説明

ヘアコンディショニング組成物

【課題】すすぎと使用後の毛髪表面又は内部に残留する油剤の使用感を高め、使用後も毛先にべたつきのない持続性がある潤い感と外的ダメージによる広がる毛先のまとまり感の付与をさらに高め、継続連用使用においても毛先のまとまり感、毛先にべたつきのない持続性のある潤い感と毛先の滑りの良い指通り感を付与出来るヘアコンディショニング組成物を提供する。
【解決手段】(A)プロピレンオキシドの付加モル数が1〜10であるポリオキシプロピレンフィトステロールと、(B)ジカルボン酸エステルと、(C)カチオン性界面活性剤を含有するヘアコンディショニング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアコンディショニング組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダメージを受けた毛髪に対するケア対策としては、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアマスク、洗い流さないタイプのトリートメント等が用いられている。これらのヘアコンディショニング組成物には、主成分として毛髪柔軟性効果を有するカチオン性界面活性剤が配合されており、例えば直鎖アルキル基、アルケニル基や分岐したアルキル基を有するアミン化合物(例えば、特許文献1)や4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤(例えば、特許文献2)が毛髪に対して滑り性やしっとり感、柔軟性や帯電防止性を付与する目的で配合されている。さらにコンディショニング効果を高めるため高級アルコール、流動パラフィン、エステル油、ステロール類、脂質、シリコーン油、貝、魚、絹、植物、海藻等に由来するペプチドもしくはタンパク質又はそれらの誘導体も配合されている。これらの成分は、使用中の湯または水によるすすぎ後も毛髪の表面に物理的付着や電荷的吸着、または浸透することにより、前記のコンディショニング効果が得られることが知られている。
【0003】
従来からステロール類は優れた使用感を有することから使用部位を問わず、多くの化粧料や組成物に配合されている。近年ではステロール類のなかでも動物由来のコレステロールよりも植物由来のステロール類であるフィトステロールが使用される傾向が高い。これらのフィトステロールは生体内に含まれる脂質であるコレステロールと類似の分子構造を有する事から、皮膚や毛髪の湿潤保持や肌質、髪質の改善の為に用いられている。しかしステロール類の融点は100℃以上と高く油性成分との混和性や溶解性が悪い事から、80℃以下で油性成分への混和性や溶解性を高める為、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドが付加されたフィトステロール誘導体を配合した化粧料(例えば、特許文献3)が知られている。これらのフィトステロール誘導体は使用感だけでなく化粧料や組成物中に安定に配合できる事が知られている。また、エチレンオキシドを付加したフィトステロール誘導体を含む毛髪化粧料(例えば、特許文献4,5)は、ダメージ度が異なる毛先から根元まで均一な感触を与え、さらにはヘアカラー処理をした毛髪に対しての退色防止やツヤを与える事が知られている。また感触調整の目的でエステル化合物を適宜配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献6)だけでなく、種々のエステル化合物を特定比率で組み合わされた混合物や特定量を含有した毛髪化粧料(例えば、特許文献7)、さらに2種類のカルボン酸ジエステルを用いて配合される脂質成分の浸透性を高める毛髪処理剤(例えば、特許文献8)が知られており、これらは毛髪に優れたしっとりとした柔軟性とべとつきのない使用感を与えることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3980520号
【特許文献2】特許第3980521号
【特許文献3】特昭52−79031号公報
【特許文献4】特開2003−176214号公報
【特許文献5】特開2007−8867号公報
【特許文献6】特開2002−187819号公報
【特許文献7】特開2005−239625号公報
【特許文献8】特開2007−1951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のヘアコンディショニング組成物においては、使用時の感触はよいが仕上げ時の感触が低下するもの、毛髪に潤い感や柔軟性は付与するがべたつきが生じてしまうもの、根元に対する感触は良いが毛先に対する作用が十分でないもの等が多かった。
【0006】
従って本発明の課題は、従来の組成物や毛髪化粧料が有する利点を低下させずに、すすぎ時と仕上げ時の毛髪表面又は内部に残留する油剤の使用感を高め、仕上がり後も毛先にべとつきのない持続性がある潤い感・毛先のまとまり感を持たせ、さらに長期連用においても毛先の広がりの抑制や毛先まで毛束感のあるまとまりと毛先にべとつきのない持続性のある潤い感と滑りの良い指通り感を付与出来る、ヘアコンディショニング組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、従来使用されている成分について種々検討を行った。まず、直鎖アルキル基、アルケニル基または分岐したアルキル基を有するアミン化合物配合し、有機酸で中和してアンモニウム塩を形成するコンディショニング組成物では、しっとりとした潤い感や柔軟性のある滑らかな感触がある一方、毛髪への残留性から重みが生じてボリュームダウンしたり、夏季時には毛先にべたつきを感じたりしたりする点において十分満足のいく効果は得られてはいなかった。さらに、モノアルキルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤はべたつきのない仕上がりと柔軟性がある一方、潤い感、滑りの良い指通りと毛先のまとまりに欠けていた。その欠点を補うために、例えばヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤と高重合メチルポリシロキサンを組み合わせたとしてもダメージヘア特有の毛先の広がりを抑制し、持続性のある毛先の潤い感と滑りの良い指通りの効果に限界があり、また、すすぎ時の滑らかさや指通りにも欠け、継続使用においても毛先のまとまり感と持続性のある毛先の潤い感、さらには毛先まで滑り良い指通り感にも欠けていた。
