説明

プローブ用の測定ヘッド

【課題】 特に割り出し精度に影響するような機械的応力を割り出し位置に導入することなしに、軸を中心とする回転が正確に実施されるプローブ用の測定ヘッドを提供する。
【解決手段】支持要素(30)と、該支持要素(30)に接続され、支持要素(30)に対して第一軸(B)を中心に回転可能な第一可動要素(40)と、第一軸(B)を中心に回転することができるように接続された、回転動作体(90)と、第一軸(B)から一定の距離(a)で第一軸(B)を中心に回転動作体(90)を駆動するための、支持要素(30)と回転動作体(90)との間における第一伝導装置(86、92)と、第一可動要素(40)を駆動するための、回転動作体(90)と第一可動要素(40)の間における第二伝導装置(94、95)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ用の測定ヘッドに関し、特に、電動方向付け可能なプローブ用の測定ヘッドに適した技術に関する。
詳細には、機械部品の三次元座標を測定するための方向付け可能な測定ヘッド、また特に、排他的ではないが、座標測定のための手動または自動の機械において使用することを目的とした方向付け可能な測定ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
接触プローブは、例えば、機械部品の生産ラインで、加工部品の寸法または表面の検査のために用いられる測定器具である。
接触プローブは、複雑な部品の三次元形状の捕捉にも用いられることによって、それらを再現する、またはモデリングする。
【0003】
プローブは、一般的に、測定機械のアームに固定されることを目的とした測定ヘッドと、伸長したロッドの端に球を備え、被測定部品と接触させることを目的とした可動触針を備えている。
【0004】
大半の用途分野において、接触プローブは、その空間位置が、例えば機械の軸上に配置された位置エンコーダなどの、手動または自動測定システムによって正確に求めることができる機械の可動アームに固定される。
可動アームは、プローブの測定触針を、被測定部品または被測定表面に接触させるために空間内に移動される。
接触中に、抗折力が触針にかけられ、触針をその初期静止位置から遠ざける。
センサは、触針のわずかな移動にも反応して、電気信号を発生し、該電気信号を、光信号の形で使用者に、あるいは機械の制御ソフトウェアに送信する。
該ソフトウェアは、測定システムのデータに基づいて、所与の基準フレームの範囲内で接触点の座標を決定する。
この目的のために、先行技術においては、電気機械センサまたは光学センサあるいは異なる原理に基づく移動センサ、例えば、歪みゲージから成るセンサを用いている。
【0005】
三次元接触プローブの場合、触針と測定ヘッドの固定部分との間の接続は、通常Boysの接続原理に従って、すなわち、例えば、固定装置と触針の間の六つの接触点を定義するように六個の球の上に載置された三つの円筒状のピンによって実現される。
しかしながら、二次元および一次元触針も知られている。
【0006】
凹凸のある複雑な形状の部品の測定にプローブが用いられるとき、測定ヘッドの固定部分または触針のロッドを被測定部品の要素と干渉させずに、触針を部品の全表面と接触させることは困難であり、さらには不可能である。
この欠点を解消するために、接触触針を空間内の複数の方向に向けることができる測定ヘッドが知られている。
一般的に、考えられる方向全体をカバーするには二つの独立した回転軸が要求される。
このタイプの一つの器具が、欧州特許出願第0392660号明細書に記載されている。
【0007】
しかしながら、このタイプの装置の使用は接触触針に限定されず、例えば、加工した部品の点検と検査のために、センサ、例えばビデオカメラとともに接触することなく使用することもできる。
【0008】
回転軸は、十分大きいが有限数の、所定のかつ正確に再現可能な静止位置を備えているという意味で、好適には割り出される。
この構成によって、触針の方向を変える度にその後で測定機械を再検定する必要がなくなる。
【0009】
至適精度が得られるのは、割り出し表面が、割り出された位置のそれぞれにおいて、6つの独立した接触点との均衡接続を定義するときである。
【0010】
複雑な部品を測定するために、測定機械の制御プログラムからの指令によって、プローブの触針を自動的に方向付けるために測定ヘッドを電動とすることが望ましい。
この目的のために、触針軸の回転と固定は、電磁アクチュエータ、例えば割り出し表面を離して軸に回転を伝えるモータまたはサーボモータによって実施される。
