説明

ヘッド取付装置、ヘッド取付方法、基板加工装置、ヘッド位置決め方法

【課題】ヘッドの高精度位置決めに係る装置費用負担及び作業負担を低減させる。
【解決手段】ヘッド取付装置1は、スケール読取部9によって、ヘッド固定治具13のスケール19を読み取りながら、ヘッド固定治具13をスライドレール5に沿って移動させ、ヘッド固定治具13側の基準点61とヘッド取付装置1側の基準点63とを位置合わせする。ヘッド取付装置1は、カメラ11によって、ヘッド21のノズル口22の位置計測を行ってヘッド21の位置決めを行い、ヘッド21をヘッド固定治具13に接着剤等によって固定する。基板加工装置31は、スケール読取部57によって、ヘッド固定治具13のスケール19を読み取りながら、ヘッド固定治具13をスライドレール53に沿って移動させ、ヘッド固定治具13側の基準点61と基板加工装置31側の基準点65とを位置合わせし、ヘッド固定治具13を支持部材51に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッド固定治具にヘッドを固定するヘッド取付装置、基板に加工処理を行うヘッドを備える基板加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板加工装置は、ガラス基板等の薄板状の基板をステージ上に載置し、当該ステージを介して位置決めを行い、基板上に精密パターニング加工を行う。基板上にパターン形成を行う場合、相当の精度が要求される。従って、加工処理時に加工対象の基板を定盤上の所定の位置に精度よく載置するだけでなく、加工処理前の段取り時において、加工処理を行うインクジェットヘッド等のヘッドを高精度に位置決めして基板加工装置に組み付ける必要がある。
【0003】
また、ヘッド固定治具へのヘッドの固定に関しては、ノズル口位置を計測し、ノズル口位置を基準として位置決めした後に、ヘッドが接着剤等で固定される(例えば、[特許文献1]参照。)。
また、基板加工装置へのヘッドの装着に関しては、支持部材に移動可能に取り付けられたヘッドを移動させて、ヘッドの位置決めが行われる(例えば、[特許文献2]参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−239560号公報
【特許文献2】特開2006−43682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のヘッド固定治具へのヘッドの固定及び基板加工装置へのヘッドの装着では、ノズル口位置を基準としてヘッドを高精度にヘッド固定治具に取り付けても、当該固定治具を基板加工装置に装着する際に、再度、ノズル口位置を計測して位置決めを行う必要があり、計測装置の費用負担や作業負担が増大するという問題点がある。また、基板加工装置へのヘッド装着時において、基準とするノズル口位置を探索する手段が必要であるという問題点がある。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、ヘッドの高精度位置決めに係る装置費用負担及び作業負担を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために第1の発明は、少なくとも1つのノズル口を有するヘッドをヘッド固定治具に取り付けて固定するヘッド取付装置であって、前記ヘッド固定治具を支持する支持部材と、前記ヘッド固定治具の位置を測長する測長手段と、前記支持部材に支持される前記ヘッド固定治具を移動させる移動手段と、前記ヘッドのノズル口の位置を計測するノズル口位置計測手段と、を具備することを特徴とするヘッド取付装置である。
【0008】
第2の発明は、基板の加工処理を行う少なくとも1つのヘッドを備える基板加工装置であって、前記ヘッドが固定されたヘッド固定治具を支持する支持部材と、前記ヘッド固定治具の位置を測長する測長手段と、前記支持部材に支持されたヘッド固定治具を移動させる移動手段と、を具備することを特徴とする基板加工装置である。
【0009】
ヘッド取付装置は、支持部材によって、ヘッド固定治具を移動可能に支持し、ヘッド固定治具の位置を測長し、測長結果に基づいてヘッド固定治具を移動させて位置決めする。また、ヘッド取付装置は、ヘッドのノズル口の位置を計測して位置決めし、接着剤等を用いてヘッド固定治具にヘッドを取り付ける。
