ヘッドランプシステム
【課題】夜間走行時に運転者が車両の前方に位置する障害物に対する視認性をより向上させ得るヘッドランプシステムを提供する。
【解決手段】
本発明は、ヘッドランプシステムに関し、ヘッドライトと、車両の前方に照射される照射領域を異にする複数個の光学モジュールを備えるスポットライトユニットを備えるヘッドランプとを含み、前記複数個の光学モジュールのうち、車両前方の障害物の位置に該当する照射領域を有する光学モジュールが点滅し、さらにその点滅する点滅周期が車両の速度に応じて変化することを特徴とする。このような構成により、本発明は、点滅するビームを介して視覚的に注意が換気され障害物の視認性を高めることができる。さらに、点滅する点滅周期を車両の速度に応じて変化させることにより、車両の速度に関係なく運転者の視認性を高めることができる。
【解決手段】
本発明は、ヘッドランプシステムに関し、ヘッドライトと、車両の前方に照射される照射領域を異にする複数個の光学モジュールを備えるスポットライトユニットを備えるヘッドランプとを含み、前記複数個の光学モジュールのうち、車両前方の障害物の位置に該当する照射領域を有する光学モジュールが点滅し、さらにその点滅する点滅周期が車両の速度に応じて変化することを特徴とする。このような構成により、本発明は、点滅するビームを介して視覚的に注意が換気され障害物の視認性を高めることができる。さらに、点滅する点滅周期を車両の速度に応じて変化させることにより、車両の速度に関係なく運転者の視認性を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドランプシステムに係り、より詳しくは、車両の前方に設けられ夜間に前方の障害物を感知し、障害物に対しスポットライト(spot light)を照射するヘッドランプシステムであって、スポットライトを点滅させ、さらに車両の走行速度に応じてスポットライトの点滅周期を変化させることにより、夜間走行時に運転者が障害物を視認する能力である視認性を向上させ得るヘッドランプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ヘッドランプシステムは、夜間走行時に障害物を発見した場合、障害物が存在する領域に対し光を照射することにより、運転者が障害物の存在を視認することができるようにしている。
具体的に、特開第2010−095205号公号に開示されたヘッドランプシステムは、図1に示す通り、夜間に前方へビームが照射されるヘッドライト2と、ヘッドライト2の側部に配置されるスポットライト(spot light)ユニット3とを備えている。このスポットライトユニット3には、複数個の光学モジュール(R1乃至R6)が備えられており、光学モジュール(R1乃至R6)は、図2に示す通り、前方へ照射されるそれぞれの照射領域を有している。
【0003】
このような従来のヘッドランプシステムは、前方の歩行者などの障害物を認識する場合、障害物の位置する領域に該当する光学モジュールを点灯して障害物を照射することにより、運転者が障害物を認識する。
さらに、従来のヘッドランプシステムは、感知された障害物が歩行者の場合は当該領域を照らす光学モジュールを点灯し、障害物が車両の場合は光学モジュールを消灯するなどの方法で運転者が障害物を認識する。
【0004】
しかし、従来のヘッドランプシステムは、スポットライトユニットの当該光学モジュールを点灯するなどの単純な操作により障害物を認識するため、運転者に警戒心を起こすことができないとの問題点がある。これにより運転者の障害物に対する視認性が低下し、ヘッドランプシステムのスポットライトユニットの機能を正常に活用することができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開第2010−095205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の技術の問題点を解決するためになされたものであって、夜間走行時に運転者が車両の前方に位置する障害物に対する視認性をより向上させ得るヘッドランプシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ヘッドランプシステムに関するものであって、ヘッドライトと、車両の前方に照射される照射領域を異にする複数個の光学モジュールを装着したスポットライトユニットを備えるヘッドランプとを含み、前記複数個の光学モジュールのうち、車両前方の障害物の位置に該当する照射領域を有する光学モジュールが点滅し、さらにその点滅する点滅周期が車両の速度に応じて変化することを特徴とする。
【0008】
このような構成により、本発明は、点滅するビームを介して視覚的に注意が喚起され障害物に対する視認性を高めることができる。さらに、点滅する点滅周期を車両の速度に応じて変化させることにより、車両の速度に係わりなく運転者の視認性を高めることができる。
さらに、本発明に係るヘッドランプシステムにおいて、前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は車両の速度に比例し、点滅回数は同一であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るヘッドランプシステムにおいて、前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期及び点滅回数が車両の速度に比例することを特徴とする。
