説明

ヘッドマウントディスプレイ装置

【課題】ヘッドマウントディスプレイ装置1のディスプレイ部の取付位置を使用者にとって見やすい位置に容易に変更できるようにする。
【解決手段】ヘルメットHのバイザVの周縁を挟むクリップ部20をディスプレイ部10と一体に形成し、バイザVの周縁を挟むクリップ部20の位置を変えることによってヘッドマウントディスプレイ装置1の装着位置を変えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はヘッドマウントディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘルメット内側にディスプレイ部(表示装置)を配置し、このディスプレイ部に車速等の情報を表示させるヘッドマウントディスプレイ装置が知られている。このヘッドマウントディスプレイ装置が装着されたヘルメットを被って二輪車を運転することにより、運転者が視線移動、例えばメータパネルを見るために下方を向く動作をすることなく、車速等の情報を知ることができる。
【特許文献1】特開2000−284214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、運転者の乗車姿勢によって視線が異なるため、見やすいと感じるディスプレイ部の位置も運転者によって異なる。
【0004】
しかし、上記ヘッドマウントディスプレイ装置はヘルメットの内側の所定位置に固定されているため、運転者によってはディスプレイ部に表示される車速等の情報が見にくくなることがある。ディスプレイ部を見やすい位置に調整するためには、ヘルメットを脱ぎ、ディスプレイ部の取付位置を変えなければならず、手間がかかるという問題がある。
【0005】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題はヘッドマウントディスプレイ装置のディスプレイ部の取付位置を使用者にとって見やすい位置に容易に変更できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、情報を表示するディスプレイ部と、使用者の頭部に装着される装着体の、前記使用者が前記情報を視認できる位置に前記ディスプレイ部を装着する着脱手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のヘッドマウントディスプレイ装置において、前記ディスプレイ部は、表示素子と、この表示素子から出射された表示光を前記使用者の眼に導く光学系と、前記表示素子に表示される画像の向きを変える表示変更手段を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のヘッドマウントディスプレイ装置において、前記ディスプレイ部は、発信手段から発信された車両情報を受信する受信手段と、この受信手段で受信した車両情報を前記表示素子に表示させる表示制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のヘッドマウントディスプレイ装置において、前記装着体がヘルメットのバイザである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ヘッドマウントディスプレイ装置のディスプレイ部の取付位置を使用者にとって見やすい位置に容易に変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1はこの発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ装置の装着状態及び装着方法を説明するための斜視図である。
【0013】
このヘッドマウントディスプレイ装置が装着されるヘルメットHはいわゆるフルフェース型のヘルメットであり、例えば二輪車の運転者(使用者)M(図2参照)がヘルメットHを被った状態で一定の視界を確保できる大きさの窓W(図2参照)が設けられている。ヘルメットHには窓Wを開閉するバイザ(装着体)Vが装着されている。バイザVは例えば透明樹脂からなる。
【0014】
ヘッドマウントディスプレイ装置1はディスプレイ部10とクリップ部(着脱手段)20とを備えている。
【0015】
クリップ部20はバイザVの周縁を挟むことができるように断面U字状となっており、ディスプレイ部10に結合されている。クリップ部20の取付位置を変えることによってディスプレイ部10の取付位置が変わる。クリップ部20を図1の矢印で示すようにバイザVの上部VUだけでなく、バイザVの下部VD、側部VSに取付可能であるとともに、眼鏡(装着体)GLのフレームFにも取付可能である。
【0016】
図2(a)はこの発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ装置の使用状態の断面を示す概念図、図2(b)は表示制御ユニットのブロック図である。
【0017】
ディスプレイ部10は表示制御ユニット15と筐体11とを有する。ディスプレイ部10の本体となる筐体11の内部には透過型のLCD(表示素子)12、レンズ13及びプリズム14が収容されている。
【0018】
プリズム14の一端部のテーパ面には例えばハーフミラー14aが設けられている。プリズム14とハーフミラー14aとは運転者Mの前方から入射する外界光を十分に透過させることができるとともに、LCD12の表示画像の虚像を運転者Mの眼Eから所定位置だけ離れた位置にあるように見せることができる。レンズ13、プリズム14等で光学系が構成される。なお、表示素子としては、CRTや有機EL素子を使用してもよい。
【0019】
表示制御ユニット15は受信部(受信手段)16と角度判定部17と制御部30とを有する。
【0020】