基板加工装置は、支持部材によって、ヘッドが固定されたヘッド固定治具を移動可能に支持し、ヘッド固定治具の位置を測長し、測定結果に基づいてヘッド固定治具を移動させて位置決めする。
【0010】
基板加工装置は、ヘッドにより基材に加工処理を行ってパターン形成を行う装置である。基板加工装置は、例えば、インクジェット塗布装置やレーザ描画装置である。ヘッドは、複数のノズルを有する。ヘッドは、例えば、インクジェットヘッドやレーザ照射ヘッドである。基材は、パターン形成対象の基材であり、例えば、ガラス基板である。基板加工装置は、有機EL(organic ElectroLuminescence)素子やカラーフィルタ等の表示装置構成部材を製造する。
【0011】
第1の発明及び第2の発明では、ヘッド取付装置だけでなく基板加工装置においても、ヘッド固定治具が備えるスケールの基準点(ゼロ点)に基づいて位置決めが行われるので、基板加工装置においてヘッドのノズル口位置を再度計測しなくても、ヘッドのノズル口を高精度に位置決めすることができる。また、ヘッド固定治具は位置決めブロックとしての精度を必要としない。これにより、ヘッドの高精度位置決めに係る装置費用負担及び作業負担を低減させることができる。
【0012】
また、ヘッド取付装置及び基板加工装置は、ヘッド固定治具の基準点を測長し、ヘッド固定治具の基準点を支持部材の基準点に位置合わせして、ヘッド固定治具の位置決めを行ってもよい。
また、ヘッド取付装置は、ヘッド固定治具の基準点と支持部材の基準点との間のオフセット量を測長し、測長されたオフセット量をヘッド固定治具の取り付け先の基板加工装置に出力し、基板加工装置は、ヘッド取付装置から取得したオフセット量を設定してヘッド固定治具の位置決めを行ってもよい。この場合は、ヘッド取付装置において必ずしもヘッド固定治具の位置決めを行う必要はない。
【0013】
また、測長に関しては、ヘッド固定治具にスケールを設け、当該スケールをスケール読取装置(ピックアップ装置)により読み取ることが望ましい。
また、ヘッド固定治具を移動させるための駆動源としてリニアモータを用いてもよい。
【0014】
第3の発明は、少なくとも1つのノズル口を有するヘッドをヘッド固定治具に取り付けて固定するヘッド取付方法であって、前記ヘッド固定治具を支持部材に支持させる支持ステップと、前記ヘッド固定治具の位置を測長する測長ステップと、前記支持部材に支持される前記ヘッド固定治具を移動させる移動ステップと、前記ヘッドのノズル口の位置を計測するノズル口位置計測ステップと、を具備することを特徴とするヘッド取付方法である。
【0015】
第3の発明は、少なくとも1つのノズル口を有するヘッドをヘッド固定治具に取り付けて固定するヘッド取付方法に関する発明である。
【0016】
第4の発明は、基板の加工処理を行う基板加工装置に少なくとも1つ設けられるヘッドの位置決めを行うヘッド位置決め方法であって、前記ヘッドが固定されたヘッド固定治具を支持部材に支持させる支持ステップと、前記ヘッド固定治具の位置を測長する測長ステップと、前記支持部材に支持されたヘッド固定治具を移動させる移動ステップと、を具備することを特徴とするヘッド位置決め方法である。
【0017】
第4の発明は、基板の加工処理を行う基板加工装置に少なくとも1つ設けられるヘッドの位置決めを行うヘッド位置決め方法に関する発明である。
ヘッド固定治具へのヘッド取付に関しては、第3の発明のヘッド取付方法を用いることが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ヘッドの高精度位置決めに係る装置費用負担及び作業負担を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係るヘッド取付装置及び基板加工装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0020】
(1.ヘッド取付装置1の構成)
最初に、図1〜図3を参照しながら、本発明の実施形態に係るヘッド取付装置1の構成について説明する。
図1は、ヘッド取付装置1の構成図である。図1(a)は、側面図であり、図1(b)は、正面図である。
図2は、ヘッド取付装置1を内側下方からみた斜視図である。