【0011】
割り出し位置の数が多いとき、軸の駆動機構は、割り出し精度を損なうような方向付け可動要素に追加の機械的応力を導入することなしに、高い角度精度を保証しなければならない。
既知の測定ヘッドにおいて、二つの対向する要求を両立させることは難しい。
【特許文献1】欧州特許出願第0392660号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一つの目的は、既知の装置の限界がない測定ヘッドと、特に割り出し精度に影響するような機械的応力を割り出し位置に導入することなしに、軸を中心とする回転が正確に実施されるような測定ヘッドとを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的を達成するのは、主請求項の対象である特徴の組み合わせから成る装置と、また特に、測定装置に対してプローブ触針を方向付けるための方向付け可能な測定ヘッドであって、支持要素と、前記支持要素に接続され前記支持要素に対して第一軸を中心に回転することのできる第一可動要素と、
前記第一軸を中心に回転できるように接続された回転動作体と、第一軸から一定距離で第一軸を中心に回転動作体を駆動するための支持要素と回転動作体との間の第一伝導装置と、第一可動要素を駆動するための、回転動作体と第一可動要素の間の第二伝導装置とから成るものである。
【0014】
すなわち、本発明の課題を解決するための手段は、次のとおりである。
【0015】
第1に、
測定装置に対してプローブ触針(60)を方向付けるためのプローブ用の測定ヘッド(10)であって、
該測定ヘッド(10)が、
支持要素(30)と、
該支持要素(30)に接続され、支持要素(30)に対して第一軸(B)を中心に回転可能な第一可動要素(40)と、
第一軸(B)を中心に回転することができるように接続された、回転動作体(90)と、
第一軸(B)から一定の距離(a)で第一軸(B)を中心に回転動作体(90)を駆動するための、支持要素(30)と回転動作体(90)との間における第一伝導装置(86、92)と、
第一可動要素(40)を駆動するための、回転動作体(90)と第一可動要素(40)の間における第二伝導装置(94、95)とを備えた、測定ヘッド。
第2に、
前記第二伝導装置が、遊びを含んでいることを特徴とする、上記第1に記載の測定ヘッド。
第3に、
前記遊びが、0.005ミリメートルと1.0ミリメートルとの間に含まれることを特徴とする、上記第2に記載の測定ヘッド。
第4に、
前記第一伝導装置が、一対の歯車(86、92)を備え、一方の歯車(86)が支持要素(30)と連動し、他方の歯車(92)が回転動作体(90)であるモータによって直接駆動されることを特徴とする、上記第1〜第3のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
第5に、
前記回転動作体(90)を支えるためのベアリング(84)を備えていることを特徴とする、上記第1〜第4のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
第6に、
前記第一可動要素(40)が、固定位置と固定解除位置の間で第一軸(B)の方向に摺動することができることを特徴とする、上記第1〜第5のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
第7に、
前記回転動作体(90)が、第一可動要素(40)が第一軸(B)の方向に摺動するとき、支持要素(30)に対する位置を変えないことを特徴とする、上記第6に記載の測定ヘッド。
第8に、
前記第二伝導装置が、第一可動要素(40)に連動し、第一軸(B)に平行な要素(95)を含むことを特徴とする、上記第7に記載の測定ヘッド。
第9に、
前記第一可動要素(40)と連結する可動位置決要素(41)と、
前記支持要素(30)と連結し、固定された支持要素(30)に対して第一可動要素(40)の所定の方向を決定するために可動位置決要素(41)と係合することができる固定された位置決要素(31)とを有することを特徴とする、上記第1〜第8のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
第10に、
前記第一可動要素(40)に対して第二軸(A)を中心に回転できる第一可動要素(40)と接続された第二可動要素(50)と、
第二軸(A)を中心に回転できるように接続された第二回転動作体と、
