プロファイル調整装置、プロファイル調整方法およびプログラム
【課題】カラー印刷装置のカラーマッチングに用いられるプロファイルの生成/調整を行う装置、方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】プロファイル調整装置は、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの数よりも少ない数の調整用パッチを配置する調整用パッチ作成手段と、前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色手段と、得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算手段とを備え、前記調整用パッチ作成手段は、各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置して、調整用パッチ画像データを作成する。
【解決手段】プロファイル調整装置は、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの数よりも少ない数の調整用パッチを配置する調整用パッチ作成手段と、前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色手段と、得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算手段とを備え、前記調整用パッチ作成手段は、各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置して、調整用パッチ画像データを作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー印刷装置のカラーマッチングに用いられるプロファイルの生成/調整を行う装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真技術やインクジェット技術を用いたカラープリンタの画質は、オフセット印刷機に遜色ないレベルにまで向上してきている。さらには、印刷速度の向上、印刷ワークフローへのソフトウェア対応などにより、印刷の現場でも、少部数印刷や本印刷前のプルーフなどの用途に対して、高性能なハイエンドのプリンタが使用されるようになってきている。当然ながら、このような現場では、印刷品質、特に色味に対する要求は厳しいものとなる。
【0003】
印刷ワークフローでは、従来より、ICCプロファイルを用いたカラーマッチングシステム(CMS)が運用される場合が多いが、そこでのCMSの目的は、大きく分けて2つある。1つは、オフセット印刷機のプロファイルをソース(Source)プロファイル、プリンタのプロファイルをデスティネーション(Destination)プロファイルとして用いて、オフセット印刷機と同じ色味をプリンタで実現する目的である。もう1つは、プリンタ特性の経時変化や機体の個体差を吸収するために、デスティネーションプロファイルをその都度生成してカラーマッチングを行う(出力される色味の安定を図る)目的である。
【0004】
もし、プリンタ特性の経時変化が無視できるほど小さく、色味が合った状態が保たれているのであれば、ソースプロファイルとデスティネーションプロファイルを一旦生成してしまえば、印刷ワークフローを円滑に進めることができる。しかし、現実には、プリンタ特性の経時変化は無視できるほど小さくはなく、特に色味に対する要求の厳しい現場では、色味の微小な変動も許容されない場合が多い。そのため、変動したプリンタ特性の状態に応じたプロファイルの生成を頻繁に行うことになる。
【0005】
プロファイルを生成するには、まず、多数の色(通常、1000色程度)のパッチを含む画像(パッチ画像)をプリンタで出力する。そして、出力されたパッチ画像上のパッチを分光測色器で測定して色値(測色値)の情報を得て、デバイス従属色空間とデバイス独立色空間との変換ルールを生成するという手順を踏む。なお、デバイス従属色空間としては例えばRGBやCMYKが、デバイス独立色空間としては例えばL*a*b*(以下、単に「Lab」と表示。)が用いられる。上述のとおり、測定される色値のデータ数が1000色程度と多いため、パッチの測定やプロファイル生成の演算には、多くの時間を要するという問題がある。
【0006】
このような問題に対応する技術として、特許文献1には、生成したプロファイルから少数のデータを抜き出したパッチ画像を作成して印刷し、これを測色したデータをもとに、プロファイルのルックアップテーブル(LUT)を調整する技術が開示されている。特許文献1の発明は、パッチの測定やプロファイルの調整に要する時間を短縮できるため、プリンタの状態に応じたプロファイル調整を高頻度で行うことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−165864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の発明では、プロファイルの調整時に十分な精度が確保できない可能性が残る。
【0009】
プリンタの特性は、経時変化の他にも様々な要因によって変動する。たとえば、電子写真方式のプリンタでは、あるパッチの画像形成に、該パッチに隣接するパッチの画像形成が影響する場合がある。電子写真方式は、レーザービームを帯電させた感光ドラム上に照射し、感光ドラム上の電位差として画像を形成する技術である。そのため、レーザーのON/OFF反転の際にオーバーシュートやアンダーシュートが起こり得るし、感光ドラムとトナー現像が接する際に生じるトナー像の不均一性が隣接する色の状態によって異なるといったことも起り得る。さらに、感光ドラムの材料の不均一性に起因する帯電ムラや、レーザーと感光ドラムとの距離が感光ドラム面上の左右でわずかに異なるといった要因によって、同じ色で画像形成しても場所により再現される色が異なるという、いわゆる面内ムラの問題も起り得る。
【0010】
このようなプリンタ特性の変動が生じている場合、プロファイル生成の際に印字したパッチと同じ色のパッチをプロファイル調整の際に印字しても、紙媒体上には同じ色が画像形成されず、同じ色値が得られない可能性がある。その結果、不要な調整をしてしまったり、或いは調整の程度を誤ってしまい、精度のよい調整ができないという問題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかるプロファイル調整装置は、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの数よりも少ない数の調整用パッチを配置した調整用パッチ画像データを作成する調整用パッチ作成手段と、前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色手段と、得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算手段とを備え、前記調整用パッチ作成手段は、各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置して、調整用パッチ画像データを作成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プロファイル生成時のパッチ画像の形成条件とプロファイル調整時のパッチ画像の形成条件とに一貫性が確保されるので、精度のよいプロファイルを簡便に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係るカラー印刷システムの構成の一例を示す図である。
【図2】分光測色器のタイプ別の外観図である。
【図3】MFPが、印刷データを受信して印刷処理動作を行うまでの処理の流れを示すブロック図である。
【図4】プロファイル生成/調整装置のソフトウェアモジュール構成を示す図である。
【図5】プロファイル生成/調整装置の起動時に表示されるユーザインターフェース画面の一例を示す図である。
【図6】プロファイル生成時設定画面(Build設定画面)の一例を示す図である。
【図7】パッチ画像データの一例を示す図である。
【図8】プロファイルのデータ構造を示す図である。
【図9】測色データファイルの構成の一例を示す図である。
【図10】プロファイル生成演算モジュールにおけるプロファイル生成の処理フローを示すブロック図である。
【図11】プロファイル調整時設定画面(Calibration設定画面)の一例を示す図である。
【図12】プロファイル調整用パッチ作成モジュールにおける調整用パッチ画像データの作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【図13】プロファイル調整用のCMYK値データを抽出する様子を模式的に示した図である。
【図14】調整用パッチ画像データの一例を示す図である。
【図15】プロファイル調整演算モジュールにおける処理フローのブロック図である。
【図16】実施形態2に係る特定色の測色をユーザに促す画面の一例である。
【図17】実施形態2に係るプロファイル調整用のCMYK値データを抽出する様子を模式的に示した図である。
【図18】実施形態3に係るプロファイル調整用パッチ作成モジュールによる、区切りバーを付加した調整用パッチ画像を作成する処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】実施形態4に係るプロファイル調整用パッチ作成モジュールにおける調整用パッチ画像データの作成処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】実施形態3に係るパッチ画像データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
[実施形態1]
図1は、本実施形態に係るカラー印刷システムの構成の一例を示す図である。
【0016】
カラー印刷システムは、ホストPC100とMFP(Multi Function Peripheral)110の2つの主要な構成要素からなり、ネットワーク130を介して接続されている。
【0017】
ホストPC100は、プロファイルを生成・調整する処理を行うホストコンピュータであり、分光測色器120が接続されている。
【0018】
ホストPC100は、HDD101、ROM102、RAM103、USB I/F104、CPU105、マウス・キーボード106、ディスプレイ107、NetworkI/F108、内部バス109で構成される。
【0019】
HDD101は、プログラムやデータを格納する記憶装置である。
【0020】
ROM102は、ホストPC100起動時のプログラムを格納するメモリである。
【0021】
RAM103は、HDD101やROM102から読み込まれたプログラムを格納したり、プログラム実行の際の一時的なデータ記憶を行うメモリである。
【0022】
USB I/F104は、外部機器との接続のインターフェースを行う。
【0023】
CPU105は、様々なプログラムを実行して各部を制御するためのプロセッサである。
【0024】
マウス・キーボード106は、ユーザからの入力を受け付ける入力手段である。
【0025】
ディスプレイ107は、入力情報や処理結果等の状態表示を行う表示手段である。
【0026】
NetworkI/F108は、ネットワーク130とのインターフェース動作を行う。
【0027】
内部バス109は、上記各部を接続するバスである。
【0028】
分光測色器120は、USB I/F104を介してホストPC100に接続されており、ホストPC100からの所定のコマンド通信にしたがって、色値の測定を行う。
【0029】
MFP110は、ネットワーク130経由で受信したホストPC100からの印刷指示と印刷データに従って印刷処理を行う。
【0030】
MFP110は、HDD111、ROM112、RAM113、NetworkI/F114、画像処理部115、ディスプレイ+タッチパネル116、CPU117、プリンタ部118、内部バス119で構成される。
【0031】
HDD111は、プログラムやデータを格納する記憶装置である。
【0032】
ROM112は、MFP110起動時のプログラムを格納するメモリである。
【0033】
RAM113は、HDD111やROM112から読み込まれたプログラムを格納したり、プログラム実行の際の一時的なデータ記憶を行うメモリである。
【0034】
NetworkI/F114は、ネットワーク130とのインターフェース動作を行う。
【0035】
画像処理部115は、NetworkI/F114を介して受信した印刷データをプリンタ部118での印刷処理に適した画像に変換する。
【0036】
ディスプレイ+タッチパネル116は、入力情報や処理結果等の状態表示を行うための表示手段の機能、およびユーザからの入力を受け付ける入力手段の機能を備える。
【0037】
CPU117は、様々なプログラムを実行して各部を制御するためのプロセッサである。
【0038】
プリンタ部118は、画像処理部115において変換されたCMYKデータを基に記録媒体(紙)上に画像を印刷する。プリンタ部118の記録方式としては、電子写真方式あるいはインクジェット方式などが挙げられる。
【0039】
内部バス119は、上記各部を接続するバスである。
【0040】
次に、分光測色器120について詳しく説明する。分光測色器120には複数のタイプが存在し、本発明には下記に述べるいずれのタイプの分光測色器も適用可能である。
【0041】
図2の(a)〜(d)は、分光測色器120のタイプ別の外観を示している。
【0042】
図2の(a)は、手動スライド型の分光測色器を示している。手動スライド型の分光測色器は、測定ヘッド201を、被測定物上に置いた測定ガイド203に沿ってスライドさせて色値を測定するタイプである。測定ガイド203は中空部分を持ち、測定孔202を該中空部分に嵌め込むと被測定物に密着する程度の厚みのある構造を持つ。なお、中空部分は、測定ヘッド201の測定孔202に対応する高さと用紙サイズ程度の幅を持った大きさである。そして、ユーザが分光測定器を手動でスライドしている間に、被測定物の分光反射率を測定し、Lab値に変換して、USBI/Fを介してホストPC100に測色値を送信する。測定するパッチが連続的に配列されている場合に適している。
【0043】
図2の(b)は、手動型の分光測定器の別形態を示している。測定ガイド204は、ちょうど測定孔202と同等の大きさを持ち、1点のパッチを測定する場合に適している。
【0044】
図2の(c)は、シートスルー型の分光測色器を示している。シートスルー型の分光測色器211は内部に測定ヘッド(不図示)を備えている。分光測色器211は、ユーザが測定スリット212から矢印方向に差し込んだ被測定物を順次矢印方向に搬送し、内部の測定ヘッドで分光反射率を測定し、Lab値に変換して、ホストPC100に測色値を送信する。
【0045】