図3は、ヘッド取付装置1に取り付けられるヘッド固定治具13を示す斜視図である。
【0021】
ヘッド取付装置1は、支持部材3にスライドレール5及びコイル7及びスケール読取部9及びカメラ11が設けられて構成される。ヘッド取付装置1は、ヘッド固定治具13にヘッド21の貼付を行う際に、ヘッド固定治具13を支持する装置である。
スライドレール5は、移動軸である。コイル7は、誘導コイル等のリニアモータの固定子である。スケール読取部9は、スケールを読み取るピックアップ装置である。カメラ11は、位置計測用の撮像装置である。カメラ11は、ヘッド21のノズル口22を撮像して位置計測を行う。
【0022】
ヘッド固定治具13は、スライダ15及び磁石17及びスケール19を備える。ヘッド固定治具13は、ヘッド21を固定する治具である。
ヘッド21は、インクジェットヘッドであり、インクを吐出する複数のノズル口22を有する。ヘッド21は、接着剤等を用いてヘッド固定治具13に固定される。
スライダ15は、ヘッド取付装置1のスライドレール5に沿って移動する可動部材である。スライダ15は、ヘッド取付装置1のスライドレール5と共に移動装置を構成する。
磁石17は、永久磁石等のリニアモータの可動子である。磁石17は、ヘッド取付装置1のコイル7と共にリニアモータを構成する。
スケール19は、スケール目盛や基準位置を示す測長用部材である。スケール19は、ヘッド取付装置1のスケール読取部9と共に測長装置を構成する。
【0023】
(2.基板加工装置31の構成)
次に、図4〜図6を参照しながら、本発明の実施形態に係る基板加工装置31の構成について説明する。
図4は、基板加工装置31の概略斜視図である。
尚、X方向は基板33の搬送方向を示し、Y方向は加工装置43の移動方向や基板33あるいは吸着盤34の幅方向を示し、Z方向は鉛直方向回転軸を示し、θ方向はその回転方向を示す。X軸、Y軸、Z軸は、互いに直角をなす。
【0024】
基板加工装置31は、X方向移動装置35、θ方向回転装置37、エア浮上装置41、加工装置43、Y方向移動装置39、アライメントカメラ47、ガントリ45、ベース44等から構成される。
【0025】
基板加工装置31は、基板33に対して加工装置43により加工処理を施し、カラーフィルタ、電子回路等の微細ピッチのパターン等を形成する装置である。
基板33は、加工処理の対象物であり、例えば、ガラス基板、シリコンウェハ、プリント基板等の基板である。
【0026】
X方向移動装置35は、ベース44のX方向中央部に設置される。X方向移動装置35は、基板33を支持し、X方向に移動させると共に、X方向の位置決めを行う装置である。X方向移動装置35は、ガイド機構及び移動用アクチュエータを備える。ガイド機構は、例えば、スライダ及びスライドレール、エアースライドである。移動用アクチュエータは、例えば、ステップモータ、サーボモータ、リニアモータである。
【0027】
θ方向回転装置37は、X方向移動装置35の上部に設けられ、X方向に移動可能である。θ方向回転装置37の上部には、吸着盤34が設けられる。θ方向回転装置37は、吸着盤34に吸着された基板33をθ方向に回転させてアライメント処理を行う。θ方向回転装置37は、例えば、フリーベアリングやダイレクトドライブモータである。
【0028】
吸着盤34は、基板33を吸着して固定支持する装置である。基板33の吸着は、吸着盤34と基板33との間の空気を減圧あるいは真空にすることにより行われる(バキューム、吸気)。吸着盤34には、空気を吸引するための小孔(図示しない)が設けられる。
【0029】
エア浮上装置41は、エアフロートであり、基板33を空気圧で押し上げあるいは吸引することにより、非接触に支持する装置である。エア浮上装置41は、複数のエアフロートユニットや多孔質板等により構成することができる。エア浮上装置41は、所定のZ方向精度(基板33と加工装置43との間の相対距離精度)を実現する。
【0030】
加工装置43は、基板33に対して加工処理を施す装置であり、例えば、インクジェットヘッドユニット、ダイコートユニット、レーザ照射ヘッドユニット等である。加工装置43は、Y方向移動装置39を介してガントリ45に設けられる。Y方向移動装置39は、加工装置43をY方向に移動させて位置決めを行う。
【0031】
