説明

プローブ支持基板及びその製造方法

【課題】プローブとプローブ支持基板との絶縁性を十分に確保すると共に経時的に安定化させることができるプローブ支持基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のプローブ支持基板10は、プローブ支持基板10は、複数の金属薄板11と第1、第2の金属薄板13、14が積層され且つ互いに接合された積層体と、積層体の上面に形成されて複数のプローブ20を積層体から電気的に絶縁する絶縁被膜16と、を備え、複数の金属薄板11、13、14のうちの第2の金属薄板13には、プローブ20のリード部20Cを摺動可能に支持し且つプローブ20の支持位置を決める位置決め孔17Aを有する絶縁性の支持薄板17が複数個所で一体化して形成されており、且つ、これらの支持薄板17がその両面に配置された第1、第3の金属薄板11、14によって挟持されていると共に位置決め孔17Aが貫通孔10A内に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハの電気的特性検査に用いられるプローブカードを構成するプローブ支持基板に関し、更に詳しくは、複数のプローブを予め設定された位置で高精度に支持することができるプローブ支持基板及びその製造方法及に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの電気的特性検査にはプローブ装置が用いられる。プローブ装置は、カセットに収納された半導体ウエハを一枚ずつ搬送するローダ室と、ローダ室から搬送される半導体ウエハに形成された複数のデバイスの電気的特性検査を行うプローバ室と、ローダ室内及びプローバ室内の各種の機器を制御する制御装置と、を備えている。
【0003】
プローバ室は、例えば図6の(a)に示すように、ローダ室(図示せず)からの半導体ウエハW を載置し、X、Y、Z及びθ方向に移動する載置台1と、載置台1の上方に配置され且つ載置台1上の半導体ウエハW全面に形成された複数の電極パッドと電気的に接触する複数のプローブ2Aを有するプローブカード2と、載置台1と協働してプローブカード2の複数のプローブ2Aと半導体ウエハWの複数の電極パッドとのアライメントを行うアライメント機構(図示せず)と、を備え、アライメント後の半導体ウエハWの全ての電極パッドとプローブカード2の全てのプローブ2Aが一括接触して半導体ウエハWに形成された複数のデバイスの電気的特性検査を行うように構成されている。
【0004】
プローブカード2は、図6の(a)に示すように、複数のプローブ2Aと、これらのプローブ2Aを支持するプローブ支持基板2Bと、プローブ支持基板2Bが接合されて複数のプローブ2Aの先端がそれぞれ電気的に接触する複数の端子電極を有する回路基板2Cと、を備えている。複数のプローブ2Aとプローブ支持基板2Bは、プローブカード2のコンタクタとして構成されている。プローブ支持基板2Bは、例えばセラミック等の絶縁基板によって形成されている。複数のプローブ2Aは、プローブ支持基板2Bに形成された複数の貫通孔を貫通して回路基板2Cに形成された複数の端子電極とそれぞれ接触している。
【0005】
プローブ支持基板2Bの貫通孔は、プローブ2Aの本数に即して機械加工によって形成されているため、デバイスの高集積化及びウエハ径の大口径化によりプローブ2Aの本数が多くなり、それだけ貫通孔の機械加工に多くの時間と工数を要し、プローブカード2の製造コストが高くなる。
【0006】
そこで、特許文献1にはプローブ支持基板2Bを低コストで製造する方法が記載されている。特許文献1に記載の技術によれば、例えば予め金属薄板2Bにプローブ2Aを支持する複数の貫通孔がエッチングにより一括して形成され、複数の貫通孔が形成された金属薄板2Bは、各貫通孔が位置合わせされた状態で図6の(b)に示すように所望厚さになるように複数枚積層され、複数の金属薄板2Bが拡散接合等の手法によって一体化されて、複数の貫通孔2Eを有する一枚のプローブ支持基板2Bとして製造される。この手法によれば、貫通孔2Eが増えても金属薄板2Bの段階で複数の貫通孔がエッチングによって一括して形成されるため、機械加工による孔明け加工に比べてプローブ支持基板2Bを低コストで製造することができる。このようなプローブ支持基板2Bは、特許文献2にも記載されている。また、貫通孔2Eの内周面に絶縁被膜2Fが形成され、絶縁被膜2Eによってプローブ2Aと金属製のプローブ支持基板2Bとが電気的に絶縁されている。プローブ支持基板2Bの上面には絶縁性薄板2Gが接合され、絶縁性薄板2Gによってプローブ2Aとプローブ支持基板2Bとが電気的に絶縁されている。