図2の(d)は、テーブル型の分光測色器を示している。テーブル形の分光測色器221は、測定ヘッド224、測定アーム222、測定台223を備える。測定ヘッド224は、測定アーム222に取り付けられており、ホストPC100からの制御によって測定アーム222が移動することによって測定台223上に固定した被測定物の任意の場所を測定する。そして、測定した分光反射率を、順次、Lab値に変換して、ホストPC100に測色値を送信する。
【0046】
次に、MFP110が、印刷データを受信して印刷処理動作を行うまでの処理の流れを図3のブロック図を用いて説明する。
【0047】
なお、本処理は、HDD111からRAM113に読み込まれたプログラムをCPU117が実行することによって実現される。
【0048】
まず、MFP110のCPU117は、NetworkI/F114を介してホストPC100から印刷データ(PDLデータ)を受信し、RAM113に格納する(301)。
【0049】
次に、格納されたPDLデータを解釈する(302)。PDLデータは、描画データ毎にRGB値やCMYK値の色値を持っている。そこで、その色値をプリンタで再現するためのCMS処理を行う(303)。CMS処理は、モニタやオフセット印刷機の色情報を示すソースプロファイル(306)と、プリンタの色情報を示すデスティネーションプロファイル(307)とを組み合わせて、モニタや印刷機の色をプリンタで再現するための色情報を生成する。ホストPC100で生成・調整されるプロファイルは、MFP110のHDD111上に転送され、CMS処理のデスティネーションプロファイルとして用いられる。
【0050】
CMS処理を終えた後、ラスタライズ処理が行われる(304)。すなわち、CMS処理されたPDLデータをプリンタ部118の解像度に合わせた画像にビットマップ展開する。そして、CPU117は、展開したビットマップデータを画像処理部115に送る。
【0051】
画像処理部115は、プリンタ部116に適した画像処理を行った後、画像をプリンタ部118に転送する(305)。
【0052】
次に、ホストPC100上で動作するプログラムとして実現される、プロファイル生成/調整装置のソフトウェアモジュール構成について、図4を用いて説明する。
【0053】
ソフトウェアモジュールには、統合制御モジュール400、プロファイル生成制御モジュール401、プロファイル調整制御モジュール406、の3つの主要な制御モジュールが存在する。
【0054】
まず、統合制御モジュール400について説明する。統合制御モジュール400は、プログラム起動時に、図5に示すようなユーザインターフェース画面500をUI制御モジュール405に表示させる。そして、ユーザの「Build」ボタン501の押下によりプロファイルの生成をプロファイル生成制御モジュール401に指示し、「Calibration」ボタン502の押下によりプロファイルの調整をプロファイル調整制御モジュール406に指示する。なお、UI制御モジュール405は、プロファイル生成制御モジュール401およびプロファイル調整制御モジュール406からの画面表示やユーザ入力の管理依頼を受けて、ユーザとのインターフェース処理も行う。
【0055】
次に、プロファイル生成制御モジュール401について説明する。プロファイル生成制御モジュール401は、プロファイル生成処理の全般を担い、プロファイル生成用パッチ作成モジュール402、パッチ出力制御モジュール410、分光測色器制御I/F411、プロファイル生成演算モジュール403を制御する。
【0056】
プロファイル生成用パッチ作成モジュール402は、分光測色器120のタイプ情報を基にプロファイル生成のためのパッチ画像データを作成する。作成されたパッチ画像データはプロファイル生成制御モジュール401に送られ、プロファイル生成制御モジュール401を介して、パッチ出力制御モジュール410に送られる。
【0057】
パッチ出力制御モジュール410は、プロファイル生成制御モジュール401から受け取ったパッチ画像データを、CMS処理を行うことなく出力する旨の印刷指示と共にMFP110に送る。MFP110では、受け取った印刷指示に基づいてパッチ画像データを出力する。そして、分光測色器制御I/F411を介して、MFP110から出力されたパッチ画像上のパッチの測定が制御される。得られた測色値はプロファイル生成制御モジュール401に送られる。
【0058】
プロファイル生成演算モジュール403は、パッチ画像データにおけるパッチ信号値(CMYK値)、パッチ画像上のパッチを測定して得られた測色値(Lab値)、プロファイル生成のためのパラメータをプロファイル生成制御モジュール401から受け取る。そして、受け取ったCMYK値、Lab値及びパラメータに基づいてプロファイルを生成し、生成したプロファイルをプロファイル生成制御モジュール401に送る。なお、プロファイル生成のためのパラメータについては後述する。
【0059】
続いて、プロファイル調整制御モジュール406について説明する。プロファイル調整制御モジュール406は、プロファイル調整処理の全般を担う。そのために、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407、パッチ出力制御モジュール410、分光測色器制御I/F411、測色値補正モジュール408、プロファイル調整演算モジュール409を制御する。
【0060】
プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、プロファイル調整制御モジュール406から受け取ったプロファイルと分光測色器120のタイプ情報を基に、プロファイル調整用パッチ画像データ(以下、単に「調整用パッチ画像データ」と呼ぶ。)を作成する。作成された調整用パッチ画像データは、プロファイル調整制御モジュール406を介して、パッチ出力制御モジュール410に送られる。
【0061】
パッチ出力制御モジュール410は、プロファイル生成時と同様の印刷指示と共に調整用パッチ画像データをMFP110に送る。MFP110では、受け取った印刷指示に基づいて調整用パッチ画像データを出力する。そして、分光測色器制御I/F411を介して、調整用パッチ画像上の調整用パッチの測定が制御される。該調整用パッチの測色値はプロファイル調整制御モジュール406に送られる。
【0062】
測色値補正モジュール408は、プロファイル調整制御モジュール406から調整用パッチの測色値を受け取り、プロファイル生成時の測色値に変換する。
【0063】
プロファイル調整演算モジュール409は、プロファイル、調整用パッチ画像データに含まれるパッチ信号値及び調整用パッチの測色値を受け取り、それらを基にプロファイルを調整する。調整されたプロファイルは、プロファイル調整制御モジュール406に送られる。
【0064】
なお、プロファイル生成制御モジュール401の下で生成されたプロファイル及びプロファイル調整制御モジュール406の下で生成された調整プロファイルは、プロファイル保存部404によりHDD101に格納されて保存される。その他の関連するデータ、例えばプロファイルに対応する測色データファイル(パッチ画像上のパッチを測定して得られたLab値のデータファイル)等も、プロファイル保存部によってHDD101に格納され保存される。
【0065】
次に、プロファイル生成のためのパラメータについて説明する。
【0066】
図6は、プロファイルの生成時に使用するパラメータをユーザに入力させるために、プロファイル生成制御モジュール401がUI制御モジュール405に表示させるプロファイル生成時設定画面(Build設定画面)の一例を示している。
【0067】
Build設定画面600には、各種設定値を入力するためのフィールドやチェックボックス等が含まれる。
【0068】
601は生成されたプロファイルを保存する際のファイル名を入力させるテキストフィールドであり、602は測色データを保存する際のファイル名を入力させるテキストフィールドである。そして、603はプロファイル生成のターゲットとなるプリンタを指定するフィールドである。
【0069】
604はプロファイルのA2Bルックアップテーブル(LUT)の格子点数を指定するチェックボックスであり、605はプロファイルのB2Aルックアップテーブル(LUT)の格子点数を指定するチェックボックスである。
【0070】
606は、B2Aルックアップテーブルを生成する際の色分解テーブルの設定であり、トナーあるいはインクの最大載り量を指定するフィールドである。ここでは、理論上の上限値(400%)に対して、240%が指定されている。
【0071】
そして、607は墨入れ量を指定するフィールドであり、608は分光測色器のタイプを指定するフィールドである。609は、プロファイルの生成動作を開始するための開始ボタンである。
【0072】
プロファイル生成制御モジュール401は、これらの指定を受けて上述した各モジュールを制御し、プロファイル生成に関連する処理を行う。たとえば、テキストフィールド601及び602で指定されたファイル名で、生成したプロファイルと測色データとをそれぞれ保存するようプロファイル保存部404に指示する。また、生成したパッチ画像データを、フィールド603で指定された出力先プリンタに送信するようパッチ出力制御モジュール410に指示する。また、プロファイル生成演算モジュール403には、チェックボックス604及び605で指定された格子点数でプロファイルを生成し、その際に、フィールド606及び607で指定されたパラメータで色分解を行うように指示する。また、分光測色器制御I/F411には、フィールド608で指定された分光測色器のタイプを通知し、適合した分光測色器用の通信を行うように指示する。
【0073】
次に、プロファイル生成用パッチ作成モジュール402で作成されるパッチ画像データについて説明する。
【0074】
図7は、作成されたパッチ画像データの一例を示す図である。
【0075】
プロファイル生成用パッチ作成モジュール402は、まず、プリンタの用紙サイズに対応する画像全体枠700を生成し、そして、使用する分光測色器120のタイプに応じたパッチを画像全体枠700内に配列する。ここでは、配列するパッチの個数を、CMYKのうちCMYは同じ分割数の個数を取り、CMYの分割数はKの濃度に応じて以下の通りの組み合わせを取るものとする。
【0076】
K CMY
0 6x6x6
20 6x6x6
40 6x6x6
60 6x6x6
80 4x4x4
100 3x3x3
【0077】
分割数が6x6x6の場合、CMYの取る信号値は0,20,40,60,80,100(%)となり、CMYでの組み合わせ数は、216個となる。分割数が4x4x4の場合、CMYの取る信号値は0,33,66,100(%)となり、CMYの組み合わせ数は、64個となる。分割数が3x3x3の場合、CMYの取る信号値は、0,50,100(%)となり、CMYの組み合わせ数は、27個となる。したがって、パッチの総個数は、955個となる。CMYの増加は、C→M→Y→Kの順で値が増加していくものとする。一番左上のパッチ701は、CMYK=(0,0,0,0)、つまり、何も印字しないパッチである。
【0078】
次に、プロファイルのデータ構造について説明する。
【0079】
図8は、プロファイル(800)のデータ構造を示しており、ヘッダ部(801)、A2B LUT(802)、B2A LUT(803)からなる。
【0080】
ヘッダ部は、プロファイルのフォーマットバージョンや、タイムスタンプ、プロファイルが適用されるデバイスの種別などの情報を含む。
【0081】
A2B LUTは、デバイス依存色空間からデバイス独立色空間への変換のためのルックアップテーブルである。本実施形態におけるA2B LUTは、CMYKの4次元の格子点からなり、各格子点上にLabデータを格納したフォーマットである。
【0082】
B2A LUTは、デバイス独立色空間からデバイス依存色空間への変換のためのルックアップテーブルである。本実施形態におけるB2A LUTは、Labの3次元の各格子点上にCMYKデータを格納したフォーマットであり、デバイス独立色空間の色値(Lab値)をどういうCMYK値で印字すれば測色可能なLab値になるのか、を表現している。
【0083】
プロファイル生成においては、これら全ての情報を生成する必要がある。
【0084】
そして、プロファイル調整において対象となるのは、B2A LUTである。B2A LUTを調整して、その時々のデバイスの状態(プリンタの特性)に合った最適のプロファイルにする。
【0085】
次に、測色データファイルについて説明する。
【0086】
図9は、測色データファイルの具体的な構成を示している。測色データファイル900には、ファイル名、ターゲットとなるプリンタの名称、使用した分光測色器の型番、パッチ番号及びパッチ番号に対応するLab測色値といった情報が含まれる。
【0087】
次に、プロファイル生成演算モジュール403におけるプロファイル生成の処理フローについて説明する。
【0088】
図10のa)は、プロファイルのA2B LUTを生成する処理フローを示すブロック図である。プロファイル生成演算モジュール403は、補間演算処理1001によって、A2B LUTを生成する。すなわち、パッチ画像データに含まれるパッチ信号値(CMYK値)とLab測色値との対応テーブルであるCMYK→Lab測色値テーブル1002を用いて、CMYKの格子点値に対するLab値を演算して、A2B LUTを生成する。以下、より具体的に説明する。
【0089】
ここで、CMYKの格子点値は、前述のBuild設定画面600のチェックボックス604で設定された格子点数(17x17x17x17又は9x9x9x9)の値となる。すなわち、CMYK格子点数が17x17x17x17の場合のCMYK値は、C→M→Y→Kの順で昇順に、各々0から100%まで、6.25%刻みで増分するような値を取る。また、CMYKの格子点数が9x9x9x9の場合のCMYK値は、C→M→Y→Kの順で昇順に、0から100%まで12.5%刻みで増分する値を取る。
【0090】
プロファイル生成演算モジュール403は、各CMYK格子点値に近接するCMYK値を数点選択し、それらに対応するLab値を用いた補間演算1001を行って、CMYK格子点値に対応するLab値を求めていく。なお、補間演算1001には、線形補間法など既知のさまざまな方法を適用することができる。
【0091】
図10のb)は、プロファイルのB2A LUTを生成する処理フローを示すブロック図である。プロファイル生成演算モジュール403は、ガマットマッピング処理(Gamut Mapping)1003、Lab→DeviceRGB変換処理1004、色分解処理1005によって、B2A LUTを生成する。Labの格子点値は、前述のBuild設定画面600のチェックボックス605で設定された格子点数(17x17x17又は3x3x3)の値となる。すなわち、Lab格子点数が17x17x17の場合、Lの値は0から100まで6.25刻みで増分し、a,bの値は、−128から128まで16刻みで増分するように取り、b→a→Lの順で昇順に発生させる。格子点数が33x33x33の場合、Lの値は0から100まで3.125刻みで、a,bの値は−128から128まで8刻みで増分するように取り、b→a→Lの順で昇順に発生させる。
【0092】
まず、Lab格子点値が取るLab値は、プリンタの色再現領域よりも広いため、ガマットマッピング処理により色空間圧縮を行う。ガマットマッピング処理1003では、発生したLab格子点値を、DeviceRGB→Lab測色値テーブル1006の情報を用いて色空間圧縮する。
【0093】
ここで、DeviceRGB→Lab測色値テーブル1006は、DeviceRGB値を入力としLab値を出力とする3次元のLUTであって、プリンタの再現可能な範囲を決定する情報である。プロファイルのA2B LUTを生成する処理の完了後、B2A LUTを生成する処理に先立って、このDeviceRGB→Lab測色値テーブルを求める処理が行われる。
【0094】
図10のc)は、DeviceRGB→Lab測色値テーブル1006を求める処理フローを示すブロック図である。
【0095】
まず、DeviceRGB格子点値を発生させる。格子点数が例えば33x33x33であるとすると、DeviceRGB格子点値は、0から255まで8刻みで増分し、B→G→Rの順で昇順に発生する。このように発生したDeviceRGB値を、色分解処理1005が、前述のBuild設定画面600のトナー/インクの最大載り量606や墨入れ量607の情報を基にCMYK値への色分解を行う。その後、上述のA2B LUT生成フローで用いたのと同様の補間演算1001を行ってLab値を得る。このようにして、DeviceRGB→Lab測色値テーブル1006が求められる。
【0096】
B2A LUTを生成する処理フローの説明に戻る。
【0097】
ガマットマッピング処理1003に続くLab→DeviceRGB変換処理1004では、色空間圧縮されたLab値を、上述のようにして求めたDeviceRGB→Lab測色値テーブル1006を用いて、DeviceRGB値に逆変換する。この逆変換の演算についても様々な既知の方法があり、どのような方法を用いても構わない。
【0098】
最後に、色分解処理1005が、所与のパラメータ(Build設定画面600で設定されたトナー/インクの最大載り量606や墨入れ量607の情報)を基にDeviceRGB値からCMYK値への色分解を行う。
【0099】
これらの処理によりLab格子点値に対応するCMYK値を算出して、B2A LUTを完成させる。
【0100】
以上のようにして、プロファイル生成制御モジュール401は、A2B LUT及びB2A LUTを得てプロファイルを生成する。生成されたプロファイルはプロファイル保存部404に格納される。
【0101】
次に、プロファイル調整制御モジュール406におけるプロファイル調整処理について説明する。
【0102】
図11は、プロファイル調整制御モジュール406が、プロファイル調整処理の開始時にUI制御モジュール405に表示させるプロファイル調整時設定画面(Calibration設定画面)の一例を示している。
【0103】
Calibration設定画面1100には、Build設定画面600と同様、各種設定値を入力するためのフィールド等が含まれる。
【0104】
1101は調整をしたいプロファイルのファイル名を指定するフィールドであり、1102はプロファイル生成時における測色データファイルのファイル名を指定するフィールドである。
【0105】
1103はターゲットとなるプリンタを指定するフィールドであり、1104は分光測色器のタイプを指定するドロップダウンリストである。1105は、プロファイルの調整処理を開始するための開始ボタンである。
【0106】
ユーザによってこれらの情報が入力され、開始ボタン1105が押下されると、プロファイル調整制御モジュール406は、UI制御モジュール405からユーザが入力した情報を受け取り、概略以下のように各モジュールを制御する。
【0107】
最初に、プロファイル調整制御モジュール406は、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407にプロファイルと分光測色器120のタイプ情報を渡し、調整用パッチ画像データの作成を指示する。調整用パッチ画像データが作成されると、プロファイル調整制御モジュール406は、パッチ出力制御モジュール410に調整用パッチ画像データを送り、ターゲットとなるプリンタで出力するよう指示する。調整用パッチ画像がターゲットのプリンタから出力され、ユーザが調整用パッチ画像上のパッチを測定する準備ができると、分光測色器制御I/F411を介して、測色値を取得する。そして、プロファイル調整制御モジュール406は、調整用パッチの信号値と測色値とをプロファイル調整演算モジュール409に送り、プロファイルのB2A LUTの調整の実行を指示する。
【0108】
以下、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407及びプロファイル調整演算モジュール409の処理について詳しく説明する。
【0109】
まず、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407の処理について説明する。
【0110】
図12は、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407における調整用パッチ画像データの作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【0111】
ステップ1200において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、プロファイル調整制御モジュール406から調整用パッチ画像データの作成指示を受けて処理を開始する。
【0112】
ステップ1201において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、生成時のプロファイルのB2A LUTから適宜Lab格子点値をサンプリングし、サンプリングされたLab格子点値に対応するCMYK値を抽出する。図13は、対応CMYK値を抽出する様子を模式的に示した図である。1300は、説明の便宜のために、2次元的かつ格子点数を減らして示したB2A LUTのLab格子点を示しており、1301は、プリンタの色再現領域の境界を示している。このプリンタ色再現域境界1301の内側あるいは近傍にあるLab格子点値の中から、所定のパッチ数が得られるようにLab格子点が均等にサンプリングされ、それに対応するCMYK値1302が抽出される。所定のパッチ数は、ユーザが任意に決定し得るものであるが、例えば100点程度である。仮に図13が約100点のパッチを得るときのサンプリングの状態を示しているとすれば、50点のパッチを得る場合はサンプリングの密度がこの半分になり、200点のパッチを得る場合はサンプリングの密度がこの倍になることになる。
【0113】
ステップ1202において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、抽出した対応CMYK値のそれぞれについて、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのCMYK値との差分を取る。そして、差分の絶対値が最も小さいプロファイル生成時のパッチのCMYK値を抽出する。
【0114】
ステップ1203において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、抽出された“差分の絶対値が最も小さいプロファイル生成時のパッチのCMYK値”のパッチ画像データにおける座標位置を求める。
【0115】
ステップ1204において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、求められた座標位置と同じ座標位置に、対応CMYK値のパッチ(調整用パッチ)を配置する。
【0116】
ステップ1205において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、調整用パッチの周囲に、プロファイル生成時のパッチ画像データにおける周囲のパッチを配置する。すなわち、ステップ1204で配置された調整用パッチの周囲8近傍の座標位置に、ステップ1203で求めた座標位置の周囲8近傍に位置したプロファイル生成時のパッチ画像データにおけるパッチを配置する。
【0117】
ステップ1206において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、ステップ1201で抽出した全ての対応CMYK値についてステップ1202〜1205の処理が完了し、全ての調整用パッチの配置が決定されたかどうかを判定する。抽出された全ての対応CMYK値について処理が完了していればステップ1207に進む。全ての対応CMYK値について処理が完了していなければ、ステップ1202に戻り、未処理の対応CMYK値に対してステップ1202〜1205の処理を繰り返す。
【0118】
ステップ1207において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、決定された配置に従って、全ての調整用パッチ(その周囲8近傍のパッチを含む)を配した調整用パッチ画像データを作成する。
【0119】
このようにして、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、抽出された対応CMYK値を適宜配置して、プリンタに適した用紙サイズや分光測色器の種類に適した調整用パッチ画像データを作成する。
【0120】
図14は、上記のようにして作成された調整用パッチ画像データの一例を示す図である。1400は、プリンタの用紙サイズに応じた調整用パッチ画像データの枠を示している。1400の枠内には、プロファイル調整用に抽出された対応CMYK値からなる調整用パッチ1401が配置されている。この調整用パッチ1401の位置は、元のプロファイル生成時のパッチ画像データではCMYK=(20,40,0,0)%であったのに対し、CMYK=(25,38,5,2)となっている。そして、この調整用パッチ1401の周囲を取り囲むように、8つのパッチ(プロファイル生成時のパッチ画像データにおいてCMYK=(20,40,0,0)の周囲8近傍に位置したパッチ)1402が配置されている。ここでは省略されているが、残りの調整用パッチも調整用パッチ1401と同様に配置される。
【0121】
このようにして作成された調整用パッチ画像データは、プロファイル調整制御モジュール406に送られる。
【0122】
なお、調整用パッチ画像上のパッチを分光測色器で測定する場合には、上述のように配置された調整用パッチの位置のみを測定すれば足りる(すなわち、その周囲8近傍のパッチについては測色しない。)。したがって、プロファイル調整制御モジュール406は、使用する分光測色器がテーブル型やシートスルー型の場合には、調整用パッチの位置のみを測定するように分光測色器制御I/F411に対して指示する。一方、使用する分光測色器が手動型の場合には、スライド型ではない測定ガイド204を用いて、調整用パッチの位置のみを測定するようにすればよい。
【0123】
次に、プロファイル調整演算モジュール409の処理について説明する。
【0124】
図15は、プロファイル調整演算モジュール409における処理フローのブロック図である。
【0125】
最初に、プロファイル調整演算モジュール409は、差分Lab演算処理1501を行う。具体的には、上述した図12のステップ1201でサンプリングされたLab格子点値と、調整用パッチ画像上の調整用パッチを測色した値である調整用パッチ測色値Lab1502との差分を演算する。調整用パッチ画像は、Lab格子点値のLabを再現するCMYK値を出力したものであるから、もしプリンタの特性が変わっていなければ、差分は各Lab格子点において0となる。一方、プリンタの特性が変動していれば、各Lab格子点についての差分(差分Lab値)が得られることになる。
【0126】
次に、プロファイル調整演算モジュール409は、差分Lab値伝搬処理1503を行う。具体的には、上記の演算により得られた差分Lab値を、B2A LUTの各格子点に伝搬する処理を行う。すなわち、得られた差分Lab値を各格子点にスムージングするように補間演算を行う。この結果、B2A LUTの各格子点はプリンタ特性が変動した分だけ、Lab値が変動することになる。
【0127】
最後に、プロファイル調整演算モジュール409は、補間演算処理1504を行って、調整されたB2A LUTを得る。具体的には、変動したLab値に対するCMYK値を、元のプロファイルのB2A LUT1505を用いた補間演算によって求め、特性が変動したプリンタに適したB2A LUT(Lab→CMYK変換ルックアップテーブル)が得られる。
【0128】
以上述べたように、本発明によれば、概略同じような信号値(CMYK値)の構成を持つパッチがプロファイル生成時とプロファイル調整時とで同じ位置に印字される。これにより、前述の面内ムラの影響を防ぐことができる。尚、ここでいう“同じ位置”とは全く同じ位置のみを指すのではなく、画内ムラの影響を考慮して若干のずれを持たせた略同じ位置を含む概念であることはいうまでも無い。また、測色対象となるパッチの周囲に位置するパッチの影響をプロファイル生成時とプロファイル調整時とで類似の状況とすることができ、調整用パッチ画像上の調整用パッチの測色値に対するプリンタの変動要因の影響を最小限にできる。
【0129】
[実施形態2]
実施形態1では、例えば調整用パッチの数を100点程度にした調整用パッチ画像を得て、プリンタの色再現域の全域に亘って効率的かつ精度よくプロファイルを調整する態様について説明した。次に、その時々の必要性に応じ、特定色についてのみプロファイルを調整する態様について実施形態2として説明する。なお、実施形態1に係る図12のフローチャートと共通する部分については説明を簡略化ないしは省略し、ここでは差異点を中心に説明することとする。
【0130】
本実施形態において、プロファイル調整制御モジュール406は、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407を動作させる前に、UI制御モジュール405に指示して、例えば図16に示すような画面を表示させる。このような表示に従って、ユーザは、調整したい特定の色のパッチが印字された調整用パッチ画像を、図2の(b)で示すような手動型の分光測色器を用いて測色する。
【0131】
そして、ユーザがOKボタンを押下するのに応答して、プロファイル調整制御モジュール406は、分光測色器制御I/F411を介して、Lab値を取得する。取得したLab値は、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407に送られる。
【0132】
プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、受け取ったLab値を測定Lab値としてB2A LUT上のLab格子点にあてはめ、測定Lab値の近傍のLab格子点を抽出する。そして、抽出したLab格子点に対応するCMYK値を取得する。
【0133】