さらに、本発明に係わるヘッドランプシステムにおいて、前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は低速区間で一定であってもよく、高速区間で一定であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の夜間走行時に前方に存在する障害物の位置を感知し、その位置に該当する照射領域に対してビームを点滅させることで、運転者が障害物の存在をより効率的に認識することができる。
さらに、本発明は、障害物の存在する位置に照射されるビームの点滅周期を車両の速度に応じて変化させることにより、運転者が容易に障害物を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来のヘッドランプシステムのヘッドランプを示す図である。
【図2】図1の従来のヘッドランプシステムの作用を説明する図である。
【図3】本発明に係るヘッドランプシステムを示す図である。
【図4】図3のヘッドランプを示す図である。
【図5】本発明に係るヘッドランプシステムの作用を示す図である。
【図6】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期を示す図である。
【図7】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期の変化を示す図である。
【図8】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期の変化に対する多様な実施形態を示す図である。
【図9】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期の変化に対する多様な実施形態を示す図である。
【図10】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期の変化に対する多様な実施形態を示す図である。
【図11】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期の変化に対する多様な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、本発明に係るヘッドランプシステムについて具体的に説明する。
図3に示す通り、本発明に係るヘッドランプシステムは、ヘッドランプ100、赤外線放射器200、赤外線カメラ300、速度感知手段400及び制御部500を含む。
ヘッドランプ100は、図3及び図4に示す通り、夜間に前方へ一定の領域にビームを照射するヘッドライト110と、ヘッドライト110の側部に設けられるスポットライトユニット120とを備える。スポットライトユニット120は、複数個の光学モジュール121〜124(本実施形態では4つである)を含んでいる。複数個の光学モジュール121〜124から放射されるビームは、図5に示す通り、車両の前方で照射領域を異にする。車両の前方に障害物の位置が認識されると、障害物の位置する領域に該当する照射領域を有する光学モジュールが点滅する。具体的に、図5に示す通り、2番の照射領域で障害物が位置していると判断される場合、2番に該当する照射領域を有する光学モジュール122が点滅する。
【0013】
赤外線放射器200は、図3に示す通り、車両の前方に設けられ赤外線を放射する。放射された赤外線は、車両の前方に存在する障害物に衝突したあと反射される。
赤外線カメラ300は、図3に示す通り車両の前方に設けられ、赤外線放射器200から放射された赤外線を利用して車両の前方を撮影し映像データを得る。
速度感知手段400は車両の速度を感知するためのものであって、図3に示す通り、自動車ホイールの回転数を感知するセンサである。さらに、車両の速度は、車両の中央処理装置であるECUに格納されるデータをそのまま利用することができる。
【0014】
制御部500は車両の電子機器を制御するECUであって、本発明では赤外線カメラ300を介して得られた車両前方に対する映像データと、速度感知手段400から得られた車両速度データとの入力を受け、これに基づきヘッドランプ100のスポットライトユニット120の点滅を制御する。
具体的に、本発明において制御部500は、赤外線カメラ300から得られる映像データを分析して車両の前方に存在する障害物の位置を分析し、スポットライトユニット120の光学モジュール121〜124のうち、その位置に該当する照射領域を有する光学モジュール(図5では122)を点滅させる。即ち、制御部500は、当該光学モジュール122に対して点灯及び消灯を繰り返させることになる。障害物の存在する領域にビームが点灯と消灯を繰り返すため、運転者は視覚的に喚起されより注意を傾けることになり、したがって障害物の視認性が上昇する。
【0015】
一方、光学モジュール122の点滅周期を図6の(a)のように一定にする場合、車両の速度が増加すれば点滅周期が減少する。これにより、むしろ運転者が障害物を確認することができる確率が低下する。具体的に、車両と障害物との間の距離を一定にして点滅周期を一定にする場合、低速区間(例えば、時速30km以下の区間)では秒当たり12回の点滅回数となるが、中速区間(例えば、時速30km〜90kmの区間)では秒当たり6回の点滅回数となり、さらに高速区間(例えば、90km以上の区間)では秒当たり4回の点滅回数となる。
【0016】
即ち、車両の速度が増加すれば、図6の(b)に示す通り、点滅回数が非線形的に減少する。したがって、点滅周期を車両の速度と関係なく等しくすれば、点滅回数が多い低速区間の速度で走行する場合は運転者が十分障害物を認識することができるが、点滅回数が少ない中速区間や高速区間の速度で走行する場合は運転者が十分障害物を認識することができないこともある。したがって、本発明は、障害物の存在する位置に該当する照射領域を有する光学モジュールを点滅させるものの、速度感知手段400によって測定された車両の速度を考慮して点滅周期を変化させることにより、運転者が障害物を十分認識することができるようにする。具体的に、図7に示す通り、低速区間、中速区間及び高速区間の速度に対して比例的に点滅周期を増加させるように制御する。
【0017】
即ち、図8(a)に示す通り、点滅周期と車両の速度との関係を点滅周期=a速度(a:定数)に設定すれば、車両の速度に応じて点滅周期が増加するが、点滅回数は車両の速度と関係なく一定になる。さらに、図8の(b)に示す通り、点滅周期と車両の速度との関係を点滅周期=a速度b(a、b:定数)に設定すれば、車両の速度に応じて点滅周期が増加することになり、さらに点滅回数も増加する。したがって、運転者は速度が増加しても障害物を確実に認識することができる。
【0018】
さらに、図9に示す通り、低速区間では速度と関係なく一定の点滅周期を有するようにし、中速区間及び高速区間に対してのみ図8(a)及び(b)に適用された点滅周期と速度との関係式を適用することができる。低速区間では、点滅周期を一定にしても速度の増加に伴う点滅回数の減少が大きくないため、低速区間では速度に応じて点滅周期を変化させなくても、運転者が障害物を確実に認識することができる。
【0019】
なお、図10に示す通り、高速区間に対して速度に関係なく一定の点滅周期を有するようにし、低速区間及び中速区間に対してのみ図8(a)及び(b)に適用された点滅周期と速度との関係式を適用することもできる。これは図8(a)及び(b)のように、高速区間に対しては速度に応じて点滅周期を増加させると、高速区間で点滅周期が速過ぎることになり、却って運転者に眩しさを誘発するか不快感を与えることがある。したがって、図10では、高速区間に対してのみ速度に関係なく点滅周期を一定にし、高速区間で速度の増加に伴い点滅回数を減少させることにより、運転者が眩しさや不快感を感じなくする。
【0020】
さらに、図11に示す通り、低速区間及び高速区間に対して速度と関係なく点滅周期を一定にし、中速区間に対してのみ図8(a)及び(b)に適用された点滅周期と速度との関係式を適用することも可能である。
以上のように、本発明は、車両の夜間走行時に前方に存在する障害物の位置を感知し、その位置に該当する照射領域に対してビームを点滅させることにより、運転者が障害物の存在をより効率的に認識することができるようにする。
さらに、本発明は、障害物の存在する位置に照射されるビームの点滅周期を車両の速度に応じて変化させることにより、運転者が容易に障害物を認識することができるようにする。
【符号の説明】
【0021】
100 ヘッドランプ
110 ヘッドライト
120 スポットライトユニット
121〜124 光学モジュール
200 赤外線放射器
300 赤外線カメラ
400 速度感知手段
500 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドランプシステムに係り、より詳しくは、車両の前方に設けられ夜間に前方の障害物を感知し、障害物に対しスポットライト(spot light)を照射するヘッドランプシステムであって、スポットライトを点滅させ、さらに車両の走行速度に応じてスポットライトの点滅周期を変化させることにより、夜間走行時に運転者が障害物を視認する能力である視認性を向上させ得るヘッドランプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ヘッドランプシステムは、夜間走行時に障害物を発見した場合、障害物が存在する領域に対し光を照射することにより、運転者が障害物の存在を視認することができるようにしている。
具体的に、特開第2010−095205号公号に開示されたヘッドランプシステムは、図1に示す通り、夜間に前方へビームが照射されるヘッドライト2と、ヘッドライト2の側部に配置されるスポットライト(spot light)ユニット3とを備えている。このスポットライトユニット3には、複数個の光学モジュール(R1乃至R6)が備えられており、光学モジュール(R1乃至R6)は、図2に示す通り、前方へ照射されるそれぞれの照射領域を有している。
【0003】
このような従来のヘッドランプシステムは、前方の歩行者などの障害物を認識する場合、障害物の位置する領域に該当する光学モジュールを点灯して障害物を照射することにより、運転者が障害物を認識する。
