と色分解処理1005を用いて生成するが、生成フローについては、後で、図10(c)の動作フローを用いて説明する。
【0043】
Lab→DeviceRGB変換1004は、GamutMapping1003によって色空間圧縮されたLab値を、DeviceRGB→Lab測色値テーブル1006を用いて、DeviceRGB値に逆変換するものである。この演算についても、さまざまな既知の方法があり、どのような方法を用いても構わない。ここでは詳細は割愛する。
【0044】
最後に色分解処理1005が、DeviceRGB値をCMYK値に変換し、Lab格子点値に対応するCMYK値を演算して、B2A LUT803を完成させる。色分解処理1005においては、ユーザーが設定した、トナーやインクの最大載り量606や墨入れ量607の情報をもとにDeviceRGBからCMYK値への色分解を行う。
【0045】
図10(c)は、DeviceRGB→Lab測色値対応テーブル1006を求める動作フローを示す図面である。
【0046】
DeviceRGB→Lab測色値対応テーブル生成フローは、まず、DeviceRGB格子点値を発生させる。ここでは、33x33x33の格子点数からなるRGB値を発生するものとし、0から255まで8刻みで増分し、B→G→Rの順に昇順に値を取るものとする。このように発生したDeviceRGB値を色分解処理1005で、CMYKに変換する。この時、色分解処理1005のパラメータは、B2Aテーブル生成フローで用いたものと同じパラメータを用いる。
【0047】
その後、A2Bテーブル生成フローで用いたのと同様の補間演算1001を行って、Lab値を得る。
【0048】
以上のようにして、プロファイル生成制御モジュール401は、プロファイルを生成して、プロファイルと測色値情報をプロファイル保存部404に格納して、プロファイル生成の処理を終える。
【0049】
次に、プロファイル調整制御モジュール406が行う処理について、図面を用いて説明する。
【0050】
プロファイル調整制御モジュール406が、プロファイル調整処理の開始時に、ユーザーからの入力を得るために、UI制御モジュール405に表示させた画面の例を図11に示す。
【0051】
Calibration設定画面1100は、調整をしたいプロファイルのファイル名を指定するフィールド1101、プロファイル生成時の測色データファイルのファイル名を指定するフィールド1102、ターゲットとなるプリンタを指定するフィールド1103、および、測色器のタイプを指定するドロップダウンリスト1104を含む。
【0052】
これらの情報をユーザーが入力し、開始ボタン1105を押下すると、プロファイル調整制御モジュール406は、UI制御モジュール405からユーザーが入力した情報を受け取り、以降の処理を制御する。
【0053】
プロファイル調整制御モジュール406は、プロファイル調整用パッチ生成モジュール407にプロファイルのファイル名と測色器の情報を渡し、プロファイル調整用パッチを生成するように依頼する。測色器の情報としては、測色器の製品名はもちろん測色器の機体識別番号も含む。プロファイル調整用パッチ生成モジュールが生成したパッチデータを、プロファイル生成時と同様に、パッチ出力制御モジュール410に渡して、ターゲットとなるプリンタで出力するよう制御する。プリンタからパッチが出力され、ユーザーがパッチを測色する準備ができたら、測色器制御I/F411を介して、測色器を動作させ測色値を取得する。こうして得られたパッチの信号値と測色値をプロファイル調整演算モジュール409に渡して、プロファイルのB2A LUT803の調整を行わせるように制御する。
【0054】
以下、調整用パッチ生成モジュール407の動作とプロファイル調整演算モジュール409の動作について図面を用いて説明する。
【0055】
プロファイル調整用パッチ生成モジュール407がプロファイルファイル名1101のプロファイルのB2A LUTから、プロファイル調整用のCMYKデータを抽出する模式図を図12に示す。説明を容易にするため、2次元的に、かつ、格子点数を減らして示してあるが、Lab格子点(B2Aテーブル)1200はプロファイル生成制御モジュールが生成したプロファイルのB2Aテーブルと同じものである。このB2AテーブルのLab格子点値のうち、Printer部1018の色再現境界であるPrinter色再現域境界1201の内側あるいは近傍にある格子点(Lab値)の中から、結果として得られるパッチ数が100点程度になるようにサンプリング抽出して、対応するCMYK値データ1202を抽出する。次に、図13に示すパッチ画像データ作成処理1301が、抽出されたCMYK値データを適宜配列し直し、Printerー部1018に適した用紙サイズや測色器の種類に適したパッチとして、画像データ化する。なお、この時、サンプリングしたLab格子点値に対応するCMYK値データのパッチに加えて、CMYKが全て0である、ペーパーホワイトを測定できるパッチを画像データに含ませるものとする。これが、Lab格子点値調整用パッチとなる。