図17は、受け取ったLab値から近傍のLab格子点を抽出し、それに対応するCMYK値を取得する様子を示す模式図である。受け取ったLab値が測定Lab値1701としてB2A LUT上のLab格子点1700にあてはめられて近傍のLab格子点が抽出され、該Lab格子点に対応するCMYK値1702が得られている。
【0134】
以降は、実施形態1の図12で示された処理と同様の処理により、調整用パッチ画像データが作成される。すなわち、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、図12のステップ1202以降の処理を行って、特定の調整用パッチのみが配置された調整用パッチ画像データを作成する。
【0135】
これにより、ユーザは所望の特定色についてのみプロファイルを調整することができ、さらに効率的なプロファイル調整を行うことができる。
【0136】
[実施形態3]
手動スライド型の分光測色器では、測色位置が手動スライドに従って連続的に動くため、パッチとパッチとの間に色の差をつけなければ、パッチ間の境界を認識できない。そのため、パッチ間の境界を区切るマーク(区切りバー)が必須となる。区切りバーを設ける場合、測定対象色の区切り位置に隣接する2つの色が共に薄い場合には色の濃い区切りバーを付加し、隣接する2つの色が共に濃い場合には色の薄い区切りバーを付加して、パッチ間の区切りを示すのが一般的である。
【0137】
したがって、プロファイルの生成時にパッチ画像データ上のパッチの測色に手動スライド型の分光測色器を使用する場合、たとえば、図20の(a)に示すようなパッチ画像データとなる。図20の(a)において、2000はパッチであり、2001は濃い色のパッチの境界を示すための区切りバー(例えば、白画素で構成)、2002は薄い色のパッチの境界を示すための区切りバー(例えば、黒画素で構成)である。
【0138】
しかし、プロファイルの生成時と調整時とで常に同じタイプの分光測色器を用いるとは限らない。生成時には手動スライド型を用いたが、調整時にはテーブル型の分光測色器を用いるという場合もあり得る。そして、テーブル型の分光測色器を使用する場合、パッチの測定位置を分光測色器制御I/F411を介して制御でき、このような区切りバーは必ずしも必要ではない。しかしながら、区切りバーも画像形成の一部であり、プロファイル生成時とできるだけ同じような条件で調整用パッチ画像の形成を行うことが望ましい。
【0139】
本実施形態では、プロファイルの生成時に手動スライド型、調整時にはそれ以外のタイプを使用する場合において、パッチ間の境界を区切るマークを調整用パッチ画像データに付加する態様を実施形態3として説明する。
【0140】
図18は、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407による、区切りバーを付加した調整用パッチ画像データを作成する処理の流れを示すフローチャートである。なお、実施形態1に係る図12のフローチャートと共通する部分については説明を簡略化ないしは省略し、ここでは差異点を中心に説明することとする。
【0141】
ステップ1800において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、プロファイル調整制御モジュール406から調整用パッチ画像データの作成指示を受けて処理を開始する。
【0142】
ステップ1801において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、分光測色器のタイプを判定する。すなわち、プロファイル生成時に用いた分光測色器が手動スライド型であるかどうかを判定する。プロファイル生成時に用いた分光測色器が手動スライド型である場合はステップ1802に進む。プロファイル生成時に用いた分光測色器が他のタイプの分光測色器である場合はステップ1814に進み、実施形態1に係る図12のフローによる処理を行う。
【0143】
ステップ1802〜ステップ1805は、図12のステップ1201〜ステップ1204と同じである。すなわち、所定の数の調整用パッチが、プロファイル生成時のパッチ画像データにおけるパッチのうち最も信号値の近いパッチの座標位置にそれぞれ配置される。
【0144】
ステップ1806において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、調整用パッチの両隣の隣接する位置に、プロファイル生成時のパッチのうち最も信号値の近いパッチとして特定されたパッチに隣接していたパッチ(隣接パッチ)を配置する。
【0145】
ステップ1807において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、調整用パッチの信号値(CMYK値)と隣接パッチの信号値(CMYK値)との差分を算出する。
【0146】
ステップ1808において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、算出された差分の絶対値が閾値より小さいかどうかを判定する。具体的には、ΔEが例えば5より小さいかどうかを判定する。差分の絶対値が閾値より小さい場合には、ステップ1809に進む。差分の絶対値が閾値以上の場合には、区切りバーの付加の必要性はないものとして、ステップ1812に進む。
【0147】
ステップ1809において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、隣接パッチの色の濃さを判断する。具体的には、隣接パッチのCMYK値が所定の値(100%がCMYK値のMax値とした場合、例えば50%)以上かどうかを判定する。隣接パッチの色が薄い(CMYK値が50%未満)場合にはステップ1810に進み、隣接パッチの色が濃い(CMYK値が50%以上)場合にはステップ1811に進む。
【0148】
ステップ1810において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、当該隣接パッチと調整用パッチとの境界に黒画素で構成される区切りバーを挿入する。
【0149】
ステップ1811において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、当該隣接パッチ間と調整用パッチとの境界に白画素で構成される区切りバーを挿入する。
【0150】
ステップ1812において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、全ての調整用パッチに関して、ステップ1808〜1811の処理が完了したかどうかを判定する。全ての調整用パッチについて完了していればステップ1813に進む。全ての調整用パッチについて完了していなければ、ステップ1808に戻る。
【0151】
ステップ1813において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、上記の内容に従って区切りバーの挿入された調整用パッチ画像データを作成する。
【0152】
図20の(b)は、上述の方法で作成された調整用パッチ画像データの一例である。調整用パッチ2004の両隣に隣接パッチ2005が配置され、それらの組である2003が歯抜け状に配列されているのが分かる。
【0153】
本実施形態によれば、手動スライド型の分光測色器用の区切りバーのあるパッチ画像を、プロファイル調整時に手動スライド型以外の分光測色器を用いる場合でも再現できる。そのため、区切りバーの有無というパッチ画像形成条件の差異によって生じ得るプロファイル調整への影響を軽減することができる。
【0154】
[実施形態4]
実施形態1における調整用パッチ(対応CMYK値)の抽出処理では、パッチの数が例えば100点程度となるようにプリンタ色再現域1201内のLab格子点を選択し、対応するCMYK値を抽出していた。しかし、抽出した対応CMYK値の配列は、プロファイル生成時のパッチ信号値の配列と同じとは限らない。そして、プリンタによっては、色値の昇順/降順により、隣接パッチに与えるオーバーシュートやアンダーシュートの状況が変わることも考えられる。このような事態を防ぐために、抽出した対応CMYK値から調整用パッチ画像にデータ化する際、プロファイル生成時のパッチ信号値の配列ルールを加味して、対応CMYK値を並べ替える態様を実施形態4として説明する。
【0155】
図19は、本実施形態に係るプロファイル調整用パッチ作成モジュール407における調整用パッチ画像データの作成処理の流れを示すフローチャートである。なお、実施形態1に係る図12のフローチャートと共通する部分については説明を簡略化ないしは省略し、ここでは差異点を中心に説明することとする。
【0156】
調整用パッチ画像データの作成指示を受けて処理を開始すると(S1900)、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、サンプリングしたLab格子点値に対応するCMYK値を抽出する(S1901)。
【0157】
ステップ1902において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、抽出した対応CMYK値が、プロファイル生成時のパッチ画像データにおけるパッチ信号値と同じ配列(CMYK昇順又はCMYK降順)であるかどうかを判定する。なお、図7で示されるパッチ画像データが、CMYK昇順である。同じ配列であればステップ1904に進み、異なる配列であればステップ1903に進む。
【0158】
ステップ1903において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、抽出した対応CMYK値の配列を、プロファイル生成時のパッチ画像データにおけるパッチ信号値と同じ配列(CMYK昇順又はCMYK降順)にソートする。
【0159】
ステップ1904において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、必要に応じてソート処理された対応CMYK値について、プロファイル生成時のパッチ画像データにおけるパッチのCMYK値との差分を取る。そして、差分の絶対値が最も小さいプロファイル生成時のパッチのCMYK値を抽出する。
【0160】
以後、図12のステップ1203〜ステップ1207に対応するステップ1905〜ステップ1909の各処理によって、プロファイル調整用のパッチ画像データが作成される。
【0161】
本実施形態によれば、プロファイル生成時とプロファイル調整時とで、パッチ画像データにおけるパッチ信号値の配列が常に同じになるので、パッチ信号値の配列の相違によるプロファイル調整への影響を軽減することができる。
【0162】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー印刷装置のカラーマッチングに用いられるプロファイルの生成/調整を行う装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真技術やインクジェット技術を用いたカラープリンタの画質は、オフセット印刷機に遜色ないレベルにまで向上してきている。さらには、印刷速度の向上、印刷ワークフローへのソフトウェア対応などにより、印刷の現場でも、少部数印刷や本印刷前のプルーフなどの用途に対して、高性能なハイエンドのプリンタが使用されるようになってきている。当然ながら、このような現場では、印刷品質、特に色味に対する要求は厳しいものとなる。
【0003】
印刷ワークフローでは、従来より、ICCプロファイルを用いたカラーマッチングシステム(CMS)が運用される場合が多いが、そこでのCMSの目的は、大きく分けて2つある。1つは、オフセット印刷機のプロファイルをソース(Source)プロファイル、プリンタのプロファイルをデスティネーション(Destination)プロファイルとして用いて、オフセット印刷機と同じ色味をプリンタで実現する目的である。もう1つは、プリンタ特性の経時変化や機体の個体差を吸収するために、デスティネーションプロファイルをその都度生成してカラーマッチングを行う(出力される色味の安定を図る)目的である。
【0004】
もし、プリンタ特性の経時変化が無視できるほど小さく、色味が合った状態が保たれているのであれば、ソースプロファイルとデスティネーションプロファイルを一旦生成してしまえば、印刷ワークフローを円滑に進めることができる。しかし、現実には、プリンタ特性の経時変化は無視できるほど小さくはなく、特に色味に対する要求の厳しい現場では、色味の微小な変動も許容されない場合が多い。そのため、変動したプリンタ特性の状態に応じたプロファイルの生成を頻繁に行うことになる。
【0005】
プロファイルを生成するには、まず、多数の色(通常、1000色程度)のパッチを含む画像(パッチ画像)をプリンタで出力する。そして、出力されたパッチ画像上のパッチを分光測色器で測定して色値(測色値)の情報を得て、デバイス従属色空間とデバイス独立色空間との変換ルールを生成するという手順を踏む。なお、デバイス従属色空間としては例えばRGBやCMYKが、デバイス独立色空間としては例えばL*a*b*(以下、単に「Lab」と表示。)が用いられる。上述のとおり、測定される色値のデータ数が1000色程度と多いため、パッチの測定やプロファイル生成の演算には、多くの時間を要するという問題がある。
【0006】
このような問題に対応する技術として、特許文献1には、生成したプロファイルから少数のデータを抜き出したパッチ画像を作成して印刷し、これを測色したデータをもとに、プロファイルのルックアップテーブル(LUT)を調整する技術が開示されている。特許文献1の発明は、パッチの測定やプロファイルの調整に要する時間を短縮できるため、プリンタの状態に応じたプロファイル調整を高頻度で行うことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−165864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の発明では、プロファイルの調整時に十分な精度が確保できない可能性が残る。
【0009】
プリンタの特性は、経時変化の他にも様々な要因によって変動する。たとえば、電子写真方式のプリンタでは、あるパッチの画像形成に、該パッチに隣接するパッチの画像形成が影響する場合がある。電子写真方式は、レーザービームを帯電させた感光ドラム上に照射し、感光ドラム上の電位差として画像を形成する技術である。そのため、レーザーのON/OFF反転の際にオーバーシュートやアンダーシュートが起こり得るし、感光ドラムとトナー現像が接する際に生じるトナー像の不均一性が隣接する色の状態によって異なるといったことも起り得る。さらに、感光ドラムの材料の不均一性に起因する帯電ムラや、レーザーと感光ドラムとの距離が感光ドラム面上の左右でわずかに異なるといった要因によって、同じ色で画像形成しても場所により再現される色が異なるという、いわゆる面内ムラの問題も起り得る。
【0010】
