説明

ヘッドマウントディスプレイ

【課題】 使い勝手が良く、かつ節電効果の高いヘッドマウントディスプレイを提供すること。
【解決手段】 使用者の少なくとも一方の眼前に画像を投影する第1の画像表示部と、第1の画像表示部を使用者の頭部に装着するための装着部と、第1の画像表示部と異なる位置に配置され、画像を表示する第2の画像表示部と、使用状況を検出する検出部と、検出部により検出した使用状況に応じて、第2の画像表示部を制御する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の少なくとも一方の眼前に画像を投影する表示部を備えたヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、ヘッドマウントディスプレイなど、表示素子を利用した様々な機器に関する技術が考えられている。特許文献1の発明では、画像の調整を適宜行うことにより、複数のディスプレイを有する装置における使用者の使い勝手向上を実現している。
【特許文献1】特表2004−535699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の発明では、複数のディスプレイを有することにより、消費電力が増大するという問題がある。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、使い勝手が良く、かつ節電効果の高いヘッドマウントディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のヘッドマウントディスプレイは、使用者の少なくとも一方の眼前に画像を投影する第1の画像表示部と、前記第1の画像表示部を前記使用者の頭部に装着するための装着部と、前記第1の画像表示部と異なる位置に配置され、画像を表示する第2の画像表示部と、使用状況を検出する検出部と、前記使用状況に応じて、前記第2の画像表示部を制御する制御部とを備える。
【0006】
なお、好ましくは、前記検出部は、前記装着部により前記第1の画像表示部が前記使用者の頭部に装着されているか否かを検出し、前記制御部は、前記第1の画像表示部が前記使用者の頭部に装着されているか否かに応じて、前記第2の画像表示部を制御しても良い。
【0007】
また、好ましくは、前記第1の画像表示部を、少なくとも待避位置と可視位置とに変位可能な駆動部を備え、前記検出部は、前記第1の画像表示部の位置を検出し、前記制御部は、前記第1の画像表示部の位置に応じて、前記第2の画像表示部を制御しても良い。
【0008】
また、好ましくは、電源電池を備え、前記第1の画像表示部および前記第2の画像表示部に前記電源電池から電力を供給する供給部を備え、前記検出部は、前記供給部における前記電源電池の残量を検出し、前記制御部は、前記電源電池の残量に応じて、前記第2の画像表示部を制御しても良い。
【0009】
また、好ましくは、前記検出部は、前記ヘッドマウントディスプレイの動き量を検出し、前記制御部は、前記動き量に応じて、前記第2の画像表示部を制御しても良い。
【0010】
また、好ましくは、前記第1の画像表示部に画像を投影する画像再生モードを含む複数の動作モードの何れかを選択する選択部を備え、前記検出部は、前記選択部により選択された前記動作モードを検出し、前記制御部は、前記選択部により選択された前記動作モードに応じて、前記第2の画像表示部を制御しても良い。
【0011】
また、好ましくは、前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記第2の画像表示部への電源供給を制御しても良い。
【0012】
また、好ましくは、前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記第2の画像表示部の表示内容を制御しても良い。
【0013】
また、好ましくは、前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記第1の画像表示部に表示すべき画像を、前記第2の画像表示部に表示しても良い。
【0014】
また、好ましくは、前記第2の画像表示部は、その表面への接触を感知するタッチパネルを有し、前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記タッチパネルを制御しても良い。
【0015】
また、好ましくは、前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記タッチパネルへの電源供給を制御しても良い。
【0016】
また、好ましくは、前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記タッチパネルにおける感知エリアと感知感度との少なくとも一方を制御しても良い。
【0017】
また、好ましくは、前記第2の画像表示部は、前記第1の画像表示部および前記装着部と分離しており、かつ、前記第1の画像表示部および前記装着部と有線または無線により接続されても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、使い勝手が良く、かつ節電効果の高いヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるヘッドマウントディスプレイの概要を示す図である。
【0020】
ヘッドマウントディスプレイ1においては、ヘッドホーン2、3が、連結部4により連結されており、連結部4は弾性を有している。装着時には、ヘッドホーン2、3により両耳を挟んで連結部4の弾性により押さえつける形で使用者の頭部(不図示)に装着する。ヘッドホーン3には、支持アーム5が装着時の左右方向を回動軸として回動可能なように取り付けられており、その先端部には、使用者の左眼(不図示)に画像を投影するメイン表示部6が取り付けられている。
【0021】
支持アーム5は、ヘッドホーン3に対して、装着時の左右方向を回動軸として回動可能となっている。そのため、使用者がヘッドマウントディスプレイ1を装着した状態において、メイン表示部6の位置を、左眼の眼前(左眼の目線上)にある状態(以下、「可視位置にある状態」と称する)と、眼前から待避させた状態(以下、「待避位置にある状態」と称する)とに切り替えることができる。また、メイン表示部6は、不図示の表示素子や拡大光学系を備え、使用者の眼前に画像を投影する。
【0022】
また、ヘッドホーン2の外面には、サブ表示部7が設けられている。サブ表示部7は、その表面にタッチパネル部8を有する。サブ表示部7は、不図示の表示素子を備え、画像などを表示する。なお、サブ表示部7の表示領域におけるタッチパネル部8の領域の広さは、可変であるものとする(詳細は後述する)。タッチパネル部8は、ヘッドマウントディスプレイ1の操作部として機能する。ヘッドマウントディスプレイ1は、さらに、各部に電源を供給するための電源電池(不図示)を備える。
【0023】
使用者がヘッドマウントディスプレイ1を装着した状態において、使用者は、メイン表示部6を観察することができる一方、サブ表示部7を観察することはできない。逆に、使用者がヘッドマウントディスプレイ1を装着していない状態において、使用者は、メイン表示部6を観察することができない一方、サブ表示部7を観察することができる。すなわち、メイン表示部6は、使用者がヘッドマウントディスプレイ1を装着した状態において観察対象となり、サブ表示部7は、使用者がヘッドマウントディスプレイ1を装着していない状態において観察対象となる。
【0024】
図2は、ヘッドマウントディスプレイ1の機能ブロック図である。
【0025】
ヘッドマウントディスプレイ1は、装着センサ11、アーム位置センサ12、電池残量センサ13、動き量センサ14の各センサを備えるとともに、制御回路15を備える。各センサおよび制御回路15は、例えば、ヘッドホーン3の内部に備えられる。
【0026】
装着センサ11は、使用者がヘッドマウントディスプレイ1を装着した状態において、使用者の頭部に接触する位置に設けられる。装着センサ11は、例えば、温度センサであり、温度に基づいて、ヘッドホーン3が使用者の頭部に接触しているか否かを検出する。そして、ヘッドホーン3が使用者の頭部に接触しているか否かに基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が使用者の頭部に装着されているか否かを検出する。
【0027】
アーム位置センサ12は、ヘッドホーン3と支持アーム5との連結部近傍に設けられる。アーム位置センサ12は、支持アーム5の回動角度を検出することにより、支持アーム5の位置を検出する。支持アーム5の位置を検出することにより、メイン表示部6が可視位置にあるのか待避位置にあるのかを検出することができる。
【0028】
電池残量センサ13は、上述した電源電池の残量を検出する。
【0029】
動き量センサ14は、例えば、X方向およびY方向に関するジャイロセンサであり、ヘッドマウントディスプレイ1の動き量を検出する。そして、検出した動き量に基づいて、通常使用時であるか否かを推測することができる。
【0030】
上述した各センサは、公知技術と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。また、制御回路15は各部と接続され、各部を制御するとともに、上述した各センサが検出した情報を取得する。
【0031】
また、制御回路15は、図2に示すように、画像処理部16、メイン表示部6用の表示処理部17、サブ表示部7用の表示処理部18、音声処理部19、CPU20の各部を備える。画像処理部16は、外部から画像情報を取得して、所定の画像処理を行う。メイン表示部6用の表示処理部17は、画像処理部16による画像処理後の画像情報を取得して、所定の表示処理を行い、メイン表示部6に出力する。サブ表示部7用の表示処理部18は、画像処理部16による画像処理後の画像情報を取得して、所定の表示処理を行い、サブ表示部7に出力する。音声処理部19は、外部から音声情報を取得して、所定の音声処理を行い、ヘッドホーン2およびヘッドホーン3に出力する。CPU20は、画像処理部16、表示処理部17、表示処理部18、音声処理部19の各部を制御するとともに、上述した各センサが検出した情報を取得する。また、CPU20は、上述したサブ表示部7のタッチパネル部8への接触の状態を検知する。
【0032】
また、画像情報および音声情報の発信源は、ヘッドマウントディスプレイ1の本体にメモリや記録媒体の形で設けられても良いし、有線または無線でヘッドマウントディスプレイ1と接続可能な外部に設けられても良い。
【0033】
また、ヘッドマウントディスプレイ1は、複数の動作モードを備える。そして、動作モードの選択は、上述したタッチパネル部8を介した使用者による操作に基づいて行われる。動作モードには、各種設定を行う「設定モード」、画像および音声の再生を行う「画像モード」、音声の再生のみを行う「音声モード」等が含まれる。なお、ヘッドマウントディスプレイ1に通信部を備え、インターネット通信などを行う「インターネットモード」などをさらに備えても良い。
【0034】
以上説明したように、ヘッドマウントディスプレイ1は、2つの表示部(メイン表示部6およびサブ表示部7)を備える。そのため、表示部が1つの場合に比べて、消費電力が増大するという問題がある。そこで、CPU20は、ヘッドマウントディスプレイ1の使用状況を適宜検出し、使用状況に応じて2つの表示部(メイン表示部6およびサブ表示部7)を制御する。使用状況の例として、以下の(A)〜(E)を例にあげて説明する。
【0035】
(A)ヘッドマウントディスプレイ1の装着状態
図3は、ヘッドマウントディスプレイ1使用時におけるCPU20の動作の一例を示すフローチャートである。
【0036】
ステップS1において、CPU20は、ヘッドマウントディスプレイ1の装着状態を検出する。CPU20は、上述した装着センサ11による検出結果に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が使用者の頭部に装着されているか否かを検出する。
【0037】
ステップS2において、CPU20は、ステップS1の検出結果に基づいて、サブ表示部7を制御する。制御の詳細は後述する。
【0038】
ステップS3において、CPU20は、所定時間を経過したか否かを判定し、所定時間を経過したと判定するとステップS1に戻る。
【0039】
すなわち、CPU20は、所定の時間間隔でヘッドマウントディスプレイ1の装着状態を監視し、装着状態に応じてサブ表示部7を制御する。
【0040】
(B)メイン表示部6の位置
図4は、ヘッドマウントディスプレイ1使用時におけるCPU20の動作の別の例を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS11において、CPU20は、メイン表示部6の位置を検出する。CPU20は、上述したアーム位置センサ12による検出結果に基づいて、メイン表示部6が可視位置にあるのか待避位置にあるのかを検出する。
【0042】
ステップS12において、CPU20は、ステップS11の検出結果に基づいて、サブ表示部7を制御する。制御の詳細は後述する。
【0043】
ステップS13において、CPU20は、所定時間を経過したか否かを判定し、所定時間を経過したと判定するとステップS11に戻る。
【0044】
すなわち、CPU20は、所定の時間間隔でメイン表示部6の位置を監視し、メイン表示部6の位置に応じてサブ表示部7を制御する。
【0045】
(C)電源電池の電池残量
図5は、ヘッドマウントディスプレイ1使用時におけるCPU20の動作の別の例を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS21において、CPU20は、上述した電池残量センサ13により、電源電池の電池残量を検出する。
【0047】
ステップS22において、CPU20は、ステップS21の検出結果に基づいて、サブ表示部7を制御する。制御の詳細は後述する。
【0048】
ステップS23において、CPU20は、所定時間を経過したか否かを判定し、所定時間を経過したと判定するとステップS21に戻る。
【0049】
すなわち、CPU20は、所定の時間間隔で電源電池の電池残量を監視し、電源電池の電池残量に応じてサブ表示部7を制御する。
【0050】
(D)ヘッドマウントディスプレイ1の動き量
図6は、ヘッドマウントディスプレイ1使用時におけるCPU20の動作の別の例を示すフローチャートである。
【0051】
ステップS31において、CPU20は、上述した動き量センサ14により、ヘッドマウントディスプレイ1の動き量を検出する。
【0052】
ステップS32において、CPU20は、ステップS31の検出結果に基づいて、サブ表示部7を制御する。制御の詳細は後述する。
【0053】
ステップS33において、CPU20は、所定時間を経過したか否かを判定し、所定時間を経過したと判定するとステップS31に戻る。
【0054】
すなわち、CPU20は、所定の時間間隔でヘッドマウントディスプレイ1の動き量を監視し、ヘッドマウントディスプレイ1の動き量に応じてサブ表示部7を制御する。
【0055】
(E)ヘッドマウントディスプレイ1の動作モード
図7は、ヘッドマウントディスプレイ1使用時におけるCPU20の動作の別の例を示すフローチャートである。
【0056】
ステップS41において、CPU20は、ヘッドマウントディスプレイ1において設定された動作モードを検出する。
【0057】
ステップS42において、CPU20は、ステップS41の検出結果に基づいて、サブ表示部7を制御する。制御の詳細は後述する。
【0058】
ステップS43において、CPU20は、所定時間を経過したか否かを判定し、所定時間を経過したと判定するとステップS41に戻る。
【0059】
すなわち、CPU20は、所定の時間間隔でヘッドマウントディスプレイ1の動作モードを監視し、ヘッドマウントディスプレイ1の動作モードに応じてサブ表示部7を制御する。
【0060】
次に、サブ表示部7の制御について、以下の(a)〜(f)を例にあげて説明する。
【0061】
(a)電源供給の制御
CPU20は、使用状況に応じて、サブ表示部7への電源供給を制御することにより、不要な電源供給を抑え、省電力化を図る。
【0062】
上述した使用状況(A)において、ヘッドマウントディスプレイ1が装着状態である場合、使用者は、サブ表示部7を観察することはできない。そこで、CPU20は、サブ表示部7への電源供給を抑制、または、中止する。
【0063】
上述した使用状況(B)において、メイン表示部6が可視位置にある場合、使用者はメイン表示部6を観察していると推測することができる。そこで、CPU20は、サブ表示部7への電源供給を抑制、または、中止する。
【0064】
上述した使用状況(C)において、電源電池の電池残量が所定の閾値を下回った場合、CPU20は、省電力化を図るため、サブ表示部7への電源供給を抑制、または、中止する。なお、サブ表示部7の明るさを段階的に変更可能である場合には、電池残量に応じて徐々に明るさを落とす構成としても良い。また、サブ表示部7が表示素子とバックライトとで構成されている場合には、まずバックライトへの電源供給を抑制、または、中止し、その後に表示素子への電源供給を抑制、または、中止すると良い。
【0065】
上述した使用状況(D)において、動き量が所定の閾値を上回った場合、CPU20は、タッチパネル部8による誤作動防止のため、サブ表示部7への電源供給を抑制、または、中止する。
【0066】
上述した使用状況(E)において、動作モードが「画像モード」や「音声モード」である場合、タッチパネル部8を介した操作は頻繁に行われないと推測することができる。そこで、CPU20は、サブ表示部7への電源供給を抑制、または、中止する。
【0067】
(b)表示内容の制御
CPU20は、使用状況に応じて、サブ表示部7の表示内容を制御することにより、使い勝手の向上を図る。
【0068】
上述した使用状況(A)において、ヘッドマウントディスプレイ1が装着状態である場合、サブ表示部7は観察対象となっていないと推測することができる。そこで、CPU20は、サブ表示部7に予め指定された特定の画像を表示する。特定の画像とは、例えば、ヘッドホーン2の筐体表面と調和した画像や、デザイン性を考慮し、サブ表示部7をヘッドマウントディスプレイ1のデザインの一部として機能させるための画像などである。
【0069】
一方、ヘッドマウントディスプレイ1が非装着状態である場合、サブ表示部7が観察対象となっているか、または、充電中であると推測することができる。そこで、CPU20は、図8に示すように、サブ表示部7に充電状態を示すマークなどを表示する。
【0070】
上述した使用状況(B)において、メイン表示部6が待避位置にある場合、サブ表示部7が観察対象となっているか、または、充電中であると推測することができる。そこで、CPU20は、図8に示すように、サブ表示部7に充電状態を示すマークなどを表示する。
【0071】
上述した使用状況(C)において、電源電池の電池残量が所定の閾値を下回った場合、CPU20は、省電力化を図るため、サブ表示部7への表示自体を抑制、または、中止する。
【0072】
上述した使用状況(D)において、動き量が所定の閾値を上回った場合、CPU20は、タッチパネル部8による誤作動防止のため、サブ表示部7へのタッチパネル部8に対応した表示(ボタンなどの表示)を中止する。
【0073】
上述した使用状況(E)において、動作モードが「画像モード」や「音声モード」である場合、タッチパネル部8を介した操作は頻繁に行われないと推測することができる。そこで、CPU20は、サブ表示部7へのタッチパネル部8に対応した表示(ボタンなどの表示)を中止する。
【0074】
(c)表示の切り替え
CPU20は、使用状況に応じて、メイン表示部6およびサブ表示部7の表示を切り替えることにより、使い勝手の向上を図る。
【0075】
上述した使用状況(A)において、ヘッドマウントディスプレイ1が非装着状態である場合、サブ表示部7が観察対象となっていると推測することができる。そこで、CPU20は、画像処理部16の出力対象を変更し、メイン表示部6に表示するべき画像を、サブ表示部7に表示する。
【0076】
上述した使用状況(B)において、メイン表示部6が待避位置にある場合、サブ表示部7が観察対象となっていると推測することができる。そこで、CPU20は、画像処理部16の出力対象を変更し、メイン表示部6に表示するべき画像を、サブ表示部7に表示する。
【0077】
上述した使用状況(C)において、電源電池の電池残量が所定の閾値を下回った場合、CPU20は、省電力化を図るため、メイン表示部6とサブ表示部7との両方への表示が行われている場合には、少なくとも一方への表示自体を抑制、または、中止する。
【0078】
上述した使用状況(D)において、動き量が所定の閾値を上回った場合、CPU20は、使用者による状況の確認が容易に行えるように、メイン表示部6とサブ表示部7との両方への表示を行う。
【0079】
(d)タッチパネル部8への電源供給の制御
CPU20は、使用状況に応じて、サブ表示部7のタッチパネル部8への電源供給を制御することにより、不要な電源供給を抑え、省電力化を図る。
【0080】
上述した使用状況(A)において、ヘッドマウントディスプレイ1が装着状態である場合、使用者は、サブ表示部7を観察することはできず、使用者はメイン表示部6を観察していると推測することができる。そこで、CPU20は、サブ表示部7のタッチパネル部8を操作部として機能させるのに最低限必要な量に、電源供給を抑制する。
【0081】
上述した使用状況(B)において、メイン表示部6が可視位置にある場合、使用者はメイン表示部6を観察していると推測することができる。そこで、CPU20は、サブ表示部7のタッチパネル部8を操作部として機能させるのに最低限必要な量に、電源供給を抑制する。
【0082】
上述した使用状況(C)において、電源電池の電池残量が所定の閾値を下回った場合、CPU20は、省電力化を図るため、サブ表示部7のタッチパネル部8への電源供給を抑制、または、中止する。
【0083】
上述した使用状況(D)において、動き量が所定の閾値を上回った場合、CPU20は、タッチパネル部8による誤作動防止のため、サブ表示部7のタッチパネル部8への電源供給を抑制、または、中止する。
【0084】
上述した使用状況(E)において、動作モードが「画像モード」や「音声モード」である場合、タッチパネル部8を介した操作は頻繁に行われないと推測することができる。そこで、CPU20は、サブ表示部7のタッチパネル部8への電源供給を抑制、または、中止する。
【0085】
(e)タッチパネル部8における感知エリアの制御
CPU20は、使用状況に応じて、サブ表示部7のタッチパネル部8における感知エリアを制御することにより、省電力化および使い勝手の向上を図る。
【0086】
上述した使用状況(A)において、ヘッドマウントディスプレイ1が装着状態である場合、使用者はサブ表示部7を観察することはできない。すなわち、使用者は、サブ表示部7を目視せずに操作部として使用すると推測できる。そこで、CPU20は、サブ表示部7のタッチパネル部8の操作部としての機能を向上させるために、タッチパネル部8の領域を拡大する。例えば、図9に示すように、サブ表示部7の表示領域におけるタッチパネル部8の領域の広さを広くする。
【0087】
一方、ヘッドマウントディスプレイ1が非装着状態である場合、サブ表示部7が観察対象となっているか、または、充電中であると推測することができる。すなわち、使用者は、サブ表示部7を目視しつつ操作部として使用すると推測できる。そこで、CPU20は、図10に示すように、サブ表示部7の表示領域におけるタッチパネル部8の領域の広さを狭くするとともに、例えば、上半分をメイン表示部6に相当する表示部として機能させる。
【0088】
上述した使用状況(B)において、メイン表示部6が可視位置にある場合、使用者はサブ表示部7を観察することはできない。すなわち、使用者は、サブ表示部7を目視せずに操作部として使用すると推測できる。そこで、CPU20は、サブ表示部7のタッチパネル部8の操作部としての機能を向上させるために、タッチパネル部8の領域を拡大する。例えば、図9に示すように、サブ表示部7の表示領域におけるタッチパネル部8の領域の広さを広くする。
【0089】
上述した使用状況(C)において、電源電池の電池残量が所定の閾値を下回った場合、CPU20は、省電力化を図るため、図10に示すように、サブ表示部7の表示領域におけるタッチパネル部8の領域の広さを狭くする。
【0090】
上述した使用状況(D)において、動き量が所定の閾値を上回った場合、CPU20は、タッチパネル部8による誤作動防止のため、図10に示すように、サブ表示部7の表示領域におけるタッチパネル部8の領域の広さを狭くする。
【0091】
上述した使用状況(E)において、動作モードが「インターネットモード」である場合、コンピュータのマウスと同様の操作性を実現することが好ましい。そこで、CPU20は、図9に示した例と同様に、サブ表示部7の表示領域におけるタッチパネル部8の領域の広さを広くするとともに、図11に示すように、マウスポインタに相当するマークなどをメイン表示部6に表示する。
【0092】
なお、サブ表示部7の表示領域におけるタッチパネル部8の領域の広さを変更する際には、使用者に変更内容を報知するために、図12に示すように、メイン表示部6にタッチパネル部8の領域の広さを示す画像を表示すると良い。
【0093】
(f)タッチパネル部8における感知感度の制御
CPU20は、使用状況に応じて、サブ表示部7のタッチパネル部8における感知感度を制御することにより、省電力化および使い勝手の向上を図る。
【0094】
上述した使用状況(A)において、ヘッドマウントディスプレイ1が装着状態である場合、使用者はサブ表示部7を観察することはできない。すなわち、使用者は、サブ表示部7を目視せずに操作部として使用すると推測できる。そこで、CPU20は、サブ表示部7のタッチパネル部8による誤作動防止のため、タッチパネル部8の感知感度を低くする。
【0095】
上述した使用状況(B)において、メイン表示部6が可視位置にある場合、使用者はサブ表示部7を観察することはできない。すなわち、使用者は、サブ表示部7を目視せずに操作部として使用すると推測できる。そこで、CPU20は、サブ表示部7のタッチパネル部8による誤作動防止のため、タッチパネル部8の感知感度を低くする。
【0096】
上述した使用状況(C)において、電源電池の電池残量が所定の閾値を下回った場合、CPU20は、省電力化を図るため、サブ表示部7のタッチパネル部8による誤作動防止のため、タッチパネル部8の感知感度を低くする。
【0097】
上述した使用状況(D)において、動き量が所定の閾値を上回った場合、CPU20は、タッチパネル部8による誤作動防止のため、タッチパネル部8の感知感度を低くする。
【0098】
上述した使用状況(E)において、動作モードが「インターネットモード」である場合、コンピュータのマウスと同様の操作性を実現することが好ましい。そこで、CPU20は、タッチパネル部8の感知感度を高くする。
【0099】
なお、上述した各使用状況におけるサブ表示部7の制御は一例であり、上記の例に限定されない。また、各使用状況におけるサブ表示部7の制御内容を、使用者により指定可能としても良い。
【0100】
また、使用状況の検出において、上述した(A)〜(E)の使用状況を組み合わせて検出する構成としても良い。この場合、各使用状況に優先順位付けや重み付けを行って、総括的な使用状況を検出すればよい。また、サブ表示部7の制御において、上述した(a)〜(f)の制御を組み合わせて実行する構成としても良い。
【0101】
例えば、上述した使用状況(A)において、ヘッドマウントディスプレイ1が装着状態であり、かつ、上述した使用状況(B)において、メイン表示部6が待避位置にある場合には、誤作動を防止するために、(a)においてサブ表示部7への電源供給を中止し、かつ、(d)においてタッチパネル部8への電源供給を中止しても良い。また、上述した使用状況(A)において、ヘッドマウントディスプレイ1が装着状態であり、かつ、上述した使用状況(D)において、動き量が所定の閾値を上回った場合には、誤作動を防止するために、(a)においてサブ表示部7への電源供給を中止し、かつ、(d)においてタッチパネル部8への電源供給を中止しても良い。なお、使用状況の検出に関する組み合わせ、および、サブ表示部7の制御に関する組み合わせを、使用者により指定可能としても良い。
【0102】
以上説明したように、本実施形態によれば、メイン表示部と異なる位置に配置され、画像を表示するサブ表示部を備え、ヘッドマウントディスプレイの使用状況に応じて、サブ表示部を制御する。したがって、使い勝手が良く、かつ節電効果の高いヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
【0103】
なお、本実施形態で例にあげたヘッドマウントディスプレイ1はその一例であり、本発明はこの例に限定されない。例えば、使用者の両眼に画像を投影するメイン表示部を備える構成のヘッドマウントディスプレイであっても良い。また、連結部4が使用者の後頭部近傍に配置される構成のヘッドマウントディスプレイであっても良い。また、図13に示すように、眼鏡型のヘッドマウントディスプレイであっても良い。
【0104】
また、サブ表示部7が、片方のヘッドホーン(右側のヘッドホーン1)の近傍に配置される例を示したが、メイン表示部6と異なる位置(または向き)であれば、他の位置に配置されても良い。例えば、連結部4上であっても良いし、支持アーム5上であっても良い。また、メイン表示部6の裏面、上下面、側面であっても良い。また、図13に示した眼鏡型のヘッドマウントディスプレイにおいては、テンプル部であっても良いし、メイン表示部の裏面、上下面、側面であっても良い。
【0105】
さらに、図14に示すように、ヘッドマウントディスプレイ本体と分離してサブ表示部が設けられても良い。この場合、ヘッドマウントディスプレイ本体とサブ表示部とは、無線または有線により接続すると良い。
【0106】
また、制御回路15に相当する制御部は、有線もしくは無線で接続された外部機器内に存在しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施の形態におけるヘッドマウントディスプレイの概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるヘッドマウントディスプレイの機能ブロック図である。
【図3】ヘッドマウントディスプレイ1使用時におけるCPU20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】ヘッドマウントディスプレイ1使用時におけるCPU20の動作の別の例を示すフローチャートである。
【図5】ヘッドマウントディスプレイ1使用時におけるCPU20の動作の別の例を示すフローチャートである。
【図6】ヘッドマウントディスプレイ1使用時におけるCPU20の動作の別の例を示すフローチャートである。
【図7】ヘッドマウントディスプレイ1使用時におけるCPU20の動作の別の例を示すフローチャートである。
【図8】サブ表示部7の表示の一例を示す図である。
【図9】タッチパネル部8における感知エリアについて説明する図である。
【図10】タッチパネル部8における感知エリアについて説明する別の図である。
【図11】メイン表示部6およびサブ表示部7の表示の一例を示す図である。
【図12】メイン表示部6およびサブ表示部7の表示の一例を示す別の図である。
【図13】眼鏡型のヘッドマウントディスプレイの概要を示す図である。
【図14】分離型のヘッドマウントディスプレイの概要を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1…ヘッドマウントディスプレイ、2・3…ヘッドホーン、4…連結部、5…支持アーム、6…メイン表示部、7…サブ表示部、8…タッチパネル部、11…装着センサ、12…アーム位置センサ、13…電池残量センサ、14…動き量センサ、15…制御回路、16…画像処理部、17・18…表示処理部、19…音声処理部、20…CPU


【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の少なくとも一方の眼前に画像を投影する第1の画像表示部と、
前記第1の画像表示部を前記使用者の頭部に装着するための装着部と、
前記第1の画像表示部と異なる位置に配置され、画像を表示する第2の画像表示部と、
使用状況を検出する検出部と、
前記使用状況に応じて、前記第2の画像表示部を制御する制御部と
を備えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
前記検出部は、前記装着部により前記第1の画像表示部が前記使用者の頭部に装着されているか否かを検出し、
前記制御部は、前記第1の画像表示部が前記使用者の頭部に装着されているか否かに応じて、前記第2の画像表示部を制御する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
前記第1の画像表示部を、少なくとも待避位置と可視位置とに変位可能な駆動部を備え、
前記検出部は、前記第1の画像表示部の位置を検出し、
前記制御部は、前記第1の画像表示部の位置に応じて、前記第2の画像表示部を制御する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
電源電池を備え、前記第1の画像表示部および前記第2の画像表示部に前記電源電池から電力を供給する供給部を備え、
前記検出部は、前記供給部における前記電源電池の残量を検出し、
前記制御部は、前記電源電池の残量に応じて、前記第2の画像表示部を制御する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
前記検出部は、前記ヘッドマウントディスプレイの動き量を検出し、
前記制御部は、前記動き量に応じて、前記第2の画像表示部を制御する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
前記第1の画像表示部に画像を投影する画像再生モードを含む複数の動作モードの何れかを選択する選択部を備え、
前記検出部は、前記選択部により選択された前記動作モードを検出し、
前記制御部は、前記選択部により選択された前記動作モードに応じて、前記第2の画像表示部を制御する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記第2の画像表示部への電源供給を制御する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記第2の画像表示部の表示内容を制御する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項9】
請求項8に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記第1の画像表示部に表示すべき画像を、前記第2の画像表示部に表示する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項10】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
前記第2の画像表示部は、その表面への接触を感知するタッチパネルを有し、
前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記タッチパネルを制御する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項11】
請求項10に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記タッチパネルへの電源供給を制御する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項12】
請求項10に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
前記制御部は、前記使用状況に応じて、前記タッチパネルにおける感知エリアと感知感度との少なくとも一方を制御する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項13】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
前記第2の画像表示部は、前記第1の画像表示部および前記装着部と分離しており、かつ、前記第1の画像表示部および前記装着部と有線または無線により接続される
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−171505(P2009−171505A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10328(P2008−10328)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】