説明

プローブの製造方法

【目的】 本発明の目的は短時間で安価にプローブを製造することが可能なプローブの製造方法を提供する。
【構成】 型100のプローブ300aの形状に対応した開口部110aの第1の凹部111a、第2の凹部112a、第3の凹部113a及び第4の凹部114aの基端部にインクジェット装置のノズル210によりインク211を吐出させることにより、当該第1の凹部111a、第2の凹部112a、第3の凹部113a及び第4の凹部114aの基端部をインク211で満たし、その後、ノズル230によりインク231を吐出させることにより、第4の凹部114aの先端部をインク211で満たし、その後、開口部110a内のインク211、231を焼結して三次元構造物を造形し、その後、前記三次元構造物を型100から取り外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット装置を用いたプローブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のプローブの製造方法としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたものがある。
【0003】
具体的には、犠牲層を作成する工程と、当該犠牲層にマスクを用いて露光・現像を行って開口を形成する工程と、当該開口にメッキを行う工程とが繰り返されることにより、様々な形状のプローブが製造されるようになっている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2008−89461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記メッキ工程は、厚み1μm程度の造形物を作成するために約一時間を要する。換言すると、前記メッキ工程には時間が掛かるため、コスト高の要因となっていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、短時間で安価にプローブを製造することが可能なプローブの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1のプローブの製造方法は、プローブの形状に対応した開口部を有する型を用いたプローブの製造方法であって、型の開口部に、インクジェット装置により金属粉末粒子及び溶剤が混ぜ合わされたインクを吐出させることにより、前記開口部を前記インクで満たし、その後、前記開口部内のインクを焼結して三次元構造物を造形し、その後、前記三次元構造物を前記型から取り外すようにしている。
【0008】
このような第1のプローブの製造方法による場合、型の開口部にインクジェット装置によりインクを吐出させ、当該インクを焼結させるだけで、プローブとなる三次元構造物を造形することができる。この三次元構造物の造形工程は、メッキ工程よりも時間がかからず、犠牲層を作成する工程や犠牲層に開口を作成する工程等を経る必要がない。よって、プローブの製造時間を短縮することができ、その結果、プローブを安価に製造することができる。しかも、型の開口部を複数種類のプローブの形状に対応するように作成すれば、一つの型から複数種類のプローブを得ることができるので、プローブの生産性を向上させることが可能になる。また、型の開口部内にインクを充填するようにしたことから、インクの位置決め精度を低くすることができ、且つ粘性の低いインクを用いることができる。
【0009】
前記型の材料にはカーボン、グラファイト及びシリコンカーバイド等が使用できるが、シリコンカーバイド基板が最も長時間の使用に耐え得る。シリコンカーバイド基板は熱膨張し難い性質を有しているため、シリコンカーバイド基板を型として用いることにより、寸法精度の高いプローブを得ることができる。しかも、シリコンカーバイド基板は金属と馴染み難い性質を有しているため、プローブである三次元構造物を離型し易い。
【0010】
本発明の第2のプローブの製造方法は、インクジェット装置に金属粉末粒子、溶剤及び硬化剤が混ぜ合わされたインクを吐出させ、ベース部上に前記インクの薄膜を形成すると共に、当該薄膜を硬化させ、その後、インクジェット装置に前記インクを吐出させ、前記薄膜上に新たなインクの薄膜を形成すると共に、当該薄膜の硬化を繰り返すことにより、前記薄膜を積層させて三次元構造物を造形し、その後、前記三次元構造物を焼結するようにしたことを特徴としている。
【0011】
このような第2のプローブの製造方法による場合、ベース部上にインクを吐出し、当該インクの薄膜を硬化させつつ積層させることにより、ベース部上にプローブとなる三次元構造物を作成することができる。この三次元構造物の造形工程は、メッキ工程よりも時間がかかず、犠牲層を作成する工程や犠牲層に開口を作成する工程等を経る必要がない。よって、プローブの製造時間を短縮することができ、その結果、プローブを安価に製造することができる。しかも、ベース部としてプローブカード用の回路基板を用いれば、当該基板上にプローブを実装する手間を省くことができる。この点で、プローブカードの製造の容易化を図ることができる。
【0012】
前記第2のプローブの製造方法は、前記三次元構造物を造形する前に、前記ベース部の面上に犠牲部材を形成し、その後、前記ベース部の面上及び犠牲部材上にインクジェット装置により前記三次元構造物を造形するようにすることができる。この場合、前記犠牲部材は、前記三次元構造物を造形した後又は当該三次元構造物を焼結した後、除去される。
【0013】
この製造方法による場合、ベース部の面上及び犠牲部材上に前記三次元構造物を造形し、その後、前記犠牲部材を除去することにより、前記プローブの前記犠牲部材上に作成された部分の下側に空間を設けることができる。このため、前記プローブは、半導体デバイスの電極に接触する際に、前記空間に向けて弾性変形するので、ベース部との干渉を避けることができる。
【0014】
前記ベース部には予め凹部が設けられている場合、前記第2のプローブの製造方法は、前記三次元構造物を造形する前に、前記ベース部の凹部内に厚み寸法が凹部の深さ寸法と略同じ又は若干大きい前記犠牲部材を形成し、その後、前記ベース部の凹部の縁部及び犠牲部材上にインクジェット装置により前記三次元構造物を造形するようになっている。
【0015】
この製造方法による場合、ベース部に予め設けた凹部に犠牲部材を形成し、プローブに相当する三次元構造物を造形した後に、前記犠牲部材を除去することにより、前記プローブの前記犠牲部材上に作成された部分の下側に前記凹部が現れる。このため、前記プローブは、半導体デバイスの電極に接触する際に、凹部に向けて弾性変形するので、ベース部との干渉を避けることができる。
【0016】
本発明の第3のプローブの製造方法は、ベース部上に第1の犠牲層を形成し、この第1の犠牲層にベース部が露出する開口を形成し、この第1の犠牲層の開口内に三次元構造物を造形し、その後、前記第1の犠牲層上に第2の犠牲層を形成し、この第2の犠牲層に前記三次元構造物の上端部が露出する開口を形成し、この第2の犠牲層の開口内に、前記三次元構造物の上端部に連続する新たな三次元構造物を造形し、その後、前記三次元構造物を焼結し、その後、前記犠牲層を除去するようになっており、前記三次元構造物は、インクジェット装置に金属粉末粒子、溶剤及び硬化剤が混ぜ合わされたインクを吐出させ、前記開口内に前記インクの薄膜を形成すると共に、当該薄膜を硬化させ、その後、インクジェット装置に前記インクを吐出させ、前記薄膜上に新たなインクの薄膜を形成すると共に、当該薄膜の硬化を繰り返すことにより、前記薄膜を積層させて造形されることを特徴としている。
【0017】
このような第3のプローブの製造方法による場合、犠牲層の開口に内にインクを吐出し、当該インクの薄膜を硬化させつつ積層することにより、プローブとなる三次元構造物を造形することができる。この三次元構造物の造形工程は、メッキ工程よりも時間がかからない。よって、プローブの製造時間を短縮することができ、その結果、プローブを安価に製造することができる。
【0018】
前記第3のプローブの製造方法は、前記三次元構造物を焼結する前に、最上に位置する犠牲層上に新たな犠牲層を形成し、前記犠牲層に下側の三次元構造物の上端部が露出する開口を形成し、前記犠牲層の開口に前記三次元構造物の上端部に連続する新たな三次元構造物を造形する工程を1又は複数回行うようにすることができる。
【0019】
この製造方法による場合、最上に位置する犠牲層の上に新たな犠牲層を積み重ね、当該犠牲層の開口に下側の三次元構造物に連続する新たな三次元構造物を造形することができるので、多様な形状のプローブを作成することができる。
【0020】