アライメントカメラ47は、θ方向回転装置37に吸着固定された基板33のθ方向角度及びXY座標を検出するために、基板33の所定箇所(基板上に形成されるアライメントマークやパターン等)を撮像するカメラである。アライメントカメラ47は、基板加工装置31のフレーム49に固定支持される。アライメントカメラ47を複数設けてもよいし、異なる視野(例えば、高精度用、粗精度用)のアライメントカメラ47を設けるようにしてもよい。
【0032】
図5は、加工装置43を下方から見た斜視図である。
図6は、加工装置43を側方から見た図である。
【0033】
加工装置43は、支持部材51を有する。支持部材51には、スライドレール53及びコイル55及びスケール読取部57が設けられる。支持部材51は、ヘッド21が固定されたヘッド固定治具13を支持する部材である。支持部材51には、1つまたは複数のヘッド固定治具13が取り付けられる。
スライドレール53は、移動軸である。ヘッド固定治具13のスライダ15は、スライドレール53に沿って移動する。スライドレール53は、ヘッド固定治具13のスライダ15と共に移動装置を構成する。
コイル55は、誘導コイル等のリニアモータの固定子である。コイル55は、ヘッド固定治具13の磁石17と共にリニアモータを構成する。
スケール読取部57は、スケールを読み取るピックアップ装置である。スケール読取部57は、ヘッド固定治具13のスケール19と共に測長装置を構成する。
【0034】
(3.第1実施形態)
次に、図7及び図8を参照しながら、第1実施形態に係るヘッド取付装置1及び基板加工装置31の動作について説明する。
図7は、ヘッド取付装置1及び基板加工装置31の動作を示すフローチャートである。
図8は、ヘッド取付装置1及び基板加工装置31の動作の流れを示す模式図である。図8(a)は、ヘッド取付装置1における処理を示す。図8(b)は、基板加工装置31における処理を示す。
【0035】
ヘッド固定治具13は、スライダ15及びスライドレール5を介して、移動可能にヘッド取付装置1に取り付けられる。ヘッド取付装置1は、スケール読取部9によってヘッド固定治具13のスケール19を読み取りながら、ヘッド固定治具13をスライドレール5に沿って移動させる(ステップ101)。ヘッド取付装置1は、ヘッド固定治具13側の基準点61(ゼロ点)とヘッド取付装置1側の基準点63(支持部材3等に付された基準点)とを位置合わせする(ステップ102)。
【0036】
ヘッド取付装置1は、カメラ11によって、ヘッド21のノズル口22の位置計測を行い(ステップ103)、ヘッド固定治具13に対するヘッド21の位置決めを行う(ステップ104)。ヘッド21は、ヘッド固定治具13に接着剤等によって貼り付けられて固定される(ステップ105)。
ヘッド取付装置1は、続けて他のヘッド固定治具13にヘッド21の貼り付けを行う場合には、ステップ101からの処理を繰り返す(ステップ106のYES)。
【0037】
ヘッド21が固定されたヘッド固定治具13は、ヘッド取付装置1から取り外され、スライダ15及びスライドレール53を介して、移動可能に基板加工装置31の加工装置43に取り付けられる。
基板加工装置31は、スケール読取部57によってヘッド固定治具13のスケール19を読み取りながら、ヘッド固定治具13をスライドレール53に沿って移動させる(ステップ107)。基板加工装置31は、ヘッド固定治具13側の基準点61(ゼロ点)と基板加工装置31側の基準点65(支持部材51等に付された基準点)とを位置合わせし、ヘッド固定治具13を支持部材51に固定する(ステップ108)。
【0038】
以上の過程を経て、ヘッド取付装置1は、スケール読取部9によってヘッド固定治具13のスケール19を読み取り、ヘッド固定治具13側の基準点61(ゼロ点)とヘッド取付装置1側の基準点63とを位置合わせし、カメラ11によってヘッド21のノズル口22の位置計測を行って位置決めを行い、ヘッド21をヘッド固定治具13に固定する。基板加工装置31は、スケール読取部57によって、ヘッド固定治具13のスケール19を読み取り、ヘッド固定治具13側の基準点61(ゼロ点)と基板加工装置31側の基準点65とを位置合わせし、ヘッド固定治具13を支持部材51に固定する。
【0039】