さらに、従来のヘッドランプシステムは、感知された障害物が歩行者の場合は当該領域を照らす光学モジュールを点灯し、障害物が車両の場合は光学モジュールを消灯するなどの方法で運転者が障害物を認識する。
【0004】
しかし、従来のヘッドランプシステムは、スポットライトユニットの当該光学モジュールを点灯するなどの単純な操作により障害物を認識するため、運転者に警戒心を起こすことができないとの問題点がある。これにより運転者の障害物に対する視認性が低下し、ヘッドランプシステムのスポットライトユニットの機能を正常に活用することができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開第2010−095205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の技術の問題点を解決するためになされたものであって、夜間走行時に運転者が車両の前方に位置する障害物に対する視認性をより向上させ得るヘッドランプシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ヘッドランプシステムに関するものであって、ヘッドライトと、車両の前方に照射される照射領域を異にする複数個の光学モジュールを装着したスポットライトユニットを備えるヘッドランプとを含み、前記複数個の光学モジュールのうち、車両前方の障害物の位置に該当する照射領域を有する光学モジュールが点滅し、さらにその点滅する点滅周期が車両の速度に応じて変化することを特徴とする。
【0008】
このような構成により、本発明は、点滅するビームを介して視覚的に注意が喚起され障害物に対する視認性を高めることができる。さらに、点滅する点滅周期を車両の速度に応じて変化させることにより、車両の速度に係わりなく運転者の視認性を高めることができる。
さらに、本発明に係るヘッドランプシステムにおいて、前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は車両の速度に比例し、点滅回数は同一であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るヘッドランプシステムにおいて、前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期及び点滅回数が車両の速度に比例することを特徴とする。
さらに、本発明に係わるヘッドランプシステムにおいて、前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は低速区間で一定であってもよく、高速区間で一定であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の夜間走行時に前方に存在する障害物の位置を感知し、その位置に該当する照射領域に対してビームを点滅させることで、運転者が障害物の存在をより効率的に認識することができる。
さらに、本発明は、障害物の存在する位置に照射されるビームの点滅周期を車両の速度に応じて変化させることにより、運転者が容易に障害物を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来のヘッドランプシステムのヘッドランプを示す図である。
【図2】図1の従来のヘッドランプシステムの作用を説明する図である。
【図3】本発明に係るヘッドランプシステムを示す図である。
【図4】図3のヘッドランプを示す図である。
【図5】本発明に係るヘッドランプシステムの作用を示す図である。
【図6】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期を示す図である。
【図7】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期の変化を示す図である。
【図8】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期の変化に対する多様な実施形態を示す図である。
【図9】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期の変化に対する多様な実施形態を示す図である。
【図10】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期の変化に対する多様な実施形態を示す図である。
【図11】本発明に係るヘッドランプシステムの点滅周期の変化に対する多様な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、本発明に係るヘッドランプシステムについて具体的に説明する。
図3に示す通り、本発明に係るヘッドランプシステムは、ヘッドランプ100、赤外線放射器200、赤外線カメラ300、速度感知手段400及び制御部500を含む。
ヘッドランプ100は、図3及び図4に示す通り、夜間に前方へ一定の領域にビームを照射するヘッドライト110と、ヘッドライト110の側部に設けられるスポットライトユニット120とを備える。スポットライトユニット120は、複数個の光学モジュール121〜124(本実施形態では4つである)を含んでいる。複数個の光学モジュール121〜124から放射されるビームは、図5に示す通り、車両の前方で照射領域を異にする。車両の前方に障害物の位置が認識されると、障害物の位置する領域に該当する照射領域を有する光学モジュールが点滅する。具体的に、図5に示す通り、2番の照射領域で障害物が位置していると判断される場合、2番に該当する照射領域を有する光学モジュール122が点滅する。
【0013】
赤外線放射器200は、図3に示す通り、車両の前方に設けられ赤外線を放射する。放射された赤外線は、車両の前方に存在する障害物に衝突したあと反射される。
赤外線カメラ300は、図3に示す通り車両の前方に設けられ、赤外線放射器200から放射された赤外線を利用して車両の前方を撮影し映像データを得る。
速度感知手段400は車両の速度を感知するためのものであって、図3に示す通り、自動車ホイールの回転数を感知するセンサである。さらに、車両の速度は、車両の中央処理装置であるECUに格納されるデータをそのまま利用することができる。
【0014】
制御部500は車両の電子機器を制御するECUであって、本発明では赤外線カメラ300を介して得られた車両前方に対する映像データと、速度感知手段400から得られた車両速度データとの入力を受け、これに基づきヘッドランプ100のスポットライトユニット120の点滅を制御する。
具体的に、本発明において制御部500は、赤外線カメラ300から得られる映像データを分析して車両の前方に存在する障害物の位置を分析し、スポットライトユニット120の光学モジュール121〜124のうち、その位置に該当する照射領域を有する光学モジュール(図5では122)を点滅させる。即ち、制御部500は、当該光学モジュール122に対して点灯及び消灯を繰り返させることになる。障害物の存在する領域にビームが点灯と消灯を繰り返すため、運転者は視覚的に喚起されより注意を傾けることになり、したがって障害物の視認性が上昇する。
【0015】
一方、光学モジュール122の点滅周期を図6の(a)のように一定にする場合、車両の速度が増加すれば点滅周期が減少する。これにより、むしろ運転者が障害物を確認することができる確率が低下する。具体的に、車両と障害物との間の距離を一定にして点滅周期を一定にする場合、低速区間(例えば、時速30km以下の区間)では秒当たり12回の点滅回数となるが、中速区間(例えば、時速30km〜90kmの区間)では秒当たり6回の点滅回数となり、さらに高速区間(例えば、90km以上の区間)では秒当たり4回の点滅回数となる。
【0016】
即ち、車両の速度が増加すれば、図6の(b)に示す通り、点滅回数が非線形的に減少する。したがって、点滅周期を車両の速度と関係なく等しくすれば、点滅回数が多い低速区間の速度で走行する場合は運転者が十分障害物を認識することができるが、点滅回数が少ない中速区間や高速区間の速度で走行する場合は運転者が十分障害物を認識することができないこともある。したがって、本発明は、障害物の存在する位置に該当する照射領域を有する光学モジュールを点滅させるものの、速度感知手段400によって測定された車両の速度を考慮して点滅周期を変化させることにより、運転者が障害物を十分認識することができるようにする。具体的に、図7に示す通り、低速区間、中速区間及び高速区間の速度に対して比例的に点滅周期を増加させるように制御する。
【0017】
即ち、図8(a)に示す通り、点滅周期と車両の速度との関係を点滅周期=a速度(a:定数)に設定すれば、車両の速度に応じて点滅周期が増加するが、点滅回数は車両の速度と関係なく一定になる。さらに、図8の(b)に示す通り、点滅周期と車両の速度との関係を点滅周期=a速度b(a、b:定数)に設定すれば、車両の速度に応じて点滅周期が増加することになり、さらに点滅回数も増加する。したがって、運転者は速度が増加しても障害物を確実に認識することができる。
【0018】
さらに、図9に示す通り、低速区間では速度と関係なく一定の点滅周期を有するようにし、中速区間及び高速区間に対してのみ図8(a)及び(b)に適用された点滅周期と速度との関係式を適用することができる。低速区間では、点滅周期を一定にしても速度の増加に伴う点滅回数の減少が大きくないため、低速区間では速度に応じて点滅周期を変化させなくても、運転者が障害物を確実に認識することができる。
【0019】
なお、図10に示す通り、高速区間に対して速度に関係なく一定の点滅周期を有するようにし、低速区間及び中速区間に対してのみ図8(a)及び(b)に適用された点滅周期と速度との関係式を適用することもできる。これは図8(a)及び(b)のように、高速区間に対しては速度に応じて点滅周期を増加させると、高速区間で点滅周期が速過ぎることになり、却って運転者に眩しさを誘発するか不快感を与えることがある。したがって、図10では、高速区間に対してのみ速度に関係なく点滅周期を一定にし、高速区間で速度の増加に伴い点滅回数を減少させることにより、運転者が眩しさや不快感を感じなくする。
【0020】
さらに、図11に示す通り、低速区間及び高速区間に対して速度と関係なく点滅周期を一定にし、中速区間に対してのみ図8(a)及び(b)に適用された点滅周期と速度との関係式を適用することも可能である。
以上のように、本発明は、車両の夜間走行時に前方に存在する障害物の位置を感知し、その位置に該当する照射領域に対してビームを点滅させることにより、運転者が障害物の存在をより効率的に認識することができるようにする。
さらに、本発明は、障害物の存在する位置に照射されるビームの点滅周期を車両の速度に応じて変化させることにより、運転者が容易に障害物を認識することができるようにする。
【符号の説明】
【0021】
100 ヘッドランプ
110 ヘッドライト
120 スポットライトユニット
121〜124 光学モジュール
200 赤外線放射器
300 赤外線カメラ
400 速度感知手段
500 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドライトと、車両の前方に照射される照射領域を異にする複数個の光学モジュールを装着したスポットライトユニットを備えるヘッドランプとを含み、
前記複数個の光学モジュールのうち、車両前方の障害物の位置に該当する照射領域を有する光学モジュールが点滅し、さらにその点滅する点滅周期が車両の速度に応じて変化することを特徴とするヘッドランプシステム。
【請求項2】
前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は車両の速度に比例し、点滅回数は同一であることを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプシステム。
【請求項3】
前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期及び点滅回数が車両の速度に比例することを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプシステム。
【請求項4】
前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は、低速区間で一定であることを特徴とする請求項2又は3に記載のヘッドランプシステム。
【請求項5】
前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は、高速区間で一定であることを特徴とする請求項2又は3に記載のヘッドランプシステム。
【請求項6】
前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は、低速区間及び高速区間で一定であることを特徴とする請求項2又は3に記載のヘッドランプシステム。
【請求項1】
ヘッドライトと、車両の前方に照射される照射領域を異にする複数個の光学モジュールを装着したスポットライトユニットを備えるヘッドランプとを含み、
前記複数個の光学モジュールのうち、車両前方の障害物の位置に該当する照射領域を有する光学モジュールが点滅し、さらにその点滅する点滅周期が車両の速度に応じて変化することを特徴とするヘッドランプシステム。
【請求項2】
前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は車両の速度に比例し、点滅回数は同一であることを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプシステム。
【請求項3】
前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期及び点滅回数が車両の速度に比例することを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプシステム。
【請求項4】
前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は、低速区間で一定であることを特徴とする請求項2又は3に記載のヘッドランプシステム。
【請求項5】
前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は、高速区間で一定であることを特徴とする請求項2又は3に記載のヘッドランプシステム。
【請求項6】
前記スポットライトユニットの光学モジュールの点滅周期は、低速区間及び高速区間で一定であることを特徴とする請求項2又は3に記載のヘッドランプシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−103711(P2013−103711A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193848(P2012−193848)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(512229883)エスエルライティング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(512229883)エスエルライティング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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