【0007】
【特許文献1】WO99/004274
【特許文献1】特開2011−043377
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図6の(b)に示す従来の金属製のプローブ支持基板2Bの場合には、図6の(b)に示すようにプローブ2Aを支持する貫通孔2Eに絶縁性被膜2Fが施されているため、使用に伴って貫通孔2Eから絶縁性被膜2Fが剥離するなどして、プローブ2Aとプローブ支持基板2Bとの絶縁性を十分に確保できなくなる虞がある。
【0009】
また、従来の金属製のプローブ支持基板2Bは、複数の金属薄板2Bを加熱、加圧して接合されるため、接合時に上下の金属薄板2B間の位置ズレにより、図7に示すように各金属薄板2Bの孔が互いに僅かに位置ズレし、プローブ2Aの本来の支持位置が不明確になって定まらず、プローブ2Aの支持位置がばらつき、プローブカード2の信頼性を損なう虞がある。プローブ支持基板2Bが大口径化し、貫通孔2Eの数が多くなるほど各金属薄板2Bの位置ズレの影響が顕著になる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、プローブとプローブ支持基板との絶縁性を十分に確保すると共に経時的に安定化させることができ、しかもプローブの支持位置を決める孔を設計通りに高精度に形成することができるプローブ支持基板及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載のプローブ支持基板は、被検査体の電気的特性検査に用いられる複数のプローブをそれぞれ所定の配列パターンで支持する複数の貫通孔を有するプローブ支持基板において、複数の金属薄板が積層され且つ互いに接合された積層体と、上記積層体の主面に形成されて上記複数のプローブを上記積層体から電気的に絶縁する絶縁被膜と、を備え、上記複数の金属薄板のうちの少なくとも一枚の金属薄板には、上記プローブを摺動可能に支持し且つ上記プローブの支持位置を決める位置決め孔を有する絶縁性の支持薄板が複数個所で一体的に形成されており、且つ、上記絶縁性の支持薄板がその両面に配置された金属薄板によって挟持されていると共に上記位置決め孔が上記貫通孔内に位置していることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載のプローブ支持基板は、請求項1に記載の発明において、上記絶縁性の支持薄板がセラミックによって形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載のプローブ支持基板は、請求項1または請求項1に記載の発明において、上記プローブは、上記貫通孔を通る部分と、上記金属薄板に固定される部分と、を有することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載のプローブ支持基板の製造方法は、被検査体の電気的特性検査に用いられる複数のプローブをそれぞれ所定の配列パターンで支持する複数の貫通孔を有するプローブ支持基板を製造する方法であって、第1の金属薄板に上記プローブより大径の孔を上記複数のプローブの配列パターンに即して複数形成する第1の工程と、互いに対応する上記複数の大径孔同士をそれぞれ位置合わせして上記第1の金属薄板を複数枚積層して第1の積層体を得る第2の工程と、上記第1の積層体の主面に上記複数の大径孔をそれぞれ塞ぐ絶縁性の支持薄板が複数個所に配されて一体化した第2の金属薄板を積層する第3の工程と、上記第2の金属薄板に少なくとも一枚の第3の金属薄板を積層して上記第1の金属薄板11と上記少なくとも一枚の第3の金属薄板とで上記大径孔以外の部分で上記絶縁性の支持薄板を挟んで第2の積層体を得る第4の工程と、上記第2の積層体を加熱、加圧して上記複数の第1の金属薄板と上記第2、第3の金属薄板をそれぞれ互いに接合する第5の工程と、上記複数のプローブの支持位置を決める位置決め孔を、上記複数個所の絶縁性の支持薄板の上記複数の大径孔を塞ぐ位置に上記プローブが摺動する大きさで設ける第6の工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載のプローブ支持基板の製造方法は、請求項4に記載の発明において、第6の工程では、ブラスト処理によって上記位置決め孔を上記絶縁性の支持薄板に形成することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載のプローブ支持基板の製造方法は、請求項4または請求項5に記載の発明において、上記第1の金属薄板の複数の大径孔をそれぞれエッチング処理によって形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プローブとプローブ支持基板との絶縁性を十分に確保すると共に経時的に安定化させることができ、しかもプローブの支持位置を決める孔を設計通りに高精度に形成することができるプローブ支持基板及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のプローブ支持基板の一実施形態の要部を示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ本実施形態のプローブ支持基板の製造方法のうち、予め用意された第1、第2の金属薄板を積層する工程を示す断面図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ図2に示す工程に続いて第2の金属薄板の上面に第3の金属薄板を積層する工程を示す断面図である。
【図4】(a)〜(c)はそれぞれ図3に示す工程に続いて第1、第2、第3の金属薄板の積層体を拡散接合し、第2の金属薄板の絶縁性の支持薄板に位置決め孔を形成する工程を示す断面図である。
【図5】(a)、(b)はそれぞれ図4に示す工程に続いて第3の金属薄板の上面に絶縁性薄板を積層する工程を示す断面図である。
【図6】(a)、(b)はいずれも従来のプローブ装置を示し、(a)は従来のプローブカードが取り付けられたプローブ装置の要部を示す側面図、(b)は従来のプローブ支持基板の要部を拡大して示す断面図である。
【図7】図6に示す金属薄板を拡散接合して生じた金属薄板間の位置ズレを拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図5に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。
まず、例えば図1に示す本実施形態のプローブ支持基板について説明する。このプローブ支持基板10は、図1に示すように、半導体ウエハ(図示せず)に所定のパターンで形成された複数の電極パッドとそれぞれ接触する複数のプローブ20を支持するコンタクタ基板として構成されている。
【0020】
本実施形態のプローブ支持基板10は、図1に示すように、複数の第1の金属薄板11が積層されて形成された第1の積層体12と、第1の積層体12の主面(図1では上面)に第2の金属薄板13を介して第3の金属薄板14が積層された第2の積層体15と、第2の積層体15の上面に形成された絶縁被膜16と、を備えている。第1、第2、第3の金属薄板11、13、14は、それぞれ例えば42アロイ、インバー、コバール等のNi−Fe系合金やステンレス等によって例えば0.1〜0.5mmの厚さで同一外径に形成されている。第2の積層体15は、複数の第1の金属薄板11と第2、第3の薄板金属13、14が拡散接合によって互いに接合されて一枚板として形成されている。第1、第2、第3の薄板金属11、13、14は、拡散接合以外の接合手段、例えばスポット溶接や接着剤等の手段によっても接合される。
【0021】
図1に示すように、プローブ支持基板10の主面(図1では上面)には半導体ウエハ(図示せず)の複数の電極パッドの配列パターンに即して配列された複数のプローブ20が取り付けられている。複数のプローブ20は、全てニッケル等のバネ性のある導電性材料によって図1に示すように形成されている。このプローブ20は、同図に示すように、半導体ウエハの電極パッドと接触する接触部20Aと、接触部20Aの基端からプローブ支持基板10の上面に沿って延設された支持部20Bと、接触部20Aの手前で支持部20Bから垂下するリード部20Cと、支持部20Bの延設端側に形成された突起部20Dと、を有している。支持部20Bは、接触部20Aからリード部20Cまでが薄肉部として形成され、リード部20Cから延設端までが厚肉部として形成されている。
【0022】
プローブ支持基板10には複数のプローブ20のリード部20Cがそれぞれ貫通する貫通孔10Aと複数のプローブ20の突起部20Dがそれぞれ嵌合する凹陥部20Bが複数のプローブ20の配列パターンに即して形成されている。プローブ20は、リード部20Cが貫通孔10Aを貫通して回路基板30の端子電極31に接触すると共に、突起部20Dが絶縁性接着剤を介して凹陥部10Bに接着、固定されている。プローブ20は、支持部20Bの厚肉部が絶縁被膜16に接触し、支持部20Bの薄肉部が絶縁被膜16から浮上している。従って、プローブ20は、接触部20Aの先端が半導体ウエハの電極パッドと電気的に接触し、支持部20Bを介して絶縁被膜16側へ弾性変形するようになっている。
【0023】
貫通孔10Aは、図1に示すように複数の第1の金属薄板11にプローブ20のリード部20Cより大径に形成された孔11Aと第3の金属薄板14にリード部20より大径に形成された孔14Aによって形成されている。第1、第3の金属薄板11、14の間に介在する第2の金属薄板13には、図1に示すように複数の貫通孔10Aに該当する部分に絶縁性の支持薄板17が第2の金属薄板13と一体化して複数個所に配置されている。支持薄板17にはプローブ20のリード部20Cを摺動可能に支持する位置決め孔17Aが貫通孔10Aの内側に位置するように形成され、この位置決め孔17Aを介してリード部20Cが貫通孔10Aの内周面と接触しないようなっている。支持薄板17は、位置決め孔17Aの外側が拡散接合、熱圧着、接着剤等により接合された上下の第1、第3の金属薄板11、14によって強固に一体化されている。従って、支持薄板17の位置決め孔17Aで支持されるプローブ20は、第2の金属薄板13に対して電気的に絶縁されていると共に第1、第3の金属薄板11、14の孔11A、14Aの内周面から離間し、プローブ支持基板10との電気的絶縁が十分に確保されている。また、位置決め孔17Aが絶縁性の支持薄板17に形成されているため、絶縁性が安定し、長期に渡って絶縁性が損なわれることがない。絶縁性の支持薄板17は、例えば石英等の絶縁性のセラミックによって形成されている。
【0024】
また、凹陥部10Bは、第3の金属薄板14の孔14Bによって形成されている。この孔14Aは、プローブ20の突起部20Dが嵌合する大きさに形成されている。プローブ20は、突起部20Dが接着剤を介して凹陥部10Bに対して接着、固定されている。
【0025】
第1、第2、第3の金属薄板11、13、14は、上述のように拡散接合等の接合手段によって接合されるため、接合時に第1、第3の金属薄板11、14が加熱と加圧により位置ズレし、その影響で図1に誇張して示すように孔11A、14Aが互いに不揃いになる。しかしながら、本実施形態では、後述のように第1、第2、第3の金属薄板11、13、14が拡散接合された後に、複数の位置決め孔17Aが第2の金属薄板13中の複数個所の絶縁性の支持薄板17に形成されるため、複数の位置決め孔17Aが設計上の支持位置に高精度に形成され、複数のプローブ20が半導体ウエハの電極パッドと確実に接触位置に取り付けられる。
【0026】
次いで、図1に示すプローブ支持基板10の製造方法について図2〜図4を参照しながら説明する。
【0027】
まず、プローブ支持基板10の第1、第2、第3の金属薄板11、13、14を作製するために、例えば0.1〜0.5mmの42アロイシートと、第2の金属薄板13と一体化される0.1〜0.5mmのセラミックシートがそれぞれ用意される。この42アロイシートから第1、第2、第3の金属薄板11、13、14がそれぞれプローブ支持基板1として必要な枚数だけ所定の形状に切断加工され、またセラミックシートから支持薄板17として必要な枚数だけ所定の形状に切断加工される。
【0028】
次いで、図1の(a)に示すように第1の金属薄板11のウェットエッチング処理によりプローブ20のリード部20Cが通る複数の孔11Aと第1の金属薄板11の位置合わせに用いられる位置合わせ用の孔11Cが第1の金属薄板11に形成される。位置合わせ用の孔11Cは、第1の金属薄板11の外周縁部に所定間隔を空けて複数個所に形成される。これらの孔11A、11Cを形成するには、第1の金属薄板11の両面にフォトレジストが塗布されてフォトレジスト膜が形成され、このフォトレジスト膜が所定のフォトマスクを介して露光処理された後、現像処理されて孔11A、11Cに相当する部分のフォトレジストが所定のパターンで除去され、それぞれの孔11A、11Cに相当する部分から第1の金属薄板11がフォトレジスト膜から露出する。現像処理後、エッチング液を用いて第1の金属薄板11を両面からエッチング処理し、図2の(a)に示すように第1の金属薄板11に所定のパターンで複数の孔11A、11Cが一括して形成される。このように孔明けされた第1の金属薄板11がプローブ支持基板10として必要な枚数だけ作製される。
【0029】
また、第2の金属薄板13には、図2に示すように孔11Aに対応する部分にこの孔11Aより大きな孔13Aと孔11Cに対応する部分に孔11Cと実質的に同じ大きさの孔13Cがそれぞれウェットエッチング処理によって一括して形成される。また、第3の金属薄板14には、図3に示すように孔11A、11Cに対応する部分に孔11A、11Cと実質的に大きさの孔14A、14Cと凹陥部10Bに対応する位置に孔14Bがそれぞれウェットエッチング処理によって一括して形成される。尚、図1では要部が拡大して図示されている。
【0030】
第1の金属薄板11に複数の孔11A、11Cが所定のパターンで形成された後、図2の(a)に示す積層用治具50を用いて第1の金属薄板11が必要枚数だけ積層される。積層用治具50には第1の金属薄板11の複数の孔11Cに対応するガイドピン51が立設されている。このガイドピン51に第1の金属薄板11の複数の孔11Cを合わせて第1の金属薄板11が必要枚数だけ積層用治具50上に積層されて第1の第1の積層体12として形成される。この際、第1の金属薄板11の複数の孔11Aは、ガイドピン51を介して自動的に位置合わせされている。
【0031】
次いで、図2の(b)に示すようにガイドピン51に第2の金属薄板13の孔13Cを合わせて第2の金属薄板13が積層され、更に同図に(c)に示すように支持薄板17が第2の金属薄板13の孔13Aに合わせ挿入されると、図3の(a)に示すように支持薄板17が第2の金属薄板13と一体化する。この第2の金属薄板13上にガイドピン51を介して第3の金属薄板14が積層されて図3の(b)に示すように第2の積層体15が形成される。第2の積層体15では支持薄板17が上下の第1、第3の金属薄板11、14によって挟持され、第1、第3の孔11A、14Aによって形成される貫通孔10Aが支持薄板17によって塞がれる。
【0032】
然る後、図4の(a)に示すように積層用治具50が除去された第2の積層体15が拡散接合される。拡散接合では第2の積層体15が真空下または不活性雰囲気下で所定の温度まで加熱されると共に上下から所定の圧力で加圧されて複数の第1の金属薄板11と第2、第3の金属薄板13が互いに接合されて一枚板として一体化され、支持薄板17が上下の第1、第3の金属薄板11、14と接合されて強固に一体化する。第1、第2の金属薄板11、13及び支持薄板17は、それぞれが互いに接合するまでに加熱と加圧により僅かではあるが図4の(b)に示すようにそれぞれの孔11A、14Aが本来の位置(設計上の位置)から位置ズレする。しかしながら、本実施形態では、第1、第3の金属薄板11、14の複数の孔11A、14Aは、いずれもプローブ20の支持位置を設定するものでなく、リード部20Cの通る貫通孔10Aとしてリード部20Cより大径に形成されているため、第1、第2の金属薄膜11、13の孔11A、13Aが互い位置ズレして貫通孔10Aの内面が揃わず部分的に狭くなるが、プローブ20のリード部20Cが余裕をもって通すことができる。
【0033】
本実施形態では、複数の位置決め孔17Aは、それぞれ絶縁性の支持薄板17のサンドブラスト処理によってプローブ20の支持位置に設計通りに高精度に形成される。支持薄板17のサンドブラスト処理を行うには、まず、第2の積層体14から露出する支持薄板17にマスク層が形成される。その後、マスク層を介して支持薄板17が所定のパターンでサンドブラスト処理されると、図4の(c)に示すように支持薄板17に所定のパターンで位置決め孔17Aが形成される。
【0034】
次いで、図5の(a)に示すように第2の積層板15の上面に絶縁被膜16が形成され、貫通孔10A内に位置決め孔17Aを有するプローブ支持基板10が得られる。然る後、第2の金属薄板13の孔13B(プローブ支持基板10の凹陥部10B)に接着剤を充填した後、予め用意されているプローブ20のリード部20Cが第2の金属薄板13の位置決め孔13Aに挿入され、突起部20Dがプローブ支持基板10の凹陥部10Bに嵌合される。これにより、プローブ20は、リード部20Cが貫通孔10Aを貫通し、図5の(b)に仮想線で示すように突起部20Dが接着剤を介して凹陥部10Bに接着、固定されて、プローブ支持基板10の上面で支持されたコンタクタ(図1参照)が得られる。
【0035】
以上説明したように本実施形態によれば、プローブ支持基板10は、複数の第1の金属薄板11と第1、第2の金属薄板13、14が積層され且つ互いに接合された積層体と、積層体の上面に形成されて複数のプローブ20を積層体から電気的に絶縁する絶縁被膜16と、を備え、複数の金属薄板11、13、14のうちの第2の金属薄板13には、プローブ20のリード部20Cを摺動可能に支持し且つプローブ20の支持位置を決める位置決め孔17Aを有する絶縁性の支持薄板17が複数個所で一体的に形成されており、且つ、これらの支持薄板17がその両面に配置された第1、第3の金属薄板11、14と接合、挟持されていると共に位置決め孔17Aが貫通孔10A内に位置しているため、プローブ20のリード部20Cとプローブ支持基板10との絶縁性を十分に確保すると共に経時的に安定化させることができ、信頼性の高いプローブカードを得ることができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、第1の金属薄板11にプローブ20のリード部20Cより大径の孔11Aを複数のプローブ20の配列パターンに即して複数形成する第1の工程と、互いに対応する複数の大径孔11A同士をそれぞれ位置合わせして第1の金属薄板11を複数枚積層して第1の積層体12を得る第2の工程と、第1の積層体12の上面に複数の大径孔11Aをそれぞれ塞ぐ絶縁性の支持薄板17を複数個所に有する第2の金属薄板13を積層する第3の工程と、第2の金属薄板13に第3の金属薄板を積層して第1の金属薄板11と第3の金属薄板11とで大径孔11A以外の部分で支持薄板17を挟んで第2の積層体15を得る第4の工程と、第2の積層体15を加熱、加圧して複数の第1の金属薄板11と第2、第3の金属薄板13、14をそれぞれ互いに接合する第5の工程と、複数のプローブ20の支持位置を決める位置決め孔17Aを、複数個所の絶縁性の支持薄板17の複数の大径孔11A、14Aを塞ぐ位置にプローブ20が摺動する大きさで設ける第6の工程と、を備えているため、複数の第1の金属薄板11と第2、第3の金属薄板13を加熱、加圧して一体化して本実施形態のプローブ支持基板10を製造する際に、複数の第1、第2、第3の金属薄板11、13、14の間で位置ズレがあっても、プローブ20の支持位置を決める位置決め孔17Aが絶縁性の支持薄板17に設計通りに高精度に形成されて、プローブ20とプローブ支持基板10との絶縁性が十分に確保されると共に絶縁性が経時的に安定化さし、延いては信頼性の高いプローブカードを得ることができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、第6の工程ではサンドブラスト処理によって絶縁性の支持薄板に17に位置決め孔17Aを形成するため、位置決め孔17Aをより高精度に形成することができる。また、第1の工程ではエッチング処理によって第1、第2、第3の金属薄板11、13、14の孔11A、13A、14A等の孔を形成するため、孔明け加工に要する時間及び工数を削減して製造コストを低減することができる。
【0038】
