説明

ヘテロアリール化合物のプロドラッグ

本発明は、塩基、ヌクレオシドおよびヌクレオチドの疎水性プロドラッグ、ならびに抗ウイルスおよび抗癌化学療法剤としてプロドラッグを用いる方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
人間の最大の医療上の脅威のいくつかは、AIDS、肝炎、呼吸器のライノウイルス感染、インフルエンザ、麻疹、ポリオなどを含むウイルスによって生じる。B型肝炎およびC型肝炎、ならびにHIVのような治療することが困難である、RNA中間体を通じて複製する、RNAまたはDNAウイルスによって生じる多数の慢性の持続性疾患が存在する。多数の一般的なヒト疾患が、ウイルスのコードするRNAレプリカーゼによって複製されるRNAウイルスによって生じる。この群に含まれるのはインフルエンザ(Zurcher,et al.,J.Gen.Virol.77:1745(1996))、デング熱(Becker,Virus-Genes 9:33(1994))およびライノウイルス感染(Horsnell,et al.,J.Gen.Virol.,76:2549(1995))である。動物はまた、ネコの白血病および免疫不全、ヒツジのビスナ・マエディ(Visna maedi)、ウシウイルス性下痢、ウシ粘膜病およびウシ白血病を含む、広範なRNAウイルス性疾患に罹患する。DNAウイルスについてはいくつかのワクチンが利用可能であるが、B型肝炎のような疾患は依然として蔓延している。B型肝炎は、RNA中間体を通じてそのゲノムを複製するDNAウイルスによって生じる(Summers and Mason,Cell 29:4003(1982))。有効なワクチンは予防薬として存在するが、慢性持続性B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療ではわずかな患者しか治癒しない。
【0002】
連鎖停止(chain terminating)ヌクレオシドアナログは、DNAウイルスおよびレトロウイルスによる感染の治療のために広範に用いられている。これらのアナログはDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素によってDNA中に組み込まれるように設計されている。一旦組み込まれれば、それらは、さらに伸長され得ず、従ってDNA合成が終わる。不幸にも、ヌクレオシドアナログの組み込みを防止するウイルスポリメラーゼ中の変異の発生を生じるように、連鎖停止アナログに対する抵抗性を生じるための直接的な選択圧が存在する。
【0003】
別のストラテジーは、ウイルスゲノムに優先的に組み込まれる変異原性デオキシリボヌクレオシド(MDRN)または変異原性リボヌクレオシド(MRN)を利用することである。MDRNは、ウイルスの逆転写酵素によって、またはDNAポリメラーゼ酵素によってDNAに組み込まれる。MRNは、ウイルスのRNAレプリカーゼによってウイルスRNAに組み込まれる。結果として、ウイルスゲノム中の変異は、全てのウイルスタンパク質に対して、それらの不活性バージョンを作製することによって影響する。これらの変異は、各々のウイルス複製サイクルで永続化されて、蓄積される。最終的に、純然たる変異の数によって、ウイルスの機能、複製またはトランスフェクションに必須の遺伝子が不活性化され、これによってウイルスのライフサイクルが終わる。MDRNおよびMRNは、1つの特定のウイルスタンパク質に特異的に標的されないので、抵抗性の発生の確率は低い。
【0004】
5-アザ-2'-デオキシシチジン(5-アザ-dC)は、白血病を有する患者で試験されている抗悪性腫瘍剤であり、DNAを脱メチル化することによって主に機能すると考えられる。メチル化は、腫瘍増殖抑制因子および分化遺伝子をサイレンスすると考えられる。興味深いことに、5-アザ-dCは、他の標的に影響する。例えば、5-アザ-dCは、インビトロにおいてHIV複製を阻害することが示されたが、作用の機構は、決定されなかった(例えば、Bouchard et al.,Antimicrob.Agents Chemother.34:206-209(2000))。5-アザ-2'-デオキシウリジン(5-アザ-dU)への5-アザ-dCの脱アミノ化は、抗腫瘍性活性の損失を生じることが示されている(例えば、Momparler,et al.,Leukemia.11:1-6(1997)を参照のこと)。
【0005】
5-アザシチジン(5-アザ-C)または5-アザ-dCおよびその変種は、MDRNおよびMRNとしての見込みを示すが、これらの化合物はまた、不安定であり、再構成の際に急速に分解する。例えば、pH7.0では、それぞれ5時間および0.5時間後に、25℃および50℃の温度で、5-アザ-dCの10%分解が生じる(例えば、Van Groeningen et al.,Cancer Res.46:4831-4836(1986))。従って、これらの化合物の治療的な使用は、ウイルス疾患および癌の両方の治療に限定される。本発明は、この問題および他の問題を解決する。
【発明の開示】
【0006】
発明の簡単な概要
本発明は、塩基、ヌクレオシドおよびヌクレオチドの疎水性プロドラッグ、ならびに抗ウイルスおよび抗癌化学療法剤としてこのプロドラッグを用いる方法を提供する。従って、第一の局面では、本発明の化合物は、式I:

による構造を有し、aは0または1である。aが0である場合、この破線はCとNとの間の二重結合である。記号R2は、(=O)およびNR7R8から選択されるメンバーである。R4は、H、ハロゲン、OR3、NR7R8、ハロゲン、ニトリルならびに置換および非置換(C1-C5)アルキルから選択されるメンバーである。記号R6は、H、ハロゲン、OR3、NR3R3、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換の3員〜7員のシクロアルキル、置換または非置換の5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。R7、R8、R5およびR1は、H、OR3、NR3R3、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換の3員〜7員のシクロアルキル、置換または非置換の5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。記号R3は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換のアシルから独立して選択される。基R7およびR8、R8およびR5、ならびにR5およびR6は、それらが結合される原子と一緒になって、任意で置換または非置換の5員〜7員環を形成する。本発明の化合物では、R3、R5、R7およびR8から選択される少なくとも1つのメンバーは、単独でまたはそれが共有結合される原子と一緒になって、カルバメートおよび尿素リンカーから選択される。
【0007】
第二の局面では、式Iの化合物は、この化合物の治療上有効な量をこのような治療の必要な患者に投与する工程を通じて、ウイルス性疾患を治療するために用いられる。
【0008】
本発明の第三の局面では、式Iの化合物は、この化合物の治療上有効な量をこのような治療の必要な患者に投与する工程を通じて、癌を治療するために用いられる。
【0009】
第四の局面では、本発明は、薬学的に許容されるキャリアおよび式Iの化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0010】
これらおよび他の局面では、本発明の目的および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0011】
発明の詳細な説明
I.序論
本発明は、ウイルスの複製および癌性細胞の増殖を阻害する化合物を指向する。これらの化合物は、塩基、ヌクレオシドおよびヌクレオチドの疎水性プロドラッグである。この化合物は容易に合成されて、親の化合物、疎水性基およびこの疎水性基に対して親化合物を共有結合するリンカーを含む。疎水性基およびリンカーの付加によって、未改変の親化合物よりも化合物の薬物動態特性が有意に改善される。
【0012】
本発明の化合物は、細胞培養物中のウイルス複製を阻害するために、および動物およびヒトの抗ウイルス療法において有用である。1つの態様では、本発明の化合物および方法は、RNAウイルス(RNAゲノムを有するウイルス)およびレトロウイルスまたはそうでなければRNA中間体によって複製される他のウイルスを標的するために用いられる場合、有利である。別の態様では、本発明の化合物および方法は、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスおよびパピローマウイルスのようなDNAウイルス(DNAゲノムを有するウイルス)を標的するために有利である。1つの態様では、この化合物は、ウイルスがコードする、および細胞がコードするウイルスゲノムポリヌクレオチド配列の両方に組み込まれ、これによって、例えば、互変異性により、ゲノムウイルスの子孫のコピーの誤ったコーディングを生じて、これが塩基の誤った対合をさせる(例えば、Moriyama et al.,Nucleic Acids Symp.Ser.42:131-132(1999);Robinson et al.,Biochemistry 37:10897-10905(1998);Anensen et al.,Mutat.Res.476:99-107(2001);Lutz et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.8:499-504(1998);およびKlungland et al.,Toxicology Lett.119:71-78(2001)を参照のこと)。
【0013】
本発明の化合物は、細胞培養物中の癌細胞の増殖を阻害するために、および動物およびヒトの癌を治療するのにおいて有用である。例示的な態様では、癌は、造血性の癌、例えば、白血病またはリンパ腫である。いくつかの態様では、プロドラッグは、動物またはヒトの血流中に効率的に組み込まれ、かつ引き続いて、癌性の細胞のポリヌクレオチド配列(DNAまたはRNAのいずれか)に組み込まれる。本発明の化合物は、癌細胞のゲノムへの変異の組み込みを可能にする、変更された塩基対特性を有しており、癌細胞がそのゲノムを効率的に複製する能力が劇的に低下させる。別の態様では、変異が、転写産物、例えば、mRNA分子またはtRNA分子に組み込まれ、これによって癌細胞が活性タンパク質をコードする能力が劇的に低下される。これらの変異の結果として、癌細胞は死滅するか、増殖速度が低下されるか、または増殖もしくは転移することができなくなる。
【0014】
II.定義
置換基が、左から右に書かれる従来の化学式で特定される場合、それらは、右から左に書く構造から得られる化学的に同一の置換基を等しく包含する。例えば-CH2O-はまた、-OCH2-を挙げるものとする;-NHS(O)2-は、-S(O)2HN-を示すものとするなど。
【0015】
「アルキル(alkyl)」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、他に言及しない限り、直鎖もしくは分枝鎖、または環状炭化水素ラジカル、またはその組み合わせを意味し、これは、完全に飽和されても、一不飽和でも、または多価不飽和であってもよく、かつ二価および多価ラジカルであってもよく、指定された数の炭素原子を有する(すなわち、C1-C10は1〜10個の炭素を意味する)。飽和炭化水素ラジカルの例としては、限定はしないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどのホモログおよび異性体のような基が挙げられる。不飽和アルキル基は、一つまたは複数の二重結合または三重結合を有する基である。不飽和アルキル基の例としては、限定はしないが、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-および3-プロピニル、3-ブチニルおよびより高級なホモログおよび異性体が挙げられる。「アルキル(alkyl)」という用語は、他に注記しない限りまた、以下にさらに詳細に規定されるアルキルの誘導体、例えば、「ヘテロアルキル(heteroalkyl)」を含むことを意味する。
【0016】
「アルキレン(alkylene)」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、限定はしないが、-CH2CH2CH2CH2-などのアルカン由来の二価ラジカルを意味し、かつさらに、以下に「ヘテロアルキレン(heteroalkylene)」として記載される基などを包含する。代表的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1〜24個の炭素原子を有し、本発明においては10個またはそれ以下の炭素原子を有する基が好ましい。「低級アルキル(lower alkyl)」または「低級アルキレン(lower alkylene)」とは、一般には8つまたはそれ以下の炭素原子を有する、短い鎖のアルキルまたはアルキレン基である。
【0017】
「アルコキシ(alkoxy)」、「アルキルアミノ(alkylamino)」、および「アルキルチオ(alkylthio)」(すなわちチオアルコキシ(thioalkoxy))という用語は、その従来の意味で用いられ、それぞれ酸素原子、アミノ基またはイオウ原子を介する分子の残りに結合されたアルキル基をいう。
【0018】
「アシル(acyl)」とは、酸素原子が取り除かれているカルボン酸の残りである部分、すなわち-C(O)Rをいい、ここでRは、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールまたは置換または非置換ヘテロアリールである。
【0019】
「ヘテロアルキル(heteroalkyl)」という用語は、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、他に言及しない限り、安定な直鎖もしくは分枝鎖、または環状炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを意味するが、これは示した数の炭素原子ならびにO、N、SおよびSiからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなり、この窒素およびイオウ原子は任意で、酸化されてもよく、かつ窒素ヘテロ原子は任意で、四級化されてもよい。ヘテロ原子O、N、SおよびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置で、またはアルキル基がその分子の残りに結合される位置で置換され得る。例としては、限定はしないが、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH33、-CH2-CH=N-OCH3、および-CH=CH-N(CH3)-CH3が挙げられる。例えば、-CH2-NH-OCH3および-CH2-O-Si(CH33のように、最大2つのヘテロ原子が連続してもよい。同様に、「ヘテロアルキレン(heteroalkylene)」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、限定はしないが、-CH2-CH2-S-CH2-CH2-および-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-などのヘテロアルキル由来の二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子はまた、鎖末端のいずれかまたは両方を占有してもよい(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基については、この連結基の式が書かれる方向で連結基の方向が意味されることはない。例えば、式-C(O)2R'-は、-C(O)2R'-および-R'C(O)2-の両方を意味する。
【0020】
「シクロアルキル(cycloalkyl)」および「ヘテクシロアルキル(heterocycloalkyl)」という用語は、それ自体で、または他の用語と組み合わせて、他に言及されない限り、それぞれ「アルキル(alkyl)」および「ヘテロアルキル(heteroalkyl)」の環状バージョンを意味する。さらに、ヘテロシクロアルキルについては、ヘテロ原子は、複素環がその分子の残りに結合されている位置を占有し得る。シクロアルキルの例としては、限定はしないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては限定はしないが、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられる。
【0021】
「アリール(aryl)」という用語は、他に言及しない限り、多価不飽和、代表的には、芳香族の、炭化水素置換基を意味し、これは、単環または多環(3環まで)であってもよく、この環は一緒に縮合されるか、または共有結合される。「ヘテロアリール(hateroaryl)」という用語は、アリール基(または環)をいい、この環は、N、OおよびSから選択される0〜4個のヘテロ原子を含み、ここで窒素およびイオウ原子は任意で酸化され、かつ(1つまたは複数の)窒素原子は任意で四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を通じて分子の残りに結合され得る。アリールおよびヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンジミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、および6-キノリルが挙げられる。上記のアリールおよびヘテロアリール環系の各々についての置換基は、下記の受容可能な置換基の群から選択される。
【0022】
略して、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)と組み合わせて用いる場合、「アリール(aryl)」という用語は、上記のようなアリールおよびヘテロアリール環の両方を含む。従って、「アリールアルキル(arylalkyl)」という用語は、アリール基が、炭素原子(例えば、メチレン基)が例えば、酸素原子(例えば、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなど)で置換されているアルキル基を含む、アルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)に結合されているラジカルを包含することを意味する。
【0023】
「ハロ(halo)」または「ハロゲン(halogen)」という用語はそれ自体で、または別の置換基の一部として、他に言及しない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル(haloalkyl)」のような用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを包含することを意味する。例えば、「ハロ(C1-C4)アルキル」という用語は、限定はしないが、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを包含することを意味する。
【0024】
アルキルおよびヘテロアルキルラジカルの置換基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしばしば呼ばれる基を含む)は、限定はしないが、以下から選択される種々の基のうちの一つまたは複数であり得る。-OR'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NR''C(O)2R'、-NR-C(NR'R''R''')=NR''''、-NR-C(NR'R'')=NR'''、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R''、-NRSO2R'、-CNおよび-NO2であり、0から(2m'+1)の範囲の数であり、m'はこのようなラジカルにおける炭素原子の総数である。R'、R''、R'''、およびR''''は各々が好ましくは独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、例えば、1〜3個のハロゲン、アルコキシまたはチオアルコキシ基またはアリールアルキル基で置換されたアリールを指す。本発明の化合物が複数のR基を含む場合、例えば、R基の各々は、これらの基のうちの複数の基が存在するとき各々R'、R''、R'''およびR''''基として独立して選択される。R'およびR''が同じ窒素原子に結合される場合、これらは、窒素原子と組み合わされて、5員環、6員環または7員環を形成し得る。例えば、-NR'R''は、限定はしないが、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことを意味する。上記の置換基から、当業者は、「アルキル」が、水素基、例えば、ハロアルキル(例えば、-CF3および-CH2CF3)およびアリル(例えば、-C(O)CH3、-C(O)CF3、-C(O)CH2(O)CH3など)以外の基に結合される炭素原子を包含する基を包含することを意味することを理解する。
【0025】
アルキルラジカルについて記載された置換基と同様に、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は、変化されて、例えば以下から選択される。ハロゲン、-OR'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NR''C(O)2R'、-NR-C(NR'R'R'')=NR'''、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R''、-NRSO2R'、-CNおよび-NO2、-R'、-N3、-CH(Ph)2、フルオロ(C1-C4)アルコキシ、およびフルオロ(C1-C4)アルキルであり、0から芳香族環系の開原子価の総数である。R'、R''、R'''、R''''は各々が好ましくは独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、例えば、1〜3個のハロゲンで置換されたアリール、アルコキシまたはチオアルコキシ基またはアリールアルキル基をいう。本発明の化合物が、複数のR基を含む場合、例えば、各々R'、R''、R'''、およびR''''基の複数の基が存在するとき、R基の各々は独立して、これらの基として選択される。
【0026】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の2つの置換基は、式-T-C(O)-(CRR')q-U-の置換基で任意で置換されてもよく、ここでTおよびUは独立して-NR-、-O-、-CRR'-または単結合であり、qは、0から3の整数である。または、アリールまたはヘテロアリールの環の隣接原子上の2つの置換基は、式-A-(CH27-B-の置換基で任意で置換されてもよく、ここでAおよびBは独立して-CRR'-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR'-または単結合であり、rは、1から4の整数である。このように形成された新規の環の単結合の1つは任意で二重結合で置換されてもよい。または、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の2つの置換基は、式-(CRR')5-X-(CR''R''')d-の置換基で任意で置換されてもよく、ここでsおよびdは独立して0〜3の整数であり、かつXが-O-、-NR'-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、または-S(O)2NR'-である。置換基R、R'、R''およびR'''は好ましくは独立して、水素または置換もしくは非置換(C1-C6)アルキルから選択される。
【0027】
本明細書において用いる場合、「ヘテロ原子(heteroatom)」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)およびケイ素(Si)を含む。
【0028】
「部分(moiety)」とは、別の構造に結合される分子のラジカルをいう。
【0029】
「R」という記号は、一般的な略号であり、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、および置換または非置換ヘテロシクリル基から選択される置換基に相当する。
【0030】
「反応性官能基(reactive functional group)」とは、本明細書において用いる場合、限定はしないが、オレフィン、アセチレン、アルコール、フェノール、エーテル、酸化物、ハロゲン化合物、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、アミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドラジド、ジアゾ、ジアゾニウム、ニトロ、ニトリル、メルカプタン、硫化物、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホン酸、スルフィン酸、アセタール、ケタール、無水物、硫酸塩、スルフェン酸、イソニトリル、アミジン、イミド、イミダート、ニトロン、ヒドロキシルアミン、オキシム、ヒドロキサム酸、チオヒドロキサム酸、アレン、オルトエステル、亜硫酸塩、エナミン、イナミン(ynamine)、尿素、プソイドウレア、セミカルバジド、カルボジイミド、カルバマート、イミン、アジド、アゾ化合物、アゾキシ化合物およびニトロソ化合物を含む基をいう。反応性官能基としてはまた、生体結合を調製するために用いられる基、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミドなどが挙げられる。これらの官能基の各々を調製するための方法は、当技術分野において周知であり、特定の目的についてのこれらの適用または改変は、当業者の能力の範囲内である(例えば、Sandler and Karo, eds. ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS,Academic Press, San Diego,1989を参照のこと)。
【0031】
「保護基(protecting group)」とは本明細書において用いる場合、特定の反応条件下で実質的に安定であるが、ただし種々の反応条件下でその基質から切断されるその基質の一部をいう。保護基はまた、それが本発明の化合物の芳香族環成分の直接の酸化に関与するように選択されてもよい。有用な保護基の例としては、例えば、Greene et al.,PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS,John Wiley&Sons,New York,1991を参照のこと。
【0032】