第二軸(A)から一定距離で第二軸(A)を中心に第二回転動作体を駆動するための、第一可動要素(40)と第二回転動作体との間の第三伝導装置と、
前記第二可動要素(50)を駆動するための、第二回転動作体と第二可動要素との間の、第四伝導装置とを有することを特徴とする、上記第1〜第9のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
第11に、
前記第一軸(B)と第二軸(A)が、ほぼ直交することを特徴とする、上記第10に記載の測定ヘッド。
【発明の効果】
【0016】
本発明の測定ヘッドは、特に割り出し精度に影響するような機械的応力を割り出し位置に導入することなしに、軸を中心とする回転が正確に実施される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による測定ヘッドの斜視図である。
【図2】固定位置にある本発明の測定ヘッドの縦断面図である。
【図3】固定解除位置にある本発明の測定ヘッドの縦断面図である。
【図4】本発明の測定ヘッドの固定/固定解除機構の要部の拡大図である。
【図5】本発明に係る固定と固定解除のためのアクチュエータの斜視図である。
【図6】本発明に係る固定と固定解除のためのアクチュエータの側面図である。
【図7】本発明に係る固定と固定解除のためのアクチュエータを底面側から見た斜視図である。
【図8】本発明に係る固定と固定解除のためのアクチュエータの図5と反対側から見た斜視図である。
【図9】図5〜図8のアクチュエータに含まれるクランクシャフトの詳細図である。
【図10】本発明の測定ヘッドに係る回転動作体の説明図である。
【符号の説明】
【0018】
10 測定ヘッド
20 取付ロッド
30 支持要素
31 位置決要素
35 光表示装置
40 第一可動要素
41 可動位置決要素
42 ピン
43 ボール
45 モータ
46 歯車
50 第二可動要素
51 歯車
53 セクタ
59 クランクシャフト
60 プローブ触針
62 レバー
63 分岐
64 分岐
65 軸
66 第一ロッド
67 第二ロッド
70 球
75 軸
80 固定ブッシング
84 ベアリング
86 第一伝導装置
90 回転動作体
92 第一伝導装置
94 第二伝導装置
95 第二伝導装置
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、例としてあげられ、付属の図面により図示された、説明を読むことによってよりよく理解される。
【0020】
図1を参照すると、本発明による方向付け可能な測定ヘッド10は、測定機械のアームに固定されることを目的とし、例えば、測定空間内の三つの座標軸X、Y、Zにそって移動することのできる、支持要素30を備えている。
それは、例えば、取付ロッド20によって、あるいはその他の締結手段で固定することができる。
【0021】
以下において、単純化のために、図1の第一軸Bの方向を指すのに「垂直」と言うものとする。
この言い方は、図の約束上の方向を指すと同時に本発明の装置が通常用いられる方向も指すものであり、プローブが取り付けられる測定機械の垂直軸Zの方向と普通は一致する。
しかしながら、プローブは、空間内の任意の方向で用いることができる。
【0022】
第一可動要素40は、垂直軸である第一軸Bを中心に回転できるように支持要素30に固定される。
第一可動要素40は、例えば10度の、多数の所定の小さな角度に対応する、複数個の割り出し位置に好適には対応できる。
既知の仕方で、これらの割り出し位置は、例えば、大きな精度で位置が決定される位置決要素の間に六つの静止位置を定義する均衡接続によって決定される。
【0023】
第二可動要素50は、第一可動要素40に関連する水平軸である第二軸Aを中心に自由に回転する。
第二軸Aを中心とする第二可動要素50の回転は、上述の第一可動要素40と同様に、連続または割り出し位置に対応して段階的に行われる。
第二可動要素50の回転は、電動または手動とすることができる。
【0024】
プローブ触針60は、第二可動要素50に固定され、被測定部品と接触することを目的とした球70をその先端に担持している。
図示されていない検出機構は、このようにして静止位置に対する球70のわずかな移動に電気信号で応答し、該信号は、図示されていないコネクタによって、光表示装置35または機械の制御ソフトウェアに送られる。
【0025】
次に図2と図3を参照して、本発明の一つの態様による軸の固定および固定解除機構について説明する。
【0026】
支持要素30は、通常は規則的に間隔を置いた一連の割り出し位置を定義するように、位置決要素31として、通常一定の角度距離で、例えば10度で、円周に沿って配置された一連のボールを担持している。