前記第3のプローブの製造方法は、ベース部上に第1の犠牲層を形成する前にベース部上に第1の犠牲台が形成されており、前記第1の犠牲層は、ベース部上に第1の犠牲台を埋設するように形成されており、前記第1の犠牲層の前記開口は前記ベース部及び第1の犠牲台が露出するように形成されており、前記三次元構造物は前記第1の犠牲層の開口内の前記ベース部及び第1の犠牲台上に造形されており、前記第1の犠牲層上に第2の犠牲層を形成する前に、前記第1の犠牲層上に第2の犠牲台が形成されており、前記第2の犠牲層は前記第1の犠牲層上に第2の犠牲台を埋設するように形成されており、前記第2の犠牲層の開口は、前記三次元構造物の上端部及び第2の犠牲台が露出するように形成されており、前記新たな三次元構造物は前記第2の犠牲層の開口内の前記第2の犠牲台上に前記三次元構造物の上端部に連続するように造形されており、前記第1、第2の犠牲台は、前記第1、第2の犠牲層と共に除去されるようになっているようにすることができる。
【0021】
この製造方法による場合、前記犠牲台を用いることにより、複数の犠牲層を積み重ねることなく、多様な形状のプローブを作成することができる。
【0022】
前記第3のプローブの製造方法は、前記三次元構造物を焼結する前に、最上に位置する犠牲層上に新たな犠牲台を形成し、前記犠牲層上に前記犠牲台を埋設するように新たな犠牲層を形成し、前記犠牲層に下側の三次元構造物の上端部及び犠牲台が露出する開口を形成し、前記犠牲層の開口内の犠牲台上に前記三次元構造物の上端部に連続する新たな三次元構造物を造形する工程を1又は複数回行うようにすることができる。
【0023】
この製造方法による場合、最上に位置する犠牲層の上に新たな犠牲台及び犠牲層を積み重ね、当該犠牲層の開口内の犠牲台上に下側の三次元構造物に連続する新たな三次元構造物を造形することができるので、多様な形状のプローブを作成することができる。
【0024】
インクジェット装置が、第1の金属粉末粒子及び溶液が混ぜ合わされた第1のインクを吐出する第1のノズルと、第1の金属粉末粒子よりも硬度が高く且つ電気抵抗が小さい第2の金属粉末粒子及び溶液が混ぜ合わされた第2のインクを吐出する第2のノズルとを備えている場合、上記プローブの製造方法は、インクジェット装置により三次元構造物を造形するに当たり、第1のノズルから第1のインクを吐出させ、前記三次元構造物のプローブの接触部に対応する以外の部分を造形し、第2のノズルから第2のインクを吐出させ、前記三次元構造物のプローブの接触部に対応する部分を造形するようにすることができる。
【0025】
この製造方法による場合、前記三次元構造物のプローブの接触部に対応する部分が第2のインクで造形される。第2のインクは、第1のインクの第1の金属粉末粒子よりも硬度が高く且つ電気抵抗が小さい第2の金属粉末粒子及び溶液が混ぜ合わされたものである。このため、接触部が磨耗し難く、電気抵抗が小さいプローブを容易に得ることができる。
【0026】
前記インクには、カーボンナノチューブの微粒子が更に混入されていることが好ましい。この場合、プローブの電気抵抗が低くなり、コンタクト性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施例1〜3に係るプローブの製造方法について詳しく説明する。
【実施例1】
【0028】
まず、本発明の実施例1に係るプローブの製造方法について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施例1に係るプローブの製造方法の工程を示す模式図であって、(a)が開口部の上端部にインクを充填する工程を示す図、(b)は同開口部の中間部にインクを充填する工程を示す図、図2は同製造方法の同開口部の下端部にインクを充填する工程を示す図、図3は同製造方法により得られたプローブの概略図であって、(a)が第1のプローブの斜視図、(b)が第2のプローブの斜視図、(c)が第3のプローブの斜視図、図4は同製造方法により得られたプローブを備えるプローブカードの概略図であって、(a)が断面図、(b)が底面図である。
【0029】
図1及び図2に示す100は型であり、200は図示しないインクジェット装置のインクジェットヘッドである。なお、図1及び図2においては、説明の便宜上、型100は平面図であり、インクジェットヘッド200は正面図となっている。
【0030】
前記インクジェット装置は周知のものである。このインクジェット装置は、XY平面に沿って移動可能な図示しない移動手段と、この移動手段に下向きに設けられたインクジェットヘッド200と、入力部と、入力部を通じた入力された印刷データに基いて前記移動手段及びインクジェットヘッド200を各々制御する図示しない制御部とを備えている。
【0031】
インクジェットヘッド200は複数のノズルを有している。なお、図1及び図2においては、前記ノズルのうちノズル210、220、230のみを図示し且つノズル210、220、230の大きさ及び各ノズル間の間隔を誇張して図示している。
【0032】
ノズル210(即ち、第1のノズル)は、前記インクジェット装置の制御部の命令に応じてインク211を吐出するようになっている。このノズル210は、その噴射口の直径が約9μmとなっており、最小のインク吐出液滴量が1plとなっている。
【0033】
インク211は、バインダーとしてのポリ乳酸等のポリマー溶液又はニトロセルローズ、アセトン、アルコール等の有機溶液に、ニッケルの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子が混入されたものである。前記金属粉末粒子は、その粒子径が数nmであって、溶液中において独立分散している。カーボンナノチューブの微粒子をインク211に混入することにより、後述するプローブ300a、300b、300cの電気抵抗が低くなり、プローブ300a、300b、300cの電気特性及びコンタクト性が向上する。
【0034】
ノズル220、230(即ち、第2のノズル)はノズル210と同じものであるが、インク221、231を吐出するようになっている点でノズル210と相違している。従って、ノズル220、230自体の説明は省略する。
【0035】
インク221は、バインダーとしてのポリ乳酸等のポリマー溶液又はニトロセルローズ、アセトン、アルコール等の有機溶液に、ロジウムの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子が混入されたものである。このようにインク221は、ニッケルの金属粉末粒子よりも硬度が高く且つ電気抵抗が小さいロジウムの金属粉末粒子が混入されている点でインク211と相違し、その他の点はインク211と同じである。
【0036】
インク231は、バインダーとしてのポリ乳酸等のポリマー溶液又はニトロセルローズ、アセトン、アルコール等の有機溶液に、パラジウムの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子が混入されたものである。このようにインク221は、ニッケルの金属粉末粒子よりも硬度が高く且つ電気抵抗が小さいロジウムの金属粉末粒子が混入されている点でインク211と相違し、その他の点はインク211と同じである。
【0037】
型100はシリコンカーバイド基板である。この型100の面上には、図1及び図2に示すように、後述するプローブ300a、300b、300c(図3参照)の形状に対応する複数の開口部110a、110b、110cが開設されている。
【0038】
開口部110aは、第1の凹部111aと、第2の凹部112aと、第3の凹部113aと、第4の凹部114aとを有する。
【0039】
第1の凹部111aは略矩形状の穴であって、プローブ300aの接続部310aに対応している。
【0040】
第2の凹部112aは横向き略U字状の穴であって、プローブ300aの湾曲部320aに対応している。この第2の凹部112aの一端部は第1の凹部111aの端部に連続している。また、第2の凹部112aの他端部は第3の凹部113aの基端部113a1に連続している。
【0041】
第3の凹部113aは長尺の略矩形状の穴であって、プローブ300aの延長部330aに対応している。この第3の凹部113aは基端部113a1と先端部113a2とを有する。基端部113a1は第1、第2の凹部111a、112aの一端部の下方に位置する。この基端部113a1の深さ寸法は第1、第2の凹部111a、112aと同じ深さ寸法である。先端部113a2の深さ寸法は、基端部113a1よりも深さ寸法よりも小さくなっている。
【0042】
第4の凹部114aは斜め下方に傾斜した略矩形状の穴であって、プローブ300aの折曲部340aに対応している。第4の凹部114aの基端部が先端部113a2に連続している。この第4の凹部114aの深さ寸法は先端部113a2の深さ寸法と同じになっている。第4の凹部114aの先端部の幅寸法は前記基端部の幅寸法の略半分になっている。この先端部がプローブ300aの折曲部340aの接触部341aに対応する部分となる。