受信部16は外部に設けられた発信部(発信手段)19から発信された車両情報を受信する。受信される車両情報は例えば二輪車等に設けられた発信部19から出力された二輪車の速度、エンジン回転数、温度等の情報である。また、受信される車両情報には上記情報だけでなくナビゲーションシステムから得られる道路の形状、種別(一般道か高速道路か)、現在位置等の情報がある。
【0021】
角度判定部17は水平面に対するディスプレイ部10の取付角度を検出し、取付角度情報として出力する。
【0022】
制御部30は例えばワンチップマイコン等で構成され、CPU(制御手段)31、ROM(図示せず)及びRAM(図示せず)から構成される。CPU31はROMに記憶されたプログラムを読み出し、ワークエリアとしてのRAMに展開してヘッドマウントディスプレイ装置1の全体動作の制御を実行する。
【0023】
CPU31には角度判定部17から取付角度情報が入力するとともに、二輪車等やナビゲーションシステムから各種車両情報が入力する。CPU31は取付角度情報及び二輪車やナビゲーションシステムからの車両情報に基づいて画像を生成し、LCD12に表示させる。
【0024】
なお、LCD12から出射された表示光はレンズ13、プリズム14のハーフミラー14a、バイザVを介して運転者Mの眼Eに入射する。一方、運転者Mの前方からの光はプリズム14のハーフミラー14a、バイザVを透過し、表示光に重なって運転者Mの眼Eに入射する。
【0025】
また、CPU31は取付角度情報に基づいてLCD12に表示させる画像(文字)の向きを変える(図3参照)。すなわち、CPU31は表示制御手段及び表示変更手段として機能する。
【0026】
図3はヘルメットHを装着した運転者が窓を介して見る景色にLCDに表示された画像を重ねた画像を示す図である。
【0027】
図3では運転者Mが窓Wを介して見ている景色の右側及び上側の点線で囲まれた領域(視界を妨げない領域)に二輪車の速度(40km)が表示されている。このとき、ヘッドマウントディスプレイ装置1はバイザVの上部VUに装着されている(図1参照)。
【0028】
運転者Mがヘッドマウントディスプレイ装置1の装着位置を例えばバイザVの上部VUから下部VDに変えた(ヘッドマウントディスプレイ装置1を180°回転させた)とき、CPU31は回転角度に基づいてLCD12に表示させる速度表示の文字の向きを180°変える。
【0029】
この実施形態によれば、ディスプレイ部10の取付位置を運転者Mにとって見やすい位置に容易に変更できる。また、LCD12に表示させる速度表示の向きをディスプレイ部10の取付位置に応じて変えることができるので、運転者Mはヘッドマウントディスプレイ装置1の装着位置にかかわらずいつも同じ向きの速度表示を見ることができる。更に、ヘッドマウントディスプレイ装置1によって二輪車から離れた位置でも二輪車の位置情報を知ることができるので、二輪車の盗難に容易に対処することができる。また、ヘッドマウントディスプレイ装置1をバイザVだけでなく眼鏡GLに装着することができるので、ヘッドマウントディスプレイ装置1の使用範囲を広げることができる。
【0030】
なお、この実施形態では表示制御ユニット15は筐体11と一体に構成されているが、表示制御ユニット15をヘルメット等に取り付け、生成した画像情報を無線又は有線でLCD12側に送るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1はこの発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ装置の装着状態及び装着方法を説明するための斜視図である。
【図2】図2(a)はこの発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ装置の使用状態の断面を示す概念図、図2(b)は表示制御ユニットのブロック図である。
【図3】図3はヘルメットHを装着した運転者が窓を介して見る景色にLCDに表示された画像を重ねた画像を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1:ヘッドマウントディスプレイ装置、10:ディスプレイ部、12:LCD(表示素子)、13:レンズ、14:プリズム、14a:ハーフミラー、16:受信部(受信手段)、19:発信部(発信手段)、20:クリップ部(着脱手段)、31:CPU(制御手段)、E:眼、GL:眼鏡(装着体)、M:運転者(使用者)、V:バイザ(装着体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示するディスプレイ部と、
使用者の頭部に装着される装着体の、前記使用者が前記情報を視認できる位置に前記ディスプレイ部を装着する着脱手段と
を備えていることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項2】
前記ディスプレイ部は、表示素子と、この表示素子から出射された表示光を前記使用者の眼に導く光学系と、前記表示素子に表示される画像の向きを変える表示変更手段を有することを特徴とする請求項1記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ディスプレイ部は、発信手段から発信された車両情報を受信する受信手段と、この受信手段で受信した車両情報を前記表示素子に表示させる表示制御手段とを有することを特徴とする請求項1又は2記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項4】
前記装着体がヘルメットのバイザである請求項1〜3のいずれか1項記載のヘッドマウントディスプレイ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−92809(P2009−92809A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261727(P2007−261727)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】