という記号は、結合として利用されるか、または結合に対して垂直に提示されて、この提示された部分が分子、固体支持体などの残りに結合されるポイントを示す。
【0033】
「本発明の化合物(compounds of the invention)」という用語は、疎水性プロドラッグ、ならびに疎水性プロドラッグの未変化の親の化合物を包含する。
【0034】
「プロドラッグ(prodrug)」という用語は、化学基の付加によって変化されている活性な薬物の誘導体を包含する。この化学基は通常、薬物の生物学的活性を減弱または排除するが、同時にこの薬物にいくつかの他の特性を付与する。化学基が加水分解、還元、酸化、光、熱、キャビテーション、圧力および/または周囲の環境中の酵素によってプロドラッグから一旦切断されれば、活性薬物が生成される。部位特異的組織への薬物輸送を増強するために、プロドラッグは可逆性の薬物誘導体として設計され、かつ修飾因子として利用され得る。プロドラッグは、当技術分野において、例えば、R.L.Juliano(ed.)BIOLOGICAL APPROACHES TO THE CONTROLLED DELIVERY OF DRUGS,Annals of the New York Academy of Sciences,Vol 507(1998);Hans Bundgaard(ed.)DESIGN OF PRODRUGS,Elsevier Science,(1986);およびKenneth Sloan(ed.),PRODRUGS:TOPICAL AND OCULAR DRUG DELIVERY,Drugs and the Pharmaceutical Science,Vol 53(1992)に記載されている。
【0035】
「薬学的に許容される塩(pharmaceutically acceptable salt)」という用語は、本明細書に記載される化合物上で見出される特定の置換基に依存して、相対的に毒性でない酸または塩基で調製される活性化合物の塩を包含する。本発明の化合物が相対的に酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、このような化合物の中性型と十分な量の所望の塩基とをニートな(neat)または適切な不活性な溶媒のいずれかの中で接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノもしくはマグネシウム塩または同様の塩が挙げられる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、このような化合物の中性型と十分な量の所望の酸とを、ニートなまたは適切な不活性な溶媒のいずれかの中で接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、ヨウ化水素酸または亜リン酸などのような無機酸に由来する酸付加塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの相対的に毒性のない有機酸由来の塩が挙げられる。また、アルギン酸などのようなアミノ酸の塩、ならびにグルクロン酸またはガラクツロン酸などのような有機酸の塩も包含される(例えば、Berge et al.,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Science 66:1-19(1997)を参照のこと)。本発明の特定の特異的な化合物は、化合物が塩基または酸付加塩のいずれかに変換することを可能にする塩基性および酸性の両方の官能基を含む。
【0036】
この化合物の中性型は好ましくは、塩を塩基または酸と接触させる工程、および従来の様式で親化合物を単離する工程によって再生される。この化合物の親の形態は、特定の物理的特性、例えば、極性溶媒中での溶解度で種々の塩型とは異なるが、そうでなければこの塩は本発明の目的についてこの化合物の親の形態と等価である。
【0037】
塩型に加えて、本発明は、プロドラッグ型である化合物を提供する。本明細書に記載される化合物のプロドラッグは、本発明の化合物を提供するために生理学的条件下で化学的変化を容易に受ける化合物である。さらに、プロドラッグは、エクスビボの環境において化学的または生物学的方法によって本発明の化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、適切な酵素または化学試薬を含む経皮パッチリザーバに入れられれば、本発明の化合物にゆっくり変換され得る。
【0038】
本発明の特定の化合物は、非溶媒和型および水和型を含む溶媒和型で存在し得る。一般に、溶媒和型は非溶媒和型に対して等価であり、本発明の範囲内に包含される。本発明の特定の化合物は、多重結晶または非結晶性の形態で存在し得る。一般には、全ての物理的形態は、本発明で意図される用途について等価であり、かつ本発明の範囲内であると意図される。
【0039】
本発明の特定の化合物は、互変異性型で存在し得る。一般には、全ての互変異性型が等価であり、本発明の範囲内に包含される。
【0040】
本発明の特定の化合物は、非対称の炭素原子(光学的中心)または二重結合を有し;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体および個々の異性体が本発明の範囲内に包含される。
【0041】
本発明の化合物は、単独の異性体(例えば、エナンチオマー、シス-トランス、位置的な、ジアステレオマー)として、または異性体の混合物として調製され得る。例示的な態様では、この化合物は、実質的に単独の異性体として調製される。実施的に異性体的に純粋な化合物を調製する方法は当技術分野において公知である。例えば、鏡像異性的に富化された混合物および純粋な鏡像異性の化合物は、不変のキラル中心で立体化学的に残るかまたはその完全な反転を生じる反応と組み合わせて鏡像異性的に純粋である合成中間体を用いることによって調製され得る。または、合成経路に沿った最終生成物または中間体は、単独の立体異性体に分離され得る。特定の立体異性体を反転させるかまたは未変化のままに残すための技術および立体異性体の混合物を分離するための技術は、当技術分野においては周知であり、かつ特定の状況についての方法を選択して割り当てることは当業者の能力の十分に範囲内である。一般には、Furniss et al.,(eds.)VOGEL'S ENCYCLOPEDIA OF PRACTICAL ORGANIC CHEMISTRY 5th Ed.,Longman Scientific and Technical Ltd.,Essex,1991,pp.809-816;およびHeller,Acc.Chem.Res.23:128(1990)を参照のこと。
【0042】
本発明の化合物はまた、このような化合物を構成する原子の一つまたは複数で天然にはない割合の原子同位体を含んでもよい。例えば、この化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨード-125(125I)または炭素-14(14C)のような放射性同位体で放射性標識されてもよい。本発明の化合物の全ての同位体のバリエーションは、放射性であってもなくても、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0043】
「ウイルス性疾患(viral disease)」という用語は、ウイルスによって生じる状態をいう。ウイルス性疾患は、DNAウイルス、RNAウイルスまたはレトロウイルスによって生じる。
【0044】
「ビタミンK(vitamin K)」という用語は、2-メチル-1,4-ナフトキノンおよび凝集活性を有するその誘導体を指す。天然の形態は、キノンの3位においてアルキル側鎖で置換される。ビタミンKの例としては、ビタミンK1(フィロキノン)およびビタミンK2(メナキノン)が挙げられる。
【0045】
本明細書において用いる場合、「塩基(base)」という用語は、糖部分に共有結合し得るアリールおよびヘテロアリール構造を包含する。例としては、天然に存在する塩基、例えば、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。「塩基(base)」としてはまた、天然ではない塩基、例えば、ニトロインドール、5-アザ-シトシン、およびジヒドロ-5-アザ-シトシンが挙げられる。
【0046】
本明細書において用いる場合、「ヌクレオシド(nucleoside)」という用語は、天然に存在するヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、シチジン、チミジンおよびウリジン)およびその修飾の両方を含む。修飾としては、限定はしないが、さらなる電荷、分極率、水素結合、および静電相互作用をヌクレオシドに組み込む化学基を提供する修飾が挙げられる。このような修飾としては限定はしないが、ペプチド核酸(PNA)、2'位の糖修飾、5位のピリミジン修飾、8位プリン修飾、環外アミンの修飾、4-チオウリジンの置換、5-ブロモまたは5-インド-ウラシルの置換;骨格修飾、メチル化、イソ塩基(isobase)、例えばイソシチジンおよびイソグアニジンなどが挙げられる。「ヌクレオシド(nucleoside)」はまた、天然ではない塩基、例えば、ニトロインドール、5-アザ-シチジン、5-アザ-2'-デオキシシチジンおよびジヒドロ-5-アザ-2'-デオキシシチジンなどを含み得る。修飾としてはまた、クエンチャー、フルオロフォアまたは別の部分での誘導体化を挙げることができる。「ヌクレオチド(nucleotide)」は、ヌクレオシドのリン酸エステルである。ヌクレオシドに利用できる多くの化学反応はまた、ヌクレオチドについても利用できる。
【0047】
本明細書において用いる場合、「核酸(nucleic acid)」は、塩基、ヌクレオシドおよびヌクレオチド、ならびにその修飾を包含する。修飾の例は、上記の「ヌクレオシド」の定義に列挙される。
【0048】
「ポリヌクレオチド配列(polynucleotide sequence)」は、一本鎖型または二本鎖型のいずれかのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのポリマーである。他に限定しない限り、「ポリヌクレオチド配列(polynucleotide sequence)」は、天然のヌクレオチドのアナログを包含する。
【0049】
「ゲノムポリヌクレオチド配列(genomic polynucleotide sequence)」とは、ウイルス粒子によってパッケージングされる、天然に存在するポリヌクレオチド配列(RNAまたはDNA)に対して相同であるヌクレオチドポリマーである。代表的には、パッケージングされたポリヌクレオチド配列は、ウイルス複製に必要な成分のうちいくつかまたは全てをコードする。ゲノムポリヌクレオチド配列は任意でヌクレオチドアナログを含んでもよい。ポリヌクレオチド配列は、原型のポリヌクレオチド配列の天然または人工の修飾によって、共通の配列(「原型の(ancestral)」ポリヌクレオチド配列)を有するポリヌクレオチド配列から誘導される場合、相同である。レトロウイルスゲノムポリヌクレオチド配列は任意で、レトロウイルス粒子によってパッケージングされるようにコンピテントであるRNAをコードしてもよい。このようなポリヌクレオチド配列は、パッケージング部位を選り抜きのポリヌクレオチド配列と組み換え的に組み合わせることによって構築され得る。
【0050】
「ウイルス感染された細胞(virally infected cell)」とは、ウイルスポリヌクレオチド配列を形質導入された細胞である。ポリヌクレオチド配列は任意で細胞ゲノムに組み込まれてもよいし、または任意でエピソームであってもよい。
【0051】
ウイルスまたはポリヌクレオチド配列の「変異速度(mutation rate)」とは、例えば、ポリメラーゼによって、ポリヌクレオチド配列をコピーする際に生じる変化の総数をいう。代表的には、これは、経時的に、すなわち、ウイルスのコピーまたは生成の回数の間に生じる変更の数が測定される。
【0052】
「ポリメラーゼ(polymerase)」とは、既存のポリヌクレオチドテンプレート(DNAまたはRNA)に相補的である、ポリヌクレオチド配列(DNAまたはRNA)を生成する酵素をいう。例えば、RNAポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ(ウイルスまたは細胞)またはレプリカーゼであってもよい。ポリメラーゼは、天然に存在してもよいし、または人工的に(例えば、組み換え的に)生成されてもよい。
【0053】
「細胞培養(cell culture)」とは、動物の外側に存在する細胞の集団である。これらの細胞は任意で初代細胞(細胞バンク、動物または血液バンクから単離された)、二次細胞(上記の供給源の1つから培養された)または長期に生存する人工的に維持されるインビトロ培養物である。
【0054】
「バイアビリティーの漸進的な低下(progressive loss of viability)」とは、経時的な、または本発明のプロドラッグでの治療に応答する、ウイルスの集団の複製または感染性能力における測定可能な低下をいう。
【0055】
「ウイルス粒子(viral particle)」とは、RNAウイルス、またはBVDV、HCVもしくはHIVのようなRNA中間体を有するウイルスによって実質的にコードされる遺伝物質である。非ウイルス性または細胞性成分の粒子中での存在は、代表的には、細胞膜からの出芽を含むウイルスの複製プロセスの共通の結果である。
【0056】
「HIV粒子」は、HIVによって実質的にコードされるレトロウイルス粒子である。この粒子中の非HIVウイルスまたは細胞性成分の存在は、細胞膜からの出芽を代表的には含むHIVの複製プロセスの共通の結果である。特定の適用では、レトロウイルス粒子は、得られたレトロウイルス粒子の宿主範囲を拡大するために、複数のウイルス(しばしばHIVおよび水疱性口内炎ウイルス(VSV))由来の既存のウイルスタンパク質によって意図的に「シュードタイピングされる(pseudotyped)」。HIV粒子中の非HIV成分の有無は、この粒子の本質的な性質を変化せず、すなわち、この粒子は、依然としてHIV複製の主な産物として産生される。
【0057】
本明細書において用いる場合、「癌(cancer)」とは、固体腫瘍および血液学的悪性腫瘍を含む。前者は、乳癌、結腸癌および卵巣癌のような癌を含む。後者は、白血病、リンパ腫および骨髄腫を含む血液学的悪性腫瘍を含む。本発明は、種々のタイプの癌の治療および/または予防のための新規な有効な方法および組成物を提供する。
【0058】
「患者(patient)」という用語は、マウス、ラット、イヌまたはヒトのような任意の温血動物をいう。
【0059】
「薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)」成分とは、合理的な利益/リスクの比と釣り合った過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激作用およびアレルギー応答)なしに患者における使用に適切である成分である。
【0060】
「安全かつ有効な量(safe and effective amount)」または「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」とは、過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激作用またはアレルギー応答)なしに、所望の治療応答を生じるのに十分である成分の量をいう。ある態様では、所望の治療応答は、ウイルスの突然変異を増強すること、ウイルスが活性タンパク質を生じる能力を低下させること、ウイルスの複製を阻害すること、ウイルスが感染性粒子を生じる能力を廃するかもしくは低下させること、またはウイルスもしくはウイルス感染細胞を殺傷することである。他の態様では、治療応答とは、癌の増殖を停止させるかもしくは遅延させること、癌を縮小させること、または転移させないことである。特定の安全かつ有効な量または治療上有効な量は、治療されている特定の状態、患者の物理的状態、治療されている患者のタイプ、治療の期間、併用療法(もしあれば)の性質、使用される特定の製剤、および化合物またはその誘導体の構造のような要因で変化する。
【0061】
III.化合物
本発明の化合物は、塩基、ヌクレオシドおよびヌクレオチドの疎水性のプロドラッグである。これらのプロドラッグは、親の化合物、疎水性基および疎水性基に対して親化合物を共有結合するリンカーを含む。疎水性基およびリンカーの付加は、プロドラッグの薬物動態特性を未修飾の親化合物に対して有意に改善する。
【0062】
本発明の化合物は、市販の出発材料および試薬から容易に合成される。この化合物の調製を図示する合成スキームは、このセクションのB部分に位置する。詳細な合成プロトコールおよび特徴付けデータは実施例1に示される。
【0063】
A.プロドラッグの構成要素
i)親の化合物
本発明のプロドラッグは、親の化合物を含む。いくつかの態様では、この親化合物は、塩基、ヌクレオシドまたはヌクレオチドである。別の態様では、親化合物は、シトシンアナログである。いくつかの態様では、このシトシンアナログは、5-アザ-シトシン、5-アザ-dCおよびDHAdCの誘導体である。他の態様では、シトシンアナログは、式I:

による構造を有し、aは、0または1である。aが0である場合、破線はCとNとの間の二重結合である。記号R2は、(=O)およびNR7R8から選択されるメンバーである。R4は、H、ハロゲン、OR3、NR7R8、ハロゲン、ニトリルならびに置換および非置換(C1-C5)アルキルから選択されるメンバーである。記号R6は、H、ハロゲン、OR3、NR3R3、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換の3員〜7員のシクロアルキル、置換または非置換の5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。R7、R8、R5およびR1は、H、OR3、NR3R3、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換の3員〜7員のシクロアルキル、置換または非置換の5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。記号R3は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換のアシルから独立して選択される。R7およびR8、R8およびR5、ならびにR5およびR6という基は、それらが結合される原子と一緒になって、置換または非置換の5員〜7員環を任意で形成する。本発明の化合物では、R3、R5、R7およびR8から選択される少なくとも1つのメンバーは、単独でまたはそれが共有結合される原子と一緒になって、カルバメートおよび尿素リンカーから選択される。
【0064】
例示的な態様では、R1は、ヒドロキシル部分を含む。別の例示的な態様では、R1は、サッカリル部分を含む、別の例示的な態様では、R1は、式II:

による構造であり、
破線はCaとCbとの間の二重結合を表す。R9、R10およびR11は、H、-OH、OR12、-NH2、-NO2、-SO2NH2、N3、ハロゲン、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換の3員〜7員のシクロアルキル、置換または非置換の5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。記号R12は、アミノ酸および2個〜5個のアミノ酸を含むペプチドから選択される。記号R9およびR10、ならびにR10およびR11はそれらが結合される原子と一緒になって、任意で置換または非置換の5員〜7員環を形成してもよい。
【0065】
別の例示的な態様では、記号R9、R10およびR11は、H、OH、(R133SiO-、および式III:

による構造から独立して選択されるメンバーであり、
各々のR13は、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換の3員〜7員のシクロアルキル、置換または非置換の5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアシル、置換または非置換のアリール、および置換または非置換のヘテロアリールから独立して選択される。複数のR13はそれらが結合される原子と一緒になって、任意で置換または非置換の5員〜7員環を形成してもよい。記号R16、R17およびR18は、置換および非置換のアルキルから独立して選択される。別の例示的な態様では、記号R16、R17およびR18は、エチルである。
【0066】
ii)疎水性基
本発明のプロドラッグはまた、疎水性基を含む。この基は、その親油性を増大することによって身体中のこのプロドラッグの吸収および器官への分布を改善するはずである。C6-C10アルキル基、親油性ビタミン、およびコレステロールが3つの例示的な疎水性基である。
【0067】
ある態様では、疎水性基は式IV由来のR14である。R14は、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアシル、置換または非置換のアリール、および置換または非置換のヘテロアリール、アミノ酸および2〜5個のアミノ酸を含むペプチドから選択される。別の例示的な態様では、R14は、置換または非置換の(C4-C12)アルキル、ベンジル、2-ニトロ-フラニル、レチノール、αトコフェロール、カルシフェロール、ビタミンK、コレステロール、