このようなプリンタ特性の変動が生じている場合、プロファイル生成の際に印字したパッチと同じ色のパッチをプロファイル調整の際に印字しても、紙媒体上には同じ色が画像形成されず、同じ色値が得られない可能性がある。その結果、不要な調整をしてしまったり、或いは調整の程度を誤ってしまい、精度のよい調整ができないという問題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかるプロファイル調整装置は、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの数よりも少ない数の調整用パッチを配置した調整用パッチ画像データを作成する調整用パッチ作成手段と、前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色手段と、得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算手段とを備え、前記調整用パッチ作成手段は、各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置して、調整用パッチ画像データを作成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プロファイル生成時のパッチ画像の形成条件とプロファイル調整時のパッチ画像の形成条件とに一貫性が確保されるので、精度のよいプロファイルを簡便に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係るカラー印刷システムの構成の一例を示す図である。
【図2】分光測色器のタイプ別の外観図である。
【図3】MFPが、印刷データを受信して印刷処理動作を行うまでの処理の流れを示すブロック図である。
【図4】プロファイル生成/調整装置のソフトウェアモジュール構成を示す図である。
【図5】プロファイル生成/調整装置の起動時に表示されるユーザインターフェース画面の一例を示す図である。
【図6】プロファイル生成時設定画面(Build設定画面)の一例を示す図である。
【図7】パッチ画像データの一例を示す図である。
【図8】プロファイルのデータ構造を示す図である。
【図9】測色データファイルの構成の一例を示す図である。
【図10】プロファイル生成演算モジュールにおけるプロファイル生成の処理フローを示すブロック図である。
【図11】プロファイル調整時設定画面(Calibration設定画面)の一例を示す図である。
【図12】プロファイル調整用パッチ作成モジュールにおける調整用パッチ画像データの作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【図13】プロファイル調整用のCMYK値データを抽出する様子を模式的に示した図である。
【図14】調整用パッチ画像データの一例を示す図である。
【図15】プロファイル調整演算モジュールにおける処理フローのブロック図である。
【図16】実施形態2に係る特定色の測色をユーザに促す画面の一例である。
【図17】実施形態2に係るプロファイル調整用のCMYK値データを抽出する様子を模式的に示した図である。
【図18】実施形態3に係るプロファイル調整用パッチ作成モジュールによる、区切りバーを付加した調整用パッチ画像を作成する処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】実施形態4に係るプロファイル調整用パッチ作成モジュールにおける調整用パッチ画像データの作成処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】実施形態3に係るパッチ画像データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
[実施形態1]
図1は、本実施形態に係るカラー印刷システムの構成の一例を示す図である。
【0016】
カラー印刷システムは、ホストPC100とMFP(Multi Function Peripheral)110の2つの主要な構成要素からなり、ネットワーク130を介して接続されている。
【0017】
ホストPC100は、プロファイルを生成・調整する処理を行うホストコンピュータであり、分光測色器120が接続されている。
【0018】
ホストPC100は、HDD101、ROM102、RAM103、USB I/F104、CPU105、マウス・キーボード106、ディスプレイ107、NetworkI/F108、内部バス109で構成される。
【0019】
HDD101は、プログラムやデータを格納する記憶装置である。
【0020】
ROM102は、ホストPC100起動時のプログラムを格納するメモリである。
【0021】
RAM103は、HDD101やROM102から読み込まれたプログラムを格納したり、プログラム実行の際の一時的なデータ記憶を行うメモリである。
【0022】
USB I/F104は、外部機器との接続のインターフェースを行う。
【0023】
CPU105は、様々なプログラムを実行して各部を制御するためのプロセッサである。
【0024】
マウス・キーボード106は、ユーザからの入力を受け付ける入力手段である。
【0025】
ディスプレイ107は、入力情報や処理結果等の状態表示を行う表示手段である。
【0026】
NetworkI/F108は、ネットワーク130とのインターフェース動作を行う。
【0027】
内部バス109は、上記各部を接続するバスである。
【0028】
分光測色器120は、USB I/F104を介してホストPC100に接続されており、ホストPC100からの所定のコマンド通信にしたがって、色値の測定を行う。
【0029】
MFP110は、ネットワーク130経由で受信したホストPC100からの印刷指示と印刷データに従って印刷処理を行う。
【0030】
MFP110は、HDD111、ROM112、RAM113、NetworkI/F114、画像処理部115、ディスプレイ+タッチパネル116、CPU117、プリンタ部118、内部バス119で構成される。
【0031】
HDD111は、プログラムやデータを格納する記憶装置である。
【0032】
ROM112は、MFP110起動時のプログラムを格納するメモリである。
【0033】
RAM113は、HDD111やROM112から読み込まれたプログラムを格納したり、プログラム実行の際の一時的なデータ記憶を行うメモリである。
【0034】
NetworkI/F114は、ネットワーク130とのインターフェース動作を行う。
【0035】
画像処理部115は、NetworkI/F114を介して受信した印刷データをプリンタ部118での印刷処理に適した画像に変換する。
【0036】
ディスプレイ+タッチパネル116は、入力情報や処理結果等の状態表示を行うための表示手段の機能、およびユーザからの入力を受け付ける入力手段の機能を備える。
【0037】
CPU117は、様々なプログラムを実行して各部を制御するためのプロセッサである。
【0038】
プリンタ部118は、画像処理部115において変換されたCMYKデータを基に記録媒体(紙)上に画像を印刷する。プリンタ部118の記録方式としては、電子写真方式あるいはインクジェット方式などが挙げられる。
【0039】
内部バス119は、上記各部を接続するバスである。
【0040】
次に、分光測色器120について詳しく説明する。分光測色器120には複数のタイプが存在し、本発明には下記に述べるいずれのタイプの分光測色器も適用可能である。
【0041】
図2の(a)〜(d)は、分光測色器120のタイプ別の外観を示している。
【0042】
図2の(a)は、手動スライド型の分光測色器を示している。手動スライド型の分光測色器は、測定ヘッド201を、被測定物上に置いた測定ガイド203に沿ってスライドさせて色値を測定するタイプである。測定ガイド203は中空部分を持ち、測定孔202を該中空部分に嵌め込むと被測定物に密着する程度の厚みのある構造を持つ。なお、中空部分は、測定ヘッド201の測定孔202に対応する高さと用紙サイズ程度の幅を持った大きさである。そして、ユーザが分光測定器を手動でスライドしている間に、被測定物の分光反射率を測定し、Lab値に変換して、USBI/Fを介してホストPC100に測色値を送信する。測定するパッチが連続的に配列されている場合に適している。
【0043】
図2の(b)は、手動型の分光測定器の別形態を示している。測定ガイド204は、ちょうど測定孔202と同等の大きさを持ち、1点のパッチを測定する場合に適している。
【0044】
図2の(c)は、シートスルー型の分光測色器を示している。シートスルー型の分光測色器211は内部に測定ヘッド(不図示)を備えている。分光測色器211は、ユーザが測定スリット212から矢印方向に差し込んだ被測定物を順次矢印方向に搬送し、内部の測定ヘッドで分光反射率を測定し、Lab値に変換して、ホストPC100に測色値を送信する。
【0045】
図2の(d)は、テーブル型の分光測色器を示している。テーブル形の分光測色器221は、測定ヘッド224、測定アーム222、測定台223を備える。測定ヘッド224は、測定アーム222に取り付けられており、ホストPC100からの制御によって測定アーム222が移動することによって測定台223上に固定した被測定物の任意の場所を測定する。そして、測定した分光反射率を、順次、Lab値に変換して、ホストPC100に測色値を送信する。
【0046】
次に、MFP110が、印刷データを受信して印刷処理動作を行うまでの処理の流れを図3のブロック図を用いて説明する。
【0047】
なお、本処理は、HDD111からRAM113に読み込まれたプログラムをCPU117が実行することによって実現される。
【0048】
まず、MFP110のCPU117は、NetworkI/F114を介してホストPC100から印刷データ(PDLデータ)を受信し、RAM113に格納する(301)。
【0049】
次に、格納されたPDLデータを解釈する(302)。PDLデータは、描画データ毎にRGB値やCMYK値の色値を持っている。そこで、その色値をプリンタで再現するためのCMS処理を行う(303)。CMS処理は、モニタやオフセット印刷機の色情報を示すソースプロファイル(306)と、プリンタの色情報を示すデスティネーションプロファイル(307)とを組み合わせて、モニタや印刷機の色をプリンタで再現するための色情報を生成する。ホストPC100で生成・調整されるプロファイルは、MFP110のHDD111上に転送され、CMS処理のデスティネーションプロファイルとして用いられる。
【0050】
CMS処理を終えた後、ラスタライズ処理が行われる(304)。すなわち、CMS処理されたPDLデータをプリンタ部118の解像度に合わせた画像にビットマップ展開する。そして、CPU117は、展開したビットマップデータを画像処理部115に送る。
【0051】
画像処理部115は、プリンタ部116に適した画像処理を行った後、画像をプリンタ部118に転送する(305)。
【0052】
次に、ホストPC100上で動作するプログラムとして実現される、プロファイル生成/調整装置のソフトウェアモジュール構成について、図4を用いて説明する。
【0053】
ソフトウェアモジュールには、統合制御モジュール400、プロファイル生成制御モジュール401、プロファイル調整制御モジュール406、の3つの主要な制御モジュールが存在する。
【0054】
まず、統合制御モジュール400について説明する。統合制御モジュール400は、プログラム起動時に、図5に示すようなユーザインターフェース画面500をUI制御モジュール405に表示させる。そして、ユーザの「Build」ボタン501の押下によりプロファイルの生成をプロファイル生成制御モジュール401に指示し、「Calibration」ボタン502の押下によりプロファイルの調整をプロファイル調整制御モジュール406に指示する。なお、UI制御モジュール405は、プロファイル生成制御モジュール401およびプロファイル調整制御モジュール406からの画面表示やユーザ入力の管理依頼を受けて、ユーザとのインターフェース処理も行う。
【0055】
次に、プロファイル生成制御モジュール401について説明する。プロファイル生成制御モジュール401は、プロファイル生成処理の全般を担い、プロファイル生成用パッチ作成モジュール402、パッチ出力制御モジュール410、分光測色器制御I/F411、プロファイル生成演算モジュール403を制御する。
【0056】
プロファイル生成用パッチ作成モジュール402は、分光測色器120のタイプ情報を基にプロファイル生成のためのパッチ画像データを作成する。作成されたパッチ画像データはプロファイル生成制御モジュール401に送られ、プロファイル生成制御モジュール401を介して、パッチ出力制御モジュール410に送られる。
【0057】
パッチ出力制御モジュール410は、プロファイル生成制御モジュール401から受け取ったパッチ画像データを、CMS処理を行うことなく出力する旨の印刷指示と共にMFP110に送る。MFP110では、受け取った印刷指示に基づいてパッチ画像データを出力する。そして、分光測色器制御I/F411を介して、MFP110から出力されたパッチ画像上のパッチの測定が制御される。得られた測色値はプロファイル生成制御モジュール401に送られる。
【0058】
プロファイル生成演算モジュール403は、パッチ画像データにおけるパッチ信号値(CMYK値)、パッチ画像上のパッチを測定して得られた測色値(Lab値)、プロファイル生成のためのパラメータをプロファイル生成制御モジュール401から受け取る。そして、受け取ったCMYK値、Lab値及びパラメータに基づいてプロファイルを生成し、生成したプロファイルをプロファイル生成制御モジュール401に送る。なお、プロファイル生成のためのパラメータについては後述する。
【0059】
続いて、プロファイル調整制御モジュール406について説明する。プロファイル調整制御モジュール406は、プロファイル調整処理の全般を担う。そのために、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407、パッチ出力制御モジュール410、分光測色器制御I/F411、測色値補正モジュール408、プロファイル調整演算モジュール409を制御する。
【0060】
プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、プロファイル調整制御モジュール406から受け取ったプロファイルと分光測色器120のタイプ情報を基に、プロファイル調整用パッチ画像データ(以下、単に「調整用パッチ画像データ」と呼ぶ。)を作成する。作成された調整用パッチ画像データは、プロファイル調整制御モジュール406を介して、パッチ出力制御モジュール410に送られる。
【0061】
パッチ出力制御モジュール410は、プロファイル生成時と同様の印刷指示と共に調整用パッチ画像データをMFP110に送る。MFP110では、受け取った印刷指示に基づいて調整用パッチ画像データを出力する。そして、分光測色器制御I/F411を介して、調整用パッチ画像上の調整用パッチの測定が制御される。該調整用パッチの測色値はプロファイル調整制御モジュール406に送られる。
【0062】
測色値補正モジュール408は、プロファイル調整制御モジュール406から調整用パッチの測色値を受け取り、プロファイル生成時の測色値に変換する。