このように、第1実施形態では、ヘッド取付装置だけでなく基板加工装置においても、ヘッド固定治具が備えるスケールの基準点(ゼロ点)に基づいて位置決めが行われるので、基板加工装置においてヘッドのノズル口位置を再度計測しなくても、ヘッドのノズル口を高精度に位置決めすることができる。また、ヘッド固定治具は位置決めブロックとしての精度を必要としない。これにより、ヘッドの高精度位置決めに係る装置費用負担及び作業負担を低減させることができる。
【0040】
(4.第2実施形態)
次に、図9及び図10を参照しながら、第2実施形態に係るヘッド取付装置1及び基板加工装置31の動作について説明する。
図9は、ヘッド取付装置1及び基板加工装置31の動作を示すフローチャートである。
図10は、ヘッド取付装置1及び基板加工装置31の動作の流れを示す模式図である。図10(a)は、ヘッド取付装置1における処理を示す。図10(b)は、基板加工装置31における処理を示す。
【0041】
ヘッド固定治具13は、スライダ15及びスライドレール5を介して、移動可能にヘッド取付装置1に取り付けられる。ヘッド取付装置1は、スケール読取部9によってヘッド固定治具13のスケール19を読み取る(ステップ201)。ヘッド取付装置1は、ヘッド固定治具13側の基準点61(ゼロ点)とヘッド取付装置1側の基準点63(支持部材3等に付された基準点)との間のオフセット量67を取得してメモリ等の記憶装置に保持する(ステップ202)。
【0042】
ヘッド取付装置1は、カメラ11によって、ヘッド21のノズル口22の位置計測を行い(ステップ203)、ヘッド固定治具13に対するヘッド21の位置決めを行う(ステップ204)。ヘッド21は、ヘッド固定治具13に接着剤等によって貼り付けられて固定される(ステップ205)。
ヘッド取付装置1は、続けて他のヘッド固定治具13にヘッド21の貼り付けを行う場合には(ステップ206のYES)、ステップ201からの処理を繰り返す。
ヘッド取付装置1は、ヘッド固定治具13へのヘッド21の貼り付けを終えた場合には(ステップ206のNO)、ステップ202の処理で取得したオフセット量67を基板加工装置31に送る(ステップ207)。
【0043】
ヘッド21が固定されたヘッド固定治具13は、ヘッド取付装置1から取り外され、スライダ15及びスライドレール53を介して、移動可能に基板加工装置31の加工装置43に取り付けられる。
基板加工装置31は、スケール読取部57によってヘッド固定治具13のスケール19を読み取りながら、ヘッド固定治具13をスライドレール53に沿って移動させる(ステップ208)。基板加工装置31は、ヘッド固定治具13側の基準点61(ゼロ点)と基板加工装置31側の基準点65(支持部材51等に付された基準点)とを、ヘッド取付装置1から送られたオフセット量67を設定して位置合わせし、ヘッド固定治具13を支持部材51に固定する(ステップ209)。
【0044】
以上の過程を経て、ヘッド取付装置1は、スケール読取部9によってヘッド固定治具13のスケール19を読み取り、ヘッド固定治具13側の基準点61(ゼロ点)とヘッド取付装置1側の基準点63との間のオフセット量67を取得して基板加工装置31に送り、カメラ11によってヘッド21のノズル口22の位置計測を行って位置決めを行い、ヘッド21をヘッド固定治具13に固定する。基板加工装置31は、スケール読取部57によって、ヘッド固定治具13のスケール19を読み取り、ヘッド固定治具13側の基準点61(ゼロ点)と基板加工装置31側の基準点65とを、オフセット量67を設定して位置合わせし、ヘッド固定治具13を支持部材51に固定する。
【0045】
このように、第2実施形態では、ヘッド固定治具側の基準点と基板加工装置側の基準点とを、ヘッド固定治具側の基準点とヘッド取付装置側の基準点との間のオフセット量を用いて位置合わせするので、基板加工装置においてヘッドのノズル口位置を再度計測しなくても、ヘッドのノズル口を高精度に位置決めすることができる。これにより、ヘッドの高精度位置決めに係る装置費用負担及び作業負担を低減させることができる。
また、第1実施形態では、ヘッド固定治具側の基準点とヘッド取付装置側の基準点とを位置合わせしたが、第2実施形態では、ヘッド取付装置はオフセット量を取得し、基板加工装置は当該オフセット量を用いて位置合わせするので、ヘッド取付装置において基準点の位置合わせを行う必要がない。