から選択される。さらに別の例示的な態様では、R14は、置換または非置換の(C6-C10)アルキルである。さらに別の例示的な態様では、R14は、非置換の(C6-C10)アルキルである。
【0068】
他の態様では、この化学基は、式V由来のR15である。R15は、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアシル、置換または非置換のアリール、および置換または非置換のヘテロアリール、アミノ酸および2〜5個のアミノ酸を含むペプチドから選択される。別の例示的な態様では、R15は、置換または非置換の(C4-C12)アルキル、ベンジル、2-ニトロ-フラニル、レチノール、αトコフェロール、カルシフェロール、ビタミンK、コレステロール

から選択される。さらに別の例示的な態様では、R15は、置換または非置換の(C6-C10)アルキルである。さらに別の例示的な態様では、R15は、非置換の(C6-C10)アルキルである。
【0069】
iii)リンカー
このプロドラッグはまた、親の化合物に対して疎水性基を共有結合させるリンカーを含む。このリンカーは、特定の条件下で安定であり、ただし他の場合には不安定でなければならない。例えば、経口的に利用可能な化合物は好ましくは、酸性条件下で安定であるが、ただし肝臓に存在する酵素条件下では不安定であるリンカーを含む。カルバメート基および尿素基が2つの例示的なリンカーである。
【0070】
例示的な態様では、式Iによる構造は、カルバメートまたは尿素リンカーを含む。さらに別の例示的な態様では、式Iによる構造は、R3、R5、R7およびR8から選択される少なくとも1つのメンバーを有し、これは単独でまたはそれが共有結合される窒素原子と一緒になって、カルバメートまたは尿素のいずれかである。
【0071】
例示的な態様では、R3、R5、R7およびR8は、Hおよび式IVまたは式V:

による構造から独立して選択される。
R8が式IVまたは式Vによる構造である場合には、R7がHである。
【0072】
iv)薬物動態学的特性
親化合物に対する疎水性基およびリンカーの共有結合はその未修飾型に対してその薬物動態を有意に改善する。薬物動態は、特定の薬物動態学的特性における増大または減少のいずれかを通じて改善される。
【0073】
ある態様では、プロドラッグ薬物動態は、半減期(t1/2)、経口バイオアベイラビリティ、親油性、酸性のpHでの安定性、または胃腸管からの取り込みから選択される薬物動態学的特性における増大によって、親の化合物の薬物動態に対して改善される。ある態様では、薬物動態学的特性は、10%〜600%の量まで増大される。ある態様では、薬物動態特性は、10%〜100%の量まで増大される。ある態様では、薬物動態特性は、400%〜500%の量まで増大される。ある態様では、半減期は、200%〜500%の量まで増大される。ある態様では、経口のバイオアベイラビリティは、200%〜400%の量まで増大される。
【0074】
他の態様では、プロドラッグの薬物動態は、初回通過効果における低下のような薬物動態学的特性の低下によって、その未修飾型に対して改善される。ある態様では、初回通過効果は、10%〜100%の量まで低下される。他の態様では、初回通過効果は、400%〜400%の量まで低下される。
【0075】
改善された薬物動態学的特性は、マウス、ラット、イヌまたはヒトから選択される患者において観察される。
【0076】
本発明の化合物の薬物動態データは、ラットおよびイヌのモデルにおいて得られている。ラット研究のための実験室プロトコールは実施例2に提供されるが、イヌの研究のための実験室プロトコールは実施例4に提供される。両方の研究とも、DHAdCが親の化合物であり、疎水性基はC7-C9の非置換アルキル鎖であり、リンカーはカルバメート部分であった。DHAdCプロドラッグの経口投与は、親の化合物のIVおよび経口の投与に対して試験した。ラット研究の結果は実施例3に提供されるが、イヌの研究の結果は実施例5に提供される。
【0077】
ラットの研究では、両方のプロドラッグともDHAdCよりも300〜400%長い半減期を有した。さらに、このプロドラッグは、(経口バイオアベイラビリティによって証明されるとおり)DHAdCよりも200〜300%多い量で循環系に達した。DHAdCのプロドラッグバージョンは、DHAdC単独よりも効率的に標的細胞に達するので、これらの化合物はさらに有効なウイルスおよび癌のインヒビターである。
【0078】
親油性研究のための実験室プロトコールは、実施例6に提供されるが、本発明の化合物についての親油性データは実施例7に記載される。
【0079】
B.プロドラッグ調製
以下の例示的なスキーム1〜7は、本発明の化合物を調製する方法を例示する。これらの方法は、列挙された化合物を生成することに限定されないが、他の化合物を調製するためにも同様に用いられ得る。本発明の化合物はまた、このスキームに明示的に例示されない方法によっても生成できる。この化合物は、容易に利用可能な出発材料または公知の中間体を用いて調製され得る。
【0080】
化合物1のカルボニルは、スキーム1の方法に従って保護され得る。
スキーム1

【0081】
このスキームでは、トリメチルシリル保護基が市販の5-アザシトシンのカルボニルに付加される(CAS#:931-86-2、Sigma Chemical Company)。
【0082】
化合物2は、スキーム2の方法に従って、保護された糖類に結合され得る。
スキーム2

【0083】
スキーム2では、化合物2は化合物4を生成するためにジクロロメタンに含有される化合物3と反応される。化合物4は、約70%のβアノマー4aおよび30%のαアノマー4bの混合物である。

【0084】
化合物4における5位の二重結合は、スキーム3の方法に従って水素化ホウ素ナトリウムで還元され得る。
スキーム3

【0085】
スキーム3では、化合物4は化合物5を生成するために酢酸に含まれる水素化ホウ酸ナトリウムと反応される。化合物5は、約70%のβアノマー5aおよび30%のαアノマー5bの混合物である。

【0086】
純粋なβアノマー5aは、メタノール中での再結晶化によってαアノマー5bから分離される。保護基は、スキーム4の方法によって化合物5aから除去される。
スキーム4

【0087】
メタノールに含まれる化合物5aへのナトリウムメトキシドの添加によって、脱保護された化合物6が生成される。
【0088】
エキソおよびエンドN-アセチル化生成物の混合物が、スキーム5の方法に従って生成され得る。
スキーム5

【0089】
スキーム5では、化合物6のヒドロキシル基をTMS塩化物を用いて最初に保護して化合物7を形成する。引き続いて、適切なクロロギ酸の1当量での7の治療によって、エンド-N-アセチル化生成物8aおよびエキソ-N-アセチル化生成物8bの混合物が生成される。主なエンド-N-アセチル化生成物8aは、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによってエキソ-N-アセチル化異性体8bから分離される。
【0090】
純粋なエキソ-N-アセチル化異性体は、スキーム6の方法によって得ることができる。
スキーム6

【0091】
スキーム6では、化合物8aおよび8bは、最初に過剰のクロロギ酸と処理して、bis-N-アセチル化化合物9を生成する。メタノールに含まれるトリエチルアミンを用いた化合物9からのエンド-N-アセチル化部分の引き続く脱保護によって、高い全体的な収率でエキソ-N-アセチル化異性体10が生成される。
【0092】
エンド-N-アセチル化異性体14は、スキーム7の方法によってベンジルオキシカルボニル保護DHAdC11から得ることができる。
スキーム7