【0056】
このような処理を経て、プロファイル調整用パッチ生成モジュール407は、パッチ信号値を含む画像データをプロファイル調整制御モジュール405に返す。
【0057】
次に、プロファイル調整演算モジュール409が、プロファイル調整制御モジュール405から指示をうけて行うプロファイル調整の演算処理について、図14を参照して説明する。
【0058】
プロファイル調整演算モジュール409は、差分Lab演算処理1401で、B2A LUT803から調整用パッチ作成モジュール407でサンプリングしたLab格子点値と、Lab格子点値調整用パッチを上述した用紙にプリントし、このプリントされたLab格子点値調整用パッチを測色器により測色したデータである調整用パッチ測色値Lab1402との差分を演算する。Lab格子点調整用パッチとして格子点値のLabを再現するCMYK値を出力しているので、プリンタ部1018の状態(再現能力)が変わっていなければ、差分は各格子点について0となる。しかしながら、Printer部1018が経時変化や、温度、湿度の影響により変動している場合には、Lab各格子点値についての差分が得られる。次に、差分Lab値伝搬処理1403で、サンプリングしたLab各格子点値に対応するLab差分値を、B2A LUT803の各格子点に伝搬する処理を行う。この処理は、得られている差分値をサンプリングしたLab各格子点値近傍の各格子点にサンプルしたLab格子点からの距離に応じた重みをつけて反映させるものである。この反映の結果、Lab格子点近傍の各格子点では差分値の影響が距離に応じスムージング変化する。この結果、B2A LUTの各格子点はプリンタが変動した分だけ、Lab値が変動することになる。そして、補間演算処理1404で、移動したLab値に対するCMYK値を元のプロファイルのB2Aテーブル1405におけるこの移動したLab値近傍の格子点のLab値群に対応するCMYK値群を用いた補間演算で求める。最後に、B2A LUTの各格子点のLabに対応するCMYK値にこの求まったCMYK値を加算することで変動したプリンタに対する、Lab→CMYK変換テーブル、すなわち、プロファイルのB2A LUTを得る。
【0059】
プロファイル調整演算モジュール409は、こうして調整したプロファイルのB2A LUTをプロファイル調整制御モジュール406に返して処理を終える。
【0060】
次に、プロファイル調整制御モジュール406が、調整用パッチの測色時に行う測色器のチェック処理のフローを図15に示す。尚、以下のチェツク結果表示するダイアログは、ユーザへの情報報知の構成となる。
【0061】
プロファイル調整制御モジュール406は、調整用パッチをMFP1010に出力したのち、MFP110のPrinter部118により調整用パッチに従いプリントされたパッチが印刷された紙をユーザーが測色器にセットして測色動作を指示し、処理が開始される(S1500)。プロファイル調整制御モジュールは、S1501で、プロファイル保存部404に保存されている測色値データファイル900から取得したプロファイル生成時の測色器の情報と、測色器制御I/F411から取得した現在接続されている測色器の情報とを比較する。比較の結果、測色器の種類が同一である場合は、S1504に処理を移し、異なっている場合は、S1502で、UI制御モジュール405に図16(a)のダイアログ1を表示するように指示する。プロファイル調整制御モジュール406は、S1503で、ユーザーに測定実行の可否判断の入力によって、測定を中止する入力を受けた場合には、S1511で測定中止処理に入り、測定を実行する入力を受けた場合には、S1504に処理を移す。尚、S1511で測定中止処理後に、ユーザがホストPC100に接続される分光測色器120をプロファイル生成時と同じものに変更するようにしてもよい。この場合S1501から処理が再実行される。
【0062】