【0008】
また、種々のエステルを単一または組合せて油剤として含有させた場合、潤い感と柔軟性を付与し、べとつきを抑え、浸透性を高める効果はあるが、乾燥した後の手触りで毛束感のあるまとまりと滑りの良い指通り感、さらに毛先に持続性のある潤い感において満足のいくものではなく、浸透させる脂質やその誘導体の種類により髪質改善に繋がる浸透感の実感に満足するものではなかった。
【0009】
さらに、エチレンオキシドが付加したフィトステロールでは、エチレンオキシドの親水性が強いため洗い流した後の毛髪表面への残留性が低くなり毛髪内部への浸透効果も下がってしまい、仕上げ時における滑りの良い指通り感や、仕上がり後の毛先の潤い感において、さらに長期連用での毛先に持続性のある潤い感という面で満足のいくものでななかった。
【0010】
そこで本発明者は、プロピレンオキシドが付加したポリオキシプロピレンフィトステロールに着目したが、プロピレンオキシドの付加モル数が多いものは疎水性が高くなり毛髪表面への残留性が高くなるが、仕上がり時やすすぎ時のべとつきや滑りの良い指通りに満足のいくものではなく、かつフィトステロール誘導体の分子量が大きくなる事で毛髪内部への浸透効果も下がってしまい、やはり長期連用での毛先に持続性のある潤い感という面で満足いかないものであった。
【0011】
そこで、さらに検討した結果、プロピレンオキシド付加モル数の少ないポリオキシプロピレンフィトステロールとジカルボン酸エステルとカチオン性界面活性剤とを組み合わせれば、持続性のある潤い感と毛先のまとまり感の付与、毛先まで滑りの良い指通り感を付与できるヘアコンディショニング組成物が得られる事を見出し、本発明を完成したものである。
【0012】
すなわち、本発明は、(A)プロピレンオキシドの付加モル数が1〜10であるポリオキシプロピレンフィトステロールと(B)ジカルボン酸エステルと(C)カチオン性界面活性剤とを含有する事を特徴とするヘアコンディショニング組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のヘアコンディショニング組成物は、ダメージヘア特有の広がる毛先のまとまり感と使用後も毛先にべたつきのない持続性のある潤い感と、さらには滑りの良い指通り感を付与でき、さらに継続連用においてもそれらの効果に優れている。
従って、本発明のコンディショニング組成物を用いれば日常の外的要因であるUVダメージ、パーマ、カラーリング、過度のブラッシングやヘアドライヤーの熱により損傷を受け、毛髪内部の脂質の流出やキューティクルの損傷から生じる枝毛によるハネや、パサつきや乾燥して広がる毛先のまとまり感と、使用後も毛先にべたつきのない持続性のある潤いを与え、さらに毛先の滑り良い指通り感を付与出来る。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0015】
本発明のヘアコンディショニング組成物に用いられる(A)成分のプロピレンオキシドの付加モル数が1〜10であるポリオキシプロピレンフィトステロールは、エチレンオキシド付加体と比べ疎水性であり毛髪への残留性が高く、しかも付加モル数が1〜10と低い事から分子量が小さく毛髪への浸透効果も高いため、毛髪への持続性のある感触を維持できる。これらは単独で用いても構わないし、プロピレンオキシドの付加モル数が上記の範囲で異なるものを2種以上組合せて用いても良い。毛髪内部への浸透性や残留性、仕上がり時の滑り良い指通りからプロピレンオキシドの付加モル数は3〜7がより好ましく、3〜5が特に好ましい。これらの原料は例えば日光ケミカルズより、NIKKOL PSR−5(ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール)として入手が可能である。
また、フィトステロールにはβシトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール等が含まれるが、本発明においてはこれらを単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0016】
本発明のヘアコンディショニング組成物における(A)成分の含有量は、毛髪内部への浸透感や仕上がり後の指通りから、0.01〜5質量%が好ましく、使用後の毛先にべとつきのない持続性のある潤い感と滑りの良い指通りから0.1〜3質量%がより好ましい。2種類以上の(A)成分の組み合わせにおいても、上記配合量の範囲である事が望ましい。これらの範囲であれば、毛髪内部への浸透性・毛髪表面のべとつきの面において好ましい効果が得られる。
【0017】
本発明のヘアコンディショニング組成物に用いられる(B)成分であるジカルボン酸エステルは、(A)成分の毛髪内部への浸透性を更に高める浸透促進成分として作用する。