【0093】
スキーム7では、化合物7を過剰のベンジルオキシクロロギ酸と最初に処理させて、bis-N-アシル化化合物11を生成する。メタノールに含有されるトリエチルアミンを用いる化合物11からのエンド-N-アセチル化部分の引き続く脱保護でエキソ-N-アセチル化異性体12が生成される。ある量のクロロギ酸での処理によって化合物13が生成される。化合物13の触媒性の水素添加によって、エンド-N-アセチル化異性体14が生成される。
【0094】
IV.ウイルス
本発明の化合物は、ウイルスに対する活性を保有する。これらのウイルスのいくつかは、それらのウイルスゲノムを細胞のゲノムへ組み込むことができる。この能力を有するウイルスの例としては、限定はしないが、レトロウイルスが挙げられる。例示的な態様では、ウイルスはHIVおよびその変種、例えばHIV-1、HIV-2、HTLV-1、HTLV-IIおよびSIVである。別の態様では、ウイルスはDNAウイルス、例えば、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純疱疹ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV))、天然痘ウイルスまたはヒト乳頭腫ウイルス(例えば、HPV)である。または、ウイルスゲノムは、エピソームであり得る。これらとしては多くのヒトおよび動物の病原体が挙げられる。フラビウイルス、例えば、デング熱、西ナイル熱および黄熱病、ペスチウイルス、例えば、ウシウイルス性下痢症(BVD)およびヘパシウイルス(hepaciviruse)、例えば、C型肝炎;エボラのようなフィロウイルス;呼吸器合胞体ウイルスを含むパラインフルエンザウイルス;おたふく風邪のようなルブラウイルス;麻疹のような麻疹ウイルス;エコーウイルスを含むピコルナウイルス;コクサッキーウイルス;ポリオウイルス;脳炎を含むトガウイルス;重症急性呼吸器症候群(SARS)を含むコロナウイルス;風疹;ブンヤウイルス;ロタウイルスを含むレオウイルス;ラブドウイルス;アレナウイルス、例えば、リンパ球性脈絡髄膜炎、ならびにヒトおよび動物の他のRNAウイルス。
【0095】
標的され得るレトロウイルスとしては、HTLVウイルス、例えば、HTLV-1およびHTLV-2、成人T細胞白血病(ATL)、HIV-1およびHIV-2およびSIVが挙げられる。ある態様では、HIVウイルスは、ヌクレオシドでない逆転写酵素インヒビターに対して耐性である。特定の態様では、ウイルスはA型肝炎またはB型肝炎である。Knipe et al.,FIELDS VIROLOGY,4th ed.Lippincott,Williams,and Wilkins(2001)を参照のこと。ウイルス疾患およびその複製に関するさらなる情報は、White and Fenner,MEDICAL VIROLOGY,4th ed.Academic Press(1994)およびZuckerman,Banatvala and Pattison(ed.),PRINCIPLES AND PRACTICE OF CLINICAL VIROLOGY,John Wiley and Sons(1994)に見出すことができる。
【0096】
V.ウイルス疾患を治療する方法
本発明の化合物、方法および薬学的組成物は、ウイルス疾患を治療するのに有用である。1局面では、本発明は、ウイルス疾患を治療する方法を提供するが、この方法は、このような治療の必要な被験者に対して、式Iによる化合物の治療上有効な量を投与する工程を含む。例示的な態様では、ウイルス疾患は、RNAウイルスおよびDNAウイルスから選択されるメンバーであるウイルスによって生じる。別の例示的な態様では、ウイルスは、レトロウイルスおよびリボウイルスから選択される。さらに別の例示的な態様では、レトロウイルスは、HIVおよびB型肝炎から選択される。さらに別の例示的な態様では、リボウイルスはC型肝炎である。
【0097】
ウイルス疾患の治療のための1態様では、本発明の化合物は、マウス、ラット、イヌまたはヒトのような患者の血流中に効率的に送達され、引き続いて対象となるウイルスのゲノム中に組み込まれる。本発明の化合物は、ホスホジエステル結合を有するか、またはホスホジエステル結合を獲得して、これによって、本発明の化合物は、ポリメラーゼによってウイルスゲノムに組み込まれ得る。ある態様では、本発明の化合物は、ウイルスゲノムへの変異の組み込みを可能にする塩基対特性を変更し、これによって変異の総数を増大させる。変異の総数の増大によって、ウイルス集団の増殖速度が低下し、かつ子孫のウイルスの生存度が低下する。
【0098】
HIVの治療方法
本発明の化合物は、HIV感染および他のレトロウイルス感染に有用である。本発明の化合物は、連鎖停止(読み終わり)ヌクレオシドに耐性であるHIV株を処置するために特に十分に適切である。1態様では、本発明の化合物は、連鎖停止ヌクレオシドに耐性であるHIV株を処置するために有用である。
【0099】
連鎖停止ヌクレオシドに耐性のHIV株は公知である、かつこの耐性を担う逆転写酵素(RT)酵素における変異は分析されている。連鎖停止ヌクレオシドに対するウイルス抵抗性の2つの機構が記載されている。第一の機序では、このウイルスは、連鎖停止ヌクレオシドと天然に存在するヌクレオシドとの間を識別し、従って、ウイルスゲノムへの連鎖停止ヌクレオシドの組み込みを防止する。例えば、連鎖停止ヌクレオシド耐性ウイルス株は、いくつかの連鎖停止ヌクレオシドに存在する特徴である3'-OH基の非存在を認識するバージョンのHIV-RTを含む(例えば、Sluis-Cremer et al.,Cell.Mol.Life Sci.57:1408-1422(2000)を参照のこと)。第二の機序では、このウイルスは、ヌクレオチドの存在下においてピロリン酸分解を介してウイルスゲノムへの組み込み後に連鎖停止ヌクレオシドを切除する(例えば、Isel et al.,J.Biol.Chem.276:48725-48732(2001)を参照のこと)。逆ヌクレオチド重合化(reverse nucleotide polymerization)としても公知のピロリン酸分解において、ピロリン酸は、連鎖停止ヌクレオシドの除去のためのアクセプター分子として機能する。連鎖停止ヌクレオシドの除去によって、天然のヌクレオチド基質を組み込み、正確なウイルス複製を維持するためのRTが自由になる。ATPはまた連鎖停止ヌクレオシドの除去のためのアクセプター分子としても提唱されており、プライマーの脱ブロックと呼ばれる(例えば、Naeger et al.,Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids 20:635-639(2001))。
【0100】
本発明の化合物は、上記の第一の機序を通じてウイルス耐性を低下させ得る。本発明の化合物は、3'位でヒドロキシルを有する糖を含むので、HIV-RTは、それらと天然のヌクレオシドとの間を識別できないはずであると思われる。
【0101】
一般に、本発明の化合物は、連鎖停止ヌクレオシドでの処置に比較してウイルス耐性を低下させる。現在承認されている連鎖停止ヌクレオシドは、ウイルスの増殖サイクルの1局面である複製を標的し、それが鎖の終止を通じて停止することを直ちに企図する。抗ウイルス効果は狭い範囲で標的され、かつ急激であるので、耐性ウイルス株の発達の選択的な圧力が大きい。本発明の化合物は、種々の方法によって作用する。この化合物は、ウイルスゲノムにおける無作為な変異の漸進性の蓄積を通じて作用する。これは、潜在的に任意のウイルスタンパク質の漸進的な不活性化に相当する。本発明の化合物の効果は、広範に標的されてかつ漸進性であるので、耐性のウイルス株の出現についての選択圧は乏しい。
【0102】
連鎖停止ヌクレオシドと本発明の化合物との間の交差耐性は、野生型HIV株、および一つまたは複数の連鎖停止ヌクレオシドに対して耐性なHIV株におけるプロドラッグのEC50を決定することによって試験され得る。プロドラッグのEC50が、野生型株においてよりも、連鎖停止ヌクレオシド耐性株において高ければ、交差耐性が生じる。交差耐性は、連鎖停止ヌクレオシドと本発明の化合物との間で生じる可能性は低いということが実験によって実証されている。
【0103】
VI.
本発明の化合物は、癌に対する活性を保有する。いくつかの態様では、プロドラッグは、血液学的悪性疾患に対する活性を有する。血液学的悪性疾患、例えば、白血病およびリンパ腫は、造血系細胞の異常な増殖および成熟によって特徴付けられる状態である。
【0104】
白血病は一般に、造血幹細胞の腫瘍性の障害であり、これには、成人および小児の急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリーセル白血病および二次性白血病が挙げられる。骨髄性白血病は、造血系の腫瘍性細胞による血液、骨髄および他の組織の浸潤によって特徴付けられる。CLLは、末梢血における成熟様リンパ細胞の蓄積、ならびに骨髄、脾臓およびリンパ節へのこれらの成熟様リンパ球の浸潤によって特徴付けられる。
【0105】
特異的な白血病としては、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ細胞性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、無白血球性白血病、好塩基球性白血病、芽細胞白血病、ウシ白血病、、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胎生細胞性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、ヘアリーセル白血病、血球母細胞白血病、血球芽細胞白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ性白血病、リンパ球系白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、肥満細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞性白血病、プラズマ球性白血病、骨髄球白血病、リーダー細胞性白血病、シリングス白血病、幹細胞白血病、亜白血性白血病および未分化細胞白血病が挙げられる。
【0106】
リンパ腫は一般に、リンパ組織に主に存在する細胞の腫瘍性のトランスフォーメーションである。リンパ腫の中でも、2つの主な別個の群が存在する。非ホジキンリンパ腫(NHL)およびホジキン病。リンパ腫は免疫系の腫瘍であり、一般にT細胞およびB細胞の両方を含む。リンパ腫は代表的には骨髄、リンパ節、脾臓および循環系で見出される。治療プロトコールは、患者からの骨髄の除去、腫瘍細胞の骨髄の排除(腫瘍細胞タイプに存在する抗原に関連する抗体をしばしば用いる)、その後の骨髄の保管を包含する。患者が放射線または化学療法の毒性用量を受けた後、排除された骨髄を再注入して患者の造血系を再増殖させる。
【0107】
他の血液学的悪性疾患としては、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性症候群(MPS)および骨髄腫、例えば、多発性骨髄腫および孤立性骨髄腫が挙げられる。多発性骨髄腫(いわゆる形質細胞性骨髄腫)は、骨格系に影響して、この系全体にわたって散在する腫瘍性形質細胞の多発性腫瘍塊によって特徴付けられる。これはまた、リンパ節および皮膚のような他の部位に分布し得る。孤立性骨髄腫は、多発性骨髄腫と同じ位で生じる傾向の孤立性病変を包含する。
【0108】
本発明の化合物はまた、他の癌にも指向する。このような癌としては、固形腫瘍によって特徴付けられる癌が挙げられる。関与する他の癌の例は皮膚癌であり、これには黒色腫、基底細胞癌、および扁平上皮細胞癌が挙げられる。頭部および頚部の上皮癌腫も本発明に包含される。これらの癌は代表的に、頭部および頚部の粘膜表面から生じ、唾液腺腫瘍を含む。
【0109】
本発明はまた、肺癌を包含する。肺癌としては、扁平上皮癌または類表皮癌、小細胞癌、腺癌および大細胞癌が挙げられる。乳癌も含む。
【0110】
本発明はまた、胃腸の癌を包含する。胃腸管の癌としては、食道癌、胃の腺癌、原発性胃腸リンパ腫、結腸直腸癌、小腸の腫瘍および肛門の癌が挙げられる。膵臓癌および肝臓に影響する癌もまた関与しており、これには肝細胞性の癌が含まれる。本発明はまた、膀胱癌および腎細胞癌腫の治療を含む。
【0111】
本発明はまた、前立腺癌および精巣癌を包含する。
【0112】
婦人科の悪性疾患も、本発明によって包含され、これには卵巣癌、卵管の癌腫、子宮癌および子宮頸癌が挙げられる。
【0113】
骨および軟部組織の肉腫の治療は、本発明によって包含される。骨の肉腫としては、骨肉腫、軟骨肉腫およびユーイング肉腫が挙げられる。
【0114】
本発明はまた、乳頭状癌、濾胞腺癌および未分化癌を含む甲状腺の悪性腫瘍を包含する。
【0115】
VI.癌を治療する方法
本発明の化合物、方法および薬学的組成物は、癌の治療において有用である。1局面では、本発明は癌を治療する方法を提供し、この方法は、このような治療の必要な被験者に対して、式Iによる化合物の治療上有効な量を投与する工程を含む。例示的な態様では、癌は白血病、リンパ腫または他の造血系の癌である。
【0116】
癌の治療のための1態様では、本発明の化合物は、マウス、ラット、イヌまたはヒトのような患者の血流中に効率的に送達されて、引き続いて癌性細胞のポリヌクレオチド配列(DNAまたはRNAのいずれか)中に組み込まれる。ある態様では、本発明の化合物は、ホスホジエステル結合を有するか、またはホスホジエステル結合を獲得し得、それによって本発明の化合物は癌細胞のゲノム中にポリメラーゼによって組み込まれることが可能になる。別の態様では、本発明の化合物は、変更した塩基対特性を有して、癌細胞ゲノム中に組み込まれる。組み込みによって引き続き、癌細胞中の変異の数が増大する。別の態様では、変異が転写生成物、例えば、タンパク質をコードするmRNA分子、またはタンパク質翻訳に有用なtRNA分子中に組み込まれる。変異した転写生成物は、不活性なタンパク質をしばしば生じる変化したアミノ酸配列を保有する。導入の方法にかかわらず、癌細胞中の変異の数の増大は、集団増殖速度の低下、子孫細胞の生存度の低下、増殖または転移する能力の低下、および癌細胞の死滅を生じる。
【0117】
当業者は、癌の治療における化合物の有効性を試験する方法を承知している。例えば、対象となる癌細胞は、培養中で増殖され得、かつ本発明の化合物の種々の濃度の存在下でインキュベートされ得る。しばしば、MTTのようなウイルス色素の取り込みを用いて、細胞生存度および細胞増殖を決定する。細胞増殖の阻害が見られる場合、この化合物のIC50が決定され得る。当業者はまた、動物モデルにおいて本発明の化合物を試験することを公知である。例えば、本発明の化合物は、トランスフォームされた癌細胞とともにヌードマウス中に注射される。組織培養モデルおよび動物モデル中で収集されたデータは、ヒト患者での使用のために当業者によって外挿され得る。
【0118】
VIII.本発明の化合物を検出するためのアッセイ法
A.変異原性核酸のアッセイ法
核酸は、少なくとも約0.1%という効率でウイルスまたは細胞のゲノム中に組み込まれる。ある場合には、この組み込みは、少なくとも約5%であり、最も好ましくは、インビトロアッセイ法において等量で比較した場合、天然に存在する相補的なポリヌクレオチド配列の組み込みに等しい。従って、1000塩基またはそれ以上に約1というエラーの率は、ウイルスの突然変異誘発を増強するのに十分である。核酸が不正確な塩基対合を生じる能力は、本発明の化合物のDNAまたはRNAへの組み込みによって生成される変異の頻度および性質を試験および検査することによって決定され得る。これらの変異率は広範に変化し得る。例えば、溶解性RNAウイルス(例えば、インフルエンザA)での変異率は、DNAウイルスでの変異率よりも約300倍高いということが報告されている(Drake,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:4171-4175(1993))。しかし、レトロウイルスは、溶解性RNAウイルスよりも平均して低い程度の大きさである変異率を有する。
【0119】
変化したヌクレオチドの組み込み率のアッセイ法は、DNAポリメラーゼによるデオキシヌクレオシド三リン酸の組み込みのために用いられるアッセイ法と類似である(Boosalis,et al.,J.Biol.Chem.262:14689-14698(1987))。当業者は、このようなアッセイ法が、細胞ポリメラーゼを阻害する化合物の能力を測定するか、または変化したヌクレオチドで処置されているウイルスの複製能力を測定するということを認識する。選択された状況では、ウイルスゲノムに導入されている変異の頻度の直接的な決定(Ji and Loeb,Virol.,199:323-330(1994))が行なわれ得る。
【0120】
例えば、HIVの場合は、ウイルスRNAまたは組み込まれたHIV DNAが単離されて、次いで逆転写酵素PCR(RT-PCR)を用いてコピーされる。コピーされたゲノムの領域は、逆転写遺伝子中の600ヌクレオチドのセグメトに相当する。70回のRT-PCR後、コピーされたDNAまたはRNAを転写酵素で処理して、プラスミド中に連結する。大腸菌(E.coli)へのプラスミドのトランスフェクション後、個々のクローンを得て、プラスミド内の増幅されたセグメントを配列決定する。この領域内の変異は、個々の配列とRNAアナログの非存在下における同じウイルスの平行な培養によって得られる対照のウイルス配列とを比較するコンピューター補助の分析によって決定される。各々のヌクレオチドについて、10回連続のウイルス継代の後、またはウイルス検出の消失の時点で決定が行なわれる。類似の手順が対象となる他のウイルスについて有効であり、当業者には容易に明白である。
【0121】
対象となるポリメラーゼの中でも本発明の化合物の取り込みの比較は、ヌクレオチド取り込みについての「マイナス(minus)」配列決定ゲルアッセイ法の修飾を用いて行なうことができる。5'-32P標識プライマーを、4つのヌクレオシド三リン酸のうち3つおよび本発明の化合物を3リン酸型で含む反応中で伸長する。このテンプレートは、必要に応じて、RNAまたはDNAのいずれかであり得る。反応から省略されるヌクレオチドに相補的であるテンプレートヌクレオチドを越えるプライマーの伸長は、アナログの取り込みに依存し、それに比例する。アナログ取り込みの程度は、配列決定ゲル上で1つの位置から次に伸長されるオリゴヌクレオチドの割合の関数として算出される。取り込みは、オートラジオグラフィーによって、その後の濃度測定または各々のバンドの切り出しおよび液体シンチレーション分光法による放射線活性のカウントによって、決定される。当業者は、同様の実験で本発明の化合物の癌細胞におけるポリヌクレオチド配列への取り込みを決定することが可能であることを認識する。
【0122】
本発明の化合物がインビトロまたはインビボのいずれかでウイルス感染細胞に投与される場合、複製された相同なウイルスポリヌクレオチド配列の高度に生存可能な集団を含む細胞の集団が生成される。高度に生存可能な細胞のこの集団は、ウイルス感染した細胞に対して本発明の変異原性化合物を投与すること、およびウイルス集団の変異率を増大することから生じる。従って、ウイルスの高度に可変性の集団は、このウイルスの変異率が、本発明の化合物の投与によって増大されたという指標である。集団の可変性を測定することによって、ウイルス集団の生存度の評価が得られる。次に、ウイルス集団の生存度は、細胞集団の健常度についての予後指標である。例えば、ヒト患者におけるHIV集団についての低生存度は、患者についての展望の改善に相当する。
【0123】
ある態様では、本発明の変異原性化合物は、水溶性であり、標的細胞に急速に入る能力を有する。脂溶性アナログはまた、本発明によって包含される。必要に応じて、本発明の化合物は、細胞のキナーゼによってリン酸化されて、RNAまたはDNAに組み込まれる。
【0124】
B.ウイルス複製のアッセイ法
当業者は、ウイルスの複製または感染性は、ウイルスが疾患を生じる能力と相関していることを認識する。すなわち、高度に感染性のウイルスは、感染性の低いウイルスよりも疾患を生じる可能性が高い。好ましい態様では、本発明の化合物での処置の結果として、そのゲノム中に組み込まれた変異を有するウイルスは、未処置のウイルスに比較してウイルス感染性の低下を有する。当業者は、ウイルスの感染性をアッセイする方法を承知している。(例えば、Condit,Principles of Virology, in FIELDS VIROLOGY,4ed.19-51(Knipe et al.,eds.,2001)を参照のこと)。
【0125】
例えば、プラーク形成アッセイ法を用いて、ウイルスの感染力を測定することができる。要するに、ウイルスのサンプルを適切な培地に添加して、一連の希釈物を細胞のコンフルエントな単層上にプレートする。単独のウイルス感染から各々のプラークが発達するように、感染した細胞を半固体の培地で重層する。接種後、プラークを可視化してカウントできるように、このプレートを適切な色素で染色する。
【0126】
あるウイルスは細胞を殺傷せず、むしろそれらを形質転換する。この形質転換表現型は、例えば、接触阻害の損失後に病巣の形成によって検出され得る。ウイルスを連続的に希釈して、接触阻害された細胞の単層上にプレートする。ウイルスの感染力を決定するために、病巣を適切な色素で検出してカウントすることができる。
【0127】
ウイルスの感染性を決定するための別の方法はエンドポイント法である。この方法は、プラークまたは病巣を形成しないが、培養された細胞、孵化卵または動物中で検出可能な病状または細胞変性効果(CPE)を有するウイルスに適切である。多数の表現型がCPEとして測定可能であり、この表現型としては、丸まり(rounding)、収縮(shrinkage)、屈折増大(increased refractility)、融合、合胞体(シンシチウム)形成、凝集、固着の低下または溶解が挙げられる。ウイルスの連続希釈を適切なアッセイ系およびインキュベーション後に適用して、CPEをアッセイする。統計学的な方法を利用して、細胞の50%の感染に必要なウイルスの正確な希釈を決定する(例えば、Spearman,Br.J.Psychol.2:227-242(1908);およびReed and Muench,Am.J.Hyg.27:493-497(1938)を参照のこと)。
【0128】
ウイルス複製の測定はまた、ウイルスの培養が困難であることに起因して間接的に行なわれ得る。例えば、自己複製する遺伝子エレメントの阻害を測定するレプリコンアッセイ法を用いて、ウイルスの複製の程度を決定することができる。HIVウイルス複製は、p24抗原のレベルを測定することから決定され得る。抗ウイルス活性を決定するための1つの例示的な方法は、CEM-SS細胞およびウイルス(例えば、HIV-1RF)(MOI=0.01)を用い、XTT(2,3-bis[2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル]-5-[(フェニルアミノ)カルボニル]-2H-テトラゾリウムヒドロキシド)細胞保護アッセイ法を用いる(例えば、Weislow,et al.,J.Natl.Canc.Inst.81:577-586(1989);Rice PNAS 90:9721-9724(1993);およびRice Antimicrob.Agents Chemother.41:419-426(1997)を参照のこと)。要するに、種々の希釈の本発明の化合物の存在下でHIV-1RF(または試験される他のウイルス)を用いて細胞を感染させる。この培養物を7日間インキュベートする。この時間中、保護化合物(すなわち、抗ウイルス活性を有する化合物)なしの対照培養物はウイルスを複製し、合胞体を誘導して、約90%の細胞死を生じる。細胞死は、XTT色素の減少によって測定される。XTTは、MTTと同様のミトコンドリアエネルギー出力を測定する可溶性テトラゾリウム色素である。硫酸デキストラン(結合インヒビター)、3'-アジド-2'-3'-ジデオキシチミジンまたはAZT(逆転写酵素インヒビター)を含む陽性対照物を各々のアッセイ法に加える。個々のアッセイ法をシスタープレート法(sister plate method)を用いて二連で行なう。
【0129】
薬物がウイルス複製または感染力を阻害する能力は、この薬物のEC50またはウイルス複製の50%を妨げる有効濃度として表される。ウイルスの感染力を決定するための上記の方法は、薬物のEC50を決定するために有用である。
【0130】
薬物が細胞を殺傷する能力はIC50または細胞増殖を阻害する薬物濃度として表される。薬物のIC50を決定する方法は、当業者に公知であり、ある範囲の濃度の薬物とのインキュベーション後の細胞生存度の決定を含む。
【0131】
IX.本発明の薬学的組成物
本発明は、ウイルスの複製および癌細胞の増殖を阻害する薬学的組成物を提供する。これらの薬学的組成物は、塩基、ヌクレオシドまたはヌクレオチドのプロドラッグ、および薬学的に許容されるキャリアを含む。本発明の1態様では、この薬学的組成物は、シトシンのプロドラッグ、および薬学的に許容されるキャリアを含む。別の態様では、この薬学的組成物は、式Iによる化合物および薬学的に許容されるキャリアを含む。
【0132】
本発明の薬学的組成物、またはその薬学的に許容される付加塩もしくは水和物は、広範な投与経路または投与形態を用いて患者に送達され得る。適切な投与経路としては、限定はしないが、経口投与、経皮投与、経粘膜(例えば、経鼻または膣内)投与、および非経口的投与が挙げられ、これには筋肉内注射、皮下注射および静脈内注射が挙げられる。例示的な態様では、本発明は、経口的に化合物を投与することによってウイルス疾患を治療するか、または癌を治療する方法を提供する。
【0133】
A.経口投与
経口投与のためには、化合物は、(1つまたは複数の)活性化合物と当技術分野において周知の薬学的に許容されるキャリアとを組み合わせることによって容易に処方され得る。このようなキャリアによって、本発明の化合物は、治療される患者による経口摂取用の錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物などとして処方可能になる。経口用途のための薬学的調製物は、所望の場合、錠剤または糖衣錠コアを得るために、この組成物と適切な固相賦形剤とを組み合わせること、適切な補助剤を添加した後、任意で、得られた混合物を粉砕して、顆粒の混合物を加工することによって、得ることができる。適切な賦形剤は例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ポリマー、例えばポリ(エチレンオキシド)、充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などである。所望の場合、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムのようなその塩が添加されてもよい。
【0134】
糖衣錠コアは、適切なコーティングを与えられる。この目的のために、濃縮された糖溶液が用いられてもよく、これには、任意で、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリ(エチレンオキシド)および/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでもよい。染料(dyestuff)または顔料(pigment)が、同定のために、または活性化合物用量の種々の組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加されてもよい。
【0135】
経口的に用いられ得る薬学的調製物としては、ゼラチンからなる押込みカプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールからなる軟性の密閉カプセルが挙げられる。押込みカプセルは、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤、および/または滑石もしくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、および任意で安定化剤と混合されて活性成分を含んでもよい。軟性のカプセルについては、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールのような適切な液体中に溶解されても、または懸濁されてもよい。さらに安定化剤が加えられてもよい。経口投与のための全ての製剤は、このような投与のために適切な用量でなければならない。
【0136】
B.非経口投与
この化合物は、注射による、例えば、ボーラス注射または持続注入による非経口投与のために処方され得る。注射のための製剤は、単位投薬形態で、例えば、アンプル中でまたは多用量の容器中で、添加された防腐剤とともに存在してもよい。この組成物は、油状溶剤または水性溶剤中の懸濁物、溶液またはエマルジョンのような形態をとってもよく、かつ処方剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸またはアルギン酸ナトリウムのようなその塩を含んでもよい。注射のためには、本発明の因子は、水溶液中で、好ましくは生理学的に適合性の緩衝液、例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理食塩水緩衝液中で処方されてもよい。経粘膜投与のためには、浸透する障壁に対して適切な浸透剤が製剤中で用いられる。このような浸透剤は一般に当技術分野において公知である。
【0137】
非経口投与のための薬学的組成物は、水溶性型の活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性化合物の懸濁物は、適切な油状の注射懸濁物として調製され得る。適切な親油性溶媒または溶剤は、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成的脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソームを含む。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増大する物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含んでもよい。任意で、懸濁液は、高度に濃縮された溶液の調製を可能にするように化合物の溶解度を増大する適切な安定化剤または因子を含んでもよい。
【0138】
全身投与はまた、経粘膜または経皮的な手段によってもよい。経粘膜または経皮投与のためには、浸透する障壁に対して適切な浸透剤が製剤中で用いられ得る。このような浸透剤は一般に当技術分野において公知であり、かつ、例えば、経粘膜投与のためには、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含む。さらに、界面活性剤が浸透を促進するために用いられ得る。経粘膜投与は、経鼻スプレーを通じて、例えば、坐剤を用いてもよい。
【0139】
局所投与のためには、この因子は、軟膏、クリーム、唾液、粉末およびゲル中に処方される。1態様では、経皮送達因子はDMSOであってもよい。別の態様では、経皮送達因子は、経皮パッチであってもよい。この化合物は、例えば、適切なポリマーまたは疎水性物質(例えば、受容可能なオイル中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂、を用いて、または溶解度の劣る誘導体として、例えば溶解度の劣る塩として処方されてもよい。
【0140】
経粘膜薬物送達のための製剤に用いられ得る水溶液の例としては、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、ハンクス溶液、リンゲル溶液、デキストロース/生理食塩水、グルコース溶液などが挙げられる。この製剤は、安定性、送達能力または溶解度を向上するために薬学的に許容される補助物質、例えば、緩衝剤、張度調節剤、保湿剤、界面活性剤などを含んでもよい。添加物はまた、さらなる活性成分、例えば、殺菌剤または安定化剤を含んでもよい。例えば、溶液は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレートまたはトリエタノールアミンオレエートを含んでもよい。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌されてもよいし、または滅菌濾過されてもよい。得られた水溶液は、同様に使用のためにパッケージングされるか、または凍結乾燥されてもよく、この凍結乾燥調製物は、投与の前に滅菌水溶液と組み合わされる。
【0141】
本発明の化合物と同時投与され得る治療因子の選択は、治療される条件に一部は依存する。例えば、癌の治療を受けている患者に投与される場合、この化合物は、他の生物活性因子、例えば抗癌剤および/または補助的な増強因子を含むカクテル中で投与されてもよい。この化合物はまた、制吐薬、放射線防護などのような放射線療法の副作用を治療する因子を含有するカクテル中で投与されてもよい。
【0142】
他の適切な生物活性因子としては、例えば、抗腫瘍性因子、例えば、白金化合物(例えば、スピロプラチン、シスプラチンおよびカルボプラチン)、メトトレキセート、アドリアマイシン、タキソール、マイトマイシン、アンサマイトシン、ブレオマイシン、シトシンアラビノシド、アラビノシルアデニン、メルカプトポリリジン、ビンクリスチン、ブスルファン、クロラムブシル、メルファラン(例えば、PAM、L-PAMまたはフェニルアラニンマスタード)、メルカプトプリン、ミトタン、塩酸プロカルバジンダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、マイトマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、アミノグルテチミド、リン酸エストラムスチンナトリウム、フルタミド、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、トリロスタン、アムサクリン(m-AMSA)、アスパラギナーゼ(L-アスパラギナーゼ)エルウィナ(Erwina)アスパラギナーゼ、エトポシド(VP-16)、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、テニポシド(VM-26)、硫酸ビンブラスチン(VLB)、硫酸ビンクリスチン、ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、メトトレキセート、アドリアマイシン、およびアラビノシル;血液産物、例えば、非経口的な鉄、ヘミン、ヘマトポルフィリンおよびそれらの誘導体;生物学的応答調整物質、例えば、ムラミルジペプチド、ムラミルトリペプチド、微生物細胞壁成分、リンホカイン(例えば、細菌エンドトキシン、例えば、リポポリサッカライド、マクロファージ活性化因子)、細菌のサブユニット(例えば、放線菌(Mycobacteria)およびコリネバクテリウム(Corynebacteria)、合成ジペプチドN-アセチル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン;抗真菌剤、例えば、ケトコナゾール、ナイスタチン、グリセオフルビン、フルシトシン(5-fc)、ミコナゾール、アンホテリシンB、リシンおよびβラクタム抗生物質(例えば、フルファゼシン);ホルモンおよびステロイド、例えば、成長ホルモン、メラノサイト刺激ホルモン、エストラジオール、ベクロメタゾンジプロピオネート、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾンおよびリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フランソリド(flunsolide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロンテブテート、プレドニゾロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンジアセテート、トリアムシノロンヘキサアセトニドおよび酢酸フルドロコルチゾン;ビタミン、例えば、シアノコバラミン、ニコチン酸、レチノイドおよび誘導体、例えば、パルミチン酸レチノール、およびαトコフェロール;ペプチド、例えば、マン癌スーパーオキサイドディスムターゼ;アルカリホスファターゼのような酵素;アメレキサノックス(amelexanox)のような抗アレルギー剤;フェンプロクーモンおよびヘパリンのような抗凝固因子;プロプラノロールなどの循環系薬物;グルタチオンなどの代謝増強物質;抗結核薬、例えば、パラアミノサリチル酸、イソナイアジド、硫酸カプレオマイシンシクロセリン、塩酸エタンブトールエチオナマイド、ピラジンアミド、リファンピン、および硫酸ストレプトマイシン;抗ウイルス剤、例えば、アシクロビル、アマンタジンアジドチミジン(AZTまたはジドブジン)、リバビリン、アマンタジン、ビダラビンおよびビダラビン一水和物(アデニンアラビノシド、ara-A);抗狭心症薬、例えば、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、四硝酸エリトリチル、二硝酸イソソルビド、ニトログリセリン(三硝酸グリセリル)および四硝酸ペンタエリトリトール;抗凝固剤、例えば、フェンプロクーモンおよびへパリン;抗生物質、例えば、ダプソン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、ジクロキサシリン、シクラシリン、ピクロキサシリン、ヘタシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、チカルシリンリファンピンおよびテトラサイクリン;抗炎症剤、例えば、ジフィニサル(diffinisal)、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナム酸塩、メフェナム酸、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、アスピリン、およびサリチル塩;抗原虫薬、例えば、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、メトロニダソール、キニーネ、およびアンチモン酸メグルミン;ペニシラミンのような抗リウマチ薬;鎮痛薬などの麻薬;オピエート、例えば、コデイン、ヘロイン、メタドン、モルフィンおよびアヘン;強心配糖体、例えば、デスラノシド(deslanoside)、ジギトキシン、ジゴキシン、ジギタリンおよびジギタリス;神経筋遮断薬、例えば、アトラクリウムベシレート、ガラミン・トリエチオダイド、臭化ヘキサフルオレニウム、ヨウ化メトクリン、臭化パンクロニウム、塩化サクシニルコリン(塩化スキサメトニウム)、塩化ツボクラリンおよび臭化ベクロニウム;鎮静剤(睡眠薬)、例えば、アモバルビタール、アモバルビタールナトリウム、アプロバルビタール(aprobarbital)、ブタバルビタールナトリウム、抱水クロラール、エスクロルビノール、エチナメート、塩酸フルラゼパム、グルテチミド、塩酸メトロチメプラジン、メチプリロン、塩酸ミダゾラム、パラアルデヒド、ペントバルビタール、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム、タルブタール、テマゼパムおよびトリアゾラム;局所麻酔薬、例えば、塩酸ブピバカイン、塩酸クロロプロカイン、塩酸エチドカイン、塩酸リドカイン、塩酸メピバカイン、塩酸プロカインおよび塩酸テトラカイン;全身麻酔薬、例えば、ドロペリドール、エトミデート、クエン酸フェンタニールとドロペリドール、塩酸ケタミン、メトヘキシタール・ナトリウム、およびチオペンタールナトリウム;ならびに放射性粒子またはイオン、例えば、ストロンチウム、ヨウ化レニウムおよびイットリウムが挙げられる。特定の好ましい態様では、生物活性因子は、モノクローナル抗体、例えば、黒色腫の抗原に結合し得るモノクローナル抗体である。
【0143】
本明細書に記載される治療組成物の投与頻度および投薬量は、個体間で異なり、標準的な技術を用いて容易に確立され得る。好ましくは、52週の期間にわたって1〜100用量が投与されてもよい。ウイルス疾患を治療する場合、適切な用量とは、上記のように投与された場合、ウイルスを殺傷し得るか、またはウイルスの感染性を制限し得る化合物の量である。癌を治療する場合、適切な用量とは、上記のように投与された場合、癌または癌細胞を殺傷し得るか、またはその増殖を遅らせることができる化合物の量である。当業者は、薬物の経口投与または任意の他の投与法、例えば、静脈内投与または非経口投与によって、治療の必要な患者に適切な投薬範囲を得る慣用的な実験を承知している。当業者はまた、インビトロまたはインビボの実験モデルによって提供される結果が、治療の必要な患者のための適切な投薬量を推定するために用いられ得ることを承知している。
【0144】
一般には、適切な投薬量および治療レジメンによって、治療および/または予防の利点を得るのに十分な量でこの薬学的組成物が提供される。このような応答は、治療されていない患者に比較して治療された患者において、改善された臨床転帰(例えば、ウイルス疾患なしの生存が長いか、または癌患者にとっては、より高頻度の寛解または完全、部分的もしくはより長期の無再発生存)が達成されることによってモニターできる。
【0145】
本明細書に引用される全ての参考文献および特許刊行物は、参照により本明細書に組み入れられる。上記の開示から理解されるとおり、本発明は、広範な種々の適用を有する。従って、以下の実施例は、例示的な目的のために提供されるものであり、決して本発明の限定と解釈されると意図されることはない。
【0146】
実施例
概要
以下の実施例では、他に言及しない限り、温度はセ氏(℃)で示され;操作は室温または環境温度、「rt」または「RT」で行なわれる(代表的には約18〜25℃の範囲);溶媒のエバポレーションは最大60℃までの浴温度を用いて減圧下(代表的には、4.5〜30mmHg)でロータリー・エバポレーターを用いて行なった。反応の過程には代表的にはTLCを続け、反応時間は例示の目的でのみ与える。融点は不正確である。生成物は、満足な1H-NMRおよび/または微量分析データを示した。収率は例示のためにのみ示す。かつ以下の従来の略号をまた用いる;mp(融点)、L(リットル(s))、mL(ミリリットル)、mmol(ミリモル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、min(分)およびh(時間)。
【0147】
他に特定しない限り、全ての溶媒(HPLC等級)および試薬は、供給業者から購入して、さらなる精製なしに用いた。反応は、他に言及しない限りアルゴンのブランケット下で行なった。(12:1:1:1)酢酸エチル:アセトン:水:メタノール混合物を用いてEM Scienceのプレート(Silica Gel 60F254、0.25mm厚)で分析的薄層クロマトグラフィー(TLC)を行なった。UVランプ(254nM)の下で、または3N H2SO4/0.5%システイン溶液での展開に続いて加熱によって化合物を可視化した。Whatman Inc.60Åシリカゲル(粒子サイズ230〜400メッシュ)のシリカゲルを用いてフラッシュクロマトグラフィーを行なった。Varian 300装置において300MHzで1H NMRスペクトルを記録した。LC MS分析は、検出のために0.01M酢酸アンモニウム:MeCN勾配およびUVおよびESIを用いてThermoFinnigan LCQ Advantage装置において行なった。融点はElectrothermal 1101 MEL-TEMP装置で記録して、訂正はされなかった。
【0148】
実施例1
N4-アルキルオキシカルボニル-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジンの調製
1.1 一般的手順
β-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン(40.2g、0.175mol)を850mLのピリジンに懸濁して、氷で冷却した。この混合物をクロロトリメチルシラン(72mL、0.570mol)で処理して、氷上で40分間維持した。対応するアルキルクロロホルメート(0.350mol)をこの混合物に添加して、その混合物を氷上で2時間維持した。この混合物をメタノール(200mL)で処理して、真空下でエバポレートした。この残滓を酢酸エチル(1L)中に採取して、水(0.5L)で洗浄した。この抽出物を引き続き、飽和NaHCO3および飽和NaClを用いて洗浄して、Na2SO4乾燥した。この抽出物をエバポレートして、その残滓をメタノール(800mL)に含まれるトリエチルアミン(80mL)を用いて室温で10時間処理して、エバポレートした。その残滓をクロロホルムに溶解して、シリカゲルカラムに入れた。この生成物を、C9-C16アルキル鎖を含むプロドラッグについては10:1の酢酸エチル:メタノール混合物を用い、かつC5-C8アルキル鎖を含むプロドラッグについては5:1の酢酸エチル:メタノール混合物を用いて溶出した。主な生成物を含む画分を組み合わせて、エバポレートして、酢酸エチル、メタノール、イソプロパノールまたはイソプロパノール-エーテル混合物から再結晶させた。
【0149】
1.2 結果
本発明の例示的な化合物の分析データは以下に示す。
【0150】
1.2.a N4-アミルオキシカルボニル-β-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン
この化合物は、n-アミルクロロホルメートを用いて無色の固体として得た、融点75〜78°(収率37%)。

【0151】
1.2.b N4-ヘキシルオキシカルボニル-β-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン
この化合物は、n-ヘキシルクロロホルメートを用いて無色の固体として得た、融点138〜139°(収率41%)。

【0152】
1.2.c N4-ヘプチルオキシカルボニル-β-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン
この化合物は、n-ヘプチルクロロホルメートを用いて無色の固体として得た、融点126〜127.7°(収率85%)。

【0153】
1.2.d N4-オクチルオキシカルボニル-β-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン
この化合物は、n-オクチルクロロホルメートを用いて無色の固体として得た、融点135〜137°(収率75%)。

【0154】
1.2.e N4-(2-エチルヘキシル)オクチルカルボニル-β-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン
この化合物は、(2-エチルヘキシル)クロロホルメートを用いて無色の固体として得た、融点118〜120°(収率55%)。

【0155】
1.2.f N4-ノニルオキシカルボニル-β-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン
この化合物は、n-ノニルクロロホルメートを用いて無色の固体として得た、融点137〜138.4°(収率75%)。

【0156】
1.2.g N4-デシルオキシカルボニル-β-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン
この化合物は、n-デシルクロロホルメートを用いて無色の固体として得た、融点124〜126°(収率86%)。

【0157】
1.2.h N4-ドデシルオキシカルボニル-β-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン
この化合物は、n-ドデシルクロロホルメートを用いて無色の固体として得た、融点138〜140°(収率76%)。

【0158】
1.2.i N4-ヘキサデシルオキシカルボニル-β-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン
この化合物は、n-ヘキサデシルクロロホルメートを用いて無色の固体として得た、融点119〜123°(収率73%)。