【0046】
(5.その他)
尚、ヘッド取付装置及び基板加工装置におけるヘッド固定治具の移動は、リニアモータを用いて行うものとして説明したがこれに限られない。他の駆動機構、例えば、ボールネジ及びサーボモータを用いてもよい。また、リニアモータを用いる場合には、上述の実施形態のように磁石可動形としてもよいし、コイル可動形としてもよい。ヘッド取付装置側及び基板加工装置側に電気系統を集約する場合、磁石可動形のリニアモータを用いることが望ましい。
また、ヘッドに関しては、インクジェットヘッドに限られず、レーザ照射ヘッド等、様々なヘッドを適用することができる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら、本発明にかかるヘッド取付装置及び基板加工装置の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ヘッド取付装置1の構成図
【図2】ヘッド取付装置1を内側下方からみた斜視図
【図3】ヘッド取付装置1に取り付けられるヘッド固定治具13を示す斜視図
【図4】基板加工装置31の概略斜視図
【図5】加工装置43を下方から見た斜視図
【図6】加工装置43を側方から見た図
【図7】ヘッド取付装置1及び基板加工装置31の動作を示すフローチャート(第1実施形態)
【図8】ヘッド取付装置1及び基板加工装置31の動作の流れを示す模式図(第1実施形態)
【図9】ヘッド取付装置1及び基板加工装置31の動作を示すフローチャート(第2実施形態)
【図10】ヘッド取付装置1及び基板加工装置31の動作の流れを示す模式図(第2実施形態)
【符号の説明】
【0049】
1………ヘッド取付装置
3………支持部材
5………スライドレール
7………コイル
9………スケール読取部
11………カメラ
13………ヘッド固定治具
15………スライダ
17………磁石
19………スケール
21………ヘッド
22………ノズル口
31………基板加工装置
43………加工装置
51………支持部材
53………スライドレール
55………コイル
57………スケール読取部
61………ヘッド固定治具13側の基準点(ゼロ点)
63………ヘッド取付装置1側の基準点
65………基板加工装置31側の基準点
67………オフセット量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのノズル口を有するヘッドをヘッド固定治具に取り付けて固定するヘッド取付装置であって、
前記ヘッド固定治具を支持する支持部材と、
前記ヘッド固定治具の位置を測長する測長手段と、
前記支持部材に支持される前記ヘッド固定治具を移動させる移動手段と、
前記ヘッドのノズル口の位置を計測するノズル口位置計測手段と、
を具備することを特徴とするヘッド取付装置。
【請求項2】
前記測長手段は、前記ヘッド固定治具の基準点を測長し、
前記移動手段は、前記ヘッド固定治具の基準点を前記支持部材の基準点に位置合わせすることを特徴とする請求項1に記載のヘッド取付装置。
【請求項3】
前記測長手段は、前記ヘッド固定治具の基準点と前記支持部材の基準点との間のオフセット量を測長し、前記測長されたオフセット量を前記ヘッド固定治具の取り付け先の装置に出力することを特徴とする請求項1に記載のヘッド取付装置。
【請求項4】
前記測長手段は、前記ヘッド固定治具に付されるスケールを読み取ることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のヘッド取付装置。
【請求項5】
前記移動手段は、駆動源としてリニアモータを用いることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のヘッド取付装置。
【請求項6】
基板の加工処理を行う少なくとも1つのヘッドを備える基板加工装置であって、
前記ヘッドが固定されたヘッド固定治具を支持する支持部材と、
前記ヘッド固定治具の位置を測長する測長手段と、
前記支持部材に支持されたヘッド固定治具を移動させる移動手段と、
を具備することを特徴とする基板加工装置。
【請求項7】
前記測長手段は、前記ヘッド固定治具の基準点を測長し、
前記移動手段は、前記ヘッド固定治具の基準点を前記支持部材の基準点に位置合わせすることを特徴とする請求項6に記載の基板加工装置。