【0043】
開口部110bは、第1の凹部111bと、第2の凹部112bと、第3の凹部113bとを有する。
【0044】
第1の凹部111bは略矩形状の穴であって、プローブ300bの接続部310bに対応している。
【0045】
第2の凹部112bは長尺の略矩形状の穴であって、プローブ300bの延長部320bに対応している。この第2の凹部112bの上端中央部が第1の凹部111bと連続している。第2の凹部112bの底面には長尺状の突起112b1が設けられている。
【0046】
第3の凹部113bは斜め下方に傾斜した略矩形状の穴であって、プローブ300bの折曲部330bに対応している。この第3の凹部113bの基端部は第2の凹部112bの先端部に連続している。この第3の凹部113bの先端部の幅寸法は前記基端部の幅寸法の略半分になっている。この先端部が後述するプローブ300bの接触部331bに相当する部分となる。
【0047】
開口部110cは、第1の凹部111cと、第2の凹部112cと、第3の凹部113cと、第4の凹部114cを有する。
【0048】
第1の凹部111cは略矩形状の穴であって、プローブ300cの接続部310cに対応している。
【0049】
第2の凹部112cは略3/4円弧状の穴であって、プローブ300cの円弧部320cに対応している。この第2の凹部112cの一端部は第1の凹部111cの端部に連続している。また、第2の凹部112cの他端部は第3の凹部113cの基端部113c1に連続している。
【0050】
第3の凹部113cは長尺の略矩形状の穴であって、プローブ300cの延長部330cに対応している。この第3の凹部113cは基端部113c1と先端部113c2とを有する。基端部113c1の深さ寸法は第1、第2の凹部111c、112cと同じ深さ寸法である。先端部113c2の深さ寸法は、基端部113c1よりも深さ寸法よりも小さくなっている。
【0051】
第4の凹部114cは斜め下方に傾斜した略矩形状の穴であって、プローブ300cの折曲部340cに対応している。この第4の凹部114cの基端部が第3の凹部113cの先端部に連続している。第4の凹部114cの先端部の幅寸法は前記基端部の幅寸法の略半分になっている。この先端部が後述するプローブ300cの接触部341cに相当する部分となる。
【0052】
ここで、上述した型100及び上記インクジェット装置を用いて製造されるプローブ300a、300b、300cについて説明する。
【0053】
プローブ300aは、図3(a)に示すように、略矩形状の接続部310aと、この接続部310aに続く横向き略U字状の湾曲部320aと、この湾曲部320aに続く長尺状の延長部330aと、この延長部330aに続く略矩形状の折曲部340aとを有する。
【0054】
接続部310a、湾曲部320a、延長部330a及び折曲部340aの基端部は、ニッケルの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体で構成されている。
【0055】
延長部330aは基端部331aと先端部332aとを有する。基端部331aの厚さ寸法は、接続部310a及び湾曲部320aと同じ40μmである。一方、先端部332aの厚さ寸法は折曲部340aと同じ30μmである。
【0056】
折曲部340aは先端部が斜め下方に向くように折れ曲っている。この折曲部340aの先端部の幅寸法は前記基端部の略半分になっている。前記先端部が半導体デバイス10の電極11に接触可能な接触部341aとなる。この接触部341aはパラジウムの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体で構成されている。このため、接触部341aは、プローブ300aの他の部分に比べて耐磨耗性が高く且つ電極11に対する電気抵抗が低くなっている。
【0057】
このような構成のプローブ300aは、図4に示すプローブカードの基板400の下面に千鳥配置される。
【0058】
基板400はセラミック回路基板である。この基板400の下端部には、複数のプローブ取付穴410が配設されている。このプローブ取付穴410にプローブ300aの接続部310aが挿入され、スルーホール420に半田接続される。
【0059】
基板400の上端部には、プローブ取付穴410に通じる複数のスルーホール420が設けられている。また、基板400の上面には、スルーホール420に接続される複数の配線430と、この配線430の端部に接続される複数の外部電極440とが設けられている。外部電極440はメイン基板700に接続される。メイン基板700に設けられた外部端子30がインターフェース20を介してテスタに接続される。
【0060】
プローブ300bは、図3(b)に示すように、厚みが40μmの板状体である。このプローブ300bは、略矩形状の接続部310bと、この接続部310bに続く長尺状の延長部320bと、この延長部320bに続く矩形状の折曲部330bとを有する。
【0061】
接続部310b、延長部320b及び折曲部330bの基端部は、ニッケルの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体で構成されている。
【0062】
接続部310bは、接続部310aと同様に、プローブ取付穴410に挿入され、スルーホール420に半田接続される。
【0063】
折曲部330bは先端部が斜め下方に向くように折れ曲っている。折曲部330bの先端部の幅寸法は前記基端部の略半分となっている。前記先端部が半導体デバイス10の電極11に接触可能な接触部331bとなる。この接触部331bはロジウムの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体で構成されている。このため、接触部331bは、プローブ300bの他の部分に比べて耐磨耗性が高く且つ電極11に対する電気抵抗が低くなっている。
【0064】
プローブ300cは、図3(c)に示すように、略矩形状の接続部310cと、この接続部310cに続く3/4円弧状の円弧部320cと、この円弧部320cに続く長尺状の延長部330cと、この延長部330cに続く略矩形状の折曲部340cとを有する。
【0065】
接続部310c、円弧部320c、延長部330c及び折曲部340cの基端部は、ニッケルの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体で構成されている。
【0066】
接続部310cは、接続部310aと同様に、プローブ取付穴410に挿入され、スルーホール420に半田接続される。
【0067】
延長部330cは基端部331cと先端部332cとを有する。基端部331cの厚さ寸法は、接続部310c及び湾曲部320cと同じ40μmである。一方、先端部332cの厚さ寸法は折曲部340cと同じ30μmである。
【0068】
折曲部340cは先端部が斜め下方に向くように折り曲げられている。折曲部340cの先端部の幅寸法は前記基端部の略半分となっている。前記先端部が半導体デバイス10の電極11に接触可能な接触部341cとなる。この接触部341cはパラジウムの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体で構成されている。このため、接触部341cは、プローブ300cの他の部分に比べて耐磨耗性が高く且つ電極11に対する電気抵抗が低くなっている。
【0069】
以下、型100及び上記インクジェット装置を用いてプローブ300a、300b、300cを製造する方法について説明する。
【0070】
まず、入力部を通じて印刷データが入力されると、前記インクジェット装置の制御部が印刷データに基いて移動手段を動作させ、これによりインクジェットヘッド200のノズル210を型100の開口部110aの第1の凹部111a及び第2の凹部112aの上一端部上、開口部110bの第1の凹部111bの上端部上、及び開口部110cの第1の凹部111c及び第2の凹部112cの上端部上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0071】
このとき、図1(a)に示すように、前記制御部が印刷データに基いてノズル210から開口部110aの第1の凹部111a及び第2の凹部112aの一端部、開口部110bの第1の凹部111bの上端部、及び開口部110cの第1の凹部111c及び第2の凹部112cの上端部に対して各々インク211を吐出させる。これにより、インク211が開口部110aの第1の凹部111a及び第2の凹部112aの一端部、開口部110bの第1の凹部111bの上端部、及び開口部110cの第1の凹部111c及び第2の凹部112cの上端部内に各々充填される。