当該ジカルボン酸エステルとしては、ジカルボン酸のエステルであれば特に制限されず、ダイマージリノール酸の混合物脂肪酸エステル、酸性アミノ酸ジエステル、二塩基酸のエステル等も包含される。ここで、ダイマージリノール酸の混合物脂肪酸エステルとしては、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)「Plandool−H」(日本精化社製)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)「Plandool−G」(日本精化社製)等が挙げられる。酸性アミノ酸のジエステルとしてはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)「エルデュウPS−203」(味の素社製)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2−オクチルドデシル)「エルデュウPS−306」(味の素社製)が挙げられる。また、二塩基酸のエステルとしては、脂肪酸ジグリセリンと二塩基酸とのジエステル及び二塩基酸のジエステルが挙げられ、脂肪酸ジグリセリンと二塩基酸とのジエステルとしては、アジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸ジエステル(商品名:SOFTISAN645[SASOL Germany社製])、セバシン酸ジグリセリル混合脂肪酸ジエステル等が挙げられ、二塩基酸のジエステルとしては、炭素数2〜18の二塩基酸の炭素数1〜12のアルキルエステル又は炭素数4〜12のアルコキシアルキルエステルが好ましい。ここで、炭素数2〜18の二塩基酸には、ヒドロキシ基が置換していてもよい直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の二塩基酸が含まれる。
【0018】
これらのうち、毛髪内部への浸透性と上記(A)成分の毛髪内部への浸透促進効果の面から、分子量が500以下の低分子量のジカルボン酸エステルが好ましい。このようなジカルボン酸エステルの具体例としては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジオクチルなどのコハク酸ジエステルや、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエトキシエチルなどのアジピン酸ジエステルや、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチルなどのセバシン酸ジエステル等が良好であり、なかでもセバシン酸ジエステルが浸透感、すすぎ時や仕上がり後の指通り感に優れた効果を付与できる。さらに、使用感から最も好ましいセバシン酸ジエステルとしてはセバシン酸ジエチルが挙げられる。
【0019】
本発明のヘアコンディショニング組成物に用いられる(B)成分の含有量は、上記(A)成分の含有量に対して、(A)/(B)(質量比)が1/5〜5/1の範囲となる様にすると毛髪内部への浸透性・ベとつき感・持続性のある潤い感の面から好ましく、(A)/(B)が1/3〜3/1の範囲である事がより好ましい。
【0020】
本発明のヘアコンディショニング組成物に用いられる(C)成分のカチオン性界面活性剤は、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム,塩化ステアリルトリメチルアンモニウム,塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム,セチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等のC12−C24アルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ベヘニルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム等のC12−C24アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等のC12−C24アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム,塩化ジセチルジメチルアンモニウム等のジ−C12−C24アルキルジメチルアンモニウム塩;及び塩化ステアリルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム,塩化ベヘニルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム等のC12−C24アルキル基を有するヒドロキシエーテル型のカチオン性界面活性剤を挙げることができる。
【0021】
これらカチオン性界面活性剤の中では、その中でも特に、潤い感、滑りの良い指通りと毛先のまとまりに優れた下記一般式(1)で示されるヒドロキシエーテル型のカチオン性界面活性剤が好ましい。
【0022】
【化1】

【0023】
〔式中、R1〜R4の少なくとも1つは、下記一般式(2)で示される基であり、残りは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又はベンジル基を示し、X-は一価のアニオンを示す〕
【0024】
【化2】

【0025】
〔R5は直鎖または分岐した炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基またはヒドロキシアルキル基を示し、nは1〜5の整数を示す。〕
【0026】
上記ヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤は、例えば特許3980521号に記載されている方法で製造することができるが、本発明においてヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤の製造方法は特に限定されない。またヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤は安定性とコンディショニング効果の点より、上記一般式(2)で示されるR5が炭素数16〜24のアルキル基であるのが好ましく、特にベヘニル基である事が好ましい。
【0027】
本発明のヘアコンディショニング組成物では、(C)成分はコンディショニング組成物全体の量に対して0.1〜10質量%含有させることが好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、1.0〜3.5質量%が特に好ましい。
【0028】
又、本発明のヘアコンディニング組成物には、塗布時の伸び感やすすぎ時のなめらかさ等から(D)高級アルコールを含有させることができる。高級アルコールは炭素数が12〜30の1価アルコールであり、具体的にはミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、硬化菜種油アルコール、イソステアリルアルコールなどが挙げられる。これらのうち、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。(D)高級アルコールの含有量は、ヘアコンディショニング組成物中、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.3〜15質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
【0029】
本発明のヘアコンディショニング組成物を構成する(A)プロピレンオキシドの付加モル数が1〜10であるポリオキシプロピレンフィトステロール、(B)ジカルボン酸エステル、(C)カチオン性界面活性剤、を予め(A)+(B)+(C)の3成分が同一組成物中に含有されていれば均一に分散しているため好ましいが、例えば(A)+(B)成分を含有する組成物(1剤)と、(A)+(C)成分を含有する組成物(2剤)とを使用直前に混合して用いたり、または(A)+(C)成分を含有する組成物(1剤)と、(B)成分を含有する組成物(2剤)とを使用直前に混合して用いたりすることで、混合の不均一感によるユニークな感触を得る事ができ、さらに本発明の目的とする効果も奏する。使用直前に混合する方法としては、使用者の掌や別容器で簡易混合した後に毛髪へ塗布する方法、または吐出時に2剤を簡易混合する様な容器に充填して使用する方法であっても良い。
【0030】
本発明のヘアコンディショニング組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有することができる。かかる成分としては、アニオン性界面活性剤,両性界面活性剤,ノニオン性界面活性剤、ポリマー、カチオン化ポリマー、植物抽出物、海藻抽出物、ビタミン類、アミノ酸、アミノ酸誘導体、アルコール類、上記以外の油分、パール化剤、保湿成分、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤等が挙げられる。
【0031】
本発明のヘアコンディショニング組成物の使用形態としては、毛髪に塗布し全体によくなじませた後にすすぎ流すものや、洗い流さないもの等いずれも含み得るが、塗布後すすぎ流して使用するタイプのヘアコンディショニングに特に好適である。
【実施例】
【0032】
以下に、本発明に関して、実施例をもって詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0033】
本発明のヘアコンディショニング組成物に含有される(A)プロピレンオキシドの付加モル数が1〜10であるフィトステロール誘導体と、(B)ジカルボン酸エステルを含有し、かつ(C)カチオン性界面活性剤の3成分を同一組成物中に含有する組成物を表1及び2に示す処方にて常法に従い製造し以下に示す評価を行った。
尚、(C)成分としてのヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤としては、前記一般式(1)において、Xは塩素(Cl)、またR1は一般式(2)で示す基が付加され、R2〜R4はメチル基、R5およびn数は表1及び2に示した化学式のものを使用した。
【0034】
<感触評価に関する官能試験評価>
使用後の髪の仕上がり感試験法(ハーフヘッド法)
パネル(20人)がポリオシキエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムの20%水溶液にて洗髪後、頭髪を左右半々に分け、一方にコントロールとして以下に示す洗い流しタイプのヘアコンディショニング組成物を塗布し、他方に実施例および比較例に示す洗い流しタイプのヘアコンディショニング組成物をそれぞれ塗布し、同時に濯いだ後、毛髪を乾燥させ、左右の毛髪の毛先のまとまり、毛先のべとつきのなさ、毛先の持続性のある潤い感、毛先の指通り具合を官能評価した。また、上記と同様の操作を1日1回行い、1週間連続使用を行った後の毛髪の仕上がり具合について、上記項目に従って官能評価を行った。
【0035】
コントロール(洗い流しタイプのヘアコンディショニング組成物)(質量%)
・セタノール 5.0
・ベヘントリモニウムクロリド 2.0
・濃グリセリン 2.0
・パラフィン 1.0
・フェノキシエタノール 0.2
・イオン交換水 残 余
【0036】
評価の基準は次の通りに設定した(コントロールよりも良いと答えた人数で設定)。
4:良いと答えた人が18人以上
3:良いと答えた人が15人以上、18人未満
2:良いと答えた人が11人以上、15人未満
1:良いと答えた人が10人以下
【0037】
実施例1〜15、比較例1〜4(へアコンディショニング組成物)
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
表1及び2から明らかな通り、本発明の構成を満たす実施例では全ての項目において良好な結果が得られた。一方本発明の構成のいずれかを欠くものや本発明の(A)成分をエチレンオキシドを付加したフィトステロール誘導体や付加したプロピレンオキシドの付加モル数が大きいものに置き換えた比較例では、いずれかの評価項目で劣り、また連用試験においても本願発明の目的を満足することができなかった。
【0041】
以下、常法により実施例を製造した。
【0042】
実施例16 へアトリートメント
(処方成分) (質量%)
ステアリルアルコール 6.5
セタノール 0.5
ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール・・・(A) 0.5
セバシン酸ジエチル・・・(B) 1.0
濃グリセリン 1.0
プロピレングリコール 2.0
ヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤・・・(C) 2.0
(R5=C2245、n=1)
ヒドロキシプロピルトリモニウムハニー 0.1
(商品名:ハニーコート50[Arch Personal Products L.P.社製])
加水分解コンキオリン液 0.1
(商品名:真珠たん白抽出液[丸善製薬株式会社製])
加水分解コラーゲン液 0.1
(商品名:プロモイスWU−32R[成和化成社製])
加水分解シルク液 0.1
(商品名:フィブロイン溶液[KBセーレン社製])
ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 0.5
(商品名:Plandool−L[日本精化社製])
ビスジグリセリルポリアシルアジペート−2 0.5
(商品名:ソフチザン649[SASOL社製])
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチドデシル) 0.1
(商品名:エルデュウPS−203[味の素社製])
高重合ジメチルポリシロキサンエマルジョン 2.0
(商品名:KM−902[信越化学工業社製])
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.2
香料 適 量
イオン交換水 残 余
【0043】
上記ヘアトリートメントは、乾燥後の毛先のまとまり感、毛先に持続性のある潤い感と滑りの良い指通り感の付与に優れるだけでなく、すすぎ時のリッチ感とべとつきのない指通りの良さも良好であった。
【0044】
実施例17 へアトリートメント
(処方成分) (質量%)
ステアリルアルコール 6.5
セタノール 0.5
ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール ・・・(A) 0.5
セバシン酸ジエチル ・・・(B) 1.0
濃グリセリン 1.0
プロピレングリコール 2.0
ベヘナミドプロピルジメチルアミン 0.5
ベヘントリモニウムクロリド ・・・(C) 1.0
ヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤・・・(C) 1.0
(R5=C2245、n=1)
パラフィン 1.0
ヒドロキシプロピルトリモニウムハニー 0.1
(商品名:ハニーコート50[Arch Personal Products L.P.社製])
加水分解コンキオリン液 0.1
(商品名:真珠たん白抽出液[丸善製薬株式会社製])
加水分解コラーゲン液 0.1
(商品名:プロモイスWU−32R[成和化成社製])
加水分解シルク液 0.1
(商品名:フィブロイン溶液[KBセーレン社製])
オリーブ油 0.1
加水分解コムギたん白液 0.1
(商品名:GLUADIN WLM[コグニス ジャパン社製])
加水分解コムギ末 0.1
(商品名:プロモイスWG[成和化成社製])
乳酸 0.2
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.2
香料 適 量
イオン交換水 残 余
【0045】
上記ヘアトリートメントは、乾燥後の毛先のまとまり感、毛先にべとつきのない潤い感と滑りの良い指通り感の付与に優れるだけでなく、すすぎ時のリッチ感とべとつきのない指通りの良さも良好であった。
【0046】
実施例18 へアコンディショナー
(処方成分) (質量%)
ステアリルアルコール 0.5
セタノール 5.0
ベヘントリモニウムクロライド・・・(C) 0.7
濃グリセリン 2.0
パラフィン 1.0
ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール・・・(A) 0.5
セバシン酸ジエチル・・・(B) 1.0
ヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤・・・(C) 1.0
(R5=C2245、n=1)
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.2
香料 適 量
イオン交換水 残 余
【0047】
上記ヘアコンディショナーは、乾燥後の毛先のまとまり感、毛先にべとつきのない持続性のある潤い感と滑りの良い指通り感の付与に優れるだけでなく、すすぎ時の柔らかな指通りの良さも良好であった。
【0048】
実施例19 アウトバストリートメントミスト
(成分名) (質量%)
エタノール 15.0
グリセリン 2.0
ジプロピレングリコール 2.0
1,3−ブチレングリコール 0.5
ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール・・・(A) 0.5
セバシン酸ジエチル・・・(B) 1.0
ヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤・・・(C) 1.0
(R5=C2245、n=1)
ベヘントリモニウムクロリド・・・(C) 0.5
ジメチコン 0.2
アミノプロピルジメチコン 0.05
ベヘニルアルコール 0.05
フェノキシエタノール 0.2
香料 0.05
イオン交換水 残 余
【0049】
上記アウトバストリートメントミストは、使用後の毛先のまとまり感、毛先にべたつきのない持続性のある潤い感と毛先の滑りの良い指通り感の付与に優れるだけでなく、毛先の柔軟性の持続も良好であった。
【0050】
実施例20 アウトバストリートメントミルク
(成分名) (質量%)
グリセリン 1.0
プロピレングリコール 5.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール・・・(A) 0.5
セバシン酸ジエチル・・・(B) 1.0
ヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤・・・(C) 0.2
(R5=C2245、n=1)
ジメチコン 0.4
ポリシリコーン−13 0.1
ステアリン酸スクロース 2.0
カルボマー 0.4
トリエタノールアミン 0.35
エデト酸ナトリウム 0.01
フェノキシエタノール 0.3
エタノール 8.0
香料 0.1
イオン交換水 残 余
【0051】
上記アウトバストリートメントミルクは、使用後の毛先のまとまり感、毛先にべたつきのない持続性のある潤い感と毛先の滑りの良い指通り感の付与に優れるだけでなく、毛先の柔軟性の持続も良好であった。
【0052】
実施例21 アウトバストリートメントクリーム
(成分名) (質量%)
セトステアリルアルコール 1.5
ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール・・・(A) 0.5
セバシン酸ジエチル・・・(B) 1.0
ベヘントリモニウムクロリド・・・(C) 0.1
ヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤・・・(C) 0.1
(R5=C2245、n=1)
プロピレングリコール 1.0
ジプロピレングリコール 1.5
ジメチコン 1.5
フェニルトリメチコン 0.5
ラウリル硫酸ナトリウム 2.0
マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 1.3
PEG−10水添ヒマシ油 0.7
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.3
安息香酸ナトリウム 0.2
フェノキシエタノール 0.5
香料 0.3
イオン交換水 残 余
【0053】
上記アウトバストリートメントクリームは、使用後の毛先のまとまり感、毛先にべたつきのない持続性のある潤い感と毛先の滑りの良い指通り感の付与に優れるだけでなく、毛先の柔軟性の持続も良好であった。
【0054】
本発明の実施例の組成物に用いた香料を表3に示す。
【0055】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明により、ダメージによる広がる毛先のまとまり、毛先にべとつきのない持続性のある潤い感と毛先まで滑りの良い指通りに優れた使用感を付与することが出来る為、従来になく使用感や仕上がり感が期待できる洗い流しタイプのヘアコンディショニング組成物を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(C)を含有するヘアコンディショニング組成物。
(A)プロピレンオキシドの付加モル数が1〜10であるポリオキシプロピレンフィトステロール誘導体
(B)ジカルボン酸エステル
(C)カチオン性界面活性剤
【請求項2】
(C)カチオン性界面活性剤が下記一般式(1)で示されるヒドロキシエーテル型カチオン性界面活性剤である請求項1に記載のへアコンディショニング組成物。
【化1】

〔式中、R1〜R4の少なくとも1つは、下記一般式(2)で示される基であり、残りは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又はベンジル基を示し、X-は一価のアニオンを示す〕
【化2】

〔R5は直鎖または分岐した炭素数16〜24のアルキル基、アルケニル基またはヒドロキシアルキル基を示し、nは1〜5の整数を示す。〕
【請求項3】
(B)ジカルボン酸エステルがセバシン酸ジエステルである請求項1または2に記載のへアコンディショニング組成物。
【請求項4】
(B)ジカルボン酸エステルがセバシン酸ジエチルである請求項1〜3いずれかに記載のへアコンディショニング組成物。

【公開番号】特開2010−265197(P2010−265197A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116710(P2009−116710)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】