第一可動要素40は、位置決要素であるボール31に対応して、120度の距離でボール31と係合できる可動位置決要素としての三本のピン41を担持している。
固定位置で(図2参照)、第一可動要素40は、第一ロッド66に引っ張られることで、固定要素である支持要素30に押しつけられる。
このとき、可動位置決要素であるピン41のそれぞれは、二つの隣接するボール31と接触し、Boysの接続原理に従って支持要素30と第一可動要素40の間に均衡接続を持つようにする。
【0027】
同等な仕方で、本発明の範囲内において、図示は省略するが、ボールを第一可動要素側に、ピンを支持要素側に配置して、前者と後者の位置を交換することも可能である。
ボールとピンを、支持要素30と第一可動要素40の間に六つの接触点を定義するのに適したその他の位置決要素に代えることもできる。
【0028】
垂直ロッドである第一ロッド66の一端は、支持要素30に連結して固定され、一方、第一ロッド66の他端は、第一可動要素40に対して固定された、軸65を中心に旋回することのできるレバー62に1本のアームに連結して固定される。
第一ロッド66は、好適には第一軸Bと心出しされる。
【0029】
図2の固定状態において、第一ロッド66は張力をかけられ、可動位置決要素である割出ピン41が位置決要素であるボール31と係合するように引っ張る。
この状態においては第一軸Bを中心とするいかなる回転も不可能であり、第一可動要素40は割り出し位置の一つにおいて固定される。
【0030】
第一ロッド66によって加えられた力は、ボール31とピン41の間の接触点に対して中心にかけられ、第一軸Bにそって方向づけられる。
このようにして、最大割り出し精度のために、ボール31とピン41の間に接触力の均等配分が達成される。
【0031】
第二可動要素50も、第二軸Aと心出しされた水平ロッドである第二ロッド67の張力によって第一可動要素40に押しつけられる。
第二ロッド67は、一方では第二可動要素50に対して、他方ではレバー62に対して連結される。
【0032】
図4に示すように、第一可動要素40と第二可動要素50との間に配置された、ボール43とピン42の第二セットは、割り出し位置での第二可動要素50の回転を固定することを可能にする。
【0033】
随意に、第一ロッド66および第二ロッド67は、ピン41、ピン42と、ボール31、ボール43の間に一定の割り出し力を確保するために、図示されていない弾性要素、例えば、金属バネを備えている。
同様に、弾性要素をレバー62の中に、あるいは第一可動要素および第二可動要素の中に含めることもできる。
【0034】
図5から図9を参照すると、レバー62の位置は、モータ45、歯車46、歯車51によって軸75を中心に回転駆動される、図9に詳細を示したクランクシャフト59によって、決定される。
同様に、クランクシャフト59は、クランクシャフト59の同じ軸75に配置したモータによって、あるいはいかなる機械的伝導装置、例えば、プーリー装置によっても直接駆動することができる。
【0035】
レバー62の一本のアームは一本のフォークを備え、図5に示す該フォークの二本の分岐63と分岐64は、クランクシャフト59のクランクピンであるカム55の二つの対向する側に接触して(図6参照)、クランクシャフト59が180度回転したときにレバー62を固定位置から固定解除位置に移動させる。
随意に、固定および/または固定解除の際の摩擦を減らすために、クランクピンであるカム55とフォークの間にボールベアリングを介在させる。
図示した実施態様において、固定力を伝達する分岐63に対応するためだけにベアリングが備えられている。
固定解除のための、フォークの他の分岐64に対応するために要求される力は小さく、単純な減摩ベアリングを用いることができる。
【0036】
軸75を中心としたクランクシャフト59の回転は、セクタ53と第一可動要素40に取り付けたピン55によって、180度よりわずかに大きい回転角度に制限される。
セクタ53の両端に対するピン55の停止位置は、均衡点を追い越し、それによって固定状態と固定解除状態にそれぞれ対応する安定静止位置を定義するように配置される。
【0037】
図3および図4は、固定解除状態にある本発明による測定ヘッドを示している。
この場合、レバー62は傾けられ、第一ロッド66は、位置決要素である割出要素31、可動位置決要素である割出要素41を、所定の距離d1だけ離隔させるように、また、第二ロッド67は、割出要素としてのピン42、割出要素としてのボール43を、所定の距離d2だけ離隔させるようにする。