【0063】
プロファイル調整演算モジュール409は、プロファイル、調整用パッチ画像データに含まれるパッチ信号値及び調整用パッチの測色値を受け取り、それらを基にプロファイルを調整する。調整されたプロファイルは、プロファイル調整制御モジュール406に送られる。
【0064】
なお、プロファイル生成制御モジュール401の下で生成されたプロファイル及びプロファイル調整制御モジュール406の下で生成された調整プロファイルは、プロファイル保存部404によりHDD101に格納されて保存される。その他の関連するデータ、例えばプロファイルに対応する測色データファイル(パッチ画像上のパッチを測定して得られたLab値のデータファイル)等も、プロファイル保存部によってHDD101に格納され保存される。
【0065】
次に、プロファイル生成のためのパラメータについて説明する。
【0066】
図6は、プロファイルの生成時に使用するパラメータをユーザに入力させるために、プロファイル生成制御モジュール401がUI制御モジュール405に表示させるプロファイル生成時設定画面(Build設定画面)の一例を示している。
【0067】
Build設定画面600には、各種設定値を入力するためのフィールドやチェックボックス等が含まれる。
【0068】
601は生成されたプロファイルを保存する際のファイル名を入力させるテキストフィールドであり、602は測色データを保存する際のファイル名を入力させるテキストフィールドである。そして、603はプロファイル生成のターゲットとなるプリンタを指定するフィールドである。
【0069】
604はプロファイルのA2Bルックアップテーブル(LUT)の格子点数を指定するチェックボックスであり、605はプロファイルのB2Aルックアップテーブル(LUT)の格子点数を指定するチェックボックスである。
【0070】
606は、B2Aルックアップテーブルを生成する際の色分解テーブルの設定であり、トナーあるいはインクの最大載り量を指定するフィールドである。ここでは、理論上の上限値(400%)に対して、240%が指定されている。
【0071】
そして、607は墨入れ量を指定するフィールドであり、608は分光測色器のタイプを指定するフィールドである。609は、プロファイルの生成動作を開始するための開始ボタンである。
【0072】
プロファイル生成制御モジュール401は、これらの指定を受けて上述した各モジュールを制御し、プロファイル生成に関連する処理を行う。たとえば、テキストフィールド601及び602で指定されたファイル名で、生成したプロファイルと測色データとをそれぞれ保存するようプロファイル保存部404に指示する。また、生成したパッチ画像データを、フィールド603で指定された出力先プリンタに送信するようパッチ出力制御モジュール410に指示する。また、プロファイル生成演算モジュール403には、チェックボックス604及び605で指定された格子点数でプロファイルを生成し、その際に、フィールド606及び607で指定されたパラメータで色分解を行うように指示する。また、分光測色器制御I/F411には、フィールド608で指定された分光測色器のタイプを通知し、適合した分光測色器用の通信を行うように指示する。
【0073】
次に、プロファイル生成用パッチ作成モジュール402で作成されるパッチ画像データについて説明する。
【0074】
図7は、作成されたパッチ画像データの一例を示す図である。
【0075】
プロファイル生成用パッチ作成モジュール402は、まず、プリンタの用紙サイズに対応する画像全体枠700を生成し、そして、使用する分光測色器120のタイプに応じたパッチを画像全体枠700内に配列する。ここでは、配列するパッチの個数を、CMYKのうちCMYは同じ分割数の個数を取り、CMYの分割数はKの濃度に応じて以下の通りの組み合わせを取るものとする。
【0076】
K CMY
0 6x6x6
20 6x6x6
40 6x6x6
60 6x6x6
80 4x4x4
100 3x3x3
【0077】
分割数が6x6x6の場合、CMYの取る信号値は0,20,40,60,80,100(%)となり、CMYでの組み合わせ数は、216個となる。分割数が4x4x4の場合、CMYの取る信号値は0,33,66,100(%)となり、CMYの組み合わせ数は、64個となる。分割数が3x3x3の場合、CMYの取る信号値は、0,50,100(%)となり、CMYの組み合わせ数は、27個となる。したがって、パッチの総個数は、955個となる。CMYの増加は、C→M→Y→Kの順で値が増加していくものとする。一番左上のパッチ701は、CMYK=(0,0,0,0)、つまり、何も印字しないパッチである。
【0078】
次に、プロファイルのデータ構造について説明する。
【0079】
図8は、プロファイル(800)のデータ構造を示しており、ヘッダ部(801)、A2B LUT(802)、B2A LUT(803)からなる。
【0080】
ヘッダ部は、プロファイルのフォーマットバージョンや、タイムスタンプ、プロファイルが適用されるデバイスの種別などの情報を含む。
【0081】
A2B LUTは、デバイス依存色空間からデバイス独立色空間への変換のためのルックアップテーブルである。本実施形態におけるA2B LUTは、CMYKの4次元の格子点からなり、各格子点上にLabデータを格納したフォーマットである。
【0082】
B2A LUTは、デバイス独立色空間からデバイス依存色空間への変換のためのルックアップテーブルである。本実施形態におけるB2A LUTは、Labの3次元の各格子点上にCMYKデータを格納したフォーマットであり、デバイス独立色空間の色値(Lab値)をどういうCMYK値で印字すれば測色可能なLab値になるのか、を表現している。
【0083】
プロファイル生成においては、これら全ての情報を生成する必要がある。
【0084】
そして、プロファイル調整において対象となるのは、B2A LUTである。B2A LUTを調整して、その時々のデバイスの状態(プリンタの特性)に合った最適のプロファイルにする。
【0085】
次に、測色データファイルについて説明する。
【0086】
図9は、測色データファイルの具体的な構成を示している。測色データファイル900には、ファイル名、ターゲットとなるプリンタの名称、使用した分光測色器の型番、パッチ番号及びパッチ番号に対応するLab測色値といった情報が含まれる。
【0087】
次に、プロファイル生成演算モジュール403におけるプロファイル生成の処理フローについて説明する。
【0088】
図10のa)は、プロファイルのA2B LUTを生成する処理フローを示すブロック図である。プロファイル生成演算モジュール403は、補間演算処理1001によって、A2B LUTを生成する。すなわち、パッチ画像データに含まれるパッチ信号値(CMYK値)とLab測色値との対応テーブルであるCMYK→Lab測色値テーブル1002を用いて、CMYKの格子点値に対するLab値を演算して、A2B LUTを生成する。以下、より具体的に説明する。
【0089】
ここで、CMYKの格子点値は、前述のBuild設定画面600のチェックボックス604で設定された格子点数(17x17x17x17又は9x9x9x9)の値となる。すなわち、CMYK格子点数が17x17x17x17の場合のCMYK値は、C→M→Y→Kの順で昇順に、各々0から100%まで、6.25%刻みで増分するような値を取る。また、CMYKの格子点数が9x9x9x9の場合のCMYK値は、C→M→Y→Kの順で昇順に、0から100%まで12.5%刻みで増分する値を取る。
【0090】
プロファイル生成演算モジュール403は、各CMYK格子点値に近接するCMYK値を数点選択し、それらに対応するLab値を用いた補間演算1001を行って、CMYK格子点値に対応するLab値を求めていく。なお、補間演算1001には、線形補間法など既知のさまざまな方法を適用することができる。
【0091】
図10のb)は、プロファイルのB2A LUTを生成する処理フローを示すブロック図である。プロファイル生成演算モジュール403は、ガマットマッピング処理(Gamut Mapping)1003、Lab→DeviceRGB変換処理1004、色分解処理1005によって、B2A LUTを生成する。Labの格子点値は、前述のBuild設定画面600のチェックボックス605で設定された格子点数(17x17x17又は3x3x3)の値となる。すなわち、Lab格子点数が17x17x17の場合、Lの値は0から100まで6.25刻みで増分し、a,bの値は、−128から128まで16刻みで増分するように取り、b→a→Lの順で昇順に発生させる。格子点数が33x33x33の場合、Lの値は0から100まで3.125刻みで、a,bの値は−128から128まで8刻みで増分するように取り、b→a→Lの順で昇順に発生させる。
【0092】
まず、Lab格子点値が取るLab値は、プリンタの色再現領域よりも広いため、ガマットマッピング処理により色空間圧縮を行う。ガマットマッピング処理1003では、発生したLab格子点値を、DeviceRGB→Lab測色値テーブル1006の情報を用いて色空間圧縮する。
【0093】
ここで、DeviceRGB→Lab測色値テーブル1006は、DeviceRGB値を入力としLab値を出力とする3次元のLUTであって、プリンタの再現可能な範囲を決定する情報である。プロファイルのA2B LUTを生成する処理の完了後、B2A LUTを生成する処理に先立って、このDeviceRGB→Lab測色値テーブルを求める処理が行われる。
【0094】
図10のc)は、DeviceRGB→Lab測色値テーブル1006を求める処理フローを示すブロック図である。
【0095】
まず、DeviceRGB格子点値を発生させる。格子点数が例えば33x33x33であるとすると、DeviceRGB格子点値は、0から255まで8刻みで増分し、B→G→Rの順で昇順に発生する。このように発生したDeviceRGB値を、色分解処理1005が、前述のBuild設定画面600のトナー/インクの最大載り量606や墨入れ量607の情報を基にCMYK値への色分解を行う。その後、上述のA2B LUT生成フローで用いたのと同様の補間演算1001を行ってLab値を得る。このようにして、DeviceRGB→Lab測色値テーブル1006が求められる。
【0096】
B2A LUTを生成する処理フローの説明に戻る。
【0097】
ガマットマッピング処理1003に続くLab→DeviceRGB変換処理1004では、色空間圧縮されたLab値を、上述のようにして求めたDeviceRGB→Lab測色値テーブル1006を用いて、DeviceRGB値に逆変換する。この逆変換の演算についても様々な既知の方法があり、どのような方法を用いても構わない。
【0098】
最後に、色分解処理1005が、所与のパラメータ(Build設定画面600で設定されたトナー/インクの最大載り量606や墨入れ量607の情報)を基にDeviceRGB値からCMYK値への色分解を行う。
【0099】
これらの処理によりLab格子点値に対応するCMYK値を算出して、B2A LUTを完成させる。
【0100】
以上のようにして、プロファイル生成制御モジュール401は、A2B LUT及びB2A LUTを得てプロファイルを生成する。生成されたプロファイルはプロファイル保存部404に格納される。
【0101】
次に、プロファイル調整制御モジュール406におけるプロファイル調整処理について説明する。
【0102】
図11は、プロファイル調整制御モジュール406が、プロファイル調整処理の開始時にUI制御モジュール405に表示させるプロファイル調整時設定画面(Calibration設定画面)の一例を示している。
【0103】
Calibration設定画面1100には、Build設定画面600と同様、各種設定値を入力するためのフィールド等が含まれる。
【0104】
1101は調整をしたいプロファイルのファイル名を指定するフィールドであり、1102はプロファイル生成時における測色データファイルのファイル名を指定するフィールドである。
【0105】
1103はターゲットとなるプリンタを指定するフィールドであり、1104は分光測色器のタイプを指定するドロップダウンリストである。1105は、プロファイルの調整処理を開始するための開始ボタンである。
【0106】
ユーザによってこれらの情報が入力され、開始ボタン1105が押下されると、プロファイル調整制御モジュール406は、UI制御モジュール405からユーザが入力した情報を受け取り、概略以下のように各モジュールを制御する。
【0107】
最初に、プロファイル調整制御モジュール406は、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407にプロファイルと分光測色器120のタイプ情報を渡し、調整用パッチ画像データの作成を指示する。調整用パッチ画像データが作成されると、プロファイル調整制御モジュール406は、パッチ出力制御モジュール410に調整用パッチ画像データを送り、ターゲットとなるプリンタで出力するよう指示する。調整用パッチ画像がターゲットのプリンタから出力され、ユーザが調整用パッチ画像上のパッチを測定する準備ができると、分光測色器制御I/F411を介して、測色値を取得する。そして、プロファイル調整制御モジュール406は、調整用パッチの信号値と測色値とをプロファイル調整演算モジュール409に送り、プロファイルのB2A LUTの調整の実行を指示する。
【0108】
以下、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407及びプロファイル調整演算モジュール409の処理について詳しく説明する。
【0109】
まず、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407の処理について説明する。
【0110】
図12は、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407における調整用パッチ画像データの作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【0111】
ステップ1200において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、プロファイル調整制御モジュール406から調整用パッチ画像データの作成指示を受けて処理を開始する。
【0112】
ステップ1201において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、生成時のプロファイルのB2A LUTから適宜Lab格子点値をサンプリングし、サンプリングされたLab格子点値に対応するCMYK値を抽出する。図13は、対応CMYK値を抽出する様子を模式的に示した図である。1300は、説明の便宜のために、2次元的かつ格子点数を減らして示したB2A LUTのLab格子点を示しており、1301は、プリンタの色再現領域の境界を示している。このプリンタ色再現域境界1301の内側あるいは近傍にあるLab格子点値の中から、所定のパッチ数が得られるようにLab格子点が均等にサンプリングされ、それに対応するCMYK値1302が抽出される。所定のパッチ数は、ユーザが任意に決定し得るものであるが、例えば100点程度である。仮に図13が約100点のパッチを得るときのサンプリングの状態を示しているとすれば、50点のパッチを得る場合はサンプリングの密度がこの半分になり、200点のパッチを得る場合はサンプリングの密度がこの倍になることになる。
【0113】
ステップ1202において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、抽出した対応CMYK値のそれぞれについて、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのCMYK値との差分を取る。そして、差分の絶対値が最も小さいプロファイル生成時のパッチのCMYK値を抽出する。
【0114】
ステップ1203において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、抽出された“差分の絶対値が最も小さいプロファイル生成時のパッチのCMYK値”のパッチ画像データにおける座標位置を求める。
【0115】
ステップ1204において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、求められた座標位置と同じ座標位置に、対応CMYK値のパッチ(調整用パッチ)を配置する。
【0116】
ステップ1205において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、調整用パッチの周囲に、プロファイル生成時のパッチ画像データにおける周囲のパッチを配置する。すなわち、ステップ1204で配置された調整用パッチの周囲8近傍の座標位置に、ステップ1203で求めた座標位置の周囲8近傍に位置したプロファイル生成時のパッチ画像データにおけるパッチを配置する。
【0117】
ステップ1206において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、ステップ1201で抽出した全ての対応CMYK値についてステップ1202〜1205の処理が完了し、全ての調整用パッチの配置が決定されたかどうかを判定する。抽出された全ての対応CMYK値について処理が完了していればステップ1207に進む。全ての対応CMYK値について処理が完了していなければ、ステップ1202に戻り、未処理の対応CMYK値に対してステップ1202〜1205の処理を繰り返す。
【0118】
ステップ1207において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、決定された配置に従って、全ての調整用パッチ(その周囲8近傍のパッチを含む)を配した調整用パッチ画像データを作成する。
【0119】
このようにして、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、抽出された対応CMYK値を適宜配置して、プリンタに適した用紙サイズや分光測色器の種類に適した調整用パッチ画像データを作成する。
【0120】
図14は、上記のようにして作成された調整用パッチ画像データの一例を示す図である。1400は、プリンタの用紙サイズに応じた調整用パッチ画像データの枠を示している。1400の枠内には、プロファイル調整用に抽出された対応CMYK値からなる調整用パッチ1401が配置されている。この調整用パッチ1401の位置は、元のプロファイル生成時のパッチ画像データではCMYK=(20,40,0,0)%であったのに対し、CMYK=(25,38,5,2)となっている。そして、この調整用パッチ1401の周囲を取り囲むように、8つのパッチ(プロファイル生成時のパッチ画像データにおいてCMYK=(20,40,0,0)の周囲8近傍に位置したパッチ)1402が配置されている。ここでは省略されているが、残りの調整用パッチも調整用パッチ1401と同様に配置される。
【0121】
このようにして作成された調整用パッチ画像データは、プロファイル調整制御モジュール406に送られる。
【0122】
なお、調整用パッチ画像上のパッチを分光測色器で測定する場合には、上述のように配置された調整用パッチの位置のみを測定すれば足りる(すなわち、その周囲8近傍のパッチについては測色しない。)。したがって、プロファイル調整制御モジュール406は、使用する分光測色器がテーブル型やシートスルー型の場合には、調整用パッチの位置のみを測定するように分光測色器制御I/F411に対して指示する。一方、使用する分光測色器が手動型の場合には、スライド型ではない測定ガイド204を用いて、調整用パッチの位置のみを測定するようにすればよい。
【0123】
次に、プロファイル調整演算モジュール409の処理について説明する。
【0124】
図15は、プロファイル調整演算モジュール409における処理フローのブロック図である。
【0125】
最初に、プロファイル調整演算モジュール409は、差分Lab演算処理1501を行う。具体的には、上述した図12のステップ1201でサンプリングされたLab格子点値と、調整用パッチ画像上の調整用パッチを測色した値である調整用パッチ測色値Lab1502との差分を演算する。調整用パッチ画像は、Lab格子点値のLabを再現するCMYK値を出力したものであるから、もしプリンタの特性が変わっていなければ、差分は各Lab格子点において0となる。一方、プリンタの特性が変動していれば、各Lab格子点についての差分(差分Lab値)が得られることになる。
【0126】
次に、プロファイル調整演算モジュール409は、差分Lab値伝搬処理1503を行う。具体的には、上記の演算により得られた差分Lab値を、B2A LUTの各格子点に伝搬する処理を行う。すなわち、得られた差分Lab値を各格子点にスムージングするように補間演算を行う。この結果、B2A LUTの各格子点はプリンタ特性が変動した分だけ、Lab値が変動することになる。
【0127】
最後に、プロファイル調整演算モジュール409は、補間演算処理1504を行って、調整されたB2A LUTを得る。具体的には、変動したLab値に対するCMYK値を、元のプロファイルのB2A LUT1505を用いた補間演算によって求め、特性が変動したプリンタに適したB2A LUT(Lab→CMYK変換ルックアップテーブル)が得られる。
【0128】
以上述べたように、本発明によれば、概略同じような信号値(CMYK値)の構成を持つパッチがプロファイル生成時とプロファイル調整時とで同じ位置に印字される。これにより、前述の面内ムラの影響を防ぐことができる。尚、ここでいう“同じ位置”とは全く同じ位置のみを指すのではなく、画内ムラの影響を考慮して若干のずれを持たせた略同じ位置を含む概念であることはいうまでも無い。また、測色対象となるパッチの周囲に位置するパッチの影響をプロファイル生成時とプロファイル調整時とで類似の状況とすることができ、調整用パッチ画像上の調整用パッチの測色値に対するプリンタの変動要因の影響を最小限にできる。
【0129】
[実施形態2]
実施形態1では、例えば調整用パッチの数を100点程度にした調整用パッチ画像を得て、プリンタの色再現域の全域に亘って効率的かつ精度よくプロファイルを調整する態様について説明した。次に、その時々の必要性に応じ、特定色についてのみプロファイルを調整する態様について実施形態2として説明する。なお、実施形態1に係る図12のフローチャートと共通する部分については説明を簡略化ないしは省略し、ここでは差異点を中心に説明することとする。
【0130】
本実施形態において、プロファイル調整制御モジュール406は、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407を動作させる前に、UI制御モジュール405に指示して、例えば図16に示すような画面を表示させる。このような表示に従って、ユーザは、調整したい特定の色のパッチが印字された調整用パッチ画像を、図2の(b)で示すような手動型の分光測色器を用いて測色する。
【0131】
そして、ユーザがOKボタンを押下するのに応答して、プロファイル調整制御モジュール406は、分光測色器制御I/F411を介して、Lab値を取得する。取得したLab値は、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407に送られる。
【0132】
プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、受け取ったLab値を測定Lab値としてB2A LUT上のLab格子点にあてはめ、測定Lab値の近傍のLab格子点を抽出する。そして、抽出したLab格子点に対応するCMYK値を取得する。
【0133】
図17は、受け取ったLab値から近傍のLab格子点を抽出し、それに対応するCMYK値を取得する様子を示す模式図である。受け取ったLab値が測定Lab値1701としてB2A LUT上のLab格子点1700にあてはめられて近傍のLab格子点が抽出され、該Lab格子点に対応するCMYK値1702が得られている。
【0134】
以降は、実施形態1の図12で示された処理と同様の処理により、調整用パッチ画像データが作成される。すなわち、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、図12のステップ1202以降の処理を行って、特定の調整用パッチのみが配置された調整用パッチ画像データを作成する。
【0135】
これにより、ユーザは所望の特定色についてのみプロファイルを調整することができ、さらに効率的なプロファイル調整を行うことができる。
【0136】
[実施形態3]
手動スライド型の分光測色器では、測色位置が手動スライドに従って連続的に動くため、パッチとパッチとの間に色の差をつけなければ、パッチ間の境界を認識できない。そのため、パッチ間の境界を区切るマーク(区切りバー)が必須となる。区切りバーを設ける場合、測定対象色の区切り位置に隣接する2つの色が共に薄い場合には色の濃い区切りバーを付加し、隣接する2つの色が共に濃い場合には色の薄い区切りバーを付加して、パッチ間の区切りを示すのが一般的である。
【0137】
したがって、プロファイルの生成時にパッチ画像データ上のパッチの測色に手動スライド型の分光測色器を使用する場合、たとえば、図20の(a)に示すようなパッチ画像データとなる。図20の(a)において、2000はパッチであり、2001は濃い色のパッチの境界を示すための区切りバー(例えば、白画素で構成)、2002は薄い色のパッチの境界を示すための区切りバー(例えば、黒画素で構成)である。
【0138】
しかし、プロファイルの生成時と調整時とで常に同じタイプの分光測色器を用いるとは限らない。生成時には手動スライド型を用いたが、調整時にはテーブル型の分光測色器を用いるという場合もあり得る。そして、テーブル型の分光測色器を使用する場合、パッチの測定位置を分光測色器制御I/F411を介して制御でき、このような区切りバーは必ずしも必要ではない。しかしながら、区切りバーも画像形成の一部であり、プロファイル生成時とできるだけ同じような条件で調整用パッチ画像の形成を行うことが望ましい。
【0139】
本実施形態では、プロファイルの生成時に手動スライド型、調整時にはそれ以外のタイプを使用する場合において、パッチ間の境界を区切るマークを調整用パッチ画像データに付加する態様を実施形態3として説明する。
【0140】
図18は、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407による、区切りバーを付加した調整用パッチ画像データを作成する処理の流れを示すフローチャートである。なお、実施形態1に係る図12のフローチャートと共通する部分については説明を簡略化ないしは省略し、ここでは差異点を中心に説明することとする。
【0141】
ステップ1800において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、プロファイル調整制御モジュール406から調整用パッチ画像データの作成指示を受けて処理を開始する。
【0142】
ステップ1801において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、分光測色器のタイプを判定する。すなわち、プロファイル生成時に用いた分光測色器が手動スライド型であるかどうかを判定する。プロファイル生成時に用いた分光測色器が手動スライド型である場合はステップ1802に進む。プロファイル生成時に用いた分光測色器が他のタイプの分光測色器である場合はステップ1814に進み、実施形態1に係る図12のフローによる処理を行う。
【0143】
ステップ1802〜ステップ1805は、図12のステップ1201〜ステップ1204と同じである。すなわち、所定の数の調整用パッチが、プロファイル生成時のパッチ画像データにおけるパッチのうち最も信号値の近いパッチの座標位置にそれぞれ配置される。
【0144】
ステップ1806において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、調整用パッチの両隣の隣接する位置に、プロファイル生成時のパッチのうち最も信号値の近いパッチとして特定されたパッチに隣接していたパッチ(隣接パッチ)を配置する。
【0145】
ステップ1807において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、調整用パッチの信号値(CMYK値)と隣接パッチの信号値(CMYK値)との差分を算出する。
【0146】
ステップ1808において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、算出された差分の絶対値が閾値より小さいかどうかを判定する。具体的には、ΔEが例えば5より小さいかどうかを判定する。差分の絶対値が閾値より小さい場合には、ステップ1809に進む。差分の絶対値が閾値以上の場合には、区切りバーの付加の必要性はないものとして、ステップ1812に進む。
【0147】
ステップ1809において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、隣接パッチの色の濃さを判断する。具体的には、隣接パッチのCMYK値が所定の値(100%がCMYK値のMax値とした場合、例えば50%)以上かどうかを判定する。隣接パッチの色が薄い(CMYK値が50%未満)場合にはステップ1810に進み、隣接パッチの色が濃い(CMYK値が50%以上)場合にはステップ1811に進む。
【0148】
ステップ1810において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、当該隣接パッチと調整用パッチとの境界に黒画素で構成される区切りバーを挿入する。
【0149】
ステップ1811において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、当該隣接パッチ間と調整用パッチとの境界に白画素で構成される区切りバーを挿入する。