【0072】
これに続き、前記移動手段を動作させることにより、ノズル210を型100の開口部110aの第2の凹部112aの他端部、第3の凹部113a及び第4の凹部114aの基端部上、開口部110bの第1の凹部111bの下端部、第2の凹部112b及び第3の凹部113bの基端部上、及び開口部110cの第2の凹部112cの下端部、第3の凹部113c及び第4の凹部114cの基端部上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0073】
このとき、図1(b)に示すように、ノズル210から第2の凹部112aの他端部、第3の凹部113a及び第4の凹部114aの基端部に対してインク211を吐出させる。すると、第2の凹部112aの他端部及び第3の凹部113aの基端部113a1にその全深さまでインク211が充填される。一方、第3の凹部113aの先端部113a2及び第4の凹部114aの基端部にその全深さ寸法のうち約8分目の深さまでインク211が充填される。このため、プローブ300aの延長部330aの先端部332a及び折曲部340aの基端部の厚みが延長部330aの基端部331a等の厚みよりも小さくなる。
【0074】
これと共に、図1(b)に示すように、ノズル210から第1の凹部111bの下端部、第2の凹部112b及び第3の凹部113bの基端部に対してインク211を吐出させる。このとき、インク211は第2の凹部112bの突起112b1を避けて吐出させる。これにより、インク211が第1の凹部111bの下端部、第2の凹部112b及び第3の凹部113bの基端部内に充填される。
【0075】
これと共に、図1(b)に示すように、ノズル210から第2の凹部112cの下端部、第3の凹部113c及び第4の凹部114cの基端部に対してインク211を吐出させる。すると、第2の凹部112cの下端部及び第3の凹部113cの基端部113c1にその全深さまでインク211が充填される。一方、第3の凹部113cの先端部113c2及び第4の凹部114cの基端部にその全深さ寸法のうち約約8分目の深さまでインク211が充填される。このため、プローブ300cの延長部330cの先端部332c及び折曲部340cの基端部の厚みが延長部330cの基端部331c等の厚みよりも小さくなる。
【0076】
これに続き、前記移動手段を動作させることにより、ノズル230を型100の開口部110aの第4の凹部114aの先端部上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させると共に、ノズル220を型100の開口部110bの第3の凹部113bの先端部及び開口部110cの第4の凹部114cの先端部上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0077】
このとき、図2に示すように、ノズル230から第4の凹部114aの先端部に対してインク231を吐出させる。すると、第4の凹部114aの先端部にその全深さ寸法のうち約8分目の深さまでインク231が充填される。このため、プローブ300aの接触部341aの厚みが延長部330aの先端部332a及び折曲部340aの基端部の厚みと同じになる。また、プローブ300aの接触部341aに対応する部分にインク211よりも硬度が高く且つ電気抵抗が小さいインク231が第4の凹部114aの先端部に充填されるため、プローブ300aの接触部341aの耐磨耗性を向上させ且つ半導体デバイス10の電極11に対する電気抵抗を小さくすることができる。
【0078】
これと共に、図2に示すように、ノズル220から第3の凹部113bの先端部に対して各々インク221を吐出させる。すると、インク221が第3の凹部113bの先端部に充填される。このようにプローブ300bの接触部331bに対応する部分にインク211よりも硬度が高く且つ電気抵抗が小さいインク221が第3の凹部113bの先端部に充填されるため、プローブ300bの接触部331bの耐磨耗性を向上させ且つ半導体デバイス10の電極11に対する電気抵抗を小さくすることができる。
【0079】
これと共に、図2に示すように、ノズル220から第4の凹部114cの先端部に対して各々インク221を吐出させる。すると、第4の凹部114cの先端部にその全深さ寸法のうち約8分目の深さまでインク221が充填される。このため、プローブ300cの接触部341cの厚みが延長部330cの先端部332c及び折曲部340cの基端部の厚みと同じになる。また、プローブ300cの接触部341cに対応する部分にインク211よりも硬度が高く且つ電気抵抗が小さいインク221が第4の凹部114cの先端部に充填されるため、プローブ300cの接触部341cの耐磨耗性を向上させ且つ半導体デバイス10の電極11に対する電気抵抗を小さくすることができる。
【0080】
以上の工程を繰り返し、型100の全ての開口部110a、110b、110cにインクを充填する。
【0081】
その後、開口部110a内のインク211、231、開口部110b内のインク211、221、開口部110c内のインク211、221を5分程度放置し、乾燥させる。すると、開口部110a内のインク211、231、開口部110b内のインク211、221、開口部110c内のインク211、221中の溶液が蒸発し、金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子が固化する。
【0082】
その後、型100を図示しない炉に入れる。そして、当該炉内を還元性雰囲気又は非酸化性雰囲気とし、300〜500℃で開口部110a、110b、110c中のインクを加熱し、焼結する。これにより、前記インク中の残りの溶剤が蒸発し、当該インク中の金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子同士が各々融着する。これによりプローブ300a、300b、300cとなる三次元構造物が造形される。
【0083】
その後、炉内のファン又は冷却クーラを作動させ、前記三次元構造物を冷却する。
【0084】
その後、型100の開口部110a、110b、110cから三次元構造物を取り外す。この三次元構造物がプローブ300a、300b、300cとなる。
【0085】
このようなプローブの製造方法による場合、型100の開口部110aにインクジェット装置によりインク211、231を、開口部110b、110cに同インクジェット装置によりインク211、221を吐出させ、上記炉で焼結させるだけで、プローブ300a、300b、300cに相当する三次元構造物を造形することができる。この三次元構造物の造形工程は、メッキ工程よりも時間がかからず、犠牲層を作成する工程や犠牲層に開口を作成する工程等を経る必要もない。よって、プローブの製造時間を短縮することができ、その結果、プローブを安価に製造することができる。また、型100の開口部110a、110b、110c内にインクを充填するようにしたことから、第1、第2及び第3のノズル210、220、230から吐出されるインクの位置決め精度を低くすることができ、且つ粘性の低いインクを用いることができる。
【0086】
しかも、型100の開口部110a、110b、110cが三種類のプローブ300a、300b、300cの形状に対応するように作成されているので、一つの型100から三種類のプローブ300a、300b、300cを一度に得ることができる。このように本実施の形態によれば、多種多様な形状のプローブの生産に迅速に対応できる。
【実施例2】
【0087】
次に、本発明の実施例2に係るプローブの製造方法について図面を参照しつつ説明する。図5は本発明の実施例2に係るプローブの製造方法の工程を示す模式的断面図であって、(a)はプローブの本体部を造形する工程を示す図、(b)はプローブの接触部を造形する工程を示す図、図6は同製造方法により得られたプローブを備えるプローブカードの模式的断面図である。
【0088】
図5に示す500はベース板、200は上記インクジェット装置のインクジェットヘッド、300dはプローブである。
【0089】
前記インクジェット装置は、図示しないレーザー等の紫外線照射手段又は加熱手段を更に備えている点で、実施例1のインクジェット装置と相違する。インク211、221、231には硬化剤としてUV硬化剤又は熱硬化樹脂が更に混入されている。このため、インク211、221、231が、紫外線照射手段から紫外線が照射又は加熱手段により加熱されると、当該インク211、221、231がUV硬化又は熱硬化する。
【0090】
ベース板500はセラミック回路基板である。このベース板500の上端中央部には凹部510が設けられている。この凹部510には、後述するプローブの製造工程において、犠牲部材600が充填される。この犠牲部材600としては、金属との付着性の悪い合成樹脂(例えば、テフロン(登録商標)のプラスチック)が使用される。この犠牲部材600の厚み寸法は、凹部510の深さ寸法と略同じ又は若干大きく設定されている。
【0091】
また、ベース板500の内部には、複数のスルーホール520が2列で配設されている。このスルーホール520は、大径部521と、この大径部521に連続する小径部522とを有する。大径部521はプローブ300dの本体部310dの外側端部と接続される。
【0092】
ベース板500の下面には、小径部522に各々接続された複数の電極530が配設されている。この電極530は、図6に示すプローブカードのメイン基板700に接続される。このメイン基板700に設けられた外部端子30がインターフェース20を介してテスタに接続される。
【0093】
プローブ300dはベース板500の凹部510の両縁部に2列で配設されている。このプローブ300dは断面視略L字状の板状体である。プローブ300dは、断面視略L字状の本体部310dと、この本体部310dの凸部上に設けられた接触部320dとを有している。
【0094】
本体部310dは、ニッケルの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体で構成されている。この本体部310dの外側端部は大径部511に接続されている。
【0095】
接触部320dは、ロジウムの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体又はパラジウムの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体で構成されている。この接触部320dは、図6に示すように、半導体デバイス10の電極11に接触可能になっている。
【0096】
以下、ベース板500上にプローブ300dを製造する方法について説明する。
【0097】
まず、入力部を通じて印刷データが入力されると、前記インクジェット装置の制御部が印刷データに基いて移動手段を動作させ、図5(a)に示すように、インクジェットヘッド200のノズル210をベース板500の凹部510の両縁部及び犠牲部材600の両側部上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0098】
このとき、前記制御部が印刷データに基いてノズル210からベース板500の凹部510の両縁部及び犠牲部材600の両端部上にインク211を吐出させる。これにより、ベース板500の凹部510の両縁部及び犠牲部材600の両側部上にインク211の薄膜が各々形成される。このとき、前記薄膜が大径部511に接続される。これと共に、前記制御部が上記紫外線照射手段にインク211の薄膜に対して各々紫外線を照射させ、当該薄膜をUV硬化させる。又は前記制御部が上記加熱手段にインク211の薄膜を加熱させ、当該薄膜を熱硬化させる。
【0099】
これに続き、前記移動手段を動作させることにより、インクジェットヘッド200のノズル210をインク211の薄膜上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0100】
このとき、ノズル210からインク211の薄膜上にインク211を各々吐出させる。これにより、インク211の薄膜上に新たなインク211の薄膜が各々形成される。これと共に、前記紫外線照射手段により新たなインク211の薄膜に対して紫外線を各々照射させ、当該薄膜をUV硬化させる。又は前記加熱手段により新たなインク211の薄膜を加熱させ、当該薄膜を熱硬化させる。これを繰り返し、インク211の薄膜を各々積層することにより、プローブ300dの本体部310dに相当する2つの断面視略L字状の第1の三次元構造物を造形する。
【0101】
その後、前記移動手段を動作させることにより、ノズル220又はノズル230を前記第1の三次元構造物の内側の凸部上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0102】
このとき、ノズル220又はノズル230から前記第1の三次元構造物の凸部上にインク221又はインク231を各々吐出させる。これにより、前記第1の三次元構造物の凸部上にインク221又はインク231の薄膜が各々形成される。これと共に、前記紫外線照射手段によりインク221又はインク231の薄膜に対して紫外線を各々照射させ、当該薄膜をUV硬化させる。又は前記加熱手段によりインク221又はインク231の薄膜を加熱させ、当該薄膜を熱硬化させる。
【0103】
これに続き、図5(b)に示すように、前記移動手段を動作させることにより、ノズル220又はノズル230をインク221又はインク231の薄膜上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0104】
このとき、ノズル220又はノズル230からインク221又はインク231の薄膜上にインク221又はインク231を各々吐出させる。これにより、インク221又はインク231の薄膜上に新たなインク221又はインク231の薄膜が各々形成される。これと共に、前記紫外線照射手段により新たなインク221又はインク231の薄膜に対して紫外線を各々照射させ、当該薄膜をUV硬化させる。又は前記加熱手段により新たなインク221又はインク231の薄膜を加熱させ、当該薄膜を熱硬化させる。これを繰り返し、インク221又はインク231の薄膜を各々積層することにより、プローブ300dの接触部320dに相当する2つの断面視略矩形状の第2の三次元構造物を造形する。
【0105】
その後、ベース板500及び第1、第2の三次元構造物を図示しない炉に入れる。そして、当該炉内を還元性雰囲気又は非酸化性雰囲気とし、300〜500℃で前記第1、第2の三次元構造物を加熱し、焼結する。これにより、前記第1、第2の三次元構造物内の溶剤が蒸発し、当該三次元構造物の金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子同士が各々融着してプローブ300dとなる。
【0106】
その後、炉内のファン又は冷却クーラを作動させ、プローブ300dを冷却する。
【0107】
その後、エッチングにより、犠牲部材600をベース板500から除去する。なお、犠牲部材600は、第1、第2の三次元構造物を焼結する前(即ち、第1、第2の三次元構造物が造形された後)に除去することも可能である。このように犠牲部材600が除去されると、図6に示すように、プローブ300dの内側端部の下側に凹部510が現れる。このため、プローブ300dの接触部320dが半導体デバイス10の電極11に接触し、当該プローブ300dの内側端部がベース板500の方向に弾性変形したとしても、当該凹部510により、プローブ300dの内側の端部とベース板500との干渉を避けることができる。
【0108】
このようなプローブの製造方法による場合、ベース板500上にインク211の薄膜及びインク221又はインク231の薄膜をUV硬化又は熱硬化させつつ積層させるだけで、ベース板500上にプローブ300dとなる第1、第2の三次元構造物を作成することができる。この第1、第2の三次元構造物の造形工程は、メッキ工程よりも時間がかからず、犠牲層を作成する工程や犠牲層に開口を作成する工程等を経る必要がない。よって、プローブの製造時間を短縮することができ、その結果、プローブを安価に製造することができる。
【0109】
しかも、ベース板500としてプローブカード用の回路基板を用いているので、プローブ300dを前記回路基板上に実装する手間を省くことができる。この点で、プローブカードの製造の容易化を図ることができる。
【実施例3】
【0110】
次に、本発明の実施例3に係るプローブの製造方法について図面を参照しつつ説明する。
図7は本発明の実施例3に係るプローブの製造方法の工程を示す模式的断面図であって、(a)がベース板上に第1の犠牲台を形成する工程を示す図、(b)が第1の三次元構造物を造形する工程を示す図、図8は同製造方法の図7の続きの工程を示す模式的断面図であって、(a)が下段の犠牲層を除去する工程を示す図、(b)が新たな下段の犠牲層を形成する工程を示す図、図9は同製造方法の図8の続きの工程を示す模式的断面図であって、(a)が下段の犠牲層上に第2の犠牲台を形成する工程を示す図、(b)が第2の三次元構造物を造形する工程を示す図、図10は同製造方法の図9の続きの工程を示す模式的断面図であって、(a)が新たな中段の犠牲層を形成する工程を示す図、(b)が上段の犠牲層に開口を形成する工程を示す図、図11は同製造方法の図10の続きの工程を示す模式的断面図であって、第3の三次元構造物を造形する工程を示す図、図12は同製造方法により得られたプローブを備えるプローブカードの概略的断面図、図13は同プローブカードの概略的斜視図である。