【0038】
変型実施態様において、第一ロッド66および第二ロッド67は、ラックアンドピニオンユニットで駆動することができる。
【0039】
割り出し表面の離隔および閉鎖は、重力と慣性力の方向の影響を受けず、バネや弾性要素を用いる必要のない第一ロッド66と第二ロッド67の二重作用によって行われる。
このように本発明の機構は、測定ヘッドの向きを問わず信頼でき、高速である作動を保証することができる。
【0040】
固定解除位置において、二本の軸Aおよび軸Bの周囲の回転は、測定機械のソフトウェアによって制御された図示されていないサーボモータによって、あるいは同等の他のアクチュエータによって保証される。
【0041】
本書に記載の実施態様は、同時に二本の軸AおよびBを同時に固定し、固定を解除するために単一のアクチュエータを備えている。
しかしながら本発明は、それぞれの回転軸が、独立したアクチュエータによって固定され、そして固定を解除されるという変型例も含んでいる。
【0042】
一つの実施変形例において、本発明の測定ヘッドは、単一の回転軸、例えば、水平軸Aだけを備えている。
【0043】
次に、第一軸Bを中心に第一可動要素40を駆動する装置を、図10を参照して説明する。
水平回転軸である第二軸Aも随意に駆動装置を備えることができるが、簡潔にするためにここでは説明しない。
【0044】
支持要素30に連結し、第一軸Bと同軸の固定ブッシング80は、第一伝導装置としての固定された歯車86を担持し、該歯車86に第一伝導装置としてのピニオン92が噛み合い、回転動作体であるモータ90の駆動軸Cによって直接駆動される。
【0045】
固定解除位置において、ベアリング84は、モータ90が第一軸Bを中心に自由に回転することを可能にする。
モータ90の第一軸Bと駆動軸Cの間の距離(a)は一定であり、ピニオン92と歯車86の間の距離も、第一可動要素40の全ての位置について一定であり、このことは角度誤差を最小にすることを可能にする。
歯車86とピニオン92の間の距離(a)は、ベアリング84によって剛的に決定される。
【0046】
モータ90は、好適にはステッピングモータであり、必要ならば、機械式減速装置、または摩擦、実行終了センサ、あるいはプローブ触針の軌跡を正確に決定するために角度エンコーダを備えることもできる。
代案として、これらの要素は、独立した構成部品の形で配置されることもできる。
ベアリング84は、状況に応じて、摩擦防止ベアリングまたはその他の同等の案内装置に代えることができる。
【0047】
モータ90と第一可動要素40との間の回転の伝達は、剛的ではなく、固定位置での均衡静止条件の一切の変化を避けるために、遊びを残して伝導要素を介して行われる。
モータ90は、その周縁に第二伝導装置としてのガイドホール94を備えている。
そして、方向付け可動要素である第一可動要素40と連動する、第二伝導装置としてのフィンガ95が、ガイドホール94に係合している。
該ガイドホール94は、第一軸Bに平行である。
このようにして、第一可動要素40は、固定位置と固定解除位置の間で軸方向に自由に摺動できるままで、モータ90によって第一軸Bを中心に回転駆動される。
【0048】
固定位置への切り替えは、ガイドホール94の中のフィンガ95を摺動させるだけであり、第一軸Bと支持要素30に対するモータ90の相対的位置は変わらない。
モータ90と第一伝導装置としての歯車装置86、歯車装置92は、第一可動要素40の第一軸Bにそった摺動に従動しない。
ガイドホール94とフィンガ95の間の遊びは十分なので、固定位置における割り出し精度へのあらゆる影響が排除される。
【0049】
有利には、フィンガ95とガイドホール94で構成されるペアは、伝導される力を最小にするために第一軸Bの最大距離に置かれる。
フィンガ95と第二軸Bの間のかなり大きな距離も、フィンガ95とガイドホール94の間の至適遊びをもっと容易に選択することを可能にする。
【0050】
好ましくは、0.01ミリメートルと0.1ミリメートルの間に含まれる遊びで至適作動が達成される。
遊びは、0.005と1.0ミリメートルの間であれば、割り出し精度を変えることなしに、さまざまな割り出し位置における第一可動要素の正確な位置決めを可能にする。
随意に、フィンガ95は、固定位置での遊びを増すための形状をとることができる。
【0051】
当然、フィンガ95とガイドホール94は、第一可動要素40をモータ90によって回転駆動するのに適した別の伝導装置、例えば、溝およびタング、スライダまたはその他の同等な装置に代えることができる。