【請求項8】
前記ヘッド固定治具の基準点と前記支持部材の基準点との間のオフセット量を取得するオフセット量取得手段を具備し、
前記測長手段は、前記ヘッド固定治具の基準点を測長し、
前記移動手段は、前記取得されたオフセット量を設定して、前記ヘッド固定治具の基準点と前記支持部材の基準点とを位置合わせすることを特徴とする請求項6に記載の基板加工装置。
【請求項9】
前記測長手段は、前記ヘッド固定治具に付されるスケールを読み取ることを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれかに記載の基板加工装置。
【請求項10】
前記移動手段は、駆動源としてリニアモータを用いることを特徴とする請求項6から請求項9までのいずれかに記載の基板加工装置。
【請求項11】
少なくとも1つのノズル口を有するヘッドをヘッド固定治具に取り付けて固定するヘッド取付方法であって、
前記ヘッド固定治具を支持部材に支持させる支持ステップと、
前記ヘッド固定治具の位置を測長する測長ステップと、
前記支持部材に支持される前記ヘッド固定治具を移動させる移動ステップと、
前記ヘッドのノズル口の位置を計測するノズル口位置計測ステップと、
を具備することを特徴とするヘッド取付方法。
【請求項12】
前記測長ステップは、前記ヘッド固定治具の基準点を測長し、
前記移動ステップは、前記ヘッド固定治具の基準点を前記支持部材の基準点に位置合わせすることを特徴とする請求項11に記載のヘッド取付方法。
【請求項13】
前記測長ステップは、前記ヘッド固定治具の基準点と前記支持部材の基準点との間のオフセット量を測長し、前記測長されたオフセット量を前記ヘッド固定治具の取り付け先の装置に出力することを特徴とする請求項11に記載のヘッド取付方法。
【請求項14】
前記測長ステップは、前記ヘッド固定治具に付されるスケールを読み取ることを特徴とする請求項11から請求項13までのいずれかに記載のヘッド取付方法。
【請求項15】
前記移動ステップは、駆動源としてリニアモータを用いることを特徴とする請求項11から請求項14までのいずれかに記載のヘッド取付方法。
【請求項16】
基板の加工処理を行う基板加工装置に少なくとも1つ設けられるヘッドの位置決めを行うヘッド位置決め方法であって、
前記ヘッドが固定されたヘッド固定治具を支持部材に支持させる支持ステップと、
前記ヘッド固定治具の位置を測長する測長ステップと、
前記支持部材に支持されたヘッド固定治具を移動させる移動ステップと、
を具備することを特徴とするヘッド位置決め方法。
【請求項17】
前記測長ステップは、前記ヘッド固定治具の基準点を測長し、
前記移動ステップは、前記ヘッド固定治具の基準点を前記支持部材の基準点に位置合わせすることを特徴とする請求項17に記載のヘッド位置決め方法。
【請求項18】
前記ヘッド固定治具の基準点と前記支持部材の基準点との間のオフセット量を取得するオフセット量取得ステップを具備し、
前記測長ステップは、前記ヘッド固定治具の基準点を測長し、
前記移動ステップは、前記取得されたオフセット量を設定して、前記ヘッド固定治具の基準点と前記支持部材の基準点とを位置合わせすることを特徴とする請求項16に記載のヘッド位置決め方法。
【請求項19】
前記測長ステップは、前記ヘッド固定治具に付されるスケールを読み取ることを特徴とする請求項16から請求項18までのいずれかに記載のヘッド位置決め方法。
【請求項20】
前記移動手段は、駆動源としてリニアモータを用いることを特徴とする請求項16から請求項19までのいずれかに記載のヘッド位置決め方法。
【請求項21】
請求項11から請求項15に記載のヘッド取付方法を用いて、前記ヘッドを前記ヘッド固定治具に取り付けることを特徴とする請求項16から請求項20までのいずれかに記載のヘッド位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−82838(P2009−82838A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256949(P2007−256949)
【出願日】平成19年9月29日(2007.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】