尚、本発明は、上記実施形態に何ら制限されるものではなく、必要に応じて各構成要素を設計変更することができる。例えば、プローブ20が接触部20A、支持部20B、リード部20C及び突起部20Dを有するものについて説明したが、プローブ支持基板の貫通孔を貫通するプローブであれば、他のタイプのプローブであっても良い。また、上記実施形態では、サンドブラスト処理によって支持薄板17に位置決め孔17Aを設ける場合について説明したが、その他ドリル加工等の孔明け加工を用いても良い。
【符号の説明】
【0039】
10 プローブ支持基板
11 第1の金属薄板
11A 孔
12 第1の積層体
13 第2の金属薄板
14 第3の金属薄板
14A 孔
15 第2の積層体
16 絶縁被膜
17 絶縁性の支持薄板
17A 位置決め孔
20 プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の電気的特性検査に用いられる複数のプローブをそれぞれ所定の配列パターンで支持する複数の貫通孔を有するプローブ支持基板において、複数の金属薄板が積層され且つ互いに接合された積層体と、上記積層体の主面に形成されて上記複数のプローブを上記積層体から電気的に絶縁する絶縁被膜と、を備え、上記複数の金属薄板のうちの少なくとも一枚の金属薄板には、上記プローブを摺動可能に支持し且つ上記プローブの支持位置を決める位置決め孔を有する絶縁性の支持薄板が複数個所で一体的に形成されており、且つ、上記絶縁性の支持薄板がその両面に配置された金属薄板によって挟持されていると共に上記位置決め孔が上記貫通孔内に位置していることを特徴とするプローブ支持基板。
【請求項2】
上記絶縁性の支持薄板がセラミックによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプローブ支持基板。
【請求項3】
上記プローブは、上記貫通孔を通る部分と、上記金属薄板に固定される部分と、を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプローブ支持基板。
【請求項4】
被検査体の電気的特性検査に用いられる複数のプローブをそれぞれ所定の配列パターンで支持する複数の貫通孔を有するプローブ支持基板を製造する方法であって、第1の金属薄板に上記プローブより大径の孔を上記複数のプローブの配列パターンに即して複数形成する第1の工程と、互いに対応する上記複数の大径孔同士をそれぞれ位置合わせして上記第1の金属薄板を複数枚積層して第1の積層体を得る第2の工程と、上記第1の積層体の主面に上記複数の大径孔をそれぞれ塞ぐ絶縁性の支持薄板が複数個所に配されて一体化した第2の金属薄板を積層する第3の工程と、上記第2の金属薄板に少なくとも一枚の第3の金属薄板を積層して上記第1の金属薄板11と上記少なくとも一枚の第3の金属薄板とで上記大径孔以外の部分で上記絶縁性の支持薄板を挟んで第2の積層体を得る第4の工程と、上記第2の積層体を加熱、加圧して上記複数の第1の金属薄板と上記第2、第3の金属薄板をそれぞれ互いに接合する第5の工程と、上記複数のプローブの支持位置を決める位置決め孔を、上記複数個所の絶縁性の支持薄板の上記複数の大径孔を塞ぐ位置に上記プローブが摺動する大きさで設ける第6の工程と、を備えていることを特徴とするプローブ支持基板の製造方法。
【請求項5】
第6の工程では、ブラスト処理によって上記位置決め孔を上記絶縁性の支持薄板に形成することを特徴とする請求項4に記載のプローブ支持基板の製造方法。
【請求項6】
上記第1の金属薄板の複数の大径孔をそれぞれエッチング処理によって形成することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のプローブ支持基板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−2931(P2013−2931A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133755(P2011−133755)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(307009034)株式会社WELCON (7)
【Fターム(参考)】