【0111】
図7乃至図13に示す200は上記インクジェット装置のインクジェットヘッド、300eはプローブ、500’はベース板、801は第1の犠牲台、802は第2の犠牲台、910、910’は下段の犠牲層、920、920’は中段の犠牲層、930は上段の犠牲層である。
【0112】
前記インクジェット装置は図示しない紫外線照射手段又は加熱手段を更に備えている点で、実施例1のインクジェット装置と相違する。インク211、221、231には、硬化剤としてUV硬化剤又は熱硬化樹脂が更に混入されている。このため、インク211、221、231が、前記紫外線照射手段から紫外線が照射又は前記加熱手段により加熱されると、当該インク211、221、231がUV硬化又は熱硬化する。
【0113】
ベース板500’はセラミック回路基板である。このベース板500’の内部及び面上には、図12に示すように、複数の配線540’が配設されている。この配線540’は、ベース板500’上の電極530’に接続される。電極530’はメイン基板700に接続される。このメイン基板700に設けられた外部端子30がインターフェース20を介してテスタに接続される。
【0114】
プローブ300eは、図13に示すように、ベース板500’の面上に2列で配設されている。このプローブ300eは、図12に示すように、配線540’に接続される接続部310eと、接続部310eに連続する第1の段部320eと、第1の段部320eに連続する第2の段部330eと、第2の段部330eに連続する接触部340eとを有している。
【0115】
接続部310e、第1の段部320e及び第2の段部330eは、ニッケルの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体で構成されている。第1、第2の段部320e、330eは略1/4円弧状に湾曲している。
【0116】
接触部340eは、ロジウムの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体又はパラジウムの金属粉末粒子、コバルトの金属粉末粒子及びカーボンナノチューブの微粒子の焼結体で構成されている。この接触部340eは、図12に示すように、半導体デバイス10の電極11に接触可能になっている。
【0117】
以下、ベース板500’上にプローブ300eを製造する方法について説明する。
【0118】
まず、図7(a)に示すように、ベース板500’の面上に銅を鍍金し、2つの第1の犠牲台801を形成する。
【0119】
その後、ベース板500’の面上にレジストを塗布し、第1の犠牲台801が埋設される下段の犠牲層910 (即ち、第1の犠牲層)を形成する。そして、図7(b)に示すように、下段の犠牲層910に図示しない第1のマスクを用いて露光、現像を行い、その後、エッチングによりベース板500’及び第1の犠牲台801が各々露出する第1の開口911を形成する。
【0120】
その後、入力部を通じて印刷データが入力されると、前記インクジェット装置の制御部が印刷データに基いて移動手段を動作させ、インクジェットヘッド200のノズル210を下段の犠牲層910の2つの第1の開口911上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0121】
このとき、前記制御部が印刷データに基いてノズル210から第1の開口911にインク211を各々吐出させる。これにより、第1の開口911内のベース板500’及び第1の犠牲台801上にインク211の薄膜が形成される。このとき、前記薄膜がベース板500’の配線540’に接続される。これと共に、前記制御部が上記紫外線照射手段にインク211の薄膜に対して紫外線を照射させ、当該薄膜をUV硬化させる。又は前記制御部が上記加熱手段にインク211の薄膜を加熱させ、当該薄膜を熱硬化させる。
【0122】
これに続き、移動手段を動作させることにより、インクジェットヘッド200のノズル210をインク211の薄膜上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0123】
このとき、ノズル210からインク211の薄膜上にインク211を吐出させる。これにより、インク211の薄膜上に新たなインク211の薄膜が形成される。これと共に、前記紫外線照射手段により新たなインク211の薄膜に紫外線を照射させ、当該薄膜をUV硬化させる。又は前記加熱手段により新たなインク211の薄膜を加熱させ、当該薄膜を熱硬化させる。これを繰り返し、インク211の薄膜を積層することにより、プローブ300eの接続部310e及び第1の段部320eに相当する2つの第1の三次元構造物を造形する。
【0124】
その後、図8(a)に示すように、酸素・オゾンなどの活性プラズマを用いて灰化して除去する方法、過酸化水素、硫酸等の薬液によりレジストを酸化もしくは水溶化することにより除去する方法、アミン類と有機溶媒により構成される除去剤により溶解除去する方法等の周知の除去方法により、下段の犠牲層910を除去する。そして、図8(b)に示すように、ベース板500’上に銅を鍍金し、第1の犠牲台801及び第1の三次元構造物が埋設される新たな下段の犠牲層910’(即ち、第1の犠牲層)を作成する。このとき、第1の三次元構造物の先端部(即ち、プローブ300eの第1の段部320eの先端部に相当する部分)の上面を下段の犠牲層910’から露出させる。なお、下段の犠牲層910’と第1の犠牲台801は同じ銅であるため、一体化される。
【0125】
その後、図9(a)に示すように、下段の犠牲層910’の面上に銅を鍍金し、2つの第2の犠牲台802を形成する。
【0126】
その後、下段の犠牲層910’の面上にレジストを塗布し、第2の犠牲台802が埋設される中段の犠牲層920(即ち、第2の犠牲層) を形成する。そして、図9(b)に示すように、中段の犠牲層920に図示しない第2のマスクを用いて露光、現像を行い、その後、エッチングにより第1の三次元構造物の先端部の上面及び第2の犠牲台802が各々露出する第2の開口921を形成する。
【0127】
その後、入力部を通じて印刷データが入力されると、前記インクジェット装置の制御部が印刷データに基いて移動手段を動作させ、インクジェットヘッド200のノズル210を中段の犠牲層920の2つの第2の開口921上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0128】
このとき、前記制御部が印刷データに基いてノズル210から第2の開口921にインク211を各々吐出させる。これにより、第2の開口921内の前記第1の三次元構造物の先端部の上面及び第2の犠牲台802上にインク211の薄膜が各々形成される。これと共に、前記制御部が上記紫外線照射手段にインク211の薄膜に紫外線を各々照射させ、当該薄膜をUV硬化させる。又は前記制御部が加熱手段にインク211の薄膜を加熱させ、当該薄膜を熱硬化させる。
【0129】
これに続き、移動手段を動作させることにより、インクジェットヘッド200のノズル210をインク211の薄膜上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0130】
このとき、ノズル210からインク211の薄膜上にインク211を各々吐出させる。これにより、インク211の薄膜上に新たなインク211の薄膜が各々形成される。これと共に、前記紫外線照射手段により新たなインク211の薄膜に各々紫外線を照射させ、当該薄膜をUV硬化させる。又は前記加熱手段により新たなインク211の薄膜を加熱させ、当該薄膜を熱硬化させる。これを繰り返し、インク211の薄膜を積層することにより、前記第1の三次元構造物の先端部に続く、プローブ300eの第2の段部330eに相当する第2の三次元構造物を造形する。
【0131】
その後、上記周知の除去方法により、中段の犠牲層920を除去する。そして、図10(a)に示すように、下段の犠牲層910’の面上に銅を鍍金し、第2の犠牲台802及び第2の三次元構造物が埋設される新たな中段の犠牲層920’(即ち、第2の犠牲層)を形成する。このとき、第2の三次元構造物の先端部(即ち、プローブ300eの第2の段部330eの先端部に相当する部分)の上面を中段の犠牲層920’から露出させる。なお、中段の犠牲層920’と第2の犠牲台802は同じ銅であるため、一体化される。
【0132】
その後、中段の犠牲層920’の面上にレジストを塗布し、上段の犠牲層930 を形成する。
【0133】
その後、図10(b)に示すように、上段の犠牲層930に図示しない第3のマスクを用いて露光、現像を行い、その後、エッチングにより第2の三次元構造物の先端部の上面が各々露出する第3の開口931を形成する。
【0134】
その後、入力部を通じて印刷データを入力すると、前記インクジェット装置の制御部が印刷データに基いて移動手段を動作させ、インクジェットヘッド200のノズル220又はノズル230を上段の犠牲層930の2つの第3の開口931上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0135】
このとき、前記制御部が印刷データに基いてノズル220又はノズル230から第2の開口931にインク221又はインク231を各々吐出させる。これにより、図11に示すように、第3の開口931内にインク221又はインク231の薄膜が各々形成される。これと共に、前記制御部が前記紫外線照射手段にインク211の薄膜に紫外線を各々照射させ、当該薄膜をUV硬化させる。又は前記制御部が前記加熱手段にインク221又はインク231の薄膜を加熱させ、当該薄膜を熱硬化させる。
【0136】
これに続き、移動手段を動作させることにより、インクジェットヘッド200のノズル220又はノズル230をインク221又はインク231の薄膜上で図示左側から図示右側にかけて繰り返し移動させる。
【0137】
このとき、ノズル220又はノズル230からインク221又はインク231の薄膜上にインク221又はインク231を各々吐出させる。これにより、インク221又はインク231の薄膜上に新たなインク221又はインク231の薄膜が各々形成される。これと共に、前記紫外線照射手段により新たなインク221又はインク231の薄膜に紫外線を各々照射させ、当該薄膜をUV硬化させる。又は前記加熱手段により新たなインク221又はインク231の薄膜を加熱させ、当該薄膜を熱硬化させる。これを繰り返し、インク221又はインク231の薄膜を積層することにより、前記第2の三次元構造物の先端部に続く、プローブ300eの接触部340eに相当する第3の三次元構造物を造形する。
【0138】
その後、上段の犠牲層930を上記周知の除去方法により除去し、下段の犠牲層910’及び中段の犠牲層920’をウエットエッチングにより除去する。
【0139】
このようなプローブの製造方法による場合、下段、中段の犠牲層910、920の開口911、921に内にインク211を吐出し、当該インク211の薄膜をUV硬化又は熱硬化させつつ積層することにより、プローブ300eの接続部310e、第1の段部320e及び第2の段部330eとなる第1、第2の三次元構造物を造形することができる。また、上段の犠牲層930の開口931に内にインク221又はインク231を吐出し、当該インク221又はインク231の薄膜をUV硬化又は熱硬化させつつ積層することにより、プローブ300eの接触部340eとなる第3の三次元構造物を造形することができる。これらの三次元構造物の造形工程は、メッキ工程よりも時間がかからない。よって、プローブの製造時間を短縮することができ、その結果、プローブを安価に製造することができる。
【0140】
なお、上述したプローブの製造方法は、その一実施例を示したものに過ぎず、本発明の趣旨に適う限り任意に設計変更することが可能である。
【0141】
上記実施例1のプローブの製造方法においては、開口部110a内のインク211、231、開口部110b内のインク211、221、開口部110c内のインク211、221を5分程度放置し、乾燥させるとしたが、この乾燥工程は省略することができる。即ち、開口部110a内のインク211、231、開口部110b内のインク211、221、開口部110c内のインク211、221を充填した後、すぐに焼結するようにしても構わない。
【0142】
また、型100には、3つの開口部110a、110b、110cが設けられているとしたが、少なくとも一つの開口部が設けられていれば良い。また、前記開口部の形状については作成するプローブの形状に応じて任意に設計変更することが可能である。また、型100としてはシリコンカーバイド基板を用いるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、型100の材料としてカーボン、グラファイト、シリコンカーバイド等を使用することができる。
【0143】
また、上記実施例2のプローブの製造方法においては、インク211の薄膜を積層して断面視略L字状の本体部310dに相当する三次元構造物を造形するとしたが、これに限定されるものではない。即ち、インク211の薄膜をUV硬化又は熱硬化させつつ積層することにより、任意の三次元構造物を造形することが可能である。この点は、インク221又はインク231の薄膜の積層により造形される接触部320dに相当する三次元構造物についても同様である。
【0144】
ベース板500については、セラミック回路基板であるとしたが、これに限定されるものではない。即ち、ベース板500はインクジェット装置のインクが付着し得る部材である限りどのようなものを用いても構わない。また、ベース板500には凹部510が設けられているとしたが、凹部510を設けるか否かは任意である。
【0145】
犠牲部材600については用いるか否かは任意である。また、犠牲部材600は、凹部510内に充填されるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ベース板500の面上に設けても良い。この場合であっても、プローブとベース板500との間に空間を形成することができる。犠牲部材600は、金属が付着し難い特性を有するものであれば、どのようなものを用いても構わない。
【0146】
また、上記実施例3のプローブの製造方法においては、犠牲台を用いるとしたが、これに限定されるものではない。即ち、犠牲層を積み重ね、当該犠牲層の開口に各々インクを吐出し当該インクの薄膜を積層することにより、様々な形のプローブを造形することができる。なお、上記実施例3では、3つの犠牲層を用いてプローブ300eを造形するとしたが、2つの犠牲層又は4以上の犠牲層を用いてプローブを造形することが可能であることは言うまでもない。犠牲層や犠牲台の素材については、上記と同様の機能を実現し得る限りどのようなものを用いても構わない。
【0147】
また、実施例3においては、第1、第2の犠牲層910、920を除去し、新たな第1、第2の犠牲層910’、920’を形成するとしたが、第1、第2の犠牲層910、920の開口部内に第1、第2の三次元構造物を造形した後、当該開口部にレジストを塗布して、第1、第2の犠牲層910、920をそのまま使用することも可能である。
【0148】
犠牲台801、802及び犠牲層910’、920’については、銅であるとしたが、プローブと異なる素材で構成され、ウエットエッチ等によりプローブから除去可能である限り、どのようなものを用いても構わない。その他の犠牲層についても同様である。
【0149】
上記インクについては、少なくとも一種類の金属粉末粒子とバインダーとなる溶液とが混合されたものである限り、どのようなものを用いても構わない。例えば、金属粉末粒子としたは、上述した以外に、マンガン、イリジウム、金、銀、パラジウム、銅を用いることができ、作成するプローブに応じて適宜選択することが可能である。
【0150】
また、前記インクには、カーボンナノチューブの微粒子を混入するか否かは任意に選択することが可能である。なお、実施例2及び3においては、UV硬化剤又は熱硬化樹脂が混入されているとしたが、その他の硬化剤を混入して硬化させることも可能である。
【0151】
なお、上記実施例では、2種類のインクを用いてプローブを造形するとしたが、少なくとも一種類のインクを用いてプローブを製造することが可能である。勿論、2種類以上のインクを用いてプローブを造形することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るプローブの製造方法の工程を示す模式図であって、(a)が開口部の上端部にインクを充填する工程を示す図、(b)は同開口部の中間部にインクを充填する工程を示す図である。
【図2】同製造方法の同開口部の下端部にインクを充填する工程を示す図である。
【図3】同製造方法により得られたプローブの概略図であって、(a)が第1のプローブの斜視図、(b)が第2のプローブの斜視図、(c)が第3のプローブの斜視図である。
【図4】同製造方法により得られたプローブを備えるプローブカードの概略図であって、(a)が断面図、(b)が底面図である。
【図5】本発明の実施例2に係るプローブの製造方法の工程を示す模式的断面図であって、(a)はプローブの本体部を造形する工程を示す図、(b)はプローブの接触部を造形する工程を示す図である。
【図6】同製造方法により得られたプローブを備えるプローブカードの模式的断面図である。
【図7】本発明の実施例3に係るプローブの製造方法の工程を示す模式的断面図であって、(a)がベース板上に第1の犠牲台を形成する工程を示す図、(b)が第1の三次元構造物を造形する工程を示す図である。
【図8】同製造方法の図7の続きの工程を示す模式的断面図であって、(a)が下段の犠牲層を除去する工程を示す図、(b)が新たな下段の犠牲層を形成する工程を示す図である。
【図9】同製造方法の図8の続きの工程を示す模式的断面図であって、(a)が下段の犠牲層上に第2の犠牲台を形成する工程を示す図、(b)が第2の三次元構造物を造形する工程を示す図である。
【図10】同製造方法の図9の続きの工程を示す模式的断面図であって、(a)が新たな中段の犠牲層を形成する工程を示す図、(b)が上段の犠牲層に開口を形成する工程を示す図である。
【図11】同製造方法の図10の続きの工程を示す模式的断面図であって、第3の三次元構造物を造形する工程を示す図である。
【図12】同製造方法により得られたプローブを備えるプローブカードの概略的断面図である。
【図13】同プローブカードの概略的斜視図である。
【符号の説明】
【0153】
100 型
110a、110b、110c 開口部
200 インクジェットヘッド
210、220、230 ノズル
211、221、231 インク
300a、300b、300c 300d、300e プローブ
500、500’ ベース板(ベース部)
510 凹部
600 犠牲部材
801 第1の犠牲台
802 第2の犠牲台
910、910’ 下段の犠牲層(第1の犠牲層)
911 開口
920、920’ 中段の犠牲層(第2の犠牲層)
921 開口
930 上段の犠牲層
931 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブの形状に対応した開口部を有する型を用いたプローブの製造方法であって、
型の開口部に、インクジェット装置により金属粉末粒子及び溶剤が混ぜ合わされたインクを吐出させることにより、前記開口部を前記インクで満たし、
その後、前記開口部内のインクを焼結して三次元構造物を造形し、
その後、前記三次元構造物を前記型から取り外すようにしたことを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のプローブの製造方法において、
型はシリコンカーバイド基板で構成されていることを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項3】
インクジェット装置に金属粉末粒子、溶剤及び硬化剤が混ぜ合わされたインクを吐出させ、ベース部上に前記インクの薄膜を形成すると共に、当該薄膜を硬化させ、
その後、インクジェット装置に前記インクを吐出させ、前記薄膜上に新たなインクの薄膜を形成すると共に、当該薄膜の硬化を繰り返すことにより、前記薄膜を積層させて三次元構造物を造形し、
その後、前記三次元構造物を焼結するようにしたことを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のプローブの製造方法において、
前記三次元構造物を造形する前に、前記ベース部の面上に犠牲部材を形成し、
その後、前記ベース部の面上及び犠牲部材上にインクジェット装置により前記三次元構造物を造形し、
前記犠牲部材は、前記三次元構造物を造形した後又は当該三次元構造物を焼結した後、除去されることを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項5】
請求項4記載のプローブの製造方法において、
前記ベース部には予め凹部が設けられており、
前記三次元構造物を造形する前に、前記ベース部の凹部内に厚み寸法が凹部の深さ寸法と略同じ又は若干大きい前記犠牲部材を形成し、
その後、前記ベース部の凹部の縁部及び犠牲部材上にインクジェット装置により前記三次元構造物を造形することを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項6】
ベース部上に第1の犠牲層を形成し、
この第1の犠牲層にベース部が露出する開口を形成し、
この第1の犠牲層の開口内に三次元構造物を造形し、
その後、前記第1の犠牲層上に第2の犠牲層を形成し、
この第2の犠牲層に前記三次元構造物の上端部が露出する開口を形成し、
この第2の犠牲層の開口内に、前記三次元構造物の上端部に連続する新たな三次元構造物を造形し、
その後、前記三次元構造物を焼結し、
その後、前記犠牲層を除去するようになっており、
前記三次元構造物は、インクジェット装置に金属粉末粒子、溶剤及び硬化剤が混ぜ合わされたインクを吐出させ、前記開口内に前記インクの薄膜を形成すると共に、当該薄膜を硬化させ、
その後、インクジェット装置に前記インクを吐出させ、前記薄膜上に新たなインクの薄膜を形成すると共に、当該薄膜の硬化を繰り返すことにより、前記薄膜を積層させて造形されることを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項7】
請求項6記載のプローブの製造方法において、
前記三次元構造物を焼結する前に、
最上に位置する犠牲層上に新たな犠牲層を形成し、前記犠牲層に下側の三次元構造物の上端部が露出する開口を形成し、前記犠牲層の開口に前記三次元構造物の上端部に連続する新たな三次元構造物を造形する工程を1又は複数回行うことを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項8】
請求項6記載のプローブの製造方法において、
ベース部上に第1の犠牲層を形成する前にベース部上に第1の犠牲台が形成されており、
前記第1の犠牲層は、ベース部上に第1の犠牲台を埋設するように形成されており、
前記第1の犠牲層の前記開口は前記ベース部及び第1の犠牲台が露出するように形成されており、
前記三次元構造物は前記第1の犠牲層の開口内の前記ベース部及び第1の犠牲台上に造形されており、
前記第1の犠牲層上に第2の犠牲層を形成する前に、前記第1の犠牲層上に第2の犠牲台が形成されており、
前記第2の犠牲層は前記第1の犠牲層上に第2の犠牲台を埋設するように形成されており、
前記第2の犠牲層の開口は、前記三次元構造物の上端部及び第2の犠牲台が露出するように形成されており、
前記新たな三次元構造物は前記第2の犠牲層の開口内の前記第2の犠牲台上に前記三次元構造物の上端部に連続するように造形されており、
前記第1、第2の犠牲台は、前記第1、第2の犠牲層と共に除去されることを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項9】
請求項8記載のプローブの製造方法において、
前記三次元構造物を焼結する前に、
最上に位置する犠牲層上に新たな犠牲台を形成し、前記犠牲層上に前記犠牲台を埋設するように新たな犠牲層を形成し、前記犠牲層に下側の三次元構造物の上端部及び犠牲台が露出する開口を形成し、前記犠牲層の開口内の犠牲台上に前記三次元構造物の上端部に連続する新たな三次元構造物を造形する工程を1又は複数回行うことを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項10】
インクジェット装置が、第1の金属粉末粒子及び溶剤が混ぜ合わされた第1のインクを吐出する第1のノズルと、第1の金属粉末粒子よりも硬度が高く且つ電気抵抗が小さい第2の金属粉末粒子及び溶剤が混ぜ合わされた第2のインクを吐出する第2のノズルとを備えている請求項1、3又は6記載のプローブの製造方法において、
インクジェット装置により三次元構造物を造形するに当たり、
第1のノズルから第1のインクを吐出させ、前記三次元構造物のプローブの接触部に対応する以外の部分を造形し、
第2のノズルから第2のインクを吐出させ、前記三次元構造物のプローブの接触部に対応する部分を造形することを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至10に係るプローブの製造方法において、
前記インクには、カーボンナノチューブの微粒子が更に混入されていることを特徴とするプローブの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−54458(P2010−54458A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222201(P2008−222201)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000232405)日本電子材料株式会社 (272)
【Fターム(参考)】