【0052】
図示されていない変型実施態様において、モータ90を回転軸である第一B内に配置し、モータ90のシャフトを、支持要素30と直接連動させることで、第一伝導装置である歯車装置86、歯車装置90をなくすこともできる。
この実施態様において、第一可動要素40の回転軸である第一軸Bとモータ90の軸の間の距離はゼロに減らされ、そしてシャフトが支持要素30に対して固定されて、有利には機械式減速装置を備えたモータは自転して、フィンガ95およびガイドホール94によって形成されたペアを介して第一可動要素40を駆動することもできる。
【0053】
他の変形実施態様において、一つまたは複数の駆動システムは、対照的に実現される。
すなわち、該システムは、第一可動要素40よりむしろ、支持要素30および/または第二可動要素50に存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定装置に対してプローブ触針(60)を方向付けるためのプローブ用の測定ヘッド(10)であって、
該測定ヘッド(10)が、
支持要素(30)と、
該支持要素(30)に接続され、支持要素(30)に対して第一軸(B)を中心に回転可能な第一可動要素(40)と、
第一軸(B)を中心に回転することができるように接続された、回転動作体(90)と、
第一軸(B)から一定の距離(a)で第一軸(B)を中心に回転動作体(90)を駆動するための、支持要素(30)と回転動作体(90)との間における第一伝導装置(86、92)と、
第一可動要素(40)を駆動するための、回転動作体(90)と第一可動要素(40)の間における第二伝導装置(94、95)とを備えた、測定ヘッド。
【請求項2】
前記第二伝導装置が、遊びを含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の測定ヘッド。
【請求項3】
前記遊びが、0.005ミリメートルと1.0ミリメートルとの間に含まれることを特徴とする、請求項2に記載の測定ヘッド。
【請求項4】
前記第一伝導装置が、一対の歯車(86、92)を備え、一方の歯車(86)が支持要素(30)と連動し、他方の歯車(92)が回転動作体(90)であるモータによって直接駆動されることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
【請求項5】
前記回転動作体(90)を支えるためのベアリング(84)を備えていることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
【請求項6】
前記第一可動要素(40)が、固定位置と固定解除位置の間で第一軸(B)の方向に摺動することができることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
【請求項7】
前記回転動作体(90)が、第一可動要素(40)が第一軸(B)の方向に摺動するとき、支持要素(30)に対する位置を変えないことを特徴とする、請求項6に記載の測定ヘッド。
【請求項8】
前記第二伝導装置が、第一可動要素(40)に連動し、第一軸(B)に平行な要素(95)を含むことを特徴とする、請求項7に記載の測定ヘッド。
【請求項9】
前記第一可動要素(40)と連結する可動位置決要素(41)と、
前記支持要素(30)と連結し、固定された支持要素(30)に対して第一可動要素(40)の所定の方向を決定するために可動位置決要素(41)と係合することができる固定された位置決要素(31)とを有することを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
【請求項10】
前記第一可動要素(40)に対して第二軸(A)を中心に回転できる第一可動要素(40)と接続された第二可動要素(50)と、
第二軸(A)を中心に回転できるように接続された第二回転動作体と、
第二軸(A)から一定距離で第二軸(A)を中心に第二回転動作体を駆動するための、第一可動要素(40)と第二回転動作体との間の第三伝導装置と、
前記第二可動要素(50)を駆動するための、第二回転動作体と第二可動要素との間の、第四伝導装置とを有することを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
【請求項11】
前記第一軸(B)と第二軸(A)が、直交することを特徴とする、請求項10に記載の測定ヘッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate