説明

ヘッドライト制御装置、ヘッドライトシステム、及びヘッドライトシステムの制御方法

【課題】前走車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの照射が可能なヘッドライト制御装置、ヘッドライトシステム、及びヘッドライトシステムの制御方法等を提供する。
【解決手段】ヘッドライト制御装置120は、熱源検知部としての赤外線カメラ122と、熱判定部124と、ビーム方向制御部128とを備えている。赤外線カメラ122は、ヘッドライト112の照射範囲の熱画像を取得する。熱判定部124は、赤外線カメラ122により取得された熱画像に基づいて、熱画像の有無を判定する。ビーム方向制御部128は、熱判定部124の判定結果により照射範囲の熱源を検知したとき、ヘッドライト112の照射光が熱源に照射されないように照射範囲を切り替える制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドライト制御装置、ヘッドライトシステム、及びヘッドライトシステムの制御方法等に関し、例えば車両用のヘッドライト制御装置、ヘッドライトシステム、及びヘッドライトシステムの制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のヘッドライトは、光源の照射光を用いて、ハイビーム又はロービームの切り替えが可能に構成される。ヘッドライトのハイビーム又はロービームの切り替えは、車両の運転者による手動操作によって行われたり、カメラによって撮像された画像に基づいて自動で行われたりする。このようなヘッドライトに関する技術については、種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、対象物の認識手段としてカメラ、ミリ波レーダー又は赤外線レーダー等が車両制御部に接続される車両に関する技術が開示されている(例えば、段落0027,0028)。特許文献1において、車両制御部は、例えばカメラから提供される画像データに基づいて、自車の前方の前走車、対向車、又は歩行者等の対象物を検出する。前走車、対向車、又は歩行者等の対象物が検出されないとき、車両制御部は、シェードによる遮光を伴わない標準ハイビーム用配光パターンを形成する制御を行い、運転者の視界を向上させる。また、前走車が検出されず、対向車又は歩行者が検出されたとき、車両制御部は、自車線側のみハイビーム領域を照射する左片ハイ配光パターンを形成する制御を行う。更に、前走車のみが検出され、対向車又は歩行者が検出されないとき、車両制御部は、対向車線側のみハイビーム領域を照射する右片ハイ配光パターンを形成する制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−295387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているように、カメラや赤外線レーダー等により前走車や対向車を検出する場合、前走車のストップランプや対向車のヘッドライト等の光源を検出する方法が採用される。これは、自車のヘッドライトをロービームに戻しても、自発光している前走車のストップランプや対向車のヘッドライトを常に検出可能であることを利用している。
【0006】
しかしながら、光源を持たない人や動物等の対象物(被検出物)を検出する場合、この種の対象物に自車のヘッドライトを照射し続けるか、検出することができる程度に街灯等により対象物が照射されている必要がある。そのため、前走車等を検出する場合と異なり、光源を持たない人や動物等を的確に検出し続けながら、ハイビーム又はロービームに切り替える制御を行うことは非常に困難である。
【0007】
例えば、従来、夜間の運転の際、運転者は、ヘッドライトで対象物を照射した反射光を見て、車や人、動物等を判別して運転操作を行う。そのため、同様のことを、人の目と同様の機能を有する可視光カメラを用いて、ヘッドライトを対象物に照射することなく、ヘッドライトのハイビーム又はロービームを的確に決定することは事実上不可能であると考えられる。
【0008】
一方、可視光カメラを用いた場合、人や動物等にハイビームを照射することにより検出するため、人や動物等は非常に眩しくなって視界を失い、人や動物等が運転者にとって予想が困難な動作を行う危険性もある。
【0009】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、前走車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの照射が可能なヘッドライト制御装置、ヘッドライトシステム、及びヘッドライトシステムの制御方法等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の第1の態様は、ヘッドライト制御装置が、ヘッドライトの照射範囲の熱源を検知する熱源検知部と、前記熱源検知部の検知結果に応じて、前記ヘッドライトの照射範囲を切り替える制御を行う照射範囲切替部とを含む。
【0011】
本態様において、熱源検知部により照射範囲内の熱源を検知するようにしたため、ヘッドライトの照射光を照射することなく、車(前走車、対向車)、自動二輪車、歩行者や自転車に乗る人、動物(猫、犬、鹿等の哺乳類)等を検出することができる。そして、このような熱源の検知結果に応じて、ヘッドライトの照射範囲を切り替えるようにしたので、前走車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの照射が可能となる。その結果、人や動物等の眩しさを防ぐと共に、運転者にとっても良好な視界を得ることができ、事故防止に大きく寄与することができるようになる。このとき、熱源の形状等の情報を一切必要とせず、熱情報により判定するため、熱源を確実に検知することができるようになる。また、熱源の形(人、動物、車、自動二輪車等)の種別を識別する必要がないため、複雑な画像処理や検知処理、認識処理は不要であり、熱源の有無の判定に要する時間は非常に短くすることができる。従って、遮蔽物に隠れたところから、人や動物等が突然現われたとしても、瞬時にハイビームからロービームに切り替えることができる。更に、熱源の大きさを問わずに検知できればよく、詳細な熱分布の取得も不要であるため、非常に精細な画像を撮像するための画素数が必要とされず、ヘッドライトシステム全体の低コスト化を図ることができる。
【0012】
(2)本発明の第2の態様に係るヘッドライト制御装置は、第1の態様において、環境温度を検出する温度センサーを含み、前記照射範囲切替部は、前記温度センサーによって検出された前記環境温度と、前記熱源検知部によって検知された前記熱源の温度との差に基づく前記熱源の検知結果に応じて、前記ヘッドライトの照射範囲を切り替える制御を行う。
【0013】
本態様によれば、温度センサーにより環境温度を検出し、環境温度と熱源の温度との温度差により熱源を検知することができるので、例えば人や動物の体温と周囲の温度との差が小さい真夏においても、確実に対象物を検出することができるようになる。従って、本態様によれば、前方車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの確実な照射が可能となり、人や動物等の眩しさを防ぐと共に、運転者にとっても良好な視界を得ることができ、事故防止に大きく寄与することができるようになる。
【0014】
(3)本発明の第3の態様に係るヘッドライト制御装置では、第1の態様又は第2の態様において、前記照射範囲切替部は、前記ヘッドライトの照射範囲の熱源を検知したとき、前記ヘッドライトの照射光が前記熱源に照射されないように照射範囲を切り替える制御を行う。
【0015】
本態様によれば、検知した熱源にヘッドライトの照射光が照射されないように照射範囲を切り替えるようにしたので、人や動物等の眩しさを防ぐと共に、運転者にとっても良好な視界を得ることができ、事故防止に大きく寄与することができるようになる。
【0016】
(4)本発明の第4の態様は、ヘッドライトシステムが、第1の態様乃至第3の態様のいずれか記載のヘッドライト制御装置と、前記ヘッドライト制御装置によって照射範囲が切り替えられる前記ヘッドライトとを含む。
【0017】
本態様によれば、前走車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの照射が可能となる。これにより、人や動物等の眩しさを防ぐと共に、運転者にとっても良好な視界を得ることができ、事故防止に大きく寄与するヘッドライトシステムを提供することができるようになる。
【0018】
(5)本発明の第5の態様に係るヘッドライトシステムは、第4の態様において、パネル面の少なくとも一部に前記ヘッドライトの照射光が照射されるように前記照射光の光路上に配置され、該照射光の照射位置に応じて光変調率の制御が可能に構成される透過型又は反射型の液晶表示パネルを含み、前記熱源検知部の画素数が、前記液晶表示パネルの画素数以上である。
【0019】
本態様によれば、パネル面の少なくとも一部にヘッドライトの照射光が照射されるように照射光の光路上に液晶表示パネルを配置するようにしたので、該照射光を光変調することで、簡素な制御によりハイビーム及びロービームを生成することができるようになる。これにより、熱源の検知結果に応じた非常にきめ細やかな照射範囲の切替制御が可能となる。
【0020】
(6)本発明の第6の態様に係るヘッドライトシステムは、第5の態様において、前記ヘッドライトのハイビーム照射エリアを複数の照射エリアに分割して、各照射エリアに対応する前記液晶表示パネルのパネル面のエリア毎に、透過又は反射する光量を制御する光変調制御装置を含み、前記照射範囲切替部は、前記光変調制御装置に対し、前記照射範囲内の熱源が存在する照射エリアに基づいて、前記液晶表示パネルのパネル面のエリア毎に、前記照射範囲を切り替える制御を行う。
【0021】
本態様によれば、ハイビーム照射エリアを分割した照射エリア毎に、熱源の検知結果に応じた非常にきめ細やかな照射範囲の切替制御が可能となり、ハイビーム照射エリア内であってもエリア単位でハイビームの照射光を照射しないようにすることができる。
【0022】
(7)本発明の第7の態様に係るヘッドライトシステムでは、第6の態様において、前記複数の照射エリアは、前記ハイビーム照射エリアを垂直方向に分割したエリアである。
【0023】
本態様によれば、ハイビーム照射エリアを垂直方向に分割した照射エリア毎に、熱源の検知結果に応じた非常にきめ細やかな照射範囲の切替制御が可能となる。従って、ハイビーム照射エリア内であってもエリア単位でハイビームの照射光を照射しないようにすることができる。
【0024】
(8)本発明の第8の態様に係るヘッドライトシステムでは、第6の態様において、前記複数の照射エリアは、前記ハイビーム照射エリアを水平方向に分割したエリアである。
【0025】
本態様によれば、ハイビーム照射エリアを水平方向に分割した照射エリア毎に、熱源の検知結果に応じた非常にきめ細やかな照射範囲の切替制御が可能となる。従って、ハイビーム照射エリア内であってもエリア単位でハイビームの照射光を照射しないようにすることができる。
【0026】
(9)本発明の第9の態様に係るヘッドライトシステムでは、第6の態様において、前記複数の照射エリアは、前記ハイビーム照射エリアを垂直方向及び水平方向に分割したエリアである。
【0027】
本態様によれば、ハイビーム照射エリアを垂直方向及び水平方向に分割した照射エリア毎に、熱源の検知結果に応じた非常にきめ細やかな照射範囲の切替制御が可能となる。従って、ハイビーム照射エリア内であってもエリア単位でハイビームの照射光を照射しないようにすることができる。
【0028】
(10)本発明の第10の態様は、ヘッドライトシステムの制御方法が、ヘッドライトシステムの照射範囲の熱源を検知する熱源検知ステップと、前記熱源検知ステップの検知結果に応じて、前記ヘッドライトの照射範囲を切り替える制御を行う。
【0029】
本態様において、熱源検知部により照射範囲内の熱源を検知するようにしたため、ヘッドライトの照射光を照射することなく、車(前走車、対向車)、自動二輪車、歩行者や自転車に乗る人、動物(猫、犬、鹿等の哺乳類)等を検出することができる。そして、このような熱源の検知結果に応じて、ヘッドライトの照射範囲を切り替えるようにしたので、前走車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの照射が可能となる。その結果、人や動物等の眩しさを防ぐと共に、運転者にとっても良好な視界を得ることができ、事故防止に大きく寄与することができるようになる。
【0030】
(11)本発明の第11の態様に係るヘッドライトシステムの制御方法では、第10の態様において、前記照射範囲切替ステップは、環境温度と、前記熱源検知ステップにおいて検知された前記熱源の温度との差に基づく前記熱源の検知結果に応じて、前記ヘッドライトの照射範囲を切り替える制御を行う。
【0031】
本態様によれば、環境温度と熱源の温度との温度差により熱源を検知することができるので、例えば人や動物の体温と周囲の温度との差が小さい真夏においても、確実に対象物を検出することができるようになる。従って、本態様によれば、前方車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの確実な照射が可能となり、人や動物等の眩しさを防ぐと共に、運転者にとっても良好な視界を得ることができ、事故防止に大きく寄与することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図。
【図2】図1のヘッドライトシステムの動作例のフロー図。
【図3】第1の実施形態の比較例におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図。
【図4】本発明の第2の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図。
【図5】図4のヘッドライトシステムの動作例のフロー図。
【図6】本発明の第3の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図。
【図7】第3の実施形態におけるヘッドライトシステムの動作説明図。
【図8】本発明の第4の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図。
【図9】本発明の第5の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図。
【図10】本発明の第6の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図。
【図11】本発明の第7の実施形態におけるヘッドライトシステムの動作説明図。
【図12】本発明の第8の実施形態におけるヘッドライトシステムの動作説明図。
【図13】本発明の第5の実施形態におけるヘッドライトシステムの動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題を解決するために必須の構成要件であるとは限らない。
【0034】
〔第1の実施形態〕
図1に、本発明の第1の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図を示す。図1は、熱撮像型の赤外線カメラを用いた車両用のヘッドライトシステムの構成例を表す。
【0035】
第1の実施形態におけるヘッドライトシステム100は、ヘッドライト装置110と、ヘッドライト制御装置120とを備えている。ヘッドライト装置110は、ヘッドライト112と、ビーム方向切替部114とを備えている。ヘッドライト制御装置120は、熱源検知部として機能する熱撮像型の赤外線カメラ122と、熱判定部124と、点灯切替部126と、ビーム方向制御部128とを備えている。熱判定部124及びビーム方向制御部128は、照射範囲切替部として機能する。
【0036】
ヘッドライト112は、ヘッドライトシステム100を搭載する車両の前方に光の照射が可能に構成される公知のヘッドライトである。ビーム方向切替部114は、ビーム方向制御部128からの制御に基づいて、ヘッドライト112の照射光の遮断制御を行うことで、ハイビーム又はロービームを生成する。ビーム方向切替部114は、ビーム方向制御部128によって制御される例えばソレノイドやモーター等を有し、ヘッドライト112の照射光の遮断制御を行う。
【0037】
赤外線カメラ122は、ヘッドライトシステム100を搭載する車両の前方のヘッドライト112の照射範囲を撮像して熱画像を取得し、該照射範囲の熱源を検知する。熱判定部124は、赤外線カメラ122により取得された熱画像に基づいて、熱源の有無を判定し、判定結果に対応した切替制御信号BC1を生成する。
【0038】
点灯切替部126には、運転者による点灯操作及び非点灯操作に対応した点灯操作信号TK1が入力される。点灯切替部126は、点灯操作信号TK1に対応した点灯切替信号TC1を生成し、点灯切替信号TC1によりヘッドライト112の点灯及び非点灯を制御する。点灯切替信号TC1は、ビーム方向制御部128にも供給される。
【0039】
ビーム方向制御部128には、運転者によるビーム方向の切替操作に対応した切替操作信号BH1が入力される。ビーム方向制御部128は、点灯切替信号TC1及び切替操作信号BH1に基づいて、ハイビーム又はロービームをヘッドライト112の照射範囲に向けて照射する制御を行う。具体的には、点灯切替信号TC1によりヘッドライト112の点灯が指示されているとき、ビーム方向制御部128は、切替操作信号BH1に基づいて、ハイビーム又はロービームをヘッドライト112の照射範囲に向けて照射する制御を行う。更に、ビーム方向制御部128には、熱判定部124から切替制御信号BC1が入力される。点灯切替信号TC1によりヘッドライト112の点灯が指示されているとき、ビーム方向制御部128は、切替制御信号BC1に基づいて、ハイビーム又はロービームをヘッドライト112の照射範囲に向けて照射する制御を行うことができる。
【0040】
図2に、図1のヘッドライトシステム100の動作例のフロー図を示す。
【0041】
まず、赤外線カメラ122は、ヘッドライト112の照射範囲を撮像して熱画像を取得し、該照射範囲の熱源を検知する(ステップS10、熱源検知ステップ)。
【0042】
熱判定部124は、ステップS10の検知結果に基づいて、熱画像内の熱源の有無を判定する。熱判定部124において熱源の有無を判定する方法としては、例えば恒温動物の体温のような絶対温度に基づいて判定したり、熱源の温度と照射範囲内の道路の温度(基準温度)との温度差(相対温度)に基づいて判定したりすることができる。また、前走車は、エンジンからの排気やタイヤの接地面の温度が高く、これらに基づいて熱源として判定することができる。更に、対向車は、エンジンの温度が高く、これに基づいて熱源として判定することができる。
【0043】
このような熱判定部124により熱画像内に熱源があると判定されたとき(ステップS11:Y)、熱判定部124は、ロービームを照射するように上記の切替制御信号BC1を生成する。点灯切替信号TC1によりヘッドライト112の点灯が指示されているとき、ヘッドライト装置110は、この切替制御信号BC1により、ロービームをヘッドライト112の照射範囲に向けて照射する(ステップS12、照射範囲切替ステップ)。これ以降、ステップS10に戻る(リターン)。
【0044】
ステップS11において、熱判定部124により熱画像内に熱源がないと判定されたとき(ステップS11:N)、熱判定部124は、ハイビームを照射するように上記の切替制御信号BC1を生成する。点灯切替信号TC1によりヘッドライト112の点灯が指示されているとき、ヘッドライト装置110は、この切替制御信号BC1により、ハイビームをヘッドライト112の照射範囲に向けて照射する(ステップS13、照射範囲切替ステップ)。これ以降、ステップS10に戻る(リターン)。
【0045】
以上のように、第1の実施形態におけるヘッドライトシステム100は、赤外線カメラ122を用いて、ヘッドライト112の照射範囲内の熱源を検知し、検知結果に応じて、ヘッドライト112のハイビーム又はロービームを切り替える。具体的には、ヘッドライトシステム100は、ヘッドライト112の照射範囲に熱源があるときはロービームに切り替え、ヘッドライト112の照射範囲に熱源がないときはハイビームに切り替える。これにより、前走車、対向車、人、動物等に対して眩しさを防ぐと共に、良好な視界を得ることができ、事故防止に大きく寄与することができるようになる。
【0046】
〔比較例〕
ここで、第1の実施形態の比較例におけるヘッドライトシステムと対比することで、第1の実施形態におけるヘッドライトシステム100について説明する。
【0047】
図3に、第1の実施形態の比較例におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図を示す。図3は、可視光カメラを用いた車両用のヘッドライトシステムの構成例を表す。
【0048】
本比較例におけるヘッドライトシステム1は、ヘッドライト12と、点灯切替部14と、ビーム方向制御部16と、ビーム方向切替部18と、可視光カメラ20と、車検知部22とを備えている。
【0049】
ヘッドライト12は、車両の前方に光の照射が可能に構成される公知のヘッドライトである。点灯切替部14には、運転者による点灯操作及び非点灯操作に対応した点灯操作信号TK0が入力される。点灯切替部14は、点灯操作信号TK0に対応した点灯切替信号TC0を生成し、点灯切替信号TC0によりヘッドライト12の点灯及び非点灯を制御する。点灯切替信号TC0は、ビーム方向制御部16にも供給される。
【0050】
ビーム方向制御部16には、運転者によるビーム方向の切替操作に対応した切替操作信号BH0が入力される。ビーム方向制御部16は、点灯切替信号TC0及び切替操作信号BH0に基づいて、ハイビーム又はロービームをヘッドライト12の照射範囲に向けて照射する制御を行う。具体的には、点灯切替信号TC0によりヘッドライト12の点灯が指示されているとき、ビーム方向制御部16は、切替操作信号BH0に基づいて、ハイビーム又はロービームをヘッドライト12の照射範囲に向けて照射する制御を行う。更に、ビーム方向制御部16には、車検知部22から切替制御信号BC0が入力される。
【0051】
ビーム方向切替部18は、ビーム方向制御部16からの制御に基づいて、ヘッドライト12の照射光の遮断制御を行うことで、ハイビーム又はロービームを生成する。ビーム方向切替部18は、ビーム方向制御部16によって制御される例えばソレノイドやモーター等を有し、ヘッドライト12の照射光の遮断制御を行う。点灯切替信号TC0によりヘッドライト12の点灯が指示されているとき、ビーム方向制御部16は、切替制御信号BC0に基づいて、ハイビーム又はロービームをヘッドライト12の照射範囲に向けて照射する制御を行うことができる。
【0052】
可視光カメラ20は、車両の前方を撮像して前方画像を取得する。車検知部22は、可視光カメラ20によって撮像された前方画像から、前走車や対向車が存在するか否かを判定する。車検知部22は、前走車や対向車がいると判定したときには、ヘッドライト12をロービームで照射するように切替制御信号BC0を生成する。車検知部22は、前走車や対向車がないと判定したときには、ヘッドライト12をハイビームで照射するように切替制御信号BC0を生成する。ここで、前走車や対向車が存在するか否かを判定する方法として、前走車のテールランプのストップランプの色や明るさ、対向車のヘッドライトを検出することが知られている。
【0053】
以上のような構成を有する本比較例において、可視光カメラ20により前方画像を撮像するため、ヘッドライト12の照射光を被検出物に照射することなく検出可能なものは、可視光を直接発光している対向車、及び前走車のみである。従って、本比較例では、例えば夜間の走行中において、ヘッドライト12の照射範囲又は自発光している物体のみ認識することができる。
【0054】
これに対して、第1の実施形態では、赤外線カメラ122により照射範囲内で赤外線を放射する熱源を検知するようにしたため、ヘッドライト112の照射光を照射することなく、次のものを検出することができるようになる。ヘッドライトシステム100は、例えば、排気管やタイヤ等を熱源として検知することができるので、車(前走車、対向車)を検出することができる。また、ヘッドライトシステム100は、例えばエンジン、タイヤ、運転者(体温)等を熱源として検知することができるので、前方を走行する自動二輪車や、対向する自動二輪車を検出することができる。更に、ヘッドライトシステム100は、例えば、体温等を熱源として検知することができるので、歩行者、自転車に乗る人、動物(猫、犬、鹿等の哺乳類)等を検出することができる。なお、上記のものを、夜間の走行中であっても検出することができる。
【0055】
また、本比較例では、可視光カメラ20により撮像された前方画像を解析して、物体の形や色等の情報から、当該物体の種別等を識別する必要がある。従って、本比較例において、無数に存在する形状の車の認識、四季おりおり服装が変化する人等を確実に認識して識別することは実質的に不可能であると考えられる。
【0056】
これに対して、第1の実施形態では、赤外線を用いた熱撮像型の赤外線カメラ122により、熱源の形状等の情報を一切必要とせず、熱情報により判定するため、熱源を確実に検知することができる。
【0057】
更に、本比較例では、可視光カメラ20により撮像された前方画像に対する高度な画像処理や検知処理、認識処理が必要となり、これらを実行するハードウェアやソフトウェアの規模が大きくなり、処理の複雑化、高コスト化、処理速度の低下を招く。
【0058】
これに対して、第1の実施形態では、熱情報だけで判定しているため、熱源の有無の判定にかかるコストを抑えることができ、熱画像を撮像してから高速に熱源を検知することができる。即ち、第1の実施形態では、形(人、動物、車、自動二輪車等)の種別を識別する必要がないため、複雑な画像処理や検知処理、認識処理は不要であり、熱源の有無の判定に要する時間は非常に短くすることができる。従って、遮蔽物に隠れたところから、人や動物等が突然現われたとしても、瞬時にハイビームからロービームに切り替えることができる。
【0059】
更に、本比較例では、可視光カメラ20により撮像された前方画像に基づいて物体の形状を認識する必要があるため、可視光カメラ20の高画素化が必要となる。また、ヘッドライト12の照射範囲外の物体をより多く捕捉するためには、可視光カメラ20の暗時感度を上げる必要がある。高画素化と暗時感度は、可視光カメラ20においては相反する特性であるため、両方の特性を向上することは非常に難しい。
【0060】
これに対して、第1の実施形態では、熱源の大きさにかかわらず検知できればよく、赤外線カメラ122を用いた詳細な熱分布の取得も不要であるため、赤外線カメラ122には、非常に精細な画像を撮像するための画素数が必要とされない。従って、第1の実施形態では、赤外線カメラの低コスト化により、システム全体の低コスト化を図ることができる。
【0061】
更に、第1の実施形態では、既存のヘッドライト装置にそのまま適用することができる。そのため、非常に低コストで車両に搭載することができ、車両の運転者が前走車や対向車等を気にすることなく、運転者に明るい視界を提供し、事故防止に大きく起用することができるようになる。
【0062】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、前方車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの照射が可能となり、人や動物等の眩しさを防ぐと共に、運転者にとっても良好な視界を得ることができ、事故防止に大きく寄与することができるようになる。
【0063】
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、赤外線カメラ122によって撮像された熱画像を元にヘッドライト112の照射範囲を切り替えるようにしていたが、ヘッドライトシステムの周囲の温度(環境温度)を考慮するようにしてもよい。
【0064】
図4に、本発明の第2の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図を示す。図4は、図1の構成に温度センサーを追加した構成例を表す。図4において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0065】
第2の実施形態におけるヘッドライトシステム200は、ヘッドライト装置210と、ヘッドライト制御装置220とを備えている。ヘッドライト装置210は、ヘッドライト112と、ビーム方向切替部114とを備えている。ヘッドライト制御装置220は、赤外線カメラ122と、温度センサー222と、熱判定部224と、点灯切替部126と、ビーム方向制御部128とを備えている。熱判定部224及びビーム方向制御部128は、照射範囲切替部として機能する。
【0066】
ヘッドライト装置210は、ヘッドライト装置110と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0067】
温度センサー222は、ヘッドライトシステム200(又はヘッドライトシステム200を搭載する車両)の環境温度(周囲の温度、雰囲気温度)を検出する。熱判定部224は、温度センサー222により検出された環境温度と、赤外線カメラ122により撮像された熱画像内の熱源の温度との温度差に基づいて、熱源の有無を判定し、判定結果に対応した切替制御信号BC2を生成する。例えば、真夏の暑い日等においては、車両が搭載するエアコン等により車室内の方が外気より温度が低い場合があり、この場合には、車両のガラス表面の温度が低く撮像される。このとき、温度センサー222によって検出される環境温度によって、照射範囲を切り替える温度の閾値を変更したり、赤外線カメラ122の撮像温度範囲を変更したりする。こうすることで、人や動物の体温と周囲の温度との差が小さい真夏においても、確実に対象物を検出することができるようになる。
【0068】
点灯切替信号TC1によりヘッドライト112の点灯が指示されているとき、ヘッドライト装置210は、この切替制御信号BC2に基づいて、ハイビーム又はロービームをヘッドライト112の照射範囲に向けて照射することができる。
【0069】
図5に、図4のヘッドライトシステム200の動作例のフロー図を示す。
【0070】
まず、赤外線カメラ122は、ヘッドライト112の照射範囲を撮像して熱画像を取得し、該照射範囲の熱源を検知する(ステップS20、熱源検知ステップ)。
【0071】
続いて、温度センサー222は、ヘッドライトシステム200の環境温度を検出する(ステップS21、環境温度検出ステップ)。
【0072】
熱判定部224は、ステップS20で撮像された熱画像内の熱源の温度と、ステップS21で検出された環境温度との温度差に基づいて、熱画像内の熱源の有無を判定する(ステップS22)。
【0073】
熱判定部224により熱画像内に熱源があると判定されたとき(ステップS23:Y)、熱判定部224は、ロービームを照射するように上記の切替制御信号BC2を生成する。点灯切替信号TC1によりヘッドライト112の点灯が指示されているとき、ヘッドライト装置210は、この切替制御信号BC2により、ロービームをヘッドライト112の照射範囲に向けて照射する(ステップS24、照射範囲切替ステップ)。これ以降、ステップS20に戻る(リターン)。
【0074】
ステップS22において、熱判定部224により熱画像内に熱源がないと判定されたとき(ステップS23:N)、熱判定部224は、ハイビームを照射するように上記の切替制御信号BC2を生成する。点灯切替信号TC1によりヘッドライト112の点灯が指示されているとき、ヘッドライト装置210は、この切替制御信号BC2により、ハイビームをヘッドライト112の照射範囲に向けて照射する(ステップS25、照射範囲切替ステップ)。これ以降、ステップS20に戻る(リターン)。
【0075】
以上説明したように、第2の実施形態では、赤外線カメラ122により撮像された熱画像内の熱源の温度と、温度センサー222により検出された環境温度との温度差に基づいて、ヘッドライト112の照射範囲を切り替える。こうすることで、人や動物の体温と周囲の温度との差が小さい真夏においても、確実に対象物を検出することができるようになる。従って、第1の実施形態と同様に、前方車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの確実な照射が可能となり、人や動物等の眩しさを防ぐと共に、運転者にとっても良好な視界を得ることができ、事故防止に大きく寄与することができる。
【0076】
〔第3の実施形態〕
第1の実施形態又は第2の実施形態では、既存のヘッドライトシステムの構成の一部を流用して構成することができるものを例に説明したが、次のような構成を採用してもよい。
【0077】
図6に、本発明の第3の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図を示す。図6は、ヘッドライト112の照射光の照射位置に応じて反射率(広義には、光変調率)の制御が可能に構成される光変調装置としての液晶表示(Liquid Crystal Display:以下、LCD)パネルを採用したヘッドライトシステムの構成例を表す。図6において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0078】
第3の実施形態におけるヘッドライトシステム300は、ヘッドライト装置310と、ヘッドライト制御装置320とを備えている。ヘッドライト装置310は、ヘッドライト112と、LCD制御部312と、LCDパネル314とを備えている。ヘッドライト制御装置320は、赤外線カメラ122と、熱判定部322と、点灯切替部126と、ビーム方向制御部324とを備えている。熱判定部322及びビーム方向制御部324は、照射範囲切替部として機能する。LCD制御部312は、光変調制御装置として機能する。
【0079】
LCDパネル314は、光変調面としてのパネル面にヘッドライト112の照射光が照射されるように該照射光の光路上に配置される反射型のLCDパネルであり、第1の光路方向の入射光を第2の光路方向に反射するように配置される。LCDパネル314では、各画素がオン又はオフに制御されることにより、ヘッドライト112の照射光を反射するか否かが決定される。
【0080】
LCD制御部312は、ビーム方向制御部324から通知された画素単位のオン又はオフの情報に基づいて、LCDパネル314の画素単位で駆動制御を行う。具体的には、LCD制御部312は、ビーム方向制御部324からの制御信号に基づいて、LCDパネル314の画素単位で駆動制御を行うことで、ヘッドライト112の照射光の遮断制御を行って、ハイビーム又はロービームを生成する。
【0081】
ビーム方向制御部324には、運転者によるビーム方向の切替操作に対応した切替操作信号BH1が入力される。ビーム方向制御部324は、点灯切替信号TC1及び切替操作信号BH1に基づいて、ハイビーム又はロービームをヘッドライト112の照射範囲に向けて照射する制御を行う。具体的には、点灯切替信号TC1によりヘッドライト112の点灯が指示されているとき、ビーム方向制御部324は、切替操作信号BH1に基づいて、LCDパネル314の画素単位にオン又はオフを決定し、LCD制御部312に通知する。更に、ビーム方向制御部324には、熱判定部322から切替制御信号BC3が入力される。点灯切替信号TC1によりヘッドライト112の点灯が指示されているとき、ビーム方向制御部324は、切替制御信号BC3に基づいて、LCDパネル314の画素単位にオン又はオフを決定し、LCD制御部312に通知する。
【0082】
熱判定部322は、赤外線カメラ122により撮像された熱画像に基づいて、熱源の有無を判定し、熱画像内において熱源が存在するエリアに対応した切替制御信号BC3を生成する。第3の実施形態では、ヘッドライトのハイビーム照射エリアが複数の照射エリアに分割される。熱判定部322及びビーム方向制御部324は、切替制御信号BC3により特定される照射範囲内の熱源が存在する照射エリアに基づいて、LCDパネル314のパネル面(照射面)のエリア毎に、ヘッドライト112の照射範囲を切り替える制御を行う。LCD制御部312は、ビーム方向制御部324による制御に基づき、各照射エリアに対応するLCDパネル314のパネル面のエリア毎に、反射する光量を制御する。
【0083】
ここで、LCDパネル314の入射光を反射する状態の画素をオン、入射光を反射しない状態の画素をオフとする。熱判定部322は、熱画像内において熱源が存在するエリアの画素単位でオフを指定する切替制御信号BC3を生成する。ビーム方向制御部324は、切替制御信号BC3に基づいて制御信号を生成し、LCD制御部312は、切替制御信号BC3により指定されるエリアの画素が入射光を反射しないように制御する。
【0084】
図7に、第3の実施形態におけるヘッドライトシステム300の動作説明図を示す。図7は、赤外線カメラ122によって撮像された熱画像の一例を表す。
【0085】
赤外線カメラ122によって撮像された熱画像HIMG1内に、人P1,P2,P3、対向車C1、道路標識D1、信号機E1が存在するものとする。ヘッドライト装置310は、予め決められたハイビーム照射エリアHB1にハイビームを照射し、或いは、予め決められたロービーム照射エリアLB1にロービームを照射することができるようになっている。ロービーム照射エリアLB1は、自車からおよそ40メートル前方までの範囲を照射するように設定される。ハイビーム照射エリアHB1は、40メートル前方より遠くまで見渡せるように照射するように設定される。
【0086】
ハイビーム照射エリアHB1は、垂直方向に分割され16エリアを有し、自車から見て、左からエリアAR0〜AR15により構成される。赤外線カメラ122で撮像した熱画像から、ヘッドライトを点灯させて走行する対向車C1が検出されると、熱判定部322は、対向車C1が位置する赤外線カメラ122における画素位置(X,Y)と対向車のヘッドライトの横幅Wと含む切替制御信号BC3をビーム方向制御部324に送る。ビーム方向制御部324は、この切替制御信号BC3に基づいて、エリアAR0〜AR15のうち対向車C1が存在するエリアを特定する。
【0087】
同様に、熱判定部322は、人P1,P3、信号機E1が位置する赤外線カメラ122における画素位置(X,Y)を含む切替制御信号BC3をビーム方向制御部324に送る。ビーム方向制御部324は、切替制御信号BC3に基づいて、エリアAR0〜AR15のうち人P1,P3、信号機E1が存在するエリアを特定する。図7では、エリアAR9,AR10に対向車C1のエンジンの熱がボンネットを通じて熱源として撮像されている。また、図7では、エリアAR6にいる人(男性)P3、エリアAR3にいる人(女性)P1も熱源として検出される。なお、エリアAR7の信号機E1については、旧型のバルブを使ったものであれば熱源として検出され、LEDのものであれば熱源として検出されないこともある。
【0088】
LCD制御部312は、ビーム方向制御部324によって特定された熱源の情報に対応したLCDパネル314の画素位置をオフするように制御する。これにより、図7に示すように、エリアAR3,AR6,AR7,AR9,AR10にハイビームが照射されず、その他のエリアにハイビームが照射されたままとなる。このとき、熱源として検知されないエリアAR4,AR5に跨っている道路標識D1には、ハイビームが照射されるため、運転者は、道路標識D1をはっきりと認識できる。
【0089】
なお、赤外線カメラ122の画素数は、LCDパネル314の画素数以上とすることが望ましい。こうすることで、熱源の検知精度が向上し、きめ細かい照射範囲の切替制御を行うことができるようになる。
【0090】
以上説明したように、第3の実施形態では、赤外線カメラ122により撮像された熱画像から検知される熱源が存在する照射エリアに対応するLCDパネル314のパネル面のエリア毎に、ヘッドライト112の照射範囲を切り替える。こうすることで、ハイビーム照射エリア内であってもエリア単位でハイビームの照射光を照射しないようにすることができ、非常にきめ細やかな照射範囲の切替制御が可能となる。
【0091】
〔第4の実施形態〕
第3の実施形態では、赤外線カメラ122によって撮像された熱画像を元にヘッドライト112の照射範囲を切り替えるようにしていたが、ヘッドライトシステムの周囲の温度を考慮するようにしてもよい。
【0092】
図8に、本発明の第4の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図を示す。図8は、図6の構成に温度センサーを追加した構成例を表す。図8において、図4又は図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0093】
第4の実施形態におけるヘッドライトシステム400は、ヘッドライト装置410と、ヘッドライト制御装置420とを備えている。ヘッドライト装置410は、ヘッドライト112と、LCD制御部312と、LCDパネル314とを備えている。ヘッドライト制御装置420は、赤外線カメラ122と、温度センサー222と、熱判定部422と、点灯切替部126と、ビーム方向制御部324とを備えている。熱判定部422及びビーム方向制御部324は、照射範囲切替部として機能する。
【0094】
ヘッドライト装置410は、ヘッドライト装置310と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0095】
熱判定部422は、温度センサー222により検出された環境温度と、赤外線カメラ122により撮像された熱画像内の熱源の温度との温度差に基づいて、熱源の有無を判定し、判定結果に対応した切替制御信号BC4を生成する。
【0096】
点灯切替信号TC1によりヘッドライト112の点灯が指示されているとき、ヘッドライト装置410は、この切替制御信号BC4に基づいて、ハイビーム又はロービームをヘッドライト112の照射範囲に向けて照射する。
【0097】
第4の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、熱判定部422は、熱画像内において熱源が存在するエリアの画素単位でオフを指定する切替制御信号BC4を生成する。ビーム方向制御部324は、切替制御信号BC4に基づいて制御信号を生成し、LCD制御部312は、切替制御信号BC4により指定されるエリアの画素が入射光を反射しないように制御する。
【0098】
以上説明したように、第4の実施形態では、環境温度との温度差に基づいて、熱画像から検知される熱源が存在する照射エリアに対応するLCDパネル314のパネル面のエリア毎に、ヘッドライト112の照射範囲を切り替える。これにより、第3の実施形態の効果に加えて、前方車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの確実な照射が可能となる。
【0099】
〔第5の実施形態〕
第3の実施形態では、LCDパネル314として反射型のLCDパネルを採用する例を説明したが、本発明に係る実施形態は、これに限定されるものではない。
【0100】
図9に、本発明の第5の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図を示す。図9において、図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0101】
第5の実施形態におけるヘッドライトシステム500は、ヘッドライト装置510と、ヘッドライト制御装置520とを備えている。ヘッドライト装置510は、ヘッドライト112と、LCD制御部312と、LCDパネル512とを備えている。ヘッドライト制御装置520は、赤外線カメラ122と、熱判定部322と、点灯切替部126と、ビーム方向制御部324とを備えている。
【0102】
LCDパネル512は、光変調面としてのパネル面にヘッドライト112の照射光が照射されるように該照射光の光路上に配置され、ヘッドライト112の照射光の照射位置に応じて透過率(広義には、光変調率)の制御が可能に構成される光変調装置としての透過型のLCDパネルである。LCDパネル512は、各画素がオン又はオフに制御されることにより、ヘッドライト112の照射光を透過するか否かが決定される。
【0103】
第5の実施形態では、第3の実施形態と同様に、赤外線カメラ122により撮像された熱画像から検知される熱源が存在する照射エリアに対応するLCDパネル512のパネル面のエリア毎に、ヘッドライト112の照射範囲を切り替える。即ち、第5の実施形態では、ヘッドライトのハイビーム照射エリアが複数の照射エリアに分割される。このとき、熱判定部322は、照射範囲内の熱源が存在する照射エリアに基づいて、LCDパネル512のパネル面(照射面)のエリア毎に、ヘッドライト112の照射範囲を切り替える制御を行う。LCD制御部312は、ビーム方向制御部324による制御に基づき、各照射エリアに対応するLCDパネル512のパネル面のエリア毎に、透過する光量を制御する。こうすることで、ハイビーム照射エリア内であってもエリア単位でハイビームの照射光を照射しないようにすることができ、非常にきめ細やかな照射範囲の切替制御が可能となる。
【0104】
〔第6の実施形態〕
第4の実施形態では、LCDパネル314として反射型のLCDパネルを採用する例を説明したが、本発明に係る実施形態は、これに限定されるものではない。
【0105】
図10に、本発明の第6の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成例のブロック図を示す。図10において、図8と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0106】
第6の実施形態におけるヘッドライトシステム600は、ヘッドライト装置610と、ヘッドライト制御装置620とを備えている。ヘッドライト装置610は、ヘッドライト112と、LCD制御部312と、LCDパネル612とを備えている。ヘッドライト制御装置620は、赤外線カメラ122と、温度センサー222と、熱判定部422と、点灯切替部126と、ビーム方向制御部324とを備えている。
【0107】
LCDパネル612は、光変調面としてのパネル面にヘッドライト112の照射光が照射されるように該照射光の光路上に配置され、LCD512と同様の透過型のLCDパネルである。LCDパネル612は、各画素がオン又はオフに制御されることにより、ヘッドライト112の照射光を透過するか否かが決定される。
【0108】
第6の実施形態では、第4の実施形態と同様に、環境温度との温度差に基づいて、赤外線カメラ122により撮像された熱画像から検知される熱源が存在する照射エリアに対応するLCDパネル612のパネル面のエリア毎に、ヘッドライト112の照射範囲を切り替える。こうすることで、ハイビーム照射エリア内であっても、エリア単位で、前方車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの照射光を確実に照射しないようにすることができ、非常にきめ細やかな照射範囲の切替制御が可能となる。
【0109】
〔第7の実施形態〕
第3の実施形態〜第6の実施形態では、ハイビーム照射エリアを垂直方向に分割して得られる各照射エリアに対応したLCDパネルのパネル面のエリア毎に、ヘッドライト112の照射範囲を切り替える制御を行うものとして説明した。しかしながら、本発明に係る実施形態は、これに限定されるものではない。
【0110】
図11に、本発明の第7の実施形態におけるヘッドライトシステムの動作説明図を示す。図11は、図7と同様に、赤外線カメラ122によって撮像された熱画像の一例を表す。図11において、図7と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0111】
第7の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成は、第3の実施形態〜第6の実施形態のいずれかの実施形態におけるヘッドライトシステムの構成と同様である。このような第7の実施形態におけるヘッドライトシステムにおいて、赤外線カメラ122によって撮像された熱画像HIMG2内に、人P1,P2,P3、対向車C1、道路標識D1、信号機E1が存在するものとする。ここで、LCDパネルの制御を、例えば図11に示すように垂直方向及び水平方向に細分化して得られる4×16のブロックのブロック毎に制御するものとする。
【0112】
このとき、対向車C1は、エリア(9,2),(9,3),(10,2),(10,3)に跨って検出される。そのため、LCD制御部は、ハイビーム照射エリアHB1内のエリア(9,2),(9,3),(10,2),(10,3)に対応したLCDパネルのパネル面のエリアのみハイビームの照射光が照射されないように制御する。同様に、人P1の頭部がエリア(3,3)、人P3の頭部がエリア(6,2)、信号機E1がエリア(7,2)において検出される。そのため、LCD制御部は、ハイビーム照射エリアHB1内のエリア(3,3),(6,2),(7,2)に対応したLCDパネルのパネル面のエリアのみハイビームの照射光が照射されないように制御する。
【0113】
以上説明したように、第7の実施形態では、熱源が検知されるブロック単位でLCDパネルを制御する。このように、ブロック単位でハイビームの照射光の照射を制御することができるため、第3の実施形態〜第6の実施形態の効果に加えて、運転者にとって、より一層クリアな視界を提供することができるようになる。
【0114】
〔第8の実施形態〕
第7の実施形態では、ハイビーム照射エリアを垂直方向及び水平方向に分割して得られる各照射エリアに対応したLCDパネルのパネル面のエリア毎に、ヘッドライト112のハイビームの照射光をオン又はオフするものとして説明した。しかしながら、本発明に係る実施形態は、これに限定されるものではない。
【0115】
図12に、本発明の第8の実施形態におけるヘッドライトシステムの動作説明図を示す。図12は、図11の人P3の部分の拡大図を表す。
【0116】
第8の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成は、第3の実施形態〜第6の実施形態のいずれかの実施形態におけるヘッドライトシステムの構成と同様である。このような第8の実施形態におけるヘッドライトシステムでは、赤外線カメラ122によって撮像された熱画像内のハイビーム照射エリアをより高精細に細分化し、より細かく分割されたブロック毎に、LCDパネルの対応するエリアを階調制御する。具体的には、熱判定部は、予め設けられた複数の階調制御レベルのうち、熱画像内で検知された熱源の絶対温度、又は環境温度と熱源の温度との差に対応した階調制御レベルを決定する。この階調制御レベルを受けたビーム方向制御部は、LCD制御部に対して、該階調制御レベルに対応した階調を決定して通知する。LCD制御部は、決定した階調となるようにLCDパネルを駆動して階調制御を行う。
【0117】
以上説明したように、第8の実施形態によれば、LCDパネルの画素のオン又はオフの制御だけではなく、各画素の階調制御を行うことで、ハイビームの遮光度合いを変化させることができるようになる。これにより、第3の実施形態〜第6の実施形態の効果に加えて、例えば、検知された熱源の周囲も多少明るく保つことができるようになり、運転者から見て、人が歩いていることが確実に認識できるようになる。また、熱源と、熱源ではない部分との間に、階調を持たせることが可能となる。従って、被検出物が急な動作を行っても、眩しさを感じさせることがなくなるヘッドライトシステムを提供することができるようになる。
【0118】
〔第9の実施形態〕
第7の実施形態又は第8の実施形態では、ハイビーム照射エリアを垂直方向及び水平方向に分割して得られる各照射エリアに対応したLCDパネルのパネル面のエリア毎に、ヘッドライト112の照射範囲を切り替える制御を行うものとして説明した。しかしながら、本発明に係る実施形態は、これに限定されるものではない。
【0119】
図13に、本発明の第9の実施形態におけるヘッドライトシステムの動作説明図を示す。図13は、図7と同様に、赤外線カメラ122によって撮像された熱画像の一例を表す。図13において、図7と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0120】
第9の実施形態におけるヘッドライトシステムの構成は、第3の実施形態〜第6の実施形態のいずれかの実施形態におけるヘッドライトシステムの構成と同様である。このような第9の実施形態におけるヘッドライトシステムにおいて、赤外線カメラ122によって撮像された熱画像HIMG3内に、人P1,P2,P3、対向車C1、道路標識D1、信号機E1が存在するものとする。ここで、LCDパネルの制御を、例えば図13に示すように水平方向に4分割して得られるエリア毎に制御するものとする。
【0121】
このとき、対向車C1は、エリアAR0,AR1に跨って検出される。同様に、人P1,P3がエリアAR0,AR1、信号機E1がエリアAR1において検出される。そのため、LCD制御部は、ハイビーム照射エリアHB1内のエリアAR0,AR1に対応したLCDパネルのパネル面のエリアのみハイビームの照射光が照射されないように制御する。
【0122】
以上説明したように、第9の実施形態では、熱源が検知される水平方向に分割されたエリア単位でLCDパネルを制御する。このように、エリア単位でハイビームの照射光の照射を制御することができるため、被検出物に照射光を照射することなく、運転者にとって、より一層クリアな視界を提供することができるようになる。
【0123】
〔第10の実施形態〕
第3の実施形態〜第9の実施形態では、LCDパネルは、光変調面としてのパネル面の全部にヘッドライトの照射光が照射されるように該照射光の光路上に配置されるものとして説明したが、本発明に係る実施形態は、これらに限定されるものではない。
【0124】
第10の実施形態では、例えば第3の実施形態において、LCDパネルは、光変調面としてのパネル面の一部にヘッドライトの照射光が照射されるように該照射光の光路上に配置される。即ち、本発明に係る光変調装置としてのLCDパネルは、光変調面としてのパネル面の少なくとも一部にヘッドライトの照射光が照射されるように該照射光の光路上に配置されてもよい。第10の実施形態では、LCDパネルは、ハイビーム照射エリアに対応したLCDパネルのパネル面にのみヘッドライトの照射光が照射されるように該照射光の光路上に配置される。これにより、ハイビーム照射エリアについては上記の実施形態と同様に制御するのみで、ロービーム照射エリアには、LCDパネルを介在させることなく照射光を照射させることができ、ロービーム照射エリアの照度不足を容易に回避することができるようになる。
【0125】
以上説明したように、第10の実施形態によれば、ヘッドライトの照度を上げずに、前走車や対向車のみならず、人や動物等にも配慮したハイビームの照射が可能なヘッドライト装置、及びヘッドライトシステム等を提供することができるようになる。
【0126】
以上、本発明に係るヘッドライト制御装置、ヘッドライトシステム、及びヘッドライトシステムの制御方法等を上記のいずれかの実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記のいずれかの実施形態に限定されるものではない。例えば、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、次のような変形も可能である。
【0127】
(1)上記のいずれかの実施形態では、本発明に係る光変調装置として反射型又は透過型のLCDパネルを例に説明したが、本発明に係る光変調装置は、これらに限定されるものではない。本発明に係る光変調装置は、マイクロミラーを用いたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造のデバイスであってもよく、高画素化が必要とされないため、反射率や透過率の優れた光変調装置として本発明に寄与することができる。
【0128】
(2)上記のいずれかの実施形態において、本発明に係るヘッドライトとして、ハロゲンバルブやHID(High Intensity Discharge)バルブ等の通常のバルブの単一光源を用いたものを採用することができる。また、本発明に係るヘッドライトとして、各光源の光量が独立して制御可能な複数の光源により構成されるものを採用してもよい。このとき、画素毎に制御可能な光変調装置と組み合わせることにより、ヘッドライト側でも光量を制御することができるようになるため、より一層きめ細かい制御が可能となる。
【0129】
(3)上記のいずれかの実施形態において、ヘッドライト制御装置の構成要素の一部又は全部がヘッドライト装置に内蔵されたり、ヘッドライト装置の構成要素の一部がヘッドライト制御装置に内蔵されたりしてもよい。
【0130】
(4)上記のいずれかの実施形態において、ハイビーム照射領域を垂直方向のみや、垂直方向及び水平方向、水平方向のみに分割する例を説明したが、その分割数に本発明が限定されるものではない。
【0131】
(5)上記のいずれかの実施形態において、本発明をヘッドライト制御装置、ヘッドライトシステム、及びヘッドライトシステムの制御方法等として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、本発明に係るヘッドライトシステムの制御方法の処理手順が記述されたプログラム、このプログラムが記録された記録媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0132】
1,100,200,300,400,500,600…ヘッドライトシステム、
12,112…ヘッドライト、 14,126…点灯切替部、
16,128,324…ビーム方向制御部、 18,126…ビーム方向切替部、
20…可視光カメラ、 22…車検知部、
110,210,310,410,510,610…ヘッドライト装置、
120,220,320,420,520,620…ヘッドライト制御装置、
122…赤外線カメラ(熱源検知部)、 124,224,322,422…熱判定部、
222…温度センサー、 312…LCD制御部(光変調制御装置)、
314,512,612…LCDパネル(光変調装置)、
BC0,BC1,BC2,BC3,BC4…切替制御信号、
BH0,BH1…切替操作信号、 C1…対向車、 D1…道路標識、 E1…信号機、
HB1…ハイビーム照射エリア、 HIMG1,HIMG2,HIMG3…熱画像、
LB1…ロービーム照射エリア、 P1,P2,P3…人、
TC0,TC1…点灯切替信号、 TK0,TK1…点灯操作信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドライトの照射範囲の熱源を検知する熱源検知部と、
前記熱源検知部の検知結果に応じて、前記ヘッドライトの照射範囲を切り替える制御を行う照射範囲切替部とを含むことを特徴とするヘッドライト制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
環境温度を検出する温度センサーを含み、
前記照射範囲切替部は、
前記温度センサーによって検出された前記環境温度と、前記熱源検知部によって検知された前記熱源の温度との差に基づく前記熱源の検知結果に応じて、前記ヘッドライトの照射範囲を切り替える制御を行うことを特徴とするヘッドライト制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記照射範囲切替部は、
前記ヘッドライトの照射範囲の熱源を検知したとき、前記ヘッドライトの照射光が前記熱源に照射されないように照射範囲を切り替える制御を行うことを特徴とするヘッドライト制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか記載のヘッドライト制御装置と、
前記ヘッドライト制御装置によって照射範囲が切り替えられる前記ヘッドライトとを含むことを特徴とするヘッドライトシステム。
【請求項5】
請求項4において、
パネル面の少なくとも一部に前記ヘッドライトの照射光が照射されるように前記照射光の光路上に配置され、該照射光の照射位置に応じて光変調率の制御が可能に構成される透過型又は反射型の液晶表示パネルを含み、
前記熱源検知部の画素数が、前記液晶表示パネルの画素数以上であることを特徴とするヘッドライトシステム。
【請求項6】
請求項5において、
前記ヘッドライトのハイビーム照射エリアを複数の照射エリアに分割して、各照射エリアに対応する前記液晶表示パネルのパネル面のエリア毎に、透過又は反射する光量を制御する光変調制御装置を含み、
前記照射範囲切替部は、
前記光変調制御装置に対し、前記照射範囲内の熱源が存在する照射エリアに基づいて、前記液晶表示パネルのパネル面のエリア毎に、前記照射範囲を切り替える制御を行うことを特徴とするヘッドライトシステム。
【請求項7】
請求項6において、
前記複数の照射エリアは、
前記ハイビーム照射エリアを垂直方向に分割したエリアであることを特徴とするヘッドライトシステム。
【請求項8】
請求項6において、
前記複数の照射エリアは、
前記ハイビーム照射エリアを水平方向に分割したエリアであることを特徴とするヘッドライトシステム。
【請求項9】
請求項6において、
前記複数の照射エリアは、
前記ハイビーム照射エリアを垂直方向及び水平方向に分割したエリアであることを特徴とするヘッドライトシステム。
【請求項10】
ヘッドライトシステムの照射範囲の熱源を検知する熱源検知ステップと、
前記熱源検知ステップの検知結果に応じて、前記ヘッドライトの照射範囲を切り替える制御を行う照射範囲切替ステップとを含むことを特徴とするヘッドライトシステムの制御方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記照射範囲切替ステップは、
環境温度と、前記熱源検知ステップにおいて検知された前記熱源の温度との差に基づく前記熱源の検知結果に応じて、前記ヘッドライトの照射範囲を切り替える制御を行うことを特徴とするヘッドライトシステムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−86739(P2013−86739A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231424(P2011−231424)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】