次に、プロファイル調整モジュール406は、S1504で、測色器制御I/F411を介して、ペーパーホワイトに対応するパッチの測色を実施する。プロファイル調整モジュール406は、ペーパーホワイトの測色値を測色器制御I/F411から受け取り、S1505で、測色値データファイル900に含まれるプロファイル生成時のペーパーホワイトの測色値と比較する。比較の結果、ペーパーホワイトの測色値の差分が所定の閾値に収まっていれば、ペーパーホワイトが一致、すなわち、使用する紙種が一致するものとして、S1512で、測色器制御I/Fに以降のパッチの測定を実行する指示を出す。S1505でペーパーホワイトが一致しないと判断された場合、S1506で、UI制御モジュール405に図16(b)に示すダイアログ2を表示させ、ユーザーの入力を促す。プロファイル調整制御モジュール406はS1507において、ダイアログ2でユーザーが紙種が同一であると入力した場合には、図16(c)に示すダイアログ3をUI制御モジュール405に表示させ、さらにユーザーに確認を促す。ここで、バッキングとは測定台の下地が何であるかを示す。たとえば、テーブル型測色器2031の測定台2033が黒色に塗装されており、プロファイル生成時に、測定台にパッチ出力印刷された紙と同一の紙を下に敷いて測定し、プロファイル調整時に測定台に条件が変更され何も敷かずに測定と、得られる測色値に影響が出る。又、測色器が同じであっても、測定台の色としては異なることになり、黒色の測定台の色が測定するパッチを透過するため、得られる測色値に影響が出る。そして、この影響が一番大きいのがペーパーホワイトの測色値であると考えられる。ユーザーがバッキングを確認したという入力をしたならば、プロファイル調整制御モジュール406は、S1509に処理を移す。
【0063】
プロファイル調整制御モジュール406は、S1507で、紙種が同一で無いというユーザー入力を受けた場合にも、S1509に処理を移す。そして、S1509で、UI制御モジュール405に図16(d)のダイアログ4を表示させ、測定を継続するかどうかの判断をユーザーに促す。プロファイル調整制御モジュール406は、S1510で、ユーザーの入力を受け取り、ユーザーが測定を継続するという入力をした場合には、S1512で、調整用パッチの測定処理を継続するように、測色器制御I/F411に指示を出し、ユーザーが測定を中止するという入力をした場合には、S1511で測定を中止するように、測定器制御I/F411に指示を出し、処理を終える。上記構成により、プロファイル生成時のパッチ測色とプロファイル調整時のパッチ測色における測色条件を比較し、測色条件が異なる場合にユーザに測色を続けるか確認した上で測色を行うことができる。
【0064】
以上の構成によりプロファイル生成時とプロファイル調整時の測色条件(測色器、ペーパーホワイトにより求まるパッチを出力印刷した紙種、バッキング)に一貫性を持たせ、精度のよいプロファイルを簡便に得ることが可能となる。
【実施例2】
【0065】
実施例2もシステム構成は、実施例1と同様に図1となる。
【0066】
実施例2では、プロファイル生成時とプロファイル調整時のペーパーホワイトの測色値が一致せず、かつ、紙種が同一であるとユーザーが入力した場合に、その相違の原因をバッキングの条件にあるものと想定し、バッキングを合わせるようユーザーにガイドする処理を行うものである。
【0067】
実施例2におけるプロファイル調整制御モジュール406が、調整用パッチの測色時に行う測色器のチェック処理のフローを図17に示す。図15におけるS1500−S1512と、対応する図17におけるS1700−S1712の各処理は、S1708を除いて同一であるため、S1708の処理以外のフローについての説明は省略し、S1708の処理を別のフロー図面として図18で説明する。
【0068】
プロファイル調整制御モジュール406は、S1707でユーザーが紙種が同一であると入力した場合(かつ、S1705でぺーパーホワイトが異なると判断した場合)、S1708でバッキング調整のガイドの処理に入る。
【0069】
プロファイル調整制御モジュール406が行う、バッキング調整ガイド処理のフローについて、図18を用いて説明する。
【0070】