【0159】
1.2.j N4-ヘプチルオキシカルボニル-α-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン
この化合物は、α-2'-デオキシ-5,6-ジヒドロ-5-アザシチジンおよびn-ヘプチルクロロホルメートを用いて無色の固体として得た、融点77〜78°(収率30%)。

【0160】
実施例2
ラットにおける化合物のバイオアベイラビリティ研究のための実験条件
本研究は、ラットにおいて、経口胃管投与によって、所定の用量レベルで、種々の試験化合物のバイオアベイレビリティーを試験した。
【0161】
本研究で試験した動物は、Charles River Canada(Montreal,Canada)のRattus norvegicus,CD系統であった。各々の試験群には6匹の雌を含んだ。それらの体重は、絶食前、200〜250gに及んだ。本研究の開始時点での動物の体重の変動は平均重量の±20%を超えることはなかった。
【0162】
ラットは、ステンレス鋼のカバーを備えるNalgeneラットケージで個々に飼育した。動物の室環境を制御して毎日モニターした。温度は、18〜26℃に及び、相対湿度は30%〜70%に及んだ。光周期は12時間明野で、12時間暗野とした。全ての動物を一般的な健康診断に供し、健康と思われた動物のみを研究に参加させた。選択した全動物を研究の開始の前に実験室の条件に対して2日間順応させた。馴養および研究の期間を通じてラットにはTekladのげっ歯類用食餌および水を常に利用可能にさせた。
【0163】
研究の開始の48時間前に、動物を無作為に選択して、1群あたり3匹の雌性ラットのうち2匹のサブセットを形成させた。採取する血液が大容積なので、サブセットの間の交互の時点で収集を行なう。
【0164】
本研究の開始前、全ての動物を12時間絶食させた。研究の開始時点で、それぞれの群のラットに経口の胃管によって4.0mL/kgの用量で本発明の化合物を与えた。
【0165】
投与後30分で、かつ1時間、2時間、4時間および12時間で各々の群由来の動物の眼窩洞から血液を収集した。各々の血液収集時点で、1群あたり3匹のラットから採血した。
【0166】
実施例3
ラットにおける本発明の化合物の薬物動態学的データ
DHAdC(5,6-ジヒドロ-5-アザ-2'-デオキシシチジン)およびプロドラッグC7-DHAdC(N4-ヘプチルオキシカルボニル-DHAdC)およびC9-DHAdC(N4-ノニルオキシカルボニル-DHAdC)を、実施例2に記載される条件下でラットに投与した。DHAdCの経口およびIV投薬の量、ならびにプロドラッグC7-DHAdCおよびC9-DHAdCの経口投薬量を記録した。プロドラッグの場合には、100mg/kgのDHAdCまたはDHAdC等価物をラットに投与した。最大濃度(Cmax)、クリアランス(AUC∞)、半減期(T1/2)および経口バイオアベイラビリティ%を記録して、表1に提示する。
【0167】
【表1】

【0168】
実施例4
イヌの化合物のバイオアベイラビリティ研究のための実験条件
本研究は、静脈内投与または経口胃管投与によって、所定の用量レベルで、イヌにおいて種々の試験化合物のバイオアベイラビリティを試験した。
【0169】
本研究で試験した動物は、Harlan Sprague Dawley(Indianapolis,Indiana)のイヌ(Canis familiaris)であった。平均で7ヶ月齢の4匹のイヌ(2匹の雄および2匹の雌)を各々の試験群に含んだ。イヌは耳の入れ墨で同定して、試験の開始の前に14日間の順化期間を与えた。
【0170】
イヌを群ごとに、ただし6匹ずつ別に飼育した。動物の室環境を制御して毎日モニターした。温度は18〜29℃におよび、相対湿度は30%〜70%に及んだ。光周期は12時間明野で、12時間暗野とした。全ての動物を一般的な健康診断に供して、健康と思われた動物のみをこの研究に参加させた。選択した全動物を研究の開始の前に実験室の条件に対して2日間調整させた。馴養および研究の期間を通じてイヌにはTekladのイヌ用食餌を毎日2回給餌して、水は常に利用可能にさせた。
【0171】
研究の開始の24時間前に、動物を、各群に1匹の雄および1匹の雌を含む2つの群に無作為に選択した。研究の開始の際、イヌの各群は、次いで静脈注射または経口胃管投与によって本発明の化合物を0.5mL/Kg投与された。
【0172】
投与後30分で、かつ1時間、2時間、4時間および12時間で研究開始の前に2匹の動物の各々の前腕の橈側皮静脈から血液を収集した。
【0173】
実施例5
イヌにおける本発明の化合物の薬物動態学的データ
DHAdC(5,6-ジヒドロ-5-アザ-2'-デオキシシチジン)およびプロドラッグC7-DHAdC(N4-ヘプチルオキシカルボニル-DHAdC)、C8-DHAdC(N4-オクチルカルボニル-DHAdC)およびC9-DHAdC(N4-ノイルオキシカルボニル-DHAdC)を、実施例4に記載される条件下でイヌに投与した。DHAdCのIV投薬、ならびにプロドラッグC7-DHAdC、C8-DHAdCおよびC9-DHAdCの経口投薬量を記録した。イヌには、プロドラッグの場合には、50mg/kgのDHAdCまたはDHAdC等価物を投与した。最大濃度(Cmax)、クリアランス(AUC∞)、半減期(T1/2)および経口バイオアベイラビリティ%を記録して、表2に提示する。
【0174】
【表2】

【0175】
実施例6
親油性研究の実験条件
本研究は、種々の試験化合物の親油性を試験した。
【0176】
この化合物は最初に、1%DMSOを含む60%メタノール/40%水(v/v)溶液に溶解して、100μMの濃度にさせた。最適の検出波長を決定して、溶液で較正研究を行なった。較正後、化合物をpH7.4でRTにおいてn-オクタノール-PBS緩衝液中に入れた。この混合物を振盪して、60分間平衡にさせた。次いで、PBS緩衝相中の化合物の量をHPLC/UV-Visによって決定した。n-オクタノール中の化合物の量は、PBS緩衝相中の量から元の量を差し引きすることによって決定した。この実験は3つのサンプルについて行なった。次いでこれらの3つのサンプルを容積について各々補正して、結果を平均した。LogDは、n-オクタノール相における化合物の量を緩衝相における化合物の量によって割ったLog10として算出した。
【0177】
実施例7
本発明の化合物の親油性データ
親油性は、化合物の薬物動態および薬理学的挙動に影響する主な構造的要因である。本アッセイ法では、プロドラッグC7-DHAdC、C8-DHAdCおよびC9-DHAdCを、n-オクタノールとリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)との間で分配させた。プロドラッグのlogD値は、表3に記録される。
【0178】
【表3】

【0179】
2.0〜2.5の値が最適であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】本発明の代表的な化合物の構造を示す。
【図1−1】

【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:

による構造を有する化合物であって、
aが0または1であり;
aが0である場合、破線がCとNとの間の二重結合であり;
R2が、(=O)およびNR7R8から選択されるメンバーであり;
R4が、H、ハロゲン、OR3、NR7R8、ハロゲン、ニトリルならびに置換および非置換(C1-C5)アルキルから選択されるメンバーであり;
R6が、H、ハロゲン、OR3、NR3R3、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換の3員〜7員のシクロアルキル、置換または非置換の5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり;
R7、R8、R5およびR1が、H、OR3、NR3R3、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換の3員〜7員のシクロアルキル、置換または非置換の5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり;
R3が、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換のアシルから独立して選択され;
R7およびR8が任意で結合される窒素と一緒になって、置換または非置換の5員〜7員環を形成し;
R8およびR5が任意で結合される原子と一緒になって、置換または非置換の5員〜7員環を形成し;
R5およびR6が任意で結合される原子と一緒になって、置換または非置換の5員〜7員環を形成し;
R3、R5、R7およびR8から選択される少なくとも1つのメンバーが、単独でまたはそれが共有結合される原子と一緒になって、カルバメートおよび尿素リンカーから選択される、化合物。
【請求項2】
R2が、(=O)、-NH2および-NHOHから選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R4がF、CN、-CCH、-CCMeおよびCH3から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1がヒドロキシル部分を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R1がサッカリル部分を含む、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R1が、式II:

による構造であり、
破線がCaとCbとの間の二重結合であり;
R9、R10およびR11が、H、-OH、OR12、-NH2、-NO2、-SO2NH2、N3、ハロゲン、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換の3員〜7員のシクロアルキル、置換または非置換の5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり;
R12が、アミノ酸および2個と5個との間のアミノ酸を含むペプチドから選択され;
R9およびR10が任意で結合される原子と一緒になって、置換または非置換の5員〜7員環を形成し;
R10およびR11が任意で結合される原子と一緒になって、置換または非置換の5員〜7員環を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R9、R10およびR11が、H、OH、(R133SiO-、および式III:

による構造から独立して選択されるメンバーであり、
R13が、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換の3員〜7員のシクロアルキル、置換または非置換の5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアシル、置換または非置換のアリール、および置換または非置換のヘテロアリールから独立して選択され;
複数のR13が任意で結合される原子と一緒になって、置換または非置換の5員〜7員環を形成し;かつ
R16、R17およびR18が、置換および非置換のアルキルから独立して選択される、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R16、R17およびR18が、エチルである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R3、R5、R7およびR8が、Hおよび式IV:

による構造から独立して選択され、
R14が、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアシル、置換または非置換のアリール、および置換または非置換のヘテロアリール、アミノ酸、および2個と5個との間のアミノ酸を含むペプチドから選択され;
R8が式IVによる構造である場合には、R7がHである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R3、R5、R7およびR8が、Hおよび式V:

による構造から独立して選択され、
R15が、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアシル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、アミノ酸、および2個と5個との間のアミノ酸を含むペプチドから選択され;
R8が式Vによる構造である場合には、R7がHである、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
R14が、置換または非置換の(C4-C12)アルキル、ベンジル、2-ニトロ-フラニル、レチノール、αトコフェロール、カルシフェロール、ビタミンK、コレステロール、

から選択される、請求項9記載の化合物。
【請求項12】
R15が、置換または非置換の(C4-C12)アルキル、ベンジル、2-ニトロ-フラニル、レチノール、αトコフェロール、カルシフェロール、ビタミンK、コレステロール、

から選択される、請求項10記載の化合物。
【請求項13】
R14が、非置換の(C6-C10)アルキルである、請求項11記載の化合物。
【請求項14】
R15が、非置換の(C6-C10)アルキルである、請求項12記載の化合物。
【請求項15】
R2が、(=O)、-NH2、および-NHOHから選択される、請求項9記載の化合物。
【請求項16】
R2が、(=O)、-NH2、および-NHOHから選択される、請求項10記載の化合物。
【請求項17】
R4が、-F、-CN、-CCH、-CCMe、および-CH3から選択される、請求項9記載の化合物。
【請求項18】
R4が、-F、-CN、-CCH、-CCMe、および-CH3から選択される、請求項10記載の化合物。
【請求項19】
R2が、(=O)、-NH2、および-NHOHから選択され;かつ
R4が、-F、-CN、-CCH、-CCMe、および-CH3から選択される、請求項11記載の化合物。
【請求項20】
R2が、(=O)、-NH2、および-NHOHから選択され;かつ
R4が、-F、-CN、-CCH、-CCMe、および-CH3から選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項21】
請求項1記載の化合物の治療上有効な量をこのような治療の必要な被験者に投与する工程を含む、ウイルス性疾患を治療するための方法。
【請求項22】
化合物が経口的に投与される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
化合物が腸溶性の製剤である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
化合物が浸透圧性の経口送達デバイスで送達される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
ウイルス疾患が、RNAウイルスおよびDNAウイルスから選択されるウイルスによって生じる、請求項21記載の方法。
【請求項26】
ウイルスがレトロウイルスおよびリボウイルスから選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
レトロウイルスがHIVおよびB型肝炎から選択される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
リボウイルスがC型肝炎である、請求項26記載の方法。
【請求項29】
請求項1記載の化合物の治療上有効な量をこのような治療の必要な被験者に投与する工程を含む、癌を治療するための方法。
【請求項30】
癌が造血系の癌である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
薬学的に許容されるキャリアおよび式I記載の化合物を含む薬学的組成物。

【公表番号】特表2007−523860(P2007−523860A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517393(P2006−517393)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019520
【国際公開番号】WO2004/112716
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(504070033)コローニス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】