【0150】
ステップ1812において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、全ての調整用パッチに関して、ステップ1808〜1811の処理が完了したかどうかを判定する。全ての調整用パッチについて完了していればステップ1813に進む。全ての調整用パッチについて完了していなければ、ステップ1808に戻る。
【0151】
ステップ1813において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、上記の内容に従って区切りバーの挿入された調整用パッチ画像データを作成する。
【0152】
図20の(b)は、上述の方法で作成された調整用パッチ画像データの一例である。調整用パッチ2004の両隣に隣接パッチ2005が配置され、それらの組である2003が歯抜け状に配列されているのが分かる。
【0153】
本実施形態によれば、手動スライド型の分光測色器用の区切りバーのあるパッチ画像を、プロファイル調整時に手動スライド型以外の分光測色器を用いる場合でも再現できる。そのため、区切りバーの有無というパッチ画像形成条件の差異によって生じ得るプロファイル調整への影響を軽減することができる。
【0154】
[実施形態4]
実施形態1における調整用パッチ(対応CMYK値)の抽出処理では、パッチの数が例えば100点程度となるようにプリンタ色再現域1201内のLab格子点を選択し、対応するCMYK値を抽出していた。しかし、抽出した対応CMYK値の配列は、プロファイル生成時のパッチ信号値の配列と同じとは限らない。そして、プリンタによっては、色値の昇順/降順により、隣接パッチに与えるオーバーシュートやアンダーシュートの状況が変わることも考えられる。このような事態を防ぐために、抽出した対応CMYK値から調整用パッチ画像にデータ化する際、プロファイル生成時のパッチ信号値の配列ルールを加味して、対応CMYK値を並べ替える態様を実施形態4として説明する。
【0155】
図19は、本実施形態に係るプロファイル調整用パッチ作成モジュール407における調整用パッチ画像データの作成処理の流れを示すフローチャートである。なお、実施形態1に係る図12のフローチャートと共通する部分については説明を簡略化ないしは省略し、ここでは差異点を中心に説明することとする。
【0156】
調整用パッチ画像データの作成指示を受けて処理を開始すると(S1900)、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、サンプリングしたLab格子点値に対応するCMYK値を抽出する(S1901)。
【0157】
ステップ1902において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、抽出した対応CMYK値が、プロファイル生成時のパッチ画像データにおけるパッチ信号値と同じ配列(CMYK昇順又はCMYK降順)であるかどうかを判定する。なお、図7で示されるパッチ画像データが、CMYK昇順である。同じ配列であればステップ1904に進み、異なる配列であればステップ1903に進む。
【0158】
ステップ1903において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、抽出した対応CMYK値の配列を、プロファイル生成時のパッチ画像データにおけるパッチ信号値と同じ配列(CMYK昇順又はCMYK降順)にソートする。
【0159】
ステップ1904において、プロファイル調整用パッチ作成モジュール407は、必要に応じてソート処理された対応CMYK値について、プロファイル生成時のパッチ画像データにおけるパッチのCMYK値との差分を取る。そして、差分の絶対値が最も小さいプロファイル生成時のパッチのCMYK値を抽出する。
【0160】
以後、図12のステップ1203〜ステップ1207に対応するステップ1905〜ステップ1909の各処理によって、プロファイル調整用のパッチ画像データが作成される。
【0161】
本実施形態によれば、プロファイル生成時とプロファイル調整時とで、パッチ画像データにおけるパッチ信号値の配列が常に同じになるので、パッチ信号値の配列の相違によるプロファイル調整への影響を軽減することができる。
【0162】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置のプロファイルを調整するプロファイル調整装置であって、
プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの数よりも少ない数の調整用パッチを配置した調整用パッチ画像データを作成する調整用パッチ作成手段と、
前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色手段と、
得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算手段と
を備え、
前記調整用パッチ作成手段は、各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置して、調整用パッチ画像データを作成する、
ことを特徴とするプロファイル調整装置。
【請求項2】
前記調整用パッチ作成手段は、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち、調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つ前記パッチの周囲に配置されたパッチを、各調整用パッチの周囲に配置することを特徴とする請求項1に記載のプロファイル調整装置。
【請求項3】
画像形成装置のプロファイルを調整するプロファイル調整装置であって、
ユーザによって指定された特定色の調整用パッチを配置した調整用パッチ画像データを作成する調整用パッチ作成手段と、
前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色手段と、
得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算手段と
を備え、
前記調整用パッチ作成手段は、前記特定色の調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち前記特定色の調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置して、調整用パッチ画像データを作成する、
ことを特徴とするプロファイル調整装置。
【請求項4】
画像形成装置のプロファイルを調整するプロファイル調整装置であって、
プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの数よりも少ない数の調整用パッチを配置した調整用パッチ画像データを作成する調整用パッチ作成手段と、
前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色手段と、
得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算手段と
を備え、
前記調整用パッチ作成手段は、
プロファイルの生成時にパッチ画像上のパッチを測色するのに使用した分光測色器が手動スライド型かどうかを判定する手段を含み、
前記判定手段で、使用した分光測色器が手動スライド型と判定された場合に、
各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置し、
プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち、調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つ前記パッチに隣接するパッチを、各調整用パッチに隣接して配置し、
前記同じ位置に配置された調整用パッチと該調整用パッチに隣接して配置されたパッチとの境界を区切るマークを挿入して、調整用パッチ画像データを作成する、
ことを特徴とするプロファイル調整装置。
【請求項5】
前記調整用パッチ作成手段は、各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの配列と同じ配列で配置することを特徴とする請求項1または2に記載のプロファイル調整装置。
【請求項6】
画像形成装置のプロファイルを調整するプロファイル調整方法であって、
プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの数よりも少ない数の調整用パッチを配置した調整用パッチ画像データを作成する調整用パッチ作成ステップと、
前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色ステップと、
得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算ステップと
を備え、
前記調整用パッチ作成ステップは、各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置して、調整用パッチ画像データを作成する、
ことを特徴とするプロファイル調整方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項6に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
画像形成装置のプロファイルを調整するプロファイル調整装置であって、
プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの数よりも少ない数の調整用パッチを配置した調整用パッチ画像データを作成する調整用パッチ作成手段と、
前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色手段と、
得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算手段と
を備え、
前記調整用パッチ作成手段は、各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置して、調整用パッチ画像データを作成する、
ことを特徴とするプロファイル調整装置。
【請求項2】
前記調整用パッチ作成手段は、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち、調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つ前記パッチの周囲に配置されたパッチを、各調整用パッチの周囲に配置することを特徴とする請求項1に記載のプロファイル調整装置。
【請求項3】
画像形成装置のプロファイルを調整するプロファイル調整装置であって、
ユーザによって指定された特定色の調整用パッチを配置した調整用パッチ画像データを作成する調整用パッチ作成手段と、
前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色手段と、
得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算手段と
を備え、
前記調整用パッチ作成手段は、前記特定色の調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち前記特定色の調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置して、調整用パッチ画像データを作成する、
ことを特徴とするプロファイル調整装置。
【請求項4】
画像形成装置のプロファイルを調整するプロファイル調整装置であって、
プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの数よりも少ない数の調整用パッチを配置した調整用パッチ画像データを作成する調整用パッチ作成手段と、
前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色手段と、
得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算手段と
を備え、
前記調整用パッチ作成手段は、
プロファイルの生成時にパッチ画像上のパッチを測色するのに使用した分光測色器が手動スライド型かどうかを判定する手段を含み、
前記判定手段で、使用した分光測色器が手動スライド型と判定された場合に、
各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置し、
プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち、調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つ前記パッチに隣接するパッチを、各調整用パッチに隣接して配置し、
前記同じ位置に配置された調整用パッチと該調整用パッチに隣接して配置されたパッチとの境界を区切るマークを挿入して、調整用パッチ画像データを作成する、
ことを特徴とするプロファイル調整装置。
【請求項5】
前記調整用パッチ作成手段は、各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの配列と同じ配列で配置することを特徴とする請求項1または2に記載のプロファイル調整装置。
【請求項6】
画像形成装置のプロファイルを調整するプロファイル調整方法であって、
プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチの数よりも少ない数の調整用パッチを配置した調整用パッチ画像データを作成する調整用パッチ作成ステップと、
前記調整用パッチ画像データに従って前記画像形成装置から出力された調整用パッチ画像上の各調整用パッチを測色して測色値を得る測色ステップと、
得られた測色値と各調整用パッチの信号値とに基づいてプロファイルを調整するプロファイル調整演算ステップと
を備え、
前記調整用パッチ作成ステップは、各調整用パッチを、プロファイル生成時に用いたパッチ画像データにおけるパッチのうち調整用パッチの信号値との差分が最小となるような信号値を持つパッチと同じ位置に配置して、調整用パッチ画像データを作成する、
ことを特徴とするプロファイル調整方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項6に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−254234(P2011−254234A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125981(P2010−125981)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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