S1800で、プロファイル調整制御モジュール406は、バッキング調整ガイド処理をスタートする。プロファイル調整制御モジュール406は、S1801で、図19(a)のダイアログ5を表示するようにUI制御モジュール405に指示する。プロファイル調整制御モジュール406は、S1802で、ダイアログ5に対するユーザー入力を判断し、バッキング調整ガイドを表示しない場合には、S1807に処理を移し、表示する場合には、S1803に処理を移す。S1803で、プロファイル調整制御モジュール406は、図19(b)に示すダイアログ6をUI制御モジュール405に表示させ、測色パッチが印刷出力された紙と同じ紙種の紙を用いたユーザーのバッキング調整動作を促す。プロファイル調整制御モジュール406は、S1804で、ユーザーが測定をキャンセルするという入力をした場合には、バッキング調整行為をキャンセルしたものと判断して、S1807に処理を移す。ユーザーがバッキング調整を行い、測定を開始すると、プロファイル調整制御モジュール406は、S1805でペーパーホワイトを測定するように測色器制御I/F411に指示を出す。プロファイル調整制御モジュール406は、ペーパーホワイトの測色値を受け取り、S1806で、プロファイル生成時のペーパーホワイトの測色値と比較する。ペーパーホワイトの測色値が一致する場合には、S1810で、測色器制御I/F411に以降の測定を実行するよう指示を出し、処理を終える。プロファイル調整制御モジュール406は、S1806でペーパーホワイトの測色値が一致しない場合には、S1807で図16(d)に示すダイアログ4をUI制御モジュール405に表示させる。プロファイル調整制御モジュール406は、S1808で、ダイアログ4に対するユーザーの入力を判断し、ユーザーが測定を継続するという入力を行った場合には、S1810で、測色器I/F411に以降の測定を実行するよう指示を出す。そして、ユーザーが測定を中止するという入力を行った場合には、S1809で、測色器I/F411に測定を中止するように指示を出す。
【0071】
上記のような処理フローを行うことによって、プロファイル生成時とプロファイル調整時の測定台の色の違い(バッキング条件)に起因する測色値の違いを簡単なガイドによって吸収し、精度のよいプロファイル調整を行うことができる。
【実施例3】
【0072】
実施例3もシステム構成は、実施例1と同様に図1となる。
【0073】
実施例3では、プロファイル生成時とプロファイル調整時における測色器の機種間の差を補正するようにした例を示す。
【0074】
プロファイル調整制御モジュール406は、調整用パッチの測色動作を行った後に、測色器の機種間差による測色値補正を測色値補正モジュール408において行える構成を提供する。更に、測色器が異なる場合に、測色値の補正を行うかどうかをユーザーに選択させる構成を備えることを特徴とする。
【0075】
プロファイル調整制御モジュール406が、プロファイル調整用パッチの測色を行うフローについて、図20に示す。本実施例での処理フローは、プロファイル生成時のペーパーホワイトとプロファイル調整時のペーパーホワイトを比較するステップS2009以降の処理は、実施例2における処理フローのS1605 以降の処理と同一であるので、説明を割愛し、S2000からS2008までの処理フローについて説明する。
【0076】
プロファイル調整制御モジュール406は、S2000で測色動作をスタートさせる。
【0077】
プロファイル調整制御モジュール406は、S2001で、プロファイル生成時とプロファイル調整時の測色器が同一であるかどうかを判断し、同一である場合は、S2008で調整用パッチのペーパーホワイトを測定し、その後、S2009のペーパーホワイトの比較処理に処理を移す。以降の処理は、測色値補正を行わないものとして実施例1のS1705以降の処理フローと同様に動作する。
【0078】
S2001でS1501同様測色器が同一でないと判断された場合、プロファイル調整制御モジュール406は、UI制御モジュール405に図21に示すダイアログ7を表示させる。プロファイル調整制御モジュール406は、S2003で、測色値を補正するかどうかのユーザー入力を確認し、ユーザーが測色値を補正しないと入力した場合には、S2005で、図16(d)のダイアログ4を、UI制御モジュール405に表示させ、S2006で測定を継続するかどうかのユーザー入力を確認する。プロファイル調整制御モジュール406は、ユーザーが測定を継続すると入力した場合には、S2008のペーパーホワイトの測定に処理を移し、ユーザーが測定を継続しないと入力した場合には、S2014で測定を中止するように、測色器制御I/F411に指示を出し、処理を終える。
【0079】
プロファイル調整制御モジュール406は、S2003で、ユーザーが測色値を補正すると入力した場合には、S2004で、測色値補正モジュール408で測色値補正テーブルを設定し、以降の測定では、測色値の補正を行わせるように指示する。次に、S2007で、プロファイル調整制御モジュール406は、測色器制御I/F411にペーパーホワイトを測定するよう指示し、得られた測色値に対して、測色値補正を行うよう、測色値補正モジュール408を制御する。この後、補正したペーパーホワイトの測色値を元に、S2009で、ペーパーホワイトの比較処理を行い、以降の動作を実施例2の処理フローと同様に行う。なお、プロファイル調整制御モジュール406は、S2015の測定実行後に得られた測色値を、測色値補正モジュール408に送り、補正を行うように指示し、補正された測色値を用いて、プロファイル調整の演算処理を行う。
【0080】
なお、測色値補正モジュール408は、測色器Aから測色器Bへの補正を3次元のLUTの演算で行うものとし、事前に、ホストPC100上の別のアプリケーションで、複数の測色器での測定を行って、Lab→Labの3次元LUTを構成しておき、HDD1001に格納されているものとする。プロファイル調整制御モジュール405は、測色値補正を行う際には、プロファイル生成時、ならびにホストPC100に現在接続されている測色器の情報をもとにHDD1001から対応する測色値補正テーブルを読みだして、測色値補正モジュール408に与える。
【0081】
測色値補正テーブルの構成方法は、同一のCMYKパッチを測色器Aと測色器Bで測色しておき、双方のCMYK→Labの対応関係から、測色器AについてLab→CMYKという逆変換を行い、測色器BについてのCMYK→Lab対応関係と組み合わせれば、測色器AのLab→測色器BのLabという対応関係が得られる。
【0082】
逆変換については様々な既知の演算で得ることができ、本実施例では、その方法には特にこだわるものではない。
【0083】
以上、説明したように、実施例3の構成によれば、測色器が異なる場合でも、測色値の補正を行ってプロファイル調整を行うことができる。
【0084】
(別の実施の形態)
各実施例を通じて、プロファイル作成装置の各モジュールは、ホストPC上のソフトウェアとして動作するものとして説明してきたが、MFPにさらにUSB I/Fを付加し、USB I/F測色器を接続することにより、MFP側のCPU、RAM、HDD、ROMで実現されるソフトウェアモジュールとして構成することも可能である。
【0085】
また、さらには、MFPのスキャナ、あるいは、外部のスキャナがパッチを読み込み、読み込んだRGB値をL*a*b*測色値に変換するようにすれば、スキャナを測定器として用いる構成を取ることができる。この時、プロファイル生成時とプロファイル調整時とで用いたスキャナの情報を保持するようにすれば、各実施例で説明した動作フローを適用することが可能である。また測色器ではなく、濃度計やデジタルカメラをパッチの測定機器に用いた場合でも上記各実施例の処理は実現可能である。
【0086】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッチデータを画像形成装置から出力して得られたパッチ出力を測色したパッチ測色値を得て、
前記パッチ測色値をもとにしてプロファイルを生成する演算工程と、
前記演算工程で得られたプロファイルと測色条件の情報を対応して保存するプロファイル情報保存工程、前記プロファイルの調整時に、前記プロファイル情報保存工程で保存された前記プロファイルに対応する測色条件と、前記プロファイルの調整のためのパッチの測色時の測色条件を比較する比較工程、
前記比較工程による比較結果、測色条件が一致しない場合、報知する工程とを有することを特徴とするプロファイル処理方法。
【請求項2】
前記測色条件とは、測色に用いる測色器の情報、前記パッチが出力された紙から測色されたペーパーホワイトの情報であることを特徴とする請求項1項記載のプロファイル処理方法。
【請求項3】
前記報知では、前記プロファイルの生成時とプロファイルの調整時で、測色器が違うこともしくは、パッチを形成する紙種が違うこともしくは、バッキングを確認することを報知することを特徴とする請求項1項記載のプロファイル処理方法。
【請求項4】
パッチデータを画像形成装置から出力して得られたパッチ出力を測色したパッチ測色値を得て、前記パッチ測色値をもとにしてプロファイルを生成する演算手段と、
前記演算手段で得られたプロファイルと測色条件の情報を対応して保存するプロファイル情報保存手段、
前記プロファイルの調整時に、前記プロファイル情報保存手段に保存された前記プロファイルに対応する測色条件と、前記プロファイルの調整のためのパッチの測色時の測色条件を比較する比較手段、
前記比較手段による比較結果、測色条件が一致しない場合、報知する報知手段とを有することを特徴とするプロファイル処理装置。
【請求項5】
前記測色条件とは、測色に用いる測色器の情報、前記パッチが出力された紙から測色されたペーパーホワイトの情報であることを特徴とする請求項4項記載のプロファイル処理装置。
【請求項6】
前記報知では、前記プロファイルの生成時とプロファイルの調整時で、測色器が違うこともしくは、パッチを形成する紙種が違うこともしくは、バッキングを確認することを報知することを特徴とする請求項4項記載のプロファイル処理装置。
【請求項7】
コンピュータを
パッチデータを画像形成装置から出力して得られたパッチ出力を測色したパッチ測色値を得て、前記パッチ測色値をもとにしてプロファイルを生成する演算手段と、
前記演算手段で得られたプロファイルと測色条件の情報を対応して保存するプロファイル情報保存手段、
前記プロファイルの調整時に、前記プロファイル情報保存手段に保存された前記プロファイルに対応する測色条件と、前記プロファイルの調整のためのパッチの測色時の測色条件を比較する比較手段、
前記比較手段による比較結果、測色条件が一致しない場合、報知する報知手段として動作させるプログラム。
【請求項1】
パッチデータを画像形成装置から出力して得られたパッチ出力を測色したパッチ測色値を得て、
前記パッチ測色値をもとにしてプロファイルを生成する演算工程と、
前記演算工程で得られたプロファイルと測色条件の情報を対応して保存するプロファイル情報保存工程、前記プロファイルの調整時に、前記プロファイル情報保存工程で保存された前記プロファイルに対応する測色条件と、前記プロファイルの調整のためのパッチの測色時の測色条件を比較する比較工程、
前記比較工程による比較結果、測色条件が一致しない場合、報知する工程とを有することを特徴とするプロファイル処理方法。
【請求項2】
前記測色条件とは、測色に用いる測色器の情報、前記パッチが出力された紙から測色されたペーパーホワイトの情報であることを特徴とする請求項1項記載のプロファイル処理方法。
【請求項3】
前記報知では、前記プロファイルの生成時とプロファイルの調整時で、測色器が違うこともしくは、パッチを形成する紙種が違うこともしくは、バッキングを確認することを報知することを特徴とする請求項1項記載のプロファイル処理方法。
【請求項4】
パッチデータを画像形成装置から出力して得られたパッチ出力を測色したパッチ測色値を得て、前記パッチ測色値をもとにしてプロファイルを生成する演算手段と、
前記演算手段で得られたプロファイルと測色条件の情報を対応して保存するプロファイル情報保存手段、
前記プロファイルの調整時に、前記プロファイル情報保存手段に保存された前記プロファイルに対応する測色条件と、前記プロファイルの調整のためのパッチの測色時の測色条件を比較する比較手段、
前記比較手段による比較結果、測色条件が一致しない場合、報知する報知手段とを有することを特徴とするプロファイル処理装置。
【請求項5】
前記測色条件とは、測色に用いる測色器の情報、前記パッチが出力された紙から測色されたペーパーホワイトの情報であることを特徴とする請求項4項記載のプロファイル処理装置。
【請求項6】
前記報知では、前記プロファイルの生成時とプロファイルの調整時で、測色器が違うこともしくは、パッチを形成する紙種が違うこともしくは、バッキングを確認することを報知することを特徴とする請求項4項記載のプロファイル処理装置。
【請求項7】
コンピュータを
パッチデータを画像形成装置から出力して得られたパッチ出力を測色したパッチ測色値を得て、前記パッチ測色値をもとにしてプロファイルを生成する演算手段と、
前記演算手段で得られたプロファイルと測色条件の情報を対応して保存するプロファイル情報保存手段、
前記プロファイルの調整時に、前記プロファイル情報保存手段に保存された前記プロファイルに対応する測色条件と、前記プロファイルの調整のためのパッチの測色時の測色条件を比較する比較手段、
前記比較手段による比較結果、測色条件が一致しない場合、報知する報知手段として動作させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−254316(P2011−254316A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127070(